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特開2023-125611X線撮影装置、X線撮影方法およびX線撮影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125611
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】X線撮影装置、X線撮影方法およびX線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 390Z
A61B6/00 360B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029813
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】若山 直彦
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA33
4C093DA01
4C093FB02
4C093FF28
4C093FF35
4C093FG07
4C093FG13
4C093FG14
4C093FG16
4C093FG19
4C093FH08
(57)【要約】
【課題】被検者が指示とは異なる動きをするなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】このX線撮影装置100は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線検出器2によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20を生成する画像生成部9aと、撮影を行う操作者90の音声を取得する第1音声取得部4と、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声を第1文字情報21に変換する音声文字変換部30と、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を被検者91に対して表示する第1表示部5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、
撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える、X線撮影装置。
【請求項2】
操作者の音声は、撮影時における被検者の姿勢の指示情報を含む指示音声であり、
前記音声文字変換部は、前記指示音声を前記第1文字情報に変換するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記X線源と、前記X線検出器とは、検査室に設けられており、
前記第1音声取得部は、前記検査室に隣接した操作室に設けられた操作卓に配置されている、請求項1または2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記第1表示部は、前記第1文字情報が表示される表示面と、前記表示面を保持し、被検者の頭部に装着される保持部とを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を、無線通信によって前記第1表示部に表示させる制御を行う表示制御部をさらに備える、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
被検者の音声を取得する第2音声取得部をさらに備え、
前記音声文字変換部は、前記第2音声取得部によって取得された音声を第2文字情報に変換するように構成されており、
撮影を行う操作者に対して前記第2文字情報を表示する第2表示部をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者の動きを補助するための情報であり、記号、図形、および、動画像の少なくともいずれかを含む指示補助情報と、操作者の指示内容とを、関連付けた状態で記憶する記憶部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声において、前記指示補助情報と関連付けられた指示内容が含まれるか否かを判定する音声判定部と、
前記音声判定部が、前記指示補助情報と関連付けられた指示内容が操作者の音声に含まれていると判定した場合に、前記記憶部に記憶された前記指示補助情報を取得する指示補助情報取得部と、をさらに備え、
前記第1表示部は、前記第1文字情報とともに、前記指示補助情報を表示するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記指示補助情報は、前記撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者の動きを示す複数の前記動画像を含み、
前記記憶部は、前記撮影部位ごとに予め順序が設定された複数の前記動画像を関連付けて記憶するように構成されており、
前記音声判定部は、操作者の音声において、前記撮影部位を示す音声が含まれるか否かを判定するように構成されており、
前記指示補助情報取得部は、前記音声判定部によって、操作者の音声において前記撮影部位を示す音声が含まれていると判定された場合に、関連付けられた状態で前記記憶部に記憶された複数の前記動画像を取得するように構成されている、請求項7に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記音声文字変換部による操作者の音声を前記第1文字情報に変換する処理を行うか否かを切り替える変換処理切替部をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記第1文字情報を、被検者が理解可能な言語に翻訳する翻訳部をさらに備え、
前記第1表示部は、被検者が理解可能な言語に翻訳された前記第1文字情報である翻訳文字情報を表示するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
X線源と、前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、を備えるX線撮影装置による撮影方法であって、
撮影を行う操作者の音声を取得するステップと、
取得された操作者の音声を第1文字情報に変換するステップと、
前記第1文字情報を被検者に対して表示するステップと、を備える、X線撮影方法。
【請求項12】
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、
撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える、X線撮影システム。
【請求項13】
前記X線源と、前記X線検出器とは、検査室に設けられており、
前記第1音声取得部は、前記検査室に隣接した操作室に設けられた操作卓に配置されている、請求項12に記載のX線撮影システム。
【請求項14】
前記第1表示部は、前記第1文字情報が表示される表示面と、前記表示面を保持し、被検者の頭部に装着される保持部とを有する、請求項12または13に記載のX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線撮影装置、X線撮影方法およびX線撮影システムに関し、特に、撮影を行うために操作者が被検者に対して指示を行うX線撮影装置、X線撮影方法およびX線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影を行うために操作者が被検者に対して指示を行うX線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、X線撮影装置によって撮影を行う際に、検査者が被検者に対して、被検者の姿勢の変更指示などを行うための検査指示操作端末と、検査指示操作端末から送信された指示を表示する検査指示表示端末とが開示されている。検査指示表示端末は、検査指示操作端末から送信された姿勢の変更指示などを、被検者に対して表示するように構成されている。また、上記特許文献1に開示されている検査指示操作端末は、聴覚障害者などの被検者であっても指示内容を簡単に理解できるように、姿勢の変更指示を、テキスト文言として検査指示表示端末に対して送信するように構成されている。具体的には、上記特許文献1に開示されている検査指示端末は、操作者のボタン操作によって、予め登録されたテキスト文言を検査指示表示端末に対して送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-94209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、被検者が検査の経験が浅い場合、検査者(操作者)による姿勢の変更の指示(テキスト文言)を理解することができず、操作者の指示とは異なる動きをしてしまう場合がある。上記特許文献1に開示されている構成では、予め登録されたテキスト文言を表示させることでしか指示を行うことができないため、被検者が指示とは異なる動きをするなど、想定外の事態が生じた場合に、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被検者が指示とは異なる動きをするなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影装置、X線撮影方法およびX線撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるX線撮影装置は、X線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、音声文字変換部によって変換された第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える、X線撮影装置。
【0008】
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面によるX線撮影方法は、X線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、を備えるX線撮影装置による撮影方法であって、撮影を行う操作者の音声を取得するステップと、取得された操作者の音声を第1文字情報に変換するステップと、第1文字情報を被検者に対して表示するステップと、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、この発明の第3の局面によるX線撮影システムは、X線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、音声文字変換部によって変換された第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の局面におけるX線撮影装置では、上記のように、撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、音声文字変換部によって変換された第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える。これにより、第1音声取得部によって取得された操作者の音声が、音声文字変換部によって第1文字情報に変換されて第1表示部に表示されるので、操作者が発した言葉をそのまま文字情報として被検者に対して表示することができる。したがって、たとえば、予め設定された文字情報を操作者が選択して被検者に表示する構成とは異なり、状況に応じて操作者が発する言葉を文字情報に変換して、聴覚障害者などの被検者に表示することができる。その結果、被検者が操作者の指示を理解できず、操作者の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することができる。また、第1音声取得部によって取得された操作者の音声が、音声文字変換部によって第1文字情報に変換されて第1表示部に表示されるので、たとえば、指示内容を予め文字情報として登録しておき、操作者が対応するボタンを操作することによって被検者に対して文字情報を表示する構成と比較して、操作者の操作が煩雑になることを抑制することができる。
【0011】
また、上記第2の局面におけるX線撮影方法は、上記のように、撮影を行う操作者の音声を取得するステップと、取得された操作者の音声を第1文字情報に変換するステップと、第1文字情報を被検者に対して表示するステップと、を備える。これにより、上記第1の局面によるX線撮影装置と同様に、被検者が操作者の指示を理解できず、操作者の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影方法を提供することができる。
【0012】
また、上記第3の局面におけるX線撮影システムでは、上記のように、撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、音声文字変換部によって変換された第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える。これにより、上記第1の局面によるX線撮影装置と同様に、被検者が操作者の指示を理解できず、操作者の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態によるX線撮影装置を備えるX線撮影システムの全体構成を示した模式図である。
図2】一実施形態によるX線撮影装置が備える制御部の構成、撮影装置制御部の構成、および、記憶部に記憶される情報を説明するための模式図である。
図3】一実施形態による第1表示部の構成を説明するための模式図である。
図4】一実施形態による制御部が、操作者の指示音声を第1文字情報に変換するとともに、第1表示部に表示する処理を説明するための模式図である。
図5】一実施形態による第1表示部において、第1文字情報および複数の動画像を表示する構成を説明するための模式図(A)~模式図(C)である。
図6】一実施形態による第1表示部において、想定外の事態が生じた場合に第1文字情報を表示する構成を説明するための模式図(A)および模式図(B)である。
図7】一実施形態による制御部が、被検者の音声を第2文字情報に変換するとともに、第2表示部に表示する処理を説明するための模式図である。
図8】一実施形態による第2表示部において、第2文字情報を表示する構成を説明するための模式図である。
図9】一実施形態による制御部が、第1文字情報を第1表示部に表示する処理を説明するためのフローチャートである。
図10】一実施形態による制御部が、第2文字情報を第2表示部に表示する処理を説明するためのフローチャートである。
図11】一実施形態による制御部が、操作者の音声に基づいて、複数の動画像の表示を切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第1変形例によるX線撮影装置が備える制御部の構成を説明するための模式図である。
図13】第2変形例によるX線撮影装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1を参照して、一実施形態によるX線撮影システム200の構成について説明する。本実施形態によるX線撮影システム200は、被検者91が聴覚障害者であった場合でも、操作者90の指示を把握することが可能なように、後述する第1文字情報21(図4参照)によって、撮影時における被検者91の姿勢に対する指示などを行うように構成されている。
【0016】
図1に示すように、X線撮影システム200は、X線撮影装置100と、操作卓80と、を備える。X線撮影装置100は、検査室81に配置されている。また、操作卓80は、検査室81に隣接した操作室82に設けられている。なお、本明細書では、上下方向をZ方向とする。Z方向のうち、上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する水平面内において互いに直交する2方向を、X方向およびY方向とする。X方向のうちの一方側の方向をX1方向とし、他方側の方向をX2方向とする。また、Y方向のうちの一方側の方向をY1方向とし、他方側の方向をY2方向とする。
【0017】
(X線撮影装置の構成)
X線撮影装置100は、図1に示すように、X線源1と、X線検出器2と、制御部3と、第1音声取得部4と、第1表示部5と、を備える。また、X線撮影装置100は、第2音声取得部6と、第2表示部7と、を備える。また、X線撮影装置100は、記憶部8を備える。また、X線撮影装置100は、撮影装置制御部9を備える。また、図1に示すように、X線源1と、X線検出器2とは、検査室81に設けられている。また、図1に示すように、検査室81には、被検者91を載置する天板10と、X線源1を移動させるための移動機構13とが設けられている。また、操作室82には、第1音声取得部4と、第2表示部7と、操作部11とが設けられている。本実施形態におけるX線撮影装置100は、静止画像としてのX線画像20(図2参照)を撮影する、いわゆる、一般撮影を行う撮影装置である。また、本実施形態では、X線撮影装置100によって、被検者91の胃91d(図8参照)のバリウム検査を行う構成について説明する。
【0018】
X線源1は、高圧電流が印加されることにより、X線を発生させるとともに、発生させたX線を照射するように構成されている。X線源1は、たとえば、高圧電源と、X線管とを含むX線発生装置である。
【0019】
また、X線源1の下部には、コリメータ12が設けられている。コリメータ12は、X線源1から照射されるX線の照射範囲を絞り込むように構成されている。コリメータ12は、たとえば、鉛などの平板を組み合わせて構成される。
【0020】
X線検出器2は、X線源1から照射されたX線を検出するように構成されている。図1に示す例では、X線検出器2は、被検者91を載置する天板10の下方(Z2方向側)に設けられている。X線検出器2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。
【0021】
制御部3は、操作者90の音声に基づいて、後述する第1文字情報21(図4参照)を生成するように構成されている。また、制御部3は、被検者91の音声23(図7参照)に基づいて、後述する第2文字情報24(図7参照)を生成するように構成されている。また、制御部3は、無線通信装置(図示せず)を含み、第1表示部5と、無線接続されている。また、制御部3は、第2表示部7と、有線または無線により接続されている。また、制御部3は、撮影装置制御部9と、有線または無線により接続されている。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、GPU(Graphics Processing Unit)などを含んで構成されたコンピュータ、プロセッサ、または、回路(circuitry)である。制御部3が第1文字情報21を生成する構成の詳細、および、第2文字情報24を生成する構成の詳細については、後述する。
【0022】
第1音声取得部4は、撮影を行う操作者90の音声を取得するように構成されている。第1音声取得部4は、操作者90の音声を取得する集音装置である。第1音声取得部4は、たとえば、マイクを含む。
【0023】
第1表示部5は、第1文字情報21(図4参照)を被検者91に対して表示するように構成されている。第1表示部5の詳細な構成については、後述する。
【0024】
第2音声取得部6は、被検者91の音声23(図7参照)を取得するように構成されている。第2音声取得部6は、被検者91の音声23を取得する集音装置である。第2音声取得部6は、たとえば、マイクを含む。なお、第2音声取得部6は、検査室81に固定設置されていてもよいし、被検者91に装着可能に構成されていてもよい。
【0025】
第2表示部7は、撮影を行う操作者90に対して第2文字情報24(図7参照)を表示するように構成されている。第2表示部7は、たとえば、液晶モニタ、有機EL(Electro-Luminescence)モニタなどの表示装置である。
【0026】
記憶部8は、X線画像20(図2参照)を記憶するように構成されている。また、記憶部8は、後述する指示補助情報25(図2参照)を記憶するように構成されている。また、記憶部8には、制御部3が実行する各種プログラムが記憶されている。また、記憶部8には、撮影装置制御部9が実行する各種プログラムが記憶されている。記憶部8は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置である。記憶部8が記憶する情報の詳細については、後述する。
【0027】
撮影装置制御部9は、X線撮影装置100の各種制御を行うように構成されている。また、撮影装置制御部9は、X線検出器2によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20(図2参照)を生成するように構成されている。また、撮影装置制御部9は、移動機構13を制御するように構成されている。撮影装置制御部9は、CPU、ROM、RAM、および、GPUなどを含んで構成されたコンピュータ、プロセッサ、または、回路(circuitry)である。撮影装置制御部9がX線画像20を生成する構成の詳細については、後述する。
【0028】
天板10は、被検者91を載置するように構成されている。また、天板10は、図示しない駆動機構によって、XY面内、および、Z方向に移動可能に構成されている。
【0029】
操作部11は、操作者90による操作入力を受け付け可能に構成されている。操作部11は、たとえば、X線撮影装置100を操作するための複数の押しボタンを含む。
【0030】
移動機構13は、X線源1を移動可能に保持するように構成されている。移動機構13は、検査室81の天井83に設けられている。具体的には、移動機構13は、検査室81の天井83に設けられたレール14を介して、検査室81の天井83に設けられている。移動機構13は、X方向の直動機構、Y方向の直動機構、および、Z方向の直動機構(昇降機構)を含む。X方向の直動機構、Y方向の直動機構、および、Z方向直動機構の各々は、たとえば、駆動力を発生させる駆動部と、駆動部によって発生された駆動力を伝達する駆動力伝達部材と、駆動力伝達部材によって伝達された駆動力によって移動する移動部と、を含む。
【0031】
図1に示すように、第1音声取得部4は、操作卓80に配置されている。また、第2表示部7および操作部11は、操作室82に設けられた操作卓80に配置されている。なお、制御部3および記憶部8は、検査室81および操作室82のどちらに設けられてもよい。図1に示す例では、制御部3および記憶部8は、検査室81に設けられている。
【0032】
また、検査室81と操作室82との間には、窓84が設けられている。操作者90は、操作室82において、窓84から検査室81内を確認しながら、操作部11によってX線を照射する操作などを行う。また、被検者91(図1参照)の胃91d(図8参照)のバリウム検査を行う場合、被検者91の胃91dの内表面にバリウムを行き渡らせるために、被検者91に様々な姿勢を取らせる。そのため、X線撮影装置100では、操作者90は、被検者91に対して、姿勢の指示を行う。
【0033】
(制御部の構成および記憶部に記憶される情報)
次に、図2を参照して、制御部3の構成、および、記憶部8に記憶される情報について説明する。
【0034】
図2に示すように、制御部3は、音声文字変換部30と、を備える。また、制御部3は、表示制御部31と、音声判定部32と、指示補助情報取得部33と、変換処理切替部34と、翻訳部35と、を備える。ハードウェアとしてのCPUなどからなる制御部3は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、音声文字変換部30と、表示制御部31と、指示補助情報取得部33と、変換処理切替部34と、翻訳部35と、を含む。制御部3は、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することにより、音声文字変換部30、表示制御部31、指示補助情報取得部33、変換処理切替部34、および、翻訳部35、として機能する。制御部3の各機能ブロックの詳細については、後述する。
【0035】
また、図2に示すように、記憶部8は、X線画像20を記憶する。また、記憶部8は、指示補助情報25を記憶する。具体的には、記憶部8は、指示補助情報25と、操作者90(図1参照)の指示内容27とを、関連付けた状態で記憶するように構成されている。具体的には、操作者90の指示内容27は、複数の指示内容を含み、記憶部8は、操作者90の指示内容27ごとに、対応する指示補助情報25を関連付けた状態で記憶している。
【0036】
指示補助情報25は、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを補助するための情報であり、記号、図形、および、動画像26の少なくともいずれかを含む。撮影部位とは、たとえば、腹部、胸部、下肢などである。また、撮影部位ごとに設定された姿勢とは、たとえば、腹部を撮影する際の姿勢、胸部を撮影する際の姿勢、および、下肢を撮影する姿勢である。また、撮影部位ごとに、複数の姿勢が設定され得る。
【0037】
本実施形態では、指示補助情報25は、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91(図1参照)の動きを示す複数の動画像26を含む。図2に示す例では、複数の動画像26は、第1動画像26aと、第2動画像26bと、第3動画像26cとの、3つの動画像を含む。なお、複数の動画像26は、撮影部位に応じて変更する姿勢の数だけ、動画像を含んでいればよい。複数の動画像26は、たとえば、2つの動画像を含んでいてもよいし、3つ以上の動画像を含んでいてもよい。また、指示補助情報25は、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを補助するための記号、または、図形であってもよい。また、指示補助情報25は、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを補助するための記号、図形、および、動画像26を組み合わせた情報であってもよい。
【0038】
本実施形態では、記憶部8は、撮影部位ごとに予め順序が設定された複数の動画像26を関連付けて記憶するように構成されている。
【0039】
また、図2に示すように、撮影装置制御部9は、画像生成部9aを備える。ハードウェアとしてのCPUなどからなる撮影装置制御部9は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、画像生成部9aを含む。撮影装置制御部9は、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することにより、画像生成部9aとして機能する。
【0040】
画像生成部9aは、X線検出器2(図1参照)によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20を生成するように構成されている。
【0041】
(第1表示部)
次に、図3を参照して、第1表示部5の詳細な構成について説明する。第1表示部5は、被検者91が装着した状態で使用される。すなわち、第1表示部5は、ウェアラブルな表示装置である。
【0042】
図3に示すように、第1表示部5は、第1文字情報21(図4参照)が表示される表示面5aと、表示面5aを保持し、被検者91の頭部91aに装着される保持部5bとを有する。
【0043】
表示面5aは、たとえば、透過型の表示面であってもよいし、非透過型の表示面であってもよい。透過型の場合、表示面5aは、たとえば、レンズである。また、非透過型の場合、表示面5aは、たとえば、液晶モニタである。また、保持部5bは、被検者91の鼻91bおよび耳91cに接触した状態において、被検者91の頭部91aに装着されるように構成されている。保持部5bいわゆる、メガネのフレームである。本実施形態では、第1表示部5は、いわゆる、スマートグラスである。なお、第1文字情報21(図4参照)は、表示面5aのいずれか一方にのみ表示してもよいし、両方に表示してもよい。
【0044】
(第1文字情報および指示補助情報の表示)
次に、図4を参照して、制御部3が、第1文字情報21および指示補助情報25を第1表示部5に表示させる構成について説明する。
【0045】
音声文字変換部30は、第1音声取得部4によって取得された操作者90(図1参照)の音声を第1文字情報21に変換するように構成されている。音声文字変換部30は、たとえば、音声認識用のAPI(Application Programming Interface)を用いて、操作者90の音声を第1文字情報21に変換する。操作者90の音声は、撮影時における被検者91(図1参照)の姿勢の指示情報を含む指示音声22である。音声文字変換部30は、指示音声22を第1文字情報21に変換するように構成されている。音声文字変換部30は、第1文字情報21を、表示制御部31に対して出力するように構成されている。なお、被検者91(図1参照)の姿勢の指示情報とは、撮影部位に応じた姿勢となるように、被検者91の姿勢を変更させる情報である。姿勢の指示は、たとえば、「右に回ってください」、「左に回ってください」、および、「うつ伏せになってください」といった情報を含む。また、本実施形態では、音声文字変換部30は、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声(指示音声22)を、第1文字情報21に順次変換するように構成されている。
【0046】
音声判定部32は、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声において、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27(図2参照)が含まれるか否かを判定するように構成されている。具体的には、音声判定部32は、音声文字変換部30から第1文字情報21を取得する。そして、音声判定部32は、第1文字情報21において、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれるか否かを判定する。本実施形態では、音声判定部32は、操作者90(図1参照)の音声(指示音声22)において、撮影部位を示す音声が含まれるか否かを判定するように構成されている。撮影部位を示す音声は、たとえば、「胃の撮影を行います」などの音声である。
【0047】
音声判定部32は、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27(図2参照)が含まれるか否かの判定結果32aを、指示補助情報取得部33に対して出力する。判定結果32aは、たとえば、数値データである。指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれる場合には、音声判定部32は、判定結果32aとして、たとえば、「1」を指示補助情報取得部33に対して出力する。また、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれない場合には、音声判定部32は、判定結果32aとして、たとえば、「0(ゼロ)」を、指示補助情報取得部33に対して出力する。
【0048】
指示補助情報取得部33は、指示補助情報25を取得するように構成されている。具体的には、指示補助情報取得部33は、音声判定部32が、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27(図2参照)が操作者90(図1参照)の音声に含まれていると判定した場合に、記憶部8に記憶された指示補助情報25を取得するように構成されている。より具体的には、指示補助情報取得部33は、音声判定部32によって、操作者90の音声において撮影部位を示す音声が含まれていると判定された場合に、関連付けられた状態で記憶部8に記憶された複数の動画像26(図2参照)を取得するように構成されている。本実施形態では、指示補助情報取得部33は、音声判定部32から、判定結果32aとして、1が入力された場合に、指示補助情報25を取得する。また、指示補助情報取得部33は、取得した指示補助情報25(複数の動画像26)を、表示制御部31に対して出力する。なお、指示補助情報取得部33は、音声判定部32から、判定結果32aとして、0(ゼロ)が入力された場合には、指示補助情報25を取得する処理は行わない。すなわち、指示補助情報取得部33は、操作者90の音声に指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれていない場合には、指示補助情報25を取得しない。
【0049】
表示制御部31は、第1文字情報21を第1表示部5に表示させる制御を行うように構成されている。本実施形態では、表示制御部31は、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を、無線通信によって第1表示部5に表示させる制御を行うように構成されている。具体的には、表示制御部31は、音声文字変換部30から入力された第1文字情報21を、無線通信によって第1表示部5に対して送信するように構成されている。
【0050】
また、本実施形態では、表示制御部31は、第1文字情報21とともに、指示補助情報25を第1表示部5に表示させる制御を行うように構成されている。具体的には、表示制御部31は、指示補助情報取得部33から入力された指示補助情報25を、第1表示部5に対して無線通信によって送信するように構成されている。
【0051】
第1表示部5は、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を被検者91(図1参照)に対して表示するように構成されている。また、本実施形態では、第1表示部5は、第1文字情報21とともに、指示補助情報25を表示するように構成されている。具体的には、第1表示部5は、表示制御部31から無線通信によって送信された第1文字情報21および指示補助情報25を表示するように構成されている。
【0052】
ここで、被検者91(図1参照)が操作者90(図1参照)の音声を聞き取れる場合には、検査室81(図1参照)に設けたスピーカー(図示せず)などから、操作者90の音声(指示音声22)を流すことにより、被検者91に対して指示を行えばよい。そのため、本実施形態では、変換処理切替部34(図2参照)は、音声文字変換部30による操作者90の音声を第1文字情報21に変換する処理を行うか否かを切り替えるように構成されている。変換処理切替部34は、操作部11による操作入力によって、第1文字情報21に変換するか処理を行うか否かを切り替える。
【0053】
また、操作者90(図1参照)が使用する言語と、被検者91(図1参照)が使用する言語とが異なる場合、第1文字情報21が第1表示部5に表示されたとしても、被検者91が第1文字情報21を理解できない場合がある。そこで、本実施形態では、翻訳部35は、第1文字情報21を、被検者91が理解可能な言語に翻訳するように構成されている。具体的には、図4の破線の矢印で示したように、翻訳部35は、音声文字変換部30から第1文字情報21を取得する。そして、翻訳部35は、第1文字情報21を、被検者91が理解可能な言語に翻訳する。本実施形態では、翻訳部35は、たとえば、翻訳用のAPIによって、第1文字情報21を文字情報(翻訳文字情報28)に翻訳する。なお、翻訳部35による翻訳の処理は、操作者90(図1参照)の入力により、予めどの言語に翻訳するかが設定された状態で行われる。そして、翻訳部35は、被検者91が理解可能な言語に翻訳した文字情報(翻訳文字情報28)を、表示制御部31に対して出力する。
【0054】
表示制御部31は、翻訳部35から入力された翻訳文字情報28を、第1表示部5に対して、無線通信によって送信する。
【0055】
表示制御部31から翻訳文字情報28を受信した場合、第1表示部5は、被検者91が理解可能な言語に翻訳された第1文字情報21である翻訳文字情報28を表示するように構成されている。なお、第1表示部5は、翻訳文字情報28を受信した場合には、第1文字情報21を表示せずに、第1文字情報21の代わりに、翻訳文字情報28を表示する。
【0056】
(第1表示部における複数の動画像の表示)
次に、図5を参照して、第1表示部5の表示面5aにおいて、複数の動画像26(図2参照)を表示する構成について説明する。図5に示す例では、第1表示部5の表示面5aにおいて、第1文字情報21a~第1文字情報21cと、第1文字情報21a~第1文字情報21cの各々に対応する第1動画像26a~第3動画像26cとを順次表示する構成について説明する。
【0057】
図5(A)は、操作者90(図1参照)が、「右に回ってください」という言葉を発した場合に、第1表示部5の表示面5aに第1文字情報21aと、第1動画像26aとが表示される場合の例である。操作者90(図1参照)が「右に回ってください」という言葉を発した場合、図5(A)に示すように、「右に回ってください」という第1文字情報21aと、被検者モデル92が右に回る様子を表示する第1動画像26aとが、第1表示部5の表示面5aに表示される。なお、第1動画像26aでは、被検者モデル92が、右に回る様子が表示されるとともに、右に回ることを示す図形29aが表示される。また、被検者モデル92とは、動画像26において、姿勢の変更を行っている人である。
【0058】
図5(B)は、操作者90(図1参照)が、「左に回ってください」という言葉を発した場合に、第1表示部5の表示面5aに第1文字情報21bと、第2動画像26bとが表示される場合の例である。操作者90が、「左に回ってください」という言葉を発すると、図5(B)に示されるように、「左に回ってください」という第1文字情報21bと、被検者モデル92が左に回る様子を表示する第2動画像26bとが、第1表示部5の表示面5aに表示される。なお、第2動画像26bでは、被検者モデル92が、左に回る様子が表示されるとともに、左に回ることを示す図形29bが表示される。
【0059】
図5(C)は、操作者90(図1参照)が、「うつ伏せになってください」という言葉を発した場合に、第1表示部5の表示面5aに第1文字情報21cと、第3動画像26cとが表示される場合の例である。操作者90が、「うつ伏せになってください」という言葉を発すると、図5(C)に示されるように、「うつ伏せになってください」という第1文字情報21cと、被検者モデル92がうつ伏せになる様子を表示する第3動画像26cとが、第1表示部5の表示面5aに表示される。なお、第3動画像26cでは、被検者モデル92が、うつ伏せになる様子が表示されるとともに、うつ伏せになることを示す図形29cが表示される。
【0060】
すなわち、本実施形態では、制御部3(図2参照)は、操作者90(図1参照)の音声に基づいて、複数の動画像26(第1動画像26a~第3動画像26c)を再生するタイミングを制御するように構成されている。具体的には、音声判定部32(図2参照)は、操作者90(図1参照)の音声(指示音声22(図4参照))において、撮影部位における被検者91(図1参照)の姿勢を変更する指示内容27(図2参照)が含まれるか否かを判定するように構成されている。そして、表示制御部31(図2参照)は、音声判定部32によって姿勢を変更する指示内容27が操作者90の音声に含まれていると判定された場合に、複数の動画像26(第1動画像26a~第3動画像26c)を再生するタイミングを制御するように構成されている。
【0061】
(想定外の事態が生じた場合における第1文字情報の表示)
次に、図6を参照して、想定外の事態が生じた場合に、第1表示部5の表示面5aに第1文字情報21(図4参照)を表示する構成について説明する。想定外の事態とは、たとえば、図5(A)に示すように、「右に回ってください」という第1文字情報21aを第1表示部5の表示面5aに表示した際に、被検者91(図1参照)が身体を動かさない場合などである。
【0062】
この場合、たとえば、操作者90(図1参照)は、被検者91が身体を動かさない理由を確認する。たとえば、操作者90は、「動く方向がわからない場合、左手を挙げてください」といった言葉を発することにより、被検者91が身体を動かさない理由を確認する。操作者90が「動く方向がわからない場合、左手を挙げてください」といった言葉を発すると、図6(A)に示すように、「動く方向がわからない場合、左手を挙げてください」という第1文字情報21dが第1表示部5の表示面5aに表示される。
【0063】
被検者91が左手を挙げた場合、操作者90は、被検者91が理解可能な言葉を用いて、被検者91に対して姿勢を変更する指示を行う。たとえば、操作者90は「左肩から身体を回転させるように回ってください」といった言葉を発することにより、被検者91に対して回転する方向を指示する。この場合、第1表示部5の表示面5aにおいて、「左肩から身体を回転させるように回ってください」という第1文字情報21eが表示される。このように、被検者91が操作者90からの指示を理解できず、身体を動かさないなどの想定外の事態が生じた場合であっても、操作者90が状況に応じて発した言葉を、第1文字情報21(図4参照)として第1表示部5の表示面5aに表示させることができる。
【0064】
(第2文字情報の表示)
ここで、被検者91(図1参照)が検査の経験が少ない場合など、被検者91が操作者90(図1参照)からの音声による指示が理解できない場合がある。そのため、たとえば、被検者91は、指示内容27(図2参照)について、操作者90に対して質問したい場合がある。しかしながら、操作者90は、検査室81(図1参照)に隣接した操作室82(図1参照)においてX線撮影装置100(図1参照)の操作を行っているため、被検者91が操作者90に対して質問を行うことが困難である。
【0065】
そこで、図7に示すように、本実施形態では、制御部3と、検査室81(図1参照)に設けられた第2音声取得部6と、操作室82(図1参照)に設けられた第2表示部7とによって、被検者91(図1参照)の音声23に基づく第2文字情報24を、操作者90(図1参照)に対して表示するように構成されている。
【0066】
具体的には、音声文字変換部30は、第2音声取得部6によって取得された音声23を第2文字情報24に変換するように構成されている。そして、音声文字変換部30は、変換した第2文字情報24を、表示制御部31に対して出力する。なお、本実施形態では、音声文字変換部30は、第2音声取得部6によって取得された音声23を、第2文字情報24に順次変換するように構成されている。
【0067】
表示制御部31は、音声文字変換部30から入力された第2文字情報24を、第2表示部7に対して送信するように構成されている。
【0068】
第2表示部7は、第2文字情報24を表示するように構成されている。具体的には、第2表示部7は、表示制御部31から受信した第2文字情報24を表示するように構成されている。
【0069】
図8は、第2表示部7において第2文字情報24を表示する際の画面例である。
【0070】
図8に示すように、第2表示部7は、第2文字情報24を表示する。本実施形態では、第2表示部7は、第2文字情報24とともに、X線画像20、および、第1文字情報21を表示する。具体的には、第2表示部7は、X線画像20と、第1文字情報21と、第2文字情報24とを、並べて表示する。
【0071】
なお、図8に示すX線画像20は、被検者91(図1参照)の胃91dを撮影した際の画像である。そのため、X線画像20には、胃91dとともに、背骨91eが写っている。
【0072】
操作者90(図1参照)は、X線画像20を確認しながら、被検者91(図1参照)に対する姿勢の指示を行う。その際に、第1文字情報21が第2表示部7に表示されるので、操作者90は、被検者91に対する指示内容27(図2参照)が適切であるか否かを、視覚的に容易に把握することができる。
【0073】
(第1文字情報の表示処理)
次に、図9を参照して、制御部3(図4参照)が、第1文字情報21(図4参照)を第1表示部5(図4参照)に対して表示する処理について説明する。
【0074】
ステップ101において、第1音声取得部4(図4参照)は、撮影を行う操作者90(図1参照)の音声(指示音声22(図4参照))を取得する。
【0075】
ステップ102において、音声文字変換部30(図4参照)は、取得された操作者90の音声を第1文字情報21(図4参照)に変換する。
【0076】
ステップ103において、制御部3は、被検者91が理解可能な言語に翻訳する操作入力があったか否かを判定する。被検者91が理解可能な言語に翻訳する操作入力があった場合、処理は、ステップ104へ進む。被検者91が理解可能な言語に翻訳する操作入力がなかった場合、処理は、ステップ105へ進む。なお、被検者91が理解可能な言語に翻訳する操作入力は、被検者91が理解可能な言語に翻訳することを選択する選択操作、および、翻訳言語の選択操作を含む。
【0077】
ステップ104において、翻訳部35(図4参照)は、第1文字情報21を翻訳文字情報28(図4参照)に翻訳する。
【0078】
ステップ105において、音声判定部32(図4参照)は、指示補助情報25(図4参照)と関連付けられた指示内容27(図2参照)が、指示音声22に含まれているか否かを判定する。指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が指示音声22に含まれている場合、処理は、ステップ106へ進む。指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が指示音声22に含まれていない場合、処理は、ステップ108へ進む。
【0079】
ステップ106において、指示補助情報取得部33(図4参照)は、指示音声22と関連付けられた指示補助情報25を、記憶部8(図4参照)から取得する。
【0080】
ステップ107において、表示制御部31(図4参照)は、第1文字情報21または翻訳文字情報28と、指示補助情報25とを、第1表示部5に表示させる。なお、ステップ104の処理を行っている場合には、表示制御部31は、翻訳文字情報28と指示補助情報25とを第1表示部5に表示させる。すなわち、第1表示部5は、翻訳文字情報28と指示補助情報25とを被検者91に対して表示する。また、ステップ104の処理を行っていない場合には、表示制御部31は、第1文字情報21と指示補助情報25とを、第1表示部5に表示させる。すなわち、第1表示部5は、第1文字情報21と指示補助情報25とを、被検者91に対して表示する。
【0081】
また、ステップ105からステップ108へ処理が進んだ場合、ステップ108において、表示制御部31は、第1文字情報21または翻訳文字情報28を、第1表示部5に表示させる。なお、ステップ104の処理を行っている場合には、表示制御部31は、翻訳文字情報28を第1表示部5に表示させる。すなわち、第1表示部5は、翻訳文字情報28を被検者91に対して表示する。また、ステップ104の処理を行っていない場合には、表示制御部31は、第1文字情報21を、第1表示部5に表示させる。すなわち、第1表示部5は、第1文字情報21を被検者91に対して表示する。その後、処理は、終了する。
【0082】
想定外の事態が生じていない場合には、主に、ステップ107の処理が実行され、第1文字情報21(または、翻訳文字情報28)と指示補助情報25とが、第1表示部5に表示される。なお、想定外の事態が生じていない場合でも、操作者90の音声(指示音声22)に指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれない場合には、ステップ108の処理が実行される。また、想定外の事態が生じた場合には、ステップ108の処理が実行され、第1文字情報21(または、翻訳文字情報28)のみが、第1表示部5に表示される。
【0083】
(第2文字情報の表示処理)
次に、図10を参照して、制御部3(図7参照)が、第2文字情報24(図7参照)を、第2表示部7(図7参照)に表示する処理について説明する。
【0084】
ステップ201において、第2音声取得部6(図8参照)は、被検者91(図1参照)の音声23(図8参照)を取得する。
【0085】
ステップ202において、音声文字変換部30(図8参照)は、第2音声取得部6が取得した被検者91の音声23を第2文字情報24(図8参照)に変換する。
【0086】
ステップ203において、表示制御部31(図8参照)は、第2文字情報24を、第2表示部7に対して送信する。そして、第2表示部7は、第2文字情報24を、操作者90(図1参照)に対して表示する。その後、処理は、終了する。
【0087】
(複数の動画像の表示切替処理)
次に、図11を参照して、制御部3(図2参照)が、複数の動画像26(図2参照)の表示を切り替える処理について説明する。
【0088】
ステップ300において、指示補助情報取得部33(図2参照)は、指示補助情報25(図2参照)として、複数の動画像26を取得する。
【0089】
ステップ301において、表示制御部31は、第1表示部5(図1参照)における複数の動画像26の再生を開始する。本実施形態では、表示制御部31は、第1動画像26a(図5(A)参照)の再生を開始する。
【0090】
ステップ302において、音声判定部32(図2参照)は、操作者90(図1参照)の音声が取得されたか否かを判定する。操作者90の音声が取得された場合、処理は、ステップ303へ進む。操作者90の音声が取得されなかった場合、処理は、ステップ305へ進む。
【0091】
ステップ303において、音声判定部32は、操作者90の音声に被検者91(図1参照)の姿勢を変更する指示内容27(図2参照)が含まれているか否かを判定する。操作者90の音声に被検者91の姿勢を変更する指示内容27が含まれている場合、処理は、ステップ304へ進む。操作者90の音声に被検者91の姿勢を変更する指示内容27が含まれていない場合、処理は、ステップ305へ進む。
【0092】
ステップ304において、表示制御部31は、複数の動画像26のうちの、再生している動画像の次の動画像の再生を開始する。なお、複数の動画像26のうちの最後の動画像を再生している場合には、ステップ304の処理はスキップされる。
【0093】
ステップ305において、制御部3(図2参照)は、複数の動画像26の再生を終了する入力があったか否かを判定する。複数の動画像26の再生を終了する入力があった場合には、処理は、終了する。複数の動画像26の再生を終了する入力がなかった場合、処理は、ステップ302へ進む。なお、複数の動画像26の再生を終了する入力は、たとえば、操作者90の音声による入力、操作者90がボタンなどの入力装置によって行った操作入力などを含む。
【0094】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0095】
本実施形態では、上記のように、X線撮影装置100は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線検出器2によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20を生成する画像生成部9aと、撮影を行う操作者90の音声を取得する第1音声取得部4と、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声を第1文字情報21に変換する音声文字変換部30と、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を被検者91に対して表示する第1表示部5と、を備える。
【0096】
これにより、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声が、音声文字変換部30によって第1文字情報21に変換されて第1表示部5に表示されるので、操作者90が発した言葉をそのまま文字情報として被検者91に対して表示することができる。したがって、たとえば、予め設定された文字情報を操作者90が選択して被検者91に表示する構成とは異なり、状況に応じて操作者90が発する言葉を文字情報に変換して、聴覚障害者などの被検者91に表示することができる。その結果、被検者91が操作者90の指示を理解できず、操作者90の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者91が適切な姿勢を取れるように指示することができる。また、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声が、音声文字変換部30によって第1文字情報21に変換されて第1表示部5に表示されるので、たとえば、第1表示部5に表示する文字情報を予め登録しておき、操作者90が対応するボタンを操作することによって被検者91に対して文字情報を表示する構成と比較して、操作者90の操作が煩雑になることを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、X線撮影方法は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線検出器2によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20を生成する画像生成部9aと、を備えるX線撮影装置100による撮影方法であって、撮影を行う操作者90の音声を取得するステップと、取得された操作者90の音声を第1文字情報21に変換するステップと、第1文字情報21を被検者91に対して表示するステップと、を備える。
【0098】
これにより、X線撮影装置100と同様に、被検者91が操作者90の指示を理解できず、操作者90の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者91が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影方法を提供することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、X線撮影システム200は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線検出器2によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像20を生成する画像生成部9aと、撮影を行う操作者90の音声を取得する第1音声取得部4と、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声を第1文字情報21に変換する音声文字変換部30と、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を被検者91に対して表示する第1表示部5と、を備える。
【0100】
これにより、X線撮影装置100と同様に、被検者91が操作者90の指示を理解できず、操作者90の指示とは異なる動きを行うなど、想定外の事態が生じた場合でも、聴覚障害者などの被検者91が適切な姿勢を取れるように指示することが可能なX線撮影システム200を提供することができる。
【0101】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0102】
すなわち、本実施形態では、上記のように、操作者90の音声は、撮影時における被検者91の姿勢の指示情報を含む指示音声22であり、音声文字変換部30は、指示音声22を第1文字情報21に変換するように構成されている。これにより、被検者91の姿勢の指示情報が、第1文字情報21に変換されるので、たとえば、予め登録された文字情報を操作者90が選択することにより被検者91に対して表示する構成と異なり、被検者91の動きに応じて操作者90が発した姿勢の指示情報を、聴覚障害者などの被検者91に対して第1文字情報21として確認させることができる。その結果、被検者91が操作者90の指示を理解できず、指示とは異なった動きを行った場合でも、異なった動きを訂正するための指示を第1文字情報21として被検者91に対して表示することが可能になるので、聴覚障害者などの被検者91に対して適切な姿勢の指示情報を容易に把握させることができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、X線源1と、X線検出器2とは、検査室81に設けられており、第1音声取得部4は、検査室81に隣接した操作室82に設けられた操作卓80に配置されている。これにより、操作者90が検査室81と隣接した操作室82に設けられた操作卓80においてX線撮影装置100の操作を行っている場合など、検査室81内の被検者91に対して直接指示を行うことが困難な状況でも、操作者90の音声による指示を、第1文字情報21として聴覚障害者などの被検者91に容易に把握させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、上記のように、第1表示部5は、第1文字情報21が表示される表示面5aと、表示面5aを保持し、被検者91の頭部91aに装着される保持部5bとを有する。これにより、たとえば、胃91dのX線撮影など、被検者91が天板10の上で複数の姿勢を取るために身体を動かす場合でも、被検者91が向いている方向の正面の位置において、第1文字情報21を表示させることができる。その結果、検査室81に固定された表示装置などに第1文字情報21を表示させる構成と比較して、姿勢の指示を容易にかつ正確に、被検者91に対して把握させることができる。
【0105】
また、本実施形態では、上記のように、音声文字変換部30によって変換された第1文字情報21を、無線通信によって第1表示部5に表示させる制御を行う表示制御部31をさらに備える。これにより、表示制御部31によって、無線通信によって第1文字情報21が第1表示部5に表示されるので、たとえば、表示制御部31と第1表示部5とが、通信ケーブルなどによって有線接続されている構成と比較して、被検者91が姿勢を変更する際に、通信ケーブルによって姿勢の変更に支障が生じることを抑制することができる。その結果、聴覚障害者などの被検者91が容易に姿勢を変更することができる。
【0106】
また、本実施形態では、上記のように、被検者91の音声23を取得する第2音声取得部6をさらに備え、音声文字変換部30は、第2音声取得部6によって取得された音声23を第2文字情報24に変換するように構成されており、撮影を行う操作者90に対して第2文字情報24を表示する第2表示部7をさらに備える。これにより、第2文字情報24が第2表示部7に表示されるので、聴覚障害者などの被検者91が発した音声23を、文字情報として操作者90に把握させることができる。その結果、操作者90と被検者91との間において、第1文字情報21および第2文字情報24によって、双方向のコミュニケーションを図ることができる。
【0107】
また、本実施形態では、上記のように、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを補助するための情報であり、記号、図形、および、動画像26の少なくともいずれかを含む指示補助情報25と、操作者90の指示内容27とを、関連付けた状態で記憶する記憶部8と、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声において、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれるか否かを判定する音声判定部32と、音声判定部32が、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が操作者90の音声に含まれていると判定した場合に、記憶部8に記憶された指示補助情報25を取得する指示補助情報取得部33と、をさらに備え、第1表示部5は、第1文字情報21とともに、指示補助情報25を表示するように構成されている。これにより、操作者90が発した音声に、指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれる場合には、第1文字情報21とともに指示補助情報25が第1表示部5に表示されるので、第1文字情報21とともに指示補助情報25を確認することにより、被検者91が、被検者91に対する操作者90の指示をより容易かつ確実に把握することができる。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、指示補助情報25は、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを示す複数の動画像26を含み、記憶部8は、撮影部位ごとに予め順序が設定された複数の動画像26を関連付けて記憶するように構成されており、音声判定部32は、操作者90の音声において、撮影部位を示す音声が含まれるか否かを判定するように構成されており、指示補助情報取得部33は、音声判定部32によって、操作者90の音声において撮影部位を示す音声が含まれていると判定された場合に、関連付けられた状態で記憶部8に記憶された複数の動画像26を取得するように構成されている。これにより、撮影部位を示す音声を操作者90が発することにより、複数の動画像26が第1表示部5において順次表示されるので、聴覚障害者などの被検者91は、第1表示部5に表示される複数の動画像26に沿って姿勢を変更することにより、容易に撮影部位に応じた複数の姿勢を取ることができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、音声文字変換部30による操作者90の音声を第1文字情報21に変換する処理を行うか否かを切り替える変換処理切替部34をさらに備える。これにより、たとえば、聴覚障害者である被検者91に対して操作者90が指示を行う場合には、操作者90の音声を第1文字情報21に変換して第1表示部5に表示させることにより、操作者90の音声が聞き取りづらい、または、聞き取れない被検者91に対しても、姿勢の指示を容易に把握させることができる。また、操作者90の音声を聞き取ることが可能な被検者91に対して指示を行う場合には、第1音声取得部4によって取得された操作者90の音声を検査室81に流すことにより、被検者91に対して操作者90の音声によって指示を行うことができる。これらの結果、被検者91に応じて音声による指示と第1文字情報21による指示とを切り替えることが可能となるので、操作者90の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、第1文字情報21を、被検者91が理解可能な言語に翻訳する翻訳部35をさらに備え、第1表示部5は、被検者91が理解可能な言語に翻訳された第1文字情報21である翻訳文字情報28を表示するように構成されている。これにより、たとえば、操作者90と被検者91との使用言語が互いに異なり、互いの言語が理解できない場合でも、操作者90の音声による指示が、被検者91が理解可能な言語に翻訳された翻訳文字情報28として第1表示部5に表示される。その結果、操作者90と被検者91との使用言語が互いに異なる場合でも、翻訳文字情報28によって、操作者90の指示を被検者91に把握させることができる。
【0111】
また、本実施形態におけるX線撮影システム200では、上記のように、X線源1と、X線検出器2とは、検査室81に設けられており、第1音声取得部4は、検査室81に隣接した操作室82に設けられた操作卓80に配置されている。これにより、X線撮影装置100と同様に、検査室81内の被検者91に対して直接指示を行うことが困難な状況でも、操作者90の音声による指示を、第1文字情報21として被検者91に容易に把握させることが可能なX線撮影システム200を提供することができる。
【0112】
また、本実施形態におけるX線撮影システム200では、上記のように、第1表示部5は、第1文字情報21が表示される表示面5aと、表示面5aを保持し、被検者91の頭部91aに装着される保持部5bとを有する。これにより、X線撮影装置100と同様に、検査室81に固定された表示装置などに第1文字情報21を表示させる構成と比較して、姿勢の指示を容易にかつ正確に、被検者91に対して把握させることが可能なX線撮影システム200を提供することができる。
【0113】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0114】
たとえば、上記実施形態では、音声文字変換部30が、撮影時における被検者91の姿勢の指示情報を含む指示音声22を第1文字情報21に変換する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、音声文字変換部30は、指示音声22以外の操作者90の音声を第1文字情報21に変換してもよい。しかしながら、指示音声22以外の操作者90の音声が第1文字情報21に変換される場合、被検者91の姿勢を変更する指示以外の音声も、第1文字情報21として第1表示部5に表示され、被検者91が混乱する可能性がある。したがって、音声文字変換部30は、指示音声22を第1文字情報21に変換するように構成することが好ましい。
【0115】
また、上記実施形態では、X線源1とX線検出器2とが検査室81に設けられ、第1音声取得部4が操作室82に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1音声取得部4は、検査室81に設けられてもよい。しかしながら、第1音声取得部4が検査室81に設けられる構成の場合、操作者90が検査室81内においてX線撮影装置100の操作を行うことになる。この場合、操作者90が被検者91に対して直接指示を行うことができる。そのため、本発明は、操作者90が検査室81に隣接する操作室82において、操作を行うように構成されたX線撮影装置100に適用することにより、顕著な効果を奏する。
【0116】
また、上記実施形態では、第1表示部5が、いわゆる、スマートグラスである例を示したが、本発明はこれに限られない。第1表示部5は、保持部5bが、被検者91の頭部91aを覆う形状(ヘルメット形状)を有する、いわゆる、ヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、第1表示部5が、被検者91に装着可能に構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1表示部5は、検査室81に設けられていてもよいし、X線撮影装置100に設けられていてもよい。しかしながら、たとえば、被検者91の胃91dを撮影する場合には、被検者91が天板10上で様々な姿勢に変更する。そのため、第1表示部5は、被検者91が向いている方向の正面の位置に対して第1文字情報21を表示することが好ましい。したがって、第1表示部5は、被検者91に装着可能に構成されることが好ましい。
【0118】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、第2音声取得部6および第2表示部7を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、第2音声取得部6および第2表示部7を備えていなくてもよい。しかしながら、X線撮影装置100が第2音声取得部6および第2表示部7を備えていない場合、被検者91から操作者90に対してコミュニケーションを図ることが困難になる。そのため、X線撮影装置100は、第2音声取得部6および第2表示部7を備えていることが好ましい。
【0119】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、音声判定部32および指示補助情報取得部33を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、音声判定部32および指示補助情報取得部33を備えていなくてもよい。しかしながら、X線撮影装置100が音声判定部32および指示補助情報取得部33を備えていない場合、第1表示部5において第1文字情報21しか表示することができず、操作者90の指示内容27を被検者91が正確に理解することが困難になる場合がある。したがって、X線撮影装置100は、指示補助情報取得部33を備えていることが好ましい。
【0120】
また、上記実施形態では、指示補助情報取得部33が、指示補助情報25として、複数の動画像26を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、指示補助情報取得部33は、指示補助情報25として、撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者91の動きを補助するための記号、または、図形を取得するように構成されていてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、変換処理切替部34を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、変換処理切替部34を備えていなくてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、翻訳部35を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、翻訳部35を備えていなくてもよい。しかしながら、X線撮影装置100が翻訳部35を備えていない場合、外国人の被検者91が第1文字情報21を理解できない場合がある。そのため、X線撮影装置100は、翻訳部35を備えていることが好ましい。
【0123】
また、上記実施形態では、翻訳部35が、第1文字情報21を翻訳することにより、翻訳文字情報28を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、翻訳部35は、操作者90の音声(指示音声22)を翻訳することにより、翻訳文字情報を取得するように構成されていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、翻訳部35が、操作者90の音声に基づく第1文字情報21を翻訳する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、翻訳部35は、被検者91の音声23に基づく第2文字情報24を翻訳するように構成されていてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、第2音声取得部6が、被検者91の音声23を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2音声取得部6は、被検者91の処置を行う医師、および、被検者91の補助を行う技師などの音声を取得するように構成されていてもよい。この場合、医師および技師などの音声が、第2文字情報24として第2表示部7に表示されるので、検査室81内の医師および技師などと、操作者90内の操作者90とが、双方向のコミュニケーションを図ることができる。
【0126】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、いわゆる、一般撮影を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、動画像としてのX線画像を撮影する、いわゆる、透視撮影装置であってもよい。また、X線撮影装置100は、たとえば、X線源1およびX線検出器2を保持するCアームを有し、外科手術を行う際に被検者91のX線画像を撮影する撮影装置であってもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、検査室81に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、移動式の撮影装置であってもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、音声判定部32が、第1文字情報21を取得し、取得した第1文字情報21に指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれるか否かを判定するように構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、音声判定部32は、操作者90の音声(指示音声22)を音声認識することにより、指示音声22に指示補助情報25と関連付けられた指示内容27が含まれるか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、第1音声取得部4と、第2表示部7とが、操作卓80に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1音声取得部および第2表示部の各々は、たとえば、タブレット端末などの、可搬型の装置に、一体的に設けられていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、X線撮影システム200が備える制御部3が、音声文字変換部30および翻訳部35を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12に示す第1変形例によるX線撮影システム210のように、X線撮影システム210は、音声文字変換部および翻訳部を備えていなくてもよい。X線撮影システム210は、制御部3の代わりに制御部130を備える点で、上記実施形態によるX線撮影システム200とは異なる。
【0131】
制御部130は、音声文字変換部30および翻訳部35を備えていない点で、上記実施形態による制御部3とは異なる。第1変形例によるX線撮影システム210では、図12に示すように、たとえば、音声文字変換部131は、クラウドサーバ50に備えられていてもよい。この場合、制御部130は、ネットワーク60を介してクラウドサーバ50に備えられた音声文字変換部131にアクセスし、操作者90の音声(指示音声22)を第1文字情報21に変換すればよい。なお、ネットワーク60は、たとえば、インターネットなどを含む。
【0132】
また、第1変形例によるX線撮影システム210では、図12に示すように、たとえば、翻訳部132は、クラウドサーバ51に備えられていてもよい。この場合、制御部130は、ネットワーク60を介してクラウドサーバ51に備えられた翻訳部132にアクセスし、第1文字情報21を翻訳文字情報28に翻訳すればよい。なお、音声文字変換部131および翻訳部132は、同一のクラウドサーバに備えられていてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、被検者91が天板10に寝た状態(臥位)において撮影する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図13に示す第2変形例によるX線撮影装置400のように、被検者91が立った状態(立位)において撮影するように構成されていてもよい。被検者91を立位で撮影する場合、X線がX方向に照射されるようにX線源1の位置および向きを調整すればよい。また、X線検出器2を保持する検出器保持部40を、検査室81の床85に設け、検出器保持部40において、X線検出器2の検出面がX線源1と対向するようにX線検出器2を保持させればよい。また、図13に示す世に、X線源1は、検査室81の床85に設けられたX線源保持部41に保持されるように構成してもよい。X線源保持部41は、X線源1をZ方向に移動可能に構成されている。
【0134】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0135】
(項目1)
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、
撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える、X線撮影装置。
【0136】
(項目2)
操作者の音声は、撮影時における被検者の姿勢の指示情報を含む指示音声であり、
前記音声文字変換部は、前記指示音声を前記第1文字情報に変換するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0137】
(項目3)
前記X線源と、前記X線検出器とは、検査室に設けられており、
前記第1音声取得部は、前記検査室に隣接した操作室に設けられた操作卓に配置されている、項目1または2に記載のX線撮影装置。
【0138】
(項目4)
前記第1表示部は、前記第1文字情報が表示される表示面と、前記表示面を保持し、被検者の頭部に装着される保持部とを有する、項目1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0139】
(項目5)
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を、無線通信によって前記第1表示部に表示させる制御を行う表示制御部をさらに備える、項目4に記載のX線撮影装置。
【0140】
(項目6)
被検者の音声を取得する第2音声取得部をさらに備え、
前記音声文字変換部は、前記第2音声取得部によって取得された音声を第2文字情報に変換するように構成されており、
撮影を行う操作者に対して前記第2文字情報を表示する第2表示部をさらに備える、項目1~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0141】
(項目7)
撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者の動きを補助するための情報であり、記号、図形、および、動画像の少なくともいずれかを含む指示補助情報と、操作者の指示内容とを、関連付けた状態で記憶する記憶部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声において、前記指示補助情報と関連付けられた指示内容が含まれるか否かを判定する音声判定部と、
前記音声判定部が、前記指示補助情報と関連付けられた指示内容が操作者の音声に含まれていると判定した場合に、前記記憶部に記憶された前記指示補助情報を取得する指示補助情報取得部と、をさらに備え、
前記第1表示部は、前記第1文字情報とともに、前記指示補助情報を表示するように構成されている、項目1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0142】
(項目8)
前記指示補助情報は、前記撮影部位ごとに設定された姿勢を取るための被検者の動きを示す複数の前記動画像を含み、
前記記憶部は、前記撮影部位ごとに予め順序が設定された複数の前記動画像を関連付けて記憶するように構成されており、
前記音声判定部は、操作者の音声において、前記撮影部位を示す音声が含まれるか否かを判定するように構成されており、
前記指示補助情報取得部は、前記音声判定部によって、操作者の音声において前記撮影部位を示す音声が含まれていると判定された場合に、関連付けられた状態で前記記憶部に記憶された複数の前記動画像を取得するように構成されている、項目7に記載のX線撮影装置。
【0143】
(項目9)
前記音声文字変換部による操作者の音声を前記第1文字情報に変換する処理を行うか否かを切り替える変換処理切替部をさらに備える、項目1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0144】
(項目10)
前記第1文字情報を、被検者が理解可能な言語に翻訳する翻訳部をさらに備え、
前記第1表示部は、被検者が理解可能な言語に翻訳された前記第1文字情報である翻訳文字情報を表示するように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0145】
(項目11)
X線源と、前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、を備えるX線撮影装置による撮影方法であって、
撮影を行う操作者の音声を取得するステップと、
取得された操作者の音声を第1文字情報に変換するステップと、
前記第1文字情報を被検者に対して表示するステップと、を備える、X線撮影方法。
【0146】
(項目12)
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器によって検出されたX線の検出信号に基づいて、X線画像を生成する画像生成部と、
撮影を行う操作者の音声を取得する第1音声取得部と、
前記第1音声取得部によって取得された操作者の音声を第1文字情報に変換する音声文字変換部と、
前記音声文字変換部によって変換された前記第1文字情報を被検者に対して表示する第1表示部と、を備える、X線撮影システム。
【0147】
(項目13)
前記X線源と、前記X線検出器とは、検査室に設けられており、
前記第1音声取得部は、前記検査室に隣接した操作室に設けられた操作卓に配置されている、項目12に記載のX線撮影システム。
【0148】
(項目14)
前記第1表示部は、前記第1文字情報が表示される表示面と、前記表示面を保持し、被検者の頭部に装着される保持部とを有する、項目12または13に記載のX線撮影システム。
【符号の説明】
【0149】
1 X線源
2 X線検出器
4 第1音声取得部
5 第1表示部
5a 表示面
5b 保持部
6 第2音声取得部
7 第2表示部
8 記憶部
9a 画像生成部
20 X線画像
21、21a、21b、21c、21d、21e 第1文字情報
22 指示音声
23 被検者の音声
24 第2文字情報
25 指示補助情報
26 複数の動画像
27 指示内容
30 音声文字変換部
31 表示制御部
32 音声判定部
33 指示補助情報取得部
34 変換処理切替部
35 翻訳部
80 操作卓
81 検査室
82 操作室
90 操作者
91 被検者
91a 被検者の頭部
100、400 X線撮影装置
200、210 X線撮影システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13