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  • 特開-新規肝性脳症治療剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012557
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】新規肝性脳症治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20230119BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230119BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61K31/47
A61P1/16
A61P25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020020397
(22)【出願日】2020-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 功
(72)【発明者】
【氏名】岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 千之
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キノロン化合物を有効成分とする肝性脳症の治療および/または予防剤の提供。
【解決手段】1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物を有効成分として含有する、肝性脳症の治療および/または予防するための薬剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物を有効成分として含有する、肝性脳症の治療および/または予防するための薬剤。
【請求項2】
代謝物が、(2S,3S,4S,5R,6R)-6-((7-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボニル)オキソ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸、7-(6-アミノ-5-カルバモイルピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸、または7-(6-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸エチルである、請求項1の薬剤。
【請求項3】
経口剤である、請求項1または2の薬剤。
【請求項4】
有効成分の一日投与量が0.5mg~6000mgであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの薬剤。
【請求項5】
治療上の有効量の1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物を、治療が必要な患者に投与することを特徴とする、肝性脳症の治療および/または予防方法。
【請求項6】
肝性脳症の治療および/または予防するための薬剤を製造するための、1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物の使用。
【請求項7】
肝性脳症の治療および/または予防するために使用する、1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝性脳症の治療および/または予防剤、さらに詳しくは、キノロン化合物を有効成分とする肝性脳症の治療および/または予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肝性脳症は、アンモニア代謝能低下等に伴う高アンモニア血症により神経症状が引き起こされ、脳症が発症すると考えられている。
【0003】
肝性脳症の治療には、高アンモニア血症の治療剤として合成二糖類(ラクツロースなど)や低吸収性の抗菌薬(リファキシミンなど)が使用されている(非特許文献1)。抗菌剤であるリファキシミンは腸内におけるアンモニア産生菌を含む腸内細菌の減少を作用機序とし(非特許文献2および3)、肝性脳症における高アンモニア血症の適応を取得している。しかしながら、これらの薬剤を用いても、高アンモニア血症の完治には至っておらず、既存薬よりも強い薬効を持つ治療剤が求められている。
【0004】
特許文献1には、特定のキノロン系抗菌剤が開示されており、それらの抗菌剤が腸管内に生息しているクロストリジオイデス・ディフィシルに対する抗菌活性を示すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2013/029548
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Montagnese S, et al., Dig Liver Dis. 2019; 51: 190-205.
【非特許文献2】Finegold SM, et al., Antimicrob Agents Chemother. 2009; 53: 281-6.
【非特許文献3】J. M. Sierra, et al., Antimicrob Agents Chemother. 2001; 45: 643-644.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、肝性脳症を治療および/または予防するための、既存薬より有効な新たな薬剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、公知のキノロン系抗菌剤である1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸が、肝性脳症における高アンモニア血症の治療薬として認められている既存薬よりも門脈血中のアンモニア濃度を減少させることができ、肝性脳症の治療に有効であり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[項1]1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物を有効成分として含有する、肝性脳症の治療および/または予防するための薬剤。
【0010】
[項2]代謝物が、(2S,3S,4S,5R,6R)-6-((7-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボニル)オキソ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸、7-(6-アミノ-5-カルバモイルピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸、または7-(6-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸エチルである、項1の薬剤。
【0011】
[項3]経口剤である、項1または2の薬剤。
【0012】
[項4]有効成分の一日投与量が0.5mg~6000mgであることを特徴とする、項1~3のいずれかの薬剤。
【0013】
[項5]治療上の有効量の1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物を、治療が必要な患者に投与することを特徴とする、肝性脳症の治療および/または予防方法。
【0014】
[項6]肝性脳症の治療および/または予防するための薬剤を製造するための、1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物の使用。
【0015】
[項7]肝性脳症の治療および/または予防するために使用する、1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸またはその医薬的に許容される塩またはその代謝物。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化合物は、門脈血中のアンモニア濃度を低下させることができ、更に既存の肝性脳症における高アンモニア血症の治療薬リファキシミンよりも強いアンモニア濃度の低下作用を有することから、新規な肝性脳症の治療および/または予防薬として期待される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】試験例1の結果を示す。
図2】試験例2の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明化合物の1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸は以下の式(1)の構造を有し、特許文献1において化合物番号2-18として開示され、その製造方法およびクロストリジオイデス・ディフィシルに対する抗菌活性も開示されている。またその代謝物はそれぞれ式(2)~(4)の構造を有する、(2S,3S,4S,5R,6R)-6-((7-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボニル)オキソ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸、7-(6-アミノ-5-カルバモイルピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸、および7-(6-アミノ-5-シアノピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-6-フルオロ-8-メチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸エチルであり、これらもまた本発明の化合物に包含される。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0019】
本発明化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
また、本発明化合物のいずれか1つ又は2つ以上のHをH(D)に変換した重水素変換体も本発明化合物に包含される。
結晶として得られる本発明化合物及びその医薬的に許容される塩には、結晶多形が存在する場合があり、その結晶多形も本発明に包含される。
【0020】
「医薬的に許容される塩」とは、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、又はグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられ、各種の塩基と塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。
【0021】
本発明において「肝性脳症」とは、高アンモニア血症により神経症状が引き起こされ、脳症が発症すると考えられている。症状としては、自覚症状の認められないものから昏睡まで程度に差があり、睡眠リズムの逆転、見当識の障害、羽ばたき振戦、興奮状態、譫妄状態、意識消失、昏睡などが起こる疾患である。高アンモニア血症の原因として、劇症肝炎や肝硬変などの重篤な肝障害や尿素サイクル異常症などの尿路回路欠損によるもの、門脈大循環シャントの形成によるもの、ウレアーゼ産生菌感染症によるもの、または先に挙げた要因が複数合わさったものがある。
【0022】
本発明化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg~100mg、好ましくは約0.05mg~50mg、より好ましくは約0.1mg~20mg、更に好ましくは約1mg~10mgを1~数回に分けて投与することができ、具体的には一日投与量はヒトで約0.5mg~6000mg、好ましくは約3mg~3000mg、より好ましくは約6mg~1200mg、更に好ましくは約60mg~600mgである。
【0023】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水、適当な水溶液又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。製剤は、製薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。
【0024】
本発明の化合物が単一の製剤で調製される場合、これに限らないが、例えば本発明の化合物がその製剤の組成物全体に対して0.1~85重量%含まれ得る。好ましくは、本発明の化合物がその製剤の組成物全体に対して10~70重量%である。
【0025】
更に、本発明化合物は、その効果の増強および/または副作用の軽減等を目的として、他の薬物と併用又は組み合わせて用いることができる。併用又は組み合わせて用いることができる他の薬物としては、例えば、リファキシミン、ラクツロース、ラクチトールである。
【実施例0026】
以下に本発明を試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
以下に、本発明化合物の門脈血中アンモニア濃度への影響について、ラットを用いて検討した。なお、ここで用いた本発明化合物(以下、「被験物質」という)と対照薬剤の入手は以下に示す。
被験物質[1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メチル-7-(2-アミノ-3-シアノ-5-ピリジル)-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸]:大塚製薬株式会社より入手
対照薬剤(リファキシミン):Sigma-Aldrichより入手
【0028】
試験例1.門脈血中アンモニア濃度への本被験物質の影響
肝性脳症における意識障害の主要因子の一つとして高アンモニア血症が考えられている。食物から腸内細菌の代謝によって産生されるアンモニアは、腸管で吸収後、門脈を介して肝臓へ輸送される。本試験では、正常ラットにおける門脈血中のアンモニア濃度に対する被験物質の効果を検討した。
【0029】
(投与液の調製)
被験物質を5%アラビアゴムに懸濁させ、0.02mg/mL、0.2mg/mL、および2mg/mLの3濃度の懸濁液を用時調製した。
【0030】
(試験方法)
雄の正常SDラットを、体重を指標に下記の群分けを行い、下記の投与液を用いて、各投与群の用量に対応する量の投与液を1日1回経口投与した。1回目の投与をした投与開始日を0日目とし、1日目、3日目、5日目に、各群8匹のラットを取り出し、それぞれから門脈血を採取し、ドライケミストリー法により、血中のアンモニア濃度を測定した。なお門脈血の採取は1点に1個体を供する必要があり、同一個体から経時的に採取することができない。そのため各群の基準値としての0日目のアンモニア濃度測定は未実施とし、体重を指標にした群分けにより0日目投与開始前時点での各群の門脈血中アンモニア濃度は同等であると見做して試験を実施した。
【0031】
(結果)
各群で各測定日の8匹の門脈血中のアンモニア濃度の平均値を計算し、まとめた結果を図1に示す。被験物質投与群は、コントロール投与群に比べて、1 mg/kg以上において有意に門脈血中アンモニア濃度低下作用を示した。
【0032】
試験例2.門脈血中アンモニア濃度への影響についての本被験物質と対照薬剤との比較
本発明の被験物質の門脈血中アンモニア濃度低下作用を、肝性脳症における高アンモニア血症の治療に用いられている既存の抗菌薬リファキシミンを用いて、上記試験例1と同様の方法によりその効果を比較した。
【0033】
(投与液の調製)
被験物質またはリファキシミンを5%アラビアゴムに懸濁させ、2mg/mLの懸濁液をそれぞれ用時調製した。
【0034】
(試験方法)
雄の正常SDラットを、体重を指標に下記の群分けを行い、下記の投与液を用いて、各投与群の用量に対応する量の投与液を1日1回経口投与した。1回目の投与をした投与開始日を0日目とし、5日目、7日目、10日目に、各群5匹のラットを取り出し、それぞれから門脈血を採取し、ドライケミストリー法により、血中のアンモニア濃度を測定した。なお門脈血の採取は1点に1個体を供する必要があり、同一個体から経時的に採取することができない。そのため各群の基準値としての0日目のアンモニア濃度測定は未実施とし、体重を指標にした群分けにより0日目投与開始前時点での各群の門脈血中アンモニア濃度は同等であると見做して試験を実施した。
【0035】
(結果)
各群で各測定日の5匹の門脈血中のアンモニア濃度の平均値を計算し、まとめた結果を図2に示す。被験物質投与群およびリファキシミン投与群は、コントロール群に比べて、有意に門脈血中アンモニア濃度低下作用を示した。さらに被験物質投与群はリファキシミン投与群に比べて、有意に門脈血中アンモニア濃度低下作用を示した。
図1
図2