IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧 ▶ 清水建設株式会社の特許一覧

特開2023-125588画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム
<>
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図1
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図2
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図3
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図4
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図5
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図6
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図7
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図8
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図9
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図10
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図11
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図12
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図13
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図14
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図15
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図16
  • 特開-画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125588
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/08 20060101AFI20230831BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20230831BHJP
   G01B 11/14 20060101ALI20230831BHJP
   E04G 23/02 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G06T3/00 780
G01B11/14 H
E04G23/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029779
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北浦 竜二
(72)【発明者】
【氏名】徳井 圭
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
【テーマコード(参考)】
2E176
2F065
5B057
【Fターム(参考)】
2E176AA04
2E176BB27
2F065AA22
2F065AA26
2F065BB12
2F065CC14
2F065FF05
2F065FF11
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ31
2F065SS13
5B057BA23
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB13
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE10
5B057CH16
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC03
(57)【要約】
【課題】撮影した柱配筋が配置される面を特定する。
【解決手段】画像計測装置(100)において、画像処理部(103)は、柱配筋(200)の第1面(F1)を撮影した第1画像から第1角鉄筋を選択し、柱配筋の第2面(F2)を撮影した第2画像から第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択し、第1角鉄筋および第2角鉄筋を用いて、第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合し、統合したデータを出力させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、
前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、
前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、
前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合部と、
前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力部と、
を備えることを特徴とする画像計測装置。
【請求項2】
前記統合部は、
前記第1角鉄筋の位置と、前記第2角鉄筋の位置とに基づいて、前記第1画像と、前記第2画像とを統合した画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像計測装置。
【請求項3】
前記統合部は、
前記第1面の複数の鉄筋が配置される平面である第1平面と、前記第2面の複数の鉄筋が配置される平面である第2平面とに基づいて、前記第1画像と、前記第2画像とを統合した画像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像計測装置。
【請求項4】
前記出力部は、
前記柱配筋の各面を撮影する順序を設定させ、前記第1角鉄筋と、前記第2角鉄筋とが近くなるように、前記第1画像と、前記第2画像とを並べて配置し、前記第1画像から前記第1角鉄筋を選択させ、前記第2画像から前記第2角鉄筋を選択させる画面を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像計測装置。
【請求項5】
前記出力部は、
前記第1面を撮影した後、前記第2面を撮影すべき旨を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像計測装置。
【請求項6】
前記出力部は、
前記柱配筋を撮影する面数を設定させ、設定された前記面数の撮影が完了したとき、前記角鉄筋を選択させる画面を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像計測装置。
【請求項7】
柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、
前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、
前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、
前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを出力させる出力部と、
を備えることを特徴とする画像計測装置。
【請求項8】
柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測方法であって、
前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得ステップと、
前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択ステップと、
前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合ステップと、
前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力ステップと、
を含むことを特徴とする画像計測方法。
【請求項9】
請求項1に記載の画像計測装置としてコンピュータを機能させるための画像計測プログラムであって、上記取得部、上記選択部、上記統合部および上記出力部としてコンピュータを機能させるための画像計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理により柱配筋を計測する画像計測装置、画像計測方法、および、画像計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、配筋を撮影した画像を解析することにより、鉄筋径、鉄筋間隔などを計測する技術が開発されている。また、配筋を撮影して計測するときのユーザ支援技術、計測精度向上技術なども開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1の報知装置は、配筋が撮像されたステレオ画像を取得し、取得したステレオ画像に基づいて3次元点群座標を生成し、生成した3次元点群座標に基づいて配筋を構成する鉄筋で形成される平面を特定する。次に、当該報知装置は、3次元点群座標を生成する際、または、平面を特定する際、鉄筋の計測が不可能と判断した場合、その旨を示す情報を報知する。そして、当該報知装置は、3次元点群座標の生成が不可能である場合、または、特定した平面の傾斜角または平面までの距離が所定の条件を満たさない場合、鉄筋の計測が不可能と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-173275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、柱配筋の計測では、1面ではなく、少なくとも4面の撮影が行われる。そして、柱配筋を計測した後の確認では、各面の計測結果が適切に対応付けられているか否かだけでなく、各面の計測結果同士を関連付けて確認したり、鉄筋を重複してカウントしていないことや、計測漏れがないことを確認したりする必要がある。そのため、個々の画像に対して適切に計測するだけでは、計測者に作業負担がかかるので、人為的なミスが発生する可能性がある。例えば、柱配筋を撮影した画像を見ても、どの鉄筋平面を撮影したものかが分からないという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記課題を鑑みて、撮影した柱配筋が配置される面を特定可能とすることで、鉄筋の重複カウント、および計測漏れ等を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像計測装置は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合部と、前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力部と、を備える。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像計測装置は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを出力させる出力部と、を備える。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像計測方法は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測方法であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得ステップと、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択ステップと、前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合ステップと、前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、撮影した柱配筋が配置される面を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る画像計測装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る柱配筋の構造を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る柱配筋の第1面を撮影した画像を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る柱配筋の第1面の計測結果をまとめた画像を示す図である。
図5】本発明の実施形態1に係る柱配筋の第2面を撮影した画像を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る柱配筋の第2面の計測結果をまとめた画像を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係る角鉄筋を設定するための画面の例を示す図である。
図8】本発明の実施形態1に係る鉄筋規格の判定結果を統合した計測結果の出力例を示す図である。
図9】本発明の実施形態1に係る鉄筋規格の判定結果を統合した計測結果の出力例を示す図である。
図10】本発明の実施形態1に係る計測結果の画像を統合した結果の出力例を示す図である。
図11】本発明の実施形態1に係る第1面の計測結果と、第2面の計測結果とを統合して出力する処理を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態2に係る柱配筋の撮影面数および撮影順序を設定する画面の例を示す図である。
図13】本発明の実施形態2に係る次の面の撮影に誘導する画面の例を示す図である。
図14】本発明の実施形態2に係る角鉄筋を設定する画面の例を示す図である。
図15】本発明の実施形態2に係る角鉄筋を設定する画面の例を示す図である。
図16】本発明の実施形態2に係る柱配筋の上面図の例である。
図17】本発明の実施形態2に係る柱配筋の上面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る画像計測装置100の構成を示すブロック図である。画像計測装置100は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する。図1に示すように、画像計測装置100は、ハードウェアとして、撮像部101と、撮像部102と、画像処理部103と、表示部104と、入力部105と、記憶部106とを備えている。
【0014】
撮像部101および撮像部102は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった固体撮像素子、レンズなどにより構成され、設定された露出、フォーカス位置などの撮影条件により画像を取得する。
【0015】
画像処理部103は、画像処理により点と平面との間の距離を計測する計測処理などを行う。画像処理部103は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0016】
表示部104は、撮像部101および撮像部102が取得した画像、点と平面との間の距離の計測結果などを表示するためのディスプレイである。表示部104は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスにより構成される。
【0017】
入力部105は、マウス、表示部104のタッチパネルなどにより構成される。記憶部106は、フラッシュメモリ、磁気ディスクなどの記憶媒体を備え、撮影画像、計測結果などを記憶する。
【0018】
画像処理部103は、撮像部101および撮像部102により撮影された画像から、視差を算出し、画像内の被写体の3次元情報を算出する。視差は、2つの画像間の被写体のずれ量であり、ブロックマッチングなどを用いて算出される。ブロックマッチングでは、基準となる画像の注目画素に基準窓を設定し、参照する画像に参照窓を順次設定し、基準窓と、参照窓との画素の類似度または相違度を評価する。評価には、SAD(Sum of Absolute Difference)、SSD(Sum of Squared Difference)などが使用される。
【0019】
撮影された被写体までの距離Zと視差Dとの関係は、D=f×B/Zにより表される。fは撮像部101、102の焦点距離であり、Bは2つの撮像部間の距離である。また、画像上の座標(x、y)における距離Zの被写体の3次元座標(X、Y、Z)は、X=x×Z/f、Y=y×Z/fにより算出することができる。
【0020】
ここで、本実施形態に係る画像計測装置100に関しては、3次元情報(奥行情報)を取得する際に、2つの撮像部101および102が取得する画像から視差を算出する方法を説明する。なお、他の方法を用いてもよく、例えば、3つ以上の撮像部から視差を算出してもよいし、TOF(Time Of Flight)により奥行情報を取得してもよい。
【0021】
本実施形態に係る柱配筋は、四角柱状に組まれた配筋を示す。柱配筋に関する計測対象は、鉄筋本数、鉄筋径、鉄筋間隔などである。鉄筋本数については、柱配筋を構成する主筋の本数、帯筋の本数、総本数などが計測される。主筋は、垂直方向に伸びる鉄筋であり、柱などのコンクリートの中にある太い鉄筋を指す。帯筋は、水平方向に伸びる鉄筋であり、柱に使用する細い鉄筋を指し、主筋を取り囲む。
【0022】
鉄筋径については、鉄筋径だけを出力する場合もあるし、さらに、計測された鉄筋径と、公称直径、節高さなどとを比較することにより、計測された鉄筋の鉄筋規格を判定して、当該鉄筋規格の呼び名を出力する場合もある。また、鉄筋間隔については、鉄筋の中心位置を示す鉄筋位置直線の間を計測する場合と、鉄筋の空き間隔として対向する鉄筋表面間の距離を計測する場合とがある。
【0023】
図2は、本実施形態に係る柱配筋200の構造を示す斜視図である。図2は、さらに、画像計測装置100を用いて柱配筋200の第1面F1を撮影している状態を示す。図2に示すように、柱配筋200は、4面、すなわち、第1面F1、第2面F2、第3面F3および第4面F4から構成されている。ここで、面とは、鉄筋自体の物理的な表面ではなく、同一の平面上に配置された鉄筋が存在する面を示す。例えば、第1面F1の右側に隣接するのは、第2面F2である。第1面F1の左側に隣接するのは、第4面F4である。画像計測装置100は、柱配筋200の各面を撮影した画像を取得し、当該画像から柱配筋200の鉄筋規格に関する判定を行い、その判定結果を出力する。ここで、隣接とは必ずしも2つの面が接している必要はなく、柱配筋において共通する一の角鉄筋を有する2つの面が接することなく隣り合っていればよいことを意味する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る画像計測装置100を用いて、柱配筋200の第1面F1を撮影した画像を示す図である。図3は、さらに、第1面F1を計測した状態を示す。図3に示すように、計測した第1面F1に配置される主筋および帯筋に対して、鉄筋の中心位置を示す破線および番号が付記されている。また、柱配筋200の角鉄筋C11が主筋1として撮影され、角鉄筋C12が主筋6として撮影されている。ここで、図3が示す画像では、鉄筋規格の判定結果を含む計測結果を表示していないが、計測結果をテキストファイルに出力したり、計測結果をまとめた画像を表示したりしてもよい。図3が示す画像に隣接した位置に計測結果を表示するための領域を設けて、当該計測結果を当該領域に表示してもよい。
【0025】
図4は、本実施形態に係る柱配筋200の第1面F1の計測結果をまとめた画像を示す図である。図4に示すように、主筋には1から6までの番号が付与され、各主筋の規格判定結果にはD29がそれぞれ付記されている。そして、帯筋には1から3までの番号が付与され、各帯筋の規格判定結果にはD13がそれぞれ付記されている。上記によれば、計測結果を、画像とは別の領域に保存し、または、画像とは別の画面に表示することにより、撮影された画像における、鉄筋の視認性を低下させずに済む。
【0026】
図5は、本実施形態に係る画像計測装置100を用いて、柱配筋200の第2面F2を撮影した画像を示す図である。図5は、さらに、第2面F2を計測した状態を示す。図5に示すように、計測した第2面F2に配置される主筋および帯筋に対して、鉄筋の中心位置を示す破線および番号が付記されている。また、柱配筋200の角鉄筋C21が主筋1として撮影され、角鉄筋C22が主筋4として撮影されている。ここで、図5が示す画像では、計測結果である鉄筋規格の判定結果を表示していないが、計測結果をテキストファイルに出力したり、計測結果をまとめた画像を表示したりする。図5が示す画像に隣接した位置に計測結果を表示するための領域を設けて、当該計測結果を当該領域に表示してもよい。
【0027】
図6は、本実施形態に係る柱配筋200の第2面F2の計測結果をまとめた画像を示す図である。図6に示すように、主筋には1から4までの番号が付与され、各主筋の規格判定結果にはD29がそれぞれ付記されている。そして、帯筋には1から3までの番号が付与され、各帯筋の規格判定結果にはD13がそれぞれ付記されている。上記によれば、計測結果を、画像とは別の領域に保存し、または、画像とは別の画面に表示することにより、撮影された画像における、鉄筋の視認性を低下させずに済む。
【0028】
従来の画像計測装置の場合、図3および図4(第1面F1の計測結果)のデータと、図5および図6(第2面F2の計測結果)のデータとを別々に保存していた。一方、本実施形態に係る画像計測装置100は、第1面F1の撮影画像から得られる計測結果のデータ(第1鉄筋データ)と、第2面F2の撮影画像から得られる計測結果のデータ(第2鉄筋データ)とを統合し、統合したデータを記憶部106に記憶させ、または、表示部104に表示(出力)させる。
【0029】
柱配筋200に含まれる鉄筋のうち、図3が示す第1面F1に配置される角鉄筋(第1角鉄筋)C12と、図5が示す第2面F2に配置される角鉄筋(第2角鉄筋)C21とは、同一の鉄筋である。そこで、各計測結果を統合するために、画像計測装置100は、角鉄筋C12と、角鉄筋C12に対応する角鉄筋C21とを、第1面F1および第2面F2の両方に配置される、共通の角鉄筋として設定(選択)する。
【0030】
図7は、本実施形態に係る角鉄筋を設定するための画面の例を示す図である。角鉄筋の設定は、画像計測装置100において、第1面F1の撮影画像と、第2面F2の撮影画像とを、表示部104に表示させた上で、ユーザが指定することにより行われる。角鉄筋の設定は、図3図5などの画像を別々に表示しても行うことができる。しかしながら、図7に示すように、統合する2つの面の画像を並べて表示するので、対応関係を把握し易くなるため、好適である。その際、柱配筋200を外部から見たときの、第1面F1と、第2面F2との位置関係に合わせて、表示部104は、画面の左側に第1面F1の撮影画像を表示し、画面の右側に第2面F2の撮影画像を表示する。
【0031】
また、ユーザが各画像上で角鉄筋を指定したとき、画像上の当該角鉄筋の中心位置を示す直線の色を、他の鉄筋の中心位置を示す直線の色と異ならせたり、指定された鉄筋を示す番号などを別枠で表示したりしてもよい。これにより、ユーザが角鉄筋の指定状況を容易に把握することができる。
【0032】
角鉄筋が設定されると、画像計測装置100は、角鉄筋を用いて、複数の計測結果(角鉄筋の所在を示す鉄筋データ)を統合する。画像計測装置100において統合される計測結果は、例えば、鉄筋規格の判定結果、および、画像である。
【0033】
図8は、鉄筋規格の判定結果を統合した計測結果の出力例を示す図である。主筋は、第1面F1に配置される6本と、第2面F2に配置される4本とが統合され、角鉄筋の重複を考慮して9本の鉄筋規格の判定結果になっている。また、帯筋は、第1面F1と第2面F2とにおいて、3本の全鉄筋が共通になっているため、全ての結果を統合して3本という結果となっている。
【0034】
ここで、本実施形態に係る柱配筋200における帯筋を3本で説明したが、2本以下、または、4本以上の帯筋が存在する場合があり、計測範囲が異なると帯筋の本数、位置などが異なる場合が発生する。その場合には、角鉄筋の指定と同様に、第1面F1と第2面F2とで共通する帯筋をユーザが指定することにより、帯筋の計測結果を統合することが可能になる。
【0035】
図9は、本実施形態に係る鉄筋規格の判定結果を統合した計測結果の出力例を示す図である。図9に示すように、画像計測装置100は、鉄筋規格の判定結果に応じて各鉄筋の属性を付与してもよい。図9では、各鉄筋の属性に第1面、第2面、および、角鉄筋の何れか1つが付与されている。また、角鉄筋である主筋6は、他の鉄筋と区別するために、番号である6に下線が付与されているので、角鉄筋であることが明確になるため、好適である。図9では、主筋の番号に下線を付与したが、番号のフォント、色、太さなどを変えたり、番号を丸で囲ったり、番号付近にマークを付けたりして、他と区別しても、下線と同様の効果が得られる。
【0036】
図10は、本実施形態に係る計測結果の画像を統合した結果の出力例を示す図である。画像計測装置100は、図3が示す角鉄筋C12の位置と、図5が示す角鉄筋C21の位置とに基づいて、図3が示す画像と、図5が示す画像とを統合した、図10が示す画像を生成する。画像計測装置100は、例えば、図3が示す角鉄筋C12と、図5が示す角鉄筋C21とが、図10が示す主筋6として重なるように画像を統合する。
【0037】
2つの画像を統合する場合には、角鉄筋の中心位置が重なるようにする。角鉄筋の位置を中心にして第1面F1側は第1面F1の画像の重みが重くなるように、かつ、角鉄筋の位置を中心にして第2面F2側は第2面F2の画像の重みが重くなるように、角鉄筋の位置からの距離に応じて加重平均することによって、自然な画像を生成することができる。また、角鉄筋である主筋6の、鉄筋の中心位置を示す線、および、番号の色、太さなどを変えることによって、他の鉄筋と区別してもよい。
【0038】
さらに、各面の計測対象となる鉄筋が存在する鉄筋平面を各々算出し、各面の鉄筋平面が重なるように画像を変換して統合することにより、同一面に鉄筋が配置されたような画像が生成できるため、好適である。例えば、画像計測装置100は、第1面F1の複数の鉄筋が配置される平面である第1平面と、第2面F2の複数の鉄筋が配置される平面である第2平面とに基づいて、第1面F1の画像と、第2面F2の画像とを統合した画像を生成する。このとき、平面の法線ベクトルから、各面の撮影のうち最も正対して撮影できている平面に合わせると、当該平面の画像変換をせずに、処理時間を短縮し、より正対に近い、統合した画像を生成することができる。
【0039】
図11は、本実施形態に係る画像計測装置100が第1面F1の計測結果と、第2面F2の計測結果とを統合して出力する処理を示すフローチャートである。
【0040】
(ステップS1:取得ステップ)
画像計測装置100において、画像処理部(取得部)103は、撮像部101および撮像部102により、計測対象である柱配筋200が撮影された、第1面F1の画像と、第2面F2の画像とを取得する。
【0041】
(ステップS2)
画像処理部103は、取得した各面の画像から、計測対象の鉄筋に対して計測処理を実行する。例えば、計測処理が鉄筋規格の判定であった場合には、画像処理部103は、特徴点の3次元座標を算出し、算出された点群に対して、ノイズ成分を除去しながら最小二乗平面を算出し、最小二乗平面上の点群から直線成分を算出することで鉄筋位置を算出する。そして、画像処理部103は、算出された鉄筋位置周辺の点群から鉄筋エッジを算出し、鉄筋エッジから鉄筋径を算出し、算出された鉄筋径と、予め登録されている鉄筋規格とを比較することにより、鉄筋規格を判定する。
【0042】
(ステップS3:選択ステップ)
画像処理部103は、第1面F1と、第2面F2との両方に配置される、共通の角鉄筋を設定する。ユーザが角鉄筋を指定する場合には、表示部104は、第1面F1を撮影した画像と、第2面F2を撮影した画像とを表示する。入力部105は、角鉄筋の位置の指定を受け付ける。画像処理部(選択部)103は、指定された位置の鉄筋を角鉄筋として選択する。
【0043】
(ステップS4:統合ステップ)
画像処理部(統合部)103は、設定された角鉄筋に基づいて計測結果を統合する。
【0044】
(ステップS5:出力ステップ)
画像処理部(出力部)103は、統合した計測結果を出力させる。例えば、画像処理部103は、計測結果を表示部104に表示させ、または、記憶部106に記憶させる。計測結果は、鉄筋規格判定のほか、鉄筋径、鉄筋間隔、鉄筋位置、鉄筋本数、画像などである。
【0045】
上記の構成によれば、選択した角鉄筋Cの所在を示す計測結果の統合により、所定の主筋が第1面F1に配置されるのか、第2面F2に配置されるのかが明確になるので、撮影した柱配筋200が配置される面を特定することができる。すなわち、柱配筋200を撮影した画像がどの鉄筋平面を撮影したものかが分かるようにすることができる。
【0046】
ここで、図11のフローチャートでは、画像計測装置100は、柱配筋200の第1面F1と第2面F2とを撮影した後に計測処理を行うように説明したが、第1面F1の計測処理を完了させた後に第2面F2を撮影してもよいし、第1面F1の計測処理と、第2面F2の撮影および計測処理とを並行して処理してもよい。
【0047】
次に、本実施形態では、画像計測装置100において、撮像部101と撮像部102で撮影された画像を直接的に画像処理部103に入力する方法を説明したが、画像処理部103が、事前に記憶部106に記憶された画像を取得しても同様の効果が得られる。また、画像処理部103は、記憶部106に記憶された各面の計測結果を取得して、当該計測結果を統合しても同様の効果が得られる。
【0048】
また、本実施形態では、柱配筋200の第1面F1と第2面F2とを統合する方法について説明したが、同様の処理により他の面同士を統合することができる。例えば、第1面F1と第2面F2とを統合した計測結果に、第3面F3の計測結果を統合し、さらに第1面F1と第2面F2と第3面F3とを統合した計測結果に、第4面F4の計測結果を統合することにより、柱配筋200を構成する4面の計測結果を統合することができる。上記の方法により、柱配筋200の計測結果を関連付けて記憶し、撮影漏れを防いで各面の状態を確認し易くすることが可能となる。
【0049】
さらに、上記では、隣接する2つの面を撮影するごとに、その間の角鉄筋を指定して計測結果を統合する方法を説明したが、3面または4面を撮影した後に、隣接する2つの面の間の角鉄筋を指定し、一括して計測結果を統合する方法であってもよい。例えば、柱配筋200の撮影対象が4面ある場合、画像計測装置100は、第1面F1、第2面F2、第3面F3、および、第4面F4のそれぞれを撮影し、各面の鉄筋を計測する。次に、画像計測装置100は、第1面F1と第2面F2との間の角鉄筋、第2面F2と第3面F3との間の角鉄筋、および、第3面F3と第4面F4との間の角鉄筋を選択する。そして、画像計測装置100は、選択した3組の角鉄筋を用いて、第1面F1、第2面F2、第3面F3、および、第4面F4をまとめて統合する。
【0050】
なお、画像計測装置100は、柱配筋200の各面の計測結果(鉄筋データ)を統合せずに、それぞれの計測結果を出力させてもよい。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ部材番号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
本発明の実施形態2においては、画像計測装置100を用いて柱配筋200の各面を撮影するときに、撮影対象である柱配筋200の面数、各面を撮影する順序などを事前に設定させる。
【0053】
実際の建設現場では、他の物体の存在や、足場の影響により、柱配筋200の全ての面が撮影できない場合がある。そのため、画像計測装置100に対して、撮影する予定の柱配筋200の面数を事前に設定することにより、撮影時にユーザを適切に誘導することが可能になる。また、画像計測装置100に対して、撮影する方向を事前に設定することにより、撮影時にユーザが使い易い画像計測装置100を提供することが可能になる。
【0054】
図12は、本実施形態に係る柱配筋200の撮影面数および撮影順序を設定する画面G1の例を示す図である。画面G1は、画像計測装置100の表示部104に表示される。そして、画面G1の右側に表示されたボタンを用いて、撮影面数の何れか1つ、および、撮影順序の何れか1つが選択可能である。撮影面数は、柱配筋200の、実際に撮影可能な面の数を示す。図12に示すように、撮影面数として、2面、3面、または、4面が選択可能である。撮影順序は、柱配筋200を真上から見たときの、各面を撮影する順序を示す。図12に示すように、撮影順序として、時計回り(すなわち、(3)->(2)->(1))、または、反時計回り(すなわち、(1)->(2)->(3))が選択可能である。
【0055】
そして、画面G1の右下側には、「戻る」ボタンおよび「決定」ボタンが配置される。ユーザは、実施予定の撮影条件を各々選択した後に「決定」ボタンをクリックすることにより、柱配筋200を適切に撮影することができる。「戻る」ボタンをクリックすることにより、前の画面に戻すことができる。また、画面G1の左側には、撮影面数および撮影順序を示した柱配筋200の上面図が表示される。これにより、ユーザが撮影条件を確認し易くなるので、好適である。
【0056】
以下では、図12に示すように、撮影面数を3面、撮影順序を反時計回りに設定した場合の、柱配筋200の撮影手順を説明する。
【0057】
図13は、本実施形態に係る次の面の撮影に誘導する画面G2の例を示す図である。ユーザは、画像計測装置100を用いて第1面F1を撮影した後、第2面F2の撮影に移行する。このとき、画像計測装置100は、図12の画面G1において設定された撮影面数および撮影順序に基づいて、次に撮影すべき柱配筋200の面の存在、および、当該面の撮影に誘導するメッセージ(第2面F2を撮影すべき旨)を画面G2上に表示(出力)させる。例えば、図12の画面G1では撮影順序が反時計回りに設定されているため、ユーザにとって、次に撮影すべき面は右側にあるので、図13の画面G2には「右隣の面を撮影して下さい」とのメッセージが表示される。
【0058】
そして、画面G1の右下側には、「戻る」ボタンおよび「撮影」ボタンが配置される。ユーザは、画面G2のメッセージに従って「撮影」ボタンをクリックすることにより、柱配筋200の計測を円滑に実施することができる。「戻る」ボタンをクリックすることにより、前の画面に戻すことができる。なお、画像計測装置100は、設定した撮影面数、および、撮影が済んだ画像数を表示部104の画面に表示して、残りの撮影回数をユーザに通知してもよい。
【0059】
ユーザは、画面G2のメッセージに従って、第2面F2を撮影した後、第3面F3の撮影を実行すると、画面G1で設定した撮影面数である3面に達したことになる。そのため、画像計測装置100は、次の面の撮影に誘導するのではなく、設定した撮影が完了した旨を通知し、または、角鉄筋を設定する画面に遷移する。これにより、ユーザは、余計な撮影を抑制し、次の作業に速やかに移行することが可能になる。
【0060】
図14は、本実施形態に係る角鉄筋を設定する画面G3の例を示す図である。画面G3には、図12の画面G1に設定された撮影順序に基づいて、柱配筋200の各面の画像が配置される。画面G1で撮影順序が反時計回りに設定されているので、図14に示すように、第1面F1が左側に配置され、第2面F2が右側に配置されている。
【0061】
第1面F1の角鉄筋は主筋6であり、第2面F2の角鉄筋は主筋1である。そのため、画面G3において、上記のように第1面F1と第2面F2とを配置することにより、選択すべき各面の角鉄筋同士が互いに近い状態で表示される。これにより、ユーザが角鉄筋の選択および確認を容易に行うことができる。
【0062】
そして、画面G3の右下側には、「戻る」ボタンおよび「決定」ボタンが配置される。ユーザは、角鉄筋を選択した後に「決定」ボタンをクリックすることにより、第1面F1と第2面F2とが統合された画像が表示される。「戻る」ボタンをクリックすることにより、前の画面に戻すことができる。
【0063】
図15は、本実施形態に係る角鉄筋を設定する画面G4の例を示す図である。画面G1で撮影順序が時計回りに設定された場合には、図15に示すように、第1面F1の角鉄筋は主筋1であり、第4面F4の角鉄筋は主筋4である。そのため、画面G4においては、第1面F1が右側に配置され、第4面F4が左側に配置されている。
【0064】
さらに、撮影順序が設定されている場合、統合する各面の位置関係が判定でき、複数の主筋のうち端に存在する鉄筋が角鉄筋になることが分かる。そのため、各面を統合する最も外側の鉄筋を角鉄筋として自動で設定したり、角鉄筋の位置を初期設定してユーザが指定する作業を簡略化したりすることができる。
【0065】
そして、画面G4の右下側には、「戻る」ボタンおよび「決定」ボタンが配置される。ユーザは、角鉄筋を選択した後に「決定」ボタンをクリックすることにより、第1面F1と第2面F2とが統合された画像が表示される。「戻る」ボタンをクリックすることにより、前の画面に戻すことができる。
【0066】
また、図14および図15では、第1面F1と第2面F2、および、第1面F1と第4面F4、すなわち、2面の画像を表示した画面で角鉄筋を設定する例を説明したが、各画像を表示した画面に角鉄筋を設定することにより、同様の効果が得られる。例えば、連続する3面を表示した画面に角鉄筋を設定してもよいし、全ての面を表示した画面に角鉄筋を同時に設定してもよい。
【0067】
この場合、図14および図15と同様に、各面の同一の角鉄筋同士が互いに近い状態で表示されるように、各面の画像が配置される。画像計測装置100は、例えば、第1面F1の角鉄筋と、第2面F2の角鉄筋とが近くなるように、第1面F1の画像と、第2面F2の画像とを並べて配置し、第1面F1の画像から角鉄筋を選択させ、第2面F2の画像から角鉄筋を選択させる画面を表示させる。そのため、ユーザは、各面の角鉄筋を容易に設定することができる。
【0068】
上記においては、事前に柱配筋200の撮影面数および撮影順序の両方を画面G1に設定させる例を説明したが、撮影面数および撮影順序の何れか一方を設定させても各々の効果を得ることができる。撮影面数を設定させた場合には、撮影すべき残りの面があるか否かを判定することができる。その場合、画像計測装置100は、設定した撮影面数よりも少ない面数の撮影しか行われていないときには、ユーザに次の面の撮影を促す画面を表示させてもよいし、設定された撮影面数と同じ面数の撮影が完了したときには、次の処理に移行するようにユーザを誘導する(例えば、角鉄筋を選択させる)画面を表示させてもよい。撮影順序を設定した場合には、撮影画像ごとの結合すべき方向を判定することができる。そのため、2つの画像の各々の角鉄筋が互いに近い状態になるように画像を並列させて配置することにより、角鉄筋の設定および確認を容易に行うことができる。
【0069】
図16は、本実施形態に係る柱配筋200の上面図の例である。図16に示すように、柱配筋200の各面の計測結果を統合した出力として、柱配筋200の上面図を生成すると、主筋の位置が分かりやすくなるため、好適である。図16では、柱配筋200の4面を計測した結果を統合した後、各面に主筋の位置を配置して描画している。各主筋を描画する位置は等間隔でもよいが、各主筋の間隔が計測されている場合には、その間隔の比で主筋の位置を描画すると、実際の柱配筋200を表現できるため、好適である。
【0070】
図17は、本実施形態に係る柱配筋200の上面図の例である。柱配筋200のうち計測しなかった面(すなわち、統合しなかった面)が存在する場合には、図17に示すように、実際に計測していないが、対面する配筋から推定される、主筋の位置を点線などで描画してもよい。これにより、計測した主筋と区別できるようになる。そして、各主筋の位置が判別し易いように、補助線を描画したり、計測結果と対応した鉄筋の番号を付与したりすることにより、計測結果が分かりやすくなる。
【0071】
ここで、上記の実施形態では、柱配筋200を計測する場合を説明したが、角形の配筋に対して適用することができ、例えば、梁の配筋でも同様の効果を得ることができる。
【0072】
以上で説明したように、本実施形態に係る画像計測装置100では、撮影面数を設定することにより、撮影の完了を通知し、速やかに次の作業に移行することができる。また、撮影順序を設定することにより、撮影順序を通知して、各面の角鉄筋が互いに近い状態になるように、画像を配置して角鉄筋を指定し、または、角鉄筋を自動で判定することができる。
【0073】
特に、2枚の画像を横に並べて表示した場合に、2枚の画像の内側の鉄筋(すなわち、左側の画像における右側の鉄筋、および、右側の画像における左側の鉄筋)が共通の角鉄筋になるので、分かりやすい。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像計測装置100(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、画像処理部103部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0075】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0076】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0077】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0078】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0079】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る画像計測装置は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合部と、前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力部と、を備えている。
【0080】
本発明の態様2に係る画像計測装置は、上記態様1において、前記統合部が、前記第1角鉄筋の位置と、前記第2角鉄筋の位置とに基づいて、前記第1画像と、前記第2画像とを統合した画像を生成してもよい。
【0081】
本発明の態様3に係る画像計測装置は、上記態様2において、前記統合部が、前記第1面の複数の鉄筋が配置される平面である第1平面と、前記第2面の複数の鉄筋が配置される平面である第2平面とに基づいて、前記第1画像と、前記第2画像とを統合した画像を生成してもよい。
【0082】
本発明の態様4に係る画像計測装置は、上記態様1において、前記出力部が、前記柱配筋の各面を撮影する順序を設定させ、前記第1角鉄筋と、前記第2角鉄筋とが近くなるように、前記第1画像と、前記第2画像とを並べて配置し、前記第1画像から前記第1角鉄筋を選択させ、前記第2画像から前記第2角鉄筋を選択させる画面を表示してもよい。
【0083】
本発明の態様5に係る画像計測装置は、上記態様1において、前記出力部が、前記第1面を撮影した後、前記第2面を撮影すべき旨を出力してもよい。
【0084】
本発明の態様6に係る画像計測装置は、上記態様1において、前記出力部が、前記柱配筋を撮影する面数を設定させ、設定された前記面数の撮影が完了したとき、前記角鉄筋を選択させる画面を表示してもよい。
【0085】
本発明の態様7に係る画像計測装置は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測装置であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択部と、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを出力させる出力部と、を備えている。
【0086】
本発明の態様8に係る画像計測方法は、柱配筋を撮影した画像を使用して、当該柱配筋を計測する画像計測方法であって、前記柱配筋の第1面を撮影した画像である第1画像と、前記第1面と隣り合う、前記柱配筋の第2面を撮影した画像である第2画像とを取得する取得ステップと、前記第1画像から、前記第1面に配置される角鉄筋である第1角鉄筋を選択し、前記第2画像から、前記第2面に配置される角鉄筋であって、前記第1角鉄筋に対応する第2角鉄筋を選択する選択ステップと、前記第1角鉄筋および前記第2角鉄筋を用いて、前記第1面の各鉄筋に関するデータであって、前記第1角鉄筋の所在を示す第1鉄筋データと、前記第2面の各鉄筋に関するデータであって、前記第2角鉄筋の所在を示す第2鉄筋データとを統合する統合ステップと、前記第1鉄筋データと、前記第2鉄筋データとを統合したデータを出力させる出力ステップと、を含む。
【0087】
本発明の各態様に係る画像計測装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像計測装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記画像計測装置をコンピュータにて実現させる画像計測装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。例えば、柱配筋は、梁又は橋梁などの概念を含む。
【符号の説明】
【0089】
100 画像計測装置
101 撮像部
102 撮像部
103 画像処理部(取得部、選択部、統合部、出力部)
104 表示部
105 入力部
106 記憶部
200 柱配筋
C12 角鉄筋(第1角鉄筋)
C21 角鉄筋(第2角鉄筋)
F1 第1面
F2 第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17