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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125655
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230831BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H05K3/46 W
H05K3/00 T
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029881
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 靖
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD02
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF10
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG18
5E316GG22
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】検査がより確実に行われ得る配線基板の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の配線基板の製造方法は、支持基体の表面に金属箔を備える第1支持板を用意することと、金属箔上に、第1面1F及び第2面を有する配線基板1を、第1面1Fを金属箔に向けて形成することと、配線基板1の第2面に第2支持板200を貼着することと、第2支持板200の貼着後、支持基体を金属箔から分離し、金属箔を第1面1Fから除去して第1面1Fを露出させることと、を含んでいる。第1面1Fは複数の第1導体パッドP1を含み、第2面は複数の第2導体パッドP2を含み、第2面に第2支持板200が貼着される前に、複数の第2導体パッドP2間での第1導通検査が実施され、金属箔の第1面1Fからの除去後に、第1導体パッドP1間での第2導通検査が実施される。
【選択図】図1G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基体の表面に金属箔を備える第1支持板を用意することと、
前記金属箔上に、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する配線基板を、前記第1面を前記金属箔に向けて形成することと、
前記配線基板の前記第2面に第2支持板を貼着することと、
前記第2支持板の貼着後、前記支持基体を前記金属箔から分離し、前記金属箔を前記第1面から除去して前記第1面を露出させることと、
を含む、配線基板の製造方法であって、
前記第1面は複数の第1導体パッドを含み、
前記第2面は複数の第2導体パッドを含み、
前記第2面に前記第2支持板が貼着される前に、前記複数の第2導体パッド間での第1導通検査が実施され、
前記金属箔の前記第1面からの除去後に、前記第1導体パッド間での第2導通検査が実施される。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導通検査は前記第1面に前記第1支持板が取り付けられた状態で実施され、前記第2導通検査は前記第2面に前記第2支持板が取り付けられた状態で実施される。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導通検査は、前記複数の第2導体パッド間のオープン検査を含んでいる。
【請求項4】
請求項3記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導通検査は、それぞれ異なる導体経路によって異なる第1導体パッドに電気的に接続される、複数の第2導体パッド間のオープン検査を含んでいる。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第2導通検査は、前記複数の第1導体パッド間のショート検査を含んでいる。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板の製造方法であって、前記第2導通検査は、電気的に分離されるべき複数の第1導体パッド間のショート検査を含んでいる。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記金属箔は第1層及び第2層を含み、前記支持基体を前記金属箔から分離することは、前記第1層を前記第2層から分離することを含む。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、さらに、前記第2導通検査の実施前に、前記第2支持板の前記配線基板と反対側の表面にソルダーレジスト層を形成することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルドアップ層を備えるプリント配線板の導通検査方法が開示されている。一方の面に複数の実装パッドを備えるビルドアップ層の他方の面には樹脂層が設けられている。複数の実装パッドのそれぞれに電気的に接続されるビルドアップ層内の配線は、樹脂層を貫通する内部導体部材及び樹脂層表面に設けられる銅箔を介して電気的に接続される。ビルドアップ層内の配線のショート不良が、複数の実装パッド間の抵抗値を測定することにより判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-11092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリント配線板の導通検査方法では、導通検査はビルドアップ層の一方の面に形成されている複数の実装パッド間で実施され、他方の面の導体層(導体パッド)間での導通検査は実施されない。ビルドアップ層内の配線における導通不良の検出が不十分である場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板の製造方法は、支持基体の表面に金属箔を備える第1支持板を用意することと、前記金属箔上に、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する配線基板を、前記第1面を前記金属箔に向けて形成することと、前記配線基板の前記第2面に第2支持板を貼着することと、前記第2支持板の貼着後、前記支持基体を前記金属箔から分離し、前記金属箔を前記第1面から除去して前記第1面を露出させることと、を含んでいる。前記第1面は複数の第1導体パッドを含み、前記第2面は複数の第2導体パッドを含み、前記第2面に前記第2支持板が貼着される前に、前記複数の第2導体パッド間での第1導通検査が実施され、前記金属箔の前記第1面からの除去後に、前記第1導体パッド間での第2導通検査が実施される。
【0006】
本発明の実施形態によれば、配線基板の一方の面(第2面)に設けられる複数の第2導体パッドのそれぞれの間、及び、他方の面(第1面)に設けられる複数の第1導体パッドのそれぞれの間で検査が実施される。配線基板における不良の有無の検査が、より確実に行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1B】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1C】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1D】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1E】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1F】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図1G】一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板の製造方法が図面を参照しながら説明される。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
【0009】
先ず、図1Aに示されるように、支持基体10の表面に金属箔11が設けられた支持板(第1支持板)100が用意される。支持基体10には、例えば、ガラス繊維などの芯材にエポキシ樹脂などの樹脂材料を含浸してなるプリプレグが用いられ得る。図示の例では、金属箔11は、第1層としての金属箔層11b、及び、第2層としてのキャリア金属箔層11aを備えている。
【0010】
キャリア金属箔層11aの金属箔層11bと反対側の面が支持基体10の一面に熱圧着などにより接合されている。金属箔層11bとキャリア金属箔層11aとは、例えば、熱可塑性接着剤などの分離可能な接着剤で接着されている。すなわち、金属箔11は、互いに分離可能な第1層(キャリア金属箔層)11aと第2層(金属箔層)11bとの2層を含む構造を有している。金属箔層11bとキャリア金属箔11aとは、その平面視における延在方向(平面方向)における外周付近だけで接着されてもよい。
【0011】
第1支持板100として、両面銅張積層板が用いられてもよい。金属箔11を構成する金属箔層11b及びキャリア金属箔層11aには好ましくは銅箔が用いられるが、これに限定されず、ニッケル箔などの他の金属箔が用いられてもよい。図1Aに示される例では、第1支持板100の一方の面100Aと反対側の他方の面100Bとの両方に金属箔11が設けられている。製造される配線基板は、第1支持板100の一方の面100Aを構成する金属箔11上、及び、他方の面100Bを構成する金属箔11上においてそれぞれ同時に形成され得る。しかしながら、金属箔11は必ずしも支持板100の表裏両面に設けられていなくてもよく、配線基板が第1支持板100における片方の面を構成する金属箔11上にのみ製造される場合もあり得る。
【0012】
なお、図1B以降を参照する以下の説明では、第1支持板100の他方の面100B側の図示及び説明は省略される。よって、図1B図1Gには、第1支持板100の一方の面100A側に形成される配線基板の構成要素だけが示されるが、第1支持板100の一方の面100A側及び他方の面100B側のそれぞれに配線基板が形成されてもよい。
【0013】
本実施形態の配線基板の製造方法の説明においては、第1支持板100の支持基体10から遠い側を、「上」、「上側」、「外側」、又は「外」と称し、支持基体10に近い側を、「下」、「下側」、「内側」、又は「内」と称する。また、各構成要素において、支持基体10と反対側を向く表面は「上面」とも称され、支持基体10側を向く表面は「下面」とも称される。従って、金属箔11の上側に形成される各要素の説明において、第1支持板100から遠い側が「上側」、「上方」、「上層側」、「外側」、又は単に「上」もしくは「外」とも称され、第1支持板100に近い側が「下側」、「下方」、「下層側」、「内側」、又は単に「下」もしくは「内」とも称される。
【0014】
次いで、図1Bに示されるように、製造される配線基板の表面を構成する導体層12及び絶縁層13が、金属箔11上に形成される。金属箔11上への導体層12の形成においては、先ず、導体層12形成用のめっきレジストが金属箔11上に形成される。めっきレジストには、形成されるべき導体層12の導体パターンに対応する領域に開口が、例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。そして、金属箔11をシード層とする電解めっきにより、めっきレジストの開口内に電解めっき膜が形成される。その結果、開口内の電解めっき膜からなり、所定の導体パターンを含んでいる導体層12が金属箔11上に形成される。
【0015】
金属箔11上に形成される導体層12は、図示されるように複数の導体パッドP1を含むパターンに形成される。導体層12の形成後、めっきレジストが除去され、導体層12上及び導体層12の導体パターンから露出する金属箔11上に絶縁層13が被覆される。絶縁層13は、例えば、導体層12及び金属箔11の露出部分上にフィルム状のエポキシ樹脂などを熱圧着することにより形成され得る。図1Bに示される状態が形成される。
【0016】
図示される金属箔11上への導体層12及び絶縁層13の形成によって、製造される配線基板の一方の表面となる第1面1Fが形成される。第1面1Fを構成する導体層12に含まれる複数の導体パッドP1のすべては、金属箔11によって短絡されている。
【0017】
次いで図1Cに示されるように、第1面1Fを構成する絶縁層13を貫通するビア導体14を形成し、さらに、導体層12及び絶縁層13の積層、並びにビア導体14の形成を繰り返すことにより、配線基板1が形成される。各絶縁層13に形成されるビア導体14は、絶縁層13を貫通し、絶縁層13を介してその両面に形成される導体層12同士を接続するように形成される。ビア導体14の形成においては、先ず、絶縁層13のビア導体14が形成されるべき場所に、絶縁層13を貫通する導通用孔14aが、各絶縁層13の上側から例えばCO2レーザー光を照射することにより形成される。続いて、導通用孔14a内及び絶縁層13の上面に、無電解めっきもしくはスパッタリングなどにより金属層が形成され、金属層をシード層とする電解めっきによりビア導体14と導体層12とが一体的に形成される。
【0018】
具体的には、電解めっき膜は、導体層12の導体パターンの形成領域及び導通用孔14の位置に所定の開口を有するめっきレジストを用いて、所謂パターンめっき法などにより形成され得る。上述の電解めっき膜の形成後レジストが除去される。そして、めっきレジストの除去により露出する金属層(シード層)の電解めっき膜に覆われていない部分がエッチングにより除去される。その結果、導通用孔14a内及び絶縁層13上の金属層ならびに電解めっき膜により、2層構造のビア導体14及び導体層12が一体的に形成され得る。なお、図示においては、ビア導体14及び導体層12を構成する金属層及び電解めっき膜は簡略化され、単層で示されている。
【0019】
製造される配線基板が有するべき絶縁層13及び導体層12の層数に応じて、絶縁層13の積層、並びに、ビア導体14及び導体層12の形成が繰り返される。図示の例では、製造される配線基板1は2層の絶縁層13及び3層の導体層12を備えているが、製造される配線基板が有する絶縁層及び導体層の層数は図示のものに限定されない。絶縁層13及び導体層12を積層する工程の回数は適宜増減され得る。
【0020】
配線基板1は、その最も上側の面(金属箔11を向く第1面1Fと反対側の面)を構成する導体層12が複数の導体パッドP2を含むように形成される。配線基板1の複数の導体パッドP2を含む面は、第2面1Sと称される。図示される例の配線基板1では、複数(6つ)の第2導体パッドP2のうちの中央寄りの2つが、導体層12及びビア導体14で構成される異なる導体経路を介して、それぞれ異なる第1導体パッドP1と電気的に接続されるように形成されている。
【0021】
配線基板1を構成する導体層12及びビア導体14の材料は、良好な導電性を有し、めっきによる形成の容易な材料であれば特に限定されない。導体層12及びビア導体14の材料としては、銅やニッケルなどが例示され、好ましくは、銅が用いられる。絶縁層13の材料は、良好な絶縁性などを有するものであれば特に限定されない。前述のエポキシ樹脂の他、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、フェノール樹脂などが用いられ得る。絶縁層13を形成する樹脂材料は、ガラス繊維などの補強材(芯材)及び/又はシリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。
【0022】
配線基板1の第2面1S上には、図示されるように、第2導体パッドP2上に開口15aを有するソルダーレジスト層15が形成される。ソルダーレジスト層15は、配線基板1の第2面1Sの導体層12に覆われずに露出する絶縁層13の上面、及び、導体パッドP2の外縁部上に形成される。例えば、感光性のエポキシ樹脂からなる層が、導体層12上及び絶縁層13上に印刷やスプレーコーティングなどにより形成され、フォトリソグラフィ技術により開口15aが形成される。図1Cの状態が形成される。
【0023】
続いて、図1Cに示される状態において、配線基板1の導通検査が実施される。具体的には、開口15aから露出する複数の第2導体パッドP2を介して、配線基板1を構成する導体(導体層12及びビア導体14)によって構成される導体経路(導体回路)の導通検査が実施される。なお、本明細書において「導通検査」とは、配線基板1の表面に露出する導体パッド間を電気的に接続する導体回路における、オープン不良、及び/又は、ショート不良の有無を検査することを意味している。
【0024】
導通検査には、一般にオープンショートチェッカーと呼ばれる検査装置が用いられ得る。オープンショートチェッカーは複数の接触端子を有しており、複数の接触端子のうち一対の接触端子を介して接続される導体回路における導通抵抗値を測定し得る。検出された導通抵抗値を所定の抵抗値と比較することで、オープン不良、又は、ショート不良の有無が検査され得る。検査装置が備える複数の接触端子enのそれぞれが第2導体パッドP2の露出面に接触し、任意の導体パッドP2間の抵抗値が測定される。測定される導体パッドP2間の抵抗値が、所定の範囲内に収まるか否かが検査されることで、導体パッドP2間の導体回路における不良の有無が判断され得る。
【0025】
図1Cに示される状態においては、第1面1Fを構成する複数の第1導体パッドP1のすべてが、導電性を有する金属箔11に接続されている。すなわち、複数の第1導体パッドP1は金属箔11によって短絡(ショート)している。従って、それぞれ異なる第1導体パッドP1に電気的に接続している第2導体パッドP2間におけるオープンチェックが可能な状態となっている。
【0026】
特に、具体的には、図示される複数(6つ)の第2導体パッドP2のうち、中央寄りの2つは、それぞれ異なる導体経路によって、異なる第1導体パッドP1と接続している。これら中央寄りの2つの第2導体パッドP2と第1導体パッドP1を接続する導体回路が断線するなどオープンしていると、第2導体パッドP2間の抵抗値はオープンしていない場合に比べて非常に大きな値を示す。従って、測定によって得られる抵抗値に基づいて、導体回路におけるオープン不良を検査すること(オープン検査)ができる。このように、本実施形態の配線基板の製造方法においては、金属箔11によって短絡させられていれば、オープン検査の実施が不可能な第2導体パッドP2と第1導体パッドP1とを接続する導体回路においても、オープン検査が可能とされている。
【0027】
図1Cに示される状態において実施される、複数の第2導体パッドP2間での導通検査は、第1導通検査と称される。第1導通検査は、配線基板1が第1支持板100によって支持されている状態で実施される。従って、第1導通検査は、配線基板1の平坦性が比較的良好に維持された状態で実施され得る。接触端子enと第2導体パッドP2との接触がより確実になされ、より確実な導通検査が実施され得ると考えられる。なお、第1導通検査によってオープン不良、又は、ショート不良が検出された配線基板は不良品として回収される。
【0028】
第1導通検査で良品と判定されたものには、さらに続く以下の工程が実施される。図1Dに示されるように、配線基板1の第1支持板100が設けられている側と反対側に、第2支持板200が配置される。具体的には、配線基板1の第2面1Sに形成されているソルダーレジスト層15の上面に、適度な剛性を有する材料で形成された第2支持板200が、接着層21を介して貼着される。
【0029】
第2支持板200には、例えば、ガラス繊維などの補強材にエポキシ樹脂を含浸してなるガラスエポキシ板などが用いられるが、これら以外にも、適度な剛性を有する任意の材料が使用され得る。ガラス、樹脂、金属、又はセラミックスの板状体が用いられ得る。第2支持板200とソルダーレジスト層15の間には、ソルダーレジスト層15に対する適度な接着性(密着性)を有する接着層21が設けられ、接着層21の接着性により支持板200とソルダーレジスト層15とが貼り合わされる。
【0030】
接着層21を構成する材料は、支持板200及びソルダーレジスト層15と密着し得るものであれば特に限定されない。少なくとも、ソルダーレジスト層15との間よりも、支持板200との間に強い接着力を発現し得る材料が、接着層21の材料として好ましい。接着層21を構成する材料は、紫外線照射や加熱などの特定の処理によりソルダーレジスト層15との接着性を喪失するものであってもよい。例えば、アクリル系樹脂が接着層21の材料として例示される。
【0031】
次いで、図1Eに示されるように、第2支持板200が接着層21及びソルダーレジスト層15を介して配線基板1に接続された状態で、第1支持板100と配線基板1とが分離され、第1支持板100が除去される。すなわち、第1支持板100の分離及び除去は、配線基板1が第2支持板200に支持された状態で実施される。具体的には、支持基体10に接合されているキャリア金属箔層11aと金属箔層11bとが分離される。すなわち、金属箔層11bが配線基板1の第1面1Sに接着した状態で残るように、支持基体10及びキャリア金属箔層11aが一体として、金属箔層11bから分離される。
【0032】
金属箔層11bとキャリア金属箔層11aとの分離においては、例えば、金属箔層11bとキャリア金属箔11aとを接着している熱可塑性接着剤が加熱されることにより軟化し、その状態で、金属箔層11bとキャリア金属箔層11aとが引き離される。金属箔層11bとキャリア金属箔層11aとが外周部分だけで接着されている場合は、接着部分が除去されるように、その接着部分よりも内周側で金属箔層11b及びキャリア金属箔層11aが切断されてもよい。単に第1支持板100と第2支持板200とを互いに逆方向に引っ張ることにより、金属箔層11bとキャリア金属箔層11aとが分離されてもよい。図1Eに示されるように、キャリア金属箔層11aと金属箔層11bとの分離により金属箔層11bが配線基板1の下面側に露出する。
【0033】
次いで、キャリア金属箔層11aとの分離により露出する金属箔層11bがエッチングにより除去される。図1Fに示されるように、金属箔層11bの除去により、配線基板1の第1面1Fが露出する。金属箔層11bにより互いに短絡していた複数の第1導体パッドP1のそれぞれは、金属箔層11bの除去により互いに電気的に分離される。第1導体パッドP1の絶縁層13に覆われていない表面が露出する。
【0034】
次いで、図1Gに示されるように、露出する配線基板1の第1面1Fには、第1導体パッドP1を露出させる開口16aを備えるソルダーレジスト層16が形成される。例えば、感光性のエポキシ樹脂からなる層が、複数の第1導体パッドP1を備える導体層12及び絶縁層13の下面を覆うように印刷やスプレーコーティングなどにより形成され、フォトリソグラフィ技術により開口16aが形成される。なお、第1面1F側におけるソルダーレジスト層16の形成と同時に、第2支持板200の、配線基板1に対向する面と反対側の面にもソルダーレジスト層17がベタ層として形成され得る。
【0035】
なお、配線基板1に外部の電子部品が実装される場合には、電子部品は図1Gにおいて第1導体パッドP1が露出する配線基板1の第1面1F側の表面に搭載され得る。従って、配線基板1における第1導体パッドP1が露出する面は、外部の電子部品が搭載され得る部品実装面であり得る。配線基板1の使用において、第1導体パッドP1は、電子部品が有する接続パッドと、適切な導電性を備える接続部材(例えば、はんだ)を介して電気的に接続され得る。また、配線基板1における、図示において第2支持板200が取り付けられている側の、第2導体パッドP2を有する側の表面は、外部の配線基板(例えば任意の電気機器のマザーボード)などの外部要素に配線基板1自体が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。配線基板1の使用において、第2導体パッドP2は、任意の基板、電気部品、又は機構部品などと接続され得る。
【0036】
続いて、図1Gに示される状態において、配線基板1を構成する導体回路の導通検査が実施される。上述された第1導通検査と同様に、一般にオープンショートチェッカーと呼ばれる検査装置が用いられ得る。なお、図1Gに示される状態において実施される導通検査は、第2導通検査と称される。
【0037】
第2導通検査では、第1面1Fを構成する複数の第1導体パッドP1間における導通抵抗値を測定することでオープン不良、又は、ショート不良の有無が検査され得る。検査装置の接触端子enが複数の第1導体パッドP1の露出する表面に接続され、例えば、任意の一対の第1導体パッドP1間における抵抗値が測定される。測定される抵抗値の値が、所定の範囲に収まらない場合には、不良が存在すると判定され得る。
【0038】
図1E及び図1Fに示された第1支持板100の分離及び金属箔層11bの除去によって、複数の第1導体パッドP1は互いに電気的に分離されている。図1Gに示される複数(6つ)の第1導体パッドP1のうち、中央寄りの2つの第1導体パッドP1は、配線基板1を構成する導体経路(導体層12、ビア導体14)によって接続されること無く、互いに完全に電気的に分離している。第2導通検査においては、特に、これらの互いに完全に電気的に分離すべき第1導体パッドP1間におけるショート不良の有無が検査(ショート検査)され得る。
【0039】
具体的には、例えば、互いに電気的に分離されるべき一対の第1導体パッドP1それぞれ接触端子enが接続され、一対の第1導体パッドP1間の抵抗値が測定される。一対の第1導体パッドP1間がショートしている場合には、対応する接触端子en間の抵抗値が非常に低い値を示す。これにより、互いに完全に電気的に分離すべき第1導体パッドP1間におけるショート不良が検出され得る。
【0040】
図1Gに示される状態における、複数の第1導体パッドP1間での第2導通検査は、配線基板1が第2支持板200によって支持されている状態で実施される。従って、第2導通検査は、配線基板1の平坦性が良好に維持された状態で実施され得る。接触端子enと第1導体パッドP1との接触がより確実になされ、より確実な導通検査が実施され得ると考えられる。なお、第2導通検査によってオープン不良、又は、ショート不良が検出された配線基板は不良品として回収される。第2導体検査が完了することで、配線基板の製造が完了する。なお、支持板200は、配線基板1の使用において、必要に応じて適切なタイミングで、配線基板1から除去され得る。
【0041】
配線基板1の製造を例に説明された製造方法では、第2導通検査において、互いに電気的に分離されるべき第1導体パッドP1間でのショート検査が実施され得る。また、第1導通検査におい、互いに異なる導体経路を介して異なる第1導体パッドP1に接続される第2導体パッドP2間でのオープン検査が実施され得る。特に、図1Gに示される第2導体検査においてはオープン検査が不可能な導体経路(互いに異なる導体経路によって第1導体パッドP1と第2導体パッドP2とを接続している経路)が第1導体検査においてオープン検査され得る。配線基板1を構成する導体回路における不良の検査が、より確実に実施されると考えられる。
【0042】
実施形態の製造方法によって製造される配線基板は、図示される配線基板1が有する構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。配線基板が備える導体パッド(第1及び第2導体パッド)の露出面には、例えば、Ni/Au、Ni/Pd/Au、又はSn等の複数又は単一の金属めっき膜、また、OSP膜であり得る保護膜が形成されてもよい。配線基板1は任意の層数の導体層及び絶縁層を有し得る。各導体層が有する導体パターンは任意のパターンに形成され得る。
【0043】
実施形態の配線基板の製造方法は、図1A図1Gを参照して説明された方法に限定されない。実施形態の配線基板の製造方法においては、第1導通検査が、配線基板に第1支持板が取り付けられた状態で実施され、第2導通検査が、第2支持板及び金属箔が除去された後に実施されればよく、前述の各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述の説明で説明された工程のうちの任意の一部が省略されてもよい。第2導通検査は、第1面にソルダーレジスト層が形成される前に実施される場合もあり得る。
【符号の説明】
【0044】
1 配線基板
100 第1支持板
200 第2支持板
11 金属箔
11a キャリア金属箔層
11b 金属箔層
12 導体層
13 絶縁層
14 ビア導体
15、16、17 ソルダーレジスト層
21 接着層
P1 導体パッド(第1導体パッド)
P2 導体パッド(第2導体パッド)
en 接触端子
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G