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  • 特開-漏電遮断器の防水カバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125570
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】漏電遮断器の防水カバー
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20230831BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01H73/02 D
H01H9/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029756
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】友塚 昭之
【テーマコード(参考)】
5G030
5G052
【Fターム(参考)】
5G030AB01
5G052AA01
5G052AA05
5G052BB07
5G052HA01
5G052HA13
(57)【要約】
【課題】防水性能および操作性を長期間に亘って維持できる漏電遮断器の防水カバーを提供する。
【解決手段】遮断器本体12の開口14から外方に突出する操作レバー16に、防水カバー18が装着される。防水カバー18は、操作レバー16が挿入される装着部22と、装着部22に連接されて開口14を覆う被覆部24とが設けられる。防水カバー18は、装着部22に設けた凸部を、操作レバー16に形成した凹部に嵌合することで該操作レバー16に装着される。防水カバー18は、被覆部24で開口14を常に覆う状態で、操作レバー16の操作に伴って一体で操作レバー16の操作方向に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の開口から外方に操作レバーが突出する漏電遮断器の防水カバーであって、
前記操作レバーを装着部に挿入することで、該操作レバーと一体で移動するよう装着され、
前記装着部に、該装着部と一体で移動して前記開口を常に覆う被覆部を連設した
ことを特徴とする漏電遮断器の防水カバー。
【請求項2】
前記装着部の内部に設けた嵌合部を、前記操作レバーに設けた被嵌合部に嵌合する嵌合構造によって、該操作レバーに装着される請求項1記載の漏電遮断器の防水カバー。
【請求項3】
前記被覆部は、前記装着部に前記操作レバーを挿入した状態で、前記本体における操作レバーの操作方向に弧状に形成された表面に沿う弧状となるよう構成した請求項1または2記載の漏電遮断器の防水カバー。
【請求項4】
前記被覆部に、前記操作レバーの操作方向に沿って延在するリブを設けた請求項1~3の何れか一項に記載の漏電遮断器の防水カバー。
【請求項5】
前記被覆部における前記操作レバーの操作方向と交差する幅方向の両側に、被覆部より肉厚が小さい張出し部を設けた請求項1~4の何れか一項に記載の漏電遮断器の防水カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電装機器に設けられる漏電遮断器の防水カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫、冷凍庫、冷却貯蔵庫、製氷機、洗浄機等の各種電装機器に設けられる漏電遮断器には、操作レバー付近から水滴等が内部に侵入することを防止する防水カバーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の防水カバーは、漏電遮断器ケースを覆うゴム製防水カバーに設けた袋部内へ操作ハンドルを没入させ、防水カバーの弾性を利用して、漏電発生時における操作ハンドルの変位、及び、リセット時における操作ハンドルの操作がそれぞれ可能となるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1-142142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の防水カバーは、漏電遮断器ケースに取り付けられる取付部に、胴部を介して袋部が突出するように設けられ、袋部に没入されている操作ハンドルを操作する際には、固定されている取付部に対して胴部が変形することで、操作ハンドルの変位を許容するよう構成されている。このため、防水カバーが長期間の使用により経時的に劣化して全体的に硬質化すると、操作ハンドルの操作時に大きく変形する胴部に亀裂を生じ、防水性能が低下する問題があった。また、胴部の変形は、操作ハンドルの変位に対して抵抗となるため、防水カバーの硬質化により抵抗が経時的に大きくなり、操作性が低下する難点も指摘される。
【0005】
本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、防水性能および操作性を長期間に亘って維持できる漏電遮断器の防水カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る漏電遮断器の防水カバーは、
本体(12)の開口(14)から外方に操作レバー(16)が突出する漏電遮断器の防水カバーであって、
前記操作レバー(16)を装着部(22)に挿入することで、該操作レバー(16)と一体で移動するよう装着され、
前記装着部(22)に、該装着部(22)と一体で移動して前記開口(14)を常に覆う被覆部(24)を連設したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、操作レバーに装着した防水カバーは、操作レバーと一体で移動するよう構成したので、防水カバーが部分的に大きく変形することはなく、破損を防止して長期間に亘って防水性能を維持することができる。また、防水カバーの全体が移動するので、操作レバーの操作時の抵抗が大きくなることはなく、長期間に亘って良好な操作性を維持することができる。
【0007】
請求項2の発明では、前記装着部(22)の内部に設けた嵌合部(26)を、前記操作レバー(16)に設けた被嵌合部(28)に嵌合する嵌合構造によって、該操作レバー(16)に装着されることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、防水カバーは、操作レバーに嵌合構造によって装着するよう構成したので、操作レバーから防水カバーが外れ難くなる。
【0008】
請求項3の発明では、前記被覆部(24)は、前記装着部(22)に前記操作レバー(16)を挿入した状態で、前記本体(12)における操作レバー(16)の操作方向に弧状に形成された表面に沿う弧状となるよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明によれば、防水カバーを操作レバーに装着することで、被覆部が本体表面の弧状に沿う弧状となるよう構成したので、操作レバーを操作しても操作方向の前後端側を本体表面に密着することができ、高い防水性を維持できる。
【0009】
請求項4の発明では、前記被覆部(24)に、前記操作レバー(16)の操作方向に沿って延在するリブ(30)を設けたことを要旨とする。
請求項4の発明によれば、被覆部にリブを設けたので強度が向上し、被覆部の変形によって本体表面との間に隙間ができるのを防ぐことができ、高い防水性を維持できる。
【0010】
請求項5の発明では、前記被覆部(24)における前記操作レバー(16)の操作方向と交差する幅方向の両側に、被覆部(24)より肉厚が小さい張出し部(32)を設けたことを要旨とする。
請求項5の発明によれば、被覆部より肉厚が小さい張出し部を幅方向の両側に設けたので、該張出し部が本体表面に密着し易く、防水性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る漏電遮断器の防水カバーによれば、防水性能および操作性を長期間に亘って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係る防水カバーを装着した漏電遮断器の要部正面図である。
図2】防水カバーを装着した漏電遮断器の要部側面図である。
図3】漏電遮断器の要部断面図である。
図4】防水カバーにおける操作レバーの操作方向と交差する方向での断面図である。
図5】防水カバーにおける操作レバーの操作方向での断面図である。
図6】防水カバーの概略斜視図である。
図7】漏電遮断器の要部縦断側面図であって、(a)は操作レバーの投入位置を示し、(b)は操作レバーの作動位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る漏電遮断器の防水カバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0014】
図1図2は、実施例に係る漏電遮断器10を示すものであって、該漏電遮断器10は、水平な軸により遮断器本体(本体)12の内部で枢支されて、該遮断器本体12に開設した開口14から外方に一端部が突出する操作レバー16を備え、該操作レバー16に、防水カバー18が操作レバー16と一体で移動可能に装着される。操作レバー16は、漏電遮断器10の投入時の位置(投入位置、図7(a))と、遮断作動時の位置(作動位置、図7(b))との間を開口14に沿って上下に変位可能に構成される。また、遮断器本体12には、前側に向けて突出して前面が上下方向(操作レバー16の操作方向)に弧状に形成された前面部20が設けられ、該前面部20に、上下方向に長手が延在する矩形状の前記開口14が形成されている。
【0015】
前記防水カバー18は、シリコンゴム等の透明もしくは半透明なゴム状弾性体からなる弾性変形可能な部材であって、図3図6に示す如く、前記操作レバー16が挿入される袋状の装着部22と、該装着部22の開放側に連設されて前記開口14を覆い得る被覆部24と、を備えている。装着部22における操作レバー16の操作方向と交差する幅方向の左右両内側面に、内方に突出する凸部(嵌合部)26が設けられ、該凸部26を、操作レバー16の幅方向の両側面に形成された凹部(被嵌合部)28に嵌合することで、防水カバー18は、操作レバー16に対して強固に装着されるよう構成される。すなわち、防水カバー18は、凸部26と凹部28とによる嵌合構造によって、操作レバー16に装着される。実施例では、凸部26および凹部28は、操作レバー16における開口14からの突出方向に離間して2つずつ設けられている。
【0016】
前記防水カバー18の被覆部24は、図1図2に示す如く、前記装着部22から幅方向の外方に延出すると共に、前記開口14より幅方向の長さが長く設定されている。また、被覆部24は、装着部22から操作レバー16の操作方向の前後に延出し、その操作方向の長さは、図7に示す如く、操作レバー16の前記投入位置および作動位置の何れの位置においても開口14を覆い得る寸法に設定される。また、被覆部24は、図5図6に示す如く、無負荷状態(操作レバー16に装着する前の状態)では操作方向に弧状となるよう形成されており、操作レバー16を装着部22に挿入して前記嵌合構造によって防水カバー18が操作レバー16に装着された状態で、被覆部24は、前記遮断器本体12の前面部20における表面の弧状に沿うように弾性変形するよう構成される。実施例では、防水カバー18の無負荷状態での被覆部24における弧状の半径は、前面部20の表面における弧状の半径より小さく設定されて、防水カバー18が操作レバー16に装着されることで被覆部24が弾性変形した際には、該被覆部24における少なくとも操作方向の両端部(上下端部)を、前面部20の表面に弾性的に押し付け得るよう構成されている。
【0017】
前記防水カバー18の被覆部24には、図6に示す如く、全周に亘ってリブ30が形成されている。このリブ30は、被覆部24の外周縁に沿って表面側に突出するように設けられており、幅方向の左右両縁においてリブ30は、操作レバー16に防水カバー18を装着した状態で、前記遮断器本体12の前面部20における表面の弧状に沿うように延在し、被覆部24の裏面を前面部20の表面に沿うように押し付けるべく機能する。また、被覆部24の幅方向の両側には、図4に示す如く、該被覆部24より肉厚が小さい張出し部32,32が設けられ、防水カバー18を操作レバー16に装着した状態で、該張出し部32,32が前面部20の表面に密着可能に構成される。張出し部32は、前記装着部22に対して操作レバー16の操作方向の前後所定長さで延在するよう設定されて、該装着部22に挿入される操作レバー16の開口14からの突出部分の側方において、前面部20の表面に密着可能に構成される。なお、張出し部32は、被覆部24の側端縁から離間するにつれて前面部20に近接する傾斜角度で設けられ、被覆部24の縁部が前面部20に密着する前に、張出し部32が前面部20に当接し得るよう構成される。
【0018】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る漏電遮断器の防水カバーの作用について説明する。
【0019】
実施例の防水カバー18は、前記操作レバー16に装着した状態で、該操作レバー16と一体で移動するよう構成したので、防水カバー18が部分的に大きく変形することはなく、長期間に亘って破損するのを防止することができる。また、前記被覆部24は、操作レバー16の移動範囲(投入位置と作動位置との範囲)において前記開口14を常に覆うように寸法設定されているので、操作レバー16の周囲の開口14から水滴等が漏電遮断器10内へ入り込むことは防止され、漏電遮断器10内の各種電装品や回路のショート及びまたは腐食の発生を防止して、漏電遮断器10本来の機能を長期間に亘って維持できる。また、操作レバー16の操作時には防水カバー18の全体が一体で移動するので、従来のように固定されている取付部に対して胴部が大きく変形することで袋部の変位を許容する構成とは異なり、操作レバー16の操作時の抵抗が大きくなることはなく、長期間に亘って良好な操作性を維持することができる。
【0020】
前記操作レバー16に対して防水カバー18は、図3に示す嵌合構造による嵌合で装着するよう構成したので、操作レバー16を操作した際に防水カバー18が簡単に外れることはなく、防水機能を保つことができる。また、防水カバー18の被覆部24を、前記遮断器本体12における前面部20の表面の弧状に沿う弧状となるように構成したので、操作レバー16の投入位置および作動位置の何れにおいても、操作方向の前後端側を前面部表面に密着させることができ、高い防水性が得られる。
【0021】
前記防水カバー18の被覆部24にリブ30を設けたので強度が向上し、被覆部24の変形によって前面部表面との間に隙間ができるのを防ぐことができ、長期間に亘って高い防水性能を維持できる。また、被覆部24より肉厚が小さい張出し部32を幅方向の両側に設けたので、該張出し部32が本体表面に密着し易く、防水性能を高めることができる。また、長期使用によって被覆部24が硬質化して弾性変形し難くなった場合であっても、薄肉で弾性変形し易い張出し部32が、操作レバー16の側方において前面部20の表面に沿って密着して隙間が生ずるの防ぐことができる。
【0022】
〔変更例〕
本願は、前述した実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
1.実施例では、遮断器本体における前面部の表面が弧状に形成されると共に、操作レバーが揺動するよう構成された漏電遮断器を対象としているが、前面部の表面が平面に形成されると共に、操作レバーが直線的にスライド移動するよう構成された漏電遮断器であってもよい。
2.防水カバーと操作レバーとを連結する嵌合構造は、凸部(嵌合部)と凹部(被嵌合部)との関係が実施例とは逆であってもよい。
【符号の説明】
【0023】
12 遮断器本体(本体),14 開口,16 操作レバー,22 装着部,24 被覆部
26 凸部(嵌合部),28 凹部(被嵌合部),30 リブ,32 張出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7