(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125470
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】エアゾール用アクチュエータおよびエアゾール製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20230831BHJP
B65D 25/42 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B65D25/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029575
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】尾形 謙
(72)【発明者】
【氏名】西片 百合
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD01
3E014PE23
3E014PF10
3E062AA04
3E062AB01
3E062AC03
3E062BB02
3E062BB10
3E062KA01
3E062KB02
(57)【要約】
【課題】対象物を保持した状態でこの対象物にエアゾール容器から吐出された内容物を塗布することができるエアゾール用アクチュエータおよびエアゾール製品の提供。
【解決手段】エアゾール用アクチュエータは、エアゾール容器の上部に設けられたステムを囲んで取付けられ、前記ステムに接続して前記ステムを押下可能な本体部を有し、前記本体部は、前記ステムから吐出された内容物を塗布可能に対象物を保持することができる保持部を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の上部に設けられたステムを囲んで取付けられ、前記ステムに接続して前記ステムを押下可能な本体部を有し、
前記本体部は、前記ステムから吐出された内容物を塗布可能に対象物を保持することができる保持部を有することを特徴とするエアゾール用アクチュエータ。
【請求項2】
前記本体部は、上下方向の一方が開放された略カップ形状を有し、
前記本体部は、上方が開放する状態と、下方が開放する状態とに付け替え可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項3】
前記保持部が、前記本体部に形成された上下方向に伸びる切欠きを有して形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項4】
前記保持部が、前記本体部の周壁の内面から径方向内方に突出し、対象物を倒立可能に支持する区画板を有して形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項5】
前記保持部を複数有し、
複数の前記保持部が、前記本体部において周方向に等間隔となるよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項6】
前記本体部と前記ステムとの間に介挿されるボタン部材をさらに有し
前記ボタン部材は、内部に前記ステムの吐出口から連通する流路を有し、前記流路の出口である噴射口が前記本体部内において前記保持部に対向するように設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項7】
前記噴射口が、複数の前記保持部の各々に対向するように複数設けられることを特徴とする請求項6に記載のエアゾール用アクチュエータ。
【請求項8】
エアゾール容器と、このエアゾール容器の上部に設けられたステムを囲んで取付けられたエアゾール用アクチュエータとからなり、
前記エアゾール用アクチュエータが、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のエアゾール用アクチュエータであることを特徴とするエアゾール製品。
【請求項9】
前記エアゾール容器内の内容物が、ステムから噴射されたときに霧状、泡状、ペースト状のいずれかの形状を有するものであることを特徴とする請求項8に記載のエアゾール製品。
【請求項10】
前記エアゾール容器内の内容物が、除菌剤または歯磨き剤であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め本体部に保持させた対象物に内容物を塗布させることができるエアゾール用アクチュエータおよびこれを備えるエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、歯ブラシは使用後洗面台等においたコップに差して保管したり、洗面台に付属する歯ブラシ立てに差して保管したりするが、湿気を含んだ歯ブラシを放置すれば、雑菌が繁殖するため衛生上好ましくない。このような問題を解決するため、例えば特許文献1~3には、種々の歯ブラシ除菌装置が開示されている。
【0003】
一方、歯ブラシの除菌剤がエアゾール容器に充填されているものである場合、歯ブラシの除菌に用いるには、片手で歯ブラシを持ち、ブラシ部分にエアゾール容器内の除菌剤を吐出させることが考えられる。
しかしながら、除菌は短時間で終了するものではないので、除菌剤の吐出された歯ブラシをどこかに置くことや、除菌剤を別の容器に満たしてその中に歯ブラシを立てたりしなければ十分な除菌作用が得られないが、直に置く場合には置いた場所に除菌剤が垂れたり、別の容器に立てる場合は別の容器を用意する必要や、除菌剤の適量が明確には分からずに除菌の不十分または除菌剤の使用過多を招くことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3178052号公報
【特許文献2】特開2014-100202号公報
【特許文献3】特開2011-189039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的は、対象物を保持した状態でこの対象物にエアゾール容器から吐出された内容物を塗布することができるエアゾール用アクチュエータおよびエアゾール製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアゾール用アクチュエータは、エアゾール容器の上部に設けられたステムを囲んで取付けられ、前記ステムに接続して前記ステムを押下可能な本体部を有し、
前記本体部は、前記ステムから吐出された内容物を塗布可能に対象物を保持することができる保持部を有することにより、上記課題を解決するものである。
【0007】
本発明のエアゾール製品は、エアゾール容器と、このエアゾール容器の上部に設けられたステムを囲んで取付けられたエアゾール用アクチュエータとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエアゾール用アクチュエータおよびエアゾール製品によれば、ステムから吐出された内容物を塗布可能に対象物を保持することができる保持部を有することにより、対象物を保持部に保持した状態で本体部を下方に押圧することのみで、この対象物にエアゾール容器から吐出された内容物を塗布することができ、その結果、片手で操作が可能であるなどユーザーによる操作が容易で、高い利便性が得られる。
【0009】
また、本発明のエアゾール用アクチュエータの本体部が、上方が開放する状態と下方が開放する状態とに付け替え可能なものとして構成される場合は、上方が開放する状態に取付けることによって、保持部に対象物を保持させてホルダーとして機能させることができる一方、下方が開放する状態にエアゾール容器に取付けることによって、本体部をキャップとして機能させて未使用時に誤ってステムが押下げられることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す斜視図である。
【
図2】
図1のエアゾール用アクチュエータの一部断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの未使用時を示す斜視図である。
【
図4】
図3のエアゾール用アクチュエータの一部断面図である。
【
図5】(a)は
図1のエアゾール用アクチュエータを上方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のエアゾール用アクチュエータに対象物が保持された状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す斜視図である。
【
図7】
図6のエアゾール用アクチュエータの一部断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの未使用時を示す斜視図である。
【
図9】
図8のエアゾール用アクチュエータの一部断面図である。
【
図10】(a)は
図6のエアゾール用アクチュエータを上方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のエアゾール用アクチュエータに対象物が保持された状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す一部断面図である。
【
図12】
図11のエアゾール用アクチュエータを上方から見た斜視図である。
【
図13】
図11のエアゾール用アクチュエータの本体部の水平断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの未使用時を示す斜視図である。
【
図15】
図14のエアゾール用アクチュエータの断面図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るエアゾール製品100は、エアゾール用アクチュエータ110に対象物を保持した状態でエアゾール容器101内の内容物を噴射して塗布することができるものであって、例えば対象物を歯ブラシ、エアゾール容器101の内容物を除菌剤とすることにより、歯ブラシを保持してエアゾール容器101から吐出した除菌剤による除菌作用が得られるものとして構成することができるが、対象物およびエアゾール容器101の内容物は、これらに限定されるものではない。例えば、内容物は除菌剤ではなく歯磨き剤や洗浄剤、シェービング剤であってもよく、対象物は歯ブラシではなく、剃刀であってもよく、フォークやスプーンなどのカトラリーであってもよく、また、異種の対象物を同時に内容物の塗布対象としてもよい。以下の各実施形態においては、対象物を歯ブラシ、エアゾール容器101の内容物を除菌剤として説明する。
【0012】
本実施形態のエアゾール製品100は、
図1および
図2に示されるように、上下方向に伸びるエアゾール容器101と、このエアゾール容器101から上方に突出するバルブ機構のステム102を囲んで取付けられたエアゾール用アクチュエータ110(以下、単に「アクチュエータ」ともいう。)とから構成される。
エアゾール容器101内には、内容物として除菌剤成分および噴射剤成分を含有する除菌剤組成物が充填され、除菌剤は、ステム102から噴射されたときに例えば霧状となるものとされ、泡状やペースト状、クリーム状になるものとすることもできる。内容物が泡状やペースト状、クリーム状などの形状保持性の高い形態となるものであると、後述するように内容物を本体部120内の貯留空間の体積を基準として内容物の吐出量を決定することでエアゾール容器101のステム102から吐出された内容物の適量を認識することができる。
本実施形態に係るエアゾール容器101としては、アクチュエータ110が歯ブラシのホルダーとしても機能することを考慮して、保持した歯ブラシが接地面に接触しない程度の高さのものを使用するのが好ましく、例えば缶径が50mm、高さが150mm程度のものを使用することができるが、これに限定されない。
【0013】
本発明の第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110は、エアゾール容器101の上部のステム102に取付けられるものであって、エアゾール容器101のステム102に接続してこのステム102を押下可能な本体部120と、この本体部120とステム102との間に介挿され、ステム102を押下可能なボタン部材140とを有する。本体部120には、ステム102から吐出された除菌剤と塗布可能に歯ブラシを保持することができる保持部150(
図5参照)が設けられている。
【0014】
ボタン部材140は、上下方向に伸びるとともに上端が閉塞された概略円筒状の筒状部141と、筒状部141の下部に径方向外方に延びる本体部120を支持するフランジ部142とを有する。ボタン部材140の先端には噴射口143が形成され、ボタン部材140の筒状部141の内部には、ステム102の先端(吐出口104)から吐出する内容物を噴射口143まで導く流路144が形成されている。噴射口143は、筒状部141の上部側壁に径方向に内容物を噴射する状態に形成されている。
流路144の下部は、上部よりも大径であってステム102の外径に適合する内径を有しており、ボタン部材140の下部の流路144内にステム102が嵌合されることによってこれらが一体に固定される。
なお、本明細書において、「上方」および「下方」は、ユーザーが一般的に認識する方向であり、「上下方向」はエアゾール容器のステム側を「上」とする方向である。また、「周方向」は「上下方向」を軸として周回する方向であり、「径方向」は「上下方向」の軸と直角な平面において軸に向かう方向である。
【0015】
本体部120は、底壁126およびこの底壁126の外周縁から垂設された周壁125を有する、上下方向の一方が開放された略カップ形状のものであり、上下方向に伸びる切欠き130を有している。切欠き130は、底壁126に保持部150に対応する位置に形成された径方向内方向に伸びる矩形の凹所131と、周壁125を周方向に分割する溝132とを有し、これらの凹所131と溝132とが連通することにより上下方向に伸びる状態に形成されている。切欠き130は、周壁125の開口端(
図1における上端)まで連続して開放された形状を有する。凹所131の挿入用孔121からの距離は、底壁126において歯ブラシのブラシ部を少なくとも支持できる程度に確保されていればよく、凹所131の径方向および周方向の大きさは、例えば凹所131に歯ブラシの柄が収容されて保持される大きさとすることができる。凹所131の径方向内端には、歯ブラシから滴った除菌剤が本体部120外に垂れることを防止するための凸板127が垂設されている。
この本体部120は、上方が開放する状態と、下方が開放する状態とに付け替え可能なものである。上方が開放する姿勢でボタン部材140に取付けることによって保持部150に対象物(歯ブラシ)をブラシ部が上方となる姿勢で保持させてホルダーとして機能させることができ、一方、
図3および
図4に示されるように、下方が開放する状態にマウンテンカップ103およびショルダー105に当接するようにエアゾール容器101に取付けることによって販売時などの未使用時にエアゾール容器101のキャップとして機能させることができる。
【0016】
本体部120の底壁126の中央には、ボタン部材140を挿通するための挿入用孔121が形成されており、この挿入用孔121は、ボタン部材140の筒状部141は挿通可能であるがフランジ部142は挿通不可能な大きさを有する。そして、本体部120は、ボタン部材140の筒状部141をこの挿入用孔121に挿通させてボタン部材140の噴射口143が本体部120内の保持部150と対向するとともにボタン部材140のフランジ部142に本体部120が係合してフランジ部142上に載置されるように配置され、これにより、本体部120が、本体部120を下方に押圧することによりボタン部材140およびこれに一体に嵌合されたステム102を押下可能な状態にボタン部材140に支持されている。本体部120の挿入用孔121には、挿入用孔121に連続して径方向に伸びる係合凹所122が複数形成され、ボタン部材140のフランジ部142には、係合凹所122に対応する形状の係合凸部145(
図5参照)が形成され、これらの本体部120の係合凹所122とボタン部材140の係合凸部145とが、互いに係合して本体部120の周方向の回転を規制している。なお、係合凸部145を形成せず、本体部120の周方向の回転が規制されない構成として、複数の保持部150にそれぞれ保持された複数の歯ブラシに対して、本体部120の回転により1本ずつ噴射口143に対向させてその都度本体部120を下方に押圧することにより、保持部150ごとに除菌剤を噴射させてもよい。
【0017】
保持部150は、
図5に示されるように、複数、例えば4つ形成されており、複数の保持部150が、周壁125の内面に沿って周方向に等間隔となるよう配置されている。すなわち、本体部120内において挿入用孔121を中心として四方にそれぞれ等距離に配置されている。複数の保持部150がこのように配置されていることにより、保持部150の各々に歯ブラシを保持させたときに重心が中央付近になるので、バランス性に優れてホルダーとして機能させたときに転倒などの不具合が生じることが防止される。
保持部150は、具体的には、2枚の平行に設けられた区画板123と、切欠き130とにより形成される。1つの保持部150の2枚の区画板123は、歯ブラシのブラシ部の両側を支持する形状とされており、具体的には、本体部120の周壁125の内面から径方向に沿って内方に突出するとともに底壁126から垂設されたものである。本実施形態に係るアクチュエータ110の本体部120は、区画板123を8枚有し、隣接してともに1つの保持部150を形成する一方の区画板123は平行に配置され、隣接するが隣接する保持部150を形成する他方の区画板123は直角に配置されることになる。互いに直角に配置された隣接する2枚の区画板123は、本体部120をキャップとして機能させたときにエアゾール容器101のマウンテンカップ103に当接して本体部120を支持する、周壁125に沿った断面円弧状の補助脚板124によって連続するように一体的に形成されている。区画板123の上下方向の高さは、補助脚板124よりも低く、歯ブラシのブラシ部の向きが左右にずれないように支持することができる高さであればよい。
周壁125の溝132により分割された各分割壁125aは、本体部120をキャップとして機能させたときにエアゾール容器101のショルダー105に当接して本体部120を支持する高さを有する。
【0018】
以上のように構成された本発明のエアゾール製品100の動作および作用について説明する。
ユーザーが保持部150の切欠き130に歯ブラシをブラシ部が上方となる姿勢で引っ掛け、この状態で本体部120を下方に押圧すると、ボタン部材140を介してステム102が押下げられることにより、マウンテンカップ103の内部に備えられたバルブ機構(図示せず)が開弁され、ボタン部材140の噴射口143から内容物(除菌剤)が径方向外方に噴射される。歯ブラシのブラシ部に直接噴霧されて塗布されることにより、歯ブラシに除菌剤が塗布されて除菌作用が発揮される。一方、ユーザーが本体部120の押圧を停止すると、バルブに内蔵されるバネの弾性力によってステム102が自動的に元の位置まで復帰し、これに伴ってボタン部材140および本体部120も元の位置に復帰する。この状態で、本体部120は歯ブラシのホルダーとして機能するので、使用後の歯ブラシを衛生的に保管することができる。さらに、本体部120に切欠き130が設けられていることによって本体部120内に湿気がこもることが抑制されて歯ブラシを乾燥させやすく、従って、歯ブラシをより衛生的に保管することができる。
【0019】
〔第2の実施形態〕
図6は、本発明の第2の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す斜視図、
図7は、
図6のエアゾール用アクチュエータの断面図、
図8は、本発明の第2の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの未使用時を示す斜視図、
図9は、
図8のエアゾール用アクチュエータの断面図、
図10(a)は、
図6のエアゾール用アクチュエータを上方から見た斜視図、
図10(b)は、
図10(a)のエアゾール用アクチュエータに対象物が保持された状態を示す斜視図である。
第2の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ210は、本体部220の周壁225および底壁226の具体的形状が異なること以外は第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有する。第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有するものを同じ符号で示す。
本体部220は、底壁226およびこの底壁226の外周縁から垂設された周壁225を有する、上下方向の一方が開放された略カップ形状のものであり、周壁225の高さは全周で同じであり、第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110のような切欠き130を有さない。
【0020】
保持部250は、複数、例えば4つ形成されており、複数の保持部250が、周壁225の内面に沿って周方向に等間隔となるよう配置されている。すなわち、本体部220内において挿入用孔121を中心として四方にそれぞれ等距離に配置されている。複数の保持部250がこのように配置されていることにより、保持部250の各々に歯ブラシを保持させたときに重心が中央付近になるので、バランス性に優れてホルダーとして機能させたときに転倒などの不具合が生じることが防止される。
保持部250は、具体的には、2枚の平行に設けられた区画板123と、周壁225とに囲まれることにより形成される。1つの保持部150の2枚の区画板123は、歯ブラシのブラシ部の両側を支持する形状とされており、具体的には、本体部220の周壁225の内面から径方向に沿って内方に突出するとともに歯ブラシを倒立可能に支持するように底壁226から垂設されたものである。区画板123の上下方向の高さは、補助脚板124よりも低く、歯ブラシを倒立した状態に支持することができる高さであればよい。
周壁225は、本体部220をキャップとして機能させたときにエアゾール容器101のショルダー105に当接して本体部220を支持する高さを有し、また、その周壁125の高さは全周で同じとされている。周壁125が全周で同じ高さとされているので、本体部120内が内容物の貯留空間として機能させることができる。
【0021】
本体部220も、第1の実施形態に係るアクチュエータ110の本体部120と同様に、上方が開放する状態と、下方が開放する状態とに付け替え可能なものとされている。上方が開放する姿勢でボタン部材140に対して取付けることによって保持部250に対象物(歯ブラシ)をブラシ部が下方となる倒立姿勢で保持させてホルダーとして機能させることができ、一方、下方が開放する状態にマウンテンカップ103およびショルダー105に当接するようにエアゾール容器101に取付けることによって販売時などの未使用時にエアゾール容器101のキャップとして機能させることができる。本実施形態のアクチュエータ210に係る本体部220は、キャップとして機能させたときに、未使用時にステムが押下げられることを防止することができるとともに、エアゾール容器101のステム102の周囲や本体部220内に埃などが侵入することを防止することができる。
【0022】
本実施形態に係るエアゾール容器101としては、アクチュエータ110が歯ブラシのホルダーとしても機能することを考慮して、高さの低いものを使用することが好ましく、例えば缶径が50mm、高さが100mm程度のものを使用することができるが、これに限定されない。
【0023】
以上のように構成されたアクチュエータ210を有するエアゾール製品においては、ユーザーが保持部250に歯ブラシをブラシ部が下方となる姿勢で倒立させ、この状態で本体部220を下方に押圧すると、ボタン部材140を介してステム102が押下げられることにより、マウンテンカップ103の内部に備えられたバルブ機構(図示せず)が開弁され、ボタン部材140の噴射口143から内容物(除菌剤)が径方向外方に噴射される。歯ブラシのブラシ部に噴霧されて塗布されることにより、或いは本体部220内に貯留された除菌剤に歯ブラシのブラシ部が浸漬することにより、歯ブラシに除菌剤が接触されて除菌作用が発揮される。一方、ユーザーが本体部220の押圧を停止すると、バルブに内蔵されるバネの弾性力によってステム102が自動的に元の位置まで復帰し、これに伴ってボタン部材140および本体部220も元の位置に復帰する。この状態で、本体部220は歯ブラシのホルダーとして機能するので、使用後の歯ブラシを衛生的に保管することができる。
【0024】
〔第3の実施形態〕
図11は、本発明の第3の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す断面図、
図12は、
図11のエアゾール用アクチュエータを上方から見た斜視図、
図13は、
図11のエアゾール用アクチュエータの本体部の水平断面図、
図14は、本発明の第3の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの未使用時を示す斜視図、
図15は、
図14のエアゾール用アクチュエータの断面図である。
第3の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ310は、本体部に挿入用孔が形成されず、その位置にボタン部材が本体部と一体となるように形成された形状を有すること以外は第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有する。第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有するものを同じ符号で示す。
【0025】
本体部320は、底壁326およびこの底壁326の外周縁から垂設された周壁125を有する、上下方向の一方が開放された略カップ形状のものであり、上下方向に伸びる切欠き130を有している。そして、底壁326の中央には、周壁125と同じ方向に伸びるとともに上端が閉塞された概略円筒状のボタン部材340が一体的に連続して突設されている。ボタン部材340の先端には、
図12および
図13に示されるように、複数(4つ)の保持部150の各々に対向するように複数の噴射口343が形成され、ボタン部材340の内部には、ステム102の先端(吐出口104)から吐出する内容物を噴射口343まで導く流路344が形成されている。噴射口343は、ボタン部材340の上部側壁に径方向に内容物を噴射する状態に形成されている。
流路344の下部は、上部よりも大径であってステム102の外径に適合する内径を有しており、ボタン部材340の下部の流路344内にステム102を嵌合させることによって本体部320をエアゾール容器101に対して取付けることができる。これにより、本体部320が、本体部320を下方に押圧することにより、これに嵌合されたステム102を押下可能な状態に支持される。
【0026】
本体部320は、上方が開放する状態にステム102に対して取付けられるとともに、下方が開放する状態にエアゾール容器101のマウンテンカップ103およびショルダー105に当接するように取付け替え可能なものである。上方が開放する姿勢で取付けることによって保持部150に対象物(歯ブラシ)をブラシ部が上となる姿勢で保持させてホルダーとして機能させることができ、一方、
図14および
図15に示されるように、下方が開放する姿勢で取付けることによって販売時などの未使用時にエアゾール容器101のキャップとして機能させることができる。
【0027】
〔第4の実施形態〕
図16は、本発明の第4の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータの使用時を示す斜視図である。
第4の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ410は、本体部420の周壁425の具体的形状が異なること以外は第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有する。第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110と同様の構成を有するものを同じ符号で示す。
本体部420の周壁部425は、第1の実施形態に係るエアゾール用アクチュエータ110のように切欠き130が周壁125の開口端まで連続して開放された形状を有さず、互いに周方向に分割された分割壁425aの開口端側が橋部425bによって周方向に一体的に連続され、これにより切欠き130の代わりに対象物を差し込む差し込み口430が形成される。差し込み口430は、その開口端が開放されていないことの他は第1の実施形態に係る切欠き130と同様の構成を有する。周壁425の高さは、全周で同じとされている。
このようなエアゾール用アクチュエータ410によれば、橋部425bによって分割壁425a同士が一体的に連続されて差し込み口430が切欠き状ではないことにより、本体部420に高い強度が得られ、本体部420をキャップとして機能させたときに、上方からの加重を受けた際にも本体部420(キャップ)が下方に移動してしまうことや、分割壁425a同士の間隔が広がってしまって分割壁425aが損傷されることが防止され、その結果、高い耐久性が得られる。また、ホルダーとして機能させたときにも、ユーザーが本体部420を下方に押圧する内容物の塗布作業を繰り返し行ったとしても本体部420の分割壁425aの損傷などが防止され、高い耐久性が得られる。
【0028】
以上、本発明の各実施形態に係るエアゾール用アクチュエータについて具体的に説明したが、エアゾール用アクチュエータの実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、保持部の数は4つに限定されるものではなく、対象物の大きさ等に従って適宜に増減して設定することができる。
また例えば、上記の各実施形態に係る本体部の構成と、ボタン部材の構成とは、適宜に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0029】
100・・・・・・・・・・・・・・・エアゾール製品
101・・・・・・・・・・・・・・・エアゾール容器
102・・・・・・・・・・・・・・・ステム
103・・・・・・・・・・・・・・・マウンテンカップ
104・・・・・・・・・・・・・・・吐出口
105・・・・・・・・・・・・・・・ショルダー
110、210、310、410・・・エアゾール用アクチュエータ
120、220、320、420・・・本体部
121・・・・・・・・・・・・・・・挿入用孔
122・・・・・・・・・・・・・・・係合凹所
123・・・・・・・・・・・・・・・区画板
124・・・・・・・・・・・・・・・補助脚板
125、225、 425・・・周壁
125a・・・・・・・・425a・・分割壁
425b・・橋部
127・・・・・・・・・・・・・・・凸板
126、226、326・・・・・・・底壁
130、 430・・・切欠き
131・・・・・・・・・・・・・・・凹所
132・・・・・・・・・・・・・・・溝
140、 340・・・・・・・ボタン部材
141・・・・・・・・・・・・・・・筒状部
142・・・・・・・・・・・・・・・フランジ部
143、 343・・・・・・・噴射口
144、 344・・・・・・・流路
145・・・・・・・・・・・・・・・係合凸部
150、250・・・・・・・・・・・保持部