(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125480
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B65H1/04 320B
B65H1/04 324
B65H1/04 326B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029592
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】グエン バ ドン
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HE04
3F343HE08
3F343HE24
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA12
3F343LD22
3F343LD24
(57)【要約】
【課題】1つのピニオンで縦カーソルと幅カーソルを連動させることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、シートの搬送方向Yにスライドし、シートの搬送方向Y上流側の端部を位置決めする縦カーソル21と、搬送方向Yと交差するシートの幅方向Xにスライドし、シートの幅方向Xの両端部を位置決めする1対の幅カーソル31と、1対の幅カーソル31の間に設けられたピニオン41と、1対の幅カーソル31の各々に幅方向Xを長手方向として設けられ、ピニオン41を挟んで互いに対向する1対の幅ラック32と、を備え、縦カーソル21は、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置へ縦カーソル21がスライドした場合に、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置に1対の幅カーソル31をスライドさせるようにピニオン41を回転させる縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向にスライドし、前記シートの前記搬送方向上流側の端部を位置決めする縦カーソルと、
前記搬送方向と交差する前記シートの幅方向にスライドし、前記シートの前記幅方向の両端部を位置決めする1対の幅カーソルと、
前記1対の幅カーソルの間に設けられたピニオンと、
前記1対の幅カーソルの各々に前記幅方向を長手方向として設けられ、前記ピニオンを挟んで互いに対向する1対の幅ラックと、
前記縦カーソルに設けられ、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置へ前記縦カーソルがスライドした場合に、前記第1サイズに対応する位置から前記第2サイズに対応する位置に前記1対の幅カーソルをスライドさせるように前記ピニオンを回転させる縦ラックと、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記縦ラックは、前記搬送方向を長手方向とする開口部に設けられ、
前記ピニオンは、前記開口部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の本体に挿抜可能な給紙カセットを備え、
前記縦カーソル、前記1対の幅カーソル、前記ピニオン、前記1対の幅ラック及び前記縦ラックは前記給紙カセットに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記幅方向に揺動可能に前記縦カーソルに設けられた規制部材と、
前記規制部材に設けられ、前記第1サイズ及び前記第2サイズに対応する位置に前記縦カーソルが位置する場合に前記ピニオンと噛み合う、前記縦ラックの歯よりも歯丈の長い突起部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記突起部が前記ピニオンと噛み合う方向に前記規制部材を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記幅カーソルの前記シートの端部に接触する部分は、前記搬送方向の中央部が切り欠かれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙カセットを備えた画像形成装置が知られている。給紙カセットは、画像形成装置の本体に対して挿抜可能であり、数百から数千枚のシートを収容する。給紙カセットは、シートを位置決めするカーソルを備える。カーソルは、縦カーソルと幅カーソルを含む。縦カーソルは、シートの搬送方向にスライドし、シートの搬送方向上流側の端部を位置決めする。幅カーソルは、搬送方向と交差するシートの幅方向にスライドし、シートの幅方向の両端部を位置決めする。給紙トレイの内部には、シートの様々なサイズに応じたカーソルの位置が表示されている。収容するシートのサイズに応じた位置にカーソルを移動させ、カーソルにシートの端部を合わせることで、サイズに応じた所定位置にシートが位置決めされる。所定位置においては、搬送路の幅方向の中央にシートが配置されるとともに、シートの搬送方向下流側の端部が給紙ローラーに接触する。
【0003】
しかし、縦カーソルと幅カーソルを個別に調整するのは手間がかかる。また、縦カーソルと幅カーソルのいずれか一方を調整した後、もう一方の調整を忘れた場合、シートが所定位置に収容されずに搬送が乱れたり、搬送が不能になったりするおそれがある。そこで、従来、縦カーソルと幅カーソルを連動させる技術が検討されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-222441号公報
【特許文献2】特開2008-266023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された構成では、径の異なる複数のピニオンが上下方向に重ねて設けられているため、給紙トレイの上下方向のサイズが大きくなってしまう。特許文献2に記載された構成では、縦カーソルが搬送方向に対して斜めの溝を備え、縦カーソルのスライドに伴って、幅カーソルに設けられた突起を溝に沿ってスライドさせるため、溝と突起との摺動抵抗により、縦カーソルを動かす労力が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、1つのピニオンで縦カーソルと幅カーソルを連動させることのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、シートの搬送方向にスライドし、前記シートの前記搬送方向上流側の端部を位置決めする縦カーソルと、前記搬送方向と交差する前記シートの幅方向にスライドし、前記シートの前記幅方向の両端部を位置決めする1対の幅カーソルと、前記1対の幅カーソルの間に設けられたピニオンと、前記1対の幅カーソルの各々に前記幅方向を長手方向として設けられ、前記ピニオンを挟んで互いに対向する1対の幅ラックと、を備え、前記縦カーソルは、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置へ前記縦カーソルがスライドした場合に、前記第1サイズに対応する位置から前記第2サイズに対応する位置に前記1対の幅カーソルをスライドさせるように前記ピニオンを回転させる縦ラックを備える。
【0008】
前記縦ラックは、前記搬送方向を長手方向とする開口部に設けられ、
前記ピニオンは、前記開口部に配置されていてもよい。
【0009】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置の本体に挿抜可能な給紙カセットを備え、前記縦カーソル、前記1対の幅カーソル、前記ピニオン、前記1対の幅ラック及び前記縦ラックは前記給紙カセットに設けられていてもよい。
【0010】
前記画像形成装置は、前記幅方向に揺動可能に前記縦カーソルに設けられた規制部材と、前記規制部材に設けられ、前記第1サイズ及び前記第2サイズに対応する位置に前記縦カーソルが位置する場合に前記ピニオンと噛み合う、前記縦ラックの歯よりも歯丈の長い突起部と、を備えていてもよい。
【0011】
前記画像形成装置は、前記突起部が前記ピニオンと噛み合う方向に前記規制部材を付勢する付勢部材を備えていてもよい。
【0012】
前記幅カーソルの前記シートの端部に接触する部分は、前記搬送方向の中央部が切り欠かれていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つのピニオンで縦カーソルと幅カーソルを連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る給紙カセットを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る給紙カセットの主要部を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る縦カーソル及び縦ラックを示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る幅カーソル、幅ラック及びピニオンを示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る縦カーソルと幅カーソルがA4サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る縦カーソルと幅カーソルがレターサイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る縦カーソルと幅カーソルがA5サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る縦カーソルと幅カーソルがA6サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の変形例に係る縦ラックを示す底面図である。
【
図12】本発明の一実施形態の変形例に係る規制部材を示す底面図である。
【
図13】本発明の一実施形態の変形例に係る規制部材を示す平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態の変形例に係る規制部材が縦ラックに取り付けられた様子を示す底面図である。
【
図15】本発明の一実施形態の変形例に係る規制部材の動作を示す底面図である。
【
図16】本発明の一実施形態の変形例に係る幅カーソルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
【0016】
最初に、画像形成装置100の全体の構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の外観を示す斜視図である。
図2は、画像形成装置100の内部構成を模式的に示す側面図である。以下、
図2における紙面左側を画像形成装置100の正面側(前側)とし、左右の向きは画像形成装置100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0017】
画像形成装置100は、プリンター1と、スキャナー110と、原稿搬送装置120と、を備える。プリンター1の上方にスキャナー110が設けられ、スキャナー110の上方に原稿搬送装置120が設けられている。原稿搬送装置120は、スキャナー110の読取位置を経由する搬送路に沿って原稿を搬送する。スキャナー110は、フラットベッド型のイメージスキャナーであり、原稿を読み取って画像データを生成する。プリンター1は、画像データに基づく画像をシートSに形成する。
【0018】
プリンター1とスキャナー110は、ハウジング3により一体化されている。ハウジング3の内部の下部には、シートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを後方に送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4は、前方に引き出すことが可能である。給紙カセット4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6が設けられ、作像装置6の後上方には、トナー像をシートSに定着させる定着装置7が設けられている。定着装置7の前上方には、トナー像が定着されたシートSを排出する排紙ローラー8と、排出されたシートSが積載される排紙トレイ9が設けられている。
【0019】
ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から作像装置6、定着装置7を経て排紙ローラー8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されており、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が搬送方向Yの複数箇所に設けられている。作像装置6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。定着装置7の後方には、定着装置7よりも搬送方向Y下流側で搬送路10から分岐し、レジストローラー18よりも搬送方向Y上流側で搬送路10に合流する搬送路10Rが設けられている。
【0020】
ハウジング3の前側には、矩形の開口部3Aと、開口部3Aを塞ぐカバー3Cが設けられている。カバー3Cの下端部はヒンジ支点3Hを介してハウジング3に結合されている。カバー3Cは、ヒンジ支点3Hを中心として開閉可能である。カバー3Cは、作像装置6等のメンテナンスの際に開けられる。また、カバー3Cは、手差しにてシートSを供給する際の手差しトレイを兼ねる。ヒンジ支点3Hの上方には、給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4と作像装置6との間には、給紙ローラー5を始点としてレジストローラー18よりも搬送方向Y上流側で搬送路10に合流する搬送路10Tが設けられている。
【0021】
作像装置6は、光の照射により電位が変化する感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12、画像データに応じたレーザー光を出射する露光装置13、感光体ドラム11にトナーを供給する現像装置14、感光体ドラム11からシートSへトナー像を転写する中間転写ユニット15、及び、感光体ドラム11に残留したトナーを除去するクリーニング装置16を備える。中間転写ユニット15は、駆動ローラー15Dと従動ローラー15Nに巻き掛けられた無端の中間転写ベルト15B、感光体ドラム11に対応する位置で中間転写ベルト15Bの内周面に対向し、一次転写バイアスを発生する一次転写ローラー151、及び、駆動ローラー15Dに対応する位置で中間転写ベルト15Bの外周面に対向し、二次転写バイアスを発生する二次転写ローラー152を備える。現像装置14には、現像装置14にトナーを供給するトナーコンテナ20が接続されている。
【0022】
制御部2は、演算部と記憶部とを備える。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0023】
スキャナー110の前側には、操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、表示パネルと、表示パネルの表示面に重ねて設けられたタッチパネルと、表示パネルに隣接するキーパッドと、を備える。制御部2は、プリンター1及びスキャナー110の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてプリンター1及びスキャナー110の各部を制御する。
【0024】
画像形成装置100の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。外部のコンピューター等からプリンター1に片面印刷の印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正し、レジストローラー18が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6においては、帯電装置12が感光体ドラム11を所定の電位に帯電させ、露光装置13が感光体ドラム11に潜像を書き込み、現像装置14がトナーコンテナ20から供給されたトナーを用いて潜像を現像することでトナー像を形成し、一次転写ローラー151がトナー像を中間転写ベルト15Bに転写し、二次転写ローラー152がトナー像をシートSに転写する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排紙ローラー8が排紙トレイ9にシートSを排出する。クリーニング装置16は、感光体ドラム11に残留したトナーを除去する。両面印刷の場合、第1面にトナー像が定着されたシートSが搬送路10Rを経由して搬送路10に送り込まれることで、第2面にトナー像が転写される。
【0025】
次に、給紙カセット4の構成について説明する。
図3は、給紙カセット4を示す平面図である。
図4は、給紙カセット4の主要部を示す平面図である。
図5は、縦カーソル21及び縦ラック部材22を示す平面図である。
図6は、幅カーソル31、幅ラック32及びピニオン41を示す平面図である。
【0026】
画像形成装置100は、シートSの搬送方向Yにスライドし、シートSの搬送方向Y上流側の端部を位置決めする縦カーソル21と、搬送方向Yと交差するシートSの幅方向Xにスライドし、シートSの幅方向Xの両端部を位置決めする1対の幅カーソル31と、1対の幅カーソル31の間に設けられたピニオン41と、1対の幅カーソル31の各々に幅方向Xを長手方向として設けられ、ピニオン41を挟んで互いに対向する1対の幅ラック32と、を備え、縦カーソル21は、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置へ縦カーソル21がスライドした場合に、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置に1対の幅カーソル31をスライドさせるようにピニオン41を回転させる縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)を備える。
【0027】
[縦カーソル]
縦カーソル21は(
図3乃至5参照)、給紙カセット4の底部上面に設けられ、搬送方向Yにスライド可能である。給紙カセット4の底部上面には、搬送方向Yに所定のピッチで形成された凹凸部26が設けられている。縦カーソル21の搬送方向Y下流側の端部には、下方に突出した突起部25が設けられている。縦カーソル21の搬送方向Y上流側の端部には、上方に突出した把持部24が設けられている。把持部24を把持して突起部25を凹凸部26に噛み合わせることで、縦カーソル21が固定される。給紙カセット4の底部上面には、シートSのサイズに応じた縦カーソル21の位置を示す目盛(図示省略)が表示されている。シートSのサイズに応じた目盛の位置で突起部25を凹凸部26に噛み合わせることで、シートSのサイズに応じた位置で縦カーソル21が固定される。
【0028】
[幅カーソル]
1対の幅カーソル31は(
図3、4、6参照)、縦カーソル21よりも搬送方向Y下流側に設けられ、搬送方向Yと交差するシートSの幅方向Xにスライド可能である。
【0029】
[ピニオン]
ピニオン41は、1対の幅カーソル31の間に設けられている。ピニオン41は、1対の幅カーソル31から概ね等距離の位置に設けられている。ピニオン41は、上下方向を軸方向として回転可能である。
【0030】
[幅ラック]
幅ラック32(
図6参照)は、幅方向Xを長手方向とするラックである。幅ラック32は、幅カーソル31の各々に設けられている。1対の幅ラック32は、ピニオン41を挟んで互いに対向している。左側の幅カーソル31に設けられた幅ラック32は、ピニオン41よりも搬送方向Y下流側に設けられている。右側の幅カーソル31に設けられた幅ラック32は、ピニオン41よりも搬送方向Y上流側に設けられている。ピニオン41が時計回り方向に回転すると、左右の幅カーソル31がそれぞれ右方、左方にスライドし、左右の幅カーソル31の距離が縮まる。ピニオン41が反時計回り方向に回転すると、左右の幅カーソル31がそれぞれ左方、右方にスライドし、左右の幅カーソル31の距離が拡がる。
【0031】
[縦ラック]
縦ラック部材22(
図5参照)は、搬送方向Yを長手方向とする板状部材である。縦ラック部材22は、幅ラック32の下方に設けられている。縦ラック部材22の左右方向の中央には、搬送方向Yを長手方向とする長方形の開口部23が設けられている。縦ラック部材22は、第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223を備える。縦ラック部材22は、いずれも、搬送方向Yを長手方向とするラックである。第1縦ラック221は、開口部23の右側の縁部の搬送方向Y下流側の部分に設けられている。第2縦ラック222は、開口部23の左側の縁部の第1縦ラック221よりも搬送方向Y上流側に設けられている。第3縦ラック223は、開口部23の左側の縁部の第2縦ラック222よりも搬送方向Y上流側に設けられている。第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223の歯数は、それぞれ、2、15、9である。
【0032】
次に、給紙カセット4の動作について説明する。
図7は、縦カーソル21と幅カーソル31がA4サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
図8は、縦カーソル21と幅カーソル31がレターサイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
図9は、縦カーソル21と幅カーソル31がA5サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
図10は、縦カーソル21と幅カーソル31がA6サイズに対応する位置にある様子を示す平面図である。
【0033】
最初に、A4サイズから(第1サイズの一例)レターサイズ(第2サイズの一例)への調整について説明する(
図7、8参照)。A4サイズは、搬送方向Yの長さが297mm、幅方向X長のさが210mmである。レターサイズは、搬送方向Yの長さが279.4mm、幅方向Xの長さが215.9mmである。従って、A4サイズからレターサイズへの長さの変化は、搬送方向Yに17.6mmの短縮であり、幅方向Xに5.9mmの拡張である。
図7に示す状態から縦カーソル21を17.6mmだけ搬送方向Yへスライドさせる間に、第1縦ラック221によってピニオン41が反時計回り方向に歯数2個分だけ回転させられる。この回転により、左右の幅カーソル31がそれぞれ2.95mmだけ左方、右方にスライドさせられる。その結果、左右の幅カーソル31の間隔が5.9mmだけ拡張される。
【0034】
次に、レターサイズ(第1サイズの一例)からA5サイズ(第2サイズの一例)への調整について説明する(
図8、9参照)。A5サイズは、搬送方向Yの長さが210mm、幅方向Xの長さが148mmである。従って、レターサイズからA5サイズへの長さの変化は、搬送方向Yに69.4mmの短縮であり、幅方向Xに67.9mmの短縮である。
図8に示す状態から縦カーソル21を69.4mmだけ搬送方向Yへスライドさせる間に、第2縦ラック222によってピニオン41が時計回り方向に歯数15個分だけ回転させられる。この回転により、左右の幅カーソル31がそれぞれ33.95mmだけ右方、左方にスライドさせられる。その結果、左右の幅カーソル31の間隔が67.9mmだけ短縮される。
【0035】
次に、A5サイズ(第1サイズの一例)からA6サイズ(第2サイズの一例)への調整について説明する(
図9、10参照)。A6サイズは、搬送方向Yの長さが148mm、幅方向Xの長さが105mmである。従って、A5サイズからA6サイズへの長さの変化は、搬送方向Yに62mmの短縮であり、幅方向Xに43mmの短縮である。
図9に示す状態から縦カーソル21を62mmだけ搬送方向Yへスライドさせる間に、第3縦ラック223によってピニオン41が時計回り方向に歯数9個分だけ回転させられる。この回転により、左右の幅カーソル31がそれぞれ21.5mmだけ右方、左方にスライドさせられる。その結果、左右の幅カーソル31の間隔が43mmだけ短縮される。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置100によれば、シートSの搬送方向Yにスライドし、シートSの搬送方向Y上流側の端部を位置決めする縦カーソル21と、搬送方向Yと交差するシートSの幅方向Xにスライドし、シートSの幅方向Xの両端部を位置決めする1対の幅カーソル31と、1対の幅カーソル31の間に設けられたピニオン41と、1対の幅カーソル31の各々に幅方向Xを長手方向として設けられ、ピニオン41を挟んで互いに対向する1対の幅ラック32と、を備え、縦カーソル21は、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置へ縦カーソル21がスライドした場合に、第1サイズに対応する位置から第2サイズに対応する位置に1対の幅カーソル31をスライドさせるようにピニオン41を回転させる縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)を備える。この構成によれば、1つのピニオン41で縦カーソル21と幅カーソル31を連動させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)は、搬送方向Yを長手方向とする開口部23に設けられ、ピニオン41は、23開口部に配置されている。この構成によれば、開口部23の搬送方向Yに沿う2辺でピニオン41の回転方向を異ならせることができるから、第1サイズと第2サイズとで搬送方向Yの長さの増減と幅方向Xの長さの増減とが一致する場合と、第1サイズと第2サイズとで搬送方向Yの長さの増減と幅方向Xの長さの増減とが逆である場合との両方に対応することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、画像形成装置100の本体に挿抜可能な給紙カセット4を備え、縦カーソル21、1対の幅カーソル31、ピニオン41、1対の幅ラック32及び縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)は給紙カセット4に設けられている。この構成によれば、給紙カセット4に設けられた縦カーソル21と幅カーソル31を1つのピニオン41で連動させることができる。
【0039】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0040】
図11は、縦カーソル21及び縦ラック部材22を示す底面図である。
図12は、規制部材51を示す底面図である。
図13は、規制部材51を示す平面図である。
図14は、規制部材51が縦ラック部材22に取り付けられた様子を示す底面図である。
図15は、規制部材51の動作を示す底面図である。画像形成装置100は、幅方向Xに揺動可能に縦カーソル21に設けられた規制部材51と、規制部材51に設けられ、第1サイズ及び第2サイズに対応する位置に縦カーソル21が位置する場合にピニオン41と噛み合う、縦ラック(第1縦ラック221、第2縦ラック222、第3縦ラック223)の歯よりも歯丈の長い突起部54と、を備える。また、画像形成装置100は、突起部54がピニオン41と噛み合う方向に規制部材51を付勢する付勢部材56を備える。
【0041】
具体的には、縦ラック部材22には、搬送方向Y上流側の端部から左方に突出したアーム部27が設けられている。アーム部27の先端側には、ピボット孔28が設けられている。規制部材51は、搬送方向Yを長手方向とする板状の部材であり、縦ラック部材22の第2縦ラック222及び第3縦ラック223が設けられている部位に沿って設けられている。規制部材51の右縁部のうち、A4サイズ、レターサイズ、A5サイズ、A6サイズにおけるピニオン41の中心に対応する部位に突起部54が設けられている。規制部材51には、搬送方向Y上流側の端部から左方に突出したアーム部52が設けられている。アーム部52の先端側には、ピボットピン53が設けられている。ピボットピン53は、ピボット孔28に挿入されている。規制部材51は、縦ラック部材22に対してピボットピン53を中心として幅方向Xに揺動可能である。
【0042】
把持部55は、縦カーソル21の把持部24よりも搬送方向Y上流側に設けられている。把持部24と把持部55との間には、付勢部材56(圧縮コイルばね)が設けられている。付勢部材56は、突起部54をピニオン41に噛み合わせる方向に規制部材51を付勢する(
図14において反時計回り方向)。突起部54は、縦ラック部材22の歯よりも歯丈が長いため、付勢部材56によってピニオン41の歯と歯の間に突起部54が押し込まれると、突起部54の先端部がピニオン41の歯底まで到達し、ピニオン41の回転が規制される。把持部24と把持部55を握って力を加えると、規制部材51が時計回り方向(
図15参照)に回転するため、突起部54とピニオン41との噛み合いが外れてピニオン41が回転可能となり、縦カーソル21のスライドが可能となる。この構成によれば、縦カーソル21及び幅カーソル31の不用意な移動を防ぐことができる。
【0043】
図16は、幅カーソル31を示す斜視図である。幅カーソル31のシートSの幅方向Xの端部に接触する部分は、搬送方向Yの中央部が切り欠かれている。幅カーソル31は、積載されたシートSの幅方向Xの移動を規制するための最小限の剛性を備えている。そのため、ユーザーが誤って幅カーソル31に触れた場合に、幅カーソル31のシートSの幅方向Xの端部に接触する部分が変形することで、幅カーソル31の不用意な移動を防ぐことができる。また、幅カーソル31のシートSの幅方向Xの端部に接触する部分には、弧の部分への接触に対する注意を喚起するマーク33が表示されている。
【0044】
上記実施形態では、本発明に係る構成が給紙カセット4に設けられた例が示されたが、本発明に係る構成が画像形成装置100のハウジング3に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 画像形成装置
4 給紙カセット
21 縦カーソル
22 縦ラック部材
221 第1縦ラック(縦ラック)
222 第2縦ラック(縦ラック)
223 第3縦ラック(縦ラック)
31 幅カーソル
32 幅ラック
41 ピニオン
51 規制部材
54 突起部
56 付勢部材