(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125400
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20230831BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230831BHJP
A47K 13/10 20060101ALI20230831BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20230831BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20230831BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K11/33
A47K13/10
F16H57/04 Z
F16H57/021
F16H1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029460
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大島 雄希
【テーマコード(参考)】
2D037
3J009
3J063
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB11
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA35
3J009EA44
3J009EC02
3J009EC07
3J009FA14
3J063AA31
3J063AB02
3J063AC01
3J063BB15
3J063CB12
3J063CD04
3J063CD45
3J063XD02
3J063XD72
5H607BB01
5H607BB04
5H607EE31
5H611QQ03
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】出力軸の歯車部に塗布されたグリスが出力軸の回転を検出するポテンショメータの検出部や基板に付着することを抑制できる開閉部材駆動装置を提供すること。
【解決手段】開閉部材駆動装置3のケース10は、出力軸11および第6複合歯車35の第2方向X2でケース10内を仕切る隔壁部55を備える。ポテンショメータ15の検出部38が取り付けられた基板14は、隔壁部55の第1方向X1において隔壁部55と対向する。検出部38は隔壁部55と基板14との間の隙間Cに位置する。隔壁部55には、ポテンショギア39用貫通孔が設けられており、ポテンショギア39は、歯車本体部52が隔壁部55の第2方向X2で出力軸11の回転角度位置検出用歯車部24に噛合し、嵌合部51が、隔壁部55の第1方向X1で検出部38のギア接続部38aに嵌合する。検出部38および基板14と出力軸11との間には、隔壁部55が介在する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体および前記モータ本体から突出するモータ出力軸を備えるモータと、
開閉部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、
前記モータ出力軸の回転を前記出力軸に伝達する輪列機構と、
前記出力軸の回転角度位置を検出するためのポテンショメータと、
前記モータ、前記輪列機構、前記出力軸の前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースと、
前記ケースに収容された基板と、を有し、
前記出力軸の軸線に沿った方向を軸線方向とし、前記軸線方向の一方を第1方向、他方を第2方向とした場合に、前記ケースは、前記ケース内を前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備え、
前記基板は、前記隔壁部の前記第1方向で当該隔壁部と隙間を開けて対向し、
前記出力軸および前記歯車部に噛合する前記輪列機構の最終歯車は、前記隔壁部の前記第2方向に位置し、
前記歯車部には、グリスが塗布され、
前記出力軸は、前記歯車部とは異なる位置に当該歯車部と同軸の回転角度位置検出用歯車部を備え、
前記ポテンショメータは、前記基板において前記隔壁部に対向する基板表面に取り付けられて当該基板と前記隔壁部との間に配置された検出部と、前記検出部のギア接続部に接続されるポテンショギアと、を備え、
前記ポテンショギアは、歯車本体部、前記ギア接続部に嵌合する嵌合部、および前記歯車本体部と前記嵌合部とを接続する軸部を備え、
前記隔壁部は、前記軸部が貫通するポテンショギア用貫通孔を備え、
前記歯車本体部は、前記隔壁部の前記第2方向で前記回転角度位置検出用歯車部に噛合することを特徴とする開閉部材駆動装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記隔壁部から突出して前記軸部を回転可能に支持するポテンショギア支持部を備え、
前記ポテンショギア支持部は、前記ポテンショギア用貫通孔の開口縁に沿って湾曲する支持面を備え、
前記隔壁部における前記ポテンショギア用貫通孔の内周面および前記支持面は、前記軸部に摺接することを特徴とする請求項1に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項3】
前記モータは、前記モータ本体から突出する一対のモータ端子を備え、
前記モータ本体は、前記基板の前記第1方向に位置し、
前記モータ出力軸は、前記モータ本体から前記第1方向に突出し、
一対の前記モータ端子は、前記モータ本体から前記第2方向に突出し、
前記基板は、一対のモータ端子用貫通孔と、前記モータに電力を供給するための第1配線パターンと、前記検出部に電力を供給するとともに当該ポテンショメータからの信号を外部に出力するための第2配線パターンと、を備え、
一対の前記モータ端子は、一対の前記モータ端子用貫通孔を貫通した状態で前記第1配線パターンに接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項4】
前記輪列機構は、前記モータ本体の側方を前記軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記第1シャフトに回転可能に支持された第1歯車と、前記第1歯車の前記第2方向において前記第1シャフトに回転可能に支持された第2歯車と、前記第2シャフトに回転可能に支持された第3歯車と、前記第3歯車の前記第2方向において前記第2シャフトに回転可能に支持された前記最終歯車と、を備え、
前記第1歯車、前記第2歯車、前記第3歯車、および前記最終歯車は、それぞれ大径歯
車部分と、前記大径歯車部分よりも外径寸法の小さい小径歯車部分と、を備える複合歯車であり、
前記第1歯車の小径歯車部分は、前記第3歯車の大径歯車部分に噛合し、
前記第3歯車の小径歯車部分は、前記第2歯車の大径歯車部分に噛合し、
前記第2歯車の小径歯車部分は、前記最終歯車の大径歯車部分に噛合し、
前記最終歯車の小径歯車部分は、前記歯車部に噛合し、
前記モータ出力軸の回転は、前記第1歯車、前記第3歯車、前記第2歯車、前記最終歯車の順に伝達されることを特徴とする請求項3に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項5】
前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとは、前記基板表面に設けられており、前記第1歯車、前記第2歯車の大径歯車部分、および前記第3歯車は、前記基板の前記第1方向に位置し、
前記基板は、前記ケース内を仕切るとともに、前記第1シャフトおよび前記第2歯車の前記小径歯車部分を貫通させる基板側第1貫通孔と、前記第2シャフトを貫通させる基板側第2貫通孔と、を備え、
前記隔壁部は、前記ケース内を仕切るとともに、前記第1シャフトおよび前記第2歯車の前記小径歯車部分を貫通させる隔壁部側第1貫通孔と、前記第2シャフトを貫通させる隔壁部側第2貫通孔と、を備え、
前記最終歯車の小径歯車部分は、前記歯車部に噛合することを特徴とする請求項4に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項6】
前記第2歯車の小径歯車部分は、前記軸線方向で前記基板と前記隔壁部との間に位置する部位に歯を有さない円柱部を備えることを特徴とする請求項5に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記隔壁部における隔壁部側第1貫通孔の開口縁から前記第2方向に突出して、前記第2歯車の小径歯車部分の前記隔壁部よりも前記第2方向に突出する突出部を覆うカバー部を備え、
前記カバー部は、前記最終歯車と対向する位置に、前記突出部と前記最終歯車との噛合を許容する開口を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項8】
前記モータは、DCモータであることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置を有し、
前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材を駆動する開閉部材駆動装置、および開閉部材としてトイレユニットの便蓋を開閉する便蓋開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
便蓋などの開閉部材を開閉する開閉部材駆動装置は特許文献1に記載されている。同文献の開閉部材駆動装置は、モータ出力軸を備えるモータと、開閉部材が接続され接続部を備える出力軸と、モータ出力軸の回転を出力軸に伝達する伝達輪列と、を有する。出力軸には、接続部と同軸に歯車部が設けられており、輪列機構の最終歯車は、歯車部に噛合する。歯車部および最終歯車にはグリスが塗布されている。
【0003】
また、開閉部材駆動装置は、基板と、出力軸の回転角度位置を検出するためのポテンショメータと、を有する。ポテンショメータは、基板に取り付けられた検出部と、検出部に接続されるポテンショギアと、を備える。基板は、出力軸の径方向に離間する位置に配置されており、ポテンショギアは、伝達輪列を構成する複数の歯車のうち出力軸から径方向に離間している歯車に噛合して回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出力軸の回転角度位置を精度良く検出するためには、出力軸に、歯車部と同軸の回転角度位置検出用歯車を設け、この回転角度位置検出用歯車にポテンショギアを噛合させることが考えられる。このようにすれば、ポテンショメータは、出力軸の回転を、直接的に、検出できるからである。
【0006】
ここで、出力軸に設けた回転角度位置検出用歯車にポテンショギアを噛合させるためには、ポテンショメータの検出部を、出力軸の径方向および軸線方向で出力軸の近傍に配置して、出力軸とポテンショギアの回転中心軸とを平行にする必要がある。しかし、このような配置では、出力軸の歯車部に塗布されたグリスがポテンショメータの検出部や基板に付着しやすくなる。検出部にグリスが付着すると、検出部の動作が阻害される。また、基板にグリスが付着すると、グリスが基板を介して検出部に付着する可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、ポテンショメータにより出力軸の回転を直接的に検出する際に、輪列機構と噛合する出力軸の歯車部に塗布されたグリスがポテンショメータの検出部および検出部が取り付けられた基板に付着することを防止或いは抑制できる開閉部材駆動装置を提供することになる。また、かかる開閉装置駆動装置を備える便蓋開閉ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の開閉部材駆動装置は、モータ本体および前記モータ本体から突出するモータ出力軸を備えるモータと、開閉部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、前記モータ出力軸の回転を前記出力軸に伝達する輪列機構と、前記出力軸の回転角度位置を検出するためのポテンショメータと、前記モータ、前記輪列機構、前記出力軸の前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部
を外部に露出させる開口部を有するケースと、前記ケースに収容された基板と、を有し、前記出力軸の軸線に沿った方向を軸線方向とし、前記軸線方向の一方を第1方向、他方を第2方向とした場合に、前記ケースは、前記ケース内を前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備え、前記基板は、前記隔壁部の前記第1方向で当該隔壁部と隙間を開けて対向し、前記出力軸および前記歯車部に噛合する前記輪列機構の最終歯車は、前記隔壁部の前記第2方向に位置し、前記歯車部には、グリスが塗布され、前記出力軸は、前記歯車部とは異なる位置に当該歯車部と同軸の回転角度位置検出用歯車部を備え、前記ポテンショメータは、前記基板において前記隔壁部に対向する基板表面に取り付けられて当該基板と前記隔壁部との間に配置された検出部と、前記検出部のギア接続部に接続されるポテンショギアと、を備え、前記ポテンショギアは、歯車本体部、前記ギア接続部に嵌合する嵌合部、および前記歯車本体部と前記嵌合部とを接続する軸部を備え、前記隔壁部は、前記軸部が貫通するポテンショギア用貫通孔を備え、前記歯車本体部は、前記隔壁部の前記第2方向で前記回転角度位置検出用歯車部に噛合することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ケースは、出力軸および最終歯車の第1方向においてケース内を軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える。ポテンショメータの検出部が取り付けられた基板は、隔壁部の第1方向において隔壁部と対向し、検出部は隔壁部と基板との間の隙間に位置する。隔壁部には、ポテンショギア用貫通孔が設けられており、ポテンショギアは、その歯車本体部が、隔壁部の第2方向で出力軸の回転角度位置検出用歯車部に噛合し、その嵌合部が、隔壁部の第1方向で検出部のギア接続部に嵌合する。検出部および基板と出力軸との間には、隔壁部が介在するので、出力軸の歯車部に塗布されたグリスが、検出部および基板に付着することを防止或いは抑制できる。
【0010】
本発明において、前記ケースは、前記隔壁部から突出して前記軸部を回転可能に支持するポテンショギア支持部を備え、前記ポテンショギア支持部は、前記ポテンショギア用貫通孔の開口縁に沿って湾曲する支持面を備え、前記隔壁部における前記ポテンショギア用貫通孔の内周面および前記支持面は、前記軸部に摺接するものとすることができる。このようにすれば、ポテンショギアの軸部は、ポテンショギア用貫通孔の内周面およびポテンショギア支持部の支持面によって、外周側から回転可能に支持される。従って、軸部が隔壁部を貫通するのに必要が長さ寸法を備えるものとなった場合でも、ポテンショギアが軸線方向に対して傾斜することを防止或いは抑制できる。
【0011】
本発明において、前記モータは、前記モータ本体から突出する一対のモータ端子を備え、前記モータ本体は、前記基板の前記第1方向に位置し、前記モータ出力軸は、前記モータ本体から前記第1方向に突出し、一対の前記モータ端子は、前記モータ本体から前記第2方向に突出し、前記基板は、一対のモータ端子用貫通孔と、前記モータに電力を供給するための第1配線パターンと、前記検出部に電力を供給するとともに当該ポテンショメータからの信号を外部に出力するための第2配線パターンと、を備え、一対の前記モータ端子は、一対の前記モータ端子用貫通孔を貫通した状態で前記第1配線パターンに接続されるものとすることができる。このようにすれば、検出部が取り付けられた基板を、モータに電力を供給するための基板と共用できる。
【0012】
本発明において、前記輪列機構は、前記モータ本体の側方を前記軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記第1シャフトに回転可能に支持された第1歯車と、前記第1歯車の前記第2方向において前記第1シャフトに回転可能に支持された第2歯車と、前記第2シャフトに回転可能に支持された第3歯車と、前記第3歯車の前記第2方向において前記第2シャフトに回転可能に支持された前記最終歯車と、を備え、前記第1歯車、前記第2歯車、前記第3歯車、および前記最終歯車は、それぞれ大径歯車部分と、前記大径歯車部分よりも外径寸法の小さい小径歯車部分と、を備える複合歯車であり、前記第1歯車の小径歯車部分は、前記第3歯車の大径歯車部分に噛合し、前記第3歯車
の小径歯車部分は、前記第2歯車の大径歯車部分に噛合し、前記第2歯車の小径歯車部分は、前記最終歯車の大径歯車部分に噛合し、前記最終歯車の小径歯車部分は、前記歯車部に噛合し、前記モータ出力軸の回転は、前記第1歯車、前記第3歯車、前記第2歯車、前記最終歯車の順に伝達されるものとすることができる。このようにすれば、隔壁部および基板の第1方向に位置するモータ出力軸の回転を、隔壁部および基板の第2方向に位置する最終歯車および出力軸に伝達できる。
【0013】
本発明において、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとは、前記基板表面に設けられており、記第1歯車、前記第2歯車の大径歯車部分、および前記第3歯車は、前記基板の前記第1方向に位置し、前記基板は、前記ケース内を仕切るとともに、前記第1シャフトおよび前記第2歯車の前記小径歯車部分を貫通させる基板側第1貫通孔と、前記第2シャフトを貫通させる基板側第2貫通孔と、を備え、前記隔壁部は、前記ケース内を仕切るとともに、前記第1シャフトおよび前記第2歯車の前記小径歯車部分を貫通させる隔壁部側第1貫通孔と、前記第2シャフトを貫通させる隔壁部側第2貫通孔と、を備え、前記最終歯車の小径歯車部分は、前記歯車部に噛合するものとすることができる。このようにすれば、ケースの内部を仕切る隔壁部により、歯車部のグリスが検出部および基板に付着することを防止或いは抑制することが容易となる。また、第1配線パターンおよび第2配線パターンは、基板において第2方向を向く基板表面に設けられているので、伝達輪列において基板の第2方向に位置する歯車に塗布されたグリスが、第1配線パターンおよび第2配線パターンに検出部に付着することを防止或いは抑制できる。
【0014】
本発明において、前記第2歯車の小径歯車部分は、前記軸線方向で前記基板と前記隔壁部との間に位置する部位に歯を有さない円柱部を備えるものとすることができる。このようにすれば、第2歯車の小径歯車部分において、最終歯車の大径歯車部分に噛合する歯部にグリスを塗布した場合でも、軸線方向で基板と隔壁部との間に位置する円柱部には、グリスが塗布されない。従って、第2歯車の小径歯車部分に塗布されたグリスが検出部および第1配線パターンおよび第2配線パターンに付着することを防止しやすい。
【0015】
本発明において、前記ケースは、前記隔壁部における隔壁部側第1貫通孔の開口縁から前記第2方向に突出して、前記第2歯車の小径歯車部分の前記隔壁部よりも前記第2方向に突出する突出部を覆うカバー部を備え、前記カバー部は、前記最終歯車と対向する位置に、前記突出部と前記最終歯車との噛合を許容する開口を備えるものとすることができる。このようにすれば、隔壁部側第1貫通孔を介して、グリスが、基板の側に侵入することを抑制しやすい。
【0016】
本発明において、前記モータは、DCモータであるものとすることができる。
【0017】
次に、本発明の便蓋開閉ユニットは、上記の開閉部材駆動装置を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ケースは、出力軸および最終歯車の第2方向においてケース内を軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える。ポテンショメータの検出部が取り付けられた基板は、隔壁部の第1方向において隔壁部と対向し、検出部は隔壁部と基板との間の隙間に位置する。隔壁部には、ポテンショギア用貫通孔が設けられており、ポテンショギアは、その歯車本体部が、隔壁部の第2方向で出力軸の回転角度位置検出用歯車部に噛合し、その嵌合部が、隔壁部の第1方向で検出部のギア接続部に嵌合する。検出部および基板と出力軸との間には、隔壁部が介在するので、出力軸の歯車部に塗布されたグリスが、検出部および基板に付着することを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸の側から見た斜視図である。
【
図4】ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た斜視図である。
【
図5】ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た平面図である。
【
図8】第3ケースを外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図9】隔壁部よりも第2方向に位置する部材を外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図10】隔壁部よりも第2方向に位置する部材と第2ケースを外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図11】基板と基板よりも第1方向に位置する部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の便蓋開閉ユニットの実施の形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、便蓋開閉ユニットの説明図である。
図2は、開閉部材駆動装置の外観斜視図である。
図3は、ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸の側から見た場合の斜視図である。
図4は、ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た場合の斜視図である。
図5は、ケースを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た場合の平面図である。
図6は、
図2のA-A線断面図である。
図7は、
図2のB-B線断面図である。
【0022】
図1に示すように、便蓋開閉ユニット1は、便蓋2と、便蓋2を駆動する開閉部材駆動装置3と、を有する。便蓋開閉ユニット1は、便器本体4および便座5を備えるトイレユニット6に取り付けられて、便蓋2を回転させる。便蓋開閉ユニット1がトイレユニット6に取り付けられた状態で、便蓋2の回転軸Hは、水平方向に延びる。便蓋2は、開閉部材駆動装置3の駆動により、便器本体4および便座5に上方から被さる閉位置2Aと、便器本体4から立ち上がる開位置2Bとの間を移動する。
【0023】
図2に示すように、開閉部材駆動装置3は、ケース10と、ケース10に設けられた開口部10aからケース10の外側に突出する出力軸11と、備える。ケース10は、柱形状であり、出力軸11の軸線L1に沿って延びる。
図3、
図4に示すように、ケース10内には、モータ12と、モータ12の駆動力を出力軸11に伝達する輪列機構13と、が収容されている。また、ケース10内には、基板14と、出力軸11の回転角度位置を検出するためのポテンショメータ15と、が収容されている。
【0024】
開閉部材駆動装置3は、出力軸11の軸線L1を便蓋2の回転軸Hと一致させた姿勢でトイレユニット6に取り付けられる。すなわち、出力軸11を水平方向に向けてトイレユニット6に取り付けられる。開閉部材駆動装置3が出力軸11を所定の角度範囲で回転駆動することにより、便蓋2は、閉位置2Aと開位置2Bとの間を移動する。本例において、所定の角度範囲は、130°以下である。ここで、開閉部材駆動装置3は、
図1に実線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の一方側に設置される場合がある。また、開閉部材駆動装置3は、
図1に鎖線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の他方側に設置される場合がある。
【0025】
(モータ)
モータ12は、DCモータである。
図3、
図6、
図7に示すように、モータ12は、モータ本体17と、モータ本体17から一方側に突出するモータ出力軸18と、モータ本体17からモータ出力軸18とは反対方向に突出する一対のモータ端子19と、を備える。モータ出力軸18は、出力軸11の位置する側とは反対方向に突出し、一対のモータ端子19は、出力軸11が位置する側に突出する。モータ出力軸18には、モータピニオン20が取り付けられている。
【0026】
モータ出力軸18の軸線L2と開閉部材駆動装置3の出力軸11の軸線L1とは、平行である。
図5から分かるように、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ本体17は出力軸11と部分的に重なる。また、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ出力軸18は出力軸11と重なる。すなわち、モータ出力軸18は、出力軸11の内側に位置する。以下の説明では、モータ出力軸18の軸線L1および出力軸11の軸線L1に沿った方向を軸線方向Xとする。また、モータ出力軸18がモータ本体17から突出する方向を軸線方向Xの第1方向X1とし、その反対方向を第2方向X2とする。従って、一対のモータ端子19は、モータ本体17から第2方向X2に突出する。出力軸11は、ケース10から第2方向X2に突出する。モータ12は、出力軸11の第1方向X1に位置する。
【0027】
(出力軸)
図3、
図4に示すように、出力軸11は、便蓋2(開閉部材)が接続される接続部22と、モータ12の駆動力が伝達される歯車部23と、回転角度位置検出用歯車部24とを備える。接続部22、歯車部23、および回転角度位置検出用歯車部24は、同軸である。歯車部23は、接続部22の第1方向X1に設けられている。回転角度位置検出用歯車部24は、歯車部23の第1方向X1に設けられている。歯車部23は、出力軸11の周方向において180°以下の角度範囲に設けられている。出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24は、ケース10内に収容されている。接続部22は、開口部10aを介して、ケース10の外側に位置する。
【0028】
(輪列機構)
輪列機構13は、大径歯車部分と大径歯車部分よりも小径の小径歯車部分を備える複数の複合歯車を備える。各複合歯車は、小径歯車部分を第1方向に向けて配置される。各複合歯車が噛み合う部分には、グリスが塗布されている。輪列機構13は、減速輪列である。また、輪列機構13は、これら複数の複合歯車を回転可能に支持する3本のシャフトを備える。
【0029】
具体的には、輪列機構13は、モータピニオン20に噛合する第1複合歯車26と、第1複合歯車26を回転可能に支持する第1複合歯車用シャフト27と、を備える。第1複合歯車用シャフト27は、モータ本体17の第1方向X1で軸線方向Xに延びる。
【0030】
また、輪列機構13は、モータ本体17の側方を軸線方向Xに平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29を備える。さらに、輪列機構13は、第1シャフト28に回転可能に支持された第2複合歯車31(第1歯車)、第2複合歯車31の第2方向X2において第1シャフト28に回転可能に支持された第3複合歯車32(第2歯車)を備える。また、輪列機構13は、第2シャフト29に回転可能に支持された第4複合歯車33、第4複合歯車33の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第5複合歯車34(第3歯車)、および第5複合歯車34の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第6複合歯車35(第4歯車)を備える。
図5に一点鎖線で示すように、第1シャフト28と第2シャフト29が配列された配列方向Mおよび軸線方向Xと直交する直交方向Nから見た場合に、第1シャフト28および第2シャフト29は、モータ本体17と重なる。従って、第1シャフト28と第2シャフト29との間隔
は、直交方向Nから見た場合のモータ12の幅よりも、狭い。
【0031】
図3、
図4に示すように、第1複合歯車26は、その大径歯車部分26aがモータピニオン20に噛合し、その小径歯車部分26bが第2シャフト29の最も第1方向X1に位置する第4複合歯車33の大径歯車部分33aに噛合する。第4複合歯車33は、その小径歯車部分33bが第1シャフト28の最も第1方向X1に支持された第2複合歯車31の大径歯車部分31aに噛合する。第2複合歯車31は、小径歯車部分31bが第2シャフト29に支持された第5複合歯車34の大径歯車部分34aに噛合する。第5複合歯車34は、その小径歯車部分34bが、第1シャフト28に支持された第3複合歯車32の大径歯車部分32aに噛合する。第3複合歯車32は、その小径歯車部分32bが、第2シャフト29に支持された第6複合歯車35の大径歯車部分35aに噛合する。第6複合歯車35は、その小径歯車部分35bが、出力軸11の歯車部23に噛合する。第6複合歯車35は、輪列機構13の最終歯車である。モータ出力軸18(モータピニオン20)の回転は、駆動力伝達方向の上流側から下流側に向かって、第1複合歯車26、第4複合歯車33、第2複合歯車31、第5複合歯車34、第3複合歯車32、第6複合歯車35の順に伝達させて出力軸11に達する。ここで、
図4に示すように、第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、第1方向X1の端部分であって大径歯車部分32aに隣り合う部分に、歯を有さない円柱部32cを備える。円柱部32cは、所定の高さ寸法を備える。なお、円柱部32cには、グリスは塗布されていない。また、
図6に示すように、第5複合歯車34は、その大径歯車部分34aと小径歯車部分34bとの間に、駆動力の伝達を継断するトルクリミッタ37が設けられている。
【0032】
ここで、
図3、
図4、
図6、
図7から分かるように、第1シャフト28に支持された第2複合歯車31および第3複合歯車32、および第2シャフト29に支持された第5複合歯車34は、モータ本体17の側方に位置する。また、
図5から分かるように、直交方向Nから見た場合に、第2複合歯車31および第3複合歯車32、および第2シャフト29に支持された第5複合歯車34は、モータ本体17と重なる。
【0033】
(基板、およびポテンショメータ)
図8は、第3ケースを外した開閉部材駆動装置3の分解斜視図である。
図9は、隔壁部よりも第2方向X2に位置する部材を外した開閉部材駆動装置3の分解斜視図である。
図10は、基板14よりも第2方向X2に位置する部材と第2ケースを外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
図11は、基板14と基板14よりも第1方向X1に位置する部材の分解斜視図である。
【0034】
図3、
図4に示すように、基板14は、厚み方向を前記軸線方向Xに向けてモータ本体17と出力軸11との間に配置されている。
図3に示しように、ポテンショメータ15は、基板14の第2方向X2を向く基板表面14aに取り付けられた検出部38と、検出部38のギア接続部38aに接続されるポテンショギア39と、を備える。
【0035】
基板14は、
図3および
図11に示すように、一対のモータ端子用貫通孔41と、モータ12に電力を供給するための第1配線パターン42と、検出部38に電力を供給するとともにポテンショメータ15からの回転角度位置信号(信号)を外部に取り出すための第2配線パターン43と、を備える。一対のモータ端子19は、一対のモータ端子用貫通孔41を貫通した状態で第1配線パターン42に接続される。
図4に示すように、基板14において、第1方向X1を向く基板裏面14bには、コネクタ45が取り付けられている。コネクタ45は、第1配線パターン42および第2配線パターン43に電気的に接続されている。コネクタ45には、外部の機器から延びるケーブルに設けられた外部コネクタが、第1方向X1の側から着脱可能に接続される。モータ12および検出部38には、コネクタ45から基板14を介して、外部の機器から電力が供給される。
【0036】
ここで、
図6、
図7、
図11に示すように、基板14には、第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bを貫通させる基板側第1貫通孔47と、第2シャフト29を貫通させる基板側第2貫通孔48と、が設けられている。ここで、
図4に示すように、基板側第1貫通孔47を貫通した第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、基板14の第2方向X2で第6複合歯車35の大径歯車部分35aに噛合する。この一方で、第3複合歯車32の大径歯車部分32aは、基板14の第1方向X1で第5複合歯車34の小径歯車部分34bと噛合している。すなわち、基板14の第1方向X1には、第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4複合歯車33、および第5複合歯車34が位置する。基板14の第2方向X2には、第6複合歯車35および出力軸11が位置する。輪列機構13は、基板14の第1方向X1の側から第2方向X2にモータ12の駆動量を伝達している。なお、第5複合歯車34の小径歯車部分34bには、第2方向に突出する小径の円柱部34cが設けられており、
図10に示すように、基板側第2貫通孔48には、円柱部34cが挿入されている。
【0037】
図3、
図6に示すように、ポテンショギア39は、検出部38のギア接続部38aに嵌合する嵌合部51、歯部を備える歯車本体部52、および軸線方向Xに延びて歯車本体部52と嵌合部51とを接続する軸部53を備える。歯車本体部52は、出力軸11の回転角度位置検出用歯車部24に噛合する。これにより、ポテンショメータ15は、出力軸11の回転角度位置を、直接的に、検出する。
【0038】
(ケース)
図1に示すように、ケース10は、第2方向X2の端面に、出力軸11を貫通させて接続部22を外部に露出させる開口部10aを備える。また、
図6、
図7に示すように、ケース10は、内部に、軸線方向Xと交差する方向に延びてケース10内を2つの領域に仕切る隔壁部55を備える。さらにケース10は、隔壁部55の第1方向X1に、コネクタ45を外部に露出させるコネクタ用開口部10bを備える。
【0039】
より具体的には、ケース10は、
図1に示すように、軸線方向Xの第1方向X1の側から第2方向X2に向かって積層された第1ケース61、第2ケース62および第3ケース63を備える。隔壁部55は、第2ケース62に設けられている。コネクタ用開口部10bは、第1ケース61と第2ケース62との間に形成される。
図6に示すように、第3ケース63は、開口部10aを備え、出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24を内部に収容する。
【0040】
図2、
図6、
図7、
図11に示すように、第1ケース61は、第1方向X1の端面を規定する第1板部65と、第1板部65の外周縁から第2方向X2の延びる筒状の第1周壁部66と、を備える。
図6、
図7に示すように、第1板部65は、第2方向X2を向く端面に、第1シャフト28の第1方向X1の端部を保持する第1シャフト第1保持部67と、第2シャフト29の第1方向X1の端部を保持する第2シャフト第1保持部68と、第1複合歯車用シャフト27の第1方向X1の端部分を保持する第3保持部69と、を備える。第1周壁部66の第2方向X2の端部には基板14が載置される。第1周壁部66の第2方向X2の端部に載置された基板14は、隔壁部55の第1方向X1で、ケース10内を2つに仕切る。第1周壁部66の第2方向X2の端縁の周方向の一部分には、径方向内側に窪む凹部70が設けられている。基板14に取り付けられたコネクタ45は、第1ケース61の径方向外側で、凹部70の内側に配置される。
【0041】
第1ケース61には、モータ12のモータ出力軸18およびモータ本体17が収容される。また、第1ケース61には、輪列機構13において基板14の第1方向X1に位置する第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4
複合歯車33、および第5複合歯車34が収容される。ここで、
図3に示すように、第1複合歯車用シャフト27の第2方向X2の端部分は、第1ケース61内において、モータ本体17の第1方向X1の端面に取り付けられた支持部材71により支持される。
【0042】
図2、
図10に示すように、第2ケース62は、筒状の第2周壁部74と、第2周壁部74の軸線方向Xの途中から軸線L1と直交する方向に延びる隔壁部55と、を備える。
図6、
図7に示すように、第2周壁部74の下端部分の内周面には段部75が設けられている。第2ケース62が第1ケース61に重ねられたときに、段部75において第1方向X1を向く端面は、基板14の外周縁に当接する。これにより、段部75の端面は、第1周壁部66の端部との間に、基板14を挟む。第2周壁部74の下端部分において、段部75の端面の外周側で段部75よりも第1方向に延びる壁部分は、基板14の外周側に位置して当該基板14を径方向内側に収容する。隔壁部55には、第2方向X2を向く面に、出力軸11を回転可能に支持する出力軸支持部77が設けられている。
【0043】
ここで、隔壁部55は、基板14の第2方向X2で、基板14と隙間を開けて対応する。
図6に示すように、隔壁部55の第1方向X1で基板14との間に設けられた隙間Cには、基板14に取り付けられたポテンショメータ15の検出部38が位置する。また、第2ケース62が第1ケース61に重ねられたときに、第2周壁部74と第1ケース61の第1周壁部66に設けられた凹部70との間には、第1方向X1を向くコネクタ用開口部10bが形成される。コネクタ45は、コネクタ用開口部10bからケース10の外部に露出して、第1方向X1に延びる。隔壁部55には、第2方向X2を向く面に、出力軸11を回転可能に支持する出力軸支持部77が設けられている。また、
【0044】
図9に示すように、隔壁部55は、隔壁部側第1貫通孔78と、隔壁部側第2貫通孔79と、を備える。隔壁部側第1貫通孔78は、基板14の基板側第1貫通孔47を貫通した第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bを貫通させる。隔壁部側第2貫通孔79は、基板14の基板側第2貫通孔48を貫通した第2シャフト29を貫通させる。
図7に示すように、隔壁部側第1貫通孔78を第3複合歯車32の小径歯車部分32bが貫通したときに、小径歯車部分32bに設けられた円柱部32cは、隔壁部55と基板14との間に位置する。隔壁部側第1貫通孔78を貫通した第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、隔壁部55の第2方向X2で第6複合歯車35の大径歯車部分35aに噛合する。第6複合歯車35の小径歯車部分35bは、隔壁部55の第2方向X2で出力軸11の歯車部23に噛合する。一方、第3複合歯車32の大径歯車部分32aは、隔壁部55の第1方向X1、且つ、基板の第1方向X1で第5複合歯車34の小径歯車部分34bと噛合する。従って、輪列機構13は、隔壁部55の第1方向X1の側から第2方向X2にモータ12の駆動量を伝達できる。
【0045】
また、隔壁部55は、
図6、
図9に示すように、ポテンショギア39の軸部53を軸線方向Xに貫通させるポテンショギア用貫通孔80を備える。これにより、ポテンショギア39は、歯車本体部52が隔壁部55の第2方向X2で出力軸11の回転角度位置検出用歯車部24に噛合し、嵌合部51が隔壁部55の第1方向X1で検出部38のギア接続部38aに嵌合する。
【0046】
ここで、
図9、
図10に示すように、第2ケース62は、隔壁部55から第2方向X2に突出してポテンショメータ15の軸部53を回転可能に支持するポテンショギア支持部81を備える。ポテンショギア支持部81は、ポテンショギア用貫通孔80の開口縁に沿って湾曲する支持面81aを備える。
図6に示すように、隔壁部55におけるポテンショギア用貫通孔80の内周面および支持面81aは、軸部53に摺接する。また、第2ケース62は、隔壁部55における隔壁部側第1貫通孔78の開口縁から第2方向X2に突出して、第2歯車の小径歯車部分32bの隔壁部55よりも第2方向X2に突出する先端部
分を覆うカバー部84を備える。
図9に示すように、カバー部84は、周方向で第6複合歯車35と対向する位置に、突出部と第6複合歯車35との噛合を許容する開口84aを備える。第1シャフト28は、カバー部84を軸線方向Xに貫通する。
【0047】
図6、
図7、
図8に示すように、第3ケース63は、第2方向X2の端面を規定する第3板部86と、第3板部86の外周縁から第1方向X1に延びる筒状の第3周壁部87と、備える。第3板部86には、開口部10aが設けられている。第3板部86における開口部10aの開口縁は、出力軸11を径方向外側から回転可能に支持する支持部となっている。
図7、
図8に示すように、第3板部86は、第1方向X1を向く面に、第1シャフト28の第2方向X2の端部を保持する第1シャフト第2保持部88と、第2シャフト29の第2方向X2の端部を保持する第2シャフト第2保持部89と、を備える。第3ケース63は、第2ケース62の隔壁部55を第2方向X2から覆いう。隔壁部55と第3ケース63との間には、第6複合歯車35、出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24、並びに、ポテンショギア39の歯車本体部52が収容される。
【0048】
(動作)
外部の機器からコネクタ45および基板14を介してモータ12に電力が供給されると、モータ出力軸18は、正方向、または、逆方向に回転する。モータ出力軸18の回転は、輪列機構13を介して出力軸11に伝達される。出力軸11が回転すると、ポテンショメータ15からは、出力軸11の回転角度位置に対応する回転角度位置信号が出力される。回転角度位置信号は、コネクタ45を介して外部の機器に入力される。外部の機器は、回転角度位置信号に基づいて、モータ12を駆動制御して出力軸11を所定の角度範囲で回転させる。これにより、出力軸11の接続部22に接続された便蓋2は、出力軸11の軸線L1回りを閉位置2Aから開位置2B、または、開位置2Bから閉位置2Aに移動する。
【0049】
(作用効果)
本例では、ケース10は、出力軸11および最終歯車の第1方向X1においてケース10内を軸線方向Xと交差する方向に延びる隔壁部55を備える。ポテンショメータ15の検出部38が取り付けられた基板14は、隔壁部55の第1方向X1において隔壁部55と対向し、検出部38は隔壁部55と基板14との間の隙間Cに位置する。隔壁部55には、ポテンショギア39用貫通孔が設けられており、ポテンショギア39は、その歯車本体部52が、隔壁部55の第2方向X2で出力軸11の回転角度位置検出用歯車部24に噛合し、その嵌合部51が、隔壁部55の第1方向X1で検出部38のギア接続部38aに嵌合する。検出部38および基板14と出力軸11との間には、隔壁部55が介在するので、出力軸11の歯車部23に塗布されたグリスが、検出部38および基板14に付着することを防止或いは抑制できる。
【0050】
また、ケース10は、隔壁部55から突出して軸部53を回転可能に支持するポテンショギア支持部81を備える。ポテンショギア支持部81は、ポテンショギア用貫通孔80の開口縁に沿って湾曲する支持面81aを備え、隔壁部55におけるポテンショギア用貫通孔80の内周面および支持面81aは、軸部53に摺接する。従って、ポテンショギア39の軸部53は、ポテンショギア用貫通孔80の内周面およびポテンショギア支持部81の支持面81aによって、外周側から回転可能に支持される。よって、軸部53が隔壁部55を貫通するのに必要が長さ寸法を備えるものとなった場合でも、ポテンショギア39が軸線方向Xに対して傾斜することを防止或いは抑制できる。
【0051】
また、モータ12は、モータ本体17と、モータ本体17から突出する一対のモータ端子19を備える。モータ本体17は、基板14の第1方向X1に位置する。モータ出力軸18は、モータ本体17から第1方向X1に突出する。一対のモータ端子19は、モータ
本体17から第2方向X2に突出する。基板14は、一対のモータ端子用貫通孔41と、モータ12に電力を供給するための第1配線パターン42と、検出部38に電力を供給するとともに当該ポテンショメータ15からの信号を外部に出力軸11するための第2配線パターン43と、を備える。一対のモータ端子19は、一対のモータ端子用貫通孔41を貫通した状態で第1配線パターン42に接続される。従って、検出部38が取り付けられた基板14を、モータ12に電力を供給するための基板14と共用できる。
【0052】
さらに、輪列機構13は、モータ本体17の側方を軸線方向Xに平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29を備える。また、輪列機構13は、第1シャフト28に回転可能に支持された第2複合歯車31(第1歯車)と、第2複合歯車31の第2方向X2において第1シャフト28に回転可能に支持された第3複合歯車32(第2歯車)と、第2シャフト29に回転可能に支持された第5複合歯車34(第3歯車)と、第5複合歯車34の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第6複合歯車35(最終歯車)と、を備える。第2複合歯車32の小径歯車部分32bは、第5複合歯車34の大径歯車部分aに噛合し、第5複合歯車34の小径歯車部分32bは、第3複合歯車32の大径歯車部分34aに噛合し、第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、第6複合歯車35の大径歯車部分35aに噛合し、第6複合歯車35の小径歯車部分32bは、歯車部23に噛合する。これにより、モータ出力軸18の回転は、第2複合歯車31、第5複合歯車34、第3複合歯車32、第6複合歯車35の順に伝達される。このようにすれば、隔壁部55および基板14の第1方向X1に位置するモータ出力軸18の回転を、隔壁部55および基板14の第2方向X2に位置する第6複合歯車35および出力軸11に伝達できる。
【0053】
また、第1配線パターン42と第2配線パターン43とは、基板表面14aに設けられている。第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、および第5複合歯車34は、基板14の第1方向X1に位置する。基板14は、ケース10内を仕切るとともに、第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bを貫通させる基板側第1貫通孔47と、第2シャフト29を貫通させる基板側第2貫通孔48と、を備える。隔壁部55は、ケース10内を仕切るとともに、基板14を第2方向X2に貫通した第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bを貫通させる隔壁部側第1貫通孔78と、第2シャフト29を貫通させる隔壁部側第2貫通孔79と、を備える。これにより、第6複合歯車35の小径歯車部分32bは、隔壁部55の第2方向X2で歯車部23に噛合する。かかる構成によれば、隔壁部55によってケース10の内部は仕切られているので、歯車部23のグリスが検出部38および基板14に付着することを防止或いは抑制することが容易となる。また、基板14によってケース10内を仕切るので、輪列機構13において基板14の第1方向X1に位置する複合歯車に塗布されたグリスが検出部38に付着することを抑制できる。また、第1配線パターン42および第2配線パターン43は、基板14において第2方向X2を向く基板表面14aに設けられているので、輪列機構13において基板14の第1方向X1に位置する複合歯車に塗布されたグリスが、第1配線パターン42および第2配線パターン43に検出部38に付着することを防止或いは抑制できる。
【0054】
また、本例では、第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、軸線方向Xで基板14と隔壁部55との間に位置する部位に歯を有さない円柱部32cを備える。このようにすれば、第3複合歯車32の小径歯車部分32bにおいて、軸線方向Xで基板14と隔壁部55との間に位置する円柱部32cには、グリスが塗布されない。従って、第3複合歯車32の小径歯車部分32bに塗布されたグリスが検出部38および第1配線パターン42および第2配線パターン43に付着することを防止しやすい。
【0055】
さらに、本例では、ケース10は、隔壁部55における隔壁部側第1貫通孔78の開口
縁から第2方向X2に突出して、第3複合歯車32の小径歯車部分32bの隔壁部55よりも第2方向X2に突出する突出部を覆うカバー部84を備える。カバー部84は、第6複合歯車35と対向する位置に、突出部と第6複合歯車35との噛合を許容する開口84aを備える。従って、隔壁部側第1貫通孔78を介して、グリスが、基板14の側に侵入することを抑制しやすい。
【0056】
なお、開閉部材駆動装置3の出力軸11に接続される開閉部材は便蓋2に限られない。例えば、トイレユニット6の便座5を開閉部材として、出力軸11に接続してもよい。また、開口を開閉する扉などを開閉部材として、出力軸11に接続してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…便蓋開閉ユニット、2…便蓋、2A…閉位置、2B…開位置、3…開閉部材駆動装置、4…便器本体、5…便座、6…トイレユニット、10…ケース、10a…開口部、10b…コネクタ用開口部、11…出力軸、12…モータ、13…輪列機構、14…基板、14a…基板表面、14b…基板裏面、15…ポテンショメータ、17…モータ本体、18…モータ出力軸、19…モータ端子、20…モータピニオン、22…接続部、23…歯車部、24…回転角度位置検出用歯車部、26…第1複合歯車、27…第1複合歯車用シャフト、28…第1シャフト、29…第2シャフト、31…第2複合歯車(第1歯車)、32…第3複合歯車(第2歯車)、32c…円柱部、33…第4複合歯車、34…第5複合歯車(第3歯車)、35…第6複合歯車(最終歯車)、37…トルクリミッタ、38…検出部、38a…ギア接続部、39…ポテンショギア、41…モータ端子用貫通孔、42…第1配線パターン、43…第2配線パターン、45…コネクタ、47…基板側第1貫通孔、48…基板側第2貫通孔、51…嵌合部、52…歯車本体部、53…軸部、55…隔壁部、61…第1ケース、62…第2ケース、63…第3ケース、65…第1板部、66…第1周壁部、68…第2シャフト第1保持部、69…第3保持部、70…凹部、71…支持部材、74…第2周壁部、75…段部、77…出力軸支持部、78…隔壁部側第1貫通孔、79…隔壁部側第2貫通孔、80…ポテンショギア用貫通孔、81…ポテンショギア支持部、81a…支持面、84…カバー部、84a…開口、86…第3板部、87…第3周壁部、88…第1シャフト第2保持部、89…第2シャフト第2保持部、L1…軸線、L2…軸線、X…軸線方向