(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125502
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】地盤の電気特性測定装置
(51)【国際特許分類】
E02D 1/00 20060101AFI20230831BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
E02D1/00
G01N27/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029624
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】落合 裕正
(72)【発明者】
【氏名】湊 太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佳子
(72)【発明者】
【氏名】内田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】正木 今日太
(72)【発明者】
【氏名】牛島 栄
【テーマコード(参考)】
2D043
2G060
【Fターム(参考)】
2D043AB01
2D043BA10
2G060AA14
2G060AF07
2G060AF11
2G060AG04
2G060AG11
(57)【要約】
【課題】 地盤の電気的性質を効率よく測定することができ、盛土の締固め管理を容易に行うことが可能な地盤の電気特性測定装置を提供する。
【解決手段】 地盤の電気的特性を測定する電気特性測定装置1であって、本体2と、該本体に回転可能に軸支された貫入プローブ3と、該貫入プローブに接続された貫入装置4と、本体に接続された測定機器5を備え、貫入プローブは、ロッド31と貫入部材32を備え、ロッドの上端部に貫入装置が接続され、ロッドの中間部にはセンサ部33が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の電気的特性を測定する測定装置であって、
本体と、該本体に回転可能に軸支された貫入プローブと、該貫入プローブに接続された貫入装置と、前記本体に接続された測定機器を備え、
前記貫入プローブは、ロッドと、該ロッドの下端部に設けられた、先端がテーパー状の貫入部材を備え、前記ロッドの上端部に前記貫入装置が接続され、
前記ロッドの中間部には、2以上のリング状電極を絶縁体で挟んだセンサ部と、前記リング状電極に接続され、前記ロッドの内部に配設された配線とが設けられ、
該配線は、前記本体の軸支部に設けられたスリップリングを介して前記本体の電気信号入出力部に電気的に接続され、
前記電気信号入出力部に前記測定機器が接続されていることを特徴とする地盤の電気特性測定装置。
【請求項2】
前記センサ部の2以上のリング状電極及び絶縁体の各々が着脱可能に設けられていることを特徴する請求項1に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項3】
前記貫入部材が、着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項4】
前記貫入装置が、電動式又は手動式の回転装置であり、前記貫入プローブの上端部に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項5】
前記本体の前記貫入プローブの軸支部にベアリングが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項6】
前記本体には、前記貫入プローブの回転に伴う本体の回転を抑止するとともに、前記貫入プローブを地盤に対して鉛直方向に押圧するための支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項7】
前記測定機器が、地盤の電気抵抗、誘電率、比抵抗のいずれかが測定可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項8】
前記本体の電気信号入出力部に接続された測定機器が、取得したデータの送受信機能を備えており、有線又は無線により他の機器にデータを蓄積可能に接続されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【請求項9】
前記測定機器が、前記貫入プローブの位置情報を取得可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の地盤の電気特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の電気特性測定装置に関するものであり、詳しくは、盛土の締固め管理に用いる地盤の電気特性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土地造成は、盛土を所定の厚さとなるようにブルドーザー等によって撒き出し、その後、振動ローラ等の転圧機械で締固めることにより行われる。このような土地造成においては、事前に転圧機械での転圧試験により決定した転圧回数で盛土の転圧を行うことで、盛土を所定の固さとなるように締め固めている。しかしながら、実際の土地造成においては、盛土の土質は一定ではなく、土質の変化により締固めに必要な転圧回数が変化する。
【0003】
一方、上記盛土の締固めの固さを把握する方法としては、従来より、ラジオアイソトープ(RI)法により地盤の密度・水分を測定する方法(特許文献1)、砂置換法により地盤の密度を測定する方法(特許文献2)、地表面において所定の間隔で複数の電極を地盤に貫入し任意の電極間に電流を流し計測した電位差から比抵抗値を算出する方法(特許文献3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-206865号公報
【特許文献2】特許第5380626号公報
【特許文献3】特開2002-181953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ラジオアイソトープ(RI)法を用いる締固め管理においては、測定時にRI放射線源となる棒鋼を挿入するための測定孔を空ける必要があり、RI装置本体も重量物であるため測定作業には手間がかかる。また、砂置換法を用いる締固め管理は、作業が煩雑であり、得られる値も作業者による人為的誤差が生じやすい。
【0006】
さらに、比抵抗値による締固め管理は、使用する複数の電極をそれぞれ地盤へ貫入する必要があり、さらに電極を固い地盤に貫入させるために、予め電極を挿入するための測定孔を予め空けておく必要がある。即ち、上記の従来の盛土の締固め管理方法では、連続的に任意の箇所を効率よく測定することは非常に困難であった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、地盤の電気的性質を効率よく測定することができ、盛土の締固め管理を容易に行うことが可能な地盤の電気特性測定装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地盤の電気特性測定装置は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
【0009】
第1に、本発明の地盤の電気特性測定装置は、地盤の電気的特性を測定する測定装置であって、
本体と、該本体に回転可能に軸支された貫入プローブと、該貫入プローブに接続された貫入装置と、前記本体に接続された測定機器を備え、
前記貫入プローブは、ロッドと、該ロッドの下端部に設けられた、先端がテーパー状の貫入部材を備え、前記ロッドの上端部に前記貫入装置が接続され、
前記ロッドの中間部には、2以上のリング状電極を絶縁体で挟んだセンサ部と、前記リング状電極に接続され、前記ロッドの内部に配設された配線とが設けられ、
該配線は、前記本体の軸支部に設けられたスリップリングを介して前記本体の電気信号入出力部に電気的に接続され、
前記電気信号入出力部に前記測定機器が接続されていることを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記センサ部の2以上のリング状電極及び絶縁体の各々が着脱可能に設けられていることが好ましい。
第3に、上記第1又は第2の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記貫入部材が、着脱可能に設けられていることが好ましい。
第4に、上記第1から第3の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記貫入装置が、電動式又は手動式の回転装置であり、前記貫入プローブの上端部に着脱可能に設けられていることが好ましい。
第5に、上記第1から第4の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記本体の前記貫入プローブの軸支部にベアリングが設けられていることが好ましい。
第6に、上記第1から第5の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記本体には、前記貫入プローブの回転に伴う本体の回転を抑止するとともに、前記貫入プローブを地盤に対して鉛直方向に押圧するための支持部材が設けられていることが好ましい。
第7に、上記第1から第6の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記測定機器が、地盤の電気抵抗、誘電率、比抵抗のいずれかが測定可能であることが好ましい。
第8に、上記第1から第7の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記本体の電気信号入出力部に接続された測定機器が、取得したデータの送受信機能を備えており、有線又は無線により他の機器にデータを蓄積可能に接続されていることが好ましい。
第9に、上記第1から第8の発明の地盤の電気特性測定装置において、前記測定機器が、前記貫入プローブの位置情報を取得可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の地盤の電気特性測定装置によれば、盛土の任意の場所における土質毎の電気的特性を測定することで盛土の締固め状況を容易に把握することができる。また、測定作業に手間がかからず、煩雑な作業と人為的誤差が生じることがない。また、地盤へ電極を貫入する際の煩雑な作業を軽減することができるため、人為的測定誤差が生じることが少なく、効率よく正確に測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る地盤の電気特性測定装置の一実施形態についての概略図である。
【
図2】貫入部材のバリエーションを示す概略図であり、(A)~(D)は正面図であり、(A’)~(D’)は上面視図である。
【
図4】本体における貫入プローブの軸支部を示す概略断面図である。
【
図5】支持部材のバリエーションを示す概略図であり、(A)、(B)は正面図であり、(A’)、(B’)は上面視図である。
【
図8】地盤の電気特性測定装置をスタンドに固定した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態をあげて、図面により本発明の地盤の電気特性測定装置を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る地盤の電気特性測定装置の一実施形態の概略図である。
【0013】
本実施形態の地盤の電気特性測定装置1(以下、測定装置ともいう)は、地盤の電気的特性を測定する測定装置であり、本体2と、該本体2を貫通して回転可能に軸支された貫入プローブ3と、本体2に接続された測定機器5を備えている。
【0014】
<貫入プローブ>
貫入プローブ3は、ロッド31と、ロッド31の下端部に設けられた貫入部材32と、ロッド31の中間部に設けられたセンサ部33を備えている。また、ロッド31の上端部には貫入装置4が設けられている。
【0015】
本実施形態の貫入プローブ3におけるロッド31は、長尺の管状部材であり、材質は、貫入プローブ3の回転により容易に変形、断裂が生じないものであれば限定されず、例えば、ステンレス管、アルミニウム管、塩化ビニル管等を用いることができる。ロッド31の長さは20~100cm程度が好ましく、外径は5~30mm程度が好ましい。
【0016】
ロッド31の下端部に設けられる貫入部材32は、地盤に貫入プローブ3を容易に貫入させるための部材であり、先端がテーパー状(円錐状)で、地盤の性状に適した形状のものを適宜用いることができる。具体的には、例えば、
図2(A)に示すような直線状のテーパーリーマー形状や、
図2(B)~(D)に示すようなドリル形状のものを例示することができる。
【0017】
貫入部材32の先端部の角度は、地盤への貫入容易性の観点から10~90度が好ましい。また、
図2(B)~(D)に示すドリルの螺旋状の隆起、窪み、羽根の傾きは0~90度が好ましく、羽根の伸張方向と貫入プローブ3の貫入方向とのなす角度は90度以上であることが好ましい。
【0018】
また、貫入部材32は着脱可能に接続されているのが好ましい。接続方法としては、例えば、貫入部材32の後端部に雄ネジ又は雌ネジを形成するともに、ロッド31の先端部に雌ネジ又は雄ネジを形成して、各々を螺合させることにより容易に着脱可能に接続することができる。貫入部材32を着脱可能に接続することにより、地盤の特性に応じて適した形状の貫入部材32に容易に変更することができ、また、貫入時の摩耗等で破損した場合にも容易に交換が可能となる。
【0019】
ロッド31の中間部に設けられるセンサ部33は、
図1、
図3に示すように、リング状電極331を長手方向に絶縁体332で挟んだ構成を有している。また、リング状電極331には配線333が接続されており、配線333は
図3に示すように、ロッド31の内部を上方に向けて配設されている。また、センサ部33の位置は、地盤への貫入深さを考慮して適宜決定することができるが、通常、可能な限りロッド31の先端部近傍に設けるのが好ましい。
【0020】
リング状電極331及び絶縁体332は各々が独立して着脱可能に設けられており、リング状電極331は2以上設けられ、測定するデータの種類等を考慮した場合4個以上設けるのが好ましい。着脱可能なリング状電極331及び絶縁体332の固定構造としては、例えば、
図3に示すように、ロッド31の下端に段差を設けてリング状電極331及び絶縁体332を勘合させる構造とすることができる。また、ロッド31下端から長手方向に中空構造にすることにより、リング状電極331に接続した配線333をロッド31内に配設することができる。なお、この場合、ロッド31表面とリング状電極331の接触面は絶縁処理を施しておく必要がある。リング状電極331及び絶縁体332を着脱可能とすることにより、地盤への貫入によりリング状の電極又は絶縁体332が摩耗したり破損した場合でも容易に交換することができる。
【0021】
リング状電極331に用いる材料は、伝導性を有し、容易に摩耗、破損しない材料であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム、鉄、銅、金、銀等の金属や、ステンレスなどの合金、又はその他の導電性物質を用いることができる。
【0022】
絶縁体332に用いる材料は、例えば、塩化ビニル、フェノール樹脂、ガラス、ゴム、プラスチック等、又はその他の非導電性物質を用いることができる。
【0023】
絶縁体332幅(電極間幅)及び電極幅は、測定対象の地盤等に応じて適宜決定することができ特に限定されるものではないが、測定データの信頼性等の観点から、絶縁体332幅は1~60mmが好ましく、20mmがより好ましい。また、電極幅は1~10mmが好ましく、5mmがより好ましい。また、センサ部33の外径は、ロッド31の外径と同等程度の5~30mmが好ましい。
【0024】
ロッド31の上端部には貫入装置4が設けられている。貫入装置4は、貫入プローブ3を回転させながら地盤に貫入させるための装置であり、
図1に示すような電動式貫入装置41や手動式貫入装置の回転装置を用いることができる。また、
図6に示すようなハンマー42等を用いた打撃による貫入も可能である。
【0025】
電動式貫入装置41としては、電動ドリルやハンマードリル等を例示することができる。また、これらは充電式のほか、可搬式発電機や土工物の施工機械、自走式サンプラー等に接続して電源を供給して稼働させることができる。手動式貫入装置としては、手動ハンドドリル等を例示することができる。これら手動式貫入装置は、人力で回転させることができる。
【0026】
貫入装置4の回転数及び回転トルクは、センサ部33等に摩擦による過度な損傷を与えない程度の低速の回転を与えるものであり、その回転速度は1~1000rpmが好ましく、1~100rpmがより好ましく、1~50rpmが更に好ましい。また、回転トルクは10N・m以上が好ましく、100N・m以上がより好ましく、200N・m以上が更に好ましい。
【0027】
また、貫入装置4は、ロッド31の上端部に着脱可能に設けられる構成とするのが好ましい。貫入装置4を着脱可能とすることにより、可搬性を向上させることができるとともに、貫入プローブ3の貫入後に貫入装置4を取り外しておくことで、作業中の安全性を確保し、貫入手段の重量による貫入プローブ3への負荷を軽減し、貫入プローブ3自体を自立させることが可能となる。なお、貫入装置4の着脱はドリルチャック等により容易に行うことができる。
【0028】
貫入装置4の動作により、地盤に対して貫入プローブ3を容易に貫入させることが可能となる。また、測定後に貫入時と逆回転のトルクを加えることで容易に貫入プローブ3を引き抜くことができる。
【0029】
<本体>
本実施形態の測定装置1の本体2には、上記構成の貫入プローブ3が本体2を貫通した状態で回転自在に軸支されている。また、軸支部は貫入プローブ3の上端部近傍が好ましく、
図4に示すように、ベアリング23を設けることにより、貫入プローブ3の軸方向の回転をスムーズなものとしている。
【0030】
なお、貫入プローブ3は、ベアリング23を介して本体2に軸支されることにより、回転軸方向にはスムーズな回動を実現できるが、軸方向(上下方向)には移動しないため、本体2を地盤方向鉛直に押圧させた場合、その力を直接貫入プローブ3の軸方向に伝えることができ、容易に貫入プローブ3を地盤に貫入させることができる。
【0031】
また、本体2には、電気信号入出力部21及びスリップリング22が設けられており、貫入プローブ3の配線333がスリップリング22を介して電気信号入出力部21に電気的に接続されている。上記の構成とすることにより、貫入装置4により貫入プローブ3に回転力を与えた状態でも、本体2に設けられたスリップリング22により、センサ部33から延長されたケーブルは、回転の影響を受けることがない。即ち、貫入プローブ3のセンサ部33を地盤に貫入させた状態で、電気信号入出力部21の入力端子から入力した所定の電気信号に基づいて、センサ部33で取得した情報を出力端子から出力することができる。
【0032】
さらに、本体2には、本体2の側面から水平方向に突出させた円柱状の支持部材24を設けることができる。支持部材24は、人の手で握持して測定装置1を支えるための部材であり、貫入プローブ3の回転に伴う本体2の回転を抑止するとともに、貫入プローブ3を地盤に対して鉛直方向に押圧しやすくすることができる。
【0033】
支持部の形状は、人が握持しやすく、上方から押さえ付ける力を加えやすい形状であればその形状は特に限定されるものではなく、例えば、
図5(A)、(A’)に示すような握持する箇所に滑り防止のためのグリップを設けたものや、
図5(B)、(B’)に示すような端部に湾曲の補助部を形成したものとすることもできる。
【0034】
<測定機器>
本体2の電気信号入出力部21には、測定機器5が接続される。測定機器5は、電気信号入出力部21の入力端子から所定の電気信号を入力し、センサ部33で取得した電気的な情報を出力端子から得て解析する装置である。測定機器5で測定可能な電気的な情報としては、電気抵抗、導電率、比抵抗を挙げることができる。具体的な測定機器5としては、GeoVES-1大地抵抗率計・接地抵抗計(株式会社ジオファイブ製)等を用いることができ、これらにより地盤の電気的特性を正確に測定することができる。
【0035】
測定機器5は、通常、
図7(A)に示すように本体2の電気信号入出力部21にケーブルを介して接続され、別体で設置して用いられる。このように本体2に対して着脱可能とすることにより、貫入プローブ3貫入時には測定機器5を取り外して貫入作業を行い、貫入プローブ3貫入後に測定機器5を取り付けることで作業中の機器の取り回しを容易とし、作業性、安全性を向上させることができる。また、測定機器5は、
図7(B)に示すように本体2と測定機器5を一体の構成とすることもできる。
【0036】
さらに、
図7(C)に示すように、電気信号入出力部21に送受信装置51を接続し、取得データを測定機器5に送信する構成とすることもできる。これにより、本体2と測定機器5の互いの電波が届く範囲でのデータ送受信が可能となる。なお、この構成の場合は貫入プローブ3への電気の供給を別途考慮する必要がある。
【0037】
また、本体2には、位置測定手段を設けることができる。位置測定手段とは、例えばGPSを挙げることができる。位置測定手段を設けることにより、貫入プローブ3の正確な位置を記録することが可能となり、地盤の電気的性質を面的に把握し、これにより土質の分布を予測することが可能となる。
【0038】
また、測定機器5に取得したデータの送受信機能を設けて、有線又は無線により他の機器に接続することもできる。具体的には、測定機器5で取得したデータを送受信機能によりパソコンに送信し、パソコン内に蓄積、解析させることができる。さらに、測定機器5を送受信機能によりインターネットに接続し、ネット上の特定のサーバーやクラウド環境にデータを蓄積させることもできる。
【0039】
また、本発明においては、
図8に示すように、電気特性測定装置1を上下に昇降可能なスタンド6に固定して用いることもできる。なお、この使用形態の場合には、スタンド6のアーム部61に測定装置1の本体2を固定することにより、人の手で握持して測定装置1を支えるための支持部材24を省略することができる。上記スタンド6を用いることで、測定装置1の位置決めや支持が容易になるため、作業性や測定精度を向上させることができる。また、スタンド6の下部に車輪やクローラを設けることで、可搬性が向上し大規模な範囲での測定が容易になる。
【0040】
上記構成を備えた本発明の地盤の電気特性測定装置によれば、貫入プローブを容易に地盤に対して垂直に押し当てて貫入することが可能となる。また、貫入後はそのままの状態で、センサ部で得られた地盤の電気特性を計測、解析することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 電気特性測定装置
2 本体
21 電気信号入出力部
22 スリップリング
23 ベアリング
24 支持部材
3 貫入プローブ
31 ロッド
32 貫入部材
33 センサ部
331 リング状電極
332 絶縁体
333 配線
4 貫入装置
41 電動式貫入装置
42 ハンマー
5 測定機器
51 送受信装置
6 スタンド
61 アーム部