IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-共振器および導電率の測定方法 図1
  • 特開-共振器および導電率の測定方法 図2
  • 特開-共振器および導電率の測定方法 図3
  • 特開-共振器および導電率の測定方法 図4
  • 特開-共振器および導電率の測定方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125638
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】共振器および導電率の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20230831BHJP
   H01P 7/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01R27/02 R
H01P7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029855
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】平山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博道
(72)【発明者】
【氏名】井本 晃
【テーマコード(参考)】
2G028
5J006
【Fターム(参考)】
2G028BB05
2G028BC01
2G028CG02
2G028CG10
2G028CG14
2G028DH15
2G028EJ01
5J006HA03
5J006HA14
5J006NA03
5J006NA04
5J006PA03
(57)【要約】
【課題】ビア導体の誘電体との界面における導電率を測定できる共振器および当該共振器を用いたビア導体の誘電体との界面における導電率の測定方法を提供する。
【解決手段】共振器は、誘電体基板と誘電体基板を挟むように配置された一対の導体層と第1ビア導体群と第2ビア導体群とを有し、第1ビア導体群および第2ビア導体群を構成する複数のビア導体は、誘電体基板を平面視したときに所定の間隔を有するように円形状に配置され、第1ビア導体群を構成する各ビア導体は、一対の導体層の両方に電気的に接続されており、第2ビア導体群を構成する各ビア導体は、一対の導体層の一方にだけ電気的に接続されており、第1ビア導体群の各ビア導体の中心を結ぶ第1の円の直径は、第2ビア導体群の各ビア導体の中心を結ぶ第2の円の直径より大きく、かつ、第1の円の中心と第2の円の中心が一致する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、一対の導体層と、第1ビア導体群と、第2ビア導体群と、を有し、
前記一対の導体層は、前記誘電体基板を挟むように配置され、
前記第1ビア導体群は、複数の第1ビア導体を有しており、該複数の第1ビア導体は、前記誘電体基板を平面視したときに、それぞれ所定の間隔を有するように第1の円の円周状に配置され、かつ、前記誘電体基板を厚さ方向に貫通するように設けられ、前記一対の導体層の両方に電気的に接続されており、
前記第2ビア導体群は、複数の第2ビア導体を有しており、該複数の第2ビア導体は、前記誘電体基板を平面視したときに、それぞれ所定の間隔を有するように第2の円の円周状に配置され、かつ、前記誘電体基板の一方の面から所定の深さの位置までに亘って設けられ、前記一対の導体層の一方に電気的に接続されており、
前記第1の円の直径は、前記第2の円の直径より大きく、かつ、前記第1の円の中心と前記第2の円の中心が一致する、
共振器。
【請求項2】
前記誘電体基板は、複数の誘電体層が積層した構造であり、
前記第1ビア導体群の前記複数の第1ビア導体は、前記誘電体基板の内部において前記誘電体層間に配置された第1リング状導体によって電気的に接続されているとともに、
前記第2ビア導体群の前記複数の第2ビア導体は、前記誘電体基板の内部において前記誘電体層間に配置された第2リング状導体によって電気的に接続されている、請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
請求項1に記載の共振器として、前記第2の円の半径がRa1である第1共振器と、前記第2の円の半径が、前記Ra1と異なるRa2である第2共振器とを準備し、プローバーを用いて、前記第1共振器の無負荷Q;Q1および前記第2共振器の無負荷Q;Q2を測定する第1工程と、
前記第1共振器および前記第2共振器とは別に、平板状の誘電体基板の表面に導体層を設けた平板試料を用意し、前記平板試料における前記誘電体基板と前記導体層との界面導電率;σをIEC61338-1-5に準拠した方法により測定する第2工程と、
前記第1工程で測定された無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2、並びに前記第2工程で測定された界面導電率;σを、下記式(1)および式(2)に導入して、前記第1共振器および第2共振器における前記誘電体基板の誘電正接tanδおよび前記第1ビア導体及び前記第2ビア導体の前記誘電体基板との界面における導電率σviaを求める第3工程と、
【数1】
(式(1)、式(2)中、Q1およびQ2は前記第1工程で、σiは前記第2工程で、それぞれ測定された値であり、A1、B1、C1、A2、B2およびC2は、それぞれ計算機シミュレーションにより求めた値である)
を有する導電率の測定方法。
【請求項4】
前記第1共振器および前記第2共振器として、請求項2に記載の共振器を用いる請求項3記載の導電率の測定方法。
【請求項5】
前記導電率の測定に用いる周波数を、前記第2ビア導体群の解放端に位置する前記第2リング状導体の幅を変化させて行う請求項4に記載の導電率の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共振器および導電率の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの移動体通信は、通信容量の確保と高速化に応えるために、使用する周波数帯域の拡大、高周波化が進んでいる。
携帯電話などの通信機器には、電子回路基板、電子部品が用いられている。
こうした電子回路基板、電子部品を設計するために、誘電体の誘電特性や導体の導電率を把握する必要がある。
【0003】
本出願人は、これまでに、平板状の誘電体の表面に金属膜を有する配線基板に適用できる界面導電率の測定方法を開示している(特許文献1を参照)。
ところが、平板上の誘電体を厚みの方向に貫通する導体(通称、ビア導体という。)を有する場合の界面導電率の測定方法についてはこれまで開示されてない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-46756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ビア導体の、誘電体との界面における導電率の測定を可能にする共振器およびこの共振器を用いたビア導体の誘電体との界面における導電率の測定方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る共振器は、誘電体基板と、一対の導体層と、第1ビア導体群と、第2ビア導体群とを有する。
前記一対の導体層は、前記誘電体基板を挟むように配置される。
前記第1ビア導体群は、複数の第1ビア導体を有しており、該複数の第1ビア導体は、前記誘電体基板を平面視したときに、それぞれ所定の間隔を有するように第1の円の円周状に配置され、かつ、前記誘電体基板を厚さ方向に貫通するように設けられ、前記一対の導体層の両方に電気的に接続されている。
前記第2ビア導体群は、複数の第2ビア導体を有しており、該複数の第2ビア導体は、前記誘電体基板を平面視したときに、それぞれ所定の間隔を有するように第2の円の円周状に配置され、かつ、前記誘電体基板の一方の面から所定の深さの位置までに亘って設けられ、前記一対の導体層の一方に電気的に接続されている。
前記第1の円の直径は、前記第2の円の直径より大きく、かつ、前記第1の円の中心と前記第2の円の中心が一致する。
【0007】
また、本開示の他の一の態様に係る導電率の測定方法は、以下の第1工程、第2工程および第3工程を有する。
第1工程は、本開示の一態様に係る上記共振器として、前記第2の円の半径がRa1である第1共振器と、前記第2の円の半径が、前記Ra1と異なるRa2である第2共振器とを準備し、プローバーを用いて、前記第1共振器の無負荷Q;Q1および前記第2共振器の無負荷Q;Q2を測定する工程である。
第2工程は、前記第1共振器および前記第2共振器とは別に、平板状の誘電体基板の表面に導体層を設けた平板試料を用意し、前記平板試料における前記誘電体基板と前記導体層との界面導電率;σをIEC61338-1-5に準拠した方法により測定する工程である。
第3工程は、前記第1工程で測定された無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2、並びに前記第2工程で測定された界面導電率;σを、下記式(1)および式(2)に導入して、前記第1共振器および第2共振器における前記誘電体基板の誘電正接tanδおよび前記ビア導体の前記誘電体基板との界面における導電率σviaを求める工程である。
【数1】
(式(1)、式(2)中、Q1およびQ2は前記第1工程で、σiは前記第2工程で、それぞれ測定された値であり、A1、B1、C1、A2、B2およびC2は、それぞれ計算機シミュレーションにより求めた値である)
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る共振器によれば、ビア導体の、誘電体との界面における導電率の測定を可能にする。また、本開示の一実施形態に係る導電率の測定方法によれば、上記共振器を用いてビア導体の誘電体との界面における導電率を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る共振器の一例の分解斜視図である。
図2図1に示す共振器を上から見た平面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4】第2の実施形態に係る共振器の一例を上から見た平面図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示による共振器および導電率の測定方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による共振器および導電率の測定方法が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば、製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。したがって、各図において細部は省略されることがあり、また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0013】
〔第1の実施形態に係る共振器の構成〕
図1は、第1の実施形態に係る共振器10Aの一例の分解斜視図を示す。図2は、図1に示す共振器10Aを上から見た平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
【0014】
本明細書では、共振器10Aの厚み方向をZ方向とするXYZ直交座標系で共振器10Aの各部の向きを説明する。また、本明細書では、共振器10Aおよび共振器10Aを構成する各層の+Z方向を向く方向を「上」、+Z方向を向く面を「上面」とした表現をすることがある。-Z方向を向く方向を「下」-Z方向を向く面を「下面」とした表現をすることがある。また、平面視は、特に断りが無い限り、Z方向に見ることを指す。
【0015】
共振器10Aは、誘電体基板1を有する。共振器10Aは、誘電体基板1を挟むように配置される一対の導体層2a、2bを有する。図1では、誘電体基板1の上面に導体層2a(以下、「第1導体層2a」ともいう。)が、下面に導体層2b(以下、「第2導体層2b」ともいう。)が、それぞれ設けられている。共振器10Aは、それぞれ複数の第1ビア導体V1および第2ビア導体V2で構成される、第1ビア導体群G1および第2ビア導体群G2を有する。
【0016】
図2は、共振器10Aを上から見た平面図である。図2では、誘電体基板1の上面における第1ビア導体群G1と、第2ビア導体群G2の配置を破線で示している。図2に示すとおり、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2は、誘電体基板1を平面視したときに、それぞれ所定の間隔を有するように円周状に配置されている。図2には、第1ビア導体群G1を構成する各第1ビア導体V1の平面視における中心を結ぶ第1の円GC1および第2ビア導体群G2を構成する各第2ビア導体V2の平面視における中心を結ぶ第2の円GC2が二点鎖線により示されている。
【0017】
図2に、第1の円GC1の半径をRbで示し、中心をC1で示す。同様に、第2の円GC2の半径をRaで示し、中心をC2で示す。第1の円GC1と第2の円GC2との関係は、第1の円GC1の直径2×Rbが第2の円GC2の直径2×Raより大きく、かつ、第1の円GC1の中心C1と第2の円GC2の中心C2は一致している。
【0018】
図3に示すように、第1ビア導体V1は、いずれも、誘電体基板1の厚さ方向(Z方向)に貫通している。すなわち、各第1ビア導体V1は、誘電体基板1の上面の位置から下面の位置までに亘って誘電体基板1の厚さと同じ高さで形成されており、上端E1で第1導体層2aに、および下端E2で第2導体層2bに電気的に接続されている。一方、第2ビア導体V2は、いずれも、誘電体基板1の一方の面(ここでは、上面)から所定の深さの位置までに亘って形成されており、上端E3で第1導体層2aに電気的に接続されているが、下端E4は第2導体層2bに達しておらず、第2導体層2bとは絶縁されている。なお、本明細書において、第2ビア導体V2の下端E4のように第2ビア導体群G2が一対の導体層2a、2bのうちの一方と接していない端部を解放端FEという。
【0019】
(第1の実施形態の効果)
本実施形態に係る共振器10Aを用いることで、例えば、本開示の一態様に係る導電率の測定方法により、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の誘電体基板1との界面Sにおける導電率の測定が可能となる。なお、共振器10Aを用いて上記導電率を測定するには、共振器10Aに信号(電磁波)を入力して励振させ、次いで、励振された共振器10Aから出力される信号(電磁波)からネットワークアナライザを用いて共振器10Aの共振周波数と無負荷Qを測定する。このような測定を行うために、共振器10Aは、典型的には、入力ポート部と出力ポート部を有する。
以下、本実施形態に係る共振器10Aの構成を詳細に説明する。
【0020】
誘電体基板1の上面および下面はXY平面と平行である。図1~3に示す共振器10Aにおいて、誘電体基板1は、4層の誘電体層1a、1b、1c、1dで構成される。なお、誘電体基板1は、例えば、単層または4層以外の多層の誘電体層で構成されてもよい。誘電体層1a~1dを構成する誘電材料は、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2との界面でこれらビア導体の導電率を測定する対象となる誘電材料であり、特に限定されないが、典型的は、4層において同一の誘電材料が用いられる。
【0021】
誘電体基板1の上面には、第1導体層2aが配置される。また、誘電体基板1の上面には、第1導体層2aに接しないように、入力ポート部11と出力ポート部12が設けられている。具体的には、第1導体層2aは、入力ポート部11に対応する箇所に切り欠き部N1を有し、出力ポート部12に対応する箇所に切り欠き部N2を有する。切り欠き部N1および切り欠き部N2の開口面積は、それぞれ、入力ポート部11および出力ポート部12の平面視の面積より大きく設計され、切り欠き部N1および切り欠き部N2の内壁に接触しないように、入力ポート部11と出力ポート部12が設けられている。
【0022】
第1導体層2a、入力ポート部11および出力ポート部12は、例えば金属導体、典型的には、銅等で構成される。
【0023】
なお、入力ポート部11および出力ポート部12は、一方から入力が行なわれ、他方から出力が行なわれる関係であり構成自体は同じである。したがって、測定に際して、入力ポート部11を出力ポートとして使用し、出力ポート部12を入力ポートとして使用してもよい。
【0024】
ここで、入力ポート部11および出力ポート部12が設けられる面は、誘電体基板1の一対の導体層2a、2bが形成される面のうち第2ビア導体群G2の端部が到達している面である。図1、3に示す共振器10Aでは、誘電体基板1の第1導体層2aが形成された上面である。誘電体基板1の下面には、第2導体層2bが配置される。第2導体層2bは、例えば、金属導体、典型的には銅等で構成され、誘電体基板1の下面の全面に配置される。
【0025】
なお、第2ビア導体群G2の端部が到達する面は、誘電体基板1の上面または下面のどちらか一方であり、図1、3に示すのと異なり、誘電体基板1の下面に第2ビア導体群G2の端部が到達する構成であってもよい。その場合、入力ポート部11および出力ポート部12は、誘電体基板1の下面に形成され、第2導体層2bがそれに対応する切り欠き部N1およびN2を有する構成となる。そして、第1導体層2aが誘電体基板1の上面の全面に配置される構成となる。
【0026】
入力ポート部11および出力ポート部12の平面視における配置位置は、第1ビア導体群G1の内側であり、かつ第2ビア導体群G2の外側の領域内とされる。言い換えると、入力ポート部11および出力ポート部12は、第1ビア導体群G1と第2ビア導体群G2との間に、これらと接しないようにして配置されている。
【0027】
入力ポート部11および出力ポート部12は、典型的には、第1の円GC1との第2の円GC2の中心C1、C2を通る直線上に、中心C1、C2を挟んだ対称の位置に配置される。また、第1導体層2aの切り欠き部N1および切り欠き部N2は、平面視でいずれの第1ビア導体V1、第2ビア導体V2とも重ならないように配置される。
【0028】
第1ビア導体群G1は複数の第1ビア導体V1で構成される。第2ビア導体群G2は、複数の第2ビア導体V2で構成される。第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の形状は制限されず、平面視における形状として、円形、多角形、楕円形、長円(レーストラック)形等が挙げられ、典型的な形状は円形である。第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の形状は、例えば、円柱状である。
【0029】
第1ビア導体群G1を構成する第1ビア導体V1および第2ビア導体群G2を構成する第2ビア導体V2は、平面視で、それぞれ、所定の間隔を有するように円周状に配置されている。所定の間隔は、例えば、第1の円GC1の円周上で隣設する2つの第1ビア導体V1の間隔L1および第2の円GC2の円周上で隣設する2つの第2ビア導体V2の間隔L2が、それぞれ、測定に用いる入力信号(電磁波)の波長λの1/4以下となるような間隔である。間隔L1および間隔L2は上記波長λの1/4以下であれば、同じであっても、異なってもよい。
【0030】
第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の材質は、誘電体基板1との界面での導電率を測定する対象となる導体であり、導体であれば制限されず、例えば金属であり、典型的には銅である。第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の個数および平面視における径は、例えば、間隔L1、L2が上記条件を満足し、かつ、それぞれが、図2に示されるような平面配置が可能となるように適宜選択される。複数の第1ビア導体V1は、それぞれ、サイズや形状が異なってもよいが、典型的には、同寸同形である。複数の第2ビア導体V2は、それぞれ、サイズや形状が異なってもよいが、典型的には、同寸同形である。さらに、第1ビア導体V1と第2ビア導体V2は、典型的には、高さが異なる以外は、形状およびサイズが同じである。
【0031】
第1の円GC1の半径Rbと第2の円GC2の半径Raの関係は、Rb>Raであり、RbおよびRaは、第1ビア導体V1と第2ビア導体V2が平面視で重ならないようにそれぞれ適宜調整される。例えば、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2が円柱であり円柱の上下面の半径がいずれもrである場合、Rb>Ra+2rを満足することが求められる。さらに、第1ビア導体群G1と第2ビア導体群G2の間に入力ポート部11および出力ポート部12を配置することを考慮すると、Rb>Ra+2r+α(入力ポート部11または出力ポート部の径)を満足することが求められる。
【0032】
上記のとおり第1ビア導体V1の高さ(Z方向の長さ)T1は、誘電体基板1の厚さ(以下、第1ビア導体V1の高さと同じ符号「T1」を用いる。)と同じである。第2ビア導体V2の高さT2(Z方向の長さ)は、誘電体基板1の厚さT1より小さい。
【0033】
図3に示す断面図において、誘電体基板1は、上面から下面に向かって順に配置された4層の誘電体層1a、1b、1c、1dで構成される。第1ビア導体V1は、誘電体層1a、1b、1c、1dをそれぞれ貫通する第1ビア導体V1a、V1b、V1c、V1dで構成される。当該構成とすることで、第1ビア導体V1の高さT1と誘電体基板1の厚さT1は同じになる。また、第1ビア導体V1は、上端E1で第1導体層2aに、および下端E2で第2導体層2bに、それぞれ電気的に接続される構成となる。
【0034】
一方、第2ビア導体V2は、誘電体層1a、1b、1cをそれぞれ貫通する第2ビア導体V2a、V2b、V2cで構成される。当該構成とすることで、第2ビア導体V2の高さT2は、誘電体基板1の厚さT1から誘電体層1dの厚さ分小さくなる。また、第2ビア導体V2は、上端E3で第1導体層2aに電気的に接続されるが、下端E4は第2導体層2bに電気的に接続されず、絶縁された構成となる。
【0035】
共振器10Aは、例えば、誘電体基板1に第1ビア導体群G1および第2ビア導体群G2が形成された構造体を準備し、誘電体基板1の上面に第1導体層2aと入力ポート部11、出力ポート部12を形成し、下面に第2導体層2bを積層することで製造できる。
【0036】
上記構造体は、誘電体層1a~1bのそれぞれに上記の第1ビア導体V1a~V1dを、誘電体層1a~1cのそれぞれに第2ビア導体V2a~V2cを従来公知の方法で形成し、積層することで得られる。なお、例えば、誘電体基板1が単層で構成される場合は、従来公知の方法で、第1ビア導体V1については誘電体基板1を上面から下面に亘って貫通する孔を形成し、第2ビア導体V2については誘電体基板1の上面から厚さ方向に下面に達しない所定の深さの位置までの孔を形成し、それらの孔に導体材料を充填する方法をとることができる。
【0037】
〔第2の実施形態に係る共振器の構成〕
図4は、第2の実施形態に係る共振器10Bの一例の上から見た平面図を示す。図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。
【0038】
図4、5に示す共振器10Bは、図1~3に示す共振器10Aにおいて、第1ビア導体群G1および第2ビア導体群G2をそれぞれ構成する複数の第1ビア導体V1、第2ビア導体V2が、それぞれ、誘電体基板1の内部において誘電体層1a、1b、1c、1d間に配置された第1リング状導体R1(R1a、R1b、R1c)および第2リング状導体R2(R2a、R2b、R2c)によって電気的に接続されている構成である。
【0039】
なお、図1~3に示す共振器10Aにおいては、誘電体基板1は4層の誘電体層1a、1b、1c、1dで構成されているが、誘電体基板1は単層であってもよい。共振器10Aとは異なり共振器10Bは、誘電体基板1は複数の誘電体層からなる。図4、5に示す共振器10Bは、4層の誘電体層1a、1b、1c、1dで構成されているが、誘電体基板1を構成する誘電体層の数は4に限らず、複数であればよい。共振器10Bは、誘電体基板1が複数の誘電体層からなり、上記第1リング状導体R1、第2リング状導体R2を有する構成以外は、共振器10Aと同じ構成である。
【0040】
(第2の実施形態の効果)
本実施形態に係る共振器10Bを用いることで、第1の実施形態に係る共振器10Aと同様に、例えば、本開示の一態様に係る導電率の測定方法により、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の誘電体基板1との界面Sにおける導電率の測定が可能となる。
【0041】
また、第2ビア導体群G2の解放端FEに電気的に接続されている第2リング状導体R2の面積は共振周波数の制御に使用することができ、第2リング状導体R2の面積を変更するという、わずかな設計変更で測定周波数の微調整が可能になる。
【0042】
以下、本実施形態に係る共振器10Bの構成を詳細に説明する。共振器10Bに係る以下の説明において、共振器10Aと共通する構成については、共振器10Aと同じ符号を付して重複する説明を省略し、主として共振器10Aと異なる点、すなわち、第1リング状導体R1、第2リング状導体R2について説明する。
【0043】
図4には、第1ビア導体群G1を構成する複数の第1ビア導体V1が誘電体基板1の内部において電気的に接続される第1リング状導体R1および第2ビア導体群G2を構成する複数のビア導体が誘電体基板1の内部において電気的に接続される第2リング状導体R2の平面視の形状が破線で示されている。
【0044】
図5には、誘電体基板1の内部における、第1リング状導体R1および第2リング状導体R2の厚さ方向(Z方向)の配設位置が示されている。誘電体基板1は、下から順に4層の誘電体層1d、1c、1b、1aがその順に積層されてなり、誘電体層1aと誘電体層1bの間に第1リング状導体R1aおよび第2リング状導体R2aが、誘電体層1bと誘電体層1cの間に第1リング状導体R1bおよび第2リング状導体R2bが、誘電体層1cと誘電体層1dの間に第1リング状導体R1cおよび第2リング状導体R2cが、それぞれ配置された構成である。
【0045】
より具体的には、第1リング状導体R1a、R2aは、誘電体層1bの上面に形成され、誘電体層1aを貫通するように設けられた第1ビア導体V1a、第2ビア導体V2aの下面と接している。同様に、第1リング状導体R1b、R2bは、誘電体層1cの上面に形成され、誘電体層1bを貫通するように設けられた第1ビア導体V1b、第2ビア導体V2bの下面と接している。また、第1リング状導体R1c、R2cは、誘電体層1dの上面に形成され、誘電体層1cを貫通するように設けられた第1ビア導体V1c、第2ビア導体V2cの下面と接している。
【0046】
第1リング状導体R1a、R1b、R1cおよび第2リング状導体R2a、R2b、R2cの厚さは、同じであっても異なってもよい。第1リング状導体R1a、R1b、R1cおよび第2リング状導体R2a、R2b、R2cは、典型的には、概ね同じ厚さで形成される。
【0047】
第1リング状導体R1および第2リング状導体R2は、図5に示す共振器10Bのように、典型的には、全ての誘電体層間に形成される。ここでは、リング状導体におけるR1およびR2の符号は、それぞれ、第1リング状導体R1a、R1b、R1cおよび第2リング状導体R2a、R2b、R2cの総称として用いる。第1リング状導体R1および第2リング状導体R2の材質は、導体であれば制限されず、例えば、金属導体、典型的には銅等で構成される。
【0048】
第1リング状導体R1および第2リング状導体R2においては、それぞれ個々の第1リング状導体R1a、R1b、R1c間および個々の第2リング状導体R2a、R2b、R2c間で平面形状は同じであっても異なってもよい。図4には、第1リング状導体R1a、R1b、R1cの平面形状が同じであり、第2リング状導体R2a、R2b、R2cの平面形状が同じである共振器10Bの例を記載した。また、この例では、第1ビア導体V1a、V1b、V1c、V1dの平面形状が同じであり、第2ビア導体V2a、V2b、V2cの平面形状も同じである。
【0049】
図4に示されるとおり、第1リング状導体R1は、平面視で全ての第1ビア導体V1の全体が第1リング状導体R1と接するように形成されている。第1リング状導体R1の内周と外周の、第1の円GC1からの距離は、それぞれ、第1ビア導体V1の平面視における半径をrとした場合、rと同じかrより大きく設定される。同様に、第2リング状導体R2は、平面視で全ての第2ビア導体V2の全体が第2リング状導体R2と接するように形成されている。第2リング状導体R2の内周と外周の、第2の円GC2からの距離は、それぞれ、第2ビア導体V2の平面視における半径をrとした場合、rと同じかrより大きく設定される。ただし、第1リング状導体R1の内周と第2リング状導体R2の外周が接することがないように、それぞれの形状が設計される。
【0050】
第1リング状導体R1の内周と外周の距離を第1リング状導体R1の幅W1とする。第2リング状導体R2の内周と外周の距離を第2リング状導体R2の幅W2とする。図4および図5に示す共振器10Bにおいては、上記のとおり、第1リング状導体R1a、R1b、R1cの幅は、幅W1と同じであり、第2リング状導体R2a、R2b、R2cの幅は、幅W2と同じであるが、それぞれ異なる幅であってもよい。
【0051】
特に、第2ビア導体群G2の解放端FEに位置する第2リング状導体R2cの幅W2は、適宜変更することがある。第2リング状導体R2cの幅W2を変更することで、第2リング状導体R2cの平面視の面積を変更でき、それにより共振周波数を制御することが可能となる。
【0052】
以上、第1の実施形態および第2の実施形態を、共振器10Aおよび共振器10Bを参照して説明したが、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状を適宜組み合わせ可能である。
【0053】
〔実施形態に係る導電率の測定方法の構成〕
実施形態の導電率の測定方法は、例えば、第1または第2の実施形態の共振器を用いて行うことができる。以下の説明においては、共振器10Aを用いた場合を例に記載するが、共振器10Bを用いた場合にも、同様の方法で導電率の測定ができる。
【0054】
本実施形態において、以下に示す共振器の無負荷Qの測定には、例えば、ネットワークアナライザが用いられる。測定の環境は、例えば、測定温度:25±1℃、湿度:40±20%程度とすることができる。
【0055】
(第1工程)
第1工程では、共振器10Aとして、第2の円GC2の半径がRa1である第1共振器10A-1と、第2の円の半径が、Ra1と異なるRa2である第2共振器10A-2とを準備し、プローバーを用いて、第1共振器10A-1の無負荷Q;Q1および第2共振器10A-2の無負荷Q;Q2を測定する。
【0056】
ここで、第1共振器10A-1と第2共振器10A-2においては、典型的には、第2の円GC2の半径Raが、それぞれRa1およびそれと異なるRa2である以外は、構成は同じである。すなわち、第1共振器10A-1と第2共振器10A-2の第1の円GC1の半径Rbは同じである。第1共振器10A-1と第2共振器10A-2においてRa1とRa2を異なる値とすることで、第1の円GC1と第2の円GC2の間の距離を変更することができる。このため、共振器内の電磁界分布を10A-1と10A-2で変えることができる。
【0057】
Ra1とRa2の関係は、例えば、Ra1<Ra2とした場合、Rb-Ra1>Rb-Ra2であるのがよい。なお、第1共振器10A-1と第2共振器10A-2において、Ra1<Ra2とするために、第2ビア導体群G2の第2ビア導体V2の個数を、両共振器間で異なる個数としてもよい。
【0058】
第1工程に用いるプローバーは、入力ポート部11に所定の周波数の入力信号、例えば、電磁波を供給するために用いられる。プローバーの種類は特に制限されない。典型的にはGSGプローブまたはGSプローブが用いられる。
【0059】
(第2工程)
第2工程では、第1共振器10A-1および第2共振器10A-2とは別に、平板状の誘電体基板の表面に導体層を設けた平板試料を用意する。そして、平板試料における誘電体基板と導体層との界面導電率;σをIEC61338-1-5に準拠した方法により測定する。
【0060】
平板試料における誘電体基板および導体層の形状およびサイズは特に制限されない。また、誘電体基板および導体層を構成する材料は、典型的には、第1共振器10A-1および第2共振器10A-2における誘電体基板1および第1ビア導体V1、第2ビア導体V2の構成材料と同じである。
【0061】
(第3工程)
第3工程では、第1工程で測定された無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2、並びに第2工程で測定された界面導電率;σを、下記式(1)および式(2)に導入して、第1共振器10A-1および第2共振器10A-2における誘電体基板1の誘電正接tanδおよび第1ビア導体V1、第2ビア導体V2の誘電体基板1との界面Sにおける導電率σviaを求める。
【0062】
【数2】
【0063】
なお、式(1)、式(2)中、Q1およびQ2は第1工程で、σiは第2工程で、それぞれ測定された値であり、A1、B1、C1、A2、B2およびC2は、それぞれ計算機シミュレーションにより求めた値である。
【0064】
A1、B1、C1、A2、B2およびC2は、具体的には、以下の(3-1)~(3-3)のようにして求めることができる。
【0065】
(3-1)A1およびA2を求める。
第1共振器10A-1および第2共振器10A-2において、適当なtanδを入力し、σを無限大、σviaを無限大にすると、上記式(1)および式(2)はそれぞれ、以下の式(11)および式(21)となる。計算機シミュレーションで計算すると、その時の無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2が求まるので、上記tanδとそれらの値から、A1、A2が求まる。
【0066】
【数3】
【0067】
(3-2)B1およびB2を求める。
第1共振器10A-1および第2共振器10A-2において、適当なσを入力し、tanδを0、σviaを無限大にすると、上記式(1)および式(2)はそれぞれ、以下の式(12)および式(22)となる。計算機シミュレーションで計算すると、その時の無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2が求まるので、上記σとそれらの値から、B1、B2が求まる。
【0068】
【数4】
【0069】
(3-3)C1およびC2を求める。
第1共振器10A-1および第2共振器10A-2において、適当なσviaを入力し、tanδを0、σを無限大にすると、上記式(1)および式(2)はそれぞれ、以下の式(13)および式(23)となる。計算機シミュレーションで計算すると、その時の無負荷Q;Q1および無負荷Q;Q2が求まるので、上記σviaとそれらの値から、C1、C2が求まる。
【0070】
【数5】
【0071】
ここで、本実施形態に係る導電率の測定方法において、第1共振器および第2共振器として第2の円GC2の半径がRa1およびRa2である2つの共振器10Bを用いれば、上記と同様に、第1ビア導体V1および第2ビア導体V2の誘電体基板1との界面Sにおける導電率の測定が可能となる。
【0072】
また、第2ビア導体群G2の解放端FEに電気的に接続されている第2リング状導体R2の面積は共振周波数の制御に使用することができ、第2リング状導体R2の面積を変更するという、わずかな設計変更で測定周波数の微調整が可能になる。
【0073】
以上、実施形態の導電率の測定方法について説明したが、これらは例示であり、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において様々な変更が可能である。
【実施例0074】
以下、実施例を挙げて実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0075】
[実施例1~3;導電率の測定]
基本的な構成が、共振器10Bと同様の構成の以下に詳細を示す第1共振器および第2共振器を用いて、ビア導体が異なる3種類について、第1ビア導体V1、第2ビア導体V2と誘電体基板1との界面Sの比導電率σvia(銅の導電率σ=5.8×10S/mで規格化した値)を測定した。
【0076】
第2の円GC2の半径Raが異なる、第1共振器および第2共振器を準備した。第1共振器の第2の円GC2の半径Ra1は、0.8mm、第2共振器の第2の円GC2の半径Ra2は、3mmである。また、第1共振器および第2共振器の構成について、第2の円GC2の半径Ra以外は同じであり、以下のとおりである。
【0077】
誘電体基板1は、平面視のサイズが10mm×10mm、14層の誘電体層(厚さ0.075mm)で構成され、全体の厚さは1.05mmである。誘電体基板1の材料はLTCC(低温同時焼成セラミックス)である。
【0078】
第1ビア導体群G1と、第2ビア導体群G2をそれぞれ構成する第1ビア導体V1、第2ビア導体V2は円柱形であり、平面視における直径は、全て0.065mmである。第1の円GC1の半径Rbは4mmである。第1ビア導体V1、第2ビア導体V2は、銅で構成される。
【0079】
第1リング状導体R1およびR2は、14層の誘電体層間に形成されている。具体的には、14層の誘電体層のうち、最上層を除く13層の各誘電体層の上面に、いずれも銅を材料として形成され、幅0.3mm、厚さ0.006mmである。
【0080】
入力ポート部11および出力ポート部12は、誘電体基板1の上面の第1ビア導体群G1と第2ビア導体群G2の間での位置に形成されている。具体的には、入力ポート部11および出力ポート部12は、第1の円GC1の中心C1を含む直線上の中心C1を挟んで対称となる位置に、それぞれ、銅により直径0.11mmφで形成されている。
【0081】
誘電体基板1の上面には、入力ポート部11および出力ポート部12に対応する切り欠き部N1、N2を有する平面視のサイズが10mm×10mm、厚さ0.006mmの銅製の第1導体層2aが形成されている。誘電体基板1の下面には、平面視のサイズが10mm×10mm、厚さ0.006mmの銅製の第2導体層2bが形成されている。
【0082】
GSGプローブを用いて、入力ポート部11から電磁波を入力して、第1共振器および第2共振器をそれぞれ励振させ、出力ポート部12から得られた出力信号をネットワークアナライザで測定して、第1共振器の無負荷Q;Q1および第2共振器の無負荷Q;Q2を求めた。測定環境は、上記のとおりである。結果を表1に示す。
【0083】
第1共振器および前記第2共振器とは別に、平板状の誘電体基板(誘電体基板1と同じLTCC材料からなる基板、平面視のサイズ、50mm×50mm、厚さ0.5mm)の表面に銅導体層(厚さ0.006mm)を設けた平板試料を用意した。この平板試料における誘電体基板と導体層との界面導電率;σをIEC61338-1-5に準拠した方法により測定した。σは、比導電率として、75%であった。
【0084】
以上の結果を、上記式(1)および式(2)に導入して、実施例1~3について、第1ビア導体V1、第2ビア導体V2と誘電体基板1との界面Sの比導電率σviaと、誘電体基板1のtanδを求めた。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【符号の説明】
【0086】
10A、10B 共振器
1 誘電体基板
1a、1b、1c、1d 誘電体層
2a、2b 一対の導体層
G1 第1ビア導体群
G2 第2ビア導体群
GC1 第1の円
GC2 第2の円
V1 第1ビア導体
V2 第2ビア導体
R1 第1リング状導体
R2 第2リング状導体
図1
図2
図3
図4
図5