IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクセルロン ファーマ, インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-12552免疫活性の増加における使用のためのTGFβおよびACTRIIアンタゴニスト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012552
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】免疫活性の増加における使用のためのTGFβおよびACTRIIアンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230118BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 16/22 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/71 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/00 H
A61P31/00
A61P35/02
A61P17/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P13/10
A61P43/00 105
A61P1/02
A61P1/04
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/16
A61P15/00
A61P25/00
A61P21/00
A61P35/04
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P43/00 121
C07K16/22
C07K16/46
C07K16/18
C07K16/28
C07K14/705
C07K14/71
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181719
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2019562229の分割
【原出願日】2018-01-31
(31)【優先権主張番号】62/453,413
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】509125475
【氏名又は名称】アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スコット ピアーソル
(72)【発明者】
【氏名】ラビンドラ クマール
(57)【要約】
【課題】免疫活性の増加における使用のためのTGFβおよびACTRIIアンタゴニストの提供。
【解決手段】本明細書には、TGFβアンタゴニストおよびActRIIアンタゴニスト、ならびに例えばがん患者を含む、それを必要とする患者の免疫応答および/または活性を増加させるための方法が開示されている。例えば、ActRIIB-FcおよびTGFβ抗体の組合せを、がんの処置に、ならびに免疫応答を誘導するための方法、免疫疲弊を処置または予防するための方法、抗原に対する免疫応答を誘導または強化するための方法、病原体またはがん抗原と組み合わせて病原体またはがんに対してワクチン接種するための方法、およびワクチンにより誘導された免疫応答を強化するための方法に使用するための方法が開示されている。さらに、同じ方法での抗TGFベータ単独療法が含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年2月1日に出願された米国仮出願第62/453,413号の優先権の利益を主張する。上記出願の明細書全体が、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
がん処置では、化学療法は高い毒性を伴い、耐性がん細胞バリアントの出現に結び付く場合があることが長らく認識されてきた。腫瘍生存および成長に重要な過剰発現または活性化された腫瘍性タンパク質に対する標的療法でさえ、がん細胞は、頻繁に突然変異および適応して、冗長経路の利用などにより、標的経路に対する依存性を低減させる。がん免疫療法は、がん細胞を標的とする代わりに免疫系の活性化に着目する、がん処置における新しいパラダイムである。その原理は、宿主の免疫応答、特に適応性T細胞応答を再武装して、がん細胞を特定および死滅させ、持続性の防御免疫を達成することである。こうした療法は、免疫系の活性増加に向けられているため、がん免疫療法剤は、他の障害において、特に病原体が、免疫回避性であり、および/または宿主免疫系を危険にさらす感染性疾患において免疫応答を向上させる能力についても調査されている。
【0003】
2011年に、黒色腫の処置に対する抗CTLA-4抗体イピリムマブがFDA承認されたことにより、がん免疫療法の新時代が幕を開けた。抗PD-1または抗PD-L1療法が、黒色腫、腎臓および肺がんにおいて永続性応答を誘導したことが臨床試験で実証されたことは、免疫療法が幅広い範囲のがんの処置に使用される可能性をさらに示している(Pardoll, D. M.、Nat Immunol. 2012年;13巻:1129~32頁)。しか
しながら、利用可能なまたは臨床試験でのがん免疫療法の多くは、制限を有する。例えば、イピリムマブ療法は、おそらくは、抗CTLA-4処置が、一次T細胞阻害チェックポイントに干渉することにより、新しい自己反応性T細胞の生成に結び付く場合があるため、高い毒性プロファイルを示す。PD-L1/PD-1相互作用の阻害は、性質がほとんど抗ウイルス性または抗がん性である疲弊T細胞における既存の慢性免疫応答の脱阻害をもたらすが(Wherry, E. J.、Nat Immunol. 2011年;12巻:492~9頁)、しかし、抗PD-1療法は、時として潜在的に致死性の肺関連自己免疫有害事象をもたらす場合がある。
【0004】
このように、患者、特にがんまたは感染性疾患を有する患者の免疫応答を増加させるための有効な療法には、未だ満たされていない高い必要性が依然として存在している。したがって、本開示の目的は、それを必要とする患者の免疫応答を向上増加させるための、ならびにがんおよび感染性疾患を処置するための方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Pardoll, D. M.、Nat Immunol. 2012年;13巻:1129~32頁
【非特許文献2】Wherry, E. J.、Nat Immunol. 2011年;12巻:492~9頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨
部分的には、本明細書で示されたデータは、ActRIIアンタゴニスト(阻害剤)およびTGFβアンタゴニスト(特に、TGFβ2の阻害剤)を、単独でまたは組み合わせて使用して、がんを処置することができることを実証する。特に、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、または汎特異性TGFβ抗体による処置は、別々に、がんモデルの腫瘍負荷を減少させ、生存期間を増加させたことが示された。さらに、TGFβアンタゴニストと組み合わせてActRIIアンタゴニストを使用すると、いずれか一方の作用剤のみで観察される効果と比較して、抗腫瘍活性を相乗的に増加させることができることが示された。したがって、本開示は、部分的には、ActRIIアンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、またはActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストの組合せを、単独でまたは1つもしくは複数の支持療法および/もしくは活性剤と組み合わせて使用して、がんを処置するための、特にがんの1つまたは複数の合併症を処置または予防するための(例えば、腫瘍負荷を低減するための)方法を提供する。加えて、データは、ActRIIおよびTGFβアンタゴニスト療法の有効性が、免疫系に依存することを示す。したがって、部分的には、本開示は、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストを、免疫療法剤として使用して、特に、幅広い様々ながん(例えば、免疫抑制および/または免疫疲弊に関連したがん)を処置することができるという発見に関する。他の公知の免疫腫瘍学的作用剤と同様に、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストが患者の免疫応答を強化する能力は、がん分野以外でもより幅広い治療的意義を有する場合がある。例えば、免疫強化剤が、幅広い様々な感染性疾患、特に免疫抑制および/または免疫疲弊を促進する病原性因子の処置に有用であり得ることが提案されている。また、そのような免疫強化剤は、ワクチン(例えば、感染性疾患およびがんワクチン)の免疫化有効性のブーストに有用であり得る。したがって、本開示は、単独でまたは組み合わせて使用して、必要に応じて1つまたは複数の支持療法および/または追加活性剤と組み合わせて、それを必要とする対象の免疫応答を増加させ、がんを処置し、感染性疾患を処置し、および/または免疫化有効性を増加させることができる種々のActRIIおよびTGFβアンタゴニストを提供する。
【0007】
例に記載されているActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、およびTGFβ抗体は、ActRII結合リガンドおよび/またはTGFβRII結合リガンドの阻害以外の機序により免疫系および/またはがんに影響を及ぼす場合があるが[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えばアクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)、BMP6、GDF3、BMP10、BMP9、TGFβ2、TGFβ1、およびTGFβ3の1つまたは複数の阻害は、作用剤が、おそらくはこのリガンドスーパーファミリーの他のメンバーを含む幅広い追加作用剤の活性を阻害する傾向があることを示すものである場合があり、そのような集団的な阻害は、例えばがんに対する所望の効果に結び付く場合がある]、他のタイプのActRIIシグナル伝達およびTGFβRIIシグナル伝達経路阻害剤[例えば、ActRIIおよび/またはTGFβRIIリガンド阻害剤;I型、II型、および/または共受容体阻害剤(例えば、ALK4、ALK5、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、およびベータグリカンの1つまたは複数の阻害剤);および下流シグナル伝達阻害剤(例えば、Smad2および3などの1つまたは複数のSmadタンパク質の阻害剤)]は、例えば、抗体アンタゴニスト、核酸アンタゴニスト、低分子アンタゴニスト、およびリガンドトラップ(例えば、可溶性ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体、ホリスタチンポリペプチド、およびFLRGポリペプチド)を含む、本開示の方法および使用により有用であることが予想される。本明細書で使用される場合、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)活性を阻害する作用剤は、総称して「ActRIIアンタゴニスト」または「ActRII阻害剤」と呼ばれ、例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、およびActRIIリガンド[例えば、アクチビン(例えばアクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)、GDF11、GDF8、BMP6、GDF3、BMP10、およびBMP9]の1つまたは複数を阻害する作用剤が挙げられる。本明細書で使用される場合、TGFβRII活性を阻害する作用剤は、総称して、「TGFβアンタゴニスト」または「TGFβ阻害剤」と呼ばれ、例えば、TGFβRII、ALK5、ベータグリカン、およびTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3)の1つまたは複数を阻害する作用剤が挙げられる。
【0008】
ある特定の態様では、本開示は、患者の免疫応答を誘導するための方法であって、それを必要とする患者に、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。他の態様では、本開示は、患者の免疫応答を強化するための方法であって、それを必要とする患者に、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の免疫応答を誘導または強化するための、TGFβアンタゴニストと組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の免疫応答を誘導または強化するための、ActRIIアンタゴニストと組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、患者は、がんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんに対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍に対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体に対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、T細胞免疫応答を含む。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんまたは病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ(ofatmumab
)、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ(atexolizumab)、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0009】
ある特定の態様では、本開示は、患者のがんを処置するための方法であって、それを必要とする患者にActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。他の態様では、本開示は、患者の腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする患者にActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者のがんまたは腫瘍を処置するための、TGFβアンタゴニストと組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者のがんまたは腫瘍を処置するための、ActRIIアンタゴニストと組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、方法は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0010】
ある特定の態様では、本開示は、患者の免疫疲弊を処置するための方法であって、それを必要とする患者にActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、患者の免疫疲弊を予防するための方法であって、それを必要とする患者にActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを投与することを含み、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストは有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、免疫疲弊を処置または予防するための、TGFβアンタゴニストと組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、免疫疲弊を処置または予防するための、ActRIIアンタゴニストと組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、患者は、がんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍を有する。一部の実施形態では、方法は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、患者は病原体に感染している。一部の実施形態では、方法は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、方法は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫疲弊は、T細胞免疫疲弊を含む。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0011】
ある特定の態様では、本開示は、抗原に対する患者の免疫応答を誘導するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原は、有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、抗原に対する患者の免疫応答を強化するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原は、有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、抗原に対する免疫応答を誘導または強化するための、TGFβアンタゴニストと組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、抗原は、がん抗原である。一部の実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍抗原は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍に関連する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、抗原は、病原体抗原である。一部の実施形態では、病原体抗原は、細菌性病原体、ウイルス性病原体、真菌性病原体、または寄生虫性病原体からなる群から選択される病原体に関連する。一部の実施形態では、がん抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、病原体抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんに対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、がんに対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、およびがん抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原は、患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、病原体に対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および病原体抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニスト、ActRIIアンタゴニスト、および抗原は、患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、がんに対して患者にワクチン接種するための、TGFβアンタゴニストおよびがん抗原と組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、がんに対して患者にワクチン接種するための、ActRIIアンタゴニストおよびがん抗原と組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、病原体に対して患者にワクチン接種するための、TGFβアンタゴニストおよび病原体抗原と組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、病原体に対して患者にワクチン接種するための、ActRIIアンタゴニストおよび病原体抗原と組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍抗原は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍に関連する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、病原体抗原は、細菌性病原体、ウイルス性病原体、真菌性病原体、または寄生虫性病原体からなる群から選択される病原体に関連する。一部の実施形態では、がん抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、病原体抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0013】
ある特定の態様では、本開示は、ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための方法であって、患者に、TGFβアンタゴニストおよびActRIIアンタゴニストを、ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための有効な量で投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の、ワクチンにより誘導された免疫応答を強化するための、TGFβアンタゴニストと組み合わせたActRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の、ワクチンにより誘導された免疫応答を強化するための、ActRIIアンタゴニストと組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、ワクチンは、がんワクチンである。一部の実施形態では、ワクチンは、腫瘍ワクチンである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、ワクチンは、病原体ワクチンである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、T細胞免疫応答を含む。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんまたは病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0014】
ある特定の態様では、本開示は、患者の免疫応答を誘導するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、患者の免疫応答を強化するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の免疫応答を誘導または強化するための、TGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、患者は、がんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんに対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍に対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体に対するものである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、T細胞免疫応答を含む。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんまたは病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0015】
ある特定の態様では、本開示は、患者のがんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、患者の腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者のがんまたは腫瘍を処置するための、TGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、方法は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0016】
ある特定の態様では、本開示は、患者の免疫疲弊を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の態様では、本開示は、患者の免疫疲弊を予防するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者の免疫疲弊を処置または予防するための、TGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、患者は、がんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍を有する。一部の実施形態では、方法は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、方法は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、方法は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、方法は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、患者は病原体に感染している。一部の実施形態では、方法は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、方法は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫疲弊は、T細胞免疫疲弊を含む。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0017】
ある特定の態様では、本開示は、抗原に対する患者の免疫応答を誘導するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニストおよび抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニストおよび抗原は、有効量で投与される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、抗原に対する患者の免疫応答を強化するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニストおよび抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニストおよび抗原は、有効量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の抗原に対する免疫応答を誘導または強化するための、TGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、抗原は、がん抗原である。一部の実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍抗原は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍に関連する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、抗原は、病原体抗原である。一部の実施形態では、病原体抗原は、細菌性病原体、ウイルス性病原体、真菌性病原体、または寄生虫性病原体からなる群から選択される病原体に関連する。一部の実施形態では、がん抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、病原体抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんに対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0018】
ある特定の態様では、本開示は、がんに対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニストおよびがん抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニストおよび抗原は、患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、病原体に対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、TGFβアンタゴニストおよび病原体抗原を投与することを含み、TGFβアンタゴニストおよび抗原は、患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法に関する。一部の態様では、本開示は、病原体またはがんに対して患者にワクチン接種するための、病原体またはがん抗原と組み合わせたTGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍抗原は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍に関連する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、病原体抗原は、細菌性病原体、ウイルス性病原体、真菌性病原体、または寄生虫性病原体からなる群から選択される病原体に関連する。一部の実施形態では、がん抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、病原体抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0019】
ある特定の態様では、本開示は、ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化することであって、TGFβアンタゴニストを、ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための有効な量で患者に投与することを含むことに関する。一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者の、ワクチンにより誘導された免疫応答を強化するための、TGFβアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、ワクチンは、がんワクチンである。一部の実施形態では、ワクチンは、腫瘍ワクチンである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんの成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍の成長を阻害する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者のがん細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、患者の腫瘍細胞負荷を減少させる。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がん転移を処置または予防する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、腫瘍転移を処置または予防する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、がんは、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、腫瘍は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、がんは、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、腫瘍は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、患者は、以下のものからなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する:白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)。一部の実施形態では、ワクチンは、病原体ワクチンである。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を処置する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、病原体による患者の感染を予防する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫抑制を促進する。一部の実施形態では、病原体は、患者の免疫細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、T細胞疲弊を促進する。一部の実施形態では、病原体は、免疫療法に応答性である。一部の実施形態では、病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある。一部の実施形態では、患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、T細胞免疫応答を含む。一部の実施形態では、開始または強化された免疫応答は、がんまたは病原体に対して患者にワクチン接種する。一部の実施形態では、患者には、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、病原体を処置するための1つまたは複数の追加活性剤および/または支持療法がさらに投与される。一部の実施形態では、患者には、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加免疫腫瘍学的作用剤は、以下のものからなる群から選択される:アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)。一部の実施形態では、患者は、自己免疫疾患を有していない。一部の実施形態では、患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない。一部の実施形態では、患者は、移植片対宿主疾患を有していない。
【0020】
一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、特に下流シグナル伝達を阻害する、ActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB受容体)および/またはALK4を阻害することができる作用剤である。したがって、一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、1つまたは複数のActRIIおよび/またはALK4結合リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]を阻害することができる作用剤である。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、ActRIIおよび/またはALK4シグナル伝達経路の1つまたは複数の細胞内メディエータ(例えば、Smad2および3)を阻害することができる作用剤である。そのようなActRIIアンタゴニスト剤としては、例えば、以下のものが挙げられる:ActRII(ActRIIAまたはActRIIB)ポリペプチドまたはActRIIポリペプチドの組合せ、ならびにそれらのバリアント(例えば、GDFトラップポリペプチド);1つまたは複数のActRIIリガンド、ALK4受容体、および/またはActRII受容体を阻害する抗体または抗体の組合せ;1つまたは複数のActRIIリガンド、ALK4、ActRII受容体、ならびに/またはActRIIおよび/もしくはALK4下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せ;1つまたは複数のActRIIリガンド、ALK4、ActRII受容体、ならびに/またはActRIIおよび/もしくはALK4下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害する低分子または低分子の組合せ、ならびにそれらの組合せ。ある特定の好ましい実施形態では、本開示の教示に従って使用されるActRIIアンタゴニストは、少なくともアクチビン、特にアクチビンAを阻害する。
【0021】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF11を阻害する作用剤である。GDF11阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のGDF11アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF11に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともGDF11に結合する。
【0022】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF8を阻害する作用剤である。GDF8阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のGDF8アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF8に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともGDF8に結合する。
【0023】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)を阻害する作用剤である。アクチビン阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のアクチビンアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともアクチビンに結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで、少なくともアクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、および/またはアクチビンEに結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで、少なくともアクチビンAに結合する。
【0024】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP6を阻害する作用剤である。BMP6阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のBMP6アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP6に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともBMP6に結合する。
【0025】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF3を阻害する作用剤である。GDF3阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のGDF3アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともGDF3に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともGDF3に結合する。
【0026】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP9を阻害する作用剤である。BMP9阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のBMP9アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP9に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともBMP9に結合する。
【0027】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP10を阻害する作用剤である。BMP10阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のBMP10アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともBMP10に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともBMP10に結合する。
【0028】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともActRIIAを阻害する作用剤である。ActRIIA阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともActRIIAに結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともActRIIAに結合する。一部の実施形態では、ActRIIAに結合および/または阻害するActRIIアンタゴニストは、ActRIIBにさらに結合および/または阻害することができる。
【0029】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともActRIIBを阻害する作用剤である。ActRIIB阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともActRIIBに結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともActRIIBに結合する。一部の実施形態では、ActRIIBに結合および/または阻害するActRIIアンタゴニストは、ActRIIAにさらに結合および/または阻害することができる。
【0030】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用されるActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK4を阻害する作用剤である。ALK4阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載のもの(例えば、Smadシグナル伝達レポーターアッセイ)を含む、細胞に基づくアッセイを使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK4に結合することができる。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載のものを含む、例えば、結合親和性アッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、または少なくとも1×10-12M)のKで少なくともALK4に結合する。
【0031】
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIポリペプチドを含む組成物、およびそれらの使用に関する。用語「ActRIIポリペプチド」は、総称として、天然に存在するActRIIAおよびActRIIBポリペプチド、ならびに本明細書に記載のものなどのそれらの短縮体およびバリアント(例えば、GDFトラップポリペプチド)を指す。好ましくは、ActRIIポリペプチドは、ActRIIポリペプチドまたはその修飾(バリアント)形態のリガンド結合ドメインを含むか、から本質的になるか、またはからなる。例えば、一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、ActRIIAポリペプチドのActRIIAリガンド結合ドメイン、例えば、ActRIIA細胞外ドメインの部分を含む。同様に、ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドのActRIIBリガンド結合ドメイン、例えば、ActRIIB細胞外ドメインの部分を含んでいてもよい。好ましくは、本明細書に記載の方法により使用されるActRIIポリペプチドは可溶性ポリペプチドである。
【0032】
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIAポリペプチド、それを含む組成物、およびそれらの使用に関する。例えば、一部の実施形態では、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。またさらに他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号54のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号57のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0033】
他の態様では、本開示は、ActRIIBポリペプチド、それを含む組成物、およびそれらの使用に関する。例えば、一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29~109の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29~109の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸[天然に存在するか(EまたはD)または人工の酸性アミノ酸]を含まない。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25~131の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25~131の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号58のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号58のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号60のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号60のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号63のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号63のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号64のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号64のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号65のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号65のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号66のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号66のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号68のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号68のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号69のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号69のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなっていてもよく、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号70のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号70のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号123のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では
、ActRIIBポリペプチドは、配列番号123のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない。またさらに他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号131のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号131のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号132のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号132のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。他の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号133のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号133のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含む。
【0034】
他の態様では、本開示は、GDFトラップポリペプチドを含む組成物、およびそれらの使用に関する。一部の実施形態では、変更されたActRIIリガンド結合ドメインを含むGDFトラップは、アクチビンA結合のKのGDF11および/またはGDF8結合のKに対する比が、野生型リガンド結合ドメインの比と比べて、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはさらに1000倍大きい。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインを含むGDFトラップは、アクチビンA阻害のIC50のGDF11および/またはGDF8阻害のIC50に対する比が、野生型ActRIIリガンド結合ドメインと比べて、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、100倍、またはさらに1000倍大きい。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインを含むGDFトラップは、アクチビンA阻害のIC50よりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、またはさらに100倍小さいIC50で、GDF11および/またはGDF8を阻害する。こうしたGDFトラップは、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または突然変異体のいずれでもよい)を含む融合タンパク質であってよい。ある特定の場合では、主題の可溶性GDFトラップは、GDF8および/またはGDF11媒介性細胞内シグナル伝達(例えば、Smad2/3シグナル伝達)のアンタゴニスト(阻害剤)である。
【0035】
一部の実施形態では、本開示は、変更されたリガンド結合(例えば、GDF11結合)ドメインを含む可溶性ActRIIBポリペプチドであるGDFトラップを提供する。変更されたリガンド結合ドメインを有するGDFトラップは、例えば、ヒトActRIIBのE37、E39、R40、K55、R56、Y60、A64、K74、W78、L79、D80、F82、およびF101などのアミノ酸残基に、1つまたは複数の突然変異を含んでいてもよい(付番は、配列番号1を基準とする)。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインは、ActRIIB受容体の野生型リガンド結合ドメインと比べて、GDF8/GDF11などのリガンドに対する増加された選択性を有することができる。例示のためだが、こうした突然変異は、変更されたリガンド結合ドメインの、GDF11(およびしたがっておそらくは、GDF8)に対する選択性を、アクチビンよりも増加させることが本明細書で実証されている:K74Y、K74F、K74I、L79D、L79E、およびD80I。以下の突然変異は、逆の効果を有し、アクチビン結合の比をGDF11よりも増加させる:D54A、K55A、L79A、およびF82A。全体的な(GDF11およびアクチビン)結合活性は、「尾部」領域またはおそらくは構造不定のリンカー領域の介在により、およびさらにK74A突然変異の使用により増加させることができる。リガンド結合親和性の全体的な減少を引き起こした他の突然変異としては、R40A、E37A、R56A、W78A、D80K、D80R、D80A、D80G、D80F、D80M、およびD80Nが挙げられる。突然変異は、所望の効果を達成するために組み合わせることができる。例えば、GDF11:アクチビン結合の比に影響を及ぼす突然変異の多くは、リガンド結合に対して全体的に負の効果を示すため、それらを、一般にリガンド結合を増加させる突然変異と組み合わせて、リガンド選択性を有する向上された結合タンパク質を生成することができる。例示的な実施形態では、GDFトラップは、必要に応じて、追加のアミノ酸置換、付加、または欠失と組み合わせて、L79DまたはL79E突然変異を含むActRIIBポリペプチドである。
【0036】
一部の実施形態では、本開示のTGFβアンタゴニストは、特に下流シグナル伝達を阻害する、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカンを阻害することができる作用剤である。したがって、一部の実施形態では、本開示のTGFβアンタゴニストは、1つまたは複数のTGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン結合リガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2、および/またはTGFβ3]を阻害することができる作用剤である。一部の実施形態では、本開示のTGFβアンタゴニストは、TGFβおよび/またはALK5シグナル伝達経路の1つまたは複数の細胞内メディエータ(例えば、Smad)を阻害することができる作用剤である。そのようなTGFβアンタゴニスト剤としては、例えば、以下のものが挙げられる:TGFβRIIポリペプチドならびにそれらのバリアント;1つまたは複数のTGFβリガンド、ALK5受容体、ベータグリカン、および/またはTGFβRII受容体を阻害する抗体または抗体の組合せ;1つまたは複数のTGFβリガンド、ALK5、ベータグリカン、TGFβRII受容体、ならびに/またはTGFβRIIおよび/もしくはALK5下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せ;1つまたは複数のTGFβリガンド、ALK5、ベータグリカン、TGFβRII受容体、ならびに/またはTGFβRIIおよび/もしくはALK5下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害する低分子または低分子の組合せ、ならびにそれらの組合せ。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ1に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ2に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ3に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ1およびTGFβ3に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ1およびTGFβ2に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ2およびTGFβ3に結合および/または阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に結合および/または阻害する。
【0037】
ある特定の態様では、本開示は、TGFβRIIポリペプチド、それを含む組成物、およびそれらの使用に関する。例えば、一部の実施形態では、本開示のTGFβRIIポリペプチドは、配列番号34のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号148のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。またさらに他の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号150のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0038】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法および使用に従って使用される作用剤は、ActRIIおよびTGFβの両方のアンタゴニストである(ActRII:TGFβ)。ActRII:TGFβアンタゴニストは、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ActRII-およびALK4-結合リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]、および下流シグナル伝達メディエータ(例えば、Smad)の1つまたは複数を阻害することができ、ならびにTGFβRII;ALK5;ベータグリカン;TGFβRII-、ALK5-、およびベータグリカン-結合リガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2、および/またはTGFβ3]、および下流シグナル伝達メディエータ(例えば、Smad)の1つまたは複数を阻害することができる作用剤である。例えば、ActRII:TGFβアンタゴニストは、アクチビンAおよびTGFβ2の両方に結合し、両方を阻害する二重特異性抗体であってもよい。別の例として、ActRII:TGFβアンタゴニストは、1つまたは複数のSmad、特にSmad2および3を阻害するポリヌクレオチドまたは低分子であってもよい。
【0039】
本明細書に記載されているように、ActRIIポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびそれらのバリアントは、ホモ多量体、例えばホモ二量体、ホモ三量体、ホモ四量体、ホモ五量体、およびより高次のホモ多量体複合体であってもよい。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIポリペプチドおよびTGFβRIIポリペプチドは、ホモ二量体である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のActRIIポリペプチドおよびTGFβRIIポリペプチド二量体は、第2のActRIIまたはTGFβRIIポリペプチドと共有結合でまたは非共有結合で会合している第1のActRIIまたはTGFβRIIポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、ActRIIドメインまたはTGFβRIIドメインおよび相互作用対の第1のメンバー(または第2のメンバー)(例えば、免疫グロブリンの定常ドメイン)のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、ActRIIポリペプチドまたはTGFβRIIポリペプチドおよび相互作用対の第2のメンバー(または第1のメンバー)のアミノ酸配列を含む。
【0040】
ある特定の態様では、それらのバリアントを含む、ActRIIポリペプチドおよびTGFβRIIポリペプチドは、融合タンパク質であってもよい。例えば、一部の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドのActRIIポリペプチドは、ActRIIポリペプチドドメインまたはTGFβRIIポリペプチドドメインおよび1つまたは複数の異種性(非ActRIIまたは非TGFβRII)ポリペプチドドメインを含む融合タンパク質であってもよい。一部の実施形態では、TGFβRIIポリペプチドのActRIIポリペプチドは、ActRIIポリペプチドまたはTGFβRIIポリペプチド(例えば、ActRII受容体、TGFβRII受容体、またはそれらのバリアントのリガンド結合ドメイン)、および薬物動態の向上、より容易な精製、特定組織の標的化などの所望の特性を提供する1つまたは複数の異種性ドメインに由来するアミノ酸配列を1つのドメインとして有する融合タンパク質であってもよい。例えば、融合タンパク質のドメインは、in vivo安定性、in vivo半減期、取込み/投与、組織局在化または分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化、および/または精製の1つまたは複数を増強することができる。必要に応じて、融合タンパク質のTGFβRIIポリペプチドドメインのActRIIポリペプチドドメインは、1つまたは複数の異種性ポリペプチドドメインに直接接続(融合)されているか、またはリンカーなどの介在配列が、TGFβRIIポリペプチドのActRIIポリペプチドのアミノ酸配列と、1つまたは複数の異種性ドメインのアミノ酸配列との間に位置してもよい。ある特定の実施形態では、ActRIIまたはTGFβRII融合タンパク質は、異種性ドメインと、TGFβRIIドメインのActRIIドメインとの間に位置した比較的構造不定なリンカーを含む。リンカーは、ActRIIAまたはActRIIBの細胞外ドメインのC末端のおよそ4~15アミノ酸の構造不定領域(「尾部」)に対応してもよく、または二次構造を比較的含まない3~15、20、30、50、もしくはそれよりも多くのアミノ酸の人工配列であってもよい。リンカーは、グリシンおよびプロリン残基を多く含んでいてもよく、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列を含んでいてもよい。リンカーの例としては、これらに限定されないが、配列TGGG(配列番号31)、SGGG(配列番号32)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、GGGGS(配列番号33)、GGGG(配列番号28)、およびGGG(配列番号27)が挙げられる。一部の実施形態では、ActRIIまたはTGFβRII融合タンパク質は、例えば、免疫グロブリンのFc部分を含む、免疫グロブリンの定常ドメインを含んでいてもよい。例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、IgA(IgA1またはIgA2)、IgE、またはIgM免疫グロブリンのFcドメインに由来するアミノ酸配列。例えば、免疫グロブリンドメインのFc部分は、配列番号22~26のいずれか1つと、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含んでいてもよく、から本質的になっていてもよく、またはからなっていてもよい。そのような免疫グロブリンドメインは、変更されたFc活性を付与する、例えば1つまたは複数のFcエフェクター機能を減少させる1つまたは複数のアミノ酸修飾(例えば、欠失、付加、および/または置換)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、TGFβRII融合タンパク質のActRIIは、式A-B-Cで示されるようなアミノ酸配列を含む。例えば、B部分は、本明細書に記載のようなN-およびC末端短縮ActRIIポリペプチドまたはTGFβRIIポリペプチドである。AおよびC部分は、独立して、ゼロ、1つ、または1つよりも多くのアミノ酸であってもよく、AおよびC部分は両方とも、Bに対して異種性である。Aおよび/またはC部分は、リンカー配列を介してB部分に付着していてもよい。ある特定の実施形態では、TGFβRII融合タンパク質のActRIIは、リーダー配列を含む。リーダー配列は、天然ActRIIもしくはTGFβRIIリーダー配列(例えば、天然ActRIIA、ActRIIB、もしくはTGFβRIIリーダー配列)または異種性リーダー配列であってもよい。ある特定の実施形態では、リーダー配列は、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー配列である。
【0041】
本明細書に記載されているように、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体タンパク質複合体は、対応するActRIIBおよびALK4ホモ二量体と比較して、異なるリガンド結合プロファイル/選択性を有することが発見された。特に、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体は、いずれかのホモ二量体と比較してアクチビンBに対して増強された結合を示し、ActRIIBホモ二量体で観察されるような、アクチビンA、GDF8、およびGDF11との強力な結合を保持し、BMP9、BMP10、およびGDF3との実質的に低減された結合を示す。特に、BMP9は、低いか観察可能ではないALK4:ActRIIBヘテロ二量体に対する親和性を示すが、このリガンドは、ActRIIBホモ二量体に強力に結合する。ActRIIBホモ二量体と同様に、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体は、BMP6に対する中レベルの結合を保持する。図19を参照されたい。したがって、こうした結果は、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体が、ActRIIBホモ二量体と比較して、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11のより選択的なアンタゴニスト(阻害剤)であることを実証する。したがって、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体は、そのような選択的アンタゴニズムが有利であるようなある特定の応用では、ActRIIBホモ二量体よりも有用であろう。例としては、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF8、およびGDF11の1つまたは複数のアンタゴニズムは保持するが、BMP9、BMP10、およびGDF3の1つまたは複数のアンタゴニズムを最小限に抑えることが望ましい治療応用が挙げられる。さらに、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体は、患者のがんを処置することが示された。したがって、本開示は、部分的には、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体、および特にTGFβアンタゴニストと組み合わせたその使用に関する。特定の作用機序に束縛されることは望まないが、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、およびアクチビンAC)、GDF8、および/またはGDF11のうちの少なくとも1つまたは複数に結合するALK4:ActRIIBヘテロ多量体ならびにそれらのバリアントは、がん患者において有益な効果を促進するための有用な作用剤となることが予想される。
【0042】
したがって、本開示は、少なくとも1つのALK4ポリペプチドおよび少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むヘテロ多量体複合体(ヘテロ多量体)(ALK4:ActRIIBヘテロ多量体)、ならびにそれらの使用を提供する。好ましくは、ALK4ポリペプチドは、ALK4受容体のリガンド結合ドメイン、例えば、ALK4細胞外ドメインの部分を含む。同様に、ActRIIBポリペプチドは、一般に、ActRIIB受容体のリガンド結合ドメイン、例えば、ActRIIB細胞外ドメインの部分を含む。好ましくは、そのようなALK4およびActRIIBポリペプチド、ならびに得られるそれらのヘテロ多量体は、可溶性である。
【0043】
ある特定の態様では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号14のアミノ酸34~101と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号15と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号19と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号143と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号145と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号79と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号80と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるALK4アミノ酸配列を含む。
【0044】
ある特定の態様では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号2と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号3と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号5と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号6と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号58と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号60と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号63と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号139と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。またさらに他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号141と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号77と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号78と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるActRIIBアミノ酸配列を含んでいてもよい。ある特定の好ましい実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のL79に対応する位置に酸性アミノ酸(例えば、EまたはD)を含むActRIIBポリペプチドを含まない。
【0045】
本明細書に記載されているように、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体構造としては、例えば、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、ヘテロ五量体、およびより高次のヘテロ多量体複合体が挙げられる。例えば、図21~23を参照されたい。ある特定の好ましい実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ヘテロ二量体である。ある特定の態様では、ALK4および/またはActRIIBポリペプチドは、融合タンパク質であってもよい。ALK4および/またはActRIIBポリペプチドは、本明細書に記載されているActRIIおよびTGFβRII融合タンパク質について上記に記載されているものと類似した融合タンパク質として生成されてもよい。
【0046】
それらのバリアントを含む、ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合体などの精製部分配列を含んでいてもよい。必要に応じて、ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、以下のものから選択される1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む:グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートされたアミノ酸。ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、少なくとも1つのN-連結糖を含んでいてもよく、2つ、3つ、またはそれよりも多くのN-連結糖を含んでいてもよい。また、そのようなポリペプチドは、O-連結糖を含んでいてもよい。一般に、ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、患者に不利な免疫応答の可能性を減少させるように、ポリペプチドの適切な天然グリコシル化を媒介する哺乳動物細胞株で発現されることが好ましい。ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、操作された昆虫または酵母細胞、ならびにCOS細胞、CHO細胞、HEK細胞、およびNSO細胞などの哺乳動物細胞を含む、患者使用に好適な様式でタンパク質をグリコシル化する様々な細胞株で産生してもよい。一部の実施形態では、ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、グリコシル化されており、チャイニーズハムスター卵巣細胞株から取得可能なグリコシル化パターンを有する。一部の実施形態では、本開示のActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、哺乳動物(例えば、マウスまたはヒト)で、少なくとも4、6、12、24、36、48、または72時間の血清半減期を示す。必要に応じて、ActRII、TGFβRII、および/またはALK4ポリペプチドは、哺乳動物(例えば、マウスまたはヒト)で、少なくとも6、8、10、12、14、20、25、または30日の血清半減期を示してもよい。
【0047】
ある特定の態様では、本開示は、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストおよび/またはTGFβアンタゴニストおよび薬学的に許容される担体を含む医薬調製物を提供する。また、医薬調製物は、本明細書に記載のような障害または状態[白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)]を処置または予防するために使用される化合物などの1つまたは複数の追加活性剤を含んでいてもよい。
【0048】
本明細書に記載のActRIIアンタゴニストおよび/またはTGFβアンタゴニストはいずれも、医薬調製物(組成物)として製剤化されていてもよい。一部の実施形態では、医薬調製物は、薬学的に許容される担体を含む。医薬調製物は、好ましくは、パイロジェンフリーであろう(治療に使用するための製品の品質を管理する規制により要求される程度にパイロジェンフリーであること意味する)。また、医薬調製物は、本明細書に記載されている障害/状態を処置するために使用される化合物などの1つまたは複数の追加化合物を含んでいてもよい。一般に、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体医薬調製物は、ALK4および/またはActRIIBホモ多量体を実質的に含まない。例えば、一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体医薬調製物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満のALK4ホモ多量体を含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体医薬調製物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満のActRIIBホモ多量体を含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体医薬調製物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満のALK4およびActRIIBホモ多量体を含む。
【0049】
ある特定の態様では、本開示のTGFβアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、多重特異性抗体である。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1およびTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1およびTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1およびTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ2およびTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、フレソリムマブである。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβRIIに結合する。一部の実施形態では、TGFβRIIに結合するTGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5、およびベータグリカンの1つまたは複数にさらに結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、ALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5に結合するTGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、およびベータグリカンの1つまたは複数にさらに結合する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニスト抗体は、ベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTGFβアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、およびALK5の1つまたは複数にさらに結合する。一部の実施形態では、本開示のTGFβアンタゴニスト抗体は、特に多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体の場合、ActRIIアンタゴニスト抗体でもある。したがって、一部の実施形態では、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、およびベータグリカンの1つまたは複数に結合する抗体は、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9の1つまたは複数にさらに結合する。一部の実施形態では、本開示の多重特異性抗体は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、およびアクチビンの1つまたは複数に結合する。一部の実施形態では、本開示の多重特異性抗体は、TGFβ2およびアクチビンAに結合する。
【0050】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、多重特異性抗体である。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、以下のものからなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する:アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、アクチビンAに結合する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、ActRIIAに結合する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、ActRIIBに結合する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、ActRIIAおよびActRIIBに結合する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体はALK4に結合する。一部の実施形態では、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9の1つまたは複数に結合するActRIIアンタゴニスト抗体は、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4の1つまたは複数にさらに結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体は、特に多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体の場合、TGFβアンタゴニスト抗体でもある。したがって、一部の実施形態では、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9の1つまたは複数に結合する抗体は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、およびベータグリカンの1つまたは複数にさらに結合する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、枠で示されるリガンドに直接接触させるために、複数のActRIIBおよびActRIIA結晶構造の複合解析に基づいて、本明細書において推測される残基とヒトActRIIBおよびヒトActRIIAの細胞外ドメインとのアライメントを示す。
【0052】
図2図2は、様々な脊椎動物ActRIIBタンパク質(配列番号100~105)およびヒトActRIIA(配列番号122)の複数の配列アライメント、ならびにアライメントから誘導したコンセンサスActRII配列(配列番号106)を示す。
【0053】
図3図3は、様々な脊椎動物ActRIIAタンパク質およびヒトActRIIA(配列番号107~114)の複数の配列アライメントを示す。
【0054】
図4図4は、様々な脊椎動物ALK4タンパク質およびヒトALK4(配列番号115~121)の複数の配列アライメントを示す。
【0055】
図5図5は、CHO細胞において発現されたActRIIA-hFcの精製を示す。タンパク質は、サイジングカラム(上のパネル)およびクマシー染色SDS-PAGE(下のパネル)によって可視化した場合、単一の明確なピークとして精製される(左のレーン:分子量標準物質;右のレーン:ActRIIA-hFc)。
【0056】
図6図6は、Biacore(商標)アッセイによって測定した場合のアクチビン(上のパネル)およびGDF-11(下のパネル)に対するActRIIA-hFcの結合を示す。
【0057】
図7図7は、ActRIIB(25~131)-hFcの完全な非プロセシングアミノ酸配列(配列番号123)を示す。TPAリーダー(残基1~22)および2回短縮ActRIIB細胞外ドメイン(残基24~131、配列番号1の天然配列を基準とする付番を使用する)をそれぞれ、下線で示す。成熟融合タンパク質のN-末端アミノ酸であることがシークエンシングによって判明したグルタミン酸を強調して示し、これは配列番号1と比べて25位に存在する。
【0058】
図8-1】図8は、ActRIIB(25~131)-hFcをコードするヌクレオチド配列を示す(コード鎖、配列番号124を上に示し、相補鎖、配列番号125を下に3’-5’で示す)。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)およびActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド73~396)をコードする配列を下線で示す。ActRIIB(25~131)の対応するアミノ酸配列も示す。
図8-2】図8は、ActRIIB(25~131)-hFcをコードするヌクレオチド配列を示す(コード鎖、配列番号124を上に示し、相補鎖、配列番号125を下に3’-5’で示す)。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)およびActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド73~396)をコードする配列を下線で示す。ActRIIB(25~131)の対応するアミノ酸配列も示す。
【0059】
図9-1】図9は、ActRIIB(25~131)-hFcをコードする代替のヌクレオチド配列を示す(コード鎖、配列番号126を上に示し、相補鎖、配列番号127を下に3’-5’で示す)。この配列は、最初の形質転換体においてより大きいタンパク質発現レベルを付与し、細胞株の発達をより迅速なプロセスにする。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)およびActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド73~396)をコードする配列を下線で示し、ECDの野生型ヌクレオチド配列(図8を参照されたい)における置換を強調して示す。ActRIIB(25~131)の対応するアミノ酸配列も示す。
図9-2】図9は、ActRIIB(25~131)-hFcをコードする代替のヌクレオチド配列を示す(コード鎖、配列番号126を上に示し、相補鎖、配列番号127を下に3’-5’で示す)。この配列は、最初の形質転換体においてより大きいタンパク質発現レベルを付与し、細胞株の発達をより迅速なプロセスにする。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)およびActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド73~396)をコードする配列を下線で示し、ECDの野生型ヌクレオチド配列(図8を参照されたい)における置換を強調して示す。ActRIIB(25~131)の対応するアミノ酸配列も示す。
【0060】
図10図10は、ヒトTGFβII型受容体(hTβRII)のB(短鎖)アイソフォームの天然前駆体のアミノ酸配列(NP_003233.4;配列番号34)を示す。実線の下線は、成熟細胞外ドメイン(ECD)(残基23~159)を示し、二重下線は、A(長鎖)アイソフォームにおいて置き換えられているバリンを示す。破線の下線は、リーダー(残基1~22)を示す。
【0061】
図11図11は、ヒトTβRII(NP_001020018.1;配列番号35)のA(長鎖)アイソフォームの天然前駆体のアミノ酸配列を示す。実線の下線は、成熟ECD(残基23~184)を示し、二重下線は、スプライシングによって生成されたイソロイシン置換を示す。破線の下線はリーダー(残基1~22)を示す。
【0062】
図12図12は、TPAリーダー(二重下線)、短縮ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131;一重下線)、およびhFcドメインを含む短縮GDFトラップActRIIB(L79D 25~131)-hFcの完全なアミノ酸配列(配列番号131)を示す。シークエンシングによって成熟融合タンパク質のN-末端残基であることが判明したグルタミン酸と同様に、天然配列の79位で置換されたアスパラギン酸を二重下線で、かつ強調して示す。
【0063】
図13図13は、リーダーを有しない短縮GDFトラップActRIIB(L79D 25~131)-hFc(配列番号132)のアミノ酸配列を示す。短縮ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)を下線で示す。シークエンシングによって成熟融合タンパク質のN-末端残基であることが判明したグルタミン酸と同様に、天然配列の79位で置換されたアスパラギン酸を二重下線で、かつ強調して示す。
【0064】
図14図14は、リーダー、hFcドメイン、およびリンカーを有しない短縮GDFトラップActRIIB(L79D 25~131)のアミノ酸配列(配列番号133)を示す。シークエンシングによって成熟融合タンパク質のN-末端残基であることが判明したグルタミン酸と同様に、天然配列の79位で置換されたアスパラギン酸を下線で、かつ強調して示す。
【0065】
図15-1】図15は、ActRIIB(L79D 25~131)-hFcをコードするヌクレオチド配列を示す。配列番号134はセンス鎖に対応し、配列番号135はアンチセンス鎖に対応する。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)を二重下線で示し、短縮ActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド76~396)を、一重下線で示す。ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)のアミノ酸配列も示す。
図15-2】図15は、ActRIIB(L79D 25~131)-hFcをコードするヌクレオチド配列を示す。配列番号134はセンス鎖に対応し、配列番号135はアンチセンス鎖に対応する。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)を二重下線で示し、短縮ActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド76~396)を、一重下線で示す。ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)のアミノ酸配列も示す。
【0066】
図16-1】図16は、ActRIIB(L79D 25~131)-hFcをコードする代替ヌクレオチド配列を示す。配列番号136はセンス鎖に対応し、配列番号137はアンチセンス鎖に対応する。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)を二重下線で示し、短縮ActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド76~396)を下線で示し、細胞外ドメインの野生型ヌクレオチド配列における置換を二重下線で、かつ強調して示す。ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)のアミノ酸配列も示す。
図16-2】図16は、ActRIIB(L79D 25~131)-hFcをコードする代替ヌクレオチド配列を示す。配列番号136はセンス鎖に対応し、配列番号137はアンチセンス鎖に対応する。TPAリーダー(ヌクレオチド1~66)を二重下線で示し、短縮ActRIIB細胞外ドメイン(ヌクレオチド76~396)を下線で示し、細胞外ドメインの野生型ヌクレオチド配列における置換を二重下線で、かつ強調して示す。ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)のアミノ酸配列も示す。
【0067】
図17図17は、図16に示した代替ヌクレオチド配列(配列番号136)のヌクレオチド76~396(配列番号138)を示す。図16に示した同じヌクレオチド置換も本明細書において下線で、かつ強調して示す。配列番号138は、L79D置換を有する短縮ActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131に対応する)、例えばActRIIB(L79D 25~131)のみをコードする。
【0068】
図18図18は、Clustal 2.1を使用したヒトIgGアイソタイプのFcドメインの複数の配列アライメントを示す。ヒンジ領域を破線の下線で示す。二重下線は、非対称鎖の対形成を促進するためにIgG1 Fcにおいて操作された位置の例、ならびに他のアイソタイプIgG2、IgG3、およびIgG4に関して対応する位置を示す。
【0069】
図19図19は、ActRIIB-Fcホモ二量体およびALK4-Fcホモ二量体と比較したALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体タンパク質複合体のリガンド結合データの比較を示す。各々のタンパク質複合体に関して、リガンドを、リガンドのシグナル伝達阻害と良好に相関する速度論定数であるkoffによってランク付けし、結合親和性の降順に記載する(最も強固に結合したリガンドを上位に記載する)。左側の黄色、赤色、緑色、および青色の線は、解離速度定数の大きさを示す。実線の黒色の線は、ヘテロ二量体に対するその結合がホモ二量体と比較して増強されたかまたは不変であるリガンドを示し、破線の赤色の線は、ホモ二量体と比較して実質的に低減された結合を示す。示すように、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、いずれかのホモ二量体と比較してアクチビンBに対して増強された結合を示し、ActRIIB-Fcホモ二量体に関して観察されたように、アクチビンA、GDF8、およびGDF11に対して強い結合を保持し、BMP9、BMP10、およびGDF3に対して実質的に低減された結合を示す。ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、ヘテロ二量体は、BMP6に対して中間レベルの結合を保持する。
【0070】
図20図20は、本明細書に記載されるA-204レポーター遺伝子アッセイによって決定した場合の、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体/ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体IC50データの比較を示す。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11シグナル伝達経路を阻害する。しかし、BMP9およびBMP10シグナル伝達経路のALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体による阻害は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して有意に低減される。これらのデータは、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体が、対応するActRIIB:ActRIIBホモ二量体と比較して、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11のより選択的なアンタゴニストであることを実証している。
【0071】
図21図21Aおよび21Bは、I型受容体とII型受容体ポリペプチドとを含むヘテロマータンパク質複合体の2つの概略的例を示す。図21Aは、1つのI型受容体融合ポリペプチドと1つのII型受容体融合ポリペプチドとを含むヘテロ二量体タンパク質複合体を描写し、これらは各々のポリペプチド鎖内に含まれる多量体形成ドメインを介して共有結合または非共有結合によりアセンブルすることができる。2つのアセンブルされた多量体形成ドメインは、誘導性または非誘導性のいずれかであり得る相互作用対を構成する。図21Bは、図21Aに描写される2つのヘテロ二量体複合体を含むヘテロ四量体タンパク質複合体を描写する。より高次の複合体も想像することができる。
【0072】
図22図22は、I型受容体ポリペプチド(「I」として示す)(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のALK4タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)と、II型受容体ポリペプチド(「II」として示す)(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のActRIIBタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)とを含むヘテロマータンパク質複合体の概略的な例を示す。例証される実施形態では、I型受容体ポリペプチドは、相互作用対の第1のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部であり、II型受容体ポリペプチドは、相互作用対の第2のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部である。各々の融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、I型またはII型受容体ポリペプチドと、相互作用対の対応するメンバーとの間に位置し得る。相互作用対の第1および第2のメンバーは、誘導性(非対称)対であってもよく、これは、対のメンバーが自己会合するよりはむしろ互いに優先的に会合することを意味し、または相互作用対は非誘導性であってもよく、これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してもよいことを意味する。従来のFc融合タンパク質および抗体は、非誘導性相互作用対の例であるが、操作された多様なFcドメインは、誘導性(非対称)相互作用対として設計されている[例えば、Spiessら、(2015年)Molecular Immunology、67巻(2A号):95~106頁を参照されたい]。
【0073】
図23A図23A~23Dは、ALK4ポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のALK4タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)と、ActRIIBポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のActRIIBタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)とを含むヘテロマータンパク質複合体の概略的な例を示す。例証される実施形態では、ALK4ポリペプチドは、相互作用対の第1のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部であり、ActRIIBポリペプチドは、相互作用対の第2のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部である。適した相互作用対には、例えば重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン相互作用対、その短縮体、およびバリアント、例えば本明細書に記載されるものが含まれた[例えば、Spiessら、(2015年)Molecular Immunology、67巻(2A号):95~106頁を参照されたい]。各々の融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、ALK4またはActRIIBポリペプチドと、相互作用対の対応するメンバーとの間に位置し得る。相互作用対の第1および第2のメンバーは、非誘導性であってもよく、これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してもよいことを意味する。図23Aを参照されたい。あるいは、相互作用対は、誘導性(非対称)対であってもよく、これは、対のメンバーが自己会合するよりはむしろ互いに優先的に会合することを意味する。図23Bを参照されたい。より高次の複合体も想像することができる。図23Cおよび23Dを参照されたい。
図23B図23A~23Dは、ALK4ポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のALK4タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)と、ActRIIBポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のActRIIBタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)とを含むヘテロマータンパク質複合体の概略的な例を示す。例証される実施形態では、ALK4ポリペプチドは、相互作用対の第1のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部であり、ActRIIBポリペプチドは、相互作用対の第2のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部である。適した相互作用対には、例えば重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン相互作用対、その短縮体、およびバリアント、例えば本明細書に記載されるものが含まれた[例えば、Spiessら、(2015年)Molecular Immunology、67巻(2A号):95~106頁を参照されたい]。各々の融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、ALK4またはActRIIBポリペプチドと、相互作用対の対応するメンバーとの間に位置し得る。相互作用対の第1および第2のメンバーは、非誘導性であってもよく、これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してもよいことを意味する。図23Aを参照されたい。あるいは、相互作用対は、誘導性(非対称)対であってもよく、これは、対のメンバーが自己会合するよりはむしろ互いに優先的に会合することを意味する。図23Bを参照されたい。より高次の複合体も想像することができる。図23Cおよび23Dを参照されたい。
図23C図23A~23Dは、ALK4ポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のALK4タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)と、ActRIIBポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のActRIIBタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)とを含むヘテロマータンパク質複合体の概略的な例を示す。例証される実施形態では、ALK4ポリペプチドは、相互作用対の第1のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部であり、ActRIIBポリペプチドは、相互作用対の第2のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部である。適した相互作用対には、例えば重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン相互作用対、その短縮体、およびバリアント、例えば本明細書に記載されるものが含まれた[例えば、Spiessら、(2015年)Molecular Immunology、67巻(2A号):95~106頁を参照されたい]。各々の融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、ALK4またはActRIIBポリペプチドと、相互作用対の対応するメンバーとの間に位置し得る。相互作用対の第1および第2のメンバーは、非誘導性であってもよく、これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してもよいことを意味する。図23Aを参照されたい。あるいは、相互作用対は、誘導性(非対称)対であってもよく、これは、対のメンバーが自己会合するよりはむしろ互いに優先的に会合することを意味する。図23Bを参照されたい。より高次の複合体も想像することができる。図23Cおよび23Dを参照されたい。
図23D図23A~23Dは、ALK4ポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のALK4タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)と、ActRIIBポリペプチド(例えば、ヒトまたは本明細書に記載の種などの他の種由来のActRIIBタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド)とを含むヘテロマータンパク質複合体の概略的な例を示す。例証される実施形態では、ALK4ポリペプチドは、相互作用対の第1のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部であり、ActRIIBポリペプチドは、相互作用対の第2のメンバー(「C」)を含む融合ポリペプチドの一部である。適した相互作用対には、例えば重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン相互作用対、その短縮体、およびバリアント、例えば本明細書に記載されるものが含まれた[例えば、Spiessら、(2015年)Molecular Immunology、67巻(2A号):95~106頁を参照されたい]。各々の融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、ALK4またはActRIIBポリペプチドと、相互作用対の対応するメンバーとの間に位置し得る。相互作用対の第1および第2のメンバーは、非誘導性であってもよく、これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してもよいことを意味する。図23Aを参照されたい。あるいは、相互作用対は、誘導性(非対称)対であってもよく、これは、対のメンバーが自己会合するよりはむしろ互いに優先的に会合することを意味する。図23Bを参照されたい。より高次の複合体も想像することができる。図23Cおよび23Dを参照されたい。
【0074】
図24図24は、hTβRII短鎖短縮体およびそのhTβRII長鎖相対物のN-末端アライメントを示す。hTβRII長鎖短縮体に存在する25アミノ酸の挿入を下線で示す。スプライシングプロセスによって、短鎖アイソフォームにおける挿入部位に隣接するバリンが、長鎖アイソフォームにおいてイソロイシンにより置き換えられることに注意されたい。枠内の配列はリーダーを指す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の詳細な説明
1.概要
TGFβスーパーファミリーは、TGFβ、アクチビン、nodal、骨形成タンパク質(BMP)、増殖および分化因子(GDF)、および抗ミュラー管ホルモン(AMH)を含む、30個よりも多くの分泌因子で構成されている[Weissら(2013年)Developmental Biology、2巻(1号):47~63頁]。スーパーファミリーのメンバーは、
脊椎動物および無脊椎動物の両方に見出され、動物の生涯にわたって発生の最初期段階中に、多様な組織および機能にて遍在的に発現される。実際、TGFβスーパーファミリータンパク質は、幹細胞自己再生、原腸形成、分化、臓器形態形成、および成体組織恒常性の重要なメディエータである。この遍在的活性と一致して、異常なTGFβスーパーファミリーシグナル伝達は、広範なヒト病理に関連している。
【0076】
TGFβスーパーファミリーのリガンドは、一方の単量体の中央3-1/2ターンヘリックスが、他方の単量体のベータ-ストランドにより形成される陥凹表面に対してパッキングされている同じ二量体構造を共有する。大多数のTGFβファミリーメンバーは、分子間ジスルフィド結合によりさらに安定化されている。このジスルフィド結合は、2つの他のジスルフィド結合により形成される環をくぐり抜け、「システインノット(cysteine
knot)」モチーフと名付けられているものを生じている[Linら(2006年)Reproduction 132巻:179~190頁;およびHinckら(2012年) FEBS Letters
586巻:1860~1870頁]。
【0077】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達は、リガンド刺激されると下流SMADタンパク質(例えば、SMADタンパク質1、2、3、5、および8)をリン酸化および活性化する、I型およびII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体により媒介される[Massague(2000年)Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1巻:169~
178頁]。こうしたI型およびII型受容体は、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインで構成される膜貫通型タンパク質である。一般に、I型受容体は、細胞内シグナル伝達を媒介し、II型受容体は、TGFβスーパーファミリーリガンドへの結合に必要とされる。I型およびII型受容体は、リガンド結合後に安定複合体を形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化がもたらされる。
【0078】
TGFβファミリーは、それらが結合するI型受容体およびそれらが活性化するSmadタンパク質に基づき、2つの系統発生分岐に分類することができる。1つは、より最近になって進化した分岐であり、例えば、Smad2および3を活性化するI型受容体を介してシグナル伝達するTGFβ、アクチビン、GDF8、GDF9、GDF11、BMP3、およびnodalが挙げられる[Hinck(2012年)FEBS Letters 586巻:1860~1870頁]。他の分岐は、スーパーファミリーのより遠縁のタンパク質を含み、例えば、Smad1、5、および8を介してシグナル伝達するBMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF1、GDF5、GDF6、およびGDF7が挙げられる。
【0079】
TGFβアイソフォームは、TGFβスーパーファミリーの創始メンバーであり、哺乳動物には、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3と名付けられているその3つの公知アイソフォームが存在する。成熟した生物活性TGFβリガンドは、ホモ二量体として機能し、主に、I型受容体ALK5を介してシグナル伝達するが、内皮細胞では、さらにALK1を介してシグナル伝達することも見出されている[Goumansら(2003年) Mol Cell 12巻(4号):817~828頁]。TGFβ1は、最も多量におよび遍在的に発現されるアイソフォームである。TGFβ1は、創傷治癒に重要な役割を有することが公知であり、構成的に活性なTGFβ1導入遺伝子を発現するマウスは、繊維症を発症する[Clouthierら(1997年)J Clin. Invest. 100巻(11号):2697~2713頁]。TGFβ1発現は、最初は、ヒト神経膠芽腫細胞で報告された。TGFβ1発現は、胚神経系のニューロンおよび星状膠細胞に生じる。TGFβ3は、ヒト横紋筋肉腫細胞株から最初に単離された。それ以来、肺腺癌および腎癌細胞株に見出されている。TGFβ3は、口蓋および肺形態形成に重要であることが公知である[Kubiczkovaら(2012年)Journal of Translational Medicine 10巻:183頁]。
【0080】
アクチビンは、TGFβスーパーファミリーのメンバーであり、最初は、卵胞刺激ホルモンの分泌の調節因子として発見されが、その後、種々の生殖および非生殖役割が特徴付けられている。2つの密接に関連するβサブユニットのホモ/ヘテロ二量体(それぞれ、ββ、ββ、およびββ)である3つの主要アクチビン形態(A、B、およびAB)が存在する。また、ヒトゲノムは、主に肝臓で発現されるアクチビンCおよびアクチビンEをコードし、βまたはβを含むヘテロ二量体形態も公知である。TGFβスーパーファミリーのアクチビンは、卵巣および胎盤細胞でのホルモン産生を刺激することができ、ニューロン細胞生存を支持することができ、細胞タイプに応じて細胞周期進行に正のまたは負の影響を及ぼすことができ、少なくとも両生動物胚で中胚葉分化を誘導することができる独特な多機能性因子である[DePaoloら(1991年)Proc Soc Ep Biol Med. 198巻:500~512頁;Dysonら(1997年)Curr Biol. 7巻:81~84頁;およびWoodruff(1998年)Biochem Pharmacol. 55巻:953~9
63頁]。幾つかの組織では、アクチビンシグナル伝達は、その関連ヘテロ二量体であるインヒビンによりアンタゴナイズされる。例えば、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌の調節では、アクチビンは、FSH合成および分泌を促進するが、インヒビンは、FSH合成および分泌を低減させる。アクチビン生物活性を調節することができる、および/またはアクチビンに結合することができる他のタンパク質としては、ホリスタチン(FS)、ホリスタチン関連タンパク質(FSRP;FLRGまたはFSTL3としても公知)およびα-マクログロブリンが挙げられる。
【0081】
本明細書に記載されているように、「アクチビンA」に結合する作用剤は、単離されたβサブユニットの状況であるか、または二量体複合体(例えば、ββホモ二量体またはββヘテロ二量体)としてであるかに関わらず、βサブユニットに特異的に結合する作用剤である。ヘテロ二量体複合体(例えば、ββヘテロ二量体)の場合、「アクチビンA」に結合する作用剤は、βサブユニット内に存在するエピトープに特異的であるが、複合体の非βサブユニット(例えば、複合体のβサブユニット)内に存在するエピトープには結合しない。同様に、「アクチビンA」をアンタゴナイズする(阻害する)本明細書で開示された作用剤は、単離されたβサブユニットの状況であるか、または二量体複合体(例えば、ββホモ二量体またはββヘテロ二量体)としてであるかに関わらず、βサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性を阻害する作用剤である。ββヘテロ二量体の場合、「アクチビンA」を阻害する作用剤は、βサブユニットの1つまたは複数の活性を特異的に阻害するが、複合体の非βサブユニット(例えば、複合体のβサブユニット)の活性を阻害しない作用剤である。この原則は、「アクチビンB」、「アクチビンC」、および「アクチビンE」に結合および/または阻害する作用剤にも当てはまる。「アクチビンAB」をアンタゴナイズする本明細書で開示された作用剤は、βサブユニットにより媒介されるような1つまたは複数の活性、およびβサブユニットにより媒介されるような1つまたは複数の活性を阻害する作用剤である。
【0082】
BMPおよびGDFは共に、TGFβスーパーファミリーの特徴的フォールドを共有するシステインノットサイトカインのファミリーを形成する[Riderら(2010年)Biochem J.、429巻(1号):1~12頁]。このファミリーとしては、例えば、以下のものが挙げられる:BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP2a、BMP3、BMP3b(GDF10としても公知)、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、BMP8a、BMP8b、BMP9(GDF2としても公知)、BMP10、BMP11(GDF11としても公知)、BMP12(GDF7としても公知)、BMP13(GDF6としても公知)、BMP14(GDF5としても公知)、BMP15、GDF1、GDF3(VGR2としても公知)、GDF8(ミオスタチンとしても公知)、GDF9、GDF15、およびデカペンタプレジック。BMPにそれらの名称を与えることになった骨形成を誘導する能力の他に、BMP/GDFは、広範な組織の発生に形態形成活性を示す。BMP/GDFホモおよびヘテロ二量体は、I型およびII型受容体二量体の組合せと相互作用して、複数の考え得るシグナル伝達複合体を生成し、SMAD転写因子の2つの競合セットの1つの活性化に結び付く。BMP/GDFは、非常に特異的および局所的な機能を有する。これらは、BMP/GDF発現の発生制限、およびサイトカインに高親和性で結合する幾つかの特異的なBMPアンタゴニストタンパク質の分泌によることを含む幾つかの様式で調節される。興味深いことには、これらのアンタゴニストの幾つかは、TGFβスーパーファミリーリガンドに相似している。
【0083】
部分的には、本明細書で示されたデータは、ActRIIアンタゴニスト(阻害剤)およびTGFβアンタゴニストを、単独でまたは組み合わせて使用して、がんを処置することができることを実証する。特に、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、または汎特異性TGFβ抗体による処置は、別々に、がんモデルの腫瘍負荷を減少させ、生存期間を増加させたことが示された。さらに、TGFβアンタゴニストと組み合わせてActRIIアンタゴニストを使用すると、いずれか一方の作用剤のみで観察される効果と比較して、抗腫瘍活性を相乗的に増加させることができることが示された。データは、TGFβシグナル伝達の阻害に関連する抗腫瘍効果が、TGFβ2アンタゴニズムによるものであることを示しているが、本明細書では、TGFβの3つのアイソフォーム(TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3)すべての阻害剤が、抗腫瘍活性を有することが示された。したがって、多くの実施形態では、本開示の方法および使用に従って使用されるTGFβアンタゴニストは、TGFβ2を阻害することが好ましいが、TGFβ1および/またはTGFβ3を阻害するTGFβアンタゴニストも、抗腫瘍応答の促進に有用であろうということが予想される。
【0084】
したがって、本開示は、部分的には、ActRIIアンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、またはActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストの組合せを、単独でまたは1つもしくは複数の支持療法および/もしくは追加活性剤と組み合わせて使用して、がんを処置するための、特にがんの1つまたは複数の合併症を処置または予防するための(例えば、腫瘍負荷を低減するための)方法を提供する。加えて、データは、ActRIIおよびTGFβアンタゴニスト療法の有効性が、免疫系に依存することを示す。したがって、部分的には、本開示は、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストを、免疫療法剤として使用して、特に、幅広い様々ながん(例えば、免疫抑制および/または免疫疲弊に関連したがん)を処置することができるという発見に関する。他の公知の免疫腫瘍学的作用剤と同様に、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストが患者の免疫応答を強化する能力は、がん分野以外でもより幅広い治療的意義を有する場合がある。例えば、免疫強化剤が、幅広い様々な感染性疾患、特に免疫抑制および/または免疫疲弊を促進する病原性因子の処置に有用であり得ることが提案されている。また、そのような免疫強化剤は、ワクチン(例えば、感染性疾患およびがんワクチン)の免疫化有効性のブーストに有用であり得る。したがって、本開示は、単独でまたは組み合わせて使用して、必要に応じて1つまたは複数の支持療法および/または追加活性剤と組み合わせて、それを必要とする対象の免疫応答を増加させ、がんを処置し、感染性疾患を処置し、および/または免疫化有効性を増加させることができる種々のActRIIおよびTGFβアンタゴニストを提供する。
【0085】
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の状況内の、および各用語が使用される具体的な状況での、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。ある用語は、本開示の組成物および方法ならびにそれらの製作および使用方法の説明において従事者に追加の指針を提供するために、本明細書の下記でまたは他所で考察されている。用語の任意の使用の範囲または意味は、それが使用される具体的な状況から明白になるであろう。
【0086】
「ヘテロマー」または「ヘテロ多量体」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、第2のポリペプチド鎖は、アミノ酸配列が、第1のポリペプチド鎖と少なくとも1つのアミノ酸残基で異なる複合体を指す。ヘテロマーは、第1および第2のポリペプチド鎖により形成された「ヘテロ二量体」を含んでいてもよく、または第1および第2のポリペプチド鎖に加えて、1つまたは複数のポリペプチド鎖が存在するより高次の構造を形成していてもよい。ヘテロ多量体の例示的な構造としては、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびさらなるオリゴマー構造が挙げられる。ヘテロ二量体は、本明細書ではX:Yとして、または同義的にX-Yと表記されており、Xは、第1のポリペプチド鎖を表し、Yは第2のポリペプチド鎖を表す。より高次のヘテロマーおよびオリゴマー構造は、本明細書では、対応する様式で表記されている。
【0087】
「相同的」は、そのあらゆる文法形態およびスペリングバリエーションにおいて、生物の同じ種のスーパーファミリーに由来するタンパク質、ならびに生物の異なる種に由来する相同的タンパク質を含む、「共通の進化起原」を有する2つのタンパク質間の関係性を指す。そのようなタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、同一性パーセントによるか、または具体的な残基もしくはモチーフおよび保存位置の存在によるかに関わらず、それらの配列類似性により反映される配列相同性を有する。しかしながら、一般的な使用法および本出願では、用語「相同的」は、「高度に」などの副詞で修飾されている場合、配列類似性を指す場合があり、共通の進化起原に関していてもよく、またはいなくともよい。
【0088】
用語「配列類似性」は、そのあらゆる文法形態において、共通の進化起原を共有していてもよく、またはしていなくともよい核酸またはアミノ酸配列間の同一性または一致の度合いを指す。
【0089】
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に対する「配列同一性パーセント(%)」は、配列をアラインし、必要な場合はギャップを導入して、配列同一性の一部として一切の保存的置換を考慮せずに、最大配列同一性パーセントを達成した後の、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列のアミノ酸残基(または核酸)と同一である、候補配列のアミノ酸残基(または核酸)のパーセンテージであると規定される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当技術分野の技術内にある種々の様式で達成することができる。当業者であれば、比較しようとする配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的では、アミノ酸(核酸)配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.の著作物であり、ソースコードは、米国著作権局、ワシントンD.C.20559にユーザー文書と共に提出されており、米国著作権登録番号TXU510087号として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州から公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN-2プログラムは、使用するためには、digital UNIX(登録商標) V4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステムでコンパイルされるべきである。配列比較パラメーターはすべて、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変更しない。
【0090】
「アゴナイズする」は、そのあらゆる文法形態において、タンパク質および/もしくは遺伝子を活性化するか(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅することにより、または不活性タンパク質を誘導して活性状態にすることにより)またはタンパク質のおよび/もしくは遺伝子の活性を増加させるプロセスを指す。
【0091】
「アンタゴナイズする」は、そのあらゆる文法形態において、タンパク質および/もしくは遺伝子を阻害するか(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害もしくは減少させるにより、または活性タンパク質を誘導して不活性状態にすることにより)またはタンパク質のおよび/もしくは遺伝子の活性を減少させるプロセスを指す。
【0092】
用語「約」および「およそ」は、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、数値に関して使用される場合、当業者によく知られており、許容され得る、正確性の区間を示す。一般に、そのような正確性の区間は、±10%である。その代わりおよび特に生物系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の同じ桁内、好ましくは≦5倍、およびより好ましくは≦2倍である値を意味する場合がある。
【0093】
本明細書で開示された数値の範囲は、範囲を規定する数値を含む。
【0094】
用語「a」および「an」は、用語が使用される状況が明白にそうではないと示さない限り、複数の指示物を含む。用語「a」(または「an」)ならびに用語「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書では同義的に使用することができる。さらに、「および/または」は、本明細書で使用される場合、他方を有しているかまたは有していない2つまたはそれよりも多くの具体的な特徴または成分の各々の具体的な開示であると理解されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句に使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」単独を含むことが意図されている。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句に使用される用語「および/または」は、以下の態様の各々を包含することが意図されている:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0095】
2.ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIポリペプチドおよびそれらの使用(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)に関する。本明細書で使用される場合、用語「ActRII」は、II型アクチビン受容体のファミリーを指す。このファミリーは、アクチビン受容体IIA型(ActRIIA)およびアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)を含む。一部の態様では、本開示は、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドおよび少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含み、本明細書では「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体」または「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体」と一般に呼ばれるヘテロ多量体、およびそれらの使用(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)に関する。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「ActRIIB」は、任意の種に由来するアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリー、および突然変異誘発または他の修飾によりそのようなActRIIBタンパク質から導出されたバリアントを指す。本明細書におけるActRIIBへの言及は、現在特定されている形態のいずれか1つへの言及であることが理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチ領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成される膜貫通型タンパク質である。
【0097】
用語「ActRIIBポリペプチド」は、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチド、ならびに有用な活性を保持するそれらの任意のバリアント(突然変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。そのようなバリアントActRIIBポリペプチドの例は、本開示の全体にわたって、ならびに国際特許出願公開第2006/012627号、国際公開第2008/097541号、および国際公開第2010/151426号に提供されている。これらの文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべてのActRIIB関連ポリペプチドのアミノ酸の付番は、具体的にそうではないと記載されていない限り、下記に提供されているヒトActRIIB前駆体タンパク質配列(配列番号1)の付番に基づく。
【0098】
ヒトActRIIB前駆体タンパク質配列は以下の通りである。
【化1】
【0099】
シグナルペプチドは、一重下線で示されており、細胞外ドメインは太字体で示されており、潜在的な内因性N-連結グリコシル化部位は、二重下線で示されている。
【0100】
プロセシングされた細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
【化2】
【0101】
一部の実施形態では、N末端に「SGR...」配列を有するタンパク質が生成される場合がある。細胞外ドメインのC末端「尾部」は、一重下線により示されている。「尾部」が欠失した配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
【化3】
【0102】
また、配列番号1の64位にアラニン(A64)を有するActRIIBの形態が、文献に報告されている。例えばHildenら(1994年)Blood、83巻(8号):2163
~2170頁を参照されたい。A64置換を有するActRIIBの細胞外ドメインを含むActRIIB-Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対して比較的低い親和性を有することが確認されている。対照的に、64位にアルギニン(R64)を有する同じActRIIB-Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対する親和性が、低ナノモル~高ピコモル範囲である。したがって、R64を有する配列を、本開示のヒトActRIIBの「野生型の」参照配列として使用する。
【0103】
64位にアラニンを有するActRIIBの形態は以下の通りである。
【化4】
【0104】
シグナルペプチドは、一重下線により示されており、細胞外ドメインは太字体により示されている。
【0105】
代替的A64形態のプロセシングされた細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
【化5】
【0106】
一部の実施形態では、N末端に「SGR...」配列を有するタンパク質が生成される場合がある。細胞外ドメインのC末端「尾部」は、一重下線により示されている。「尾部」が欠失した配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
【化6】
【0107】
ヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、下記に示されており(配列番号7)、ActRIIB前駆体のアミノ酸1~513をコードするGenbank参照配列NM_001106.3のヌクレオチド25~1560を表す。示されている配列は、64位にアルギニンを提供し、代わりにアラニンを提供するように修飾されていてもよい。シグナル配列には下線が引かれている。
【化7-1】
【化7-2】
【0108】
プロセシングされた細胞外ヒトActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の通りである(配列番号8)。示されている配列は、64位にアルギニンを提供し、代わりにアラニンを提供するように修飾されていてもよい。
【化8】
【0109】
ヒトActRIIB細胞外ドメインおよびヒトActRIIA細胞外ドメインのアミノ酸配列のアラインメントは、図1に例示されている。このアラインメントは、ActRIIリガンドと直接接触すると考えられる、両受容体内のアミノ酸残基を示す。例えば、複合ActRII構造は、ActRIIBリガンド結合ポケットが、部分的には、残基Y31、N33、N35、L38~T41、E47、E50、Q53~K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78~N83、Y85、R87、A92、およびE94~F101により規定されることを示した。これらの位置では、保存的突然変異が許容されることになると予想される。
【0110】
加えて、ActRIIBは、脊椎動物で良好に保存されており、細胞外ドメインの大きな区間が完全に保存されている。例えば、図2は、種々のActRIIBオルソログと比較した、ヒトActRIIB細胞外ドメインの多重配列アラインメントを示す。ActRIIBに結合するリガンドの多くも、高度に保存されている。したがって、こうしたアラインメントから、正常なActRIIBリガンド結合活性にとって重要であるリガンド結合ドメイン内の重要なアミノ酸位置を予測すること、ならびに正常なActRIIBリガンド結合活性を著しく変更せずに置換に許容性である可能性が高いアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本開示の方法により有用な活性ヒトActRIIBバリアントポリペプチドは、別の脊椎動物ActRIIB配列に由来する1つまたは複数のアミノ酸を対応する位置に含んでいてもよく、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列の残基と類似する残基を含んでいてもよい。限定を意味しないが、以下の例は、活性ActRIIBバリアントを規定するための本手法を例示する。ヒト細胞外ドメイン(配列番号103)のL46は、Xenopus ActRIIB(配列番号105)ではバリンであり、したがってこの位置は変更することができ、必要に応じて、V、I、もしくはFなどの別の疎水性残基、またはAなどの無極性残基に変更することができる。ヒト細胞外ドメインのE52は、XenopusではKであり、この部位が、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、およびおそらくはAを含む、幅広く様々な変化に許容性であり得ることを示す。ヒト細胞外ドメインのT93は、XenopusではKであり、この位置では幅広い構造バリエーションが許容され、S、K、R、E、D、H、G、P、G、およびYなどの極性残基が有利であることを示す。ヒト細胞外ドメインのF108は、XenopusではYであり、したがって、Y、またはI、V、もしくはLなどの他の疎水基が許容されるはずである。ヒト細胞外ドメインのE111は、XenopusではKであり、この位置では、D、R、K、およびHを含む荷電残基、ならびにQおよびNが許容されることになることを示す。ヒト細胞外ドメインのR112は、XenopusではKであり、この位置では、RおよびHを含む塩基性残基が許容されることを示す。ヒト細胞外ドメインの119位のAは、保存が比較的不良であり、げっ歯動物ではPとしておよびXenopusではVとして出現し、したがってこの位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
【0111】
さらに、当技術分野では、ActRIIタンパク質は、特にリガンド結合に関する構造的および機能的特徴の点で特徴付けられている[Attisanoら(1992年)Cell 68巻(1号):97~108頁;Greenwaldら(1999年)Nature Structural Biology 6巻(1号):18~22頁;Allendorphら(2006年)PNAS 103巻(20号):7643~7648頁;Thompsonら(2003年)The EMBO Journal 22巻(7号):1555~1566頁;ならびに米国特許第7,709,605号、第7,612,041号、および第7,842,663号]。本明細書の教示に加えて、これら参考文献は、1つまたは複数の正常な活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するActRIIBバリアントを生成する方法の指針を詳細に提供する。
【0112】
例えば、スリーフィンガー毒素フォールド(three-finger toxin fold)として公知
の特徴的構造モチーフは、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各単量体受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に位置する保存されたシステイン残基により形成される[Greenwaldら(1999年)Nat Struct Biol 6巻:18~22頁;およびHinck(2012年)FEBS Lett 586巻:1860~1870頁]。したがって
、ヒトActRIIBのコアリガンド結合ドメインは、こうした保存されたシステインのうちの最も外側のシステインにより境界が示され、配列番号1(ActRIIB前駆体)の29~109位に対応する。必ずしもリガンド結合を変更することなく、こうしたシステインにより境界が示されるコア配列に隣接する、構造的にあまり秩序だっていないアミノ酸を、N末端では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28個残基、および/またはC末端では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個残基だけ短縮することができる。N末端および/またはC末端短縮の例示的なActRIIB細胞外ドメインとしては、配列番号2、3、5、および6が挙げられる。
【0113】
Attisanoらは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端のプロリンノット(proline
knot)の欠失が、アクチビンに対する受容体の親和性を低減させたことを示した。本配列番号1のアミノ酸20~119を含むActRIIB-Fc融合タンパク質「ActRIIB(20~119)-Fc」は、プロリンノット領域および完全な膜近傍ドメインを含むActRIIB(20~134)-Fcと比べて(例えば、米国特許第7,842,663号を参照)、GDF11およびアクチビンに対する結合を低減させた。しかしながら、ActRIIB(20~129)-Fcタンパク質は、たとえプロリンノット領域が破壊されても、野生型と比べて、同様であるが幾らか低減された活性を保持する。
【0114】
したがって、アミノ酸134、133、132、131、130、および129(配列番号1を基準にして)で終了するActRIIB細胞外ドメインはすべて、活性であることが予想されるが、134または133で終了する構築物が、最も活性であり得る。同様に、残基129~134(配列番号1を基準にして)のいずれかの突然変異は、リガンド結合親和性を大幅に変更しないと予想される。これを支持するものとして、P129およびP130(配列番号1を基準にして)の突然変異は、リガンド結合を実質的には減少させないことが当技術分野で公知である。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、アミノ酸109(最後のシステイン)で早めに終了してもよいが、109~119でまたはその間(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、または119)で終了する形態は、リガンド結合が低減されると予想される。アミノ酸119(本配列番号1を基準にして)は、保存が不良であり、したがって直ちに変更または短縮される。128(配列番号1を基準にして)またはそれ以降で終了するActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、リガンド結合活性を保持するはずである。配列番号1を基準にして、119~127でまたはその間(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、または127)で終了するActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、中程度の結合能力を有することになる。こうした形態はいずれも、臨床または実験の設定に応じて、使用が望ましいものであり得る。
【0115】
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29またはその前から(配列番号1を基準にして)始まるタンパク質は、リガンド結合活性を保持することになると予想される。アミノ酸29は、最初のシステインである。24位(配列番号1を基準にして)におけるアラニンからアスパラギンへの突然変異は、リガンド結合に実質的な影響を及ぼさずに、N-連結グリコシル化配列を導入する[米国特許第7,842,663号]。これにより、アミノ酸20~29に対応する、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域での突然変異が良好に許容されることが確認される。特に、20、21、22、23、および24位(配列番号1を基準にして)から始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、一般的なリガンド結合活性を保持するべきであり、25、26、27、28、および29位(配列番号1を基準にして)から始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップも、リガンド結合活性を保持することが予想される。例えば、米国特許第7,842,663号では、驚くべきことに、22、23、24、または25から始まるActRIIB構築物が、最も高い活性を有することになることが実証されている。
【0116】
まとめると、ActRIIBの活性部分(例えば、リガンド結合部分)の一般式は、配列番号1のアミノ酸29~109を含む。したがって、ActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号1のアミノ酸20~29のいずれか1つに対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つから始まり)、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸109~134に対応する位置で終了する(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終了する)ActRIIBの部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなっていてもよい。他の例としては、配列番号1の20~29(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位のいずれか1つ)または21~29(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位のいずれか1つ)の位置から始まり、配列番号1の119~134(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または、134位のいずれか1つ)、119~133(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、または133位のいずれか1つ)、129~134(例えば、129、130、131、132、133、または134位のいずれか1つ)、または129~133(例えば、129、130、131、132、または133位のいずれか1つ)の位置で終了するポリペプチドが挙げられる。他の例としては、配列番号1の20~24(例えば、20、21、22、23、または24位のいずれか1つ)、21~24(例えば、21、22、23、または24位のいずれか1つ)、または22~25(例えば、22、22、23、または25位のいずれか1つ)の位置から始まり、配列番号1の109~134(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または、134位のいずれか1つ)、119~134(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位のいずれか1つ)、または129~134(例えば、129、130、131、132、133、または134位のいずれか1つ)の位置で終了する構築物が挙げられる。また、こうした範囲内にあるバリアント、特に、配列番号1の対応する部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるものも企図される。
【0117】
本明細書に記載されているバリエーションは、種々の様式で組み合わせることができる。一部の実施形態では、ActRIIBバリアントは、リガンド結合ポケットに1、2、5、6、7、8、9、10、または15個以下の保存的アミノ酸変化、必要に応じて、リガンド結合ポケットの40、53、55、74、79、および/または82位に、ゼロ、1つまたは複数の非保存的変更を含む。変異性が特に良好に許容され得る、結合ポケットの外部の部位としては、細胞外ドメインのアミノおよびカルボキシ末端(上述のような)、ならびに42~46および65~73位(配列番号1を基準にして)が挙げられる。65位におけるアスパラギンからアラニンへの変更(N65A)は、R64バックグラウンドではリガンド結合を減少させないと考えられる[米国特許第7,842,663号]。この変化は、おそらくはA64バックグラウンドにおいてN65のグリコシル化を排除するため、この領域では著しい変化が許容される可能性が高いことを示す。R64A変化の許容性は不良であるが、R64Kは良好に許容される。したがって、64位では、Hなどの別の塩基性残基が許容され得る[米国特許第7,842,663号]。加えて、当技術分野で報告されている突然変異誘発プログラムの結果は、保存することが有益であることが多いアミノ酸位置が、ActRIIBに存在することを示す。そうしたアミノ酸位置としては、配列番号1を基準にして、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、および特にトリプトファン)、37位(酸性、および特にアスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特にフェニルアラニンまたはチロシン)が挙げられる。したがって、本開示は、ActRIIBポリペプチドに保存されていてもよいアミノ酸のフレームワークを提供する。保存することが望ましい場合がある他の位置は、以下の通りである:すべて配列番号1を基準にして、52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98(極性または荷電、特にE、D、R、またはK)。
【0118】
ActRIIB細胞外ドメインへのさらなるN-連結グリコシル化部位(N-X-S/T)の付加は、良好に許容されることが以前に実証されている(例えば、米国特許第7,842,663号を参照)。したがって、N-X-S/T配列は、一般に、例えば、本開示のActRIIBポリペプチドの、図1で規定されているリガンド結合ポケットの外部の位置に導入することができる。非内因性N-X-S/T配列の導入に特に好適な部位としては、アミノ酸20~29、20~24、22~25、109~134、120~134、または129~134が挙げられる(配列番号1を基準にして)。また、N-X-S/T配列は、ActRIIB配列とFcドメインまたは他の融合成分との間のリンカーに、ならびに必要に応じて融合成分自体に導入してもよい。そのような部位は、既存のSまたはTに対して正確な位置にNを導入することにより、または既存のNに対応する位置にSまたはTを導入することにより、最小限の労力で導入することができる。したがって、N-連結グリコシル化部位を生成することになる望ましい変更は、A24N、R64N、S67N(おそらくはN65A変更と組み合わせて)、E105N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112S、およびR112Tである(配列番号1を基準にして)。グリコシル化により得られる保護のため、免疫原性部位を生成せずに、グリコシル化されると予測される任意のSをTに変更することができる。同様に、グリコシル化されると予測される任意のTをSに変更することができる。したがって、変更S67TおよびS44T(配列番号1を基準にして)が企図される。同様に、A24Nバリアントでは、S26T変更を使用することができる。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、上記に記載されている1つまたは複数の追加の非内因性N-連結グリコシル化コンセンサス配列を有するバリアントであってもよい。
【0119】
ある特定の実施形態では、本開示は、それらの断片、機能的バリアント、および修飾形態を含む少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むActRIIアンタゴニスト(阻害剤)、ならびにそれらの使用(例えば、それを必要とする患者の免疫応答を増加させることおよびがんを処置すること)に関する。好ましくは、ActRIIBポリペプチドは、可溶性である(例えば、ActRIIBの細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]の活性(例えば、Smadシグナル伝達)をアンタゴナイズする。したがって、一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸20~29に対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つから始まり)、配列番号1のアミノ酸109~134に対応する位置で終了する(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終了する)ActRIIBの部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸(天然に存在する酸性アミノ酸DおよびEまたは人工酸性アミノ酸)である。ある特定の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25~131と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。ある特定の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25~131と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸である。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、73、77、78、128、131、132、および133のいずれか1つのアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、73、77、78、128、131、132、および133のいずれか1つのアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸である。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むか、からなるか、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸ではない(つまり、天然に存在する酸アミノ酸DもしくはEでも、人工酸性アミノ酸残基でもない)。
【0120】
ある特定の実施形態では、本開示は、ActRIIAポリペプチドに関する。本明細書で使用される場合、用語「ActRIIA」は、任意の種に由来するアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)タンパク質のファミリー、および突然変異誘発または他の修飾によりそのようなActRIIAタンパク質から導出されたバリアントを指す。本明細書におけるActRIIAへの言及は、現在特定されている形態のいずれか1つへの言及であることが理解される。ActRIIAファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチ領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成される膜貫通型タンパク質である。
【0121】
用語「ActRIIAポリペプチド」は、ActRIIAファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意のバリアント(突然変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。そのようなバリアントActRIIAポリペプチドの例は、本開示の全体にわたって、ならびに国際特許出願公開第2006/012627号および国際公開第2007/062188号に提供されている。これらの文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべてのActRIIA関連ポリペプチドのアミノ酸の付番は、具体的にそうではないと記載されていない限り、下記に提供されているヒトActRIIA前駆体タンパク質配列(配列番号9)の付番に基づく。
【0122】
ヒトActRIIA前駆体タンパク質配列は以下の通りである。
【化9】
【0123】
シグナルペプチドは、一重下線で示されており、細胞外ドメインは太字体で示されており、潜在的な内因性N-連結グリコシル化部位は、二重下線で示されている。
【0124】
プロセシングされた細胞外ヒトActRIIAポリペプチド配列は、以下の通りである。
【化10】
【0125】
細胞外ドメインのC末端「尾部」は、一重下線により示されている。「尾部」が欠失した配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
【化11】
【0126】
ヒトActRIIA前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、下記に示されており(配列番号12)、Genbank参照配列NM_001616.4のヌクレオチド159~1700の通りである。シグナル配列には下線が引かれている。
【化12-1】
【化12-2】
【0127】
プロセシングされたヒトActRIIAポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の通りである。
【化13】
【0128】
ActRIIAは、脊椎動物で良好に保存されており、細胞外ドメインの大きな区間が完全に保存されている。例えば、図3は、種々のActRIIAオルソログと比較した、ヒトActRIIA細胞外ドメインの多重配列アラインメントを示す。ActRIIAに結合するリガンドの多くも、高度に保存されている。したがって、こうしたアラインメントから、正常なActRIIAリガンド結合活性にとって重要であるリガンド結合ドメイン内の重要なアミノ酸位置を予測すること、ならびに正常なActRIIAリガンド結合活性を著しく変更せずに置換に耐容性である可能性が高いアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本開示の方法により有用な活性ヒトActRIIAバリアントポリペプチドは、別の脊椎動物ActRIIAの配列に由来する1つまたは複数のアミノ酸を対応する位置に含んでいてもよく、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列の残基と類似した残基を含んでいてもよい。
【0129】
限定を意味しないが、以下の例は、活性ActRIIAバリアントを規定するための本手法を例示する。図3に例示されているように、ヒト細胞外ドメインのF13は、Ovis aries(配列番号108)、Gallus gallus(配列番号111)、Bos Taurus(配列番号112)、Tyto alba(配列番号113)、およびMyotis davidii(配列番号114)ActRIIAではYであり、この位置では、F、W、およびYを含む芳香族残基が許容されることを示す。ヒト細胞外ドメインのQ24は、Bos Taurus ActRIIAではRであり、この位置では、D、R、K、H、およびEを含む荷電残基が許容されることになることを示す。ヒト細胞外ドメインのS95は、Gallus gallusおよびTyto alba ActRIIAではFであり、この部位が、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、およびおそらくはL、I、またはFなどの疎水性残基を含む、幅広く様々な変化に許容性であり得ることを示す。ヒト細胞外ドメインのE52は、Ovis aries ActRIIAではDであり、この位置では、DおよびEを含む酸性残基が許容されることを示す。ヒト細胞外ドメインのP29は、保存が比較的不良であり、Ovis aries ActRIIAではSとして、およびMyotis davidii ActRIIAではLとして出現し、したがってこの位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
【0130】
さらに、上記で考察されているように、ActRIIタンパク質は、当技術分野では、特にリガンド結合に関する構造的/機能的特徴の点で特徴付けられている[Attisanoら(1992年)Cell 68巻(1号):97~108頁;Greenwaldら(1999年)Nature Structural Biology 6巻(1号):18~22頁;Allendorphら(2006年)PNAS 103巻(20号):7643~7648頁;Thompsonら(2003年)The EMBO
Journal 22巻(7号):1555~1566頁;ならびに米国特許第7,709,
605号、第7,612,041号、および第7,842,663号]。本明細書の教示に加えて、これら参考文献は、1つまたは複数の所望の活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するActRIIAバリアントを生成する方法の指針を詳細に提供する。
【0131】
例えば、スリーフィンガー毒素フォールドとして公知の特徴的構造モチーフは、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各単量体受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に位置する保存されたシステイン残基により形成される[Greenwaldら(1
999年)Nat Struct Biol 6巻:18~22頁;およびHinck(2012年)FEBS Lett 586巻:1860~1870頁]。したがって、ヒトActRIIAのコアリガンド結合ドメインは、こうした保存されたシステインのうちの最も外側のシステインにより境界が示され、配列番号9(ActRIIA前駆体)の30~110位に対応する。したがって、必ずしもリガンド結合を変更することなく、こうしたシステインにより境界が示されるコア配列に隣接する、構造的にあまり秩序だっていないアミノ酸を、N末端では約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個残基、およびC末端では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個残基だけ短縮することができる。例示的なActRIIA細胞外ドメイン短縮体としては、配列番号10および11が挙げられる。
【0132】
したがって、ActRIIAの活性部分(例えば、リガンド結合)の一般式は、配列番号9のアミノ酸30~110を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチドである。したがって、ActRIIAポリペプチドは、例えば、配列番号9のアミノ酸21~30のいずれか1つに対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つから始まり)、配列番号9のいずれか1つのアミノ酸110~135に対応する位置で終了する(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または135のいずれか1つで終了する)ActRIIAの部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなっていてもよい。他の例としては、配列番号9の21~30(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つから始まる)、22~30(例えば、アミノ酸22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つから始まる)、23~30(例えば、アミノ酸23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つからから始まる)、24~30(例えば、アミノ酸24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つから始まる)から選択される位置から始まり、配列番号9の111~135(例えば、アミノ酸111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終了する)、112~135(例えば、アミノ酸112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終了する)、113~135(例えば、アミノ酸113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終了する)、120~135(例えば、アミノ酸120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終了する)、130~135(例えば、アミノ酸130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終了する)、111~134(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終了する)、111~133(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、または133のいずれか1つで終了する)、111~132(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、または132のいずれか1つで終了する)、または111~131(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、または131のいずれか1つで終了する)から選択される位置で終了する構築物が挙げられる。こうした範囲内にあるバリアント、特に、配列番号9の対応する部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるものも企図される。したがって、一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチドを含んでいてもよく、から本質的になってもよく、またはからなっていてもよい。必要に応じて、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチドを含み、リガンド結合ポケットに1、2、5、10、または15個以下の保存的アミノ酸変化を含む。
【0133】
ある特定の実施形態では、本開示は、それらの断片、機能的バリアント、および修飾形態を含む、少なくとも1つのActRIIAポリペプチドを含むActRIIアンタゴニスト(阻害剤)、ならびにそれらの使用(例えば、それを必要とする患者の免疫応答を増加させることおよびがんを処置すること)に関する。好ましくは、ActRIIAポリペプチドは、可溶性である(例えば、ActRIIAの細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21~30に対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つから始まり)、配列番号9のいずれか1つのアミノ酸110~135に対応する位置で終了する(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または135のいずれか1つで終了する)ActRIIAの部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。ある特定の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21~135と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9、10、11、50、54、および57のいずれか1つのアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、からなるか、またはから本質的になる。
【0134】
ある特定の態様では、本開示は、GDFトラップポリペプチド(「GDFトラップ」とも呼ばれる)に関する。一部の実施形態では、本開示のGDFトラップは、ActRIIポリペプチド(例えば、「野生型」または未修飾ActRIIポリペプチド)の細胞外ドメイン(リガンド結合ドメインとも呼ばれる)に1つまたは複数の突然変異(例えば、アミノ酸付加、欠失、置換、およびそれらの組合せ)を含むバリアントActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAおよびActRIIBポリペプチド)であり、バリアントActRIIポリペプチドは、対応する野生型のActRIIポリペプチドとは異なる1つまたは複数の変更されたリガンド結合活性を有する。好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップポリペプチドは、対応する野生型ActRIIポリペプチドと同様の少なくとも1つの活性を保持する。例えば、好ましいGDFトラップは、GDF11および/またはGDF8に結合し、GDF11および/またはGDF8の機能を阻害する(例えば、アンタゴナイズする)。一部の実施形態では、本開示のGDFトラップは、TGFβスーパーファミリーのリガンドの1つまたは複数にさらに結合および阻害する。したがって、本開示は、1つまたは複数のActRIIリガンドに対して変更された結合特異性を有するGDFトラップポリペプチドを提供する。
【0135】
例示のためだが、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、および/またはアクチビンE)、特にアクチビンAなどの1つまたは複数のActRII結合リガンドよりも、GDF11および/またはGDF8に対する変更されたリガンド結合ドメインの選択性を増加させる1つまたは複数の突然変異を選択してもよい。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインは、アクチビン結合に対するKのGDF11および/またはGDF8に対するKに対する比が、野生型リガンド結合ドメインの比と比べて、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはさらに1000倍大きい。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害のIC50のGDF11および/またはGDF8阻害のIC50に対する比が、野生型のリガンド結合ドメインと比べて、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはさらに1000倍大きい。必要に応じて、変更されたリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害のIC50よりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはさらに1000倍低いIC50で、GDF11および/またはGDF8を阻害する。
【0136】
ある特定の好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップは、GDF11および/またはGDF8(ミオスタチンとしても公知)に優先的に結合するように設計されている。必要に応じて、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、アクチビンBにさらに結合してもよい。必要に応じて、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、BMP6にさらに結合してもよい。必要に応じて、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、BMP10にさらに結合してもよい。必要に応じて、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、アクチビンBおよびBMP6にさらに結合してもよい。ある特定の実施形態では、本開示のGDFトラップは、例えば、野生型ActRIIポリペプチドと比較して、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンA/B、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE)に対する結合親和性を減少させる。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップポリペプチドは、アクチビンAに対する結合親和性を減少させる。
【0137】
ActRIIBタンパク質のアミノ酸残基(例えば、配列番号1を基準にして、E39、K55、Y60、K74、W78、L79、D80、およびF101)は、ActRIIBリガンド結合ポケットにあり、例えば、アクチビンA、GDF11、およびGDF8を含むそのリガンドに対する結合の媒介を支援する。したがって、本開示は、そうしたアミノ酸残基に1つまたは複数の突然変異を含むActRIIB受容体の変更されたリガンド結合ドメイン(例えば、GDF8/GDF11結合ドメイン)を含むGDFトラップポリペプチドを提供する。
【0138】
具体的な例として、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正荷電アミノ酸残基Asp(D80)を、異なるアミノ酸残基に突然変異させて、GDF8に優先的に結合するが、アクチビンには結合しないGDFトラップポリペプチドを生成することができる。好ましくは、配列番号1を基準にしてD80残基は、非荷電アミノ酸残基、負のアミノ酸残基、および疎水性アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基に変更されている。さらなる具体的な例として、配列番号1の疎水性残基L79を変更して、変更されたアクチビン-GDF11/GDF8結合特性を付与することができる。例えば、L79P置換は、GDF11結合を、アクチビン結合よりも大きく低減する。対照的に、L79の酸性アミノ酸による置き換え[アスパラギン酸またはグルタミン酸;L79DまたはL79E置換]は、アクチビンA結合親和性を大幅に低減するが、GDF11結合親和性は保持される。例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法は、必要に応じて、1つまたは複数の追加のアミノ酸置換、付加、または欠失と組み合わせて、配列番号1の79位に対応する位置に酸性アミノ酸(例えば、DまたはE)を含むバリアントActRIIBポリペプチドであるGDFトラップポリペプチドを利用する。
【0139】
ある特定の態様では、本開示は、ALK4ポリペプチドおよびそれらの使用(例えば、それを必要とする患者の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)に関する。本明細書で使用される場合、用語「ALK4」は、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼ4タンパク質のファミリー、および突然変異誘発または他の修飾によりそのようなALK4タンパク質から導出されたバリアントを指す。本明細書におけるALK4への言及は、現在特定されている形態のいずれか1つへの言及であることが理解される。ALK4ファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成される膜貫通型タンパク質である。
【0140】
用語「ALK4ポリペプチド」は、ALK4ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意のバリアント(突然変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書に記載されているすべてのALK4関連ポリペプチドのアミノ酸の付番は、具体的にそうではないと記載されていない限り、下記のヒトALK4前駆体タンパク質配列(配列番号14)の付番に基づく。
【0141】
標準ヒトALK4前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_004293)は、以下のとおりである。
【化14】
【0142】
シグナルペプチドは、一重下線により示されており、細胞外ドメインは太字体により示されている。
【0143】
プロセシングされた細胞外ヒトALK4ポリペプチド配列は、以下の通りである。
【化15】
【0144】
ALK4前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、下記(配列番号16)に示されており、Genbank参照配列NM_004302.4のヌクレオチド78~1592に対応する。シグナル配列には下線が引かれており、細胞外ドメインは、太字体で示されている。
【化16】
【0145】
細胞外ALK4ポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の通りである。
【化17】
【0146】
ヒトALK4前駆体タンパク質配列の代替アイソフォームであるアイソフォームB(NCBI参照配列NP_064732.3)は、以下の通りである。
【化18】
【0147】
細胞外ドメインは、太字体で示されている。
【0148】
プロセシングされた細胞外ALK4ポリペプチド配列は、以下の通りである。
【化19】
【0149】
ALK4前駆体タンパク質(アイソフォームB)をコードする核酸配列は、下記(配列番号20)に示されており、Genbank参照配列NM_020327.3のヌクレオチド186~1547に対応する。細胞外ドメインをコードするヌクレオチドは、太字体で示されている。
【化20】
【0150】
細胞外ALK4ポリペプチド(アイソフォームB)をコードする核酸配列は、以下の通りである。
【化21】
【0151】
ALK4は、脊椎動物で良好に保存されており、細胞外ドメインの大きな区間が完全に保存されている。例えば、図4は、種々のALK4オルソログと比較した、ヒトALK4細胞外ドメインの多重配列アラインメントを示す。ALK4に結合するリガンドの多くも、高度に保存されている。したがって、こうしたアラインメントから、正常なALK4リガンド結合活性にとって重要であるリガンド結合ドメイン内の重要なアミノ酸位置を予測すること、ならびに正常なALK4リガンド結合活性を著しく変更せずに置換に許容性である可能性が高いアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本開示の方法により有用な活性ヒトALK4バリアントポリペプチドは、別の脊椎動物ALK4の配列に由来する1つまたは複数のアミノ酸を対応する位置に含んでいてもよく、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列の残基と類似した残基を含んでいてもよい。
【0152】
限定を意味しないが、以下の例は、活性ALK4バリアントを規定するための本手法を例示する。図4に例示されているように、ヒトALK4細胞外ドメイン(配列番号115)のV6は、Mus muculus ALK4(配列番号119)ではイソロイシンであり、したがって、この位置を変更してもよく、必要に応じて、L、I、またはFなどの別の疎水性残基、またはGallus gallus ALK4(配列番号118)に観察されるようにAなどの無極性残基に変更してもよい。ヒト細胞外ドメインのE40は、Gallus gallus ALK4ではKであり、この部位が、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、およびおそらくはAなどの無極性残基を含む、幅広く様々な変化に許容性であり得ることを示す。ヒト細胞外ドメインのS15は、Gallus gallus ALK4ではDであり、この位置では幅広い構造バリエーションが許容され、S、T、R、E、K、H、G、P、G、およびYなどの極性残基が有利であることを示す。ヒト細胞外ドメインのE40は、Gallus gallus ALK4ではKであり、この位置では、D、R、K、Hを含む荷電残基、ならびにQおよびNが許容されることになることを示す。ヒト細胞外ドメインのR80は、Condylura cristata ALK4(配列番号116)ではKであり、この位置では、R、K、およびHを含む塩基性残基が許容されることを示す。ヒト細胞外ドメインのY77は、Sus scrofa ALK4(配列番号120)ではFであり、この位置では、F、W、およびYを含む芳香族残基が許容されることを示す。ヒト細胞外ドメインのP93は、保存が比較的不良であり、Erinaceus europaeus ALK4(配列番号117)ではSとして、およびGallus gallus ALK4ではNとして出現し、したがってこの位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
【0153】
さらに、ALK4タンパク質は、当技術分野では、特にリガンド結合に関する構造的および機能的特徴の点で特徴付けられている[例えば、Harrisonら(2003年)J Biol
Chem 278巻(23号):21129~21135頁;Romanoら(2012年)J Mol Model 18巻(8号):3617~3625頁;およびCalvaneseら(2009年)15巻(3号):175~183頁]。本明細書の教示に加えて、これら参考文献は、1つまたは複数の正常な活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するALK4バリアントを生成する方法の指針を詳細に提供する。
【0154】
例えば、スリーフィンガー毒素フォールドとして公知の特徴的構造モチーフは、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各単量体受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に位置する保存されたシステイン残基により形成される[Greenwaldら(1
999年)Nat Struct Biol 6巻:18~22頁;およびHinck(2012年)FEBS Lett 586巻:1860~1870頁]。したがって、ヒトALK4のコアリガンド結合ドメインは、こうした保存されたシステインのうちの最も外側のシステインにより境界が示され、配列番号14(ALK4前駆体)の34~101位に対応する。必ずしもリガンド結合を変更することなく、こうしたシステインにより境界が示されるコア配列に隣接する、構造的にあまり秩序だっていないアミノ酸を、N末端では1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33個残基、および/またはC末端では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個残基だけ短縮することができる。N末端および/またはC末端短縮の例示的なALK4細胞外ドメインとしては、配列番号15および19が挙げられる。
【0155】
したがって、ALK4の活性部分(例えば、リガンド結合部分)の一般式は、配列番号14を基準にしてアミノ酸34~101を含む。したがって、ALK4ポリペプチドは、例えば、配列番号14のアミノ酸24~34のいずれか1つに対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34のいずれか1つから始まり)、配列番号14のいずれか1つのアミノ酸101~126に対応する位置で終了する(例えば、アミノ酸101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126のいずれか1つで終了する)ALK4の部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含んでいてもよく、から本質的になっていてもよく、またはからなっていてもよい。他の例としては、配列番号14の24~34(例えば、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34位のいずれか1つ)、25~34(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34位のいずれか1つ)、または26~34(例えば、26、27、28、29、30、31、32、33、または34位のいずれか1つ)の位置から始まり、配列番号14の101~126(例えば、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126位のいずれか1つ)、102~126(例えば、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126位のいずれか1つ)、101~125(例えば、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、または125位のいずれか1つ)、101~124(例えば、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、または124位のいずれか1つ)、101~121(例えば、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、または121位のいずれか1つ)、111~126(例えば、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126位のいずれか1つ)、111~125(例えば、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、または125位のいずれか1つ)、111~124(例えば、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、または124位のいずれか1つ)、121~126(例えば、121、122、123、124、125、または126位のいずれか1つ)、121~125(例えば、121、122、123、124、または125位のいずれか1つ)、121~124(例えば、121、122、123、または124位のいずれか1つ)、または124~126(例えば、124、125、または126位のいずれか1つ)の位置で終了する構築物が挙げられる。また、こうした範囲内にあるバリアント、特に、配列番号14の対応する部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するものが企図される。
【0156】
本明細書に記載されているバリエーションは、種々の様式で組み合わせることができる。一部の実施形態では、ALK4バリアントは、リガンド結合ポケットに1、2、5、6、7、8、9、10、または15個以下の保存的アミノ酸変化を含む。変異性が特に良好に許容され得る、結合ポケットの外部の部位としては、細胞外ドメインのアミノおよびカルボキシ末端(上述のような)が挙げられる。
【0157】
ある特定の実施形態では、本開示は、それらの断片、機能的バリアント、および修飾形態を含む、少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体であるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)、ならびにそれらの使用(例えば、それを必要とする患者の免疫応答を増加させること、およびがんを処置すること)に関する。好ましくは、ALK4ポリペプチドは、可溶性である(例えば、ALK4の細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14を基準にして、アミノ酸34~101と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、73、74、76、77、79、および80のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、74、76、77、79、80、143、および145のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドからなる、またはから本質的になる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。
【0158】
ある特定の態様では、本開示は、1つまたは複数のALK4受容体ポリペプチド(例えば、配列番号14、15、18、19、74、76、77、79、80、143、および145、ならびにそれらのバリアント)および1つまたは複数のActRIIB受容体ポリペプチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、71、73、77、78、131、132、133、139、141、およびそれらのバリアント)を含み、本明細書では一般に「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体」または「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体」と呼ばれるヘテロ多量体複合体に関し、それらの使用(例えば、それを必要とする患者の免疫応答を増加させること、およびがんを処置すること)を含む。好ましくは、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、可溶性である[例えば、ヘテロ多量体複合体は、ALK4受容体の可溶性部分(ドメイン)およびActRIIB受容体の可溶性部分(ドメイン)を含む]。一般に、ALK4およびActRIIBの細胞外ドメインは、これら受容体の可溶性部分に対応する。したがって、一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ALK4受容体の細胞外ドメインおよびActRIIB受容体の細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10、および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、74、76、77、79、80、143、および145のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、配列番号14のアミノ酸24~34、25~34、または26~34のいずれか1つに対応する残基から始まり、配列番号14の101~126、102~126、101~125、101~124、101~121、111~126、111~125、111~124、121~126、121~125、121~124、または124~126の位置で終了するALK4の部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号14を基準にしてアミノ酸34~101と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4-ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、71、73、77、78、131、132、133、139、141のいずれか1つのアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、アミノ酸20~29、20~24、21~24、22~25、または21~29のいずれか1つに対応する残基から始まり、配列番号1の109~134、119~134、119~133、129~134、または129~133の位置で終了するActRIIBの部分と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のアミノ酸25~131と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含み、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸ではない(つまり、天然に存在するDまたはEアミノ酸残基でも、人工酸性アミノ酸残基でもない)。本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体としては、例えば、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、およびさらにより高次のオリゴマー構造が挙げられる。例えば、図21~23を参照されたい。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のヘテロ多量体複合体は、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体である。
【0159】
天然に存在するTGFβRIIタンパク質は、細胞の外部に位置するタンパク質の部分(細胞外部分)および細胞の内部に位置するタンパク質の部分(細胞内部分)を有する膜貫通型タンパク質である。本開示の態様は、TGFβRIIの細胞外ドメインおよび/または細胞外ドメインの短縮部分内に突然変異を含むバリアントTGFβRIIポリペプチドを包含する。上記に記載されているように、ヒトTGFβRIIは、天然では、細胞外ドメイン(ECD)の選択的スプライシングにより生成されるA(長鎖)およびB(短鎖)の少なくとも2つのアイソフォームとして存在する(図11および10ならびに配列番号35および34)。配列番号148は、配列番号35の残基23~184に対応し、TGFβRIIの長鎖アイソフォームの天然全長細胞外ドメインを示す。別様の記載がない限り、TGFβRII短鎖および長鎖アイソフォームに基づくバリアントに関するアミノ酸位置の付番は、それぞれ、天然前駆体である配列番号34および配列番号35における対応する位置を指す。
【0160】
ある特定の実施形態では、本開示は、バリアントTGFβRIIポリペプチドを提供する。本開示のTGFβRIIポリペプチドは、これらに限定されないが、TGFβ1またはTGFβ3などの、TGFβスーパーファミリーメンバーに結合し、その機能を阻害することができる。TGFβRIIポリペプチドとしては、そのC末端が、配列番号34のアミノ酸153~159(例えば、153、154、155、156、157、158、または159)のいずれかで生じる、天然に存在するTGFβRIIポリペプチドの短縮ECDドメインと、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列からなるまたは含むポリペプチドを挙げることができる。TGFβRIIポリペプチドとしては、そのC末端が、配列番号35のアミノ酸178~184(例えば、178、179、180、181、182、183、または184)のいずれかで生じる、天然に存在するTGFβRIIポリペプチドの短縮ECDドメインと、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列からなるまたは含むポリペプチドを挙げることができる。必要に応じて、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号34のアミノ酸160~567からなる配列に由来する、または配列番号35のアミノ酸185~592からなる配列に由来する、5つよりも多くの連続アミノ酸も、10、20、30、40、50、52、60、70、80、90、100、150、もしくは200個、もしくはそれを超える数よりも多くの連続アミノ酸も含まない。プロセシングされていないTGFβRIIポリペプチドには、任意のシグナル配列ならびにシグナル配列のN末端側の任意の配列がいずれも含まれていてもよく、またはいずれも除外されていてもよい。本明細書で説明されているように、成熟(プロセシングされた)TGFβRIIポリペプチドのN末端は、配列番号34のアミノ酸23~35または配列番号35の23~60のいずれで生じてもよい。当業者であれば、TGFβRIIの長鎖アイソフォームに基づく対応するバリアントは、25アミノ酸の挿入をコードするヌクレオチド配列を、挿入のC末端側の隣接位置にある保存的Val-Ile置換と共に含むことになることを理解するであろう。したがって、TGFβRIIポリペプチドは、短鎖および長鎖アイソフォームを両方とも含む、TGFβRIIポリペプチドの単離された細胞外部分、それらのバリアント(例えば、配列番号34のアミノ酸23~159または配列番号35のアミノ酸23~184に対応する配列に、2、3、4、5、10、15、20、25、30、または35個以下のアミノ酸置換を含むバリアントを含む)、それらの断片、および先述のもののいずれかを含む融合タンパク質を含んでいてもよいが、各々の場合、好ましくは、先述のTGFβRIIポリペプチドはいずれも、TGFβ1またはTGFβ3の少なくとも1つに対する実質的な親和性を保持することになる。一般に、TGFβRIIポリペプチドは、生物学的に意義のある温度、pHレベル、およびオスモル濃度で、水溶液に可溶性であるように設計されることになる。
【0161】
まとめると、TGFβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号34のアミノ酸配列23~153、23~154、23~155、23~156、23~157、または23~158、ならびに配列番号34のアミノ酸24~35のいずれかから始まる、こうした配列のバリアントを含んでいてもよい。同様に、TGFβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号35のアミノ酸配列23~178、23~179、23~180、23~181、23~182、または23~183、ならびに配列番号35のアミノ酸24~60のいずれかから始まる、こうした配列のバリアントを含んでいてもよい。例示的なTGFβRIIポリペプチドは、配列番号34のアミノ酸配列29~159、35~159、23~153、29~153、および35~153、または配列番号35のアミノ酸配列29~184、60~184、23~178、29~178、および60~178を含む。また、こうした範囲内にあるバリアント、特に、配列番号34または配列番号35の対応する部分と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するものが企図される。配列番号34のアミノ酸160~567からなる配列も、配列番号35のアミノ酸185~592からなる配列も含まないTGFβRIIポリペプチドを選択してもよい。
【0162】
加えて、TGFβRIIポリペプチドは、種々のリーダー配列のいずれかをN末端に含んでいてもよい。そのような配列は、ペプチドが、真核生物系で発現され、分泌経路を標的とすることを可能にするであろう。例えば、Ernstら、米国特許第5,082,783
号(1992年)を参照されたい。あるいは、天然TGFβRIIシグナル配列を使用して、細胞からの放出を達成してもよい。考え得るリーダー配列としては、天然リーダーである組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)およびミツバチメリチンが挙げられる。シグナルペプチドのプロセシングは、他の変数の中でも、選択されたリーダー配列、使用される細胞タイプ、および培養条件に応じて様々であり得る。したがって、成熟TGFβRIIポリペプチドの実際のN末端開始部位は、1、2、3、4、または5個のアミノ酸だけ、N末端またはC末端方向のいずれかにシフトする場合がある。TGFβRII-Fc融合タンパク質の例としては、本明細書に示されている配列番号148および150が挙げられ、TGFβRIIポリペプチド部分には下線が引かれている。当業者であれば、TGFβRIIの長鎖アイソフォームに基づく対応するバリアントは、25アミノ酸の挿入を、挿入のC末端側の隣接位置にある保存的Val-Ile置換と共に含むことになることを理解するであろう。ある特定の態様では、本開示は、配列番号150のアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むTGFβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載の方法によるその使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号148のアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むTGFβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載の方法によるその使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号148のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、または46)のいずれか1つから始まり、配列番号148のアミノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、または186)のいずれか1つで終了するアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むTGFβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載の方法によるその使用に関する。
【0163】
一部の実施形態では、本開示は、治療有効性または安定性(例えば、保管寿命、およびin vivoでのタンパク質分解性分解に対する耐性)を増強させるなどの目的で、ALK4ポリペプチド、ActRIIポリペプチド、および/またはTGFβRIIポリペプチドの構造を修飾することにより機能的バリアントを製作することを企図する。バリアントは、アミノ酸置換、欠失、付加、またはそれらの組合せにより生成することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンによる、アスパラギン酸のグルタミン酸による、トレオニンのセリンによる単独の置き換え、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による類似の置き換え(例えば、保存的突然変異)は、得られる分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないであろうと予想することは合理的である。保存的置き換えは、それらの側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で生じるものである。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列の変化が、機能的相同体をもたらすか否かは、バリアントポリペプチドが、細胞にて野生型のポリペプチドと同様の様式の応答をもたらす能力、または例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティを含む1つまたは複数のリガンドに結合する能力を評価することにより、直ちに決定することができる。
【0164】
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変更するような、ALK4ポリペプチド、ActRIIポリペプチド、および/またはTGFβRIIポリペプチドの具体的な突然変異を企図する。そのような突然変異は、O-連結またはN-連結グリコシル化部位などの、1つまたは複数のグリコシル化部位を導入または排除するように選択することができる。アスパラギン連結グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素により特異的に認識されるトリペプチド配列アスパラギン-X-トレオニンまたはアスパラギン-X-セリンを含む(式中、「X」は、任意のアミノ酸である)。また、変更は、1つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基(O-連結グリコシル化部位のための)を、ポリペプチドの配列に付加または置換することにより行ってもよい。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方における様々なアミノ酸置換または欠失(および/または第2の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列の非グリコシル化をもたらす。ポリペプチドの糖鎖の個数を増加させるための別の手段は、グリコシドをポリペプチドに化学的または酵素的にカップリングすることによる。使用されるカップリングモードに応じて、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインにあるものなどの遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンにあるものなどの遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンにあるものものなどの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に付着させることができる。ポリペプチドに存在する1つまたは複数の糖鎖の除去は、化学的および/または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、ポリペプチドを、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物に曝露させることを含んでいてもよい。この処理は、アミノ酸配列の完全性を保ったまま、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)以外のほとんどまたはすべての糖の切断をもたらす。ポリペプチドの糖鎖の酵素的切断は、Thotakuraら[Meth. Enzymol.(1987年)138巻:350頁]により記載されているように、様々なエンド-およびエキソ-グリコシダーゼを使用することにより達成することができる。哺乳動物、酵母、昆虫、および植物細胞はすべて、異なるグリコシル化パターンを導入することができ、それらはペプチドのアミノ酸配列により影響を受ける場合があるため、ポリペプチドの配列は、使用される発現系のタイプに応じて適切に調整することができる。一般に、ヒトで使用される場合、本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびヘテロ多量体は、HEK293またはCHO細胞株などの、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株で発現させることができるが、他の哺乳動物発現細胞株も同様に有用であると予想される。
【0165】
本開示は、突然変異体、特にALK4、ActRII、および/またはTGFβRIIポリペプチド、ならびに短縮突然変異体のコンビナトリアル突然変異体のセットを生成するための方法をさらに企図する。コンビナトリアル突然変異体のプールは、機能的に活性な(例えば、TGFβスーパーファミリーリガンド結合性の)ALK4、ActRII、および/またはTGFβRII配列の特定に特に有用である。そのようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、変更された薬物動態または変更されたリガンド結合などの、変更された特性を有するポリペプチドバリアントを生成するためであってもよい。様々なスクリーニングアッセイが下記に提供されており、そのようなアッセイを、バリアントの評価に使用することができる。例えば、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体バリアントを、1つまたは複数のリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティ)に結合する能力について、TGFβスーパーファミリーリガンドのTGFβスーパーファミリー受容体への結合を防止する能力について、および/またはリガンドにより引き起こされるシグナル伝達に干渉する能力についてスクリーニングしてもよい。
【0166】
また、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の活性を、細胞に基づくアッセイでまたはin vivoで試験してもよい。例えば、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の、がん細胞のがん成長に関与する遺伝子の発現に対する効果を評価してもよい。これは、必要な場合、1つまたは複数の組換えリガンドタンパク質(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティ)の存在下で実施してもよく、細胞を、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体(heteromultimes)および必要に応じてTGFβスーパーファミリーリガンドを産生するように、トランスフェクトしてもよい。同様に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体を、マウスまたは他の動物に投与してもよく、当技術分野で認識されている方法を使用して、筋肉形成および強度などの1つまたは複数の測定値を評価してもよい。同様に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体、またはそれらのバリアントの活性を、がん細胞において、例えば本明細書に記載のようなアッセイにより、および当技術分野で常識的なアッセイにより、こうした細胞の成長に対する任意の効果について試験してもよい。SMAD応答性レポーター遺伝子を、そのような細胞株で使用して、下流シグナル伝達に対する効果をモニターしてもよい。
【0167】
参照ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と比べて、選択性の増加または概して効力の増加を示すコンビナトリアル由来バリアントを生成することができる。そのようなバリアントは、組換えDNA構築物から発現される場合、遺伝子治療プロトコールで使用することができる。同様に、突然変異誘発は、対応する未修飾ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体とは劇的に異なる細胞内半減期を有するバリアントを生じさせることができる。例えば、変更されたタンパク質を、タンパク質分解性分解、または未修飾ポリペプチド破壊もしくはそうでなければ不活化をもたらす他の細胞プロセスに対して、より安定かまたはより不安定かのいずれかにすることができる。そのようなバリアントおよびそれらをコードする遺伝子を利用して、ポリペプチドの半減期をモジュレ-トすることにより、ポリペプチド複合体レベルを変更することができる。例えば、半減期が短いと、より一過性の生物学的効果を生じさせることができ、誘導可能な発現系の一部である場合、細胞内の組換えポリペプチド複合体レベルのより厳密な制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質では、リンカー(該当する場合)および/またはFc部分に突然変異を製作して、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の半減期を変更することができる。
【0168】
コンビナトリアルライブラリーは、各々が潜在的なALK4 TGFβRIIおよび/またはActRII配列の少なくとも部分を含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーから生成することができる。例えば、潜在的なALK4、TGFβRII、および/またはActRIIコードヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、またはその代わりにより大型の融合タンパク質のセットとして(例えば、ファージディスプレイの場合)発現可能になるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列に酵素的にライゲーションすることができる。
【0169】
潜在的相同体のライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することができる方法は多数存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成機で実施することができ、その後、合成遺伝子を、発現のために適切なベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である[Narang, SA(1
983年)Tetrahedron 39巻:3頁;Itakuraら(1981年)Recombinant DNA, Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam: Elsevier、273~289頁;Itakuraら(1984年)Annu. Rev. Biochem. 53巻:32
3頁;Itakuraら(1984年)Science 198巻:1056頁;およびIkeら(198
3年)Nucleic Acid Res. 11巻:477頁]。そのような技法は、他のタンパク質
の定向進化に使用されている[Scottら、(1990年)Science 249巻:386~390頁;Robertsら(1992年)PNAS USA 89巻:2429~2433頁;Devlinら(1990年)Science 249巻:404~406頁;Cwirlaら、(1990年)PNAS
USA 87巻:6378~6382頁;ならびに米国特許第5,223,409号、第
5,198,346号、および第5,096,815号]。
【0170】
あるいは、突然変異誘発の他の形態を利用して、コンビナトリアルライブラリーを生成してもよい。例えば、本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発を使用したスクリーニングにより[Rufら(1994年
)Biochemistry 33巻:1565~1572頁;Wangら(1994年)J. Biol. Chem. 269巻:3095~3099頁;Balintら(1993年)Gene 137巻:109~118頁;Grodbergら(1993年)Eur. J. Biochem. 218巻:597~601頁;Nagashimaら(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:2888~2892頁;Lowmanら(1991年)Biochemistry 30巻:10832~10838頁;およびCunninghamら(1989年)Science 244巻:1081~1085頁]、リンカースキャニング突然変異誘発により[Gustinら(1993年)Virology 193巻:653~660頁;およびBrownら(1992年)Mol. Cell Biol. 12巻:2644~2652頁;McKnightら(1982年)Science 232巻:316頁]、飽和突然変異誘発により[Meyersら(1986年)Science 232巻:613頁]、PCR突然変異誘発により[Leungら(1989年)Method Cell Mol Biol 1巻:11~19頁]、または化学的突然
変異誘発[Millerら(1992年)A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL
Press、Cold Spring Harbor、NY;およびGreenerら(1994年)Strategies in Mol Biol 7巻:32~34頁]を含むランダム突然変異誘発により、ライブラリーか
ら生成し、単離することができる。リンカースキャニング突然変異誘発は、特にコンビナトリアル設定では、ALK4、TGFβRII、および/またはActRIIポリペプチドの短縮(生物活性)形態を特定するための魅力的な方法である。
【0171】
点突然変異および短縮により製作されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、およびさらに言えば、ある特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための広範な技法が、当技術分野で公知である。そのような技法は、一般に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体のコンビナトリアル突然変異誘発により生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応可能であろう。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も幅広く使用されている技法は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適切な細胞を得られたベクターのライブラリーで形質転換し、所望の活性の検出により、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離が容易にされる条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させることを含む。好ましいアッセイとしては、リガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティ)結合アッセイ、および/またはリガンド媒介性細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
【0172】
ある特定の実施形態では、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ALK4、TGFβRII、および/またはActRIIポリペプチドに天然に存在する任意のものに加えて、翻訳後修飾をさらに含んでいてもよい。そのような修飾としては、これらに限定されないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられる。その結果、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ポリエチレングリコール、脂質、ポリサッカリドまたはモノサッカリド、およびホスフェートなどの非アミノ酸エレメントを含んでいてもよい。ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の機能性に対するそのような非アミノ酸エレメントの影響を、他のヘテロ多量体複合体バリアントについて、本明細書に記載のように試験してもよい。本開示のポリペプチドが、ポリペプチドの新生形態の切断により細胞中で産生される場合、翻訳後プロセシングも、タンパク質の正確なフォールディングおよび/または機能に重要であり得る。様々な細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3、またはHEK293)が、そのような翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的な機序を有し、ALK4、TGFβRII、および/またはActRIIポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを保証するように選択することができる。
【0173】
ある特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、および/またはALK4ポリペプチドは、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAまたはActRIIBポリペプチド)、TGFβRII、またはALK4ポリペプチドの少なくとも部分(ドメイン)、および1つまたは複数の異種性部分(ドメイン)を含む融合タンパク質である。そのような融合ドメインの周知の例としては、これらに限定されないが、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられる。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択することができる。例えば、一部の融合ドメインは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的では、グルタチオン-、アミラーゼ-、およびニッケル-またはコバルト-コンジュゲート樹脂などの親和性クロマトグラフィー用の関連マトリックスが使用される。そのようなマトリックスの多くは、Pharmacia GST精製系および(HIS)融合パートナーに有用なQIAexpress(商標)系(Qiagen)などの「キット」形態で入手可能である。別の例として、融合ドメインは、ActRIIポリペプチドの検出を容易にするように選択してもよい。そのような検出ドメインの例としては、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびに通常は、特異的抗体が利用可能な短鎖ペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体が直ちに利用可能な周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc-mycタグが挙げられる。一部の場合では、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどに対するプロテアーゼ切断部位を有し、それにより、関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それにより組換えタンパク質をそこから解放することが可能になる。その後、解放されたタンパク質を、その後のクロマトグラフィー分離により融合ドメインから単離することができる。選択することができる他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメイン、および例えば免疫グロブリンに由来する定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む(追加の生物学的機能を付与する)機能的ドメインが挙げられる。本明細書に記載のように、一部の実施形態では、好ましい多量体化ドメインは、非対称的対合を促進して、ヘテロ多量体構造(例えば、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体)を形成する修飾Fcドメインである。
【0174】
ある特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、および/またはALK4ポリペプチドは、ポリペプチドを「安定化」することが可能な1つまたは複数の修飾を含む。「安定化」とは、それが、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または作用剤の他の薬物動態学的影響によるか否かに関わらず、in vitro半減期、血清半減期を増加させるものすべてを意味する。例えば、そのような修飾は、ポリペプチドの保管寿命を増強し、ポリペプチドの循環半減期を増強し、および/またはポリペプチドのタンパク質分解性分解を低減する。そのような安定化修飾としては、これらに限定されないが、融合タンパク質(例えば、ActRIIポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、またはALK4ポリペプチドドメイン、およびスタビライザードメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、本開示のポリペプチドに対するグリコシル化部位の付加を含む)、および糖鎖の修飾(例えば、本開示のポリペプチドからの糖鎖の除去を含む)が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「スタビライザードメイン」は、融合タンパク質の場合の融合ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)を指すだけでなく、糖鎖、またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性部分などの非タンパク質性修飾も含む。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、および/またはALK4ポリペプチドは、ポリペプチドを安定化する異種性ドメイン(「スタビライザー」ドメイン)と、好ましくはin vivoでポリペプチドの安定性を増加させる異種性ドメインと融合されている。免疫グロブリンの定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)との融合は、広範なタンパク質に、望ましい薬物動態学的特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンとの融合は、望ましい安定化特性を付与することができる。
【0175】
一部の実施形態では、本開示のALK4、TGFβRII、および/またはActRIIポリペプチドは、Fc融合タンパク質である。ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に使用することができる天然アミノ酸配列の例は、下記に示されている(配列番号22)。点線の下線は、ヒンジ領域を示し、実線の下線は、天然に存在するバリアントを有する位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号22と、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチドを提供する。G1Fcにおける天然に存在するバリアントとしては、配列番号22で使用されている付番方式によるE134DおよびM136Lが挙げられるであろう(Uniprot P01857を参照)。
【化22】
【0176】
必要に応じて、IgG1 Fcドメインは、Asp-265、リシン322、およびAsn-434などの残基に1つまたは複数の突然変異を有する。ある特定の場合では、こうした突然変異の1つまたは複数(例えば、Asp-265突然変異)を有する突然変異体IgG1 Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、Fcγ受容体に結合する能力の低減を示す。他の場合では、こうした突然変異の1つまたは複数(例えば、Asn-434突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型IgG1 Fcドメインと比べて、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に結合する能力の増加を示す。
【0177】
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に使用することができる天然アミノ酸配列の例は、下記に示されている(配列番号23)。点線の下線はヒンジ領域を示し、二重下線は、配列にデータベース矛盾がある位置を示す(UniProt P01859による)。部分的には、本開示は、配列番号23と、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチドを提供する。
【化23】
【0178】
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に使用することができるアミノ酸配列の2つの例は、下記に示されている。G3Fcのヒンジ領域は、他のFc鎖では最大で4倍も長い場合があり、類似の17個残基セグメントによって先行される3つの同一の15個残基セグメントを含む。下記(配列番号24)に示されている第1のG3Fc配列は、単一の15個残基セグメントからなる短鎖ヒンジ領域を含むが、第2のG3Fc配列(配列番号25)は、全長ヒンジ領域を含む。各々の場合で、点線の下線は、ヒンジ領域を示し、実線の下線は、UniProtP01859による天然に存在するバリアントを有する位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号24または25と、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチドを提供する。
【化24】
【0179】
G3Fcにおける天然に存在するバリアント(例えば、Uniprot P01860を参照)としては、配列番号24で使用されている付番方式に変換すると、E68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Yが挙げられる。本開示は、こうしたバリエーションの1つまたは複数を含むG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。加えて、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、異なるヒンジ長により特徴付けられる構造的遺伝子多型を示す[Uniprot P01859を参照]。具体的には、バリアントWISは、V領域のほとんどおよびCH1領域のすべてを欠如している。それは、通常はヒンジ領域に存在する11位に加えて7位に追加の鎖間ジスルフィド結合を有する。バリアントZUCは、V領域のほとんど、CH1領域のすべて、およびヒンジの一部を欠如する。バリアントOMMは、対立遺伝子形態または別のガンマ鎖サブクラスである場合がある。本開示は、こうしたバリアントの1つまたは複数を含むG3Fcドメインを含む追加の融合タンパク質を提供する。
【0180】
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に使用することができる天然アミノ酸配列の例は、下記に示されている(配列番号26)。点線の下線は、ヒンジ領域を示す。部分的には、本開示は、配列番号26と、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチドを提供する。
【化25】
【0181】
Fcドメインの様々な操作された突然変異は、本明細書ではG1Fc配列(配列番号22)を基準にして提示されており、G2Fc、G3Fc、およびG4Fcにおける類似の突然変異は、図18に示されているG1Fcとのアラインメントから導き出すことができる。ヒンジの長さが異なるため、アイソタイプアラインメント(図18)に基づく類似のFc位置は、配列番号22、23、24、25および26では、異なるアミノ酸番号を有する。また、ヒンジ、C2、およびC3領域からなる免疫グロブリン配列(例えば、配列番号22、23、24、25、および26)における所与のアミノ酸位置は、付番が、UniprotデータベースにあるようなIgG1重鎖定常ドメイン全体(C1、ヒンジ、C2、およびC3領域からなる)を包含する場合の同じ位置とは異なる番号により特定されることになることを理解することができる。例えば、ヒトG1Fc配列(配列番号22)と、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(Uniprot P01857)と、ヒトIgG1重鎖の、選択されたC3位置間の対応は、以下の通りである。
【表1】
【0182】
ある特定の態様では、本明細書で開示されたポリペプチドは、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドと共有結合でまたは非共有結合で会合している少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成していてもよい。好ましくは、本明細書で開示されたポリペプチドは、ヘテロ二量体複合体を形成するが、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、およびさらなるオリゴマー構造などを含むがそれらに限定されない、より高次のヘテロ多量体複合体(ヘテロ多量体)も含まれる(例えば、図21~23を参照)。一部の実施形態では、ALK4および/またはActRIIBポリペプチドは、少なくとも1つの多量体化ドメインを含む。本明細書で開示されているように、用語「多量体化ドメイン」は、少なくとも第1のポリペプチドと少なくとも第2のポリペプチドとの間の共有結合相互作用または非共有結合相互作用を促進するアミノ酸またはアミノ酸の配列を指す。本明細書で開示されたポリペプチドは、多量体化ドメインに共有結合でまたは非共有結合で接合されていてもよい。好ましくは、多量体化ドメインは、第1のポリペプチド(例えば、ALK4ポリペプチド)と第2のポリペプチド(例えば、ActRIIBポリペプチド)との間の相互作用を促進して、ヘテロ多量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)を促進し、必要に応じて、ホモ多量体形成(例えば、ホモ二量体形成)を妨害またはそうでなければ不利にして、それにより所望のヘテロ多量体の収率を増加させる(例えば、図22を参照)。
【0183】
当技術分野で公知の多数の方法を使用して、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体を生成することができる。例えば、天然に存在しないジスルフィド結合は、遊離チオールが第2のポリペプチド(例えば、ActRIIBポリペプチド)の別の遊離チオール含有残基と相互作用して、第1および第2のポリペプチド間でジスルフィド結合が形成されるように、第1のポリペプチド(例えば、ALK4ポリペプチド)の天然に存在するアミノ酸を、システインなどの遊離チオール含有残基により置き換えることにより構築することができる。ヘテロ多量体形成を促進する相互作用の追加の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Kjaergaardらの国際公開第2007147901号に記載のものなどのイオン性相互作用;Kannanらの米国特許第8,592,562号に記載のものなどの静電気指向性効果;Christensenらの米国特許出願公開第201203027
37号に記載のものなどのコイルドコイル相互作用;PackおよびPlueckthun、(1992年)Biochemistry 31巻:1579~1584年に記載のものなどのロイシンジッパー;Packら(1993年)Bio/Technology 11巻:1271~1277頁に記載のものなどのヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ。種々のセグメントの連結は、例えば、化学的架橋、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などによる共有結合、またはアビジン-ビオチンもしくはロイシンジッパー技術などによる親和性相互作用により得ることができる。
【0184】
ある特定の態様では、多量体化ドメインは、相互作用対の1つの成分を含んでいてもよい。一部の実施形態では、本明細書で開示されたポリペプチドは、第2のポリペプチドに共有結合でまたは非共有結合で会合している第1のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、ALK4ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用対の第1のメンバーのアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用対の第2のメンバーのアミノ酸配列を含むタンパク質複合体を形成してもよい。相互作用対は、相互作用して、複合体、特にヘテロ二量体複合体を形成する任意の2つのポリペプチド配列であってもよいが、有効な実施形態は、ホモ二量体複合体を形成することができる相互作用対も使用することができる。相互作用対の一方のメンバーは、例えば、配列番号2、3、5、6、15、および19のいずれか1つの配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチド配列を含む、本明細書に記載のようなALK4またはActRIIBポリペプチドと融合されていてもよい。相互作用対は、血清半減期の増加などの特性/活性の向上を付与するか、または別の部分が特性/活性の向上を提供するように付着されているアダプターとして作用するように選択することができる。例えば、ポリエチレングリコール部分を、相互作用対の一方または両方の成分に付着させて、血清半減期の向上などの特性/活性の向上を提供してもよい。
【0185】
相互作用対の第1および第2のメンバーは、非対称対であってもよく、それは、対のメンバーが、自己会合性ではなく、優先的に互いに会合することを意味する。したがって、非対称相互作用対の第1および第2のメンバーは、会合して、ヘテロ二量体複合体を形成することができる(例えば、図22を参照)。あるいは、相互作用対は、非誘導性であってもよい。これは、対のメンバーが、実質的な優先性を示さずに互いに会合するかまたは自己会合してもよく、したがって、同じまたは異なるアミノ酸配列を有してしてもよいことを意味する。したがって、非誘導性相互作用対の第1および第2のメンバーは、会合して、ホモ二量体複合体またはヘテロ二量体複合体を形成することができる。必要に応じて、相互作用対(例えば、非対称対または非誘導性相互作用対)の第1のメンバーは、相互作用対の第2のメンバーと共有結合で会合する。必要に応じて、相互作用対(例えば、非対称対または非誘導性相互作用対)の第1のメンバーは、相互作用対の第2のメンバーと非共有結合で会合する。
【0186】
具体的な例として、本開示は、ヘテロ多量体形成を促進するように修飾されている、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4に由来するCH1、CH2、またはCH3ドメインなどの、免疫グロブリンの定常ドメインを含むポリペプチドに融合されたALK4またはActRIIBを含む融合タンパク質を提供する。非対称性の免疫グロブリンに基づくタンパク質を単一の細胞株から大規模生成する際に生じる問題は、「鎖会合問題」として公知である。二重特異性抗体の産生時に顕著に直面するような鎖会合問題は、異なる重鎖および/または軽鎖を単一細胞株で産生する場合に必然的に生じる、複数の組合せの中から所望の多重鎖タンパク質を効率的に生成するという課題に関する[Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653~663頁]。この問題は、2つの異なる重
鎖および2つの異なる軽鎖が同じ細胞中で産生される場合に最も深刻であり、その場合、合計16通りの考え得る鎖の組合せがある(もっとも、これらの一部は同一である)が、典型的には1つのみが所望である。にも関わらず、同じ原理は、2つの異なる(非対称性)重鎖のみが組み込まれている所望の多重鎖融合タンパク質の収率が、わずかしかないことを説明する。
【0187】
単一細胞株にてFc含有融合ポリペプチド鎖の望ましい対合を増加させて、許容される収率で好ましい非対称性融合タンパク質を生成するための種々の方法が、当技術分野で公知である[Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653~663頁;およびSpiessら(2
015年)Molecular Immunology 67巻(2A号):95~106頁]。Fc含有鎖
の所望の対合を得るための方法としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:電荷に基づく対合(静電気指向性)、「knobs-into-holes」立体対合、SEEDbody対合、およびロイシンジッパーに基づく対合[Ridgwayら(19
96年)Protein Eng 9巻:617~621頁;Merchantら(1998年)Nat Biotech 16巻:677~681頁;Davisら(2010年)Protein Eng Des Sel 23
巻:195~202頁;Gunasekaranら(2010年);285巻:19637~196
46頁;Wranikら(2012年)J Biol Chem 287巻:43331~43339頁
;米国特許第5932448号;国際公開第1993/011162号;国際公開第2009/089004号、および国際公開第2011/034605号]。本明細書に記載されているように、こうした方法を使用して、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ多量体複合体を生成することができる。例えば、図23を参照されたい。
【0188】
ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、およびそのようなヘテロ多量体を製作するための方法は、以前に開示されている。例えば、国際公開第2016/164497号を参照されたい。この文献の教示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0189】
融合タンパク質(例えば、免疫グロブリンFc融合タンパク質)の様々なエレメントを、所望の機能性と一致する任意の様式で配置することができることが理解される。例えば、ActRIIポリペプチドドメイン、ALK4ポリペプチドドメイン、またはTGFβRIIポリペプチドドメインを、異種性ドメインのC末端側に配置してもよく、またはその代わりに異種性ドメインを、ActRIIポリペプチドドメイン、ALK4ポリペプチドドメイン、またはTGFβRIIポリペプチドドメインのC末端側に配置してもよい。ActRIIポリペプチドドメイン、ALK4ポリペプチドドメイン、またはTGFβRIIポリペプチドドメイン、および異種性のドメインは、融合タンパク質において隣接している必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインのC末端側もしくはN末端側に含まれていてもよく、またはドメイン間に含まれていてもよい。
【0190】
例えば、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)受容体融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。B部分は、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)ポリペプチドドメインに対応する。AおよびC部分は、独立して、ゼロ、1つ、または1つよりも多くのアミノ酸であってもよく、AおよびC部分は、存在する場合、両方とも、Bに対して異種性である。Aおよび/またはC部分は、リンカー配列を介してB部分に付着されていてもよい。リンカーは、グリシンが多く含まれていてもよく(例えば、2~10、2~5、2~4、2~3個のグリシン残基)またはグリシンおよびプロリン残基が多く含まれていてもよく、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの単一配列、またはトレオニン/セリンおよび/もしくはグリシンの反復配列、例えば、GGG(配列番号27)、GGGG(配列番号28)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、TGGG(配列番号31)、SGGG(配列番号32)、またはGGGGS(配列番号33)シングレットもしくはリピートを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含み、式中、Aは、リーダー(シグナル)配列であり、Bは、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)ポリペプチドドメインからなり、Cは、in vivo安定性、in vivo半減期、取込み/投与、組織局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製の1つまたは複数を増強するポリペプチド部分である。ある特定の実施形態では、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含み、式中、Aは、TPAリーダー配列であり、Bは、ActRII(またはALK4またはTGFβRII)受容体ポリペプチドドメインからなり、Cは、免疫グロブリンFcドメインである。好ましい融合タンパク質は、配列番号50、54、57、58、60、63、64、66、70、71、73、74、76、77、78、79、80、123、131、132、139、141、143、145、148、および150のいずれか1つに示されているアミノ酸配列を含む。
【0191】
あるいは、ActRIIアンタゴニストは、必要に応じて、1つまたは複数のALK4またはActRIIBポリペプチドと共有結合でまたは非共有結合で会合していてもよい1つまたは複数の単鎖リガンドトラップならびに追加のALK4:ActRIIB単鎖リガンドトラップを含んでいてもよい[米国特許出願公開第2011/0236309号および第2009/0010879号]。本明細書に記載されているように、単鎖リガンドトラップは、多価性になるために、コイルドコイルFcドメインなどのいかなる多量体化ドメインとの融合も必要としない。一般に、本開示の単鎖リガンドトラップは、少なくとも1つのALK4ポリペプチドドメインおよび1つのActRIIBポリペプチドドメインを含む。本明細書では一般に結合性ドメイン(BD)と呼ばれるALK4およびActRIIBポリペプチドドメインは、必要に応じて、リンカー領域により接合されていてもよい。ALK4:ActRIIB単鎖リガンドトラップは、以前に記載されている。例えば、国際公開第2016/164497号を参照されたい。この文献の教示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
ある特定の好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法に従って使用されるActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、単離された複合体である。本明細書で使用される場合、単離されたタンパク質(もしくはタンパク質複合体)またはポリペプチド(もしくはポリペプチド複合体)は、その自然環境の成分から分離されているものである。一部の実施形態では、本開示のポリペプチドまたはヘテロ多量体は、例えば、電気泳動法(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフィー法(例えば、イオン交換または逆相HPLC)により決定して、95%、96%、97%、98%、または99%よりも高い純度に精製されている。抗体純度を評価するための方法は、当技術分野で周知である[Flatmanら、(2007年)J. Chromatogr. B 848巻:79~87頁]。
【0193】
ある特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、当技術分野で公知の様々な技法により産生することができる。例えば、本開示のポリペプチドは、以下に記載されているものなどの標準的タンパク質化学技法を使用して合成することができる:Bodansky, M.、Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag,
Berlin(1993年)およびGrant G. A.(編)Synthetic Peptides: A User's Guide、W. H. Freeman and Company、New York(1992年)。加えて、自動ペプ
チド合成機が、市販されている(Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、それらの断片またはバリアントを含む、本開示のポリペプチドおよび複合体は、当技術分野で周知のような種々の発現系[E.coli、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス]を使用して、組換え的に産生することができる。さらなる実施形態では、本開示の修飾または未修飾ポリペプチドは、組換え的に産生された全長ALK4、TGFβRII、および/またはActRIIBポリペプチドを、例えばプロテアーゼ、例えばトリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対形成塩基性アミノ酸変換酵素(PACE、paired basic amino acid converting enzyme)を使用して消化することにより産生することができる。コンピュータ分析を使用して(市販のソフトウェア、例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation, Inc.を使用して)、タンパク質分解切断部位を特定することができる。
【0194】
3. ActRII、ALK4、およびTGFβRIIポリペプチドをコードする核酸
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されたActRII、ALK4、および/またはTGFβRIIポリペプチド(それらの断片、機能的バリアント、および融合タンパク質を含む)をコードする単離されたおよび/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号16は、天然に存在するヒトALK4前駆体ポリペプチドをコードし、配列番号17は、ALK4のプロセシングされた細胞外ドメインをコードする。本主題の核酸は、一本鎖であってもよく、または二本鎖であってもよい。そのような核酸は、DNA分子であってもよく、またはRNA分子であってもよい。こうした核酸を、例えば、本明細書に記載のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、TGFβRIIポリペプチド、およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体を製作するための方法において使用することができる。
【0195】
本明細書で使用される場合、単離された核酸は、その自然環境の成分から分離されている核酸分子を指す。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞に含まれている核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外に存在するか、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0196】
ある特定の実施形態では、本開示のALK4、ActRII、またはTGFβRIIポリペプチドをコードする核酸は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149ならびにそれらのバリアントのいずれか1つを含むことが理解される。バリアントヌクレオチド配列としては、対立遺伝子バリアントを含む、1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加、または欠失により異なる配列が挙げられ、したがって、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149のいずれか1つで指定されているヌクレオチド配列と異なるコード配列が挙げられることになる。
【0197】
ある特定の実施形態では、本開示のALK4、ActRII、TGFβRIIポリペプチドは、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる単離されたまたは組換え核酸配列によりコードされる。当業者であれば、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の配列に相補的な配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる核酸配列も、本開示の範囲内であることを理解するであろう。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離されていてもよく、組換えであってもよく、および/または異種性ヌクレオチド配列と融合されていてもよく、またはDNAライブラリーに存在していてもよい。
【0198】
また、他の実施形態では、本開示の核酸は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149に指定されているヌクレオチド配列またはそれらの断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。当業者であれば、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件は様々であり得ることを直ちに理解するであろう。例えば、約45℃にて6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)を用いてハイブリダイゼーションを実施し、その後50℃にて2.0×SSCを用いて洗浄することができる。例えば、洗浄ステップの塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで、選択することができる。加えて、洗浄ステップの温度は、低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで増加させることができる。温度および塩は両方とも様々であってもよく、または温度もしくは塩濃度を一定に保持して、他の変数を変化させてもよい。一実施形態では、本開示は、低ストリンジェンシー条件下の室温にて6×SSCでハイブリダイズし、その後、室温にて2×SSCで洗浄される核酸を提供する。
【0199】
配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、134、135、136、137、138、140、142、144、146、および149に示されている核酸と異なり、遺伝子コードに縮重を示す単離された核酸も、本開示の範囲内である。例えば、多くのアミノ酸は、1つよりも多くのトリプレットで指定されている。同じアミノ酸を指定するコドン、つまりシノニム(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジンのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」突然変異をもたらすことができる。しかしながら、哺乳動物細胞間には、本主題のタンパク質のアミノ酸配列の変化に結び付くDNA配列遺伝子多型が存在することになることが予想される。当業者であれば、天然の対立遺伝子バリエーションが存在するため、所与の種の個体間には、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3~5%以内)におけるこうしたバリエーションが存在する場合があることを認識するであろう。ありとあらゆるそのようなヌクレオチドバリエーションおよび得られるアミノ酸遺伝子多型は、本開示の範囲内である。
【0200】
ある特定の実施形態では、本開示の組換え核酸は、発現構築物の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結していてもよい。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現に使用される宿主細胞に適切なものであろう。様々な宿主細胞のための、多数のタイプの適切な発現ベクターおよび好適な調節配列が、当技術分野で公知である。前記1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列としては、典型的には、これらに限定されないが、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびにエンハンサーまたは活性化因子配列を挙げることができる。当技術分野で公知の構成的または誘導可能なプロモーターが、本開示により企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたは1つよりも多くのプロモーターのエレメントの組合せであるハイブリッドプロモーターのいずれであってもよい。発現構築物は、プラスミドなどのエピソームで細胞に存在していてもよく、または発現構築物は、染色体に挿入されていてもよい。一部の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするように、選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は、当技術分野において周知であり、使用される宿主細胞に応じて様々であろう。
【0201】
本開示のある特定の態様では、本主題の核酸は、ALK4、ActRII、および/またはTGFβRIIポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結したヌクレオチド配列を含む発現ベクターで提供される。調節配列は、当技術分野で認識されており、ALK4、ActRII、および/またはTGFβRIIポリペプチドの発現を指図するように選択される。したがって、用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメントを含む。例示的な調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載されている。例えば、それに作用可能に連結されているとDNA配列の発現を制御する幅広く様々な発現制御配列のいずれかを、こうしたベクターで使用して、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列としては、例えば、以下のものが挙げられる:SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼにより指図されるT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼ、例えばPho5のプロモーター、酵母α-接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、および原核もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知である他の配列、およびそれらの種々の組合せ。発現ベクターの設計は、形質転換しようとする宿主細胞の選択および/または発現させようとするタンパク質のタイプなどの要因に依存する場合があることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、および抗生物質マーカーなどの、ベクターによりコードされている任意の他のタンパク質の発現も、考慮されるべきである。
【0202】
本開示の組換え核酸は、クローニングした遺伝子またはその部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳動物)のいずれかまたは両方での発現に好適なベクターにライゲーションすることにより産生することができる。組換えTGFβスーパーファミリーI型および/またはII型受容体ポリペプチドを産生するための発現媒体としては、プラスミドおよび他のベクターが挙げられる。例えば、好適なベクターとしては、以下のタイプのプラスミドが挙げられる:E.coliなどの原核細胞での発現のためのpBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、およびpUC由来プラスミド。
【0203】
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの増幅を容易にするための原核生物配列、および真核細胞で発現される1つまたは複数の真核生物転写ユニットを両方とも含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo、およびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに好適な哺乳動物発現ベクターの例である。こうしたベクターの一部は、原核細胞および真核細胞の両方での複製および薬物耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミドに由来する配列で修飾されている。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)またはエプスタインバーウイルスなどのウイルスの誘導体(pHEBo、pREP由来、およびp205)を、真核細胞でのタンパク質の一過性発現に使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、下記の遺伝子治療送達系の説明に見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換に使用される種々の方法は、当技術分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方に好適な他の発現系ならびに一般的な組換え手順については、[Molecular Cloning A Laboratory Manual、第3版、Sambrook編、Fritsch and Maniatis Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年]。一部の場合では、バキュロウイルス発現系の使用により組換えポリペプチドを発現することが望ましい場合がある。そのようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941などの)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(β-gal含有pBlueBacIIIなど)が挙げられる。
【0204】
好ましい実施形態では、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)、およびpCI-neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)などのベクターが、CHO細胞において本主題のALK4および/またはActRIIポリペプチドを産生するために設計されるであろう。明白になることだが、本主題の遺伝子構築物を使用して、培養で増幅させた細胞において本主題のALK4および/またはActRIIポリペプチドの発現を引き起こし、例えば、精製のための融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含むタンパク質を生成することができる。
【0205】
また、本開示は、本主題のALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドの1つまたは複数のコード配列を含む組換え遺伝子をトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用して)、酵母、または哺乳動物細胞[例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株]で発現させることができる。他の好適な宿主細胞が、当業者に公知である。
【0206】
したがって、本開示は、本主題のALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドを産生するための方法にさらに関する。例えば、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞を、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドの発現が生じることを可能にする適切な条件下で培養することができる。ポリペプチドを分泌させ、細胞とポリペプチドを含む培地との混合物から単離することができる。あるいは、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドを、回収して溶解した細胞から得られる細胞質または膜画分から単離してもよい。細胞培養は、宿主細胞、培地、および他の副産物を含む。細胞培養に好適な培地は、当技術分野で周知である。本主題のポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いた免疫親和性精製、ならびにALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドと融合されているドメインに結合する作用剤を用いた親和性精製(例えば、プロテインAカラムを使用して、ALK4-Fc、ActRIIB-Fc、および/またはTGFβRII-Fc融合タンパク質を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当技術分野で公知の技法を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、または両方から単離することができる。一部の実施形態では、ALK4および/またはActRIIポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0207】
一部の実施形態では、精製は、例えば、以下のものの3つまたはそれよりも多くを任意の順番で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成される:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、最後にウイルス濾過および緩衝液交換を行ってもよい。ALK4-Fc、ActRIIB-Fc、および/またはTGFβRII-Fc融合タンパク質、ならびにそれらのヘテロマー複合体は、サイズ排除クロマトグラフィーで決定して>90%、>95%、>96%、>98%、または>99%の、およびSDS PAGEで決定して>90%、>95%、>96%、>98%、または>99%の純度に精製することができる。精製の目標レベルは、哺乳動物系、特に非ヒト霊長類、げっ歯動物(マウス)、およびヒトにおいて望ましい結果を達成するのに十分なレベルであるべきである。
【0208】
別の実施形態では、組換えALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチドの所望部分のN末端のポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、発現された融合タンパク質が、Ni2+金属レジンを使用する親和性クロマトグラフィーにより精製されることを可能にすることができる。その後、エンテロキナーゼで処理することにより精製リーダー配列を除去して、精製されたALK4、ActRIIB、および/またはTGFβRIIポリペプチド、ならびにそれらのヘテロマー複合体を提供することができる[Hochuliら(1987年
)J. Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら(1991年)PNAS USA 88巻:8972頁]。
【0209】
融合遺伝子を製作するための技法は、周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の接合は、平滑末端化または突出末端化された末端をライゲーションに使用し、制限酵素消化して適切な末端を準備し、必要な場合は付着末端を平滑化し、アルカリホスファターゼ処理して、望ましくない接合を回避し、酵素ライゲーションを行う、従来技法に従って実施される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技法により合成することができる。あるいは、2つの連続した遺伝子断片間の相補的突出を生じさせ、その後それをアニーリングしてキメラ遺伝子配列を生成することができるアンカープライマーを使用して、遺伝子断片のPCR増幅を実施してもよい。例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年を参照されたい。
【0210】
4.抗体アンタゴニスト
ある特定の態様では、本開示は、抗体または抗体の組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合することができる。特に、本開示は、ActRIIアンタゴニスト抗体またはActRIIアンタゴニスト抗体の組合せを、単独で、または1つもしくは複数の追加の支持療法および/もしくは活性剤と組み合わせて使用して、それを必要とする対象にて所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)を達成するための方法を提供する。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβRIIアンタゴニストと組み合わせて使用してもよい。
【0211】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF11を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF11に結合する。本明細書で使用される場合、GDF11抗体(抗GDF11抗体)は、一般に、GDF11を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でGDF11に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF11抗体が無関係の非GDF11タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、GDF11に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF11抗体は、異なる種に由来するGDF11で保存されているGDF11のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF11抗体は、ヒトGDF11に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF11抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するGDF11の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したGDF11媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。GDF11は、GDF8と高い配列相同性を有するため、GDF11に結合する抗体は、一部の場合では、GDF8にも結合および/または阻害する場合があることが留意されるべきである。一部の実施形態では、抗GDF11抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗GDF11抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0212】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF8を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF8に結合する。本明細書で使用される場合、GDF8抗体(抗GDF8抗体)は、一般に、GDF8を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でGDF8に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF8抗体が無関係の非GDF8タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、GDF8に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF8抗体は、異なる種に由来するGDF8で保存されているGDF8のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF8抗体は、ヒトGDF8に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF8抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するGDF8の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したGDF8媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。GDF8は、GDF11と高い配列相同性を有するため、GDF8に結合する抗体は、一部の場合では、GDF11にも結合および/または阻害する場合があることが留意されるべきである。一部の実施形態では、抗GDF8抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗GDF8抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0213】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともアクチビンに結合する。本明細書で使用される場合、アクチビン抗体(抗アクチビン抗体)は、一般に、アクチビンを標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でアクチビンに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗アクチビン抗体が無関係の非アクチビンタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、アクチビンに対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗アクチビン抗体は、異なる種に由来するアクチビンで保存されているアクチビンのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗アクチビン抗体は、ヒトアクチビンに結合する。他の好ましい実施形態では、抗アクチビン抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するアクチビンの結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したアクチビン媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。アクチビンは、配列相同性を共有するため、1つのアクチビン(例えばアクチビンA)に結合する抗体は、1つまたは複数の追加のアクチビン(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAC)に結合する場合があることが留意されるべきである。一部の実施形態では、抗アクチビン抗体は、少なくともアクチビンAおよびアクチビンBに結合する。一部の実施形態では、抗アクチビン抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合し、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗アクチビン抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF8、GDF11、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および使用に従って使用される抗体または抗体の組合せは、アクチビンおよびTGFβに結合する。一部の実施形態では、本開示の方法および使用に従って使用される抗体または抗体の組合せは、アクチビンAおよびTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、本開示の方法および使用に従って使用される抗体または抗体の組合せは、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)およびTGFβに結合する。一部の実施形態では、本開示の方法および使用に従って使用される抗体または抗体の組合せは、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)およびTGFβ2に結合する。
【0214】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともGDF3に結合する。本明細書で使用される場合、GDF3抗体(抗GDF3抗体)は、一般に、GDF3を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でGDF3に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF3抗体が無関係の非GDF3タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、GDF3に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF3抗体は、異なる種に由来するGDF3で保存されているGDF3のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF3抗体は、ヒトGDF3に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF3抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するGDF3の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したGDF3媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、抗GDF3抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合し、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗GDF3抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0215】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP6を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP6に結合する。本明細書で使用される場合、BMP6抗体(抗BMP6抗体)は、一般に、BMP6を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でBMP6に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP6抗体が無関係の非BMP6タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、BMP6に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP6抗体は、異なる種に由来するBMP6で保存されているBMP6のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP6抗体は、ヒトBMP6に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP6抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するBMP6の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したBMP6媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、抗BMP6抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合し、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗BMP6抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0216】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP9を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP9に結合する。本明細書で使用される場合、BMP9抗体(抗BMP9抗体)は、一般に、BMP9を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でBMP9に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP9抗体が無関係の非BMP9タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、BMP9に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP9抗体は、異なる種に由来するBMP9で保存されているBMP9のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP9抗体は、ヒトBMP9に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP9抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するBMP9の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したBMP9媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、抗BMP9抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP6、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合し、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗BMP9抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP6、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0217】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP10を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともBMP10に結合する。本明細書で使用される場合、BMP10抗体(抗BMP10抗体)は、一般に、BMP10を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でBMP10に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP10抗体が無関係の非BMP10タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、BMP10に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP10抗体は、異なる種に由来するBMP10で保存されているBMP10のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP10抗体は、ヒトBMP10に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP10抗体は、同種I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に対するBMP10の結合を阻害し、したがって、こうした受容体を介したBMP10媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、抗BMP10抗体は、1つまたは複数の追加のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合し、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗BMP10抗体、ならびに、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK5、およびALK4)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0218】
他の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともActRII受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともActRIIAに結合するが、ActRIIBには結合しないかまたは実質的に結合しない(例えば、1×10-7Mよりも大きなKでActRIIBに結合するか、または比較的わずかな結合性、例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9Mを有する)。他の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともActRIIBに結合するが、ActRIIAには結合しないかまたは実質的に結合しない(例えば、1×10-7Mよりも大きなKでActRIIAに結合するか、または比較的わずかな結合性、例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9Mを有する)。さらに他の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともActRIIAおよびActRIIBに結合する。本明細書で使用される場合、ActRII抗体(抗ActRII抗体)は、一般に、ActRIIを標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ActRII抗体が無関係の非ActRIIタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、ActRIIに対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ActRII抗体は、異なる種に由来するActRIIで保存されているActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ActRII抗体は、ヒトActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に結合する。他の好ましい実施形態では、抗ActRII抗体は、ActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に対する、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]の結合を阻害することができる。ActRIIAは、ActRIIBと配列相同性を有するため、ActRIIAに結合する抗体は、一部の場合では、ActRIIBにも結合および/または阻害する場合があり、その逆も同様であることが留意されるべきである。一部の実施形態では、抗ActRII抗体は、ActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、抗ActRII抗体は、ActRIIAおよびActRIIBに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、少なくとも抗ActRIIA抗体および少なくともActRIIB抗体を含む。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗ActRIIA抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ALK4、および/またはALK5に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗ActRIIB抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ALK4、および/またはALK5に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんを処置すること)に関し、抗体の組合せは、抗ActRIIA抗体、抗ActRIIB抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ALK4、および/またはALK5に結合する少なくとも1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0219】
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK4を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK4に結合する。本明細書で使用される場合、ALK4抗体(抗ALK4抗体)は、一般に、ALK4を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でALK4に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ALK4抗体が無関係の非ALK4タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、ALK4に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ALK4抗体は、異なる種に由来するALK4で保存されているALK4のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ALK4抗体は、ヒトALK4に結合する。他の好ましい実施形態では、抗ALK4抗体は、ALK4に対する、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]の結合を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ALK4抗体は、ALK4、ならびに1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはALK5に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗ALK4抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはALK5に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0220】
ある特定の態様では、本明細書で開示された方法および使用に従って使用されるTGFβRIIアンタゴニストは、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せである。TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、例えば、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3)、TGFβRII受容体、TGFβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、および/またはTGFβRII共受容体(例えば、ベータグリカン)を阻害および/または結合することができる。一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せが、シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し、および/または標的に結合する能力は、例えば、本明細書に記載されているものを含む、in vitroまたは細胞に基づくアッセイで決定される。本明細書に記載されているように、TGFβRIIアンタゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体の組合せを、単独で、または1つもしくは複数の追加の支持療法もしくは活性剤(例えば、ActRIIアンタゴニスト)と組み合わせて使用して、本明細書に記載のような障害または状態を処置または予防することができる。
【0221】
ある特定の態様では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ1に結合する。本明細書で使用される場合、TGFβ1抗体(抗TGFβ1抗体)は、一般に、TGFβ1を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でTGFβ1に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗TGFβ1抗体が無関係の非TGFβ1タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定して、TGFβ1に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ1抗体は、異なる種に由来するTGFβ1で保存されているTGFβ1のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ1抗体は、ヒトTGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1抗体は、I型、II型、および/または共受容体(例えば、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン)に対するTGFβ1の結合を阻害することができ、したがって、TGFβ1シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。TGFβ1は、TGFβ2およびTGFβ3とある程度の配列相同性を共有することが留意されるべきである。したがって、TGFβ1に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ3にも結合する場合がある。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ1に結合し、例えば、1つまたは複数の追加のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはTGFβ2およびTGFβ3)、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、ならびに/または1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびその使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、TGFβ1抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数の追加のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはTGFβ2およびTGFβ3)、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、ならびに/または1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、抗TGFβ1抗体は、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗TGFβ1抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のActRIIBリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0222】
ある特定の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ2に結合する。本明細書で使用される場合、TGFβ2抗体(抗TGFβ2抗体)は、一般に、TGFβ2を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でTGFβ2に結合することが可能な抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗TGFβ2抗体が無関係の非TGFβ2タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定して、TGFβ2に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ2抗体は、異なる種に由来するTGFβ2で保存されているTGFβ2のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ2抗体は、ヒトTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2抗体は、I型、II型、および/または共受容体(例えば、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン)に対するTGFβ2の結合を阻害することができ、したがって、TGFβ2シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。TGFβ2は、TGFβ1およびTGFβ3とある程度の配列相同性を共有することが留意されるべきである。したがって、TGFβ2に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ1および/またはTGFβ3にも結合する場合がある。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ2に結合し、例えば、1つまたは複数の追加のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはTGFβ1およびTGFβ3)、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、ならびに/または1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびその使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、およびそれらの使用に関し、抗体の組合せは、TGFβ2抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数の追加のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはTGFβ1およびTGFβ3)、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、および/または1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、抗TGFβ2抗体は、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗TGFβ2抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のActRIIBリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0223】
ある特定の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ3に結合する。本明細書で使用される場合、TGFβ3抗体(抗TGFβ3抗体)は、一般に、TGFβ3を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でTGFβ3に結合することが可能な抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗TGFβ3抗体が無関係の非TGFβ3タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定して、TGFβ3に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ3抗体は、異なる種に由来するTGFβ3で保存されているTGFβ3のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ3抗体は、ヒトTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3抗体は、I型、II型、および/または共受容体(例えば、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン)に対するTGFβ3の結合を阻害することができ、したがって、TGFβ3シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。TGFβ3は、TGFβ2およびTGFβ1とある程度の配列相同性を共有することが留意されるべきである。したがって、TGFβ3に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ1にも結合する場合がある。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ3に結合し、例えば、1つまたは複数の追加のTGFβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ1、またはTGFβ2およびTGFβ1)、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、および/または1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびその使用に関する。一部の実施形態では、抗TGFβ3抗体は、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、ならびにそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗TGFβ3抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のActRIIBリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK4、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0224】
ある特定の態様では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβRIIを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβRIIに結合する。本明細書で使用される場合、TGFβRII抗体(抗TGFβRII抗体)は、一般に、TGFβRIIを標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でTGFβRIIに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗TGFβRII抗体が無関係の非TGFβRIIタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、TGFβRIIに対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβRII抗体は、異なる種に由来するTGFβRIIで保存されているTGFβRIIのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβRII抗体は、ヒトTGFβRIIに結合する。一部の実施形態では、抗TGFβRII抗体は、TGFβRIIに対する、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]の結合を阻害することができる。一部の実施形態では、抗TGFβRII抗体は、TGFβRII、ならびに1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、およびそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗TGFβRII抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、ALK5、および/またはベータグリカンに結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0225】
ある特定の態様では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK5を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK5に結合する。本明細書で使用される場合、ALK5抗体(抗ALK5抗体)は、一般に、ALK5を標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でALK5に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ALK5抗体が無関係の非ALK5タンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、ALK5に対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ALK5抗体は、異なる種に由来するALK5で保存されているALK5のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ALK5抗体は、ヒトALK5に結合する。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、ALK5に対する、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]の結合を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、ALK5、ならびに1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはベータグリカンに結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、およびそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗ALK5抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはベータグリカンに結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0226】
ある特定の態様では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともベータグリカンを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TGFβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともベータグリカンに結合する。本明細書で使用される場合、ベータグリカン抗体(抗ベータグリカン抗体)は、一般に、ベータグリカンを標的とする上で診断剤および/または治療剤として抗体が有用となるのに十分な親和性でベータグリカンに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ベータグリカン抗体が無関係の非ベータグリカンタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定して、ベータグリカンに対する抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、異なる種に由来するベータグリカンで保存されているベータグリカンのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ヒトベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ベータグリカンに対する、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]の結合を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ベータグリカン、ならびに1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはALK5に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せ、およびそれらの使用に関し、抗体の組合せは、抗ベータグリカン抗体、ならびに、例えば、1つまたは複数のTGFβRIIリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、TGFβRII、ActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/またはALK5に結合する1つまたは複数の追加の抗体を含む。
【0227】
用語「抗体」は、本明細書では、最も幅広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、これらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を含む、種々の抗体構造を包含する。抗体断片は、無傷抗体が結合する抗原に結合する無傷抗体の部分を含む、無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、これらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。例えば、Hudsonら(2003年)Nat. Med. 9巻:129~134頁;Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、(Springer-Verlag、New York)中、269~315頁(1994年);国際公開第93/16185号;ならびに米国特許第5,571,894号、第5,587,458号、および第5,869,046号を参照されたい。本明細書で開示された抗体は、ポリクローナル抗体であってもよく、またはモノクローナル抗体であってもよい。ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、それに付着され、検出することができる標識を含む(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素コファクターであってもよい)。好ましい実施形態では、本開示の抗体は、単離された抗体である。
【0228】
ダイアボディは、二価または二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097;国際公開第1993/01161号;Hudsonら(2003年)Nat. Med. 9巻:129~134頁(2003年);およびHollingerら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6444~6448頁
を参照されたい。また、トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)は
、Hudsonら(2003年)Nat. Med. 9巻:129~134頁に記載されている。
【0229】
単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメインのすべてもしくは部分または抗体の軽鎖可変ドメインのすべてもしくは部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。例えば、米国特許第6,248,516号を参照されたい。
【0230】
抗体断片は、これらに限定されないが、本明細書に記載のように、無傷抗体のタンパク質分解性消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含む、種々の技法により製作することができる。
【0231】
本明細書の抗体は、任意のクラスであってもよい。抗体のクラスは、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。5つの主なクラスの抗体がある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。これらの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、およびIgAにさらに分類することができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。
【0232】
一般に、本明細書で開示された方法に使用される抗体は、好ましくは高結合親和性でその標的抗原に特異的に結合する。親和性は、K値として表すことができ、固有の結合親和性を反映する(例えば、最小化された結合力効果を有する)。典型的には、結合親和性は、無細胞設定かまたは細胞関連設定かに関わらず、in vitroで測定される。本明細書で開示されたものを含む、例えば、表面プラズモン共鳴(Biacore(商標)アッセイ)、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)、およびELISAを含む、当技術分野で公知の多くのアッセイのいずれかを使用して、結合親和性測定を得ることができる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、それらの標的抗原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン]に、少なくとも1×10-7もしくはそれよりも強力な、1×10-8もしくはそれよりも強力な、1×10-9もしくはそれよりも強力な、1×10-10もしくはそれよりも強力な、1×10-11もしくはそれよりも強力な、1×10-12もしくはそれよりも強力な、1×10-13もしくはそれよりも強力な、または1×10-14もしくはそれよりも強力なKで結合する。
【0233】
ある特定の実施形態では、Kは、以下のアッセイにより記載のように、目的の抗体のFab版およびその標的抗原を用いて実施されるRIAにより測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、滴定系列の未標識抗原の存在下にて、最小濃度の放射性標識抗原(例えば、125I標識)でFabを平衡化し、その後、結合した抗原を抗Fab抗体コーティングプレートで捕捉することにより測定される[例えば、Chenら(1999年)J. Mol. Biol. 293巻:865~881頁を参照]。アッセイの条件を確立する
ため、多ウェルプレート(例えば、Thermo Scientific製のMICROTITER(登録商標))を、捕捉抗Fab抗体(例えば、Cappel Labs製の)でコーティングし(例えば、一晩)、その後ウシ血清アルブミンを用いて、好ましくは室温(例えば、およそ23℃)でブロッキングする。非吸着性プレートにて、放射性標識抗原を、目的のFabの系列希釈物と混合する[例えば、Prestaら、(1997年)Cancer Res. 57巻:4593~4599頁における、抗VEGF抗体であるFab-12の評価と同じように]。その後、目的のFabを、好ましくは一晩インキュベートするが、インキュベーションは、平衡に到達していることを保証するため、より長期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を、捕捉プレートに移して、好ましくは室温で約1時間インキュベーションする。その後、溶液を除去し、プレートを、好ましくはポリソルベート20およびPBS混合物で数回洗浄する。プレートが乾燥したら、シンチラント(scintillant)(例えば、Packard製のMICROSCINT(登録商
標))を添加し、プレートをガンマ計数器(例えば、Packard製のTOPCOUNT(登録商標))で計数する。
【0234】
別の実施形態によると、Kは、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して、例えば、約10応答ユニット(RU)で固定された抗原CM5チップで、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(Biacore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用して測定する。手短に言えば、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、Biacore,Inc.)を、供給業者の使用説明書に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシサクシニミド(NHS)で活性化する。例えば、抗原を、10mM酢酸ナトリウムpH4.8で5μg/ml(約0.2μM)に希釈してから、5μl/分の流速で注入して、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成してもよい。抗原を注入した後、1Mエタノールアミンを注入して、未反応基をブロッキングする。動力学測定は、Fabの2倍系列希釈物(0.78nM~500nM)を、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))界面活性剤(PBST)を有するPBSで、およそ25μl/分の流速にて注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、例えば、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェア バージョン3.2)を使用して、会合および解離センサグラムを同時にフィッティングすることにより算出する。平衡解離定数(K)は、比koff/konとして算出する[例えば、Chenら、(1999年)J. Mol. Biol. 293巻:865~881頁を参照]。上記の表面プラズ
モン共鳴アッセイによるオン速度が、例えば、10-1-1を超える場合、オン速度は、漸増濃度の抗原の存在下でPBS中20nM抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光強度の増加または減少を測定する(例えば、励起=295nm;発光=340nm;16nmバンドパス)蛍光クエンチング技法を使用することにより、ストップフローを装備した分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを有する8000系列SLM-AMINCO(登録商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定して決定することができる。
【0235】
ヒトActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカンの核酸およびアミノ酸配列は、当技術分野で周知であり、したがって、本開示に従って使用するための抗体アンタゴニストは、当業者であれば、当技術分野の知識および本明細書で提供された教示に基づき、日常的に製作することができる。
【0236】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体は、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の供給源または種に由来するが、重鎖および/または軽鎖の残りは、異なる供給源または種に由来する抗体を指す。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851~6855頁に記載されている。一部の実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが、親抗体のクラスまたはサブクラスから変化されている「クラススイッチ」抗体である。一般に、キメラ抗体は、その抗原結合性断片を含む。
【0237】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキメラ抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒト超可変領域(HVR)に由来するアミノ酸残基およびヒトフレームワーク領域(FR)に由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むことになり、HVR(例えば、CDR)のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、必要に応じて、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも部分を含んでいてもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0238】
ヒト化抗体、およびそれらを製作するための方法は、例えば、AlmagroおよびFransson
(2008年)Front. Biosci. 13巻:1619~1633頁に総説されており、例
えば、Riechmannら(1988年)Nature 332巻:323~329頁;Queenら(1989年)Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86巻:10029~10033頁;米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiriら(2005年)Methods 36巻:25~34頁[
SDR(a-CDR)グラフトが記載されている];Padlan、Mol. Immunol.(1991年)28巻:489~498頁(「リサーフェシング」が記載されている);Dall'Acquaら(2005年)Methods 36巻:43~60頁(「FRシャフリング」が記載されて
いる);Osbournら(2005年)Methods 36巻:61~68頁;およびKlimkaら、Br. J. Cancer(2000年)83巻:252~260頁(FRシャフリングの「ガイド
選択」手法が記載されている)にさらに記載されている。
【0239】
ヒト化に使用することができるヒトフレームワーク領域としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域[例えば、Simsら(1993年)J. Immunol. 151巻:2296頁を参照];特定のサブグループの軽鎖または重鎖可変領域のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域[例えば、Carterら(1992年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4285頁;およびPrestaら(1993年)J. Immunol.、151巻:2623頁を参照];ヒト成熟(体細胞性突然変異)フレームワーク領域またはヒト生殖系フレームワーク領域[例えば、AlmagroおよびFransson(2008年)Front. Biosci. 13巻:1619~1633頁を参照];およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域[例えば、Bacaら、(1997年)J. Biol. Chem. 272巻:10678~10684頁;およびRosokら、(1996年)J. Biol. Chem. 27
1巻:22611~22618頁を参照]。
【0240】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の種々の技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般に、van Dijkおよびvan de Winkel(2001年)Curr. Opin. Pharmacol. 5巻:368~74頁およびLonberg(2008年)Curr. Opin. Immunol. 20巻:450~
459頁に記載されている。
【0241】
ヒト抗体は、免疫原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン]を、抗原チャレンジに応答して無傷ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷抗体を産生するように修飾されているトランスジェニック動物に投与することにより調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えているか、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべてまたは部分を含む。そのようなトランスジェニック動物では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般には、不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説は、以下を参照されたい:例えば、Lonberg(2005年)Nat. Biotechnol. 23巻:1117~1125頁;米国特許第6,075,181号および第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術が記載されている);米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)技術が記載されている);米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)技術が記載されている);および米国特許出願公開第2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)技術が記載されている)。そのような動物により生成された無傷抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによりさらに修飾することができる。
【0242】
また、本明細書で提供されるヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法により製作することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒトミエローマおよびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株が報告されている[例えば、Kozbor J. Immunol.、(1984年)133巻:3001頁;Brodeurら(1987年)Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51~63頁、Marcel Dekker, Inc.、New York;およびBoernerら(1991年)J. Immunol.、147巻:86頁を参照]。また
、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されたヒト抗体は、Liら、(2006年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、103巻:3557~3562頁に記載されている。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生が記載されている)およびNi、Xiandai Mianyixue(2006年)26巻(4号):265~268頁(2006年)(ヒト-ヒトハイブリドーマが記載されている)に記載されているものが挙げられる。また、ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)が、VollmersおよびBrandlein(2005年)Histol. Histopathol.、20巻(3号):927~937頁(2005年)およびVollmersおよびBrandlein(2005年)Methods Find Exp. Clin. Pharmacol.、27巻(3号):1
85~91頁に記載されている。
【0243】
また、本明細書で提供されるヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより生成することができる。その後、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技法は、本明細書に記載されている。
【0244】
例えば、本開示の抗体は、1つまたは複数の所望の活性を用いて、抗体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを生成するための、およびそのようなライブラリーを所望の結合特徴を有する抗体についてスクリーニングするための様々な方法が、当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboomら(2001年)Methods in Molecular Biology中 178巻:1~37頁、O'Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.に総説されており、例えば、the McCaffertyら(1991年)Nature 348巻:552~554頁;Clacksonら、(1991年)Nature 352巻:624~628頁;Marksら(1
992年)J. Mol. Biol. 222巻:581~597頁;MarksおよびBradbury(2003年)Methods in Molecular Biology中 248巻:161~175頁、Lo編、Human Press、Totowa、N.J.;Sidhuら(2004年)J. Mol. Biol. 338巻(2号)
:299~310頁;Leeら(2004年)J. Mol. Biol. 340巻(5号):1073~1093頁;Fellouse(2004年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101巻(34号):12467~12472頁;およびLeeら(2004年)J. Immunol. Methods 284巻(1~2号):119~132頁にさらに記載されている。
【0245】
ある特定のファージディスプレイ法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングし、ファージライブラリーでランダムに組換え、それを、その後Winterら(1994年)Ann. Rev. Immunol.、12巻:433~455頁に記載されているように、抗原結合性ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして提示する。免疫された供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン]に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、未感作レパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、Griffithsら(1993年)EMBO
J、12巻:725~734頁に記載のように、免疫化を一切行わずに、広範な非自己
およびさらに自己抗原に対する抗体の単一供給源を提供することができる。最後に、また、未感作ライブラリーは、HoogenboomおよびWinter(1992年)J. Mol. Biol.、2
27巻:381~388頁に記載のように、幹細胞に由来する未再編成V遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、in vitro再編成を達成することにより、合成的に製作することができる。ヒト抗体ファージライブラリーが記載されている特許刊行物としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、第2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、および第2009/0002360号が挙げられる。
【0246】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体(典型的には、モノクローナル抗体)は、1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6つ、またはそれよりも多くの)抗原の少なくとも2つの異なるエピトープ(例えば、2、3、4、5、もしくは6つ、またはそれよりも多くの)に対して結合特異性を有する。
【0247】
「オクトパス抗体」を含む、3つまたはそれよりも多くの機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号を参照)。
【0248】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示された抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指す。つまり、集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する突然変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能性のある、一般に少量で存在するバリアント抗体を除いて、同一であり、および/または同じエピトープに結合する。典型的には、異なるエピトープに対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一のエピトープに対する抗体である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法により抗体が産生されることは必要とされていないと解釈されるべきである。例えば、本方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、これらに限定されないが、以下のものを含む様々な技法により製作することができる:ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべてまたは一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法、本明細書に記載されているモノクローナル抗体を製作するためのそのような方法および他の例示的な方法。
【0249】
例えば、GDF11に由来する免疫原を使用することにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準的プロトコールにより製作することができる[例えば、Antibodies: A Laboratory Manual(1988年)HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Pressを参照]。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動
物を、GDF11ポリペプチドの免疫原性形態、抗体応答を誘発することが可能な抗原性断片、または融合タンパク質で免疫してもよい。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与するための技法としては、担体とのコンジュゲーションまたは当技術分野で周知の他の技法が挙げられる。GDF11ポリペプチドの免疫原性部分を、アジュバントの存在下で投与してもよい。免疫化の進行は、血漿または血清の抗体力価を検出することによりモニターすることができる。標準的ELISAまたは他のイムノアッセイを使用し、免疫原を抗原として用いて、抗体産生のレベルおよび/または結合親和性のレベルを評価することができる。
【0250】
GDF11の抗原性調製物により動物を免疫した後、抗血清を得ることができ、所望の場合、ポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を産生するためには、抗体産生細胞(リンパ球)を、免疫した動物から回収し、標準的体細胞融合手順により、ミエローマ細胞などの不死化細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を産出する。そのような技法は、当技術分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技法[例えば、KohlerおよびMilstein(1975年)Nature、256巻:495~497頁を参照]、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法[例えば、Kozbarら(1983年)Immunology Today
、4巻:72頁を参照]、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術[Coleら(1985年)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc.、77~96頁]が挙げられる。ハイブリドーマ細胞を、GDF
11ポリペプチドに特異的に反応性である抗体の産生について免疫化学的にスクリーニングすることができ、そのようなハイブリドーマ細胞を含む培養からモノクローナル抗体を単離することができる。
【0251】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸修飾を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入して、それによりFc領域バリアントを生成してもよい。Fc領域バリアントは、1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失、および/または付加)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含んでいてもよい。
【0252】
例えば、本開示は、エフェクター機能の一部を有するがすべてを有しているわけではない抗体バリアントを企図する。そのような抗体バリアントは、抗体のin vivo半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能[例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)]が不要であるかまたは有害である応用のための望ましい候補である。in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害アッセイを実施して、CDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体が、FcγR結合を欠如する(したがって、ADCC活性を欠如する可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、例えば、RavetchおよびKinet(1991年)Annu. Rev. Immunol. 9巻:457~492頁に要約されている。目
的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号;Hellstrom, I.ら(1986年)Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83巻:7059~7063頁;Hellstrom, Iら(1985年)Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82巻:1499~1502頁;米国特許第5,821,3
37号;およびBruggemann, M.ら(1987年)J. Exp. Med. 166巻:1351
~1361頁に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を使用してもよい(例えば、ACTI(商標)、フローサイトメトリー用の非放射性細胞傷害アッセイ;CellTechnology,Inc.、Mountain View、Calif.;およびCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害アッセイ、Promega、Madison、Wis.)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血液単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいはまたはそれに加えて、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら(1998年)Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95巻:652~656頁に開示されているものなどの動物モデルで評価してもよい。また、C1q結合アッセイを実施して、抗体がC1qに結合することができず、したがってCDC活性を欠如することを確認してもよい[例えば、国際公開第2006/029879号および国際公開第2005/100402号のC1qおよびC3c結合ELISAを参照]。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施してもよい[例えば、Gazzano-Santoroら(1996年)J. Immunol. Methods 202巻:163頁;Cragg, M. S.ら(2003年)Blood 101巻
:1045~1052頁;およびCragg, M. S.およびM. J. Glennie(2004年)Blood 103巻:2738~2743頁を参照]。また、FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期決定は、当技術分野で公知の方法を使用して実施することができる[例えば、Petkova, S. B.ら(2006年)Int. Immunol. 18巻(12号):1759~1769頁を参照]。
【0253】
エフェクター機能が低減された本開示の抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329の1つまたは複数の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc突然変異体としては、残基265および297がアラニンに置換されたいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297、および327の2つまたはそれよりも多くに置換を有するFc突然変異体が挙げられる(米国特許第7,332,581号)。
【0254】
ある特定の実施形態では、システイン操作された抗体、例えば、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基と置換されている「thioMAb」を生成することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、残基の置換は、抗体の接近可能な部位で生じる。そのような残基をシステインと置換することにより、反応性チオール基を、抗体の接近可能な部位に位置し、抗体を薬物部分またはリンカー薬物部分などの他の部分にコンジュゲートするために使用して、本明細書にさらに記載のようなイムノコンジュゲートを生成してもよい。ある特定の実施形態では、以下の残基の任意の1つまたは複数を、システインと置換してもよい:軽鎖のV205(カバット付番);重鎖のA118(EU付番);および重鎖Fc領域のS400(EU付番)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載のように生成することができる。
【0255】
加えて、望ましい抗体を特定するために抗体をスクリーニングするために使用される技法は、得られる抗体の特性に影響を及ぼす場合がある。例えば、抗体が、溶液中での抗原結合に使用される場合、溶液結合を試験することが望ましい場合がある。様々な異なる技法が、抗体と抗原との相互作用を試験して、特に望ましい抗体を特定するために利用可能である。そのような技法としては、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore(商標)結合アッセイ、Biacore AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International,Inc.、Gaithersburg、Marylandの常磁性ビーズ系)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学法が挙げられる。
【0256】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体および/または結合性ポリペプチドの結合親和性および/または他の生物学的特性を向上させることが望ましい場合がある。抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、抗体および/または結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することにより、またはペプチド合成により調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列からの欠失、および/または配列への挿入、および/または配列内の残基の置換が挙げられる。最終構築物が、所望の特徴、例えば、標的結合(ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、ALK5、および/またはベータグリカン結合)を有する限り、最終構築物に到達するために、任意の組合せの欠失、挿入、および置換をなすことができる。
【0257】
HVRに変更(例えば、置換)をなして、例えば、抗体親和性を向上させてもよい。HVR「ホットスポット」、つまり体細胞性成熟プロセス中に高頻度に突然変異を起こすコドンによりコードされる残基(例えば、Chowdhury(2008年)Methods Mol. Biol.
207巻:179~196頁(2008年)を参照)、および/またはSDR(a-CDR)にそのような変更をなして、得られたバリアントVHまたはVLを結合親和性について試験してもよい。二次ライブラリーから構築および再選択することによる親和性成熟は、当技術分野に記載されている[例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology中 178巻:1~37頁、O'Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.(2001年)を参照]。親和性成熟の一部の実施形態では、成熟のために選択されたバリアブル遺伝子に、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)のいずれかにより多様性を導入する。その後、二次ライブラリーを生成する。その後、ライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを特定する。多様性を導入するための別の方法は、幾つかのHVR残基(例えば、一回に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指定手法(HVR-directed approach)を含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定することができる。CDR-H3およびCDR-L3が、特に標的とされることが多い。
【0258】
ある特定の実施形態では、そのような変更が、抗体の抗原結合能力を実質的に低減させない限り、置換、挿入、または欠失が、1つまたは複数のHVR内に生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)を、HVRになすことができる。そのような変更は、HVR「ホットスポット」またはSDRの外部であってもよい。上記で提供されているバリアントVHおよびVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、未変更であるか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含むかのいずれかである。
【0259】
突然変異誘発の標的にすることができる抗体および/または結合性ポリペプチドの残基または領域を特定するための有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれ、CunninghamおよびWells(1989年)Science、244巻:1081~1085頁によって記載されている。この方法では、残基または一群の標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)を特定し、中性または負荷電アミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えて、抗体または結合性ポリペプチドと抗原との相互作用が影響を受けるか否かを決定する。初期置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置に、さらなる置換を導入してもよい。その代わりにまたはそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との接触地点を特定してもよい。そのような接触残基および近隣残基を、置換の候補として標的にしてもよく、または除去してもよい。バリアントをスクリーニングして、それらが所望の特性を含むか否かを決定してもよい。
【0260】
アミノ酸配列挿入としては、1個の残基から、100個またはそれよりも多くの残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPTの場合)または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドを抗体のN末端またはC末端に融合させることが挙げられる。
【0261】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体および/または結合性ポリペプチドは、当技術分野で公知であり、容易に利用可能な追加の非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾されていてもよい。抗体および/または結合性ポリペプチドの誘導体化に好適な部分としては、これらに限定されないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定であるため、製造が有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していてもよく、または分岐していなくともよい。抗体および/または結合性ポリペプチドに付着されるポリマーの数は、様々であってもよく、1つよりも多くのポリマーが付着されている場合、それらは、同じ分子であってもよく、または異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、抗体誘導体および/または結合性ポリペプチド誘導体が、規定の条件下で治療に使用されることになるか否かに関わらず、これらに限定されないが、向上させようとする抗体および/または結合性ポリペプチドの特定の特性または機能を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
【0262】
5.低分子アンタゴニスト
他の態様では、本開示は、低分子または低分子の組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニスト低分子は、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)を阻害することができる。特に、本開示は、ActRIIアンタゴニスト低分子またはActRIIアンタゴニスト低分子の組合せを、単独で、または1つもしくは複数の追加の支持療法および/もしくは活性剤(例えば、TGFβアンタゴニスト)と組み合わせて使用して、それを必要とする対象にて所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)を達成するための方法を提供する。
【0263】
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF11を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF11を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF8を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF8を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、アクチビンを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP6を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP6を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP10を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP10を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP9を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP9を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIBを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIBを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともALK4を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK4を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。
【0264】
他の態様では、本開示は、低分子または低分子の組合せであるTGFβアンタゴニスト(阻害剤)に関する。TGFβアンタゴニスト低分子は、1つもしくは複数のTGFβリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、1つもしくは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、1つもしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)、および/または1つもしくは複数のTGFβ下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)を阻害することができる。特に、本開示は、TGFβアンタゴニスト低分子またはTGFβアンタゴニスト低分子の組合せを、単独で、または1つもしくは複数の追加の支持療法および/もしくは活性剤(例えば、ActRIIアンタゴニスト)と組み合わせて使用して、それを必要とする対象にて所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)を達成するための方法を提供する。
【0265】
一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ1を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ2を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ2を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ2]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ2]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβRIIを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβRIIを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともALK5を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK5を阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともベータグリカンを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ベータグリカンを阻害する低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、および/またはTGFβRIIをさらに阻害する。
【0266】
低分子アンタゴニストは、直接的なまたは間接的な阻害剤であってもよい。例えば、間接的な低分子アンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、少なくとも1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK4、およびALK5)、1つまたは複数の共受容体(ベータグリカン)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)の発現(例えば、転写、翻訳、細胞分泌、またはそれらの組合せ)を阻害することができる。あるいは、直接的な低分子ActRIIアンタゴニストまたは低分子アンタゴニストの組合せは、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、1つまたは複数のI型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ALK4、およびALK5)、1つまたは複数の共受容体(ベータグリカン)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)の1つまたは複数に直接結合することができる。1つまたは複数の間接的なおよび1つまたは複数の直接的な低分子アンタゴニストの組合せを、本明細書で開示されている方法に従って使用することができる。
【0267】
本開示の結合性有機低分子アンタゴニストは、公知の方法論(例えば、PCT公開番号WO00/00823およびWO00/39585を参照)を使用して特定し、化学的に合成することができる。一般に、本開示の低分子アンタゴニストは、通常、サイズが、約2000ダルトン未満であり、あるいはサイズが、約1500、750、500、250、または200ダルトン未満であり、そのような有機低分子は、本明細書に記載のようなポリペプチドに、好ましくは特異的に結合することが可能である。そのような低分子アンタゴニストは、周知の技法を使用して、過度の実験作業を行わずに特定することができる。この点で、ポリペプチド標的に結合することが可能な分子について、有機低分子ライブラリーをスクリーニングするための技法は、当技術分野で周知であることに留意されたい(例えば、国際公開第00/00823号および国際公開第00/39585号を参照)。
【0268】
本開示の結合性有機低分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カルボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、スルホン酸アリール、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキル、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、および酸塩化物であってもよい。
【0269】
6.ヌクレオチドアンタゴニスト
他の態様では、本開示は、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドは、1つまたは複数のActRIIリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つまたは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)を阻害することができる。特に、本開示は、ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドの組合せを、単独で、または1つもしくは複数の追加の支持療法および/もしくは活性剤(例えば、TGFβRIIアンタゴニスト)と組み合わせて使用して、それを必要とする対象にて所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)を達成するための方法を提供する。
【0270】
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF11を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF11を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF8を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF8を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、アクチビンを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIポリヌクレオチドは、少なくともGDF3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF3を阻害するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP6を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP6を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP10を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP10を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP9を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP9を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIB、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIBを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIBを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ALK4、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともALK4を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK4を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。
【0271】
他の態様では、本開示は、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せであるTGFβアンタゴニスト(阻害剤)に関する。TGFβアンタゴニストポリヌクレオチドは、1つまたは複数のTGFβリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、1つまたは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TGFβRIIおよびALK5)、1つまたは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)、および/または1つもしくは複数のTGFβ下流シグナル伝達成分(例えば、Smad2および/または3)を阻害することができる。特に、本開示は、TGFβアンタゴニストポリヌクレオチドまたはTGFβアンタゴニストポリヌクレオチドの組合せを、単独でまたは1つもしくは複数の追加の支持療法および/もしくは活性剤(例えば、ActRIIアンタゴニスト)と組み合わせて使用して、それを必要とする対象にて所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、およびがんまたは病原体を処置すること)を達成するための方法を提供する。
【0272】
一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ1を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ2を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ2を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ2]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβ3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、およびTGFβ2]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともTGFβRIIを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、TGFβRIIを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともALK5を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK5を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、および/またはベータグリカンをさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、少なくともベータグリカンを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ベータグリカンを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニストまたはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3]、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、および/またはTGFβRIIをさらに阻害する。
【0273】
本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アンチセンス核酸、RNAi分子[例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)]、アプタマー、および/またはリボザイムであってもよい。ヒトALK4、ALK5、ActRIIA、ActRIIB、TGFβRII、ベータグリカン、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、およびベータグリカンの核酸ならびにアミノ酸配列は、当技術分野で公知であり、したがって、本開示の方法に従って使用するためのポリヌクレオチドアンタゴニストは、当業者であれば、当技術分野の知識および本明細書で提供された教示に基づき、日常的に製作することができる。
【0274】
例えば、アンチセンス技術を使用して、アンチセンスDNAまたはRNAにより、または三重らせん形成により遺伝子発現を制御することができる。アンチセンス技法は、例えば、Okano(1991年)J. Neurochem. 56巻:560頁;Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1988年)で考察されている。三重らせん形成は、例えば、Cooneyら(1988年)Science 241巻:456号;およびDervanら(1991年)Science 251巻:1300頁で考察されている。本方法は、相補的DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。一部の実施形態では、アンチセンス核酸は、所望の遺伝子のRNA転写物の少なくとも部分に相補的な一本鎖RNAまたはDNA配列を含む。しかしながら、絶対的な相補性は、好ましいものの、必要というわけではない。
【0275】
本明細書で参照されている「RNAの少なくとも部分に相補的な」配列は、RNAとハイブリダイズして、安定的な二重鎖を形成することができるような十分な相補性を有する配列を意味する。したがって、本明細書で開示された遺伝子の二本鎖アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの一本鎖を試験してもよく、また、三重鎖形成をアッセイしてもよい。ハイブリダイズする能力は、相補性の度合いおよびアンチセンス核酸の長さの両方に依存するであろう。一般に、ハイブリダイズする核酸が大きいほど、RNAとの塩基ミスマッチがより多く含まれる場合があるが、それでも安定的な二重鎖(または場合によっては三重鎖)を形成することができる。当業者であれば、ハイブリダイズされた複合体の融点を決定するための標準的手順を使用することにより、許容可能なミスマッチの度合いを確かめることができる。
【0276】
メッセージの5’末端、例えば、AUG開始コドンまでおよびそれを含む5’-非翻訳配列に相補的なポリヌクレオチドは、翻訳の阻害に最も効率的に作用するはずである。しかしながら、mRNAの3’-非翻訳配列に相補的な配列も同様に、mRNAの翻訳阻害に効果的であることが示されている[例えば、Wagner, R.、(1994年)Nature 3
72巻:333~335頁を参照]。したがって、本開示の遺伝子の5’-または3’-非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドを、内因性mRNAの翻訳を阻害するためのアンチセンス手法に使用することができる。mRNAの5’-非翻訳領域に相補的ポリヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、それほど効率的でない翻訳阻害剤であるが、本開示の方法に従って使用することができるであろう。本開示のmRNAの5’-非翻訳、3’-非翻訳、またはコード領域のいずれにハイブリダイズするように設計されているかに関わらず、アンチセンス核酸は、長さが少なくとも6個のヌクレオチドであるべきであり、好ましくは、長さが6から約50個ヌクレオチドまでの範囲のオリゴヌクレオチドである。具体的な態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも25個のヌクレオチド、または少なくとも50個のヌクレオチドである。
【0277】
一実施形態では、本開示のアンチセンス核酸は、外因性配列からの転写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその部分が転写されて、本開示の遺伝子のアンチセンス核酸(RNA)が産生される。そのようなベクターは、所望のアンチセンス核酸をコードする配列を含むことになる。そのようなベクターは、転写されて、所望のアンチセンスRNAを産生することができる限り、エピソームのままであってもよく、または染色体に組み込まれてもよい。そのようなベクターは、当技術分野で標準的な組換えDNA技術法により構築することができる。ベクターは、脊椎動物細胞での複製および発現に使用されるプラスミド、ウイルス、または当技術分野で公知の他のものであってもよい。本開示の所望の遺伝子をコードする配列またはその断片の発現は、脊椎動物細胞、好ましくはヒト細胞で作用する当技術分野で公知の任意のプロモーターによるものであってもよい。そのようなプロモーターは、誘導可能であってもよく、または構成的であってもよい。そのようなプロモーターとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:SV40初期プロモーター領域[例えば、BenoistおよびChambon(1981年)Nature 29巻:304~310頁を参照]、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれているプロモーター[例えば、Yamamotoら(1980年)Cell 22巻:787~797頁を参照]、ヘルペスチミジンプロモーター[例えば、Wagnerら(1981年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78巻:1441~1445頁を参照]、メタロチ
オネイン遺伝子の調節配列[例えば、Brinsterら(1982年)Nature 296巻:39~42頁を参照]。
【0278】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンタゴニストは、1つまたは複数の遺伝子の発現を標的とする干渉RNAまたはRNAi分子である。RNAiは、標的mRNAの発現に干渉するRNAの発現を指す。具体的には、RNAiは、siRNA(低分子干渉RNA)を介して特異的なmRNAと相互作用することにより、標的遺伝子をサイレンシングする。その後、dsRNA複合体は、細胞による分解の標的となる。siRNA分子は、長さが10~50個ヌクレオチドの二本鎖RNA二重鎖であり、十分に相補的である(例えば、遺伝子と少なくとも80%同一である)標的遺伝子の発現に干渉する。一部の実施形態では、siRNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列と、少なくとも85、90、95、96、97、98、99、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0279】
追加のRNAi分子としては、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)が挙げられ、短鎖干渉ヘアピンおよびマイクロRNA(miRNA)も挙げられる。shRNA分子は、ループにより接続されている、標的遺伝子に由来するセンスおよびアンチセンス配列を含んでいる。shRNAは、核から細胞質内へと輸送され、mRNAと共に分解される。Pol
IIIまたはU6プロモーターを使用して、RNAi用のRNAを発現させることができる。Paddisonら[Genes & Dev.(2002年)16巻:948~958頁、2002年]は、RNAiを達成する手段として、ヘアピンにフォールディングした小RNA分子を使用している。したがって、そのような短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子も、本明細書に記載の方法で有利に使用される。機能性shRNAのステムおよびループの長さは様々であり、ステム長は、約25から約30ntまでのいずれの範囲であってもよく、ループサイズは、4~約25ntの範囲であってもよく、サイレンシング活性に影響を及ぼさない。任意の特定の理論により束縛されることは望まないが、こうしたshRNAは、DICER RNaseの二本鎖RNA(dsRNA)産物と相似しており、任意の事象において、特定遺伝子の発現を阻害する同じ能力を有すると考えられる。shRNAは、レンチウイルスのベクターから発現させることができる。miRNAは、「ステム-ループ」構造により特徴付けられるプレmiRNAとして最初に転写され、その後、RISCによりさらにプロセシングされた後、成熟miRNAへとプロセシングされる、長さが約10~70個ヌクレオチドの一本鎖RNAである。
【0280】
siRNAが挙げられるがそれに限定されない、RNAiを媒介する分子は、in vitroで化学合成により(Hohjoh、FEBS Lett、521巻:195~199頁、2002年)、dsRNAの加水分解により(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:9942~9947頁、2002年)、T7 RNAポリメラーゼでのin vitro転写により(Donzeetら、Nucleic Acids Res 30巻:e46頁、2002年、Yuら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:6047~6052頁、2002年)、およびE.coli RNase IIIなどのヌクレアーゼを使用した二本鎖RNAの加水分解により(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:9942~9947頁、2002年)産生することができる。
【0281】
別の態様によると、本開示は、デコイDNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、複合体化DNA、被包性DNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、ネイキッドRNA、被包性RNA、ウイルスRNA、二本鎖RNA、RNA干渉を生じさせることが可能な分子、またはそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されないポリヌクレオチドアンタゴニストを提供する。
【0282】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アプタマーである。アプタマーは、ALK4、ALK5、ActRIIB、ActRIIA、TGFβRII、ベータグリカン、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβRII、および/またはベータグリカンポリペプチドなどの標的分子に結合し、標的分子に特異的に結合する三次構造を形成する、二本鎖DNAおよび一本鎖RNA分子を含む核酸分子である。アプタマーの生成および治療使用は、当技術分野で十分に確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号を参照されたい。アプタマーに関する追加情報は、米国特許出願公開第20060148748号に見出すことができる。核酸アプタマーは、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化(SELEX、Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)プロセスにより選択される。SELEXは、標的分子に対して高度な特異的結合
性を有する核酸分子をin vitroで進化させるための方法であり、例えば、米国特許第5,475,096号、第5,580,737号、第5,567,588号、第5,707,796号、第5,763,177号、第6,011,577号、および第6,699,843号に記載されている。アプタマーを特定するための別のスクリーニング法が、米国特許第5,270,163号に記載されている。SELEXプロセスは、様々な二次元または三次元構造を形成する核酸の能力、ならびに単量体であるかまたは多量体であるかに関わらず、他の核酸分子およびポリペプチドを含む、事実上あらゆる化学的化合物に対するリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)、ヌクレオチドモノマー内で利用可能な化学的汎用性に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が、標的としての役目を果たすことができる。SELEX法は、混合物から候補オリゴヌクレオチドを選択すること、ならびに同じ基本選択スキームを使用して、結合、分割、および増幅の段階的反復を行い、所望の結合親和性および選択性を達成することを含む。SELEX法は、ランダム化配列のセグメントを含んでいてもよい核酸の混合物から開始し、結合に有利な条件下で混合物を標的と接触させるステップ、標的分子に特異的に結合した核酸から未結合核酸を分割するステップ、核酸-標的複合体を解離させるステップ、核酸-標的複合体から解離した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を産出するステップを含む。結合、分割、解離、および増幅ステップを、所望のサイクル回数だけ繰り返して、標的分子に対して高度に特異的な高親和性核酸リガンドを産出する。
【0283】
そのような結合性分子は、典型的には、別々に動物に投与されるが[例えば、O'Connor(1991年)J. Neurochem. 56巻:560頁を参照]、そのような結合性分子は、宿主細胞により取り込まれたポリヌクレオチドからin vivoで発現させることもでき、in vivoで発現させることもできる[例えば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(19
88年)を参照]。
【0284】
7.ホリスタチンおよびFLRGアンタゴニスト
他の態様では、本明細書で開示された方法に従って使用するためのActRIIアンタゴニスト(阻害剤)は、ホリスタチンまたはFLRGポリペプチドであり、単独でまたは本明細書で開示されているような1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、所望の効果(例えば、それを必要とする対象の免疫応答を増加させること、および病原体のがんを処置すること)を達成することができる。
【0285】
用語「ホリスタチンポリペプチド」は、ホリスタチンの任意の天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意のバリアント(突然変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含み、ホリスタチンの任意の機能性単量体または多量体をさらに含む。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のホリスタチンポリペプチドは、アクチビン活性、特にアクチビンAに結合および/または阻害する。アクチビン結合特性を保持するホリスタチンポリペプチドのバリアントは、ホリスタチンおよびアクチビン相互作用に関する以前の研究に基づいて特定することができる。例えば、国際公開第2008/030367号には、アクチビン結合に重要であることが示されている特異的ホリスタチンドメイン(「FSD」)が開示されている。下記の配列番号46~48に示されているような、ホリスタチンN末端ドメイン(「FSND」配列番号46)、FSD2(配列番号48)、および程度はより低いがFSD1(配列番号47)は、アクチビン結合に重要であるホリスタチン内の例示的なドメインである。加えて、ポリペプチドのライブラリーを製作および試験するための方法は、上記ではActRIIポリペプチドの状況に基づいて記載されているが、そのような方法は、ホリスタチンのバリアントの製作および試験にも関する。ホリスタチンポリペプチドとしては、ホリスタチンポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一であり、必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い同一性の配列を有する任意の公知のホリスタチンの配列に由来するポリペプチドが挙げられる。ホリスタチンポリペプチドの例としては、成熟ホリスタチンポリペプチド、または例えば、国際公開第2005/025601号に記載のようなヒトホリスタチン前駆体ポリペプチド(配列番号44)のより短いアイソフォームまたは他のバリアントが挙げられる。
【0286】
ヒトホリスタチン前駆体ポリペプチドアイソフォームFST344は、以下の通りである:
【化26】
【0287】
シグナルペプチドには下線が引かれており、また、このホリスタチンアイソフォームと、下記に示されているより短いホリスタチンアイソフォームFST317との相違を示すC末端伸長である最後の27個の残基にも、上記で下線が引かれている。
【0288】
ヒトホリスタチン前駆体ポリペプチドアイソフォームFST317は、以下の通りである。
【化27】
【0289】
シグナルペプチドには下線が引かれている。
【0290】
ホリスタチンN末端ドメイン(FSND)配列は、以下の通りである。
【化28】
FSD1およびFSD2の配列は、以下の通りである。
【化29】
【0291】
他の態様では、本明細書で開示された方法に従って使用するためのActRIIアンタゴニストは、ホリスタチン関連のタンパク質3(FSTL3)としても公知のホリスタチン様関連遺伝子(FLRG)である。用語「FLRGポリペプチド」は、FLRGの任意の天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意のバリアント(突然変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のFLRGポリペプチドは、アクチビン活性、特にアクチビンAに結合および/または阻害する。アクチビン結合特性を保持するFLRGポリペプチドのバリアントは、FLRGおよびアクチビン相互作用をアッセイするための日常的な方法を使用して特定することができる(例えば、米国特許第6,537,966号を参照)。加えて、ポリペプチドのライブラリーを製作および試験するための方法は、上記ではActRIIポリペプチドの状況に基づいて記載されているが、そのような方法は、FLRGのバリアントの製作および試験にも関する。FLRGポリペプチドとしては、FLRGポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一であり、必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、97%、99%。またはそれよりも高い同一性の配列を有する任意の公知のFLRGの配列に由来するポリペプチドが挙げられる。
【0292】
ヒトFLRG前駆体(ホリスタチン関連タンパク質3前駆体)ポリペプチドは、以下の通りである。
【化30】
【0293】
シグナルペプチドには下線が引かれている。
【0294】
ある特定の実施形態では、ホリスタチンポリペプチドおよびFLRGポリペプチドの機能的バリアントまたは修飾形態としては、ホリスタチンポリペプチドまたはFLRGポリペプチドの少なくとも部分と、例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化、または多量体化を容易にするドメインなどの少なくとも1つまたは複数の融合ドメインとを有する融合タンパク質が挙げられる。好適な融合ドメインは、ActRIIポリペプチドに関して上記で詳細に考察されている。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合されたホリスタチンポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。別の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合されたFLRGポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。
【0295】
8.スクリーニングアッセイ
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIアンタゴニストである化合物(作用剤)を特定するための、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の使用に関する。他の態様では、本開示は、TGFβアンタゴニストである化合物(作用剤)を特定するための、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンポリペプチドの使用に関する。このスクリーニングにより特定される化合物を試験して、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/またはニューロンなどの組織をモジュレートする能力を評価すること、in vivoまたはin vitroで組織成長をモジュレートする能力を評価することができる。こうした化合物は、例えば、動物モデルで試験することができる。
【0296】
TGFβスーパーファミリーリガンドシグナル伝達(例えば、SMADシグナル伝達)を標的とすることにより組織成長をモジュレートするための治療剤をスクリーニングするための手法は多数存在する。ある特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを実施して、選択された細胞株に対するTGFβスーパーファミリー受容体媒介性効果を妨害する作用剤を特定することができる。ある特定の実施形態では、アッセイを実施して、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンの、例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティを含む結合パートナーへの結合を特異的に阻害または低減する化合物をスクリーニングおよび特定する。あるいは、アッセイを使用して、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンの、リガンドなどの結合パートナーへの結合を増強する化合物を特定することができる。さらなる実施形態では、化合物は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと相互作用する能力により特定することができる。
【0297】
様々なアッセイ形式が十分であり、当業者であれば、本開示に照らして、本明細書に明示的に記載されていないものでも、やはり理解することになるであろう。本明細書に記載されているように、本発明の試験化合物(作用剤)は、任意のコンビナトリアル化学法により生成することができる。あるいは、本主題の化合物は、天然に存在する生体分子であってもよく、in vivoまたはin vitroで合成されてもよい。組織成長のモジュレーターとして作用する能力について試験しようとする化合物(作用剤)は、例えば、細菌、酵母、植物、または他の生物により産生されてもよく(例えば、天然産物)、化学的に生産してもよく(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子)、または組換え的に産生してもよい。本発明により企図される試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子が挙げられる。ある特定の実施形態では、試験剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小有機分子である。
【0298】
本開示の試験化合物は、単一の個別の実体として提供してもよく、またはコンビナトリアルケミストリーにより製作されたものなど、複雑性がより高いライブラリーで提供してもよい。こうしたライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および他のクラスの有機化合物を含んでいてもよい。試験系に対する試験化合物の提示は、特に初期スクリーニングステップでは、化合物の単離形態で、または混合物としてのいずれであってもよい。必要に応じて、化合物は、必要に応じて、他の化合物で誘導体化され、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有していてもよい。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン(digoxygenin)、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビ
ーズ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、光活性化可能な架橋剤、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0299】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多数の薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間に調査する化合物の数を最大化するために、ハイスループットアッセイが望ましい。迅速な開発、および試験化合物により媒介される分子標的における変更の比較的容易な検出を可能にするように生成することができる点で、精製または半精製タンパク質を用いて得ることができるものなどの無細胞系で実施されるアッセイが、「一次」スクリーニングとして好ましいことが多い。さらに、試験化合物の細胞傷害性または生物学的利用能の影響は、一般に、in vitro系では無視することができ、その代わり、アッセイでは、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと、例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティを含む結合パートナーとの結合親和性の変更として顕在化する場合がある、分子標的に対する薬物の効果に主眼がおかれる。
【0300】
例示のために過ぎないが、本開示の例示的なスクリーニングアッセイでは、目的の化合物を、通常はTGFβスーパーファミリーリガンドに結合することが可能な単離および精製ALK4:ActRIIBヘテロ多量体と、アッセイの意図に見合うように接触させる。その後、化合物およびALK4:ActRIIBヘテロ多量体の混合物を、適切なリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびレフティ)を含む組成物に添加する。ヘテロ多量体-スーパーファミリーリガンド複合体の検出および定量化は、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体とその結合タンパク質との複合体形成の阻害(または強化)に対する化合物の有効性を決定するための手段を提供する。化合物の有効性は、種々の濃度の試験化合物を使用して得られるデータから用量応答曲線を作成することにより評価することができる。さらに、対照アッセイを実施して、比較のためにベースラインを提供することもできる。例えば、対照アッセイでは、単離および精製リガンドを、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体を含む組成物に添加し、ヘテロ多量体-リガンド複合体の形成を、試験化合物の非存在下で定量化する。一般に、反応物を混合することができる順序は様々であってもよく、同時に混合してもよいことが理解されるであろう。さらに、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物を使用して、好適な無細胞アッセイ系を実現してもよい。
【0301】
ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンの、別のタンパク質への結合は、様々な技法により検出することができる。例えば、複合体の形成のモジュレーションは、例えば、放射性標識された(例えば、32P、35S、14C、またはH)、蛍光標識された(例えば、FITC)、または酵素標識されたActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカン、および/または結合タンパク質などの検出可能な標識タンパク質を使用してイムノアッセイにより、またはクロマトグラフィー検出により、定量化することができる。
【0302】
ある特定の実施形態では、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと結合タンパク質との相互作用の度合いが直接的または間接的のいずれかで測定される蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、光導波路(PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、および表面力センサー(surface force sensor)に基づくものなど、他の検出モードが、本開示の多数の実施形態に適合する。
【0303】
さらに、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと結合パートナーとの相互作用を妨害または強化する作用剤を特定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用トラップアッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993年)Cell 72巻:223~232頁;Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻
:12046~12054頁;Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920
~924頁;およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693~1696頁を参照されたい。具体的な実施形態では、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと結合タンパク質との相互作用を解離させる化合物(例えば、低分子またはペプチド)を特定するための逆ツーハイブリッド系の使用を企図する[VidalおよびLegrain、(1999年)Nucleic Acids Res 2
7巻:919~29頁;VidalおよびLegrain、(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374~81頁;ならびに米国特許第5,525,490号;第5,955,280号;および第5,965,368号]。
【0304】
ある特定の実施形態では、本主題の化合物は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンと相互作用する能力により特定される。化合物と、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンとの相互作用は、共有結合であってもよく、または非共有結合であってもよい。例えば、そのような相互作用は、タンパク質レベルでは、光架橋、放射性標識リガンド結合、および親和性クロマトグラフィーを含む、in vitro生化学法を使用して特定することができる[Jakoby WBら(1974年)Methods in Enzymology
46巻:1頁]。ある特定の場合では、化合物は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンに結合する化合物を検出するためのアッセイなど、機序に基づくアッセイでスクリーニングすることができる。これは、固相または流体相の結合事象を含んでいてもよい。あるいは、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体、TGFβRIIポリペプチド、ALK5ポリペプチド、および/またはベータグリカンをコードする遺伝子を、レポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)と共に、細胞にトランスフェクトし、好ましくはハイスループットスクリーニングにより、ライブラリーに対して、またはライブラリーの個々のメンバーを用いてスクリーニングしてもよい。他の機序に基づく結合アッセイ、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを使用してもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズ、またはチップに固定されているか、または固定された抗体により捕捉されているか、またはキャピラリー電気泳動により分離された標的を用いて実施することができる。結合した化合物は、通常、比色定量エンドポイントまたは蛍光もしくは表面プラズモン共鳴を使用して検出することができる。
【0305】
9.例示的な治療使用
本明細書に記載されているように、ActRIIアンタゴニスト(阻害剤)およびTGFβアンタゴニストは、単独でまたは組合せで、がん患者の腫瘍負荷減少および生存期間増加に驚くべき効果を示すことが発見された。したがって、本開示は、部分的には、ActRIIアンタゴニストおよびTGFβアンタゴニストを、単独でまたは組み合わせて、必要に応じて、1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、がんを処置するための、特にがんの1つまたは複数の合併症を処置または予防するための(例えば、腫瘍負荷を低減するための)方法を提供する。加えて、データは、ActRIIおよびTGFβアンタゴニスト療法の有効性が、免疫系に依存することを示す。したがって、部分的には、本開示は、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストを、単独でまたは組み合わせて、免疫療法剤として使用して、特に、幅広く様々ながん(例えば、免疫抑制および/または免疫疲弊に関連するがん)を処置することができるという発見に関する。他の公知の免疫腫瘍学的作用剤と同様に、ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストが患者の免疫応答を強化する能力は、がん分野以外でもより幅広い治療的意義を有する場合がある。例えば、免疫強化剤が、幅広く様々な感染性疾患、特に免疫抑制および/または免疫疲弊を促進する病原性因子の処置に有用であり得ることが提案されている。また、そのような免疫強化剤は、ワクチン(例えば、病原体およびがんワクチン)の免疫化有効性のブーストに有用であり得る。したがって、本開示は、単独でまたは組み合わせて、必要に応じて1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と共に使用して、それを必要とする対象の免疫応答を増加させ、がんを処置し、感染性疾患を処置し、および/またはワクチン接種/免疫化有効性を増加させることができる種々のActRIIおよびTGFβアンタゴニストを提供する。
【0306】
本明細書で記載および特許請求されている方法ならびにActRIIおよびTGFβアンタゴニストを、単独でまたは組み合わせて使用して、悪性または前がん性状態を処置することができ、限定ではないが、本明細書に記載されている障害を含む、新生物性または悪性状態への進行を予防することができる。そのような使用は、新生物またはがんへの進行が進み、特に、過形成、化生、またはもっとも著しくは形成異常からなる非新生物性細胞成長が生じることが知られているかまたは疑われる状態に適用される。
【0307】
本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防」する治療剤は、統計学的試料において、未処置対照試料と比較して、処置試料での障害または状態の発生を低減するか、または未処置対照試料と比較して、障害または状態の1つまたは複数の症状の発症を遅延するかまたは重症度を低減する化合物を指す。
【0308】
用語「処置すること」は、本明細書で使用される場合、それが確立された後の状態の軽快または解消を含む。いずれの場合でも、予防または処置は、医師または他の医療従事者、および治療剤の投与の意図されている結果により提供される診断の際に見極めることができる。
【0309】
一般に、本開示に記載されている疾患または状態の処置または予防は、ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストの1つまたは複数を有効量で投与することにより達成される。作用剤の有効量は、投薬量および所要期間で所望の治療または予防結果を達成するために有効な量を指す。本開示の作用剤の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに個体において所望の応答を誘発する作用剤の能力に応じて、さまざまであってもよい。予防有効量は、投薬量および所要期間で所望の予防結果を達成するために有効な量を指す。
【0310】
一般に、「腫瘍」は、良性および悪性がんならびに潜伏腫瘍を指す。一般に、「がん」は、一次悪性細胞または腫瘍(例えば、その細胞が、元の悪性腫瘍または腫瘍の部位以外の対象の体内の部位に遊走していないもの)、および二次悪性細胞または腫瘍(例えば、転移、つまり悪性細胞または腫瘍細胞が、元の腫瘍の部位とは異なる二次部位へと遊走することから生じるもの)を指す。転移は、局所的である場合もあり、または離れている場合もある。転移は、具体的な症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、血液および血小板数、肝機能検査、胸部X線、骨スキャン、およびそれらの組合せを、単独でまたは組み合わせて使用することにより検出されることが最も多い。
【0311】
一般に、免疫応答は、刺激に対する、B細胞、T細胞(CD4またはCD8)、調節性T細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、NKT細胞、NK細胞、好塩基球、好酸球、または好中球などの、免疫系の細胞による応答を指す。一部の実施形態では、応答は、特定の抗原に特異的であり(「抗原特異的応答」)、それらの抗原特異的受容体を介したCD4 T細胞、CD8 T細胞、またはB細胞による応答を指す。一部の実施形態では、免疫応答は、CD4+応答またはCD8+応答などのT細胞応答である。こうした細胞によるそのような応答としては、例えば、細胞傷害、増殖、サイトカインもしくはケモカイン産生、輸送、またはファゴサイトーシスを挙げることができ、応答を起こす免疫細胞の性質に依存する場合がある。免疫応答は、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は、正常な細胞もしくは組織を選択的に標的とし、結合し、損傷し、破壊し、および/または体内からの排除をもたらすことができる。
【0312】
宿主免疫応答の免疫抑制は、持続性感染および腫瘍免疫抑制など、様々な慢性免疫状態に役割を果たす。本明細書で使用される場合、免疫系に関する「不応答性」または「機能的疲弊」は、一般に、活性化受容体またはサイトカインによる刺激などの刺激に対する、免疫細胞の不応性(refractivity)を指す。不応答性は、例えば、免疫抑制剤への曝露、高用量または継続用量の抗原への曝露のため、またはPD-1もしくはTIM-3などの阻害剤受容体の活性により生じる場合がある。本明細書で使用される場合、用語「不応答性」は、活性化刺激に対する不応性を含む。そのような不応性は、一般に、抗原特異的であり、抗原への曝露が途絶えた後も持続する。不応答性免疫細胞は、同じタイプの対応する対照免疫細胞と比べて、細胞傷害活性、サイトカイン産生、増殖、輸送、ファゴサイトーシス活性、またはそれらの任意の組合せの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはさらに100%の低減を示す場合がある。
【0313】
一般に、免疫療法は、免疫応答を誘導、増強、抑制、またはそうでなければ修飾することを含む方法により、疾患に罹患しているか、または罹るリスクがあるか、または再発を被っている対象を処置することを指す。
【0314】
一般に、免疫応答の強化は、対象の既存の免疫応答の有効性または効力を活性化または増加させることを指す。有効性および効力のこうした活性化または増加は、例えば、内因性宿主免疫応答を抑制する機序を克服することにより、または内因性宿主免疫応答を活性化/増強する機序を刺激することにより達成することができる。
【0315】
本開示のActRIIおよびTGFβアンタゴニストは、単独でまたは組み合わせて、これらに限定されないが、以下のものを含む、種々の形態のがんの処置に使用することができる:膀胱、胸腺、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、頚部、膵臓、直腸、前立腺、胃、表皮のがん;リンパ系統または骨髄系統の造血器腫瘍;線維肉腫または横紋筋肉腫などの間葉由来の腫瘍;黒色腫、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、腺癌、および非小肺細胞癌腫などの他の腫瘍タイプ。がんの例としては、これらに限定されないが、癌腫、リンパ腫、神経膠芽腫、黒色腫、肉腫、および白血病、ミエローマ、またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。そのようながんのより特定の例は下記に示されており、以下のものが挙げられる:扁平上皮がん(例えば、上皮扁平上皮がん)、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、および肺扁平上皮癌を含む肺がん、腹膜のがん、肝細胞がん、消化管がんを含む胃部または胃がん、膵臓がん、多形性神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、ヘパトーマ、肝細胞癌、神経内分泌腫瘍、髄様甲状腺がん、分化甲状腺癌、乳がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮癌、唾液腺癌、腎臓がんまたは腎がん、前立腺がん、外陰がん、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頸部がん。
【0316】
がんまたは悪性腫瘍の他の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:急性幼年期リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)、急性リンパ性白血病(Acute Lymphocytic Leukemia)、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞がん、成人(原発性)肝臓がん、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓がん、成人軟組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門がん、星状細胞腫、胆管がん、骨がん、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳がん、腎盂および尿管のがん、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸がん、幼年期(原発性)肝細胞がん、幼年期(原発性)肝臓がん、幼年期急性リンパ性白血病、幼年期急性骨髄性白血病、幼年期脳幹神経膠腫、幼年期小脳星細胞腫、幼年期大脳星状細胞腫、幼年期頭蓋外胚細胞腫瘍、幼年期ホジキン病、幼年期ホジキンリンパ腫、幼年期視床下部および視路膠腫、幼年期リンパ芽球性白血病、幼年期髄芽細胞腫、幼年期非ホジキンリンパ腫、幼年期松果体およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、幼年期原発性肝臓がん、幼年期横紋筋肉腫、幼年期軟部組織肉腫、幼年期視路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、悪性皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌、子宮内膜がん、脳室上衣細胞腫、上皮がん、食道がん、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌がん、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管がん、眼がん、女性乳がん、ゴーシェ病、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、毛様細胞性白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭がん、腸がん、眼球内黒色腫、島細胞癌、島細胞膵臓がん、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん、口唇および口腔がん、肝臓がん、肺がん、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性乳がん、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、転移性潜在性原発性扁平上皮頚部がん、転移性原発性扁平上皮頚部がん、転移性扁平上皮頚部がん、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄白血病、骨髄増殖性障害、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、潜在性原発性転移性扁平上皮頚部がん、口腔咽頭がん、骨肉腫/悪性繊維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、低悪性度卵巣腫瘍、膵臓がん、パラプロテイン血症、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂および尿管がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮頚部がん、胃がん、テント上原発性神経外胚葉および松果体部腫瘍、T細胞性リンパ腫、精巣がん、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂および尿管移行細胞がん、移行性腎盂および尿管がん、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂細胞がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、視路および視床下部神経膠腫、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、ならびに上記に列挙されている臓器系に位置する、新生物に加えて、任意の他の過剰増殖性疾患。
【0317】
形成異常は、がんの前兆であることが多く、主に上皮に見出される。それは、個々の細胞均一性および細胞の構築配向性の喪失を含む、非新生物性細胞成長の最も無秩序な形態である。特徴的には、慢性刺激または炎症が存在する場合に形成異常が生じる。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストを、必要に応じて1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、形成異常障害を処置することができる。形成異常障害としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:無汗性外胚葉性形成異常、前後形成異常、窒息性胸郭形成異常、心房指形成異常、気管支肺異形成症、大脳形成異常、子宮頸部形成異常、軟骨外胚葉性形成異常、鎖骨頭蓋骨形成異常、先天性外胚葉性形成異常、頭蓋骨幹形成異常、頭蓋手根足根骨形成異常、頭蓋骨幹端形成異常、象牙質形成異常、骨幹形成異常、外胚葉性形成異常、エナメル形成異常、脳眼形成異常、骨端半肢形成異常、多発性骨端形成異常、点状骨端形成異常、上皮性形成異常、顔面指趾生殖器形成異常、家族性顎骨線維性形成異常、家族性白色襞性形成異常、線維筋性形成異常、線維性骨形成異常、開花性骨形成異常(florid osseous dysplasia)、遺伝性腎網膜形成異常、発汗性外胚葉形成異常、発汗減少性外胚葉性形成異常、リンパ球減少性胸腺形成異常、乳腺形成異常、下顎顔面形成異常、骨幹端形成異常、モンディーニ型内耳形成異常、単骨性線維性形成異常、粘膜上皮形成異常、多発性骨端形成異常、眼耳脊椎形成異常、眼歯指形成異常、眼脊椎異形成、歯牙形成異常、眼下顎形成異常(opthalmomandibulomelic dysplasia)、根尖性セメント質形成異常、多骨性線維性骨形成異常、偽
軟骨発育不全脊椎骨端形成異常、網膜形成異常、中隔視神経形成異常、脊椎骨端形成異常、および心室橈骨形成異常。
【0318】
必要に応じて、1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と組み合わせて、ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストで処置することができる追加の前新生物性障害としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:良性増殖異常障害(例えば、良性腫瘍、繊維嚢胞性状態、組織肥大、腸管ポリープまたは腺腫、および食道形成異常)、白斑症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎、および日光角化症。
【0319】
必要に応じて、1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤と組み合わせて、ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストで処置することができる追加の過剰増殖性疾患、障害、および/または状態としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病を含む)を含む)および慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)を含む)、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病などの悪性腫瘍および関連障害の進行および/または転移、ならびにこれらに限定されないが、以下のものを含む固形腫瘍:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫(emangioblastoma)、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜
腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫などの、肉腫および癌腫。
【0320】
ある特定の態様では、細胞傷害剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、免疫調節剤、抗生物質、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ケモカイン、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、または他の活性剤などのがん治療剤を、1つまたは複数のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストと組み合わせて使用することができる。有用な薬物は、例えば、抗有糸分裂剤、抗キナーゼ剤、アルキル化剤、抗代謝剤、抗生物質、アルカロイド、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、およびそれらの組合せから選択される医薬品特性を有していてもよい。
【0321】
本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」、「共投与」、「共に」は、追加の治療(例えば、第2の、第3の、第4のなど)が、体内で依然として有効であるような(例えば、複数の化合物は、患者において同時に有効であり、こうした化合物の相乗効果を含むことができる)、投与の任意の形態を指す。有効性は、血液、血清、または血漿中の作用剤の測定可能な濃度に相関しない場合がある。例えば、異なる治療化合物を、同じ製剤中でまたは別々の製剤中でのいずれかで、同時にまたは連続的のいずれかで、異なるスケジュールで投与してもよい。したがって、そのような処置を受ける個体は、異なる治療の併用効果から利益を得ることができる。本開示の1つまたは複数のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、1つまたは複数の他の追加の作用剤および/または支持療法と同時に、その前に、またはその後に投与してもよい。一般に、各治療剤は、その特定の作用剤のために決定された用量および/または時間スケジュールで投与されることになる。レジメンに使用される特定の組合せは、本開示のアンタゴニストと、療法および/または所望のものとの適合性を考慮に入れることになる。
【0322】
有用な例示的な薬物としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:フルオロウラシル、アファチニブ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アントラサイクリン、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、AVL-101、AVL-291、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ビカルタミド、ブリオスタチン-1、ブスルファン、カペシタビン、カリケアマイシン(calicheamycin)、カンプトテシン、カルボプラチン、10-ヒドロキシカンプトテシ
ン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox-2阻害剤、イリノテカン(CPT-11)、SN-38、クラドリビン、カンプトテシン(camptothecan)、クリゾチニブ、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シプロテロン、クロドロネート、ダカルバジン、ダサチニブ、ジエネストロール、ジナシクリブ、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン(2P-DOX)、シアノ-モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エルロチニブ、エストラムスチン、エピポドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、エルロチニブ、エンチノスタット、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、エキセメスタン、フィルグラスチム、フィンゴリモド、フロクスウリジン(FUdR)、フルオキシメステロン、3’,5’-O-ジオレオイル-FudR(FUdR-dO)、フルドロコルチゾン、フルダラビン、フルタミド、ゴセレリン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、フラボピリドール、フォスタマチニブ、ガネテスピブ、GDC-0834、GS-1101、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イブルチニブ、イダルビシン、レバミソール、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、レトロゾール、アスパラギナーゼ、ロイプロリド、ラパチニブ、レナリドミド(lenolidamide)、ロイコボリン、イリノテカン(ironotecan)、LFM-A13、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6-メルカプトプリン、メゲストロール、メトトレキサート、ミトキサントロン、ニルタミド、ミトラマイシン、ミトマイシン、ノコダゾール、オクトレオチド、ミトタン、ナベルビン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニトロソウレア(nitrosurea)、オラパリブ、プリカマイシン(plicomycin)、プロカルバジン、パクリタキセル、オキサリプラチン、PCI-32765、ペントスタチン、プリカマイシン、PSI-341、ラロキシフェン、セムスチン、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、タモキシフェン、ポルフィマー、テモゾロミド、メスナ、テモゾロミド(temazolomide)(DTICの水性形態)、トランス白金(transplatinum)、サリドマイド、チオグアニン、ラル
チトレキセド、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、バタラニブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、リツキシマブ、パミドロネート、ビンクリスチン、ビンカアルカロイド、およびZD1839。
【0323】
有用な毒素としては、以下のものを挙げることができる:リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、例えば、オンコナーゼ、DNaseI、ブドウ球菌腸毒素A、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素。
【0324】
有用なケモカインとしては、RANTES、MCAF、MIP1-アルファ、MIP1-ベータ、およびIP-10を挙げることができる。
【0325】
ある特定の実施形態では、アンギオスタチン、バキュロスタチン(baculostatin)、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗PlGFペプチドおよび抗体、抗血管増殖因子抗体、抗Flk-1抗体、抗Flt-1抗体およびペプチド、抗Kras抗体、抗cMET抗体、抗MIF(マクロファージ遊走阻害因子)抗体、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン-12、IP-10、Gro-ベータ、トロンボスポンジン、2-メトキシエストラジオール(2-methoxyoestradiol)、プロリフェリ
ン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール(carboxiamidotriazole)、CM101、マリマスタット、ペントサンポリスルフェート、アンジオポエチン-2、インターフェロン-アルファ、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチン断片、リノミド(ロキニメックス)、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP-470、エンドスタチン、パクリタキセル、accutin、アンギオスタチン、シドホビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM-1470、血小板第4因子、ALK1ポリペプチド(例えば、ダランテルセプト(dalantercept))、またはミノサイクリンなどの抗血管新生剤が、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと組み合わせて使用するために有用であり得る。
【0326】
有用な免疫調節剤は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、およびそれらの組合せから選択することができる。具体的には、腫瘍壊死因子(TNF)などのリンホトキシン、インターロイキン(IL)などの造血因子、果粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などのコロニー刺激因子、インターフェロン-アルファ、-ベータ、または-ラムダなどのインターフェロン、および「S1因子」と呼ばれるものなどの幹細胞増殖因子が有用である。サイトカインの中には、以下のものが含まれる:ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝臓増殖因子;プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン、OBタンパク質;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;ミューラー管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-ベータなどの神経成長因子;血小板増殖因子;TGF-アルファおよびTGFβなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン-アルファ、-ベータ、および-ガンマなどのインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1-アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21、IL-25、LIF、kit-リガンド、またはFLT-3などのインターロイキン(IL)、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子、ならびにLT。
【0327】
有用な放射性核種としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:111In、177Lu、212Bi、213Bi、211At、62Cu、67Cu、90Y、125I、131I、32P、33P、47Sc、111Ag、67Ga、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、186Re、188Re、189Re、212Pb、223Ra、225Ac、59Fe、75Se、77As、89Sr、99Mo、105Rh、109Pd、143Pr、149Pm、169Er、194Ir、198Au、199Au、211Pb、および227Th。治療用放射性核種は、好ましくは20~6,000keVの範囲の、好ましくは、オージェ放射体の場合は60~200keVの、ベータ放射体の場合は100~2,500keVの、およびアルファ放射体の場合は4,000~6,000keVの範囲の崩壊エネルギーを有する。有用なベータ粒子放射核種の最大崩壊エネルギーは、好ましくは20~5,000keV、より好ましくは100~4,000keV、および最も好ましくは500~2,500keVである。また、崩壊して実質的にオージェ放射粒子をもたらす放射性核種が好ましい。例えば、Co-58、Ga-67、Br-80m、Tc-99m、Rh-103m、Pt-109、In-111、Sb-119、1-125、Ho-161、Os-189m、およびIr-192。有用なベータ粒子放射核種の崩壊エネルギーは、好ましくは<1,000keV、より好ましくは<100keV、および最も好ましくは<70keVである。また、崩壊して実質的にアルファ粒子を発生させる放射性核種が好ましい。そのような放射性核種としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Dy-152、At-211、Bi-212、Ra-223、Rn-219、Po-215、Bi-211、Ac-225、Fr-221、At-217、Bi-213、Th-227、およびFm-255。有用なアルファ粒子放射放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000~10,000keV、より好ましくは3,000~8,000keV、および最も好ましくは4,000~7,000keVである。有用な追加の考え得る放射性同位体としては、以下のものが挙げられる:11C、13N、15O、75Br、198Au、224Ac、126I、133I、103Ru、105Ru、107Hg、203Hg、121mTe、122mTe、125mTe、165Tm、167Tm、77Br、113mIn、95Ru、97Ru、168Tm、197Pt、109Pd、105Rh、142Pr、143Pr、161Tb、166Ho、199Au、57Co、58Co、51Cr、59Fe、75Se、201Tl、225Ac、76Br、および169Yb。
【0328】
一部の実施形態では、ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、少なくとも1つのアルキル化剤、ニトロソ尿素、抗代謝剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、アントラサイクリン、コルチコステロイドホルモン、性ホルモン、および/または標的化抗腫瘍化合物と組み合わせて使用される。
【0329】
標的化抗腫瘍化合物は、標準的化学療法薬よりも特異的にがん細胞を攻撃するように設計されている薬物である。こうした化合物のほとんどは、ある特定の遺伝子の突然変異を内包する細胞、またはそうした遺伝子のコピーを過剰発現する細胞を攻撃する。一実施形態では、抗腫瘍化合物は、イマチニブ(Gleevec)、ゲフィチニブ(Iressa)、エルロチニブ(Tarceva)、リツキシマブ(Rituxan)、またはベバシズマブ(Avastin)であってもよい。
【0330】
アルキル化剤は、DNAに直接作用して、がん細胞の増幅を防止する。こうした作用剤は、細胞周期の任意の特定の期に特異的ではない。一実施形態では、アルキル化剤は、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、およびテモゾロミドから選択することができる。
【0331】
抗代謝剤は、DNAおよびRNA合成に干渉する薬物のクラスを構成する。こうした作用剤は、細胞周期のS期中に作用し、白血病、乳腺、卵巣、および消化管の腫瘍、ならびに他のがんを処置するために一般に使用されている。一実施形態では、抗代謝剤は、5-フルオロウラシル、カペシタビン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)、フルダラビン、またはペメトレキセドであってもよい。
【0332】
トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA複製において重要なトポイソメラーゼ酵素に干渉する薬物である。トポイソメラーゼI阻害剤の一部の例としては、トポテカンおよびイリノテカンが挙げられ、トポイソメラーゼII阻害剤の一部の代表的な例としては、エトポシド(VP-16)およびテニポシドが挙げられる。
【0333】
アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素にも干渉する化学療法薬である。こうした作用剤は、細胞周期のすべての期で作用するため、様々ながんの処置として広く使用されている。一実施形態では、本発明に関して使用されるアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、またはミトキサントロンであってもよい。
【0334】
腫瘍は、特に、腫瘍抗原に特異的なT細胞において、ある特定の免疫チェックポイント経路を利用することにより免疫監視を回避することができる(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer、12巻:252~264頁)。がん治療にチェックポイント阻害剤抗体を用いた研究は、以前はがん処置に抵抗性であると考えられていたがん処置に成功している(例えば、OttおよびBhardwaj、2013年、Frontiers in Immunology 4巻:346頁;MenziesおよびLong、2013年、Ther Adv Med Oncol 5巻:278~85頁;Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252~64頁;MavilioおよびLugliを参照)。大多数の抗がん剤とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、免疫系の内因性抗腫瘍活性を増強するために、腫瘍細胞を直接標的とせず、むしろリンパ球受容体またはそれらのリガンドを標的とする(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252~264頁)。そのような阻害剤は、主に免疫応答を調節することにより、疾患細胞、組織、または病原体に作用するため、本主題のActRIIおよび/もしくはTGFβアンタゴニスト、ADC、ならびに/またはそのような作用剤の抗腫瘍効果を増強するインターフェロンなどの、他の治療モダリティと組み合わせて使用することができる。
【0335】
抗PD1抗体は、黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、三種陰性乳がん、白血病、リンパ腫、および腎細胞がんの処置に使用されている(Topalianら、2012年、N Engl J Med 366巻:2443~54頁;Lipson
ら、2013年、Clin Cancer Res 19巻:462~8頁;Bergerら、2008年、Clin Cancer Res 14巻:3044~51頁;Gildener-Leapmanら、2013年、Oral
Oncol 49巻:1089~96頁;MenziesおよびLong、2013年、Ther Adv Med
Oncol 5巻:278~85頁)。例示的な抗PD1抗体としては、ランブロリズマブ
(MK-3475、MERCK)、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb)、AMP-224(Merck)、およびピディリズマブ(CT-011、Curetech Ltd.)が挙げられる。抗PD1抗体は、例えば、ABCAM(AB137132)、Biolegend(EH12.2H7、RMP1-14)、およびAffymetrix Ebioscience(J105、J116、MIH4)から商業的に入手可能である。
【0336】
抗CTL4A抗体は、黒色腫、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がんの処置の臨床試験に使用されている(RobertおよびGhiringhelli、2009年、Oncologist 14巻:848~61頁;Ottら、2013年、Clin Cancer Res 19巻:5300頁;Weber、2007年、Oncologist 12巻:864~72頁;Wadaら、2013年、J Transl
Med 11巻:89頁)。例示的な抗CTLA4抗体としては、イピリムマブ(Bri
stol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)が挙げられる。抗PD1抗体は、例えば、ABCAM(AB134090)、Sino Biological Inc.(11159-H03H、11159-H08H)、およびThermo Scientific Pierce(PA5-29572、PA5-23967、PA5-26465、MA1-12205、MA1-35914)から商業的に入手可能である。イピリムマブは、最近、転移性黒色腫の処置がFDA承認された(Wadaら、2013年、J Transl Med 11巻:89頁)。
【0337】
CTLA4、PD1、およびPD-L1に対するチェックポイント阻害剤は、臨床的に最も進んでいるが、LAG3、B7-H3、B7-H4、およびTIM3など、他の有望なチェックポイント抗原が公知であり、本主題のActRIIアンタゴニストと組み合わせた治療阻害剤の標的として使用することができる(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252~264頁)。腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を刺激するこれらのおよび他の公知の作用剤は、ActRIIaアンタゴニスト単独と組み合わせて使用してもよく、さらにインターフェロン-アルファなどのインターフェロンおよび/またはがん治療を向上させるための抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用してもよい。組み合わせて使用することができる他の公知の共刺激経路モジュレーターとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:アガトリモド、ベラタセプト、ブリナツモマブ、CD40リガンド、抗B7-1抗体、抗B7-2抗体、抗B7-H4抗体、AG4263、エリトラン、抗OX40抗体、ISF-154、およびSGN-70;B7-1、B7-2、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD48、LFA-3、CD30リガンド、CD40リガンド、熱安定抗原、B7h、OX40リガンド、LIGHT、CD70、およびCD24。
【0338】
治療剤としては、光活性剤または色素を挙げることができる。蛍光色素などの蛍光組成物、および可視光線に感受性のポルフィリンなどの他の色原体または色素は、好適な光を病変に向けることにより病変を検出および処置するために使用されている。治療の場合、これは、光放射線治療、光線治療、または光線力学療法と名付けられている。Joniら(編)、PHOTODYNAMIC THERAPY OF TUMORS AND OTHER DISEASES (Libreria Progetto
1985年);van den Bergh、Chem. Britain(1986年)、22巻:430頁を参照されたい。さらに、光線治療を達成するために、モノクローナル抗体が、光活性化色素とカップリングされている。Mewら、J. Immunol.(1983年)、130巻:147
3頁;idem.、Cancer Res.(1985年)、45巻:4380頁;Oseroffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1986年)、83巻:8744頁;idem.、Photochem. Photobiol.(1987年)、46巻:83頁;Hasanら、Prog. Clin. Biol. Res.(19
89年)、288巻:471頁;Tatsutaら、Lasers Surg. Med.(1989年)、9巻:422頁;Pelegrinら、Cancer(1991年)、67巻:2529頁を参照されたい。
【0339】
他の有用な治療剤は、オリゴヌクレオチド、特に、好ましくはbcl-2またはp53などのオンコジーンおよびオンコジーン産物に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。治療用オリゴヌクレオチドの好ましい形態は、siRNAである。当業者であれば、任意のsiRNAまたは干渉RNA種を、標的組織への送達のために抗体またはその断片に付着させることができることを理解するであろう。幅広く様々な標的に対する多数のsiRNA種が、当技術分野で公知であり、任意のそのような公知のsiRNAを、本特許請求の方法および組成物に利用することができる。
【0340】
潜在的に有用な公知のsiRNA種としては、以下のものに特異的なものが挙げられる:IKK-ガンマ(米国特許第7,022,828号);VEGF、Flt-1、およびFlk-1/KDR(米国特許第7,148,342号);Bcl2およびEGFR(米国特許第7,541,453号);CDC20(米国特許第7,550,572号);トランスデューシン(ベータ)様3(米国特許第7,576,196号);KRAS(米国特許第7,576,197号);炭酸脱水酵素II(米国特許第7,579,457号);補体成分3(米国特許第7,582,746号);インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)(米国特許第7,592,443号);サバイビン(米国特許第7,608,7070号);スーパーオキシドジスムターゼ1(米国特許第7,632,938号);METプロトオンコジーン(米国特許第7,632,939号);アミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)(米国特許第7,635,771号);IGF-1R(米国特許第7,638,621号);ICAM1(米国特許第7,642,349号);補体因子B(米国特許第7,696,344号);p53(米国特許第7,781,575号)、およびアポリポタンパク質B(米国特許第7,795,421号)。各参照特許の実施例セクションは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0341】
追加のsiRNA種は、多数の他のものの中でも、Sigma-Aldrich(St
Louis、Mo.)、Invitrogen(Carlsbad、Calif.)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、Calif.)、Ambion(Austin、Tex.)、Dharmacon(Thermo
Scientific、Lafayette、Colo.)、Promega(Madison、Wis.)、Mirus Bio(Madison、Wis.)、およびQiagen(Valencia、Calif.)など、公知の商業的供給源から入手可能である。siRNA種の他の公的に利用可能な供給源としては、ストックホルムバイオインフォマティクスセンターのsiRNAdbデータベース、MIT/ICBP siRNAデータベース、Broad研究所のRNAiコンソーシアムshRNAライブラリー、およびNCBIのプローブデータベースが挙げられる。例えば、NCBIプローブデータベースには、30,852個のsiRNA種が存在する。当業者であれば、任意の目的の遺伝子に対するsiRNA種は既に設計されているか、または公的に利用可能なソフトウェアツールを使用して容易に設計することができるかのいずれかであることを理解するであろう。任意のそのようなsiRNA種は、本主題のDNL(商標)複合体を使用して送達することができる。
【0342】
ActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニスト免疫療法は、ワクチン接種プロトコールと組み合わせると、より有効であり得る。腫瘍に対するワクチン接種は多数の実験戦略が考案されている(Rosenberg, S.、2000年、Development of Cancer Vaccines、ASCO Educational Book Spring:60~62頁;Logothetis, C、2000年、ASCO Educational Book Spring:300~302頁;Khayat, D. 2000年、ASCO
Educational Book Spring:414~428頁;Foon, K. 2000年、ASCO Educational Book Spring:730~738頁を参照;また、DeVita, V.ら(編)、1997年、Cancer: Principles and Practice of Oncology.第5版のRestifo, N.およびSznol, M.、Cancer Vaccines、61章、3023~3043頁を参照)。こうした戦略の1つでは、ワクチンは、自家または同種異系間腫瘍細胞を使用して調製される。こうした細胞性ワクチンは、腫瘍細胞がGM-CSFを発現するように形質導入されている場合、有効性を増加させることが示されている(Dranoffら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 90巻:3539~43頁)。したがって、一部の実施形態では、
1つまたは複数のActRIIアンタゴニストは、がん性細胞、精製腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、および炭水化物分子を含む)、細胞、および免疫刺激性サイトカインをコードする遺伝子がトランスフェクトされた細胞などの、免疫原性因子と組み合わせることができる(Heら(2004年)J. Immunol. 173巻:4919~28頁)。使用することができる腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MART1、および/またはチロシナーゼのペプチドなどの黒色腫抗原のペプチド、またはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる。
【0343】
種々の腫瘍における遺伝子発現および大規模遺伝子発現パターンに関する研究は、いわゆる腫瘍特異的抗原の明確化に結び付いている(Rosenberg, S A(1999年)Immunity 10巻:281~7頁)。多くの場合、こうした腫瘍特異的抗原は、腫瘍で、および腫瘍が発生した細胞で発現される分化抗原、例えば、メラノサイト抗原gp100、MAGE抗原、およびTrp-2である。より重要なことには、こうした抗原の多くは、宿主に見出される腫瘍特異的T細胞の標的であることが示されている場合がある。PD-L1遮断は、こうしたタンパク質に対する免疫応答を発生させるために、腫瘍で発現される組換えタンパク質および/またはペプチドのコレクションと共に使用することができる。こうしたタンパク質は、通常、免疫系により自己抗原とみなされるため、見逃される。また、腫瘍抗原は、染色体のテロメアの合成に必要であり、85%よりも多くのヒトがんで発現され、限定的な数の体細胞組織でのみ発現されるタンパク質テロメラーゼを含んでいてもよい(Kim, Nら(1994年)Science 266巻:2011~2013頁)。こうした体細胞組織は、種々の手段により免疫攻撃から防御することができる。また、腫瘍抗原は、タンパク質配列を変更するかもしくは2つの無関係な配列(例えば、フィラデルフィア染色体のber-abl)間の融合タンパク質を生成する体細胞突然変異のためがん細胞で、またはB細胞腫瘍に由来するイディオタイプで発現される「ネオ抗原」であってもよい。
【0344】
他の腫瘍ワクチンとしては、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)、およびカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)などのヒトがんに関与が示唆されるウイルスに由来するタンパク質が挙げられる。ActRIIアンタゴニスト療法と共に使用することができる腫瘍特異的抗原の別の形態は、腫瘍組織自体から単離された精製ヒートショックタンパク質(HSP)である。こうしたヒートショックタンパク質は、腫瘍細胞に由来するタンパク質の断片を含み、こうしたHSPは、腫瘍免疫を誘発するための抗原提示細胞への送達が高度に効率的である(Suot, RおよびSrivastava,
P(1995年)Science 269巻:1585~1588頁;Tamura, Y.ら(199
7年)Science 278巻:117~120頁)。
【0345】
樹状細胞(DC)は、抗原特異的応答を予備刺激するために使用することができる強力な抗原提示細胞である。DCは、ex vivoで産生して、種々のタンパク質およびペプチド抗原ならびに腫瘍細胞抽出物を負荷することができる(Nestle, F.ら(1998
年)Nature Medicine 4巻:328~332頁)。また、DCは、こうした腫瘍抗原を発現する遺伝子手段により形質導入することもできる。また、DCは、免疫化の目的のために腫瘍細胞と直接融合されている(Kugler, A.ら(2000年)Nature Medicine
6巻:332~336頁)。ワクチン接種の方法として、DC免疫化は、より強力な抗腫瘍応答を活性化するために、ActRIIアンタゴニストと有効に組み合わせることができる。
【0346】
本開示の他の方法は、特定の毒素または病原体に曝露されている患者を処置するために使用される。したがって、本開示の別の態様は、対象の感染性疾患(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、または寄生虫感染症)を処置または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の1つまたは複数のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストを投与することを含み、必要に応じて、感染性疾患を処置するための1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤を投与することをさらに含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば、感染性疾患に罹患している対象の内因性免疫応答を強化することにより、対象の感染性疾患を処置するための方法であって、対象に、治療有効量の1つまたは複数のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストを投与することを含み、必要に応じて、感染性疾患を処置するための1つまたは複数の追加の支持療法および/または活性剤を投与することをさらに含む方法を提供する。
【0347】
感染性ウイルスの例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Retroviridae;Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(胃腸炎を引き起こす菌株など);Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronaviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、おたふくかぜウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス);Bungaviridae(例えば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);Arena viridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス(orbiviurs)、およびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnavir
idae(B型肝炎ウイルス);Parvoviridae(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1およびHSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);Poxyiridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviridae(アフリカブタ熱ウイルスなど);および分類不能ウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、デルタ肝炎(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトであると考えられる)の因子、非A型、非B型肝炎(クラス1=内部伝染;クラス2=非経口伝染(つまりC型肝炎))の因子;ノーウォークおよび関連ウイルス、およびアストロウイルス)。本明細書に記載されているActRIIアンタゴニストおよび方法は、こうしたウイルス因子による感染の処置に使用することが企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、必要に応じて1つまたは複数の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、以下のものを含むウイルス感染症を処置または予防するための方法を提供する:例えば、AIDS、AIDS関連症候群、水痘、風邪、ウイルス性気管支炎、サイトメガロウイルス感染症、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、流行性耳下腺炎、「手足口」病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(流感)、ラッサ熱、麻疹、マールブルグ出血熱、伝染性単核症、耳下腺炎、小児麻痺、進行性多巣性白質脳症(leukencephalopathy)、狂犬病、風疹、SARS、天然痘、ウイルス脳炎、ウイルス性胃腸炎、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性肺炎、西ナイル熱、および黄熱病。
【0348】
感染性細菌の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sps(M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonaeなど)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群Streptococcus)、Streptococcus agalactiae(B群Streptococcus)、Streptococcus(ビリダンス群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、pathogenic Campylobacter sp.、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracia、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、およびActinomyces israelli。本明細書に記載されているActRII組成物および方法は、こうした細菌因子による感染症の処置に使用することが企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、必要に応じて1つまたは複数の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、以下のものを含む細菌感染症を処置または予防するための方法を提供する:例えば、炭疽菌、細菌性成人呼吸窮迫症候群、細菌性髄膜炎、ブルセラ症、カンピロバクター症、ネコひっかき病、気管支炎、コレラ、ジフテリア、発疹チフス、淋病、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染症、マイコバクテリア感染、脳膜炎、ノカルジア症、腎炎、糸球体腎炎、歯槽膿漏症、百日咳(百日ぜき)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱(scarlet dever)、細菌性赤痢、梅毒、敗血症性ショック、血行力学的ショック、敗血症症候群、破傷風、トラホーム、結核、野兎病、腸チフス。
【0349】
感染性真菌の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、およびCandida albicans。本明細書に記載されているActRIIアンタゴニストおよび方法は、こうした真菌因子による感染症の処置に使用することが企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、必要に応じて、1つまたは複数の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、例えば、アスペルギルス症、鵞口瘡、クリプトコッカス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、およびヒストプラスマ症を含む真菌感染症を処置または予防するための方法を提供する。
【0350】
感染性寄生虫の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondii、Nippostrongylus brasiliensis。本明細書に記載されているActRIIアンタゴニストおよび方法は、こうした因子による感染症の処置に使用することが企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、必要に応じて1つまたは複数の支持療法および/または活性剤と組み合わせて使用して、以下のものを含む真菌感染症を処置または予防するための方法を提供する:例えば、アフリカトリパノソーマ症、アメーバ症、回虫症、バベシア病、シャガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、包虫症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、自由生活性アメーバ感染症、ジアルジア症、皮膚顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、カラアザール、リーシュマニア症、マラリア、横川吸虫症、蠅蛆病、回旋系状虫症、シラミ寄生症、蟯虫感染、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症(Trichinellosis)、旋毛虫症(Trichinosis)、鞭虫症、およびトリパノソーマ症。
【0351】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者に、有効量のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストを、単独で、または病原体を処置するための第2の治療剤、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス物質、または抗寄生虫薬と組み合わせて投与することにより、感染性疾患を処置するための方法を提供する。
【0352】
一般に、抗生物質は、細菌の成長を阻害するかまたは細菌を死滅させる任意の化合物を指す。有用な抗生物質の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:リンコサミド(クリンダマイシン(clindomycin));クロラムフェニコール;テトラサイクリン類(
テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど);アミノグリコシド(ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルミシン、アミカシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシンなど);ベータラクタム(ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アズトレオナムなど);バンコマイシン;バシトラシン;マクロライド(エリスロマイシン)、アムホテリシン;スルホンアミド(スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファシチン、スルファドキシン、マフェナイド、パラアミノ安息香酸、トリメトプリム-スルファメトキサゾールなど);メテナミン;ニトロフラントイン;フェナゾピリジン;トリメトプリム;リファンピシン;メトロニダゾール;セファゾリン;リンコマイシン;スペクチノマイシン;ムピロシン;キノロン(ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペルフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシンなど);ノボビオシン;ポリミキシン;グラミシジン;および抗シュードモナス剤(カルベニシリン、インダニルカルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリンなど)、またはこれらの任意の塩もしくはバリアント。また、Physician's Desk Reference、第59版、(2005年)、Thomson P D R、Montvale、N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第20版、(2
000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版、(2001年)、McGraw
Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、(19
92年)、Merck Research Laboratories、Rahway、N.J.を参照されたい。使用される
抗生物質は、細菌感染症のタイプに依存するであろう。
【0353】
一般に、抗真菌剤は、真菌の成長を阻害するかまたは真菌を死滅させる任意の化合物を指す。非限定的な例としては、イミダゾール(グリセオフルビン、ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、およびイトラコナゾール(itraconizole)など);ポリエン(アムホテリシンBおよびナイスタチンなど);フルシトシン;およびカンジシジン、またはそれらの任意の塩もしくはバリアントが挙げられる。また、Physician's Desk Reference、第59版、(2005年)、Thomson P D
R、Montvale、N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy 第20版、(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版
、(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway、N.J.を参照されたい。使用される抗真菌剤は、真菌感染症のタイプに依存するであろう。
【0354】
抗ウイルス薬は、ウイルスの作用を阻害する任意の化合物を指す。非限定的な例としては、インターフェロンアルファ、ベータ、もしくはガンマ、ジダノシン、ラミブジン、ザナミビル(zanamavir)、ロピナビル(lopanivir)、ネルフィナビル、エファビレンツ、インジナビル、バラシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リマンタジン(rimantidine)、リバビリン、ガンシクロビル、ホスカルネット、およびアシクロビル、またはそれ
らの任意の塩もしくはバリアントが挙げられる。また、Physician's Desk Reference、第59版、(2005年)、Thomson P D R、Montvale、N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy 第20版、(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版、(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway、N.J.を参照されたい。使用される抗ウイルス剤は、ウイルス感染症のタイプに依存するであろう。
【0355】
抗寄生虫剤は、寄生虫の成長を阻害するかまたは寄生虫を死滅させる任意の化合物を指す。有用な抗寄生虫剤の非限定的な例としては、クロロキン、メフロキン、キニーネ、プリマキン、アトバクオン、スルファドキシン(sulfasoxine)、およびピリメタミン、ま
たはそれらの任意の塩もしくはバリアントが挙げられる。また、Physician's Desk Reference、第59版、(2005年)、Thomson P D R、Montvale、N.J.;Gennaroら編
、Remington's The Science and Practice of Pharmacy 第20版、(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版、(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway、N.J.を参照されたい。使用される抗寄生虫剤
は、寄生虫感染症のタイプに依存するであろう。
【0356】
上記で考察されている腫瘍に対するその応用と同様に、本明細書に記載されているActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、単独で、またはワクチンと組み合わせてアジュバントとして使用して、病原体、毒素、および自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。こうした手法は、サイトカイン処置などの免疫療法の他の形態(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、またはIL-2の投与)と組み合わせることができる。この治療手法が特に有用であり得る病原体の例としては、現在、有効なワクチンがない病原体、または従来のワクチンが十分に有効であるとは言い難い病原体が挙げられる。そのようなものとしては、これらに限定されないが、HIV、肝炎(A、B、およびC)、インフルエンザ、ヘルペス、Giardia、マラリア、Leishmania、Staphylococcus aureus、およびPseudomonas Aeruginosaが挙げられる。
【0357】
一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、乳がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、多発性骨髄腫を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、乳がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、骨髄異形成症候群を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、FSH分泌下垂体腫瘍を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、前立腺がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、正常で健康な患者と比較して、望ましくない免疫活性上昇(例えば、T細胞活性の増加)を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、自己免疫障害または自己免疫関連障害を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、望ましくないT細胞活性上昇により媒介される自己免疫障害または自己免疫関連障害を有する患者には投与されない。例えば、一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、以下のものの1つまたは複数を有する患者には投与されない:急性散在性脳脊髄炎、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経異常症、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索&ニューロンニューロパシー、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、クローン病、コーガン症候群、寒冷凝集素症、コクサッキー心筋炎、CREST疾患、本態性混合型クリオグロブリン血症、脱髄性ニューロパシー、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化症、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、リニアIgA病(LAD)、狼瘡(SLE)、ライム病(慢性)、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムーシャ-ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、視神経脊髄炎(デビック病)、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、PANDAS(ストレプトコッカス関連小児自己免疫性神経精神障害)、腫瘍随伴性小脳変性症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリーロンベルグ症候群、パーソネイジ(Parsonnage)-ターナー症候群、毛様体扁平部炎(周辺性ブドウ膜炎)、天疱瘡、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、I型、II型、およびIII型自己免疫性多発内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、プロゲステロン皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変症、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、鞏膜炎、硬皮症、シェーグレン症候群、精子&睾丸自己免疫、全身硬直症候群、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、トローザ-ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織疾患(UCTD)、水疱性皮膚病、ヴェグナー肉芽腫症。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、組織または臓器移植を経験している最中の患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、組織または臓器移植を受けたことがある患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、移植片対宿主疾患を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストは、1つまたは複数の免疫抑制剤および/または療法で処置されている患者には投与されない。
【0358】
ある特定の実施形態では、本開示は、患者の1つまたは複数の血液学的パラメーターを測定することにより、本開示の1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置された患者または処置しようとする候補である患者を管理するための方法を提供する。血液学的パラメーターを使用して、本開示のアンタゴニストで処置しようとする候補である患者のための適切な投薬を評価すること、処置中に血液学的パラメーターをモニターすること、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストで処置中に投薬量を調整するか否かを評価すること、および/または本開示の1つもしくは複数のアンタゴニストの適切な維持用量を評価することができる。血液学的パラメーターの1つまたは複数が、正常レベル外にある場合、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投薬を低減、遅延、または中止してもよい。
【0359】
本明細書で提供される方法に従って測定することができる血液学的パラメーターとしては、例えば、赤血球レベル、血圧、鉄貯蔵、および当技術分野で認識されている方法を使用して体液中に見出される、赤血球レベル増加と相関する他の因子が挙げられる。そのようなパラメーターは、患者に由来する血液試料を使用して決定することができる。赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、および/またはヘマトクリットレベルの増加は、血圧の上昇を引き起こす場合がある。
【0360】
一実施形態では、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置しようとする候補である患者の1つまたは複数の血液学的パラメーターが、正常範囲外にあるか、または正常値の高値側にある場合、血液学的パラメーターが、自然にまたは治療介入のいずれかにより正常レベルまたは許容されるレベルに戻るまで、1つまたは複数のアンタゴニストの投与開始を遅延させてもよい。例えば、候補患者が高血圧性または前高血圧性である場合、患者の血圧を下げるために、患者を血圧降下剤で処置してもよい。例えば、利尿剤、アドレナリン阻害剤(アルファ遮断剤およびベータ遮断剤を含む)、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、またはアンジオテンシンII受容体遮断剤を含む、個々の患者の状態に適切な任意の血圧降下剤を使用することができる。あるいは、血圧は、食事および運動レジメンを使用して処置してもよい。同様に、候補患者が、正常値よりも低いか、または正常値の低値側にある鉄貯蔵を有する場合、患者の鉄貯蔵が正常レベルまたは許容されるレベルに戻るまで、食事および/または鉄補給食品の適切なレジメンで患者を処置してもよい。正常値よりも高い赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを有する患者の場合、レベルが正常レベルまたは許容されるレベルに戻るまで、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投与を遅延させてもよい。
【0361】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のActRIIアンタゴニスト剤で処置しようとする候補である患者の1つまたは複数の血液学的パラメーターが正常範囲外にあるか、または正常値の高値側にある場合、投与の開始を遅延させてはならない。しかしながら、1つまたは複数のアンタゴニストの投薬用量または投薬頻度は、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投与時に生じる血液学的パラメーターの許容されない増加のリスクを低減することになる量に設定することができる。あるいは、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、望ましくないレベルの血液学的パラメーターに対処する治療剤と組み合わせた治療レジメンを、患者のために開発してもよい。例えば、患者が血圧上昇を示す場合、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストおよび血圧降下剤の投与を含む治療レジメンを設計してもよい。所望よりも低い鉄貯蔵を有する患者の場合、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストおよび鉄補給を含む治療レジメンを開発してもよい。
【0362】
一実施形態では、1つまたは複数の血液学的パラメーターのベースラインパラメーターを、1つまたは複数のActRIIアンタゴニスト、およびベースライン値に基づいてその患者のために確立された適切な投薬レジメンで処置しようとする候補である患者について確立してもよい。あるいは、患者の病歴に基づいて確立されたベースラインパラメーターを使用して、患者のための適切なアンタゴニスト投薬レジメンを作り上げることができる。例えば、健康な患者が、規定の正常範囲よりも高い確立されたベースライン血圧測定値を示す場合、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストによる処置の前に、患者の血圧を、一般集団で正常であるとみなされる範囲内になるようにする必要はない場合がある。また、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストにより処置する前の患者の1つまたは複数の血液学的パラメーターのベースライン値を、本明細書に記載されている1つまたは複数のアンタゴニストで処置中の血液学的パラメーターの任意の変化をモニターするための関連比較値として使用することができる。
【0363】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の血液学的パラメーターは、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置されている患者で測定される。血液学的パラメーターを使用して、処置中に患者をモニターし、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投薬、または別の治療剤の追加の投薬の調整または中止を可能にすることができる。例えば、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投与が、血圧、赤血球レベル、またはヘモグロビンレベルの上昇、または鉄貯蔵の低減をもたらす場合、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの用量は、1つまたは複数の血液学的パラメーターに対する本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの効果を減少させるために、量または頻度を低減させてもよい。1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投与が、患者に有害な1つまたは複数の血液学的パラメーターの変化をもたらす場合、本明細書に記載されている1つまたは複数のアンタゴニストの投薬は、血液学的パラメーターが許容されるレベルに戻るまで一時的に中止しても、または恒久的に中止してもよい。同様に、1つまたは複数の血液学的パラメーターが、本明細書に記載されている1つまたは複数のアンタゴニストの投与の用量または頻度を低減させた後でも許容される範囲内に戻らない場合、投薬を中止してもよい。本明細書に記載されている1つまたは複数のアンタゴニストの投薬を低減または中止する代わりにまたはそれに加えて、望ましくないレベルの血液学的パラメーターに対処する追加の治療剤、例えば血圧降下剤または鉄補給食品などを、患者に投与してもよい。例えば、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置されている患者が、血圧上昇を示す場合、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投薬を同じレベルで継続し、血圧降下剤を処置レジメンに追加してもよく、1つまたは複数のアンタゴニスト(例えば、量および/または頻度)および血圧降下剤の投薬を治療レジメンに追加し、または1つもしくは複数のアンタゴニストの投薬を中止し、患者を血圧降下剤で処置してもよい。
【0364】
10.医薬組成物
ある特定の態様では、本開示のActRIIおよび/もしくはTGFβアンタゴニストまたはそのようなアンタゴニストの組合せは、単独でまたは医薬製剤(治療用組成物または医薬組成物とも呼ばれる)の成分として投与することができる。医薬形成は、そこに含まれている活性成分(例えば、本開示の作用剤)の生物活性が有効であることを可能にするような形態であり、製剤が投与されることになる対象に許容しがたいほど毒性である追加の成分を含んでいない調製物を指す。本主題の化合物は、ヒト用のまたは獣医学的な薬に使用される任意の便利な様式で投与するために製剤化することができる。例えば、本開示の1つまたは複数の作用剤は、薬学的に許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学的に許容される担体は、対象に対して一般に無毒性である、活性成分以外の、医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、これらに限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、および/または保存剤が挙げられる。一般に、本開示で使用される医薬製剤は、対象への投与時に、パイロジェンフリーで生理学的に許容される形態である。本明細書に記載されているもの以外の治療上有用な作用剤が、必要に応じて、上記に記載されているような製剤に含まれていてもよく、本開示の方法において本主題の作用剤と組み合わせて投与することができる。
【0365】
ある特定の実施形態では、組成物は、非経口的に投与されることになる[例えば、静脈内の(I.V.)注射、動脈内注射、骨内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、皮下注射、または皮内注射により]。非経口投与に好適な医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌等張性水性もしくは非水性溶液、分散物、懸濁物、またはエマルジョン、または使用直前に無菌注射用溶液または分散物に復元することができる無菌粉末と組み合わせて、本開示の1つまたは複数の作用剤を含んでいてもよい。注射用溶液または分散物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、懸濁化剤、増粘剤、または製剤を意図されているレシピエントの血液と等張性にする溶質を含んでいてもよい。本開示の医薬製剤に使用することができる好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、オリーブ油)、注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、およびそれらの好適な混合物が挙げられる。適切な流動度は、例えば、コーティング材料(例えば、レシチン)を使用することにより、分散物の場合は必要とされる粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤を使用することにより維持することができる。
【0366】
一部の実施形態では、化合物は、例えば、局所的投与、眼内(例えば、硝子体内)注射により、またはインプラントもしくはデバイスにより、眼に投与されることになる。硝子体内注射は、例えば、毛様体扁平部から縁郭の3mm~4mm後部に注射することができる。眼に投与するための医薬組成物は、例えば、目薬、眼科用溶液、眼科用懸濁物、眼科用エマルジョン、硝子体内注射剤、テノン下注射剤、眼科用生体内分解性(biodrodible
)インプラント、および非生体内分解性(non-bioeordible)眼科用インサートまたはデ
ポーを含む、様々な様式で製剤化することができる。
【0367】
一部の実施形態では、本開示の治療方法は、医薬組成物を、インプラントまたはデバイスから全身的にまたは局所的に投与することを含む。さらに、医薬組成物は、封入されていてもよく、または標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)に送達するための形態で注射してもよい。ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、本開示の作用剤の1つまたは複数を、標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)に送達することが可能であり、発生中の組織に構造を提供し、至適には体内に再吸収可能なマトリックスを含んでいてもよい。例えば、マトリックスは、本開示の1つまたは複数の作用剤の徐放を提供することができる。そのようなマトリックスは、他の移植医学応用に現在使用されている材料で形成することができる。
【0368】
マトリックス材料の選択は、以下の1つまたは複数に基づいていてもよい:生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的外観、および界面特性。本主題の組成物の特定の応用に応じて、適切な製剤が規定されることになる。組成物の考え得るマトリックスは、生分解性であり化学的に規定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ酸無水物であってもよい。他の考え得る材料としては、例えば、骨または皮膚コラーゲンが挙げられ、生分解性であり、生物学的に十分に規定されている。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外基質成分で構成される。他の考え得るマトリックスとしては、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩、または他のセラミックスが挙げられ、非生物分解性であり、化学的に規定されている。マトリックスは、例えば、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、またはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムを含む、上記で言及されているタイプの材料のいずれかの組合せで構成されていてもよい。バイオセラミックは、組成物を変更することができ(例えば、カルシウム-アルミネート-ホスフェート)、孔サイズ、粒子サイズ、粒子形状、および生分解性の1つまたは複数を変更するように処理することができる。
【0369】
ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、局所投与することができる。「局所的適用」または「局所に」は、例えば、皮膚、創傷部位、および粘膜を含む体表面に医薬組成物を接触させることを意味する。局所的医薬組成物は、種々の適用形態を有していてもよく、典型的には、組成物の局所投与時に組織の付近にまたは直接接触して位置するように構成されている薬物含有層を含む。局所的投与に好適な医薬組成物は、液体、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、発泡体、ペースト、パテ、半固形物、または固形物として製剤化された本開示の1つまたは複数のActRIIBおよび/またはTGFβアンタゴニストを組み合わせて含んでいてもよい。液体、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、発泡体、ペースト、またはパテの形態の組成物は、組成物を標的組織に延展、噴霧、なすり付け、軽打、または回転させることにより塗布することができる。また、組成物は、無菌包帯、経皮貼付剤、硬膏剤、および絆創膏に含浸させてもよい。パテ、半固形物、または固形物形態の組成物は、変形可能であってもよい。それらは、弾性であってもよく、または弾性でなくともよい(例えば、可撓性または剛性)。ある特定の態様では、組成物は、複合材の一部を形成し、同じまたは異なる組成物を有するファイバー、粒子、または複数の層を含んでいてもよい。
【0370】
液体形態の局所的組成物は、薬学的に許容される溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、および懸濁物を含んでいてもよい。液体剤形は、活性成分に加えて、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および/または乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、または1,3-ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物]を含む、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでいてもよい。
【0371】
局所的ゲル、クリーム、ローション、軟膏、半固形、または固形組成物は、ポリサッカリド、合成ポリマー、またはタンパク質に基づくポリマーなどの、1つまたは複数の増粘剤を含んでいてもよい。本発明の一実施形態では、本明細書のゲル化剤は、好適には無毒性であり、所望の粘性を付与するものである。増粘剤としては、以下のもののポリマー、コポリマー、およびモノマーを挙げることができる:ビニルピロリドン、メタクリルアミド、アクリルアミドN-ビニルイミダゾール、カルボキシビニル、ビニルエステル、ビニルエーテル、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ビニルアルコール、アクリル酸ナトリウム、アクリレート、マレイン酸、NN-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、プルロニック、コラーゲン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニレン、ケイ酸ポリビニル、糖(例えば、スクロース、グルコース、グルコサミン、ガラクトース、トレハロース、マンノース、またはラクトース)で置換されたポリアクリレート、アシルアミドプロパンスルホン酸、テトラメトキシオルトシリケート、メチルトリメトキシオルトシリケート、テトラアルコキシオルトシリケート、トリアルコキシオルトシリケート、グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリサッカリド、アルギネート、デキストラン、シクロデキストリン、セルロース、変性セルロース、酸化セルロース、キトサン、キチン、グアー、カラギナン、ヒアルロン酸、イヌリン、デンプン、加工デンプン、アガロース、メチルセルロース、植物ゴム、ヒアルロナン(hylaronan)
、ヒドロゲル、ゼラチン、グリコサミノグリカン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、低メトキシペクチン、架橋デキストラン、デンプン-アクリロニトリルグラフトコポリマー、デンプンポリアクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、ポリビニレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアルカノエート、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、スルホン化ヒドロゲル、AMPS(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、SEM(スルホエチルメタクリレート)、SPM(スルホプロピルメタクリレート)、SPA(スルホプロピルアクリレート)、N,N-ジメチル-N-メタクリロキシエチル-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、メタクリル酸アミドプロピル-ジメチルアンモニウムスルホベタイン、SPI(イタコン酸-ビス(1-プロピルスルホニズ酸(sulfonizacid)-3)エステルジカリウム塩)、イタコン酸、AMBC(3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸)、ベータ-カルボキシエチルアクリレート(アクリル酸二量体)、およびマレイン酸無水物-メチルビニルエーテルポリマー、それらの誘導体、それらの塩、それらの酸、およびそれらの組合せ。ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば、各々が、所定量の本開示の化合物および必要に応じて1つまたは複数の他の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの風味基剤を使用して)、散剤、粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁物、水中油型もしくは油中水型エマルジョン、またはエリキシルもしくはシロップ、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用して)、および/または口内洗浄剤の形態で、経口投与することができる。また、本開示の化合物および必要に応じて1つまたは複数の他の活性成分は、ボーラス剤、舐剤、またはペースト剤として投与してもよい。
【0372】
経口投与用の固形剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、および粒剤)では、本開示の1つまたは複数の化合物は、例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア)、保水剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、シリケート、および炭酸ナトリウム)、溶液遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、およびそれらの混合物を含む、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合されていてもよい。また、カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、医薬製剤(組成物)は、緩衝剤を含んでいてもよい。また、同様のタイプの固形組成物を、例えば、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールを含む、1つまたは複数の賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。
【0373】
医薬組成物を経口投与するための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤、およびエリキシル剤を挙げることができる。液体剤形は、活性成分に加えて、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および/または乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、または1,3-ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物]を含む、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでいてもよい。また、経口製剤は、不活性希釈剤の他に、例えば、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、香味料、着色剤、芳香剤、保存剤、およびそれらの組合せを含むアジュバントを含んでいてもよい。
【0374】
懸濁物は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガント、およびそれらの組合せを含む懸濁化剤を含んでいてもよい。
【0375】
微生物の作用および/または成長の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびフェノールソルビン酸を含む、種々の抗細菌剤および抗真菌剤を介在させることにより保証することができる。
【0376】
ある特定の実施形態では、例えば、糖または塩化ナトリウムを含む等張剤を、組成物に含めることが望ましい場合がある。加えて、注射可能な医薬品形態の持続吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含む、吸収を遅延させる作用剤を介在させることによりもたらすことができる。
【0377】
投薬量レジメンは、本開示の作用剤の1つまたは複数の作用を修飾する種々の要因を考慮して、主治医により決定されることになることが理解される。赤血球形成を促進するActRIIおよび/またはTGFβアンタゴニストの場合、種々の要因としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:患者の赤血球数、ヘモグロビンレベル、所望の目標赤血球数、患者の年齢、患者の性別、患者の食事、赤血球レベルの低下に寄与する可能性のあるあらゆる疾患の重症度、投与の時間、および他の臨床要因。また、他の公知の活性剤を最終組成物に添加することは、投薬量に影響を及ぼす場合がある。赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、網状赤血球レベル、および造血プロセスの他の指標の1つまたは複数を定期的に評価することにより、進行をモニターすることができる。
【0378】
また、ある特定の実施形態では、本開示は、本開示の作用剤の1つまたは複数のin vivo産生のための遺伝子治療を提供する。そのような治療は、作用剤配列を、上記に列挙されているような障害の1つまたは複数を有する細胞または組織に導入することにより、その治療効果を達成することになる。作用剤配列の送達は、例えば、キメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系の使用により達成することができる。本開示の作用剤配列の1つまたは複数の好ましい治療送達は、標的指向性リポソームの使用である。
【0379】
本明細書で教示されているような遺伝子治療に利用することができる種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、またはRNAウイルス(例えば、レトロウイルス)が挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルスの誘導体であってもよい。単一の外来性遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。多くの追加のレトロウイルスベクターには、複数の遺伝子を組み込むことができる。こうしたベクターにはすべて、形質導入された細胞を特定および生成することができるように、選択可能なマーカーの遺伝子を移動または組み込むことができる。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質を付着することにより、標的特異的にすることができる。好ましい標的指向性は、抗体の使用により達成される。当業者であれば、特異的なポリヌクレオチド配列を、レトロウイルスゲノムに挿入するか、またはウイルスエンベロープに付着させて、本開示の作用剤の1つまたは複数を含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にすることができることを理解するであろう。
【0380】
あるいは、レトロウイルス構造遺伝子(gag、pol、およびenv)をコードするプラスミドを、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションにより、組織培養細胞に直接トランスフェクトすることができる。その後、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドを、こうした細胞にトランスフェクトする。得られた細胞は、レトロウイルスベクターを培養培地に放出する。
【0381】
本開示の作用剤の1つまたは複数の別の標的送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質に基づく系が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、in vitroおよびin vivoでの送達ビヒクルに有用である人工膜小胞である。RNA、DNA、および完全ビリオンを、水性内部に封入し、生物学的に活性な形態で細胞に送達することができる[Fraleyら(1981年)Trends Biochem. Sci.、6巻:77頁]。リポソームビヒクルを使用した効率的な遺伝子移入法は、当技術分野で公知である[Manninoら(1988年)Biotechniques、6巻:682頁、1988年]。
【0382】
リポソームの組成は、通常は、リン脂質の組合せであり、ステロイド(例えば、コレステロール)を含んでいてもよい。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および2価カチオンの存在に依存する。また、例えば、ホスファチジル化合物(例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシド)、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンを含む、他のリン脂質または他の脂質を使用することができる。また、例えば、臓器特異性、細胞特異性、および細胞器官特異性に基づくリポソームの標的指向性が可能であり、当技術分野で公知である。
【実施例0383】
本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これらの実施例は、単に、本発明のある特定の実施形態を説明する目的のために含められ、本発明を制限することは意図されない。
【0384】
(実施例1)
ActRIIa-Fc融合タンパク質
介在するリンカーによってヒトまたはマウスFcドメインに融合したヒトActRIIaの細胞外ドメインを有するActRIIA融合タンパク質を生成した。構築物をそれぞれ、ActRIIA-hFcおよびActRIIIIA-mFcと呼ぶ。
【0385】
ActRIIA-hFcを、CHO細胞株からの精製型として以下に示す(配列番号50):
【化31】
【0386】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質を、CHO細胞株において発現させた。異なる3つのリーダー配列は:
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号51)
(ii)組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号52)
(iii)天然:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号53)
であると考えられた。
【0387】
選択した型は、TPAリーダーを使用し、以下の非プロセシングアミノ酸配列を有する:
【化32】
【0388】
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコードされる:
【化33-1】
【化33-2】
【0389】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcはいずれも、組換え体の発現を顕著に行うことができた。図5に示すように、タンパク質を、タンパク質の単一の明確なピークとして精製した。N末端シークエンシングにより、-ILGRSETQE(配列番号56)の単一の配列が明らかとなった。精製は、例えば以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。ActRIIA-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定した場合に>98%の純度に、およびSDS PAGEによって決定した場合に>95%の純度に精製された。
【0390】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcは、リガンドに対して高い親和性を示した。GDF-11またはアクチビンAを、標準的なアミンカップリング手順を使用してBiacore(商標)CM5チップに固定した。ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質をシステムにロードし、結合を測定した。ActRIIA-hFcは、アクチビンに対して5×10-12の解離定数(K)で結合し、GDF11に対して9.96×10-9のKで結合した。図6を参照されたい。ActRIIA-mFcは、類似の挙動を示した。
【0391】
ActRIIA-hFcは、薬物動態試験において非常に安定であった。ラットにActRIIA-hFcタンパク質の1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgを投与し、タンパク質の血漿中レベルを、24、48、72、144、および168時間で測定した。異なる試験では、ラットに、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgを投与した。ラットにおいて、ActRIIA-hFcは、11~14日の血清半減期を有し、薬物の循環中レベルは、2週間後で極めて高かった(1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初回投与後それぞれ、11μg/ml、110μg/ml、または304μg/ml)。カニクイザルでは、血漿半減期は実質的に14日間より長く、薬物の循環中レベルは、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初回投与後それぞれ、25μg/ml、304μg/ml、または1440μg/mlであった。
【0392】
本明細書に記載の方法に従って使用され得る多様なActRIIAバリアントは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2006/012627号(例えば、55~58頁を参照されたい)として公開された国際特許出願に記載されている。代替の構築物は、C末端尾部(ActRIIAの細胞外ドメインの最後の15アミノ酸)の欠失を有していてもよい。そのような構築物の配列を以下に表す(Fc部分を下線で示す)(配列番号57):
【化34】
【0393】
(実施例2)
ActRIIB-Fc融合タンパク質の生成
介在するリンカーによってヒトまたはマウスFcドメインに融合したヒトActRIIBの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIB融合タンパク質を構築した。構築物をそれぞれ、ActRIIB-hFcおよびActRIIB-mFcと呼ぶ。
【0394】
ActRIIB-hFcを、CHO細胞株からの精製型として以下に示す(配列番号58):
【化35】
【0395】
ActRIIB-hFcおよびActRIIB-mFcタンパク質をCHO細胞株において発現させた。3つの異なるリーダー配列を検討した:(i)ミツバチメリチン(HBML)、ii)組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、および(iii)天然:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号59)。
【0396】
選択した型は、TPAリーダーを使用し、以下の非プロセシングアミノ酸配列(配列番号60)を有する:
【化36】
【0397】
このポリペプチドは、以下の核酸配列(配列番号61)によってコードされる:
【化37】
【0398】
CHO細胞産生材料のN末端シークエンシングにより、-GRGEAE(配列番号62)の主要な配列が明らかとなった。特に、文献に報告された他の構築物は、-SGR…配列で始まる。
【0399】
精製は、例えば以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。
【0400】
一連の変異を、ActRIIBの細胞外ドメインにおいて生成し、これらの変異体タンパク質を、細胞外ActRIIBとFcドメインとの間の可溶性融合タンパク質として産生した。バックグラウンドActRIIB-Fc融合体は、配列番号58の配列を有する。
【0401】
NおよびC末端短縮を含む様々な変異を、バックグラウンドActRIIB-Fcタンパク質に導入した。本明細書で提示したデータに基づき、これらの構築物は、TPAリーダーと共に発現されると、N末端セリンを欠如すると予想される。PCR変異誘発によって、ActRIIB細胞外ドメインに変異を生成した。PCR後、断片を、Qiagenカラムを通して精製し、SfoIおよびAgeIによって消化し、ゲル精製した。これらの断片を、ライゲーションによってヒトIgG1との融合キメラが生じるように、発現ベクターpAID4(国際公開第2006/012627号を参照されたい)にライゲーションした。E.coli DH5アルファに形質転換後、コロニーを採取し、DNAを単離した。マウス構築物(mFc)の場合、マウスIgG2aを、ヒトIgG1の代わりに使用した。全ての変異体の配列を確認した。
【0402】
変異体は全て、一過性のトランスフェクションによってHEK293T細胞において産生した。要約すると、500mlスピナーフラスコにおいて、HEK293T細胞を、容積250mlのFreestyle(Invitrogen)培地中、6×10個/mlで設定し、一晩成長させた。翌日、これらの細胞を、0.5μg/ml最終DNA濃度のDNA:PEI(1:1)複合体によって処置した。4時間後、培地250mlを添加し、細胞を7日間成長させた。細胞を遠心沈降させることによって条件培地を回収し、濃縮した。
【0403】
変異体を、例えばプロテインAカラムを含む様々な技術を使用して精製し、低pH(3.0)グリシン緩衝剤によって溶出した。中和後、これらをPBSに対して透析した。
【0404】
変異体はまた、類似の方法論によってCHO細胞においても産生した。変異体を、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2008/097541号および国際公開第2006/012627号に記載されている結合アッセイおよび/またはバイオアッセイにおいて試験した。一部の例では、精製タンパク質ではなくて条件培地についてアッセイを実施した。ActRIIBの追加のバリエーションは、米国特許第7,842,663号に記載されている。
【0405】
N末端およびC末端短縮を有するヒトActRIIB細胞外ドメイン(天然タンパク質配列番号1の残基25~131)を含むActRIIB(25~131)-hFc融合タンパク質を、N末端で天然ActRIIBリーダーの代わりに置換したTPAリーダー配列、およびC末端で最小のリンカー(3個のグリシン残基)を介してヒトFcドメインに融合した(図7;配列番号123)。この融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、図8(配列番号124はコード鎖および配列番号125は相補鎖)に示す。コドンを修飾して、最初の形質転換体の発現レベルの実質的な改善を提供するActRIIB(25~131)-hFcタンパク質をコードするバリアント核酸が見出された(図9;配列番号126はコード鎖および配列番号127は相補鎖)。
【0406】
成熟タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する(N末端シークエンシングによりN末端を確認した)(配列番号63):
【化38】
【0407】
アミノ酸1~107は、ActRIIBに由来する。
【0408】
発現された分子を、例えば以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップを使用して精製した:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。
【0409】
ActRIIB(25~131)-hFcおよびその完全長の相対物ActRIIB(20~134)-hFcに対するいくつかのリガンドの親和性を、Biacore(商標)機器によってin vitroで評価し、結果を、以下の表に要約する。複合体の会合および解離が非常に速いためにkonおよびkoffの正確な決定ができないことから、Kd値を定常状態での親和性のフィットによって得た。ActRIIB(25~131)-hFcは、高い親和性でアクチビンA、アクチビンB、およびGDF11に結合した。ActRIIB-hFc型のリガンド親和性:
【表2】
【0410】
(実施例3)
GDFトラップの生成
GDFトラップは以下のように構築した。GDF11および/またはミオスタチンと比べてアクチビンA結合が大きく低減された(配列番号1の79位でのロイシンからアスパラギン酸への置換の結果として)ActRIIBの修飾細胞外ドメイン(L79D置換を有する配列番号1のアミノ酸20~134)を有するポリペプチドを、介在する最小のリンカー(3つのグリシンアミノ酸)によってヒトまたはマウスFcドメインに融合した。構築物をそれぞれ、ActRIIB(L79D 20~134)-hFcおよびActRIIB(L79D 20~134)-mFcと呼ぶ。79位でアスパラギン酸ではなくてグルタミン酸を有する代替型(L79E)も類似の成績であった。以下の配列番号64を基準にして226位でバリンではなくてアラニンを有する代替型も同様に生成したところ、調べた全ての点において同等の成績であった。79位でのアスパラギン酸(配列番号1と比べて、または配列番号64と比べて60位)を、以下に二重下線で示す。配列番号64と比べて226位でのバリンもまた、以下に二重下線で示す。
【0411】
GDFトラップのActRIIB(L79D 20~134)-hFcを、CHO細胞株からの精製型として以下に示す(配列番号64)。
【化39】
【0412】
GDFトラップのActRIIB由来部分は、以下に示すアミノ酸配列(配列番号65)を有し、その部分を単量体として、または単量体、二量体、もしくは高次複合体としての非Fc融合タンパク質として使用することができる。
【化40】
【0413】
GDFトラップタンパク質を、CHO細胞株において発現させた。3つの異なるリーダー配列を検討した:
(i)ミツバチメリチン(HBML)、(ii)組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、および(iii)天然。
【0414】
選択した型はTPAリーダーを使用し、以下の非プロセシングアミノ酸配列を有する:
【化41】
【0415】
このポリペプチドは、以下の核酸配列(配列番号67)によってコードされる:
【化42】
【0416】
精製は、例えば以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。精製スキームの例において、細胞培養培地を、プロテインAカラムに通過させ、150mM Tris/NaCl(pH8.0)で洗浄した後、50mM Tris/NaCl(pH8.0)で洗浄し、0.1Mグリシン、pH3.0によって溶出した。低いpHの溶出液を、ウイルスクリアランスステップとして室温で30分間維持する。次に、溶出液を中和し、Q-セファロースイオン交換カラムに通過させ、50mM Tris pH8.0、50mM NaCl中で洗浄し、NaCl濃度が150mM~300mMである50mM Tris pH8.0中に溶出させた。次に、溶出液を50mM Tris pH8.0、1.1M硫酸アンモニウムに変化させ、フェニルセファロースカラムに通過させて、洗浄し、硫酸アンモニウムが150~300mMである50mM Tris pH8.0中に溶出させた。溶出液を透析し、使用するために濾過した。
【0417】
追加のGDFトラップ(アクチビンA結合の、ミオスタチンまたはGDF11結合に対する比を低減させるように修飾したActRIIB-Fc融合タンパク質)は、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2008/097541号および国際公開第2006/012627号に記載されている。
【0418】
(実施例4)
GDF-11およびアクチビン媒介性シグナル伝達に関するバイオアッセイ
A-204レポーター遺伝子アッセイを使用して、GDF-11およびアクチビンAによるシグナル伝達に対するActRIIB-Fcタンパク質およびGDFトラップの効果を評価した。細胞株:ヒト横紋筋肉腫(筋肉由来)。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennlerら、1998年、EMBO、17巻:3091~3100頁に記載)
。CAGA12モチーフはTGFβ応答性遺伝子(例えば、PAI-1遺伝子)に存在することから、このベクターは、SMAD2および3を通してシグナル伝達する因子に関して一般的に有用である。
【0419】
1日目:A-204細胞を48ウェルプレートに分割する。
【0420】
2日目:A-204細胞に、pGL3(CAGA)12 10μgまたはpGL3(CAGA)12(10μg)+pRLCMV(1μg)およびFugeneをトランスフェクトした。
【0421】
3日目:因子(培地+0.1%BSA中で希釈)を添加する。阻害剤は、細胞に添加する前に因子と共に1時間プレインキュベートする必要がある。6時間後、細胞をPBSによってすすぎ、溶解させた。
【0422】
この後にルシフェラーゼアッセイを行う。いかなる阻害剤も存在しない場合、アクチビンAは、レポーター遺伝子発現の10倍刺激および約2ng/mlのED50を示した。GDF-11:16倍刺激、ED50:約1.5ng/ml。
【0423】
ActRIIB-Fcタンパク質およびGDFトラップの活性を、上記のように細胞に基づくアッセイにおいて試験した。結果を以下の表に要約する。一部のバリアントは、異なるC末端短縮構築物において試験した。GDFトラップ(L79DおよびL79Eバリアント)は、アクチビンA阻害の実質的な喪失を示したが、GDF-11のほぼ野生型の阻害を保持した。
可溶性ActRIIB-FcのGDF-11およびアクチビンAに対する結合:
【表3-1】
【表3-2】
【0424】
(実施例5)
短縮ActRIIB細胞外ドメインを有するGDFトラップの生成
ActRIIB(L79D 25~131)-hFcと呼ばれる短縮ActRIIB細胞外ドメインを有するGDFトラップは、TPAリーダーと、ロイシンからアスパラギン酸への置換(配列番号1における残基79での)を含む短縮細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)とのN末端融合、およびヒトFcドメインと、リンカー(3つのグリシン残基)とのC末端融合によって生成した(図12、配列番号131)。ActRIIB(L79D 25~131)-hFcの細胞精製型の配列を、図13(配列番号132)に提示し、リーダー、リンカー、またはFcドメインを有しない成熟細胞外ドメインを図14(配列番号133)に提示する。この融合タンパク質をコードする1つのヌクレオチド配列を、その相補的配列(配列番号135)と共に図15(配列番号134)に示し、全く同じ融合タンパク質をコードする代替のヌクレオチド配列を、図16(配列番号136)に示し、その相補的配列(配列番号137)を示す。
【0425】
(実施例6)
2回短縮ActRIIB細胞外ドメインを有するGDFトラップによる選択的リガンド結合
いくつかのリガンドに対するGDFトラップおよび他のActRIIB-hFcタンパク質の親和性を、Biacore(商標)機器によってin vitroで評価した。結果を以下の表に要約する。複合体の会合および解離が非常に速いためにkonおよびkoffの正確な決定ができないことから、Kd値を定常状態での親和性のフィットによって得た。
ActRIIB-hFcバリアントのリガンド選択性:
【表4】
【0426】
短縮細胞外ドメインを有するGDFトラップ、ActRIIB(L79D 25~131)-hFcは、より長いバリアントActRIIB(L79D 20~134)-hFcによって示されるリガンド選択性と等しいかまたは優れており、L79D置換を欠如するActRIIB-hFc相対物と比較して、より顕著なアクチビンA結合の喪失、アクチビンB結合の部分的喪失、およびほぼ完全なGDF11結合の保持を示した。短縮体単独(L79D置換を有しない)は、本明細書で示したリガンドにおける選択性を変更しなかったことに注意されたい[ActRIIB(L79 25~131)-hFcをActRIIB(L79 20~134)-hFcと比較する]。ActRIIB(L79D 25~131)-hFcもまた、Smad2/3シグナル伝達リガンドGDF8ならびにSmad1/5/8リガンドBMP6およびBMP10に対して強い結合から中間の結合を保持する。
【0427】
(実施例7)
ActRIIB5に由来するGDFトラップ
他の研究者らは、ActRIIB膜貫通ドメインを含むエクソン4が異なるC末端配列により置き換えられているActRIIBの代替の可溶性型(ActRIIB5と称された)を報告した(例えば、国際公開第2007/053775号を参照されたい)。
【0428】
そのリーダーを有しない天然ヒトActRIIB5の配列は以下の通りである:
【化43】
【0429】
ロイシンからアスパラギン酸への置換、または他の酸への置換を、記載される天然位置79(下線)で実施して、以下の配列を有するバリアントActRIIB5(L79D)を構築してもよい:
【化44】
【0430】
このバリアントを、TGGGリンカー(一重下線)によってヒトFc(二重下線)に接続し、以下の配列を有するヒトActRIIB5(L79D)-hFc融合タンパク質を生成してもよい:
【化45】
【0431】
この構築物をCHO細胞において発現させてもよい。
【0432】
(実施例8)
ALK4:ActRIIBヘテロ二量体の生成
各々が、細胞外ドメインとFcドメインの間に位置するリンカーによって個別にFcドメインに融合されている、ヒトActRIIBおよびヒトALK4の細胞外ドメインを含むALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロマー複合体を構築した。個々の構築物をそれぞれ、ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドと呼び、各々の配列を以下に提供する。
【0433】
ActRIIB-FcまたはALK4-Fcホモ二量体複合体とは対照的に、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロマー複合体の形成を促進する方法論は、非対称のヘテロマー複合体の形成を誘導するために、Fcドメインのアミノ酸配列に変更を導入することである。Fcドメインを使用して非対称の相互作用対を作製するための多くの異なるアプローチが本開示に記載されている。
【0434】
1つのアプローチにおいて、配列番号71および73、ならびに配列番号74および76のActRIIB-FcおよびALK4-Fcポリペプチド配列においてそれぞれ例証されるように、1つのFcドメインを、相互作用面でカチオン性アミノ酸を導入するように変更し、他のFcドメインを、相互作用面でアニオン性アミノ酸を導入するように変更する。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドは各々、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを使用する。
【0435】
ActRIIB-Fcポリペプチド配列(配列番号71)を以下に示す:
【化46】
【0436】
リーダー(シグナル)配列およびリンカーを下線で示す。可能性があるホモ二量体複合体のいずれかではなくてALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(酸性アミノ酸をリシンより置き換える)を、上記の二重下線によって示されるようにActRIIB融合タンパク質のFcドメインに導入することができる。配列番号71のアミノ酸配列は、必要に応じて、C末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【0437】
このActRIIB-Fc融合タンパク質は、以下の核酸配列(配列番号72)によってコードされる:
【化47-1】
【化47-2】
【0438】
成熟ActRIIB-Fc融合ポリペプチド(配列番号73)は以下の通りであり、必要に応じてC末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【化48】
【0439】
ALK4-Fc融合ポリペプチド(配列番号74)の相補性型は以下の通りである:
【化49】
【0440】
リーダー配列およびリンカーを、下線で示す。上記の配列番号71および73のActRIIB-Fc融合ポリペプチドとのヘテロ二量体形成を誘導するために、2つのアミノ酸置換(リシンをアスパラギン酸により置き換える)を、上記の二重下線によって示されるようにALK4-Fc融合ポリペプチドのFcドメインに導入することができる。配列番号74のアミノ酸配列は、必要に応じてC末端でリシン(K)が付加された状態で提供され得る。
【0441】
このALK4-Fc融合タンパク質は、以下の核酸(配列番号75)によってコードされる:
【化50-1】
【化50-2】
【0442】
成熟ALK4-Fc融合タンパク質配列(配列番号76)は以下の通りであり、必要に応じて、C末端でリシン(K)が付加された状態で提供され得る。
【化51】
【0443】
配列番号73および配列番号76のActRIIB-FcおよびALK4-Fcタンパク質をそれぞれ、同時発現させて、CHO細胞株から精製し、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせてもよい。
【0444】
非対称Fc融合タンパク質を使用してヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチでは、Fcドメインをそれぞれ、配列番号77および78ならびに配列番号79および80のActRIIB-FcおよびALK4-Fcポリペプチド配列において例証されるように、相補的な疎水性相互作用および追加の分子間ジスルフィド結合を導入するように変更する。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドはそれぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを使用する。
【0445】
ActRIIB-Fcポリペプチド配列(配列番号77)を以下に示す:
【化52】
【0446】
リーダー(シグナル)配列およびリンカーを下線で示す。可能性があるホモ二量体複合体のいずれかではなくてALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインにより、およびスレオニンをトリプトファン(trytophan)により置き換える)を、上記の二重下線によって示されるよ
うに融合タンパク質のFcドメインに導入することができる。配列番号77のアミノ酸配列は、必要に応じて、C末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【0447】
成熟ActRIIB-Fc融合ポリペプチドは以下の通りである:
【化53】
【0448】
ALK4-Fc融合ポリペプチドの相補性型(配列番号79)は以下の通りであり、必要に応じて、C末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【化54】
【0449】
リーダー配列およびリンカーを下線で示す。上記の配列番号77および78のActRIIB-Fc融合ポリペプチドのヘテロ二量体の形成を誘導するために、4つのアミノ酸置換を、上記の二重下線によって示されるようにALK4融合ポリペプチドのFcドメインに導入することができる。配列番号79のアミノ酸配列は、必要に応じて、C末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【0450】
成熟ALK4-Fc融合タンパク質配列は以下の通りであり、必要に応じて、C末端からリシン(K)が除去された状態で提供され得る。
【化55】
【0451】
配列番号78および配列番号80のActRIIB-FcおよびALK4-Fcタンパク質をそれぞれ、同時発現させてCHO細胞株から精製し、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせてもよい。
【0452】
様々なALK4-Fc:ActRIIB-Fc複合体の精製は、例えば以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。
【0453】
非対称Fc融合タンパク質を使用してヘテロマー複合体の形成を促進するための別のアプローチでは、Fcドメインを、配列番号139~142および143~146のActRIIB-FcおよびALK4-Fcポリペプチド配列においてそれぞれ例証されるように、分子の真の電荷に基づいて精製を容易にするために2つのFcドメインの間に、相補的な疎水性相互作用、追加の分子間ジスルフィド結合、および静電気的な差を導入するように変更する。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドは各々、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを使用する。
【0454】
ActRIIB-Fcポリペプチド配列(配列番号139)を以下に示す:
【化56】
【0455】
リーダー配列およびリンカーを下線で示す。可能性があるホモ二量体複合体のいずれかではなくてALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインにより、およびスレオニンをトリプトファンにより置き換える)を、上記の二重下線によって示されるように融合タンパク質のFcドメインに導入することができる。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の精製を容易にするために、2つのアミノ酸置換(リシンを酸性アミノ酸により置き換える)をまた、上記の二重下線によって示されるように融合タンパク質のFcドメインに導入することができる。配列番号139のアミノ酸配列は、必要に応じて、C末端でリシンが付加された状態で提供され得る。
【0456】
このActRIIB-Fc融合タンパク質は、以下の核酸(配列番号140)によってコードされる:
【化57】
【0457】
成熟ActRIIB-Fc融合ポリペプチドは以下の通りであり(配列番号141)、必要に応じて、C末端でリシンが付加された状態で提供され得る。
【化58】
【0458】
このActRIIB-Fc融合ポリペプチドは以下の核酸(配列番号142)によってコードされる:
【化59】
【0459】
ALK4-Fc融合ポリペプチドの相補性型(配列番号143)は、以下の通りであり、必要に応じて、C末端からリシンが除去された状態で提供され得る。
【化60】
【0460】
リーダー配列およびリンカーを下線で示す。上記の配列番号139および141のActRIIB-Fc融合ポリペプチドとのヘテロ二量体形成を誘導するために、4つのアミノ酸置換(チロシンをシステインにより、スレオニンをセリンにより、ロイシンをアラニンにより、およびチロシンをバリンにより置き換える)を、上記の二重下線によって示されるようにALK4融合ポリペプチドのFcドメインに導入することができる。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の精製を容易にするために、2つのアミノ酸置換(アスパラギンをアルギニンにより、およびアスパラギン酸をアルギニンにより置き換える)をまた、上記の二重下線によって示されるようにALK4-Fc融合ポリペプチドのFcドメインに導入することができる。配列番号143のアミノ酸配列は、必要に応じて、C末端からリシンが除去された状態で提供され得る。
【0461】
このALK4-Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号144)によってコードされる:
【化61-1】
【化61-2】
【0462】
成熟ALK4-Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号145)、必要に応じて、C末端からリシンが除去された状態で提供され得る。
【化62】
【0463】
このALK4-Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号146)によってコードされる:
【化63-1】
【化63-2】
【0464】
配列番号141および配列番号145のActRIIB-FcおよびALK4-Fcタンパク質をそれぞれ、同時発現させて、CHO細胞株から精製し、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせてもよい。
【0465】
様々なALK4-Fc:ActRIIB-Fc複合体の精製は、例えば、以下の3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、エピトープに基づくアフィニティクロマトグラフィー(例えば、ALK4またはActRIIB上のエピトープに対する抗体または機能的に同等なリガンドによる)、およびマルチモードクロマトグラフィー(例えば、静電気的および疎水性リガンドの両方を含む樹脂による)。ウイルスの濾過および緩衝液交換によって、精製を完了することができる。
【0466】
(実施例9)
ActRIIB-Fcホモ二量体およびALK4-Fcホモ二量体と比較したALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体のリガンド結合プロファイル
Biacore(商標)に基づく結合アッセイを使用して、上記のALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIB-FcおよびALK4-Fcホモ二量体複合体のリガンド結合選択性と比較した。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体、ActRIIB-Fcホモ二量体、およびALK4-Fcホモ二量体を、抗Fc抗体を使用してシステム上で独立して捕捉した。リガンドを注入し、捕捉した受容体タンパク質の上に流れさせた。結果を以下の表に要約し、有効なリガンドトラップを最も示しているリガンドの解離速度(k)を灰色の影をつけて示す。
【表5】
【0467】
これらの比較結合データは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体が、ActRIIB-FcまたはALK4-Fcホモ二量体のいずれかと比べて変更された結合プロファイル/選択性を有することを実証している。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、いずれかのホモ二量体と比較してアクチビンBに対して増強された結合を示し、ActRIIB-Fcホモ二量体に関して観察されたように、アクチビンA、GDF8、およびGDF11に対して強い結合を保持し、BMP9、BMP10、およびGDF3に対して実質的に低減された結合を示す。特に、BMP9は、低いかまたは観察可能ではないALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体に対する親和性を示すが、このリガンドは、ActRIIB-Fcホモ二量体に対して強く結合する。ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、ヘテロ二量体は、BMP6に対して中間レベルの結合を保持する。図19を参照されたい。
【0468】
加えて、A-204レポーター遺伝子アッセイを使用して、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、BMP10、およびBMP9によるシグナル伝達に対するALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体の効果を評価した。細胞株:ヒト横紋筋肉腫(筋肉に由来する)。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennlerら、1998年、EMBO、
17巻:3091~3100頁に記載されている)。CAGA12モチーフは、TGFβ応答性遺伝子(PAI-1遺伝子)に存在するため、このベクターは、Smad2および3を通してシグナル伝達する因子に関して一般的に有用である。例示的なA-204レポーター遺伝子アッセイを以下に概説する。
【0469】
1日目:A-204細胞を48ウェルプレートに分割する。
【0470】
2日目:A-204細胞に、pGL3(CAGA)12 10μgまたはpGL3(CAGA)12(10μg)+pRLCMV(1μg)およびFugeneをトランスフェクトした。
【0471】
3日目:因子(培地+0.1%BSA中で希釈)を添加する。阻害剤は、細胞に添加する前、因子と共に約1時間プレインキュベートする必要がある。約6時間後、細胞をPBSによってすすいだ後、溶解した。
【0472】
上記のステップの後、ルシフェラーゼアッセイを実施した。
【0473】
ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体はいずれも、このアッセイにおいてアクチビンA、アクチビンB、GDF11、およびGDF8の強力な阻害剤であると決定された。特に、図19に例証したホモ二量体/ヘテロ二量体のIC50データの比較において認められ得るように、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11シグナル伝達経路を阻害する。しかし、BMP9およびBMP10シグナル伝達経路のALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体による阻害は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して有意に低減される。このデータは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体の両方が、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11に対して強い結合を示したが、BMP10およびBMP9は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と比較してALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体に対して有意に低減された親和性を有することが観察された上記の結合データと一貫している。
【0474】
したがってまとめると、これらのデータは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体が、ActRIIB-Fcホモ二量体と比較してアクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11のより選択的なアンタゴニストであることを実証する。したがって、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、そのような選択的アンタゴニズムが有利である、ある特定の応用ではActRIIB-Fcホモ二量体より有用である。例としては、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAC、GDF8、およびGDF11の1つまたは複数のアンタゴニズムを保持するが、BMP9、BMP10、GDF3、およびBMP6の1つまたは複数のアンタゴニズムを最小限に抑えることが望ましい治療応用が挙げられる。
【0475】
(実施例10)
TGFβRII-Fc融合タンパク質の生成
ヒトTGFβRIIは、天然では、細胞外ドメイン(ECD)の選択的スプライシングによって生成されるA(長鎖)およびB(短鎖)の少なくとも2つのアイソフォームとして存在する(図10および11)。TGFβRIIは、TGFβ1およびTGFβ3に対して高い親和性で結合する。以下に詳述するように、TGFβRII 長鎖アイソフォームの細胞外ドメインを含むTGFβRII-Fc融合タンパク質(TβRII長鎖)を生成した。
【0476】
野生型hTβRII長鎖(23~184)配列を以下に示し(配列番号147)、25アミノ酸の挿入を下線で示す。スプライシングによって挿入に対してC末端側の隣接位置で保存的アミノ酸置換(Val→Ile)が起こることに注意されたい。いくつかのhTβRII短鎖バリアントおよびそのhTβRII長鎖相対物の配列の関係を図24に示す。
【化64】
【0477】
hTβRII長鎖(23~184)ドメインがC末端で(リンカーを介して)ヒトIgG1 Fcドメインに融合し、N末端でTPAリーダー配列に融合したhTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質を生成し、これは以下のアミノ酸配列(配列番号148)を有する:
【化65】
【0478】
N末端リーダー配列およびC末端Fcドメインを、一重下線で表し、リンカードメインを二重下線で示す。hTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、以下のヌクレオチド配列(配列番号149)を有する:
【化66-1】
【化66-2】
【0479】
hTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質のプロセシング型は、以下のアミノ酸配列(配列番号150)を有する:
【化67】
【0480】
hTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質を、CHO細胞において発現させ、濾過およびプロテインAクロマトグラフィーによって条件培地から精製した。レポーター遺伝子アッセイのための試料の純度を、SDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析によって評価した。
【0481】
本明細書に記載されるある特定の動物モデルでの使用のために、本明細書においてmTβRII長鎖-Fcと呼ぶ、マウスTβRIIアイソフォーム1の成熟完全長ECDを含むFc融合タンパク質を生成した。マウスTβRIIアイソフォーム1は、ヒトTβRIIアイソフォームA(長鎖型)と相同であり、このように、上記のhTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質のマウス等価型である。ヒト型と同様に、mTβRII長鎖-Fcは、TGFβ1およびTGFβ3に対して高い親和性(ピコモル濃度)で結合するが、TGFβ2には結合しないことが決定された。加えて、hTβRII長鎖(23~184)-Fc融合タンパク質およびmTβRII長鎖-Fcは、TGFβ1およびTGFβ3活性の強力な阻害剤であるが、細胞に基づくアッセイにおいてTGFβ2活性を阻害しないことが決定された。
【0482】
(実施例11)
ActRIIおよびTGFβアンタゴニストの抗腫瘍活性
ActRIIA-mFc(配列番号50のマウスFc型)、ActRIIB-mFc(配列番号58のマウスFc型)、およびTβRII長鎖(23~184)-mFc(配列番号150のマウスFc型)融合タンパク質にある可能性がある抗腫瘍活性を、同系マウス白血病モデルにおいて試験した。8週齢のBALB/cマウスに、処置を無作為に割付し(n=10匹/群)、ActRIIA-mFc(10mg/kg)、ActRIIB-mFc(10mg/kg)、TβRII長鎖(23~184)-mFc(10mg/kg)、またはビヒクル(リン酸緩衝食塩水、PBS、5ml/kg)をがん細胞の投与の2日前に開始して週に2回腹腔内に処置した。0日目、PBS(100μL)中に懸濁させたRL♂1(RLmale1)細胞1×10個を各マウスに皮下接種した。RLmale1は、BALB/c起源のX線誘導白血病である(Sato Hら、1973年、J Exp Med、138巻:593~606頁)。マウスに接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。腫瘍体積は、キャリパーによって得た2次元測定から計算した:腫瘍体積(mm)=(L×W×W)/2、式中LおよびWはそれぞれ、腫瘍の長さおよび幅(mm)である。完全な腫瘍の退縮および無腫瘍生存率(tumor-free survival)はいずれも、Teicher BA(編)Anticancer Drug Development Guide: Preclinical Screening, Clinical Trials, and Approval;Humana Press、1997年に従って定義した。地域のIACUC規則に従って、生存分析のために使用したエンドポイントは、2000mmより大きい腫瘍体積、20%より大きい体重減少、または後肢の麻痺であった。異なる群の生存曲線を、生存期間の中央値ならびにログランク(マンテル-コックス)検定によって比較した。
【0483】
以下の表に示すように、ActRIIA-mFcおよびActRIIB-mFcはいずれも、抗腫瘍活性を示した。しかし、TβRII長鎖(23~184)-mFcは、このモデルにおいていかなる認識可能な抗腫瘍活性も実証しなかった。
【表6】
【0484】
ActRIIA-mFcまたはActRIIB-mFcによる処置によって、56日目で無腫瘍状態のマウスは10匹中2匹(20%)であり、これに対し、ビヒクルおよびTβRII長鎖(23~184)-mFc処置マウスではゼロであった。生存期間の中央値の増加およびログランク検定での高い有意性もまた、ActRIIA-mFcおよびActRIIB-mFcが各々、腫瘍を有するマウスの生存を延長させたことを示している。ActRIIB-mFcに対する初回応答は、特に強く、ビヒクル処置群でのゼロと比較して、ActRIIB-mFc処置マウスの50%が34日目までに完全な腫瘍の退縮を示した。これらの結果は、ActRIIA-mFcおよびActRIIB-mFcがin
vivoで抗腫瘍活性を有し、これらのタンパク質、ならびに他のActRIIアンタゴニストががんの処置において有用であり得ることを示している。対照的に、TβRII長鎖(23~184)-mFcのデータは、TGFβ1およびTGFβ3の阻害が、抗腫瘍応答を促進するには十分ではないことを示唆している。
【0485】
同じマウス白血病モデルを使用して、ActRIIB-hFc(配列番号58のホモ二量体)が、ActRIIB-mFcと類似の抗腫瘍活性を有するか否か、および抗腫瘍活性がT細胞媒介免疫に依存するか否かを評価した。8週齢のBALB/cマウスに、処置(n=10匹/群)を無作為に割付し、ActRIIB-mFc(10mg/kg)、ActRIIB-hFc(10mg/kg)、またはビヒクル(PBS、5ml/kg)を、がん細胞投与の2日前から開始して週に2回腹腔内に処置した。加えて、T細胞免疫が欠損している7週齢のNCrヌードマウスに、処置(n=10匹/群)を無作為に割付し、ActRIIB-mFc(10mg/kg)、ActRIIB-hFc(10mg/kg)、またはビヒクル(PBS、5ml/kg)を、がん細胞投与の2日前から開始して週に2回腹腔内に処置した。最後に、上記の実験期間の間およそ7週間無腫瘍のままであったマウス4匹(ActRIIA-mFcを処置したマウス2匹およびActRIIB-mFcを処置したマウス2匹)に、RLmale1細胞を再チャレンジし、抗腫瘍免疫の記憶に関して試験した。0日目、各マウスに、PBS(100μL)に懸濁させたRL♂1(RLmale1)細胞1×10個を皮下接種した。マウスに接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。地域のIACUC規則に従って、生存分析のために使用したエンドポイントは、2000mmより大きい腫瘍体積、20%より大きい体重減少、または後肢の麻痺であった。
【0486】
以下の表に示すように、ActRIIB-mFcおよびActRIIB-hFcの抗腫瘍効果はマウスの系統に依存した。
【表7】
【0487】
ActRIIB-hFcおよびActRIIB-mFcはいずれも、以下の表に示すように免疫コンピテントなBALB/cマウスにおいて抗腫瘍活性を示した。ActRIIB-mFcまたはActRIIB-hFcによる処置によって、ビヒクル処置マウスでのゼロと比較して、56日目で無腫瘍状態のマウスはそれぞれ10%または30%であった。増加した生存期間の中央値およびログランク検定における高い有意性もまた、ActRIIB-mFcおよびActRIIB-hFcの各々が、腫瘍を有するマウスの生存を促進したことを実証している。重要なことに、NCrヌードマウスにおけるActRIIB-mFcおよびActRIIB-hFcの抗腫瘍効果は、存在しなかったか、またはBALB/cマウスと比較して顕著に鈍化し、それによって、ActRIIBリガンドのこれらの阻害剤の作用機序におけるT細胞免疫の関与を暗示していた。その上、前回の実験から引き継いだ4匹の無腫瘍マウスは全て、RLmale1腫瘍細胞の繰り返し接種にもかかわらず、本実験を通して検出可能な腫瘍の成長を示さなかった。これらの結果は、免疫細胞が、BALB/cバックグラウンドにおけるActRIIA-mFcまたはActRIIB-mFcによる処置によって引き起こされたRLmale1腫瘍の退縮を媒介するという証拠、および有効な抗腫瘍免疫応答が腫瘍抗原に対する免疫学的記憶を生成したという証拠をさらに提供する。さらに、これらの結果は、in vivoでのActRIIB-hFcおよびActRIIB-mFcの抗腫瘍活性を確認し、この活性におけるT細胞免疫の関与を強く暗示する。まとめると、データは、ActRIIアンタゴニストを使用して、in vivoで免疫活性を増強することができることを示唆しており、このためそのようなアンタゴニストは、免疫活性の増加が望ましい様々な障害および状況(例えば、免疫-腫瘍学応用ならびに多様な病原体の処置)を処置するために有用であり得る。
【0488】
(実施例12)
ActRIIおよびTGFβアンタゴニスト組合せ治療の抗腫瘍活性
実施例11に記載されるモデルと同じマウス白血病モデルを使用して、本出願人らは、ActRIIB-hFc抗腫瘍活性を、TGFβアンタゴニストと組み合わせることによって増強することができるか否かを調べた。組合せ試験に関して、汎特異的TGFβ抗体(TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に高い親和性で結合する抗体)を、TGFβアンタゴニストとして使用した。
【0489】
8週齢のBALB/cマウスに、処置(n=10匹/群)を無作為に割付し、ActRIIB-hFc(10mg/kg)、TGFβ抗体(mAb)(10mg/kg)、ActRIIA-hFcとTGFβ mAbの組合せ(いずれも10mg/kg)、またはビヒクル(リン酸緩衝食塩水、PBS、5ml/kg)を、がん細胞投与の2日前から開始して週に2回腹腔内に処置した。0日目に、各マウスに、PBS(100μL)中に懸濁させたRL♂1(RLmale1)細胞1×10個を皮下接種した。RLmale1は、BALB/c起源のX線誘発白血病である(Sato Hら、1973年、J Exp Med、138巻:593~606頁)。マウスへの接種後、体重および腫瘍体積を先の実施例に記載したように週に2回測定した。異なる群の生存曲線を、生存期間の中央値ならびにログランク(マンテル-コックス)検定によって比較した。
【0490】
以下の表に示すように、ActRIIアンタゴニストとTGFβアンタゴニストの組合せ治療は、各々のアンタゴニスト単独に関して観察された場合より大きい抗腫瘍活性を示した。
【表8】
【0491】
ActRIIB-hFc単独またはTGFβ mAb単独による処置は、このモデルにおいて腫瘍の退縮に対し控えめな効果を示し、それぞれ、30%および20%が無腫瘍状態であった。ActRIIB-hFcとTGFβ mAbの組合せ治療によって、抗腫瘍活性の驚くべき有意な増加が起こり、70%が無腫瘍状態であり、生存期間の中央値はほぼ倍加した。この型の相乗効果は一般的に、個々の作用剤が異なる細胞機序を通して作用するという証拠であると考えられている。したがって、ActRIIまたはTGFβRIIシグナル伝達経路のいずれかを阻害しても、抗腫瘍活性を促進し得るが、両方の経路の阻害を使用すると、抗腫瘍活性の増加が望ましいそのような実験的または臨床的状況において、抗腫瘍活性を相乗的に増加させることができる。まとめると、これらのデータは、ActRIIおよびTGFβアンタゴニストは単独で使用することができるが、特にがんを処置するために組み合わせて使用することができることを示している。
【0492】
さらに、TGFβ mAb処置単独の抗腫瘍活性は、このモデルにおいていかなる抗腫瘍活性も有しないことが観察されたTβRII長鎖(23~184)-mFcに関する上記のデータを考慮すると意外である。このことは、TGFβシグナル伝達経路の抗腫瘍活性の機序に対するさらなる洞察を提供し得る。既に記載したように、TβRII長鎖(23~184)-mFcは、高い親和性でTGFβ1およびTGFβ3に結合し、細胞に基づくアッセイにおいてTGFβ1およびTGFβ3シグナル伝達を中和することができる。しかし、TβRII長鎖(23~184)-mFcは、TGFβ2に結合しない。これに対し、本試験で使用したTGFβ mAbは、TGFβの3つ全てのアイソフォーム(TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3)に対して高い親和性で結合する。活性の差を考慮すると、これらのデータは、TGFβ2が、TGFβ2およびTGFβ3と比較して腫瘍の発達にとってより重要であり得ることを示している。したがって、少なくともTGFβ2活性を阻害するTGFβアンタゴニストは、抗腫瘍応答の促進において有用であり得る。その上、データは、TGFβ2アンタゴニストをActRIIアンタゴニストと共に使用すると、抗腫瘍活性を相乗的に増加させることができ、このように、そのような組合せ治療はがんの処置において有用であり得ることを示唆している。
【0493】
参照による組み入れ
本明細書において言及した全ての刊行物および特許は、各々の個々の刊行物または特許が具体的におよび個々に参照により組み込まれていると示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0494】
主題の特定の実施形態を考察してきたが、上記の明細書は、例示的であり、制限的ではない。多くのバリエーションが、本明細書および以下の特許請求の範囲を再検討することにより当業者に明らかとなるであろう。本発明の完全な範囲は、特許請求の範囲を、その、均等物の完全な範囲と共に参照して、および本明細書を、そのようなバリエーションと共に参照することによって決定すべきである。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
患者の免疫応答を誘導または強化するための方法であって、それを必要とする患者に
a. ActRIIアンタゴニスト、および
b. TGFβアンタゴニスト
を投与することを含み、前記ActRIIアンタゴニストおよび前記TGFβアンタゴニストは、有効量で投与される方法。
(項目2)
患者のがんまたは腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、
a. ActRIIアンタゴニスト、および
b. TGFβアンタゴニスト
を投与することを含み、前記ActRIIアンタゴニストおよび前記TGFβアンタゴニストは、有効量で投与される方法。
(項目3)
患者の免疫疲弊を処置または予防するための方法であって、それを必要とする患者に、
a. ActRIIアンタゴニスト、および
b. TGFβアンタゴニスト
を投与することを含み、前記ActRIIアンタゴニストおよび前記TGFβアンタゴニストは、有効量で投与される方法。
(項目4)
抗原に対する患者の免疫応答を誘導または強化するための方法であって、それを必要とする患者に、i)TGFβアンタゴニスト、ii)ActRIIアンタゴニスト、およびiii)前記抗原を投与することを含み、前記TGFβアンタゴニスト、前記ActRIIアンタゴニスト、および前記抗原は、有効量で投与される方法。
(項目5)
病原体またはがんに対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、i)TGFβアンタゴニスト、ii)ActRIIアンタゴニスト、およびiii)病原体またはがん抗原を投与することを含み、前記TGFβアンタゴニスト、前記ActRIIアンタゴニスト、および前記抗原は、前記患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法。
(項目6)
ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための方法であって、患者に、i)TGFβアンタゴニストおよびiii)ActRIIアンタゴニストを、前記ワクチンにより誘導される前記患者の免疫応答を強化するために有効な量で投与することを含む方法。
(項目7)
患者の免疫応答を強化するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)アンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目8)
患者のがんまたは腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目9)
患者の免疫疲弊を処置または予防するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のTGFβアンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目10)
抗原に対する患者の免疫応答を誘導または強化するための方法であって、それを必要とする患者に、i)TGFβアンタゴニストおよびii)前記抗原を投与することを含み、前記TGFβアンタゴニストおよび前記抗原は、有効量で投与される方法。
(項目11)
病原体またはがんに対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、i)TGFβアンタゴニストおよびii)病原体またはがん抗原を投与することを含み、前記TGFβアンタゴニストおよび前記抗原は、前記患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法。
(項目12)
ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための方法であって、患者に、TGFβアンタゴニストを、前記ワクチンにより誘導される前記患者の免疫応答を強化するために有効な量で投与することを含む方法。
(項目13)
前記患者は、がんまたは腫瘍を有する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目14)
開始または強化された免疫応答は、がんまたは腫瘍に対するものである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目15)
前記開始または強化された免疫応答は、前記患者のがんまたは腫瘍細胞の成長を阻害する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目16)
前記開始または強化された免疫応答は、前記患者のがんまたは腫瘍細胞の負荷を減少させる、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目17)
前記開始または強化された免疫応答は、がんまたは腫瘍転移を処置または予防する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目18)
前記がんまたは腫瘍は、前記患者の免疫抑制を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目19)
前記がんまたは腫瘍は、前記患者の免疫細胞疲弊を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目20)
前記がんまたは腫瘍は、T細胞疲弊を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目21)
前記がんまたは腫瘍は、免疫療法に応答性である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目22)
前記患者は、白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)からなる群から選択されるがんまたは腫瘍を有する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目23)
前記開始または強化された免疫応答は、病原体に対するものである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目24)
開始、刺激または強化された免疫応答は、病原体による前記患者の感染を処置または予防する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目25)
前記病原体は、前記患者の免疫抑制を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目26)
前記病原体は、前記患者の免疫細胞疲弊を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目27)
前記病原体は、T細胞疲弊を促進する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目28)
前記病原体は、免疫療法に応答性である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目29)
前記病原体は、細菌性、ウイルス性、真菌性、または寄生虫性病原体からなる群から選択される、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目30)
前記患者は、免疫疲弊を発症するリスクがある、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目31)
前記患者は、免疫疲弊に関連した疾患または状態を有する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目32)
前記開始または強化された免疫応答は、T細胞免疫応答を含む、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目33)
前記抗原は、がんまたは腫瘍抗原である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目34)
前記がんまたは腫瘍抗原は、白血病、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん)、腎細胞癌、膀胱がん、中皮腫(例えば、転移性中皮腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、多形性神経膠芽腫、および肉腫(例えば、転移性肉腫)からなる群から選択されるがんまたは腫瘍に関連する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目35)
前記抗原は、病原体抗原である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目36)
前記病原体抗原は、細菌性病原体、ウイルス性病原体、真菌性病原体、または寄生虫性病原体からなる群から選択される病原体に関連する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目37)
前記がんまたは病原体抗原は、ワクチン接種プロトコールに従って投与される、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目38)
前記開始または強化された免疫応答は、がんまたは病原体に対して前記患者にワクチン接種する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目39)
前記患者に、がんまたは腫瘍を処置するための1つまたは複数の追加の活性剤および/または支持療法がさらに投与される、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目40)
前記患者に、病原体を処置するための1つまたは複数の追加の活性剤および/または支持療法がさらに投与される、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目41)
前記患者に、1つまたは複数の追加の免疫腫瘍学的作用剤がさらに投与される、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目42)
前記1つまたは複数の追加の免疫腫瘍学的作用剤は、アレムツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、PD-L1抗体)、CD20指向性細胞溶解結合剤(例えば、CD-20抗体)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)結合剤(例えば、CTLA-4抗体)、およびプログラム死受容体1(PD-1)結合剤(例えば、PD-1抗体)からなる群から選択される、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記患者は、自己免疫疾患を有していない、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目44)
前記患者は、組織もしくは臓器移植を経験している最中でもなく、組織もしくは臓器移植を受けたこともない、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目45)
前記患者は、移植片対宿主疾患を有していない、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目46)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ2に結合する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目47)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ2を阻害する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目48)
前記TGFβアンタゴニストは、細胞に基づくアッセイにてTGFβ2を阻害する、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ1および/またはTGFβ3を阻害し、さらに結合する、項目46~48のいずれかに記載の方法。
(項目50)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ1および/またはTGFβ3を阻害する、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ1および/またはTGFβ3に実質的に結合しない(例えば、1×10-7Mよりも大きなKでTGFβ1および/またはTGFβ3に結合する)、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記TGFβアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目53)
前記抗体は、TGFβ2に結合する、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に結合する、項目52に記載の方法。
(項目56)
前記抗体は、多重特異性抗体である、項目52~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記抗体は、二重特異性抗体である、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する、項目52~57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンに結合する、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンAに結合する、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記抗体または抗体の組合せは、i)ActRIIA、ii)ActRIIB、またはiii)ActRIIAおよびActRIIBにさらに結合する、項目52~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記抗体は、フレソリムマブである、項目55に記載の方法。
(項目63)
前記TGFβアンタゴニストは、TGFβRIIポリペプチドである、項目1~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記TGFβRIIポリペプチドは、
a)配列番号34のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
b)配列番号35のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択される、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記TGFβRIIポリペプチドは、免疫グロブリンFcドメインをさらに含む融合タンパク質である、項目63または64に記載の方法。
(項目66)
前記免疫グロブリンFcドメインは、IgG1 Fc免疫グロブリンドメインである、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記融合タンパク質は、前記TGFβRIIポリペプチドドメインと前記免疫グロブリンFcドメインとの間に位置するリンカードメインを含む、項目65または66に記載の方法。
(項目68)
前記リンカーは、GGG(配列番号27)、GGGG(配列番号28)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、TGGG(配列番号31)、SGGG(配列番号32)、またはGGGGS(配列番号33)からなる群から選択される、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記融合タンパク質は、
a.配列番号148のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
b.配列番号150のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択される、項目65~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、および脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、項目63~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化されており、哺乳動物グリコシル化パターンを有する、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株から取得可能なグリコシル化パターンを有する、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記融合タンパク質のポリペプチドは、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目63~72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、TGFβ1およびTGFβ3を阻害する、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記ActRIIアンタゴニストは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目76)
前記ActRIIアンタゴニストは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドを阻害する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目77)
前記ActRIIアンタゴニストは、アクチビンAに結合する、項目75に記載の方法。
(項目78)
前記ActRIIアンタゴニストは、アクチビンAを阻害する、項目76に記載の方法。
(項目79)
前記ActRIIBアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目80)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンAに結合する、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記抗体は、多重特異性抗体である、項目79~81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
前記抗体は、二重特異性抗体である、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する、項目79~83のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ2に結合する、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目84に記載の方法。
(項目87)
前記抗体または抗体の組合せは、i)ActRIIA、ii)ActRIIB、またはiii)ActRIIAおよびActRIIBにさらに結合する、項目79~86のいずれか一項に記載の方法。
(項目88)
前記抗体は、フレソリムマブである、項目84に記載の方法。
(項目89)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIAポリペプチドである、項目1~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記ActRIIAポリペプチドは、
a.配列番号10のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号11のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
c.配列番号9のアミノ酸30~110の配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択される、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIBポリペプチドである、項目1~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記ActRIIBポリペプチドは、
a.配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号1のアミノ酸25~131と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号5のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
f.配列番号6のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
g.配列番号65のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
h.配列番号68のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
i.配列番号69のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
j.配列番号133のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択される、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記ポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位に酸性アミノ酸を含まない、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記ポリペプチドは、配列番号1を基準にして79位にDもEも含まない、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記ActRIIAまたはActRIIBポリペプチドは、免疫グロブリンFcドメインをさらに含む融合タンパク質である、項目89~94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記免疫グロブリンFcドメインは、IgG1 Fc免疫グロブリンドメインである、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記融合タンパク質は、前記ActRIIAまたはActRIIBポリペプチドドメインと前記免疫グロブリンFcドメインとの間に位置するリンカードメインを含む、項目95または96に記載の方法。
(項目98)
前記リンカーは、GGG(配列番号27)、GGGG(配列番号28)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、TGGG(配列番号31)、SGGG(配列番号32)、またはGGGGS(配列番号33)からなる群から選択される、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記融合タンパク質は、
a.配列番号50のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号54のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
c. c)配列番号57のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるActRIIA-Fc融合タンパク質である、項目95~98のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記融合タンパク質は、
a.配列番号58のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号60のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号63のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号64のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号66のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
f.配列番号70のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
g.配列番号123のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
h.配列番号131のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
i.配列番号132のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるActRIIB-Fc融合タンパク質である、項目95~98のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、および脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、項目89~100のいずれか一項に記載の方法。
(項目102)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化されており、哺乳動物グリコシル化パターンを有する、項目101に記載の方法。
(項目103)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株から取得可能なグリコシル化パターンを有する、項目102に記載の方法。
(項目104)
前記融合タンパク質のポリペプチドは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する、項目89~103のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記融合タンパク質のポリペプチドは、アクチビンAに結合する、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドを阻害する、項目89~105のいずれか一項に記載の方法。
(項目107)
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質は、アクチビンAを阻害する、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記ActRIIアンタゴニストは、ALK4ポリペプチドおよびActRIIBポリペプチドを含むヘテロ多量体である、項目1~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
前記ALK4ポリペプチドは、
a.配列番号14のアミノ酸24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34のいずれか1つから開始し、配列番号14のアミノ酸101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126のいずれか1つで終了するアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号14のアミノ酸34~101と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号14のアミノ酸24~126と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号15のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号19のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
から選択されるポリペプチドを含む、項目108に記載の方法。
(項目110)
前記ActRIIBポリペプチドは、
a.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つから開始し、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終了するアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号1のアミノ酸29~109と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号1のアミノ酸25~131と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
f.配列番号5のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
g.配列番号6のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
から選択されるポリペプチドを含む、項目108または109に記載の方法。
(項目111)
前記ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のL79に対応する位置に酸性アミノ酸を含まない、項目108~110のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目112)
前記ALK4ポリペプチドは、相互作用対の第1のまたは第2のメンバーを含む異種性ドメインをさらに含む融合タンパク質である、項目108~111のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目113)
前記ActRIIBポリペプチドは、相互作用対の第1のまたは第2のメンバーを含む異種性ドメインをさらに含む融合タンパク質である、項目108~112のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目114)
前記異種性ドメインは、Fc免疫グロブリンドメインである、項目112または113に記載のヘテロ多量体。
(項目115)
前記ALK4ポリペプチドおよび/またはActRIIBポリペプチドは、ヘテロ多量体形成を促進する1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、項目108~114のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目116)
前記ALK4および/またはActRIIB融合タンパク質は、前記ALK4および/またはActRIIBドメインと前記異種性ドメインとの間に位置するリンカードメインをさらに含む、項目112~115のいずれか一項に記載の方法。
(項目117)
前記リンカードメインは、TGGG(配列番号31)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、GGGGS(配列番号33)、GGG(配列番号27)、GGGG(配列番号28)、およびSGGG(配列番号32)からなる群から選択される、項目116に記載の方法。
(項目118)
前記ALK4融合タンパク質は、
a.配列番号74のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号76のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号79のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号80のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号143のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
f.配列番号145のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドを含む、項目112~117のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目119)
前記ActRIIB融合タンパク質は、
a.配列番号71のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b.配列番号73のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c.配列番号77のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
d.配列番号78のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
e.配列番号139のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
f.配列番号141のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドを含む、項目112~118のいずれか一項に記載のヘテロ多量体。
(項目120)
前記ALK4および/またはActRIIBポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、および脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、項目108~119のいずれか一項に記載の方法。
(項目121)
前記ALK4および/またはActRIIBポリペプチドまたは融合タンパク質は、グリコシル化されており、哺乳動物グリコシル化パターンを有する、項目120に記載の方法。
(項目122)
前記ALK4および/またはActRIIBポリペプチドまたは融合タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株から取得可能なグリコシル化パターンを有する、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記ヘテロ多量体は、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、およびBMP6からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する、項目108~122のいずれか一項に記載の方法。
(項目124)
前記ヘテロ多量体は、アクチビンAに結合する、項目123に記載の方法。
(項目125)
前記ヘテロ多量体は、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、およびBMP6からなる群から選択される1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンドを阻害する、項目108~124のいずれか一項に記載の方法。
(項目126)
前記ヘテロ多量体は、アクチビンAを阻害する、項目125に記載の方法。
(項目127)
前記ヘテロ多量体は、BMP10、BMP9、およびGDF3からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合しないかまたは実質的に結合しない、項目108~126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記ヘテロ多量体は、対応するActRIIBホモ多量体と比較してより低い親和性で、BMP10、BMP9、またはGDF3の1つまたは複数に結合する、項目108~127のいずれか一項に記載の方法。
(項目129)
前記ヘテロ多量体は、医薬調製物中にある、項目108~128のいずれか一項に記載の方法。
(項目130)
前記医薬調製物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満のALK4ホモ多量体を含む、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記医薬調製物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満のActRIIBホモ多量体を含む、項目129または130に記載の方法。
(項目132)
前記ヘテロ多量体は、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体である、項目108~131のいずれか一項に記載の方法。
(項目133)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIAおよび/またはActRIIBに結合する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目134)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIAおよび/またはActRIIBを阻害する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目135)
前記ActRIIアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである、項目133または134に記載の方法。
(項目136)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIAおよび/またはActRIIBに結合する、項目135に記載の方法。
(項目137)
前記抗体は、多重特異性抗体である、項目133~136のいずれか一項に記載の方法。
(項目138)
前記抗体は、二重特異性抗体である、項目137に記載の方法。
(項目139)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する、項目133~138のいずれか一項に記載の方法。
(項目140)
前記抗体または抗体の組合せは、アクチビンAに結合する、項目139に記載の方法。
(項目141)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ2に結合する、項目139または140に記載の方法。
(項目142)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目139または140に記載の方法。
(項目143)
前記抗体または抗体の組合せは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に結合する、項目139または140に記載の方法。
(項目144)
前記抗体は、フレソリムマブである、項目143に記載の方法。
(項目145)
患者の免疫応答を誘導または強化するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のActRII:TGFβアンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目146)
患者のがんまたは腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のActRII:TGFβアンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目147)
患者の免疫疲弊を処置または予防するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のActRII:TGFβアンタゴニストを投与することを含む方法。
(項目148)
抗原に対する患者の免疫応答を誘導または強化するための方法であって、それを必要とする患者に、i)ActRII:TGFβアンタゴニストおよびii)前記抗原を投与することを含み、前記ActRII:TGFβアンタゴニストおよび前記抗原は、有効量で投与される方法。
(項目149)
病原体またはがんに対して患者にワクチン接種するための方法であって、それを必要とする患者に、i)ActRII:TGFβアンタゴニストおよびii)病原体またはがん抗原を投与することを含み、前記ActRII:TGFβアンタゴニストおよび前記抗原は、前記患者のワクチン接種に有効な量で投与される方法。
(項目150)
ワクチンにより誘導された患者の免疫応答を強化するための方法であって、患者に、ActRII:TGFβアンタゴニストを、前記ワクチンにより誘導される前記患者の免疫応答を強化するために有効な量で投与することを含む方法。
(項目151)
項目13~144のいずれか一項に記載のように実施される、項目145~150のいずれか一項に記載の方法。
(項目152)
前記ActRIIアンタゴニストは、ActRIIAおよび/またはActRIIBに結合する抗体であり、前記TGFβアンタゴニストは、TGFβ2に結合する抗体である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目153)
前記TGFβ抗体は、TGFβ1および/またはTGFβ3にさらに結合する、項目152に記載の方法。
(項目154)
前記TGFβアンタゴニストは、ベータ-グリカンポリペプチドである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
(項目155)
前記ベータ-グリカンポリペプチドは、可溶性である、項目154に記載の方法。
(項目156)
前記ベータ-グリカンポリペプチドは、Fc融合タンパク質である、項目154または155に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
【配列表】
2023012552000001.app
【外国語明細書】