(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125651
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】終端器の探索システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230831BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20230831BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230831BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230831BHJP
B64C 13/04 20060101ALI20230831BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G01S1/68
B64C39/02
B64C27/08
B64C13/04
G08B25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029875
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 成政
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA11
5C087AA32
5C087CC04
5C087DD20
5C087EE11
5C087FF01
5C087FF04
5C087FF23
5G405CA11
5G405CA53
5G405FA17
(57)【要約】
【課題】天井を開けることなく終端器の設置位置を探索することができ、終端器の交換に要する時間を短縮することができる終端器の探索システムを提供する。
【解決手段】アンテナを備え火災報知システムを構成する感知器回線の終端に設けられた終端器(14)に取り付けられた電波発信器(21)からの電波を受信し、当該受信電波の強度を検出し受信強度情報を送信する飛行体(23)と、表示部と操作者による前記飛行体に対する制御指令を受け付ける入力操作部とを備え、入力された制御指令を前記飛行体へ送信し、飛行体から受信した受信強度情報に基づく情報を前記表示部に逐次更新表示する操縦装置(24)と、によって終端器の探索システムを構成するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のP型感知器と、感知器回線を介して前記P型感知器が接続された受信機または中継器とを備える火災報知システムにおける前記感知器回線の終端に接続された終端器を探索する探索システムであって、
アンテナを有し、前記終端器に取り付けられた電波発信器からの電波を受信し、当該受信電波の強度を検出して受信強度情報を送信または/かつ周囲へ報知する移動体受信器を備えたことを特徴とした終端器の探索システム。
【請求項2】
前記移動体受信器は建物の天井付近を飛行可能な飛行体であり、
表示部と操作者による前記飛行体に対する制御指令を受け付ける入力操作部とを備え、入力された制御指令を前記飛行体へ送信し、前記飛行体から受信した前記受信強度情報に基づく情報を前記表示部に逐次更新表示する操縦装置を、さらに備えたことを特徴とした請求項1に記載の終端器の探索システム。
【請求項3】
前記移動体受信器は建物の天井付近を飛行可能な飛行体であり、
操作者による前記飛行体に対する制御指令を受け付ける入力操作部を備え、入力された制御指令を前記飛行体へ送信する操縦装置と、
表示部を備え、前記飛行体から受信した前記受信強度情報に基づく情報を前記表示部に逐次更新表示する端末装置と、をさらに備えたことを特徴とした請求項1に記載の終端器の探索システム。
【請求項4】
前記飛行体は、筐体の下面に設けられた発光手段をさらに有し、検出した前記受信電波の強度が高いほど前記発光手段を明るく発光させるように構成されていることを特徴とした請求項2または3に記載の終端器の探索システム。
【請求項5】
前記飛行体は、音響出力手段をさらに有し、検出した前記受信電波の強度が高いほど前記音響出力手段により大きな音量または/かつ高い周波数で所定の音響を発するように構成されていることを特徴とした請求項2から4のいずれか一項に記載の終端器の探索システム。
【請求項6】
前記移動体受信器は、受信強度情報を周囲へ報知する報知部を備えた可搬型の探索端末であることを特徴とした請求項1に記載の終端器の探索システム。
【請求項7】
前記終端器は、前記火災報知システムを構成する感知器を含む他の機器が接続された2芯配線の終端に取り付けられていることを特徴とした請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の終端器の探索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機を搭載した飛行体による建造物付帯設備品の探索技術に関し、例えば火災報知システムを構成するために天井裏に設置されている終端器の探索に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
P型火災受信機を備えた火災報知システムにおいては、2本の信号線(信号線Lとコモン線C)からなる感知器回線に対して複数の火災感知器が並列に接続され、各火災感知器は通常状態ではL線-C線間を例えば24[V]に維持し、煙濃度や温度などの値が所定の閾値を超えるとL線-C線間を通常よりも低い電圧、例えば5[V]にすることで火災の発生を受信機へ知らせるように構成されている。
また、P型受信機を使用した火災報知システムでは、配線の断線監視のために信号線の終端に抵抗素子などで構成された終端器が接続されており、P型火災受信機はこの終端器の接続が確認できない場合には感知器回線のどこかが断線したものと判断して断線表示灯を点灯させるようにしている。
【0003】
火災報知システムでは、感知器は天井に目視確認できるよう設置されるが、終端器は通常、目につかない天井裏等に設置される。この終端器に不具合が発生すると誤った断線表示がなされてしまうため、火災報知システムのメンテナンスで終端器の不具合が発見されると終端器の交換作業が必要となる。また、火災受信機を交換する際にも、既設の終端器を同時に交換することがある。
さらに、終端器は通常、頻繁な交換を要するものではないが、仮にレイアウト変更や改装工事に伴い感知器の設置のし直しや配線の変更をする場合には、それに伴い交換が求められることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-194645号公報
【特許文献2】特開2005-228292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井裏に設置されている終端器を交換するには、先ずもって終端器の設置位置を探索する必要がある。終端器の設置位置を見つけるには、設置時に作成された工事図面を参照して終端器があるはずの付近の天井を開けて作業をするのが基本であるが、実際には工事図面が不正確で図面上の位置にない場合がある。また、配線工事を行う業者が自身の判断で、4本の信号線からなる配設を使用して、そのうち2本の信号線に感知器を接続し、残りの2本の信号線を用いて終端の感知器からの信号線を折り返して、消火栓ボックスや発信機と警報ランプを備えた機器収容箱の内部等に終端器を設置するようなこともある。
【0006】
そのため、一旦開けた天井付近において目視で終端器を発見できないことがあり、その場合には他の位置で再度天井を開けて終端器を探すことが行われていた。
しかるに、終端器の交換時に、天井を開ける手間や、作業員が脚立を移動させて昇降するのは大きな負担であり、加えて天井が高いホール等では上記作業が一層困難となるという課題があった。
【0007】
なお、既設の終端器の検知に関する発明としては、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1の発明は、受信機を交換する際に既設の終端器も同時に交換するのは工事負荷が大きいため、どのような種類の終端器が設置済みでも、終端器の種類を判定して新しい受信機において対応するというものである。特許文献1に記載のシステムによれば、受信機側で既設の終端器の種類を調べるため、実際に天井を開けるという作業の必要性は低減できる。
しかし、特許文献1の発明は、終端器の種類を判定するための技術を開示するもので、実際に終端器の交換の必要性が発生した場合における終端器の設置位置の探索を容易に行えるようにするものではない。
【0008】
また、家庭やオフィスなどの比較的小さな空間において、物品の位置を検出するシステムに関する発明として、特許文献2に記載されているものがある。特許文献2の発明は、無線タグが散在している床面のような対象領域を、天井などに設置されたリーダによって走査する。リーダの検知結果を基にして、無線タグ群の中から、位置検出の基準となる無線タグ(位置ID)を複数選択して、第2のリーダによる選択された無線タグの検知の有無を基にして、物品の位置を検出するというものである。
しかし、特許文献2の発明にあっては、物品の検出をしたい空間内にリーダを2個設ける構成であるため、そのような空間が複数ある場合には、空間ごとにリーダを2個ずつ設けておく必要があるため、コストアップを招くという課題がある。
【0009】
ところで、自動火災報知システム固有の事情として、
1.終端器は、P型システムの感知器回線の末端に、1回線(1警戒区域)につき一つ設けられること。
2.一般的に、大部屋のオフィスでは、終端器の所在が天井裏のどこかわからなくなったときに人力により探索する作業は、床面側の全ての物の養生が必要となること、作業員2名により脚立を使っての作業となること、感知器設置天井部以外のシステム天井を1枚開けて終端器を目視で探索し、これを発見するまで繰り返すといった面倒な作業を伴うこと。
3.芯数に余裕を持たせた配線が引かれた場合、最後の感知器から機器収容箱内の余り端子まで感知器回線を返してきて、その余り端子に終端器が接続されている場合は、火報関係の人間であればまずここを確認に行くものであるが、必ずしもそういう事情とは限らないこと。
4.1回線に一つの感知器のみが接続される場合(例えばエレベータシャフト)だと終端器は、その感知器の近傍か機器収容箱内の余り端子に送り返されて設けられるので、探索は容易ではあるが、1回線に感知器は複数接続されるのが一般的であるので、上記のような煩雑さが避けがたいこと。
といったことがある。
【0010】
本発明は、上記のような場合に、最初から探索ドローンを操縦して走査させることで、従来必要とされていた手間を省いて容易に終端器を発見できるようにするものであり、特にオフィスのレイアウト変更によって、後から所在不明となったときに有用な終端器の探索システムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、電波受信器を搭載したドローンのような飛行体を用いることで、天井を開けることなく終端器の設置位置を探索することができ、終端器の交換に要する時間を短縮することができる終端器の探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
複数のP型感知器と、感知器回線を介して前記P型感知器が接続された受信機または中継器とを備える火災報知システムにおける前記感知器回線の終端に接続された終端器を探索する探索システムにおいて、
アンテナを有し、前記終端器に取り付けられた電波発信器からの電波を受信し、当該受信電波の強度を検出して受信強度情報を送信または/かつ周囲へ報知する移動体受信器を備えるようにしたものである。
【0012】
上記構成の終端器の探索システムによれば、移動体受信器が終端器に取り付けられた電波発信器からの電波を受信して当該受信電波の強度を検出して受信強度情報を送信したり周囲へ報知したりするため、最も電波強度の高い箇所を見つけることができ、天井を開けることなく終端器の設置位置を探索することができる。その結果、終端器の交換に要する時間を短縮することができる。上記移動体受信器は、例えば受信強度情報を周囲へ報知する報知部を備えた可搬型の探索端末とすることができる。
【0013】
ここで、望ましくは、前記移動体受信器は建物の天井付近を飛行可能な飛行体であり、
表示部と操作者による前記飛行体に対する制御指令を受け付ける入力操作部とを備え、入力された制御指令を前記飛行体へ送信し、前記飛行体から受信した前記受信強度情報に基づく情報を前記表示部に逐次更新表示する操縦装置を、さらに備えるようにする。
あるいは、前記移動体受信器は建物の天井付近を飛行可能な飛行体であり、
操作者による前記飛行体に対する制御指令を受け付ける入力操作部を備え、入力された制御指令を前記飛行体へ送信する操縦装置と、
表示部を備え、前記飛行体から受信した前記受信強度情報に基づく情報を前記表示部に逐次更新表示する端末装置と、をさらに備えるようにする。
【0014】
上記構成の終端器の探索システムによれば、アンテナを備えた飛行体を、操作者が操縦装置を操作して天井付近にて天井に沿って飛行させ、終端器に取り付けられた電波発信器からの電波を受信して当該受信電波の強度を検出して操作者が保有する操縦装置または携帯端末の表示部に受信電波強度を表示させることができるため、最も電波強度の高い箇所を見つけることができ、天井を開けることなく終端器の設置位置を探索することができる。その結果、終端器の交換に要する時間を短縮することができる。
【0015】
ここで、望ましくは、前記飛行体は、筐体の下面に設けられた発光手段をさらに有し、検出した前記受信電波の強度が高いほど前記発光手段を明るく発光させるように構成する。
かかる構成によれば、操縦装置に表示部がなくても、また携帯端末を保有していなくても、飛行体の筐体下面の発光手段の明るさの変化を観察することによって最も電波強度の高い箇所を見つけることができる。また、飛行体の筐体下面の発光手段の明るさから、操縦装置や携帯端末の表示部を見ることなく電波強度の高い箇所を見つけることができるため、飛行体から目を離すことで飛行体が建造物の天井や壁面に接触してしまうのを回避することができる。
【0016】
また、望ましくは、前記飛行体は、音響出力手段をさらに有し、検出した前記受信電波の強度が高いほど前記音響出力手段により大きな音量または/かつ高い周波数で所定の音響を発するように構成する。
かかる構成によれば、操作者が音響出力手段が発する音を聞くことで受信電波強度の大小を判断できるため、飛行体から目を離すことで飛行体が建造物の天井や壁面に接触してしまうのを回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る探索システムによれば、電波受信器を搭載したドローンのような飛行体を用いることで、天井を開けることなく終端器の設置位置を探索することができるため、終端器の交換に要する時間を短縮することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る探索システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【
図2】実施形態の探索システムを構成するコントローラをスマートフォンと専用アプリとによって構成した場合の表示部の画面の構成例を示す説明図である。
【
図3】(A)は実施形態の探索システムを構成する飛行体としてのドローンの構成例を示すブロック図、(B)はドローンの下面に設けられるLEDの明るさの変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る終端器の探索システムの実施形態について説明する。
本実施形態の探索システムは、火災感知システムの終端器を設置する際に、予めビーコンや無線タグなど電波を発信する電波発信器を終端器に取り付けた状態で、天井裏等室内から見えない箇所に設置しておき、電波を受信する機能を備えたドローンのような飛行体を、設計図等で終端器が設置されているとされる室内の天井付近を飛行させ、最も受信電波強度の高い箇所を見つけて、探索者が保有するスマートフォンやタブレット端末のような携帯端末の表示部に、設置位置を表示させるようにしたものである。
【0020】
なお、飛行体は、ジャイロスコープやLiDER(Light Detection and Ranging)のようなレーザスキャナを用いた距離計測器(距離センサ)あるいは映像カメラを搭載し、3Dマップデータを参照して自身の位置を把握して自律飛行する機能を有するものでもよいが、そのような飛行体は予めメモリに、探索をしたい空間の3Dマップデータを記憶しておく必要がありコストアップを招く。そこで、本実施形態においては、飛行体としてリモートコントロール(遠隔操縦)方式のドローンを使用することとした。なお、ドローンは室内を飛行するため、ロータ(プロペラ)が壁等に触れて損傷を与えることがないように、ロータの回りに保護用のカバーを備えるものが望ましい。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の探索システムによる探索対象の終端器を備えた火災感知システムは、P型火災受信機11と、該受信機11から延設された2本の信号線(信号線Lとコモン線C)からなる感知器回線12に対して並列に接続された複数の火災感知器13と、感知器回線12の終端に接続された抵抗素子等からなる終端器14などにより構成されている。なお、感知器回線12の途中には、中継器が設けられることもある。
【0022】
図1において、符号Cが付されているのは建造物の天井であり、天井Cの下面に火災感知器13が設置され、天井Cの上面すなわち天井裏に終端器14が配設されている。そして、終端器14には、電波を発信する電波発信器21が取り付けられている。なお、電波発信器21は、連続して電波を発信しても良いし、間欠的に電波を発信するようにしても良い。また、電波発信器21は、通常は信号線から給電される電源電圧で動作するが、断線時は電池駆動に切り替えられるように構成されている。さらに、電波発信器21は、機器IDなど自己の識別コードなどの情報を電波に乗せて発信するものでも良いが、情報は含まず単に所定の周波数の電波を発信するものであっても良い。
【0023】
本実施形態の探索システムは、天井裏に設置された終端器14に取り付けられた上記電波発信器21と、アンテナを備え前記電波発信器21からの電波を受信する受信器22を搭載したドローン23と、ドローン23を遠隔操縦するためのコントローラ24とで構成されている。
このうち、ドローン23は、発信器21が発した電波を受信し、その強度を検出する機能と、受信電波強度に関する情報を送信する機能とを有する。また、ドローン23の底部にLED(発光ダイオード)のような発光手段を設けて、検出した受信電波強度に応じて、受信強度が高いときは発光手段を明るく光らせ、受信強度が低いときは発光手段を暗く光らせるようにしても良い。
【0024】
一方、コントローラ24は、表示部を備えるとともに、ドローン23が送信した受信電波強度に関する情報を受信する機能と、受信した情報を上記表示部に表示させる機能を有している。
また、コントローラ24は、一般的なリモコン操縦器と同様に1本あるいは2本の操作杆(スティック)を備えたものでも良いし、スマートフォンとそれにインストールされた専用のアプリケーションプログラム(以下、専用アプリと称する)によって構成したものであっても良い。
【0025】
図2には、スマートフォンと専用アプリとによってコントローラ24を構成した場合の具体例が示されている。なお、
図2は、インストールされた専用アプリによってスマートフォンに設けられているタッチパネル式表示部に表示される画面の構成例を示している。
図2に示されている画面は、下部にドローンに対する前後左右の移動方向に関する指令やホバリング、探索(検出)開始などの制御指令を与えるための指令入力操作領域A1が設けられ、上部にドローン23から受信した受信電波強度に関する情報を表示する結果表示領域A2が設けられている。また、指令入力操作領域A1と結果表示領域A2との間には、更新指令を入力するための更新ボタンB1およびリセットを入力するリセットボタンB2の画像が表示されている。
【0026】
図2においては、前後左右の移動方向に関する指令の入力ボタンB0が円環状ボタンとして表示されており、円環に沿って指を動かすことで360度任意の方向へ移動させる指令を入力することができるように構成されている。
なお、
図2においては、結果表示領域A2に、受信電波強度に関する情報が最大受信強度に対する比率(%)で表示される場合に示されているが、結果表示領域A2には受信電波強度(dB)の数値をそのまま表示するようにしても良い。比率(%)で表示する場合における基準となる最大受信強度は、例えば設置前の終端器の横にドローンをおいて、ドローンに搭載された受信器で終端器から受信した電波の強度でも良い。また、過去の探索作業で受信した電波強度のうち最大のものを基準にして、それに対する比率(%)で表示するようにしても良い。
【0027】
図3(A),(B)には、ドローン23の実施例が示されている。このうち
図3(A)はドローン23の制御系のブロック構成図を示し、
図3(B)は発光手段としてのLEDの点灯状態の様子を示す。
図3(A)に示すように、ドローン23は終端器14からの電波を受信する受信器31と、コントローラ24と無線通信を行う無線通信器32と、4個のロータを回転させる4個のモータ33A~33Dと、発光手段としてのLED34と、これらの制御部35とを備える。
【0028】
制御部35は、受信器31が受信した電波の強度を検出する電波強度検出手段51と、無線通信器32を介して電波強度検出手段51が検出した受信強度情報をコントローラ24へ送信したりコントローラ24からの指令を受信したりする通信制御手段52と、電波強度検出手段51が検出した受信強度に応じて発光手段としてのLED34の明るさを制御するLED駆動制御手段53と、ジャイロセンサ等を備えた飛行制御手段54と、ロータを回転させるモータ33A~33Dを駆動制御するロータ駆動制御手段55とを備える。
【0029】
このうち、LED駆動制御手段53は、電波強度検出手段51が検出した受信強度が高いと
図3(B)の右側(c)のようにLEDを明るく光らせ、検出した受信強度が低いと
図3(B)の左側(a)のようにLEDを暗くさせる駆動制御を行う。なお、LED34の明るさは3段階でなく、4段階以上であっても良い。
ドローン23を操縦する作業員は、ドローン23の筐体の下面のLED34の明るさを観察し、最も明るくなった地点を終端器14の設置位置と判断し、当該位置の天井板を開くことで、終端器14を素早く見つけその交換作業を行うことができる。
【0030】
なお、前述したように、火災受信機11と感知器13とを接続する感知器回線として4本の信号線を使用し、信号線を折り返すことで終端器14を消火栓ボックスや機器収容箱の内部に設置することがある。その場合、消火栓ボックスや機器収容箱の筐体は金属製であるため、電波が遮断されてしまい、上記ドローン23を使用して終端器を発見することができない。
しかし、作業員は工事図面に終端器が記載されているならば最初に消火栓ボックスや機器収容箱内を探索するように行くことが、慣習として行われている。あるいは作業ルールとして規定することができる。そのため、最初に消火栓ボックスや機器収容箱内を探索して終端器が見つからなければ、前記ドローン23を用いて天井裏の周波数の位置を探すようにすればよいので、本発明に係る探索システムを採用する動機づけがあることになる。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、ドローン23の筐体の下面に受信電波強度を報知するLED34を設けているが、LED34の代わりまたはLED34と共に、スピーカもしくはブザーのような音響出力手段を設けて、受信電波強度が大きいほど大きな音量または高い周波数で、あるいは大きな音量かつ高い周波数で所定の音響を発するようにしても良い。
また、前記実施形態では、コントローラ24としてスマートフォンを使用し、スマートフォンの表示部に受信電波強度を表示するようにしているが、飛行体の操縦装置とは別個のPC(ノートパソコン)等の携帯端末で受信電波強度を受信してその表示部に受信電波強度を表示するように構成しても良い。
【0032】
また、上記実施形態では、ドローン23として無線によるリモートコントロールで制御する方式のものを使用した場合を説明したが、ドローン23とコントローラ24とを有線で接続して、コントローラ24から有線で指令信号をドローン23へ送信したり、ドローン23が検出した電波の受信強度情報を有線でコントローラ24へ送信したりするように構成しても良い。
【0033】
さらに上記実施形態では、ドローン23とコントローラ25を用いて、ドローン23に電波発信器からの電波を受信させていたが、ごく簡単にはドローンを使わないでコントローラが電波発信機からの電波を受信することして、受信強度情報を報知部から出力することとしてもよい。
この場合、例えば、コントローラの液晶画面に
図2のように強度を表示させることができる。あるいは所定の音の強弱の変化や、周波数の高低を変化させてもよい。特定の照明装置、例えばLEDを強度に応じて輝度を可変にしてもよい。
【0034】
また、操作者が入力した制御命令に従いドローンが位置を変えて電波発信器からの電波を受信することに代えて、操作者自身がコントローラを所持して歩行し、逐次更新表示される受信強度情報を目視観察して最大値となる位置を特定する。そして、終端器はその位置の直上の天井裏に設置されているとしてメンテナンス等の作業個所に決定するようにしてもよい。
さらに、本発明は、火災感知システムを構成する終端器を探索するシステムに適用した場合について説明したが、終端器以外の建造物付帯設備品の位置を探索するシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
11 火災受信機
12 感知器回線
13 火災感知器
14 終端器
21 電波発信器
22 受信器
23 ドローン
24 コントローラ