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  • 特開-二重床用パネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125448
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】二重床用パネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230831BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20230831BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G06F1/20 C
F24F11/32
G06F1/20 B
H05K7/20 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029549
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永廣 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼塚 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 千怜
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンジュン
【テーマコード(参考)】
3L260
5E322
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260BA32
3L260BA53
3L260FC14
5E322BA02
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB08
5E322EA05
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】 空調機への電力供給が停止したときであっても、ICT機器に冷風を供給可能なデバイスの一例を開示する。
【解決手段】 当該デバイスをなす二重床用パネル10は、停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを連通状態とし、かつ、非停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを非連通状態とする。これにより、当該二重床用パネル10では、停電により冷風の供給が停止した際に、サーバ室SRの下方側に存在する比較的温度の低い空気を冷風供給路3に導入することが可能となる。このため、冷風供給路3に導入された比較的温度の低い空気は、ICT機器の冷却用ファンによりサーバ室SR内に取り込まれた後、演算ユニットに送風される。したがって、空調機2への電力供給が停止したときであっても、ICT機器に冷風を供給でき得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信技術用機器が設置されたサーバ室の床を構成する二重床用パネルであって、床下に設けられた冷風供給路と当該サーバ室内とを連通させる連通口が設けられた二重床用パネルにおいて、
前記連通口を閉じる位置と当該連通口を開く位置との間で変位可能なシャッターと、
停電時に前記シャッターを開く位置とし、非停電時に前記シャッターを閉じる位置とする開閉装置と
を備える二重床用パネル。
【請求項2】
前記開閉装置は、
前記シャッターを開く位置に向けて変位させる弾性力を発揮するバネと、
前記弾性力に対抗する力を発揮し、前記シャッターを閉じる位置に保持する電動式のアクチュエータと
を有して構成されている請求項1に記載の二重床用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CPUやGPU等の演算ユニットを備える情報通信技術用機器(以下、ICT機器という。)が設置されたサーバ室の床を構成する二重床用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の空調システムにおいては、ICT機器にて加熱された暖気を空調機に導く排気ダクトを備え、空調機への電力供給が停止したときに当該排気ダクトをサーバ室内と連通させることにより、暖気が空調機を経由してICT機器に流通することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-24508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、空調機への電力供給が停止したときであっても、ICT機器に冷却用空気(以下、冷風という。)を供給可能なデバイスの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
情報通信技術用機器が設置されたサーバ室(SR)の床を構成する二重床用パネル(10)であって、床下に設けられた冷風供給路(3)と当該サーバ室(SR)内とを連通させる連通口(11A)が設けられた二重床用パネル(10)は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、当該構成要件は、連通口(11A)を閉じる位置と当該連通口(11A)を開く位置との間で変位可能なシャッター(12)と、停電時にシャッター(12)を開く位置とし、非停電時にシャッター(12)を閉じる位置とする開閉装置(13)とである。
【0007】
これにより、当該二重床用パネル(10)は、停電により冷風の供給が停止すると、サーバ室(SR)の床側と冷風供給路(3)とを連通させる。サーバ室(SR)の床側、つまりサーバ室(SR)の下方側には、サーバ室(SR)の天井側に比べて温度の低い空気が存在する。
【0008】
したがって、当該二重床用パネル(10)では、停電により冷風の供給が停止した際には、サーバ室(SR)の下方側に存在する比較的温度の低い空気を冷風供給路(3)に導入することが可能となる。
【0009】
一般的に、ICT機器には、無停電源装置を介して電力が供給されているため、停電が発生してもICT機器に設けられた冷却用ファンは、演算ユニットが稼働している限り、停止することなく稼働する。
【0010】
このため、冷風供給路(3)に導入された比較的温度の低い空気は、当該冷却用ファンによりサーバ室(SR)内に取り込まれた後、演算ユニットに送風される。延いては、空調機への電力供給が停止したときであっても、ICT機器に冷風を供給でき得る。
【0011】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
図2】第1実施形態に係る二重床用パネルを示す図である。
図3】第1実施形態に係る二重床用パネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0014】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示された空調装置は、少なくとも図示された構造部位を備える。
【0015】
(第1実施形態)
<1.空調システムの概要(図1参照)>
本実施形態は、通信機器室やサーバ室等(以下、サーバ室SRという。)に冷風を供給する空調システム1に本開示に係る二重床用パネルを適用したものである。サーバ室SRには、少なくとも1つのラックRが設置されている。当該ラックRには、少なくとも1つの情報通信技術用機器(以下、ICT機器と記す。)等が搭載されている。
【0016】
ICT機器には、CPUやGPU等の演算ユニット(図示せず。)及び冷却用ファン(図示せず。)等が搭載されている。冷却用ファンは、サーバ室SR内の空気を冷却用の空気として演算ユニットに送風する。
【0017】
なお、ICT機器には、無停電電源装置等のバッテリを介して電力が供給されている。このため、停電が発生してもICT機器は停止しない。つまり、停電中であっても、演算ユニットが稼働している場合には、冷却ファンも稼働する。
【0018】
空調機2は、サーバ室SR内から空気を吸い込むとともに、その吸い込まれた空気を冷却した後、冷却後の空気(以下、冷風という。)を冷風供給路3を介してサーバ室SR内に供給する。
【0019】
具体的には、空調機2は、冷却用熱交換器(図示せず。)、送風機(図示せず。)及びケース2A等を有する。ケース2Aは、冷却用熱交換器及び送風機を収納するとともに、空気の通路を構成する。
【0020】
ケース2Aの上部には吸気口2Bが設けられ、ケース2Aの下部には排気口2Cが設けられている。サーバ室SR内の空気は、吸気口2Bから空調機2内に吸い込まれる。空調機2にて冷却された空気、つまり冷風は、排気口2Cから冷風供給路3に吹き出される。
【0021】
冷風供給路3は、サーバ室SRの床下に設けられている。そして、冷風供給路3を流通する冷風は、床に設けられた多数の吹出口3Aからサーバ室SR内に吹き出す。それら吹出口3Aは、サーバ室SR内に設定されたコールドアイルに設けられている。
【0022】
コールドアイルとは、サーバ室SR内の空間のうち冷却ファンの吸入側(例えば、図1の斜線部分)をいう。なお、本実施形態に係るコールドアイルは、その他の空間に対して仕切られた空間である。
【0023】
したがって、演算ユニットを冷却して温度が上昇した空気、つまりICT機器から吐き出される暖気は、コールドアイルに流入することが規制される。このため、暖気が冷却ファンに吸い込まれて演算ユニットに供給されてしまことが規制される。
【0024】
<2.二重床用パネル>
サーバ室SRの床には、図1に示されるように、二重床用パネル10が設けられている。二重床用パネル10は、停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを連通状態とし、かつ、非停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを非連通状態とする機能を発揮する。
【0025】
二重床用パネル10は、図2に示されるように、パネル材11、シャッター12及び開閉装置13等を備える。パネル材11は、サーバ室SRの床材の一部を構成可能な板状の部材であって、冷風供給路3とサーバ室SR内とを連通させる連通口11Aが設けられた部材である。
【0026】
シャッター12は、連通口11Aを閉じる位置(図3参照)と当該連通口11Aを開く位置(図2参照)との間で変位可能な開閉部材の一例である。開閉装置13は、停電時にシャッター12を開く位置とし、非停電時にシャッター12を閉じる位置とする装置である。
【0027】
本実施形態に係る開閉装置13は、バネ13A及びアクチュエータ13B等を有して構成されている。バネ13Aは、シャッター12を開く位置に向けて変位させる弾性力を発揮する。アクチュエータ13Bは、当該弾性力に対抗する力を発揮し、シャッター12を閉じる位置に保持する電動モータ等の電動式アクチュエータである。
【0028】
そして、非停電時には、アクチュエータ13Bが発生する力により、バネ13Aが弾性変形(本実施形態では、圧縮変形)した状態に保持されるため、シャッター12は、連通口11Aを閉じる位置に保持される(図3参照)。
【0029】
停電時には、アクチュエータ13Bで発生する力が消失するため、弾性変形していたバネ13Aが復元(本実施形態では、伸張)するため、シャッター12は、連通口11Aを開いた位置となる(図2参照)。
【0030】
なお、本実施形態に係る二重床用パネル10は、サーバ室SRの床のうちコールドアイル以外の部位に配置されている。具体的には、二重床用パネル10の配置位置は、ラックRから遠い箇所(例えば、空調機2が配置されたの周囲)が望ましい。
【0031】
<3.本実施形態に係る二重床用パネルの特徴>
本実施形態に係る二重床用パネル10は、停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを連通状態とし、かつ、非停電時にサーバ室SRと冷風供給路3とを非連通状態とする。
【0032】
これにより、当該二重床用パネル10は、停電により冷風の供給が停止すると、サーバ室SRの床側と冷風供給路3とを連通させる。サーバ室SRの床側、つまりサーバ室SRの下方側には、サーバ室SRの天井側に比べて温度の低い空気が存在する。
【0033】
したがって、当該二重床用パネル10では、停電により冷風の供給が停止した際には、サーバ室SRの下方側に存在する比較的温度の低い空気を冷風供給路3に導入することが可能となる。
【0034】
ICT機器には、無停電源装置を介して電力が供給されているため、停電が発生してもICT機器に設けられた冷却用ファンは、演算ユニットが稼働している限り、停止することなく稼働する。
【0035】
このため、冷風供給路3に導入された比較的温度の低い空気は、当該冷却用ファンによりサーバ室SR内に取り込まれた後、演算ユニットに送風される。したがって、空調機2への電力供給が停止したときであっても、ICT機器に冷風を供給でき得る。延いては、演算ユニットに暖気が送風されることが抑制されるので、演算ユニットの温度が抑制され得る。
【0036】
なお、連通口11Aが開いた状態では、当該連通口11Aで生じる通風抵抗は、吸気口2Bから排気口2Cに至るケース2A内の通風抵抗に比べて小さい。このため、冷却用ファンによりコールドアイル内の気圧が低下しても、サーバ室SRの上部に存在する暖気がケース2Aを流通して冷風供給路3に流入する可能性は低い。
【0037】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る開閉装置13は、バネ13A及び電動式のアクチュエータにより構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、形状記憶合金やバイメタル等の温度に応じて形状が変化する部材にて開閉装置、又は停電時にバッテリにより駆動される電動式の開閉装置であってもよい。
【0038】
上述の実施形態に係るシャッター12は、スライド変位可能な板材にて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数の帯板状のルーバ(羽根板)にてシャッター12が構成されていてもよい。
【0039】
上述の実施形態に係るバネ13Aは圧縮バネであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、引っ張りバネにてバネ13Aが構成されていてもよい、つまり、非停電時には、アクチュエータ13Bの力によりバネ13Aが伸張した状態となる構成であってもよい。
【0040】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1… 空調システム
2… 空調機
2A… ケース
2B… 吸気口
2C… 排気口
3… 冷風供給路
3A… 吹出口
10… 二重床用パネル
11… パネル材
11A… 連通口
12… シャッター
13… 開閉装置
13A… バネ
13B… アクチュエータ
図1
図2
図3