(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125477
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】III族窒化物結晶の製造装置
(51)【国際特許分類】
C30B 29/38 20060101AFI20230831BHJP
C30B 25/14 20060101ALI20230831BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C30B29/38 D
C30B25/14
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029587
(22)【出願日】2022-02-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、環境省、令和2年度未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業(高品質GaN基板を用いた超高効率GaNパワー・光デバイスの技術開発とその実証)委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】布袋田 暢行
(72)【発明者】
【氏名】滝野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松野 俊一
【テーマコード(参考)】
4G077
5F045
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BE15
4G077DB02
4G077DB11
4G077EA04
4G077ED06
4G077EG22
5F045AA03
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5F045EF15
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5F045EM09
5F045EM10
(57)【要約】
【課題】III族窒化物結晶成長中に、種基板上流部の構成部材への堆積物の付着を抑制することができるIII族窒化物結晶の製造装置を提供する。
【解決手段】反応容器を備えるIII族窒化物結晶の製造装置であって、反応容器は、原料反応部と、窒素源ノズル部と、結晶成長部とを有し、原料反応部は、III族元素含有ガスを生成する原料反応室と、生成されたIII族元素含有ガスを原料反応室から導出して結晶成長部に向けて噴射する原料ガスノズルと、を含み、窒素源ノズル部は、III族元素含有ガスと反応してIII族窒化物結晶を生成させるための窒素元素含有ガスを前記結晶成長部に向けて噴射する窒素源ノズルとを含み、結晶成長部は、III族窒化物結晶がその上で成長する種基板を、上面に保持させる基板保持部材と、を含み、原料ガスノズルと窒素源ノズル部との間に窒素元素含有ガスを分解する分解促進部を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を備えるIII族窒化物結晶の製造装置であって、
前記反応容器は、原料反応部と、窒素源ノズル部と、結晶成長部と、を有し、
前記原料反応部は、
III族元素含有ガスを生成する原料反応室と、
生成されたIII族元素含有ガスを原料反応室から導出して結晶成長部に向けて噴射する原料ガスノズルと、
を含み、
前記窒素源ノズル部は、III族元素含有ガスと反応してIII族窒化物結晶を生成させるための窒素元素含有ガスを前記結晶成長部に向けて噴射する窒素源ノズルを含み、
前記結晶成長部は、III族窒化物結晶がその上で成長する種基板を、上面に保持させる基板保持部材を含み、
前記原料ガスノズルと前記窒素源ノズル部との間に窒素元素含有ガスを分解する分解促進部を備えた、III族窒化物結晶の製造装置。
【請求項2】
前記分解促進部は、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPtからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む、
請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項3】
前記分解促進部は、前記原料ガスノズルを囲む環状に設けられている、請求項1又は2に記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項4】
前記窒素源ノズル部は、前記原料ガスノズルの噴射口の周囲に開口部を有し、
前記開口部の内径と、前記分解促進部の外径との差分は、前記開口部の内径の20%以下である、請求項3に記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項5】
前記分解促進部の表面の算術平均粗さRaは、1.6μm以上である、請求項1から4のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項6】
前記原料ガスノズルは、噴射口の噴射方向が種基板表面に対して対向するように配置されている、請求項1から5のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項7】
前記窒素源ノズルは、噴射口の噴射方向が種基板の表面に対して傾斜するように配置されている、請求項1から6のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【請求項8】
前記窒素源ノズルは、噴射口の種基板表面における噴射方向が、種基板の回転の半径方向に対して偏向するように配置されている、請求項1から7のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物結晶の製造装置に関する。特に、反応容器内に配置された被処理基板に向かってガスを供給して気相成長法によるIII族窒化物結晶の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN、AlGaN、InGaN、Ga2O3などのIII族窒化物半導体は、例えば、発光ダイオードや半導体レーザーなどの光デバイスやヘテロ接合高速電子デバイス等の分野に利用されている。III族窒化物半導体であるGaNの製造方法の1つに、III族元素金属(例えば、Ga金属)と塩化物ガス(例えば、HClガス)を反応させて、III族元素金属塩化物ガス(GaClガス)を生成し、前記III族元素金属塩化物と窒素元素含有ガス(例えば、NH3ガス)からGaNを成長させる、Hydride Vapor Phase Epitaxy(HVPE法)が実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、前記HVPE法では、結晶成長において副生成物であるNH4Cl(塩化アンモニウム)が多量に発生し、製造装置の排気配管を詰まらせるため、結晶成長を阻害するという問題があった。この問題を解決する方法として、前記III族元素金属(例えば、Ga金属)と酸化剤(例えば、H2Oガス)とを反応させて前記III族元素金属酸化物ガス(Ga2Oガス)を生成し、前記III族元素金属酸化物ガスと窒素元素含有ガス(例えば、NH3ガス)からGaNを成長させる、Oxygen Vapor Phase Epitaxy(OVPE法)が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
前記HVPE法や前記OVPE法の特徴としては、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)など他の結晶成長法で典型的な1μm/h程度の成長速度と比較して、10μm/h以上あるいは100μm/h以上の非常に大きい成長速度を得られることが挙げられる。このため、HVPE法やOVPE法は、GaN自立基板の製造に用いられている。
【0005】
図4は、従来のIII族窒化物結晶の製造装置の1つであるOVPE装置の断面構造を示す概略断面図である。このOVPE装置は、窒化物結晶の結晶成長を行う反応容器101を備え、反応容器101内には、Ga
2OなどのIII族元素ガスを発生させる原料反応室102が設けられている。第1のヒータ104により加熱される原料反応室102内には、Ga、In、Alなどを含む金属原料106が原料容器103内に収容されている。また、原料反応室102には、H
2Oガスなどの反応性ガスを供給する反応性ガス供給管107が接続されている。反応性ガス供給管107から原料容器103内に供給された反応性ガスと金属原料106との反応により、原料反応室102内にIII族元素含有ガスが生成される。生成されたIII族元素含有ガスは、原料反応室102に接続された原料ガスノズル108から反応容器101内に導入され、基板支持部113上に載置された種基板112へと輸送される。種基板112は、第2ヒータ105により加熱される。また、反応容器101には、NH
3ガスなどの窒素元素含有ガスを供給する窒素元素含有ガス供給管109aおよび109bが接続されている。種基板112へと輸送されたIII族元素含有ガスと窒素元素含有ガスとが反応して、種基板112上にIII族窒化物結晶111が成長する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52-23600号公報
【特許文献2】WO2015/053341
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図4に示すように、一般的なOVPE法やHVPE法では、反応容器101全体を加熱するホットウォール型と呼ばれる加熱方式が採用されている。第1のヒータ104により加熱される原料反応室102の温度は、HVPE法では、900℃以上1100℃程度であるのに対して、OVPE法では、900℃以上1300℃に保つ必要がある。原料反応室102の材質は、一般的に石英が使用され、HVPE法では一体型の構造を有していることが多い。
【0008】
しかしながら、石英の最高使用温度は約1200℃であるため、OVPE法では、原料反応室102の一部は、耐熱温度1200℃以上の材質が使用される。このため、原料反応室102は、分割構造を有していることが多い。原料反応室102内で生成されたIII族元素含有ガスは、原料反応室102の分割面から一定量漏洩する。この漏洩したIII族元素含有ガスは、窒素元素含有ガス供給管109aおよび109bから噴射される窒素元素含有ガスと反応し、例えば、原料ガスノズル108の噴射口に、生成されたIII族窒化物結晶からなる堆積物が付着する。この堆積物から発生したパーティクルが種基板112上のIII族窒化物結晶中に混入してしまうと、デバイス動作を阻害する転位が高密度で集中し、ピットと呼ばれる領域や貫通穴など、マイクロメートルからミリメートルオーダーまでの欠陥を生じさせてしまう可能性があり、これらの欠陥は半導体デバイスの歩留まりの低下を引き起こしてしまうことが課題となっている。
【0009】
本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、原料ガスノズルへの堆積物の付着を抑制し、製造の歩留まりを向上させることができるIII族窒化物結晶の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本開示に係るIII族窒化物結晶の製造装置は、反応容器を備えるIII族窒化物結晶の製造装置であって、反応容器は、原料反応部と、結晶成長部と、窒素源ノズル部とを有し、原料反応部は、III族元素含有ガスを生成する原料反応室と、生成されたIII族元素含有ガスを原料反応室から導出して結晶成長部に向けて噴射する原料ガスノズルとを含み、結晶成長部は、III族窒化物結晶がその上で成長する種基板を、上面に保持させる基板保持部材とを含み、窒素源ノズル部は、III族元素含有ガスと反応してIII族窒化物結晶を生成させるための窒素元素含有ガスを前記結晶成長部に向けて噴射する窒素源ノズルとを含み、原料ガスノズルと窒素源ノズル部の間に窒素元素含有ガスを分解する分解促進部を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示のIII族窒化物結晶の製造装置によれば、種基板よりも上流側の構成部材への堆積物の発生を抑制し、種基板上に成長するIII族窒化物結晶へのパーティクルの混入を抑制することで、III族窒化物結晶の製造の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置の構成の1例を示す概略断面図である。
【
図2】
図1のIII族窒化物結晶の製造装置における原料ガスノズルと窒素源ガスノズルとの配置の一例を示す正面断面図(a)および上面透過図(b)である。
【
図3】本開示の比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造装置の構成を示す概略断面図である。
【
図4】従来のIII族窒化物結晶の製造装置の1つであるOVPE装置の典型的な断面構造を示す概略断面図である。
【
図5】実施例1から3および比較例1から4の成長条件と評価結果とを示す表1である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の第1態様に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、反応容器を備えるIII族窒化物結晶の製造装置であって、反応容器は、原料反応部と、窒素源ノズル部と、結晶成長部とを有し、原料反応部は、III族元素含有ガスを生成する原料反応室と、生成されたIII族元素含有ガスを原料反応室から導出して結晶成長部に向けて噴射する原料ガスノズルとを含み、窒素源ノズル部は、III族元素含有ガスと反応してIII族窒化物結晶を生成させるための窒素元素含有ガスを前記結晶成長部に向けて噴射する窒素源ノズルとを含み、結晶成長部は、III族窒化物結晶がその上で成長する種基板を、上面に保持させる基板保持部材と、を含み、原料ガスノズルと窒素源ノズル部の間に窒素元素含有ガスを分解する分解促進部を備えた、III族窒化物結晶の製造装置を提供する。
【0014】
本開示の第2様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1態様において、分解促進部は、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPtからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでもよい。
【0015】
本開示の第3様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1又は第2態様において、分解促進部は、前記原料ガスノズルを囲む環状に設けられていてもよい。
【0016】
本開示の第4様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第3態様において、窒素源ノズル部は、原料ガスノズルの噴射口の周囲に開口部を有し、開口部の内径と、分解促進部の外径との差分は、開口部の内径の20%以下であってもよい。
【0017】
本開示の第5様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1から第4のいずれかの態様において、分解促進部の表面の算術平均粗さRaは、1.6μm以上であってもよい。
【0018】
本開示の第6様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1から第5のいずれかの態様において、原料ガスノズルは、噴射口の噴射方向が種基板表面に対して対向するように配置されていてもよい。
【0019】
本開示の第7様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1から第6のいずれかの態様において、窒素源ノズルは、噴射口の噴射方向が種基板の表面に対して傾斜するように配置されていてもよい。
【0020】
本開示の第8様態に係るIII族窒化物結晶の製造装置によれば、上記第1から第7のいずれかの態様において、窒素源ノズルは、噴射口の種基板表面における噴射方向が、種基板の回転の半径方向に対して偏向するように配置されていてもよい。
【0021】
以下、本開示の実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造装置について、添付図面を参照しながら説明する。尚、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0022】
(実施の形態1)
<III族窒化物結晶の製造装置>
以下、本開示の実施の形態1について
図1を参照して説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置1の構成の一例を示す概略断面図である。なお、
図1において、各構成部材の大きさ、比率等は実際とは異なっている場合がある。また、便宜上、鉛直上方をZ方向、これに垂直な水平面内をXY平面として、紙面右側に向かう方向をX方向、紙面手前から奥に向かう方向をY方向として示している。
【0023】
図1に示す本実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置1は、気相成長装置であり、III族窒化物結晶の結晶成長を行う反応容器20を備えている。反応容器20は、例えば、円筒形状であってもよく、III族元素含有ガスを発生する原料反応部5と、結晶成長部6と、窒素元素含有ガスを噴射する窒素源ノズル部7と、分解促進部10とを有する。原料反応部5内に設けられた原料反応室2において、III族元素含有ガスが生成される。生成されたIII族元素含有ガスは、原料ガスノズル8によって導出され、結晶成長部6に向けて噴射される。結晶成長部6において、原料ガスノズル8により噴出されたIII族元素含有ガスと、窒素源ガスノズル9により導入された窒素源含有ガスとは、混合領域S1で混合された後、種基板11上の結晶成長領域S2において反応することで、種基板11上にIII族窒化物結晶が成長する。
【0024】
原料反応部5と結晶成長部6と窒素源ノズル部7とで一定の温度を維持するために、反応容器20の外周部には、加熱部16が設置されている。また、未反応のIII族元素含有ガスと窒素源含有ガスとの原料ガス、およびH2やN2などのキャリアガスは、種基板11の下流側に設けられた排気口17から排出される。
【0025】
実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置1によれば、種基板11よりも上流側の構成部材への堆積物の発生を抑制し、種基板11上に成長するIII族窒化物結晶へのパーティクルの混入を抑制することができる。
【0026】
以下に、
図1に示す実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置1の構成部材について詳細に説明する。
【0027】
<原料反応部>
原料反応部5は、原料反応室2と原料ガスノズル8とを備え、本実施の形態1において、円筒形状を有する。原料反応部5において、III族元素含有ガスが生成される。原料反応部5の材質としては、窒素元素含有ガスに対する耐腐食性を有していることが必要であり、例えば、石英、SiCコートカーボン、PGコートカーボン、PBNコートカーボン、SiC、などのセラミックスや、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPt、またはこれらを主成分とする合金を用いることができる。
【0028】
(原料反応室)
原料反応室2内には、III族元素含有ガスである出発Ga源4を収容している原料容器3が配置されている。また、原料反応室2は、反応性ガス供給管18に接続され、反応性ガス供給管18により、出発Ga源4と反応する反応性ガスが導入される。原料反応室2の内部は、加熱部16の第1のヒータ14により、所望の温度に維持されている。好ましくは、第1のヒータ14の加熱によって、900℃以上1300℃以下に保っている原料反応室2において出発Ga源4と反応性ガスとが反応して、III族元素含有ガスが生成される。原料反応室2および原料容器3の材質としては、石英、カーボン、SiCコートカーボン、PGコートカーボン、PBNコートカーボン、SiC、などのセラミックスを用いることができる。
【0029】
ここで、III族元素含有ガスを生成する方法としては、III族元素含有源を酸化する方法と、III族元素含有源を還元する方法がある。
【0030】
III族元素含有源を酸化する方法として、出発Ga源4として金属Gaを用い、反応性ガスとして酸化性ガスであるH2Oガスを用いた場合の反応系を説明する。この場合は、下記化学反応式(1)に示すように、加熱している状態で、導入されたH2Oガスは、金属Gaと反応して、III族元素含有ガスであるGa2Oガスが生成される。
2Ga+H2O→Ga2O+H2・・・(式1)
なお、III族元素含有としては、Gaの他に、AlやInなども利用することができる。いずれの場合でも、III族酸化物ガスが生成される。
【0031】
次に、III族元素含有源を還元する方法として、出発Ga源としてGa2O3を用い、反応性ガスとして還元性ガスであるH2ガスを用いた場合の反応系を説明する。下記化学反応式(2)に示すように、加熱している状態で、導入されたH2ガスは、Ga2O3と反応して、III族元素含有ガスであるGa2Oガスが生成される。
Ga2O3+H2→Ga2O+2H2O・・・(式2)
なお、III族元素含有源としては、Al2O3やIn2O3なども利用することができる。いずれの場合でも、III族酸化物ガスが生成される。
【0032】
(原料ガスノズル)
原料反応室2で生成されたIII族元素含有ガス、例えば、Ga2Oガスは、原料反応部5の下流側に設けられた原料ガスノズル8により導出されて、結晶成長部6に向けて噴射される。III族元素含有ガスのキャリアガスとしては、特に限定されないが、ArやN2などの不活性ガス、またはH2ガスを用いることができる。III族窒化物結晶からなる堆積物が製造装置1の構成部材へ付着することを抑制するために、原料ガスノズル8は、その内周又は外周にセパレートガス排出口(図示せず)が形成されていることが好ましい。セパレートガスとして、特に限定されないが、ArやN2などの不活性ガス、またはH2ガスを用いることができる。原料ガスノズル8の内径は、特に限定されないが、好ましくは、0mmを超え、100mm以下の範囲、より好ましくは、20mm以上、60mm以下である。原料ガスノズル8の肉厚は、特に限定されないが、好ましくは、0.5mm以上、10mm以下、より好ましくは、1mm以上、3mm以下である。原料ガスノズル8の材質としては、石英、カーボン、SiCコートカーボン、PGコートカーボン、PBNコートカーボン、SiC、などのセラミックスや、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPt、またはこれらを主成分とする合金を用いることができる。
【0033】
<結晶成長部>
結晶成長部6は、基板保持部材12を備え、本実施の形態1において、円筒形状を有する。結晶成長部6において、III族元素含有ガスと窒素元素含有ガスとが反応し、種基板11上にIII族窒化物結晶が成長する。混合された原料ガスの反応を促進するため、混合領域S1および結晶成長領域S2の外周部には、加熱部16の第2のヒータ15が設けられている。第2のヒータ15の温度は、III族窒化物結晶を成長させるために、1000℃以上1500℃以下に保つことが好ましい。
【0034】
(基板保持部材)
基板保持部材12は、例えば、基板サセプタであってもよい。種基板11は、基板保持部材12の上面12aに保持される。基板保持部材12の形状は、特に限定されないが、結晶成長を阻害する構造になっていないことが好ましい。例えば、種基板11上の結晶成長面付近に、結晶成長する可能性がある構造物が存在すると、循環流が発生してしまい、そこに堆積物が付着し、種基板11上のIII族窒化物結晶膜の均一性を悪化させることとなる。本実施の形態1において、種基板11および基板保持部材12は円形である。種基板11の材質としては、例えば、GaN、GaAs、Si、SiC、ZnO、サファイア、Ga2O3、ScAlMg4などを用いることができる。基板保持部材12の材質としては、例えば、カーボン、SiCコートカーボン、PGコートカーボン、PBNコートカーボン、SiC、などのセラミックスや、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPtまたはこれらを主成分とする合金を用いることができる。
【0035】
また、基板保持部材12は、回転シャフト13に接続されており、回転シャフト13により、III族窒化物結晶成長中に、基板保持部材12は、種基板11を回転軸Dについて回転させることができる。回転シャフト13は、3000rpmまでの回転を制御できる機構であることが好ましい。
【0036】
<窒素源ノズル部>
窒素源ノズル部7は、窒素源ガスノズル9を備える。窒素源ガスノズル9は、III族元素含有ガスと反応してIII族窒化物結晶を生成させるための窒素元素含有ガスを種基板11に向けて噴射する。
図1に示すIII族窒化物結晶の製造装置1において、窒素源ガスノズル9は、少なくとも2本以上から構成されており、2本以上の窒素源ガスノズル9は、基板保持部材12の中心に対して、特に限定されないが、例えば、放射状に配置することができる。原料ガスノズル8から噴射されるIII族元素含有ガスと、窒素源ガスノズル9から噴射される窒素元素含有ガスとの混合性を向上させるために、窒素源ガスノズル9の噴射方向は、基板保持部材12の上面12aに対する正面視および上面視において、種基板11の上流側の手前で原料ガスノズル8から噴射されるIII族元素含有ガスと混合されることが好ましい。
【0037】
図2は、
図1のIII族窒化物結晶の製造装置1における原料ガスノズル8と窒素源ガスノズル9との配置の一例を示す正面断面図(a)および上面透過図(b)である。
図2(a)に示すように、原料ガスノズル8は、噴射口の噴射方向が基板保持部材12の上面12aに対して対向して配置されている。窒素源ガスノズル9は、本体部21と、噴射口22とを有する先端部23とを備えている。先端部23は、鉛直方向に対して傾斜角度θaで傾斜している。すなわち、
図2(a)の正面視において、各窒素源ガスノズル9の噴射方向に沿った仮想線24は、基板保持部材12の上方にある位置Fを中心とした円周上において交差する。傾斜角度θaは、基板保持部材12の上面12aに対する鉛直面において、原料ガスノズル8の噴射方向(-Z方向)と各窒素源ガスノズル9の噴射方向とがなす角度である。
【0038】
次に、
図2(b)に示すように、III族窒化物結晶の製造装置1は、少なくとも2本以上の窒素源ガスノズル9を備える。本実施の形態において、少なくとも2本以上の窒素源ガスノズル9は、
図2(b)の上面視に示すように、基板保持部材12の中心に対して放射状に配置されている。窒素源ガスノズル9の先端部23は、基板保持部材12の上面12aにおいて、半径方向26に対して偏向角度θbで傾斜している。すなわち、偏向角度θbは、
図2(b)の上面視において、窒素源ガスノズル9の先端部23と種基板11の半径方向26とのなす角度である。
【0039】
本実施の形態1では、それぞれの窒素源ガスノズル9は、
図2(b)の上面視で基板保持部材12の回転方向Aと順方向に偏向角度θbを自己回転すると基板保持部材12の上面12aの半径方向26となるように配置されている。また、偏向角度θbは、先端部23の中心軸27と、半径方向26とのなす角度である。これによって、複数の窒素源ガスノズル9により噴出された窒素元素含有ガスは、旋回流を形成し、III族元素含有ガスとの混合性を高めることができる。なお、複数の窒素源ガスノズル9は、噴射方向がこれに限定されず、
図2(b)の逆方向に偏向して配置されてもよい。
【0040】
III族窒化物結晶として、例えばGaN結晶を成長させる場合には、NH3ガス、NOガス、NO2ガス、N2H2ガス、N2H4ガス、などの窒素元素含有ガスを使用することができる。キャリアガスとして、特に限定されないが、ArやN2などの不活性ガス、またはH2ガスを用いることができる。また、原料ガスノズル8と同様に、III族窒化物結晶からなる堆積物が製造装置1の構成部材への付着を抑制するために、窒素源ガスノズル9は、その内周又は外周にセパレートガス排出口が形成されることが好ましい。セパレートガスとしては、特に限定されないが、ArやN2などの不活性ガス、またはH2ガスを用いることができる。
【0041】
窒素源ノズル部7と窒素源ガスノズル9の材質としては、窒素元素含有ガスに対する耐腐食性を有していることが必要であり、例えば、石英、SiCコートカーボン、PGコートカーボン、PBNコートカーボン、SiC、などのセラミックスを用いることができる。
【0042】
窒素源ガスノズル9の内径は、特に限定されないが、好ましくは0mmを超え、30mm以下の間、より好ましくは、3mm以上15mm以下である。窒素源ガスノズル9の傾斜角度θaは、特に限定されないが、好ましくは、0度を超え90度未満、より好ましくは、5度から60度の範囲である。窒素源ガスノズル9の偏向角度θbは、特に限定されないが、好ましくは、0度を超え90度未満、より好ましくは、5度から45度の範囲である。
【0043】
なお、結晶成長領域S2におけるIII族窒化物結晶の生成を促進するため、窒素源ガスノズル9を加熱し、窒素源ガスノズル9内の窒素元素含有ガスを所定の割合で分解した状態にすることが好ましい。本実施の形態1において、窒素源ガスノズル9は、その外周部に設置された加熱部16の第1のヒータ14と第2のヒータ15とによって加熱されている。
【0044】
<分解促進部>
図1に示すIII族窒化物結晶の製造装置1において、分解促進部10は、原料ガスノズル8と窒素源ノズル部7との間に、原料ガスノズル8を囲むように、例えば、環状に配置されている。
なお、窒素源ノズル部7は、着座面19に設けた原料ガスノズル8の周囲に開口部32を有する。原料ガスノズル8の周囲は、例えば、
図1では、Z方向に凸部であって、-Z方向に原料ガスノズル8を囲む凹部を構成している。開口部32は、原料ガスノズル8を通すために着座面19に設けた開口である。
本発明者は、この原料ガスノズル8の周囲の凹部の外側に環状の開口部32があり、この開口部32を介して窒素元素含有ガス34が漏洩する場合があるという課題を見出した。つまり、加熱部16の第1のヒータ14と第2のヒータ15とにより加熱された、原料反応部5と窒素源ノズル部7の着座面19から原料ガスノズル8の周囲の開口部32を介して窒素元素含有ガス34が漏洩する場合があるという問題がある。これにより、原料ガスノズル8の先端から噴出するIII族元素含有ガス、例えば、Ga
2Oガスと漏洩した窒素元素含有ガス34とが反応し、原料ガスノズル8の先端に堆積物が付着してしまうおそれがある。
本発明者は、上記の通り、原料ガスノズル8を囲むように環状の分解促進部10を設けることによって漏洩した窒素元素含有ガス34を分解できることを見出し、本開示に至った。この漏洩した窒素元素含有ガス34は、分解促進部10に向けて流れ、分解促進部10の表面で分解される。
なお、図では、原料ガスノズル8の周囲の凹部の外側から離れて、漏洩する窒素元素含有ガス34の流れを白抜き矢印で示したが、これは便宜的な記載である。実際には、原料ガスノズル8の周囲の凹部の外側に接して環状の開口部32がある。漏洩する窒素元素含有ガス34の流れは、この環状の開口部32を介して通過する。
【0045】
分解促進部10の材質としては、例えば、Mo、Ni、Fe、Co、Ti、Cr、Zr、Ta、W、及びPtからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む金属、またはこれらを主成分とする合金を用いることができる。
分解促進部10の表面の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、好ましくは1.6μm以上、より好ましくは6.3μm以上である。分解促進部10の形状は、本実施の形態において筒形状であるが、これに限定されることなく、テーパ形状、曲線形状、または階段形状等の他の形状を有していてもよい。
【0046】
窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分は、好ましくは、開口部32の内径D2の20%以下、より好ましくは10%以下である。
また、分解促進部10の鉛直方向下向き(-Z方向)の長さは、開口部32を構成する原料ガスノズル8の周囲の凹部の長さ以上であればよい。これにより、開口部32を介して漏洩する窒素元素含有ガス34を分解できる。
以上により、種基板11より上方の構成部材への堆積物の付着を抑制することができる。これにより、III族窒化物結晶の製造の歩留まりを向上させることができる。
【0047】
(実施例1)
本実施例1は、
図1に示すIII族窒化物結晶の製造装置1を用いて、本開示の実施の形態に係るIII族窒化物結晶の1つであるGaN結晶を成長させた。出発Ga源として金属Gaを原料容器3内に配置し、反応性ガス供給管18から導入した反応性ガスであるH
2Oガスと反応させ、生成したGa
2OガスをIII族元素含有ガスとして用いた。生成したGa
2Oガスは、原料ガスノズル8より結晶成長部6内の種基板11に向けて噴射した。窒素元素含有ガスとしては、NH
3ガスを用い、窒素源ガスノズル9より結晶成長部6内の種基板11に向けて噴射した。原料ガスノズル8および窒素源ガスノズル9の外周部に設けたセパレートガス排出口から、N
2ガスとH
2ガスを排出した。種基板11は、GaN単結晶基板を用いた。
【0048】
成長条件として、原料反応部5の温度を1100℃、結晶成長部6の温度を1200℃となるように、第1のヒータ14と第2のヒータ15に電力を供給した。Ga2Oガスの分圧を0.00108atm、H2Oガスの分圧を0.00045atm、NH3ガスの分圧を0.15784atm,H2ガスの分圧を0.71850atm、N2ガスの分圧を0.12249atmとし、1時間の結晶成長を実施した。
【0049】
分解促進部10は、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分が、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2の5.6%となるように、筒状のMoを原料ガスノズル8と窒素源ノズル部7との間に設置した。また、原料ガスノズル8は、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と、原料ガスノズル8の外径との差分が、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2の33.3%となる筒状部材とした。尚、基板保持部材12は1000RPMで回転させた。
【0050】
(実施例2)
実施例2は、
図1において、分解促進部10は、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分が、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2の9.7%、19.4%となるように、筒状のMoを原料ガスノズル8と窒素源ノズル部7の間に設置したこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0051】
(実施例3)
実施例3は、
図1において、分解促進部10の材質をNiとしたこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0052】
(比較例1)
図3は、本開示の比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造装置1Aの構成を示す概略断面図である。比較例1では、実施例1と対比すると、分解促進部10を設置していないこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0053】
(比較例2)
比較例2では、
図1において、分解促進部10は、材質をSiCコートカーボン、表面粗さを6.3μmとしたこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0054】
(比較例3)
比較例3では、
図1において、分解促進部10は、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分が、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2の27.8%となるように、筒状のMoを原料ガスノズル8と窒素源ノズル部7の間に設置したこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0055】
(比較例4)
比較例4では、
図1において、分解促進部10は、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分が、窒素源ノズル部7の開口部の内径D2の27.8%となるように、筒状のNiを原料ガスノズル8と窒素源ノズル部7の間に設置したこと以外は、実施例1と同じ条件でGaN単結晶基板上にGaN結晶を成長させた。
【0056】
実施例1から3および比較例1から4の成長条件と評価結果とを
図5の表1に示す。
図5の表1に示すように、原料ガスノズル8の外壁面におけるIII族窒化物結晶からなる堆積物の付着は、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と、分解促進部10の外径D1との差分が、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2の27.8%で堆積物の付着が見られたが、19.4%以下では堆積物の付着が全く見られなかった。すなわち、堆積物の付着は、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と分解促進部10の外径D1との距離が近いほど少なくなった。また、分解促進部10の材質をMoもしくはNiとした場合、原料ガスノズル8の外壁面への堆積物の付着を抑制できたが、分解促進部10の材質をSiCコートカーボンとした場合、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と分解促進部10の外径D1との距離を5.6%と近づけても堆積物の付着を抑制することができなかった。
【0057】
窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と分解促進部10の外径D1との距離が遠いと、原料反応部5と窒素源ノズル部7との着座面19から開口部32を介して漏洩したNH3ガス34が、分解促進部10と十分に接触せずに下流部に流れる場合がある。この場合には、原料ガスノズル8の先端から噴出するGa2Oガスと未反応のNH3ガスとが反応し、原料ガスノズル8の先端に堆積物が付着してしまうおそれがある。一方、窒素源ノズル部7の開口部32の内径D2と分解促進部10の外径D1との距離が近いと、加熱部16の第1のヒータ14と第2のヒータ15とにより加熱された、原料反応部5と窒素源ノズル部7の着座面19から開口部32を介して漏洩したNH3ガス34が、分解促進部10に向けて噴射される。これにより、MoやNiなどの遷移金属から構成された分解促進部10の表面に衝突することで十分に分解されたため、原料ガスノズル8の先端への堆積物の付着が抑制されたものと推察される。すなわち、GaN単結晶基板表面より上流側の原料ガスノズル8などの構成部材への堆積物の付着を抑制することで、GaN成長膜中へのパーティクルの混入を抑制し、成長したGaN表面のピットや貫通穴を低減させることができる。
【0058】
本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0059】
本開示のIII族窒化物結晶の製造装置によれば、種基板よりも上流側の装置の構成部材における堆積物の発生を抑制し、種基板上に成長するIII族窒化物結晶へのパーティクルの混入を抑制することができる。これによって、III族窒化物結晶の製造の歩留まりを向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示に係るIII族窒化物結晶の製造装置によって得られるIII族窒化物結晶は、例えば、発光ダイオード、レーザーダイオードなどの光デバイス、整流器、バイポーラトランジスタなどの電子デバイス、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視―紫外光検出器などの半導体センサなどに用いることができる。但し、本開示は、上述の用途に限定されず、広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 III族窒化物結晶の製造装置
2 原料反応室
3 原料容器
4 出発Ga源
5 原料反応部
6 結晶成長部
7 窒素源ノズル部
8 原料ガスノズル
9 窒素源ガスノズル
10 分解促進部
11 種基板
12 基板保持部材
13 回転シャフト
14 第1のヒータ
15 第2のヒータ
16 加熱部
17 排気口
18 反応性ガス供給管
19 着座面
20 反応容器
21 本体部
22 噴射口
23 先端部
24 仮想線
25 仮想線
26 半径方向
27
32 窒素源ノズル部7の開口部
34 漏洩した窒素元素含有ガス
S1 混合領域
S2 結晶成長領域
D1 分解促進部10の外径
D2 窒素源ノズル部7の開口部の内径