(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125596
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230831BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230831BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230831BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/44 Y
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 658F
H01L29/06 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029794
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】可知 剛
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB08
4M104BB18
4M104DD08
4M104DD43
4M104DD64
4M104DD65
4M104FF07
4M104FF09
4M104FF10
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH18
(57)【要約】
【課題】スイッチング特性を向上させた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極と、第2電極と、半導体部と、導電体と、制御電極と、を備える。前記第2電極は、第1方向において、前記第1電極と離間して設けられる。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を含み、且つ、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する。前記導電体は、前記半導体部内に設けられ、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第1絶縁膜を介して、前記第1半導体層に向き合う。前記制御電極は、前記第2半導体層と前記第1電極との間に第2絶縁膜を介して設けられた第1部分と、前記第1方向と直交する第2方向において、前記第2半導体層と前記第2絶縁膜を介して向き合う第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分は繋がっており、且つ、前記導電体と離間する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第1方向において、前記第1電極と離間して設けられた第2電極と、
第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を含み、且つ前記第1電極と前記第2電極との間に位置する半導体部と、
前記半導体部内に設けられ、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第1絶縁膜を介して、前記第1半導体層に向き合う導電体と、
前記第2半導体層と前記第1電極との間に第2絶縁膜を介して設けられた第1部分と、
前記第1方向と直交する第2方向において、前記第2半導体層と前記第2絶縁膜を介して向き合う第2部分と、
を有し、前記第1部分と前記第2部分は繋がっており、且つ、前記導電体と離間する制御電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記半導体部は、前記第2半導体層上に部分的に設けられた前記第1導電形の第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層は、前記第2絶縁膜を介して、前記制御電極の前記第1部分に向き合う領域を含む請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極は、前記第2半導体層および前記第3半導体層に電気的に接続され、
前記制御電極および前記導電体は、前記第1電極から第3絶縁膜により電気的に絶縁される請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1方向において、前記第2半導体層の第2絶縁膜に沿った第1幅は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界から前記第2絶縁膜と前記第3半導体層との境界に至る第2距離よりも小さい請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体層は、前記第2絶縁膜に沿って、前記制御電極と第2半導体層との間に延びる延伸部分を含む請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御電極の前記第1部分と前記第2部分は、湾曲部を介してつながる請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御電極の前記湾曲部は、前記第2絶縁膜の前記第1方向の膜厚よりも大きい曲率半径を有する、前記第2絶縁膜の膜厚よりも大きい請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記制御電極の前記第1部分は、前記第2方向において、前記第1絶縁膜上、前記第2部分上および前記第2半導体層上に延在し、前記第1方向に延びる前記第2部分の上端に接続される請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御に用いられる半導体装置には、オン抵抗の低減およびスイッチング特性の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、スイッチング特性を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第2電極と、半導体部と、導電体と、制御電極と、を備える。前記第2電極は、第1方向において、前記第1電極と離間して設けられる。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を含み、且つ、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する。前記導電体は、前記半導体部内に設けられ、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第1絶縁膜を介して、前記第1半導体層に向き合う。前記制御電極は、前記第2半導体層と前記第1電極との間に第2絶縁膜を介して設けられた第1部分と、前記第1方向と直交する第2方向において、前記第2半導体層と前記第2絶縁膜を介して向き合う第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分は繋がっており、且つ、前記導電体と離間する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図2】実施形態に係る半導体装置を模式的に示す部分断面図である。
【
図3】実施形態に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【
図4】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
【
図5】
図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
【
図6】
図5に続く製造過程を示す模式断面図である。
【
図7】
図6に続く製造過程を示す模式断面図である。
【
図8】
図7に続く製造過程を示す模式断面図である。
【
図9】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、パワーMOSFETである。半導体装置1は、例えば、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、を備える。
【0010】
半導体部10は、例えば、シリコンである。半導体部10は、第1電極20と第2電極30との間に設けられる。第1電極20は、例えば、ソース電極である。第2電極30は、例えば、ドレイン電極である。
【0011】
半導体部10は、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第1導電形の第3半導体層15と、第2導電形の第4半導体層17と、第1導電形の第5半導体層19と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明するが、これに限定される訳ではない。
【0012】
第1半導体層11は、例えば、n形ドリフト層である。第1半導体層11は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。
【0013】
第2半導体層13は、例えば、p形ベース層である。第2半導体層13は、第1半導体層11上に設けられる。第2半導体層13は、半導体部10の上面10F内に位置する表面を有する。
【0014】
第3半導体層15は、例えば、n形ソース層である。第3半導体層15は、第2半導体層13上に部分的に設けられる。第3半導体層15は、第1電極20に電気的に接続される。
【0015】
第4半導体層17は、例えば、p形コンタクト層である。第4半導体層17は、第2半導体層13上に部分的に設けられる。第4半導体層17は、第2半導体層13の第2導電形不純物よりも高濃度の第2導電形不純物を含む。第1電極20は、第4半導体層17に接し、電気的に接続される。第2半導体層13は、第4半導体層17を介して、第1電極20に電気的に接続される。
【0016】
第5半導体層19は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。第5半導体層19は、例えば、n形バッファ層である。第5半導体層19は、第2電極30に電気的に接続される。第5半導体層19は、第1半導体層11の第1導電形不純物よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。
【0017】
半導体装置1は、導電体40と、制御電極50と、をさらに含む。半導体部10は、第2半導体層13の表面から第1半導体層11中に至る深さのトレンチTRを有する。
導電体40は、例えば、フィールドプレート電極であり、トレンチTRの内部に設けられる。導電体40は、半導体部10から第1絶縁膜43により電気的に絶縁される。導電体40は、第1絶縁膜43を介して、第1半導体層11に向き合う。第1絶縁膜43は、例えば、フィールドプレート絶縁膜である。
【0018】
制御電極50は、例えば、第1部分50aと、第2部分50bと、を含む。第1部分50aは、半導体部10の表面10F上に設けられる。第2部分50bは、トレンチTRの内部に設けられる。第2部分50bは、トレンチTR内において、導電体40から離間して設けられる。また、第2部分50bは、トレンチTRの内壁上に設けられ、第1部分50aにつながる。第1部分50aおよび第2部分50bは、一体に設けられる。
【0019】
制御電極50の第2部分50bは、例えば、第1絶縁膜43の上に設けられる。制御電極50は、第1絶縁膜43の上端に沿って、トレンチTRの内壁と交差する方向、例えば、X方向に延在する端部を有する。このような制御電極50の断面形状は例示であって、X方向に延在する端部を有さない断面形状であってもよい。
【0020】
制御電極50は、半導体部10から第2絶縁膜53により電気的に絶縁される。第2絶縁膜53は、例えば、ゲート絶縁膜である。制御電極50の第1部分50aおよび第2部分50bは、第2絶縁膜53を介して、第2半導体層13に向き合う。
【0021】
半導体部10の上面内に位置する第2半導体層13の表面は、制御電極50の第1部分50aに向き合う。また、トレンチTRの内壁に含まれるされた第2半導体層13の別の表面は、制御電極50の第2部分50bに向き合う。さらに、半導体部10の上面10Fにおいて、第3半導体層15は、第2絶縁膜53を介して、制御電極50の第1部分50aに向き合う領域を含む。
【0022】
第1電極20は、半導体部10の表面10F側において、第3半導体層15、第4半導体層17、導電体40および制御電極50を覆うように設けられる。第1電極20と導電体40との間、および、第1電極20と制御電極50との間には、第3絶縁膜55が設けられる。導電体40および制御電極50は、第1電極20から第3絶縁膜55により電気的に絶縁される。第3絶縁膜55は、例えば、層間絶縁膜である。
【0023】
第1電極20は、第3絶縁膜55に設けられるコンタクトトレンチCTを介して、第3半導体層15および第4半導体層17に電気的に接続される。コンタクトトレンチCTは、例えば、第3絶縁膜55の上面から第2半導体層13中に至る深さを有する。第4半導体層17は、コンタクトトレンチCTの底面に設けられる。第1電極20は、コンタクトトレンチCTの内壁に含まれる第3半導体層15に接し、且つ、電気的に接続される。
【0024】
図2(a)は、実施形態に係る半導体装置1を模式的に示す部分断面図である。
図2(b)は、比較例に係る半導体装置2を模式的に示す部分断面図である。
図2(a)および(b)は、それぞれ、トレンチTRの開口部を表している。
【0025】
図2(a)に示すように、第2半導体層13は、半導体部10の上面10F内に位置する第1表面13fと、トレンチTRの内壁に含まれる第2表面13gと、を有する。第2半導体層13の第1表面13fは、第2絶縁膜53を介して、制御電極50の第1部分50aに向き合う。第2表面13gは、第2絶縁膜53を介して、制御電極50の第2部分50bに向き合う。制御電極50のゲート長は、第1表面13fおよび第2表面13gを介して第3半導体層15から第1半導体層11に至る沿面距離である。
【0026】
図2(a)中の13cは、第1表面13fから第2表面13gに沿って第1半導体層11と第2半導体層13の境界に至るZ方向の第1距離である。また、同図中の13dは、トレンチTRから離間した領域において、半導体部10の上面10Fから、第1半導体層11と第2半導体層13の境界に至るZ方向の第2距離である。すなわち、 第2距離は、第2絶縁膜53と第3半導体層15の境界と、第1半導体層11と第2半導体層13の境界との間のZ方向における距離である。半導体装置1では、第1距離13cは、第2距離13dよりも短い。言い換えれば、第1半導体層11は、トレンチTRの内壁に沿って、第2半導体層13と制御電極50の第2部分50bとの間に延びる延伸部11exを有する。
【0027】
延伸部11exは、例えば、第1半導体層11と第2半導体層13との間のビルトインポテンシャルにより空乏化される。これにより、ゲートドレイン間の寄生容量Cgdを低減することができる。
【0028】
また、第3半導体層15は、第2絶縁膜53を介して、制御電極50の第1部分50aに向き合う重複領域を有する。第3半導体層15の制御電極50に向き合う重複幅15dは、例えば、第3半導体層15中の第1導電形不純物の拡散距離である。すなわち、重複幅15dは、第3半導体層15の形成条件、例えば、イオン注入後の熱処理温度および第1不純物のドーズ量により制御される。
【0029】
図2(b)に示すように、半導体装置2は、トレンチTRの内部に設けられた制御電極60を有する。制御電極60は、第2絶縁膜63を介して、第2半導体層13および第3半導体層15のトレンチTRの内壁に含まれるそれぞれの表面に向き合う。
【0030】
この例では、半導体部10の上面10Fから第1半導体層11と第2半導体層13との境界に至る距離は均一である。すなわち、第1半導体層11は、第2半導体層13と制御電極60との間に延びる延伸部11exを有さない。このため、半導体装置2におけるゲートソース間の寄生容量Cgdは、半導体装置1の寄生容量Cgdよりも大きくなる。
【0031】
また、第2絶縁膜63を介して制御電極60に重なる第3半導体層15の重複領域のZ方向の重複幅15dは、例えば、半導体部10の上面10Fに対する制御電極60のリセス量ΔRに依存する。制御電極60は、例えば、ドライエッチングにより、Z方向における所定の長さを有するように形成される。このため、リセス量ΔRは、エッチングの不均一性を含む。例えば、リセス量ΔRが大きくなり、第3半導体層15の重複領域がなくなると、半導体装置2はターンオンしなくなる。これを避けるために、リセス量ΔRを小さくして、重複幅15dを大きくすることが好ましいが、ゲートソース間の寄生容量Cgsが大きくなる。これに対し、半導体装置1では、重複幅15dの制御が容易であり、重複幅15dを小さくすることが可能である。すなわち、ゲートソース間の寄生容量Cgsを小さくすることが可能である。
【0032】
このように、半導体装置1では、ゲートソース間の寄生容量Cgsおよびゲートドレイン間の寄生容量Cgdを低減することができる。これにより、スイッチング特性を向上させることが可能である。
【0033】
また、半導体装置1では、制御電極50を薄く形成できるため、製造過程が容易になる。例えば、トレンチTRの内部に制御電極60を埋め込む際に、制御電極60に生じるボイドなどの構造欠陥をなくすことが可能である。
【0034】
図3は、実施形態に係る半導体装置1の特性を示すグラフである。横軸は、ドレイン電圧である。縦軸は、ドレイン電流である。同図中に示す「MG」は、半導体装置1の特性を示している。また、「TG」は、トレンチゲートトランジスタの特性を表し、「PG」は、プレナーゲートトランジスタの特性を表している。各トランジスタのチャネル長は同じである。
【0035】
図3に示すように、プレナーゲートトランジスタのドレイン電流は、トレンチゲートトランジスタのドレイン電流の2分の1以下である。すなわち、プレナートランジスタのオン抵抗は、トレンチゲートトランジスタのオン抵抗よりも大きくなる。
【0036】
これに対し、半導体装置1のトレイン電流は、トレンチゲートトランジスタのドレイン電流とほぼ同じである。半導体装置1では、制御電極50がプレナーゲート部分(第1部分50a)とトレンチゲート部分(第2部分50b)とを有することにより、第2絶縁膜53を介して第3半導体層13に向き合う重複幅15dの制御性を向上させることができる。言い換えれば、ゲート電極がゲート絶縁膜を介してソース層に向き合う重複領域の幅の制御性を向上させ、寄生容量を低減することが可能となる。一方、制御電極50がプレーナゲート部分を有するにもかかわらず、半導体装置1のオン抵抗は、トレンチゲートトランジスタのオン抵抗とほぼ同等にすることができる。
【0037】
次に、
図4(a)~
図8(b)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。
図4(a)~
図8(b)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0038】
半導体装置1には、例えば、シリコンウェーハ100を用いる。シリコンウェーハ100は、n形シリコン基板101と、n形シリコン層103と、を含む。n形シリコン層103は、n形シリコン基板101上にエピタキシャル成長される。n形シリコン層103のn形不純物濃度は、n形シリコン基板101のn形不純物濃度よりも低い。
【0039】
図4(a)に示すように、n形シリコン層103の上面側にトレンチTRを形成する。トレンチTRは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)用いて、n形シリコン層103を選択的にエッチングすることにより形成される。
【0040】
図4(b)に示すように、トレンチTRの内面を覆う第1絶縁膜43を形成する。第1絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜である。第1絶縁膜43は、例えば、n形シリコン層103を熱酸化したシリコン酸化膜と、CVD(Chemical Vapor Deposition)により堆積されるシリコン酸化膜と、を含む。第1絶縁膜43は、トレンチTRの内部にスペースを残すように形成される。
【0041】
続いて、第1絶縁膜43上に導電層105を形成する。導電層105は、トレンチTRの内部スペースを埋め込むように形成される。導電層105は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。導電層105、例えば、CVDにより形成される。
【0042】
図4(c)に示すように、トレンチTRの内部に導電体40を形成する。導電体40は、例えば、ドライエッチングもしくはウェットエッチングにより導電層105を部分的に除去することにより形成される。
【0043】
図5(a)に示すように、第1絶縁膜43を部分的にエッチングし、トレンチTRの上部に内壁を露出させる。第1絶縁膜43は、例えば、ドライエッチングにより部分的に除去される。第1絶縁膜43のエッチング量は、n形シリコン層103の上面103Fに対するリセス量ΔR1が所定の値になるように制御される。
【0044】
図5(b)に示すように、第2絶縁膜53をn形シリコン層103の表面上に形成する。第2絶縁膜53は、トレンチTRの上部の内壁を覆う。第2絶縁膜53は、例えば、熱酸化により形成される。この際、導電体40の上端にも絶縁膜45が形成される。第2絶縁膜53および絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0045】
図5(c)に示すように、第1絶縁膜43および第2絶縁膜53を覆うように、導電層107を形成する。導電層107は、例えば、導電性のポリシリコンである。導電層107は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0046】
図6(a)に示すように、導電層107の上にエッチングマスク109を形成する。エッチングマスク109は、例えば、フォトレジストである。エッチングマスク109は、例えば、フォトリソグラフィを用いて、n形シリコン層103の上面103Fの一部およびトレンチTRの内壁を覆うように形成される。
【0047】
図6(b)に示すように、エッチングマスク109を用いて導電層107を選択的にエッチングすることにより、制御電極50を形成する。導電層107は、例えば、ドライエッチングにより除去される。
【0048】
図6(c)に示すように、第2半導体層13をn形シリコン層103の上面側に形成する。第2半導体層13とn形シリコン基板101との間に位置するn形シリコン層103は、第1半導体層11となる。
【0049】
第2半導体層13は、n形シリコン層103の上面側にp形不純物、例えば、ボロン(B)を選択的にイオン注入することにより形成される。制御電極50は、イオン注入マスクとして機能する。イオン注入されたp形不純物は、熱処理により活性化され、拡散される。
【0050】
第2半導体層13は、トレンチTRの内壁おいて第2絶縁膜53に接する表面13gを有し、そのZ方向の幅は、第1距離13c(
図2(a)参照)である。第1絶縁膜43のリセス量ΔR1(
図5(a)参照)は、第1距離13cよりも大きくなるように制御される。すなわち、制御電極50の第2部分50b(
図2(a)参照)の下面は、Z方向において、第2半導体層13の第2絶縁膜53に接する表面の下端よりも下に位置する。
【0051】
図7(a)に示すように、、第3半導体層15を第2半導体層13の上に形成する。第3半導体層15は、第2半導体層13の上面側にn形不純物、例えば、砒素(As)を選択的にイオン注入し、熱処理することにより形成される。制御電極50は、イオン注入マスクとして機能する。
【0052】
第3半導体層15は、Z方向において、制御電極50の第1部分50aと重なる重複領域を有する。第3半導体層15の重複領域の重複幅15d(
図2(a)参照)は、例えば、イオン注入後の熱処理温度もしくはイオン注入されるn形不純物のドーズ量により制御される。このため、重複領域は、ウェーハ面内において均一に形成される。また、重複幅15dの制御も容易である。
【0053】
図7(b)に示すように、第3絶縁膜55を、制御電極50および導電体40を覆うように形成する。第3絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。第3絶縁膜55は、例えば、CVDを用いて形成される。第3絶縁膜55は、第3半導体層15も覆うように形成される。
【0054】
図8(a)に示すように、第3絶縁膜55にコンタクトトレンチCTを形成する。コンタクトトレンチCTは、第3絶縁膜55の上面から第2半導体層13に至る深さに形成される。さらに、コンタクトトレンチCTの底面に第4半導体層17を形成する。第4半導体層17は、コンタクトトレンチCTを介して、第2半導体層13にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入し、熱処理することにより形成される。
【0055】
図8(b)に示すように、第3絶縁膜55上に第1電極20を形成する。第1電極20は、コンタクトトレンチCTの内部に延在し、第3半導体層15および第4半導体層17に接するように形成される。第1電極20は、例えば、タングステン(W)およびアルミニウム(Al)を含む。
【0056】
続いて、n形シリコン基板101の裏面側を研削もしくはエッチングすることにより薄層化する。これにより、第5半導体層19(
図1参照)が形成される。さらに、第5半導体層19の裏面上に、第2電極30を形成する。第2電極30は、例えば、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)などを含む。
【0057】
図9(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置3、4を示す模式断面図である。
図9(a)および(b)は、それぞれ、トレンチTRの開口部を示す部分断面図である。
【0058】
図9(a)に示す半導体装置3では、半導体部10の上面10FとトレンチTRの内壁とがつながる領域において、第2半導体層13が丸められた角を有する。第2半導体層13の角は、例えば、第2絶縁膜53のZ方向の厚さ53Tよりも大きい曲率半径Rcを有するように形成される。
【0059】
第2半導体層13の角は、例えば、トレンチTRの形成時におけるドライエッチング、または、第2絶縁膜53の形成時における熱酸化により丸められる。言い換えれば、トレンチTRの内面は、第2半導体層13の上面と曲面を介してつながるように形成される。また、制御電極50の第1部分50aと第2部分50b(
図2参照)は、第2半導体層13の丸められた角を覆い、曲率半径Rcを有する湾曲部を介してつながる。このように、第2半導体層13が丸められた角を有することにより、第2絶縁膜53は均一な膜厚を有する。これにより、制御電極50のしきい値電圧のばらつきを抑制できる。また、第2半導体層13の角における第2絶縁膜53中の電界集中を抑制し、第2絶縁膜53の信頼性を向上させることもできる。
【0060】
図9(b)に示す半導体装置4では、制御電極50の第1部分50aおよび第2部分50bが異なる工程において形成される。第2部分50bは、例えば、第1絶縁膜43に形成されるリセス中に埋め込まれる。一方、第1部分50aは、第1絶縁膜43、第2部分50bおよび第2絶縁膜53の上に形成される導電層をパターニングすることにより形成される。第1部分50aは、第2半導体層13の上面を覆うように形成される。また、第2部分50bの上端からトレンチTR内に向けて延びる部分を含む。言い換えれば、第1部分50aは、例えば、X方向において、第2半導体層13、第2部分50bおよび第1絶縁膜上に延在し、第2部分50bの上端に接続される。
【0061】
この例では、制御電極50の第2部分50bの断面積を広くすることにより、制御電極50のゲート抵抗を低減することができる。また、第2部分50bを形成する際に、第3半導体層15に重複する領域の重複幅15d(
図2(b)参照)を制御する必要がなく、リセス量ΔR(
図2(a)参照)の許容範囲が広くなる。このため、第2部分50bの形成が容易になる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1、2、3、4…半導体装置、 10…半導体部、 10F、103F…上面、 11…第1半導体層、 11ex…延伸部、 13…第2半導体層、 13c…第1距離、 13d…第2距離、 13f、13g…表面、 15…第3半導体層、 15T、53T…厚さ、 15d…重複幅、 17…第4半導体層、 19…第5半導体層、 20…第1電極、 30…第2電極、 40…導電体、 43…第1絶縁膜、 45…絶縁膜、 50、60…制御電極、 50a…第1部分、 50b…第2部分、 53、63…第2絶縁膜、 55…第3絶縁膜、ΔR、ΔR1…リセス量、 100…シリコンウェーハ、 101…n形シリコン基板、 103…n形シリコン層、 105、107…導電層、 109…エッチングマスク、 CT…コンタクトトレンチ、 Rc…曲率半径、 TR…トレンチ