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特開2023-125583二段発泡粒子の製造装置および製造方法
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  • 特開-二段発泡粒子の製造装置および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125583
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】二段発泡粒子の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
C08J9/12 CER
C08J9/12 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029770
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】戎井 昌英
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA16
4F074AA17A
4F074AD04
4F074AD10
4F074AH04
4F074BA32
4F074BA33
4F074BA34
4F074BA36
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA40
4F074CB52
(57)【要約】
【課題】二段発泡機への一段発泡粒子の仕込み量を簡易な方法で調整する。
【解決手段】本発明の製造装置(1)は、一段発泡粒子(P1)のガス含浸槽(2)と、ガス含浸槽(2)から払い出された一段発泡粒子(P1)を、圧力開放状態で受ける払出槽(7)を備え、払出槽(7)で受けた一段発泡粒子(P1)の量を計測する計量部(4)と、計量部(4)にて計量された一段発泡粒子(P1)を保持して加圧する仕込槽(5)と、仕込槽(5)にて保持された一段発泡粒子(P1)を二段発泡する発泡槽(3)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一段発泡粒子をガス含浸させるガス含浸槽と、
ガスが含浸された一段発泡粒子の量を計測する計量部と、
前記計量部にて計量された一段発泡粒子を保持して加圧する仕込槽と、
前記仕込槽にて保持された一段発泡粒子を二段発泡する発泡槽と、
を備える、二段発泡粒子の製造装置であって、
前記計量部は、前記ガス含浸槽から払い出された一段発泡粒子を、圧力を開放した状態で受ける払出槽を備える、二段発泡粒子の製造装置。
【請求項2】
前記計量部は、
(i)重量計を備え、一段発泡粒子の重量を計測する第1の構成、
(ii)流量計を備え、一段発泡粒子の体積を計量する第2の構成、のいずれか、もしくは両方である、請求項1に記載の二段発泡粒子の製造装置。
【請求項3】
一段発泡粒子をガス含浸させるガス含浸工程と、
前記ガス含浸工程から払い出した一段発泡粒子を、圧力を開放した状態で受ける払出工程を有し、当該払出工程にて得られた一段発泡粒子の量を計量する計量工程と、
前記計量工程にて計量された一段発泡粒子を保持して加圧する仕込工程と、
前記仕込工程にて保持された一段発泡粒子を二段発泡する発泡工程と、を含む、二段発泡粒子の製造方法。
【請求項4】
前記計量工程は、
(i)重量計により、一段発泡粒子の重量を計測する第1の工程、
(ii)流量計により、一段発泡粒子の体積を計量する第2の工程、のいずれか、もしくは両方の工程を含む、請求項3に記載の二段発泡粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の二段発泡粒子の製造方法で得た二段発泡粒子を成形する、発泡粒子の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二段発泡粒子の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂からなる発泡粒子は、一段発泡工程、および二段発泡工程という2段階の発泡工程を経て製造されることがある。一段発泡工程では、樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る。二段発泡工程では、一段発泡工程にて得られた発泡粒子をさらに発泡させる。以下、一段発泡工程にて得られた発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼び、二段発泡工程にて得られた発泡粒子を「二段発泡粒子」と呼ぶ。
【0003】
一段発泡工程では、耐圧容器内で分散剤を含む水中に熱可塑性樹脂粒子を分散させ、ついで発泡剤を添加し、高温高圧下に保って発泡剤を含浸させたのち、低圧雰囲気下に放出する方法(以下、除圧発泡法)により、一段発泡粒子を得ることが知られている。
【0004】
二段発泡工程では、一段発泡粒子をガス含浸槽に入れ、窒素、空気、二酸化炭素等のガスにより0.1MPa(ゲージ圧)~1.0MPa(ゲージ圧)で加圧処理することにより一段発泡粒子内の圧力(以下、「内圧」と称す場合がある)を常圧よりも高くする。その後、二段発泡機にて、内圧を高めた一段発泡粒子を水蒸気等で加熱してさらに発泡させることによって、二段発泡粒子を得る。従来、二段発泡工程においては、内圧を高めた一段発泡粒子を加圧した状態で、仕込槽にて一定量保持され、その後、二段発泡機の発泡槽へ投入される。
【0005】
熱可塑性樹脂からなる発泡粒子の製造技術として、例えば特許文献1には、予備発泡装置は、発泡樹脂ペレットを予備発泡させる予備発泡機本体を備えた予備発泡装置が開示されている。当該予備発泡装置は、予備発泡機本体と、投入原料計量ホッパと、投入原料計量ホッパに付設された投入原料計量装置と、投入原料計量ホッパの底部を開閉する底部開閉装置と、予備発泡機本体から送出された予備発泡粒子の計量を行う予備発泡粒計量装置と、制御装置とから構成されている。上記制御装置は、予備発泡粒計量装置からの予備発泡計量信号と設定発泡倍率とを比較して、予備発泡粒子の計量値が設定値の許容値を越えている場合には、許容値からの乖離幅に対応させて前記投入原料計量装置により投入原料の計量を増減する。これにより、原料ビーズである発泡樹脂ペレットの計量値を変更して、予備発泡粒子の発泡倍率を直ちに修正出来るようになる。
【0006】
また、特許文献2には、プラスチック添加剤を含有する予備発泡樹脂粒子の製造方法が開示されている。当該製造方法では、発泡性樹脂粒子を予備発泡機内において、撹拌しながら加熱し、当該発泡性樹脂粒子が発泡を開始した後に、発泡しつつある発泡性樹脂粒子にプラスチック添加剤を添加している。
【0007】
特許文献1および2に開示された技術は、いずれもポリスチレン系発泡樹脂からなる予備発泡樹脂粒子の製造に関する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-220240号公報
【特許文献2】特開2003-1627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述のような従来技術は、ポリスチレン系発泡樹脂からなる予備発泡樹脂粒子の製造に関する技術であり、上述したガス含浸槽を使用した二段発泡工程に適用するには、十分なものではなく、さらなる改善の余地があった。
【0010】
具体的には、従来の二段発泡工程では、二段発泡機に投入される一段発泡粒子は、仕込槽にて加圧状態で保持されるため、仕込槽が配管接続されているので一段発泡粒子の所定量を計量することが困難であった。すなわち、二段発泡工程において、二段発泡機へ投入する一段発泡粒子の量を調整することが困難であった。
【0011】
このため、従来の二段発泡工程のビーズ仕込槽の容量は、発泡後のビーズ容量が発泡槽の最大許容容量となるように、すなわち、製造する二段発泡粒子の発泡倍率の最大値に合わせて設定される。このため、当該最大値よりも発泡倍率が低い二段発泡粒子を製造する場合等では、発泡槽の最大許容容量迄使用できないので二段発泡粒子の生産性が低下するという課題がある。それゆえ、従来の二段発泡工程には、二段発泡する際に、二段発泡機への一発泡粒子の仕込み量を簡易な方法で調整可能にする点で改善の余地があった。
【0012】
本発明の一態様は、二段発泡させる際に、二段発泡機への一段発泡粒子の仕込み量を簡易な方法で調整可能な、二段発泡粒子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る二段発泡粒子の製造装置は、一段発泡粒子をガス含浸させるガス含浸槽と、ガスが含浸された一段発泡粒子の量を計測する計量部と、前記計量部にて計量された一段発泡粒子を保持して加圧する仕込槽と、前記仕込槽にて保持された一段発泡粒子を二段発泡する発泡槽と、を備える、二段発泡粒子の製造装置であって、前記計量部は、前記ガス含浸槽から払い出された一段発泡粒子を、圧力を開放した状態で受ける払出槽を備える、ことを特徴としている。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る二段発泡粒子の製造方法は、一段発泡粒子をガス含浸させるガス含浸工程と、前記ガス含浸工程から払い出した一段発泡粒子を、圧力を開放した状態で受ける払出工程を有し、当該払出工程にて得られた一段発泡粒子の量を計量する計量工程と、前記計量工程にて計量された一段発泡粒子を保持して加圧する仕込工程と、前記仕込工程にて保持された一段発泡粒子を二段発泡する発泡工程と、を含む、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、二段発泡させる際に、二段発泡機への一段発泡粒子の仕込み量を簡易な方法で調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る二段発泡粒子の製造装置の一例を模式的に示す図である。
図2図1に示す二段発泡粒子の製造装置において、計量部が重量計による重量可変計量である場合の計量部および仕込槽の概略構成を示す拡大断面図である。
図3図1に示す二段発泡粒子の製造装置において、計量部が流量計による体積可変計量である場合の計量部および仕込槽の概略構成を示す拡大断面図である。
図4】従来の一段発泡の発泡粒子の製造装置の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態実施例、または変形例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。さらに、各図面は、以下の説明と併せて参照したときに分かり易いように示したものであり、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれていない。
【0018】
(二段発泡粒子の製造装置)
図1は、本実施形態に係る二段発泡粒子の製造装置1の概略構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、本実施形態に係る製造装置1は、ガス含浸槽2と、発泡槽3と、計量部4と、仕込槽5と、乾燥槽6と、を備えている。
【0019】
ガス含浸槽2は、一段発泡粒子P1に対してガスを圧入し(含浸し)内圧を付与するための耐圧容器である。ガス含浸槽2内は、常に所定の圧力に制御が可能である。一段発泡粒子P1に対してガス含浸するための圧縮ガスは、ガス含浸槽2の上部から供給される。また、一段発泡粒子P1は、ガス含浸槽2の上部から供給され、下部に設けられた払い出し口から計量部4へ払い出される。
【0020】
ガス含浸槽2の耐圧設計は、特に限定されないが、圧縮ガスの圧入条件(含浸条件)に応じて適宜設定される。ガス含浸槽2の設定圧力は、二段発泡粒子Pの発泡倍率に応じて異なっており、一般的にはゲージ圧0.1MPa~1.0MPaに設定される。また、一段発泡粒子P1の内圧を一定にし、内圧バラつきを小さくするために、ガス含浸槽2内の一段発泡粒子P1のガス含浸時間は一定であることが好ましい。また、一段発泡粒子P1に対して含浸されるガスは、二段発泡に使用される公知のガスを使用することができ、例えば、窒素、空気、二酸化炭素等が挙げられる。これらの中でも、空気が特に好ましい。
【0021】
計量部4は、ガス含浸槽2にて内圧が付与された一段発泡粒子P1を一定量払い出すための払出槽を備えている。当該払出槽は、圧力を開放した状態で一段発泡粒子P1を受けるように構成されている。当該払出槽の構成については、後述する。計量部4は、当該払出槽で受けた一段発泡粒子P1の量を計測する。
【0022】
仕込槽5は、計量部4にて計測した所定量の一段発泡粒子P1を保持して加圧するように構成されている。製造装置1では、計量部4にて圧力を開放した状態で受けた一段発泡粒子P1が、仕込槽5にて加圧されて保持されるようになっている。
【0023】
発泡槽3は、一段発泡粒子P1を二段発泡するための槽である。すなわち、発泡槽3は、仕込槽5にて保持された一段発泡粒子P1を二段発泡するためのものである。発泡槽3内には、回転軸、撹拌翼、およびモータMが設けられている。撹拌翼は、発泡槽3内の一段発泡粒子P1を撹拌するための部材である。回転軸は、撹拌翼を回転させるための軸であり、モータMの駆動により回転する。また、発泡槽3内には底部から蒸気が導入される。そして、当該蒸気は、発泡槽3の上部から排気される。
【0024】
一段発泡粒子P1は、仕込槽5から発泡槽3へ導入され、発泡槽3内にて撹拌翼により撹拌される。そして、所定の発泡時間の間、発泡槽3の底部から蒸気が供給される。発泡槽3内の一段発泡粒子P1は、撹拌翼により撹拌されつつ、底部から供給される蒸気により加熱される。そして、加熱膨張して、所定の発泡倍率を有する二段発泡粒子Pが得られる。得られた二段発泡粒子Pは、発泡槽3から乾燥槽6へ輸送される。また、発泡槽3の底部から供給された蒸気は、発泡中、所定量が発泡槽3の上部から外部へ排出される。
【0025】
乾燥槽6は、発泡槽3にて二段発泡された二段発泡粒子Pを乾燥するための槽である。乾燥槽6は、二段発泡粒子Pを乾燥し得る従来公知の装置を適用することができる。
【0026】
ここで、従来の二段発泡粒子の製造装置では、ガス含浸槽2にて内圧が付与された一段発泡粒子P1は、仕込槽5内にて加圧された状態で保持され、仕込槽5にて計量されて発泡槽3へ輸送されていた。より具体的には、従来の製造装置では、ガス含浸槽2の払出弁を開とし、仕込槽5から圧力を抜きながら一段発泡粒子P1を払出し、仕込槽5を一段発泡粒子P1で満たして計量した後にガス含浸槽2と同圧の密閉状態で保持していた。そして、仕込槽の払出弁を開として計量した所定量の一段発泡粒子P1を発泡槽3へ投入していた。
【0027】
二段発泡粒子Pの種々の発泡倍率に合わせて、発泡槽3へ投入する一段発泡粒子P1の量を仕込槽5にて加圧した状態で計量することは、困難である。このため、従来の製造装置では、二段発泡粒子Pの発泡倍率の最大値に合わせて仕込槽5の容量を設定する。このため、当該最大値よりも発泡倍率が低い二段発泡粒子Pを製造する場合等では発泡槽3に対して発泡後に最大容量となる一段発泡粒子P1を仕込むことができない為、二段発泡粒子の生産性が低下する。それゆえ、従来の製造装置には、一段発泡粒子P1を二段発泡する際に、発泡槽3への一段発泡粒子P1の仕込み量を簡易な方法で調整可能にする点で改善の余地があった。
【0028】
これに対して、本実施形態に係る製造装置1では、計量部4は、圧力を開放した状態で、払出槽にて、ガス含浸槽2にて内圧が付与された一段発泡粒子P1を受ける。そして、計量部4は、当該払出槽で受けた一段発泡粒子P1の量を計測する。そして、発泡槽3には、計量部4にて計測された所定量の一段発泡粒子P1が、仕込槽5から投入されることになる。製造装置1の構成によれば、圧力を開放した状態で、内圧が付与された一段発泡粒子P1を計量するので、二段発泡粒子Pの種々の発泡倍率に合わせて、発泡槽3へ投入する一段発泡粒子P1の量を容易に計測できる。その結果、製造装置1によれば、発泡倍率が低い二段発泡粒子Pを製造する場合等であっても、当該発泡倍率に合う一段発泡粒子P1の投入量を適切に計量できるので、二段発泡粒子Pの生産性を高めることができる。
【0029】
計量部4の構成は、ガス含浸槽2から払い出された一段発泡粒子P1を、圧力を開放した状態で受ける払出槽を備え、前記払出槽で受けた一段発泡粒子P1の量を計測可能な構成であれば、特に限定されない。
【0030】
(計量部4の変形例1)
図2は、計量部4の変形例および仕込槽5の具体的構成を模式的に示した図である。図2に示されるように、変形例1としての計量部4Aは、払出槽7と、計重槽9(重量計9aに相当)と、備えている。計量部4Aは、計重槽9にて一段発泡粒子P1の重量を計測する構成(第1の構成)となっている。それゆえ、計量部4Aを備えた製造装置は、二段発泡粒子Pの所定の発泡倍率に応じて、計重槽9により重量を可変で計量した後に、一段発泡粒子P1を発泡槽3へ投入し得る構成となる。
【0031】
払出槽7は、ガス含浸槽2にて内圧が付与された一段発泡粒子P1を一定量払い出すための槽である。開閉弁11aを開とすることによって、内圧が付与された一段発泡粒子P1は、ガス含浸槽2から払出槽7へ圧送される。払出槽7は、図示しない開閉弁を開とすることにより、内部の圧力が開放した状態で一段発泡粒子P1を受ける(一段発泡粒子P1が払出槽7内に投入される)。
【0032】
なお、払出槽7内部の圧力は、ガス含浸槽2にて付与された一段発泡粒子P1の内圧が維持される程度に低下している状態であっても良い。具体的には、払出槽7内部の圧力は、一段発泡粒子P1の内圧(atm)+0.0~一段発泡粒子P1の内圧(atm)+0.2MPaの範囲内で、一段発泡粒子P1の設定内圧に応じて調整される。
【0033】
また、払出槽7には、レベル計8が設けられている。レベル計8は、払出槽7内の一段発泡粒子P1の量が一定レベルに達したとき、開閉弁11aが閉となり、払出槽7に所定量以上の一段発泡粒子P1が投入されないようになっている。
【0034】
開閉弁11bが開になると、払出槽7内の一段発泡粒子P1は、計重槽9に投入される。計重槽9は、発泡槽3へ投入する一段発泡粒子P1の重量を計測するための槽である。計重槽9内部の圧力は、払出槽7と同様に圧力が開放された状態となっている。発泡槽3へ投入される一段発泡粒子P1の量は、発泡槽3にて二段発泡される二段発泡粒子Pの発泡倍率に応じて、発泡後のビーズ容量が発泡槽の最大許容容量となるように決定される。計重槽9にて、二段発泡粒子Pの所定の発泡倍率に対応した一段発泡粒子P1の重量が計測されたとき、開閉弁11bを閉とする。これにより、計重槽9内に一段発泡粒子P1が投入されなくなり、所定重量の一段発泡粒子P1が計重槽9内に保持される。計重槽9は、一段発泡粒子P1の重量を計測することが可能な構成であればよく、従来公知の任意の計重槽を適用できる。
【0035】
そして、開閉弁11cを開とすることにより、計重槽9内の所定重量の一段発泡粒子P1が受槽10に払出される。受槽10は、開閉弁11cから払出された所定重量の一段発泡粒子P1を送粒ブロワ12で仕込槽5へ輸送するための吸引口として機能する。
【0036】
開閉弁11dおよび11eの両方を開とすることにより、受槽10から送粒ブロワ12で一段発泡粒子P1が吸引されて仕込槽5に投入される。仕込槽5には、圧力が開放された状態にて計測された所定重量の一段発泡粒子P1が投入される。仕込槽5では、投入された一段発泡粒子P1に対して加圧される。より具体的には、開閉弁11fを開とすることにより、仕込槽5にガス含浸槽で使用されたガスが導入されて加圧される。そして、仕込槽5内部の圧力が所定の圧力になったときに、開閉弁11fが閉となる。加圧により、仕込槽5内部の圧力は、ビーズの内圧(atm)+0.0MPa~ビーズの内圧(atm)+0.20MPaとなることが好ましく、ビーズの内圧(atm)+0.0MPa~ビーズの内圧(atm)+0.10MPaとなることがより好ましい。
【0037】
開閉弁11gを開とすることによって、仕込槽5内の、所定重量の一段発泡粒子P1は、発泡槽3へ投入される。
【0038】
変形例1の計量部4Aを備えた製造装置であっても、二段発泡粒子Pの種々の発泡倍率に合わせて、発泡槽3へ投入する一段発泡粒子P1の量を容易に計測できる。
【0039】
(計量部4の変形例2)
図3は、計量部4のさらに他の変形例および仕込槽5の具体的構成を模式的に示した図である。図3に示されるように、変形例2としての計量部4Bは、払出槽7と、流量計13と、備えている。計量部4Bは、流量計13にて一段発泡粒子P1の体積を計測する構成(第2の構成)となっている。それゆえ、計量部4Bを備えた製造装置は、二段発泡粒子Pの所定の発泡倍率に応じて、流量計13により体積を可変で計量した後に、一段発泡粒子P1を発泡槽3へ投入し得る構成となる。
【0040】
計量部4Bでは、流量計13は、払出槽7と仕込槽5とを繋ぐ接続配管に設けられている。開閉弁11bが開になると、払出槽7内の一段発泡粒子P1は、仕込槽5に投入される。流量計13は、仕込槽5に投入される一段発泡粒子P1の体積を計測する。流量計13にて、二段発泡粒子Pの所定の発泡倍率に対応した一段発泡粒子P1の体積が計測されたとき、開閉弁11bを閉とする。これにより、仕込槽5内に一段発泡粒子P1が導入されなくなり、所定体積の一段発泡粒子P1が仕込槽5内に保持される。
【0041】
仕込槽5には、圧力が開放された状態にて計測された所定体積の一段発泡粒子P1が保持される。仕込槽5では、導入された一段発泡粒子P1に対して加圧される。具体的には、開閉弁11fを開とすることにより、仕込槽5にガス含浸槽で使用されたガスが導入されて加圧される。
【0042】
仕込槽5にて加圧された後、所定体積の一段発泡粒子P1は、発泡槽3へ投入される。仕込槽5内の一段発泡粒子P1が全て発泡槽3に投入された後、開放弁11hを開とし、仕込槽5内の加圧ガスを外部へ排気する。
【0043】
変形例2の計量部4Bを備えた製造装置であっても、二段発泡粒子Pの種々の発泡倍率に合わせて、発泡槽3へ投入する一段発泡粒子P1の体積を容易に計測できる。
【0044】
変形例2の計量部4Bでは、払出槽7と仕込槽5とを繋ぐ接続配管に流量計13が設けられるという簡単な構成により、圧力が開放された状態にて一段発泡粒子P1の体積を計測することが可能である。それゆえ、変形例2の計量部4Bは、変形例1の計量部4Aと比較して、機器点数を少なくできるので、安価であるという利点がある。なお、流量計13は、従来公知の流量計を使用することができる。
【0045】
本実施形態に係る二段発泡粒子の製造装置は、計量部4Aまたは4Bを備えた構成であってもよく、計量部4Aおよび4Bの両方を備えた構成であってもよい。
【0046】
(一段発泡粒子P1について)
一段発泡粒子P1は、二段発泡が必要な発泡粒子であれば、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であることが好ましい。
【0047】
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の基材樹脂となるポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン単位を50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上含む樹脂のことである。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン等のポリエチレン類;プロピレンホモポリマー;エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体等のα-オレフィン-プロピレンランダム共重合体、並びに、α-オレフィン-プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン類;プロピレンホモポリマー、ポリブテン等のその他のポリオレフィンホモポリマー類;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0048】
これらの内でも、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、およびプロピレン-1-ブテンランダム共重合体が、発泡粒子とするときに良好な発泡性を示すため、好適に使用される。
【0049】
また、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の基材樹脂には、ポリオレフィン系樹脂以外に、該ポリオレフィン系樹脂の特性が失われない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等が混合されていてもよい。
【0050】
また、ポリオレフィン系樹脂は、通常、発泡粒子を製造し易いように、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、且つ円柱形状、楕円形状、球形状、立方体形状、直方体形状等の樹脂粒子に予め加工しておくことが好ましい。なお、樹脂粒子はペレットとも称する。
【0051】
ポリオレフィン系樹脂粒子は、一粒の重量が0.1~30mgであることが好ましく、0.3~10mgであることがより好ましい。
【0052】
ポリオレフィン系樹脂に添加剤を加える場合には、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の製造前に、ブレンダー等を用いてポリオレフィン系樹脂と添加剤とを混合することが好ましい。添加剤の具体例としては、セル造核剤(単に造核剤とも称する)が挙げられる。また、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素系発泡剤を使用する場合には、造核剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等のような無機造核剤が一般に使用される。セル造核剤の添加量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、セル造核剤の種類によって異なるので一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、概ね0.001重量部以上、2重量部以下であることが好ましい。
【0053】
また、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機発泡剤を使用する場合には、前記無機造核剤および/または親水性物質を使用することが好ましい。水系分散物の分散媒として水を使用する場合には、ポリオレフィン系樹脂中に水が含浸し、含浸した水が他の発泡剤と共にあるいは単独で発泡剤として作用する。
【0054】
前記親水性物質は、ポリオレフィン系樹脂に含浸される水分量を多くするように作用する。親水性物質の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の無機物質;あるいは、グリセリン、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物;ポリエチレングリコール、またはポリエチレンオキシド等のポリエーテル、ポリエーテルのポリプロピレン等への付加物、およびこれらのポリマーアロイ;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン-(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の重合体;等の有機物が挙げられる。これら親水性物質は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0055】
親水性物質の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上、2重量部以下であることが好ましく、0.005重量部以上、1重量部以下であることがより好ましい。親水性物質の種類および量を調整することにより、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の平均気泡径を調整することができる。
【0056】
さらに、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造時には、必要により着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系加工安定剤、ラクトン系加工安定剤、金属不活性剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダートアミン系光安定剤、難燃剤、難燃助剤、酸中和剤、結晶核剤、アミド系添加剤等の添加剤を、ポリオレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲で添加することができる。
【0057】
また、発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性の炭化水素系発泡剤、および空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスを用いることが可能である。無機ガスを用いる場合は、比較的高い発泡倍率の発泡粒子が得られやすいことから、二酸化炭素が好ましい。これら発泡剤は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0058】
水系分散媒としては水を使用することが好ましい。メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加した分散媒も、水系分散剤として使用することができる。
【0059】
水系分散媒においては、ポリオレフィン系樹脂粒子同士の融着を防止するために、分散剤を使用することが好ましい。分散剤の具体例としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、第三リン酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリンが、少ない使用量でも耐圧容器内のポリオレフィン系樹脂粒子を含んでなる水系分散物を安定的に分散させることができるため、より好ましい。
【0060】
また、分散剤と共に分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤の具体例としては、例えば、N-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型;および、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。また、分散助剤として、マレイン酸共重合体塩;ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤;および、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩;等の多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
【0061】
分散助剤として、スルホン酸塩型の陰イオン界面活性剤を使用することが好ましく、さらには、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種もしくは2種類以上の混合物を用いることが好ましい。また、アルキルスルホン酸塩を使用することがより好ましく、疎水基として炭素数10~18の直鎖状の炭素鎖を持つアルキルスルホン酸塩を使用することが、ポリオレフィン系樹脂の発泡粒子に付着する分散剤を低減することができるため、特に好ましい。
【0062】
そして、本発明の実施形態においては、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンから選ばれる1種以上と、分散助剤としてn-パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが特に好ましい。
【0063】
分散剤および分散助剤の使用量は、その種類、または用いるポリオレフィン系樹脂の種類および使用量に応じて異なる。通常、分散剤は、水系分散媒100重量部に対して、0.1重量部以上、5重量部以下で配合することが好ましく、0.2重量部以上、3重量部以下で配合することがより好ましい。分散助剤は、水系分散媒100重量部に対して、0.001重量部以上、0.3重量部以下で配合することが好ましく、0.001重量部以上、0.1重量部以下で配合することがより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好にするため、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上、100重量部以下で使用することが好ましい。前記構成であれば、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で水系分散媒中に安定に分散させることができる。
【0064】
(二段発泡粒子の製造方法)
本実施形態に係る二段発泡粒子の製造方法は、ガス含浸工程と、計量工程と、仕込工程と、発泡工程と、を含む。上記ガス含浸工程では、一段発泡粒子をガス含浸させる。そして、上記計量工程は、上記ガス含浸工程から払い出した一段発泡粒子を、圧力を開放した状態で受ける払出工程を有する。上記計量工程では、上記払出工程にて得られた一段発泡粒子の量を計量する。上記仕込工程では、上記計量工程にて計量された一段発泡粒子を保持して加圧する。上記発泡工程では、上記仕込工程にて保持された一段発泡粒子を二段発泡する。また、好ましくは、前記計量工程は、(i)重量計により、一段発泡粒子の重量を計測する第1の工程、(ii)流量計により、一段発泡粒子の体積を計量する第2の工程、のいずれかの工程を含む。
【0065】
本実施形態に係る二段発泡粒子の製造方法は、上記ガス含浸工程と、上記計量工程と、上記仕込工程と、上記発泡工程と、を含んでいれば、特に限定されない。本実施形態に係る二段発泡粒子の製造方法は、例えば、図1図3それぞれに示された計量部4、4A、4Bを備えた二段発泡粒子の製造装置を用いて一段発泡粒子P1を二段発泡する方法が挙げられる。
【0066】
(一段発泡粒子P1の製造装置の構成例)
一段発泡粒子P1の製造装置は、一段発泡粒子P1を製造可能な構成であれば、特に限定されない。図4は、一段発泡粒子P1の製造装置14の構成例を模式的に示す図である。
【0067】
図4に示すように、製造装置14は、耐圧容器15と、予熱・洗浄配管17と、排出配管18と、第1弁19と、第2弁20と、第1接続配管21と、第1発泡配管22と、第2接続配管23と、第2発泡配管24と、備えている。
【0068】
耐圧容器15は、除圧発泡法により発泡粒子を製造するための容器である。耐圧容器15内には、結晶性の熱可塑性樹脂粒子(以下、単に樹脂粒子と称する場合もある)、無機分散剤および分散助剤を含む水性分散液ならびに発泡剤が水と共に仕込まれ、撹拌機により所定の混合状態に撹拌される。そして、耐圧容器15内を昇温して、一定圧力、一定温度とすることにより樹脂粒子に発泡剤が含浸する。
【0069】
第1弁19は、耐圧容器15の下部ノズルに直接設けられた排出弁である。第1弁19は、耐圧容器15の底部に直結した開閉弁である。
【0070】
また、第2弁20は、発泡剤が含浸した樹脂粒子を第1発泡配管22または第2発泡配管24へ放出するための弁である。第2弁20は、第1弁19を洗浄する際に閉としても使用される。発泡弁となるフラッシュ弁、ボール弁、タンク弁、またはY型フラッシュ弁等、または特開2003-192820号公報に開示された絞り盤(オリフィス)は、第1接続配管21と第1発泡配管22の接続部、および第2接続配管23と第2発泡配管24の接続部に設置される。
【0071】
排出配管18は、第1弁19と第2弁20とを繋ぐ配管である。排出配管18には、開閉弁16cを介して、予熱・洗浄配管17が接続されている。予熱・洗浄配管17には、開閉弁16aの開閉調整により水が流入するようになっている。また、開閉弁16bの開閉調整により蒸気が流入するようになっている。
【0072】
排出配管18、第1接続配管21もしくは第2接続配管23の予熱を行う際には、開閉弁19を閉とし、開閉弁16b、16cおよび20を開とし、予熱・洗浄配管17を介して、排出配管18へ蒸気を供給する。また、排出配管18、第1接続配管21もしくは第2接続配管23を洗浄する際には、開閉弁19を閉とし、開閉弁16a、16cおよび20を開とし、予熱・洗浄配管17を介して、排出配管18へ水を供給する。
【0073】
第1発泡配管22または第2発泡配管24は、耐圧容器15内の、発泡剤を含浸した樹脂粒子が放出される低圧空間を構成する。発泡剤を含浸した樹脂粒子が第1発泡配管22または第2発泡配管24に放出されることによって、一段発泡粒子P1が製造される。製造された一段発泡粒子P1は、洗浄・脱水・乾燥といった後処理工程を経て製造される。その後、一段発泡粒子P1は二段発泡工程で二段発泡されることがある。
【0074】
第1接続配管21は、第2弁20と第1発泡配管22とを接続する配管である。また、第2接続配管23は、第2弁20と第2発泡配管24とを接続する配管である。
【0075】
耐圧容器15では、第1弁19を開とすることによって、耐圧容器15内の発泡剤含浸樹脂粒子は、排出配管18を通過して第2弁20に到達する。そして、第2弁20を開とすることにより、発泡剤含浸樹脂粒子は、第1発泡配管22または第2発泡配管24へ放出されて一段発泡粒子P1となる。ここで、第2弁20を設置することによって、第1接続配管21を介した第1発泡配管22との接続と、第2接続配管23を介して第2発泡配管24との接続とを切替え可能になっている。それゆえ、製造装置14の構成によれば、一段発泡粒子P1の品種(発泡倍率、色、特性等の品質等が異なる)に応じて、発泡配管を選択することが可能になる。したがって、様々な品種の一段発泡粒子P1を、発泡配管を分けて効率的に製造することができる。また、発泡配管の構造を変更することも可能になる。
【0076】
また、製造装置14の構成によれば、第1弁19を耐圧容器15の下部ノズルに直接設置することにより、耐圧容器15直下のデットスペースを限りなく少なくすることができる。
【0077】
〔発泡粒子の成形体の製造方法〕
本実施形態に係る発泡粒子の成形体の製造方法は、上述の製造方法で得た一段発泡粒子や二段発泡粒子を成形する方法である。発泡粒子の成形体を製造するために、上記一段発泡粒子や二段発泡粒子は、公知の方法によって成形することができる。
【0078】
(まとめ)
本発明の態様1に係る二段発泡粒子の製造装置1は、一段発泡粒子P1をガス含浸させるガス含浸槽2と、ガスが含浸された一段発泡粒子P1の量を計測する計量部4と、前記計量部4にて計量された一段発泡粒子P1を保持して加圧する仕込槽5と、前記仕込槽5にて保持された一段発泡粒子P1を二段発泡する発泡槽3と、を備える二段発泡粒子の製造装置であって、前記計量部4は、前記ガス含浸槽2から払い出された一段発泡粒子P1を、圧力を開放した状態で受ける払出槽7を備える、構成である。
【0079】
本発明の態様2に係る二段発泡粒子の製造装置は、態様1において、前記計量部4A、4Bは、(i)重量計(計重槽9)を備え、一段発泡粒子P1の重量を計測する第1の構成、(ii)流量計13を備え、一段発泡粒子P1の体積を計量する第2の構成、のいずれか、もしくは両方である構成である。
【0080】
本発明の態様3に係る二段発泡粒子の製造方法は、一段発泡粒子P1をガス含浸させるガス含浸工程と、前記ガス含浸工程から払い出した一段発泡粒子P1を、圧力を開放した状態で受ける払出工程を有し、当該払出工程にて得られた一段発泡粒子P1の量を計量する計量工程と、前記計量工程にて計量された一段発泡粒子P1を保持して加圧する仕込工程と、前記仕込工程にて保持された一段発泡粒子P1を二段発泡する発泡工程と、を含む。
【0081】
本発明の態様4に係る二段発泡粒子の製造方法は、態様3において、前記計量工程は、
(i)重量計(計重槽9)により、一段発泡粒子P1の重量を計測する第1の工程、(ii)流量計13により、一段発泡粒子P1の体積を計量する第2の工程、のいずれか、もしくは両方の工程を含む、を含む。
【0082】
本発明の態様5に係る発泡粒子の成形体の製造方法は、態様3または4の二段発泡粒子の製造方法で得た二段発泡粒子を成形する、方法である。
【符号の説明】
【0083】
1 製造装置
2 ガス含浸槽
3 発泡槽
4、4A、4B 計量部
5 仕込槽
7 払出槽
9 計重槽
9a 重量計
13 流量計
P1 一段発泡粒子
P 二段発泡粒子
図1
図2
図3
図4