(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125668
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20230831BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029901
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】520224801
【氏名又は名称】株式会社VIVIT
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】心身の健康維持を支援するうえでより適切な情報を提示すること。
【解決手段】分析アルゴリズムBAは、脈波の測定結果を表す脈波情報MSを用いて、対象者の自律神経の状態を測定し、目の観察結果を表す情報ETを用いて、脳の活動状態を測定する。この情報ETには、アイ・トラッキングにより得られた注視点情報、瞳孔径の測定による瞳孔径情報、及び瞬きの頻度の測定による瞬き頻度情報が含まれる。分析アルゴリズムBAは、これら2つの測定結果を用いて、対象者にとって望ましいと推定されるアクティビティを特定し、それを表すアクティビティ情報O1を提示する。このアクティビティ情報O1の提示により、対象者の心身がより良い状態となるように支援する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体的な活動状況を示す活動状況情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された前記活動状況情報を用いて、前記対象者の自律神経の状態、及び脳の活動状態を分析する分析手段と、
前記自律神経の状態、及び前記脳の活動状態の分析結果を基に、前記対象者に提示すべきアクティビティを特定するアクティビティ特定手段と、
前記アクティビティ特定手段により特定された前記アクティビティを前記対象者に提示するための処理を行う提示手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象者の目の眼球の状態、前記眼球の動き、及び瞬きの頻度のうちの少なくとも一つを表す観察情報が前記活動状況情報に含まれる場合に、前記分析手段は、前記観察情報を基に、前記脳の活動状態を分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記活動状況情報に前記観察情報が含まれていない場合に、前記情報取得手段は、前記対象者の前記目を含む部分の撮像により得られた動画情報から、前記観察情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象者の脈拍を示す脈拍情報が前記活動状況情報に含まれる場合に、前記分析手段は、前記脈拍情報が示す前記脈拍を基に、前記自律神経の状態を分析する、
請求項1~3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アクティビティ特定手段は、前記対象者に提示すべき前記アクティビティを複数、特定することが可能であり、
前記アクティビティ特定手段により複数の前記アクティビティが特定された場合に、前記提示手段により提示された前記アクティビティのうちで前記対象者により選択された前記アクティビティを特定する選択結果特定手段、
をさらに備える請求項1~4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分析手段による分析結果、及び前記アクティビティの提示に対する前記対象者の選択結果を用いた学習のための処理を行う学習処理手段と、
前記学習処理手段による学習により、前記分析手段による前記自律神経の状態、及び前記脳の活動状態の分析結果に応じて前記対象者に提示すべき前記アクティビティを特定する他のアクティビティ特定手段と、
をさらに備え、
前記提示手段は、前記他のアクティビティ特定手段により特定された前記アクティビティを前記対象者に提示するための処理が可能である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置に、
対象者の身体的な活動状況を示す活動状況情報を用いて、前記対象者の自律神経の状態、及び脳の活動状態を分析させ、
前記自律神経の状態、及び前記脳の活動状態の分析結果を基に、前記対象者に提示すべきアクティビティを特定させ、
特定された前記アクティビティを前記対象者に提示させる、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳の活動状態が身体に影響を及ぼすことが知られている。例えば、脳が疲労すると、脳が操っている自律神経に有害な作用が加わり、自律神経が正常な機能を果たせなくなる。また、脳が疲労するほど、ストレスへの耐性も低下し、ストレスが心身に及ぼす影響が増大する。このようなことから、ユーザーの健康維持の支援のために、脳の活動状態を推定し、その推定結果に応じて、体調管理に関わる有用情報を提示する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置では、例えば脳の活動量が長時間、高く維持されていたような場合、睡眠、或いは休息をとることを促す有用情報を提示することができる。また、人の生体データを用いて、その人のストレス状態を評価し、その評価結果を提示する装置もある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
人は、ストレスを感じることで、体内では交感神経がコントロールする副腎皮質から副腎皮質ホルモンが分泌される。それと同時に、副腎皮質の中ではアドレナリンなどが分泌される。このようなことから、ストレスは、交感神経を優位とさせ、交感神経と副交感神経との間のバランスを変化させるように働く。それにより、ストレスの大きさは、自律神経の状態を表す指標として用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-74216号公報
【特許文献2】特開2019-195427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人がストレスを感じる環境は様々であり、人は少なからずストレスを感じる状況にあるのが普通であると云える。そのストレスへの耐性は、上記のように、脳の活動状態に応じて変化する。このことから、心身の健康維持の支援のためにより適切な情報を提示するには、脳の活動状態の他に、自律神経の状態(例えばストレス)も考慮するのが望ましいと考えられる。
【0007】
本発明は、心身の健康維持を支援するうえでより適切な情報を提示することが可能な情報処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の情報処理装置は、対象者の身体的な活動状況を示す活動状況情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により取得された前記活動状況情報を用いて、前記対象者の自律神経の状態、及び脳の活動状態を分析する分析手段と、前記自律神経の状態、及び前記脳の活動状態の分析結果を基に、前記対象者に提示すべきアクティビティを特定するアクティビティ特定手段と、前記アクティビティ特定手段により特定された前記アクティビティを前記対象者に提示するための処理を行う提示手段と、を備える。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、情報処理装置に、対象者の身体的な活動状況を示す活動状況情報を用いて、前記対象者の自律神経の状態、及び脳の活動状態を分析させ、前記自律神経の状態、及び前記脳の活動状態の分析結果を基に、前記対象者に提示すべきアクティビティを特定させ、特定された前記アクティビティを前記対象者に提示させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、心身の健康維持を支援するうえでより適切な情報を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の適用により構築された、対象者の心身の健康維持の支援のための情報を提示する仕組みの一例を説明する図である。
【
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバが接続されたネットワーク環境の一例を説明する図である。
【
図3】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】社員端末として用いることが可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】脳の活動状態の測定に用いられる眼球測定情報が表す内容、及びその内容による推定対象の例を説明する図である。
【
図7】ヘルスケア用アプリケーションによる、アクティビティ情報の提示のためのWebページの表示例を説明する図である。
【
図8】ヘルスケア用アプリケーションによる、ダッシュボードの提示のためのWebページの表示例を説明する図である。
【
図9】本実施形態に係る情報処理装置であるAPサーバに搭載のCPUによって実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】S7でのアプリケーション・プログラムの起動によって実行される分析結果提示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、説明する実施形態は、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本発明の技術的範囲には、様々な変形例も含まれる。
【0013】
図1は、本発明の適用により構築された、対象者の心身の健康維持の支援のための情報を提示する仕組みの一例を説明する図である。ここでは、この仕組みにより提供するサービスを「本サービス」と表記し説明する。
【0014】
本サービスでは、脈波の測定結果を表す脈波情報MS、及び目の観察結果を表す情報ETを、対象者の身体的な活動状況を示す活動状況情報とした分析により、脳の活動状態、及び自律神経の状態をそれぞれ個別に測定(推定)する。この分析は、開発された分析アルゴリズムBAにより行われる。
【0015】
脈波情報MSは、例えば単位時間当たりの脈拍数を表す生体(バイタル)情報である脈拍情報であり、基本的には自律神経の状態の測定に用いられる。分析アルゴリズムBAは、ストレスの大きさに応じて、脈波、つまり心拍数が変動することに着目し、自律神経の状態を表す指標として、ストレスの大きさを数値化、つまり多段階評価する。なお、指標はストレスに限定されない。他の指標であっても良い。
【0016】
脈波情報MSは、脈波センサ、心拍計等を用いて得ることができる。動画撮影可能なカメラ等を用いても得ることができる。そのようなカメラを用いる場合、対象者は、例えば指先をカメラの開口部にあてての動画撮影か、或いは自身の顔の動画撮影を行わせる。その動画撮影結果を解析することにより、脈波情報MSを得ることができる。
【0017】
目の観察結果を表す情報ETには、少なくとも3種類の観察情報が含まれる。1つ目は、視線の場所(注視点)、及びその動きを計測するアイ・トラッキングにより得られた注視点情報である。2つ目は、瞳孔径の測定による瞳孔径情報である。3つ目は、瞬きの頻度の測定による瞬き頻度情報である。以降、これらを含む情報ETは、眼球観察情報ETと表記する。
図1における「アイ・トラッカー」の表記は、このアイ・トラッキングが行われることを表している。
【0018】
眼球観察情報ETは、基本的に、脳の活動状態の測定に用いられる生体情報である。それに含まれる3種類の情報の全ては、両目を含む範囲の動画撮影の結果である動画データから生成することができる。分析アルゴリズムBAは、眼球観察情報ETを用いた分析により、脳の活動状態を測定する。
【0019】
脈波情報MSを用いて、自律神経の状態、及び脳の活動状態をともに測定することが可能である。しかし、ストレスへの耐性は、上記のように、脳の活動状態に応じて変化する。そのような関係により、例え脈波情報MSが同じであっても、脳の活動状態により、人が感じているストレスの程度が異なるのが普通である。それにより、例えばストレスが大きいと測定される状況であっても、脳の活動状態は高い、及び低いの何れの状態も考えられることになる。これは、例えば脳の活動状態が低い状況、つまり脳の疲労度が高い状況では、脳の活動状態が高い状況では低いはずのストレスが大きなストレスとなる場合があるからである。このようなことから、自律神経の状態、及び脳の活動状態の各測定結果の精度は比較的に低いものとなる。
【0020】
一方、本サービスでは、異なる生体(バイタル)情報を用いて、自律神経の状態、及び脳の活動状態をそれぞれ個別に測定する。仮に顔の動画撮影により、脈波情報MS、及び眼球観察情報ETを動画データから生成するとしても、それらは別々に生成し、自律神経の状態、及び脳の活動状態の測定にそれぞれ用いられる。この結果、脳の活動状態と自律神経の状態との間に存在する依存関係が、それらの測定に与える影響を回避させることができるか、或いはその程度が抑えられる。そのため、自律神経の状態、及び脳の活動状態のうちの少なくとも一方の測定はより高精度に行えるようになる。従って、対象者の心身の状態はより高精度に測定できることとなる。
【0021】
分析アルゴリズムBAは、対象者、或いは対象者の関係者に対し、指定された情報の生成、及び提示を行う。生成する情報としては、対象者にとって有用なアクティビティを表すアクティビティ情報O1、ダッシュボード03、及びHR(Human Resources)ダッシュボードO4が含まれる。
【0022】
提示されるアクティビティ情報O1は、対象者をウェルビーイングな状態に維持させるか、或いはその状態に近づけるために提案する具体的なアクティビティを表すものである。このため、対象者は、提示されるアクティビティ情報O1の提示により、自身をより良い状態に近づけるための具体的なアクティビティを知るだけでなく、自身の状態を把握することができる。提示されたアクティビティ情報O1が表すアクティビティを実際に行うことにより、対象者は、特に自身の精神面のケアを行うことになって、自身の心身をより良い状態に近づけることができる。
【0023】
また、自身の状態を把握できるようにすることには、対象者の心身の状態が悪くなるのを抑制する効果が期待できる。これは、自身の状態の悪い対象者は、その状態を意識し、その状態をより良くするような行動をとろうとするのが普通だからである。仮に、そのような行動をとれないとしても、自身の状態を把握できるようにすること自体、その状態に備える必要性を対象者に意識させられることから、心身の状態が悪くなるのを抑制する効果が期待できる。
【0024】
異なる生体情報を用いて、自律神経の状態、及び脳の活動状態をそれぞれ個別に測定することは、より適切なアクティビティ情報O1の提示を可能にさせる。そのため、アクティビティ情報O1の提示を通して、対象者の心身がより良い状態に近づけられるようにする支援をより適切に行えることとなる。単にこの2つの測定結果を用いたアクテビティの特定、及びそのアクティビティを提案するためのアクティビティ情報O1を生成する場合であっても、そのうちの一方のみを用いる場合と比較し、より適切なアクティビティを提案することが可能となる。
【0025】
対象者を提示されたアクティビティ情報O1が対象者にとって望ましいものであるとは限らない。このことから、分析アルゴリズムBAは、提案対象とするアクティビティを複数、特定することが可能である。それにより、対象者は、提示されたアクティビティ情報O1のうちで採用するもの、例えば自身の嗜好、或いは都合に合うもの等を選択することが可能となっている。
【0026】
複数のアクティビティ情報O1のうちで採用するものを選択可能とすることにより、対象者にとっては、実際にアクティビティを行うことがより容易となる。これは、自身の現在の状況に応じて、望ましいアクティビティを行うという選択肢ができるからである。それにより、複数のアクティビティ情報O1を提示可能にすることは、実際にアクティビティを行わせて、対象者をより良い状態に近づけるようにするうえで有効である。
【0027】
HRダッシュボードO4は、主にB2B2E(Business to Business to Employee)を想定した情報であり、提示する対象としては、対象者の関係者、具体的には、例えば対象者を管理する立場にある人が想定されている。
HRダッシュボードO4自体は、例えば縦軸、及び横軸が関係者の指定した指標となっている2軸相関グラフ上で各対象者の状態を表す画面である。各対象者の状態は、点の配置で表される。自律神経の状態、及び脳の活動状態は何れも、縦軸、或いは横軸の指標として指定可能である。このようなHRダッシュボードO4を表示させることにより、関係者は、自身が管理する各対象者の状態を把握することができる。
【0028】
HRダッシュボードO4は、個人の状態を2軸相関グラフ上で表すことから、その状態を視覚的に容易に把握できるようにする。このことから、本サービスでは、各対象者が個別に自身の状態を確認できるように、ダッシュボードを提示させることができるようにさせている。ダッシュボードO3は、そのダッシュボードである。このダッシュボードO3では、HRダッシュボードO4とは異なり、1個人の状態だけが2軸相関グラフ上で表される。後述の
図8は、ダッシュボードO3の例を示している。
HRダッシュボードO4では、基本的に複数の対象者の状態を2軸相関グラフ上に表すようになっている。その複数の対象者が同時に自律神経の状態、及び脳の活動状態を測定させることは期待できない。そのため、HRダッシュボードO4の生成には、生成する時点で存在する各対象者の測定結果が用いられる。このことも、HRダッシュボードO4とダッシュボードO3との間の相違である。
【0029】
また、本サービスでは、アバターを用いてAI(Artificial Intelligence)により特定したアクティビティに関するアクティビティ情報O2の提示が可能である。このアクティビティ情報O2は、自律神経の状態、及び脳の活動状態の各測定結果をAIの入力として得られるものである。そのAI自体は、自律神経の状態、及び脳の活動状態の各測定結果と、実際に対象者が選択したアクティビティ情報O1との間の関係を学習データとして学習させたものである。それにより、提示されるアクティビティ情報O2は、分析アルゴリズムBAによって特定される複数のアクティビティ情報O1のうちで対象者にとって最適なものか、或いは最適に近いものとなる。このようなアクティビティ情報O1がアクティビティ情報O2として直ちに提示可能なため、対象者に対し、高い利便性を提供できる。
図1では、アクティビティ情報O1の選択結果が学習に用いられることから、アクティビティ情報O1からアクティビティ情報O2に向かう矢印を表している。
【0030】
以降は、
図2~
図10を参照しつつ、
図1に例示する仕組みにより本サービスを提供する具体的な実現方法について詳細に説明する。
図2は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAP(APplication)サーバが接続されたネットワーク環境の一例を説明する図である。
【0031】
APサーバ1は、例えば企業等の組織と契約し、契約した組織の従業員を対象者として、心身の健康のためのヘルスケアサービスを提供可能なヘルスケアサービス会社HCにより設置された情報処理装置である。本サービスは、ヘルスケアサービスのうちで、特にメンタルヘルスに着目したものであり、メンタルヘルスケアを通して、対象者の心身を良い状態に維持させるように、或いはより良い状態に近づけるように支援する。APサーバ1は、主に本サービスの提供を想定して設置されている。
図2では、APサーバ1はヘルスケアサービス会社HC内に設置されたものとして表しているが、ヘルスケアサービス会社HC内に設置されていなくとも良い。例えばクラウドサービスにより提供されるものであっても良い。
【0032】
APサーバ1は、実際には、例えばプロキシ等の他の情報処理装置を介してネットワークNと接続されている。しかし、ここでは、説明上、便宜的に、APサーバ1とネットワークNとの間に介在する情報処理装置は無視することとする。つまり、APサーバ1は直接的にネットワークNと接続されているものとする。ネットワークNは、例えばインターネット、及び複数の携帯電話網を含むものである。
【0033】
提供対象企業TKは、ヘルスケアサービス会社HCと契約した組織である。以降、提供対象企業TKは、ヘルスケアサービス会社HCが契約した組織の総称として用いる。このことに合わせ、心身の健康をサポートする対象者は「社員」と表記する。なお、対象者は、何らかの組織に属していない個人であっても良い。
【0034】
提供対象企業TKには、社員が使用する端末(
図2中「社員端末」と表記。以降、この表記を用いる)3が1台以上、存在する。この社員端末3は、ネットワークNを介した通信機能を少なくとも備えた情報処理装置である。本サービスの利用に用いられる社員端末3の多くは、複数の通信規格での通信が可能であり、且つ2つ以上のカメラ31を搭載した情報処理装置である。また、提供対象企業TKの外でもネットワークNを介した通信が可能である。このような社員端末3は、具体的には、PC(Personal Computer)、タブレットPC、或いはスマートフォン等である。
【0035】
社員端末3の多くは、例えば近距離の通信規格により、スマートウォッチ4との無線通信が可能である。多くのスマートウォッチ4は多機能であり、心拍測定、ストレスモニタリング、及び血中酸素濃度測定等が可能である。スマートウォッチ4との通信が可能な社員端末3は、スマートウォッチ4から心拍、血中酸素濃度等の測定結果を受信し、APサーバ1に送信することが可能である。
【0036】
管理者端末5は、社員を管理する立場の人である管理者が使用する端末である。ここでの管理者とは、例えば管理職、或いはグループリーダー等の一人以上の社員に指図をする立場の者のことである。
図2では、便宜的に、管理者が使用する社員端末3を管理者端末5と表し、区別している。管理者が使用する管理者端末5は、管理する各社員の状態を表すHRダッシュボードO4を送信する対象となる。この管理者端末5は、ダッシュボードO3を送信する対象でもある。
【0037】
提供対象企業TKには、基幹システム6が構築されている。この基幹システム6は、各社員の勤怠情報、及び成果情報等の活動情報を管理するものである。APサーバ1は、提供対象企業TKに構築された基幹システム6にアクセスして、活動情報を取得するか、或いは基幹システム6から送信される活動情報を取り込む。
【0038】
労働時間、及び成果は、社員が感じるストレスの大きさを変化させる。例えば残業時間が長い社員は、働くことにストレスを感じている可能性が高い傾向があると考えられる、成果を上げられていない社員の多くは、そのことにストレスを感じている可能性が高いと考えられる。このようなことから、本サービスでは、勤怠情報、及び成果情報等の活動情報は、社員が置かれている環境を管理者が確認可能とする意味もあり、APサーバ1に取得可能とさせている。
【0039】
図3は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。次に
図3を参照し、APサーバ1のハードウェア構成例について具体的に説明する。なお、この構成例は一例であり、APサーバ1のハードウェア構成はこれに限定されない。
【0040】
APサーバ1は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、及びドライブ20と、を備えている。
【0041】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、或いは/及び記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。記憶部18からRAM13にロードされるプログラムには、例えばOS(Operating System)、及びそのOS上で動作する各種アプリケーション・プログラムが含まれる。各種アプリケーション・プログラムには、本サービスの提供用に開発されたものが1つ以上、含まれる。
【0042】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。そのデータには、CPU11が実行する各種プログラムも含まれる。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ21が接続されている。
【0043】
出力部16は、例えば液晶等のディスプレイを含む構成である。出力部16は、CPU11の制御により、各種画像、或いは各種画面を表示する。出力部16は、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。つまり、出力部16は、必須の構成要素ではない。
【0044】
入力部17は、例えばキーボード等の各種ハードウェア釦等を含む構成のものである。その構成には、マウス等のポインティングデバイスが1つ以上、含まれていても良い。操作者は、入力部17を介して各種情報を入力することができる。この入力部17も、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。つまり、入力部17も、必須の構成要素ではない。
【0045】
記憶部18は、例えばハードディスク装置、或いはSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。データ量の大きいデータは、この記憶部18に記憶される。
通信部19は、ネットワークNを介した他の情報処理装置との間の通信を可能にする。
図2に示す社員端末3、管理者端末5、及び基幹システム6を構成する情報処理装置は全て、他の情報処理装置に相当する。
【0046】
ドライブ20は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリカード等のリムーバブルメディア25が着脱可能な装置である。ドライブ20は、例えば装着されたリムーバブルメディア25からの情報の読み取り、及びリムーバブルメディア25への情報の書き込みが可能である。それにより、リムーバブルメディア25に記録されたプログラムは、ドライブ20を介して、記憶部18に記憶させることができる。また、ドライブ20に装着されたリムーバブルメディア25は、記憶部18に記憶されている各種データのコピー先、或いは移動先として用いることができる。
【0047】
本サービス用に開発されたアプリケーション・プログラムは、リムーバブルメディア25に記録させて配布しても良い。ネットワークN等を介して配布可能にしても良い。このことから、アプリケーション・プログラムを記録した記録媒体としては、ネットワークNに直接的、或いは間接的に接続された情報処理装置に搭載、若しくは装着されたものか、或いは外部のアクセス可能な装置に搭載、若しくは装着されたものであっても良い。
【0048】
APサーバ1が備えるハードウェア資源は、アプリケーション・プログラムを含む各種プログラムによって制御される。その結果、APサーバ1は、社員端末3、及び管理者端末5を使用する社員に対して本サービスを提供することができる。
【0049】
図4は、社員端末として用いることが可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。次に
図4を参照し、社員端末3として用いることが可能な情報処理装置のハードウェア構成例について具体的に説明する。なお、この構成例は一例であり、社員端末3のハードウェア構成はこれに限定されない。
【0050】
図4にハードウェア構成例を示す情報処理装置は、例えばスマートフォンである。
図4に示すように、スマートフォンである社員端末3は、2つのカメラ31の他に、SoC(System On a Chip)30、フラッシュメモリ32、RAM33、タッチパネル34、オーディオ回路35、少なくとも2つの通信モジュール36、37、及び衛星受信モジュール38を備えている。SoC30には、それ以外の全てが接続されている。
【0051】
SoC30は、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及び各種コントローラが搭載された半導体チップである。フラッシュメモリ32には、不揮発性のメモリであり、SoC30が実行する各種プログラム、及び各種データが格納される。RAM33は、ワーク用のメモリである。SoC30は、フラッシュメモリ32に格納されているプログラムをRAM33に読み出して実行することにより、社員端末3を制御する。
【0052】
フラッシュメモリ32に格納されたプログラムには、OS、及びそのOS上で動作する各種アプリケーション・プログラムが含まれる。各種アプリケーション・プログラムには、本サービスの利用のために開発されたアプリケーション・プログラムが含まれる。このアプリケーション・プログラムは、以降「ヘルスケア用アプリケーション」と表記する。
【0053】
2つのカメラ31のうちの一方は、タッチパネル34の表示面側に配置され、他方はその反対側に配置されている。ここでは、2つのカメラ31を区別する必要のある場合、タッチパネル34の表示面側に配置されたカメラ31を「正面カメラ31」、その反対側に配置されたカメラ31を「背面カメラ31」とそれぞれ表記する。
【0054】
ヘルスケア用アプリケーションは、例えば脈波情報MS、及び眼球観察情報ETの取得のための機能が搭載されたものである。より具体的には、スマートフォン、或いはタブレットPCにインストールされたヘルスケア用アプリケーションは、例えば2つのカメラ31にそれぞれ動画撮影を並行して行わせる。正面カメラ31による動画撮影は、社員の顔、特に目を含む部分の動画撮影を想定したものである。背面カメラ31による動画撮影は、指先の動画撮影を想定したものである。
【0055】
ヘルスケア用アプリケーションは、正面カメラ31による動画撮影結果として得られた動画データをAPサーバ1に送信する。また、背面カメラ31による動画撮影結果は、脈波情報MSの生成に用いられ、生成された脈波情報MSはAPサーバ1に送信される。それにより、APサーバ1は、ヘルスケア用アプリケーションを実行する社員端末3から、脈波情報MSとともに、顔の動画撮影による動画データを受信することができる。
【0056】
心拍測定が可能なスマートウォッチ4との通信が可能な社員端末3では、脈波情報MSの生成は行わなくとも良い。つまり、顔の動画撮影結果である画像データとともに、スマートウォッチ4から受信した心拍測定の結果を社員端末3からAPサーバ1に送信させるようにしても良い。このことから、1つのカメラのみを搭載した情報処理装置も社員端末3として用いることができる。ここでは混乱を避けるために、以降、社員端末3は、スマートウォッチ4との通信を行わない、2つのカメラ31が搭載された情報処理装置であると想定する。
【0057】
なお、ヘルスケア用アプリケーションには、顔の動画撮影結果から、眼球観察情報ETを生成する機能を搭載しても良い。つまり、APサーバ1に、眼球観察情報ETを送信させるようにしても良い。脈波情報MSを生成させずに、背面カメラ31による動画撮影結果をAPサーバ1に送信させる機能を搭載しても良い。このようなことから、自律神経の状態、及び脳の活動状態の各測定に用いる各バイタル情報の生成は、全てAPサーバ1に行わせても良いが、その全てを別の1台以上の情報処理装置に行わせても良い。別の情報処理装置は、社員端末3とは異なる情報処理装置であっても良い。2つのバイタル情報は、上記のように、顔の動画撮影結果から生成するようにしても良い。
【0058】
オーディオ回路35には、放音用のスピーカ、及び音声入力用のマイクロフォンが含まれる。そのため、オーディオ回路35には、スピーカに出力する信号の生成、及びマイクロフォンから出力された信号の処理を行う部分も含まれる。このオーディオ回路35により、社員は、社員端末3を電話機として使用することができる。
【0059】
2つの通信モジュール36、及び37のうちの一方は、ネットワークNを介した通信を可能にし、他方はスマートウォッチ4との通信を可能にする。衛星受信モジュール38は、衛星測位システムのための人工衛星から発射される信号を受信する電子部品である。
【0060】
図5は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。次に
図5を参照しつつ、APサーバ1上に実現される機能的構成の例について詳細に説明する。
【0061】
APサーバ1のCPU11上には、機能的構成として、
図5に示すように、顧客登録部111、認証部112、活動情報取得部113、バイタル情報取得部114、自律神経分析部115、脳状態測定部116、第1提案部117、第2提案部118、画面生成部119、アニメーション画像生成部120、学習処理部121、及びページ生成部122が実現される。
【0062】
これらは、本サービスの提供用に開発されたアプリケーション・プログラムを含む各種プログラムをCPU11が実行することにより実現される。その結果として、記憶部18には、顧客情報格納部181、活動情報格納部182、バイタル情報格納部183、提案結果保存部184、アバター情報格納部185、及び背景画像情報格納部186が情報格納用に確保される。
【0063】
顧客登録部111は、契約した提供対象企業TKについての情報の他、その提供対象企業TKに属する各社員についての情報を顧客情報として登録するのを可能にする。記憶部18に確保された顧客情報格納部181は、顧客情報の保存用である。顧客登録部111は、顧客情報格納部181への顧客情報の格納、及び格納された顧客情報の消去を含む編集に対応する。
【0064】
社員用の顧客情報には、例えばヘルスケアサービス会社HCによって割り当てられた識別情報である顧客ID(IDetifier)、及び認証用情報の他に、社員ID、氏名、所属、役職、家族構成、及び住所等の基本情報が含まれる。本サービスでは、より適切なアクティビティの提案を可能とするために、趣向情報を顧客情報に更に含めている。
【0065】
趣向情報は、例えば社員の性向、及び住環境等の確認のために、社員へのアンケート等により得られた情報である。この趣向情報には、例えば居住住宅についての住宅情報、及び性向についての性向情報が含まれる。住宅情報には、例えば居住住宅の広さ、日当たりの良さ、ベランダの有無、庭等の土地の有無、等の情報が含まれる。性向情報には、運動の頻度、運動する種類、運動する時間帯、ペットの有無、飼っているペットの種類、等の情報が含まれる。
【0066】
このような趣向情報をアクティビティの提案に用いることにより、社員にとってより望ましいアクティビティの提案をより高い確率で行えるようになる。
認証用情報は、本サービスを提供すべき社員のみを対象に、本サービスを利用可能にするための情報である。具体的には、認証用情報は、例えば認証用ID、及びパスワードである。認証部112は、認証用情報を参照し、本サービスの利用を要求した個人が、本サービスを提供すべき社員か否かを確認する認証を行う。
【0067】
活動情報取得部113は、勤怠情報、及び成果情報等の活動情報を基幹システム6から取得する。取得された活動情報は、記憶部18に確保された活動情報格納部182に格納される。
バイタル情報取得部114は、社員端末3からバイタル情報を取得する。バイタル情報には、上記のように、脈波情報MS、及び眼球観察情報ETが含まれる。脈波情報MSは、社員端末3から送信されるのに対し、眼球観察情報ETは社員端末3から送信されない。このことから、バイタル情報取得部114は、社員端末3から送信される、正面カメラ31による動画撮影結果である画像データ(動画情報)を用いた解析により、眼球観察情報ETを生成する。脈波情報MS、及び眼球観察情報ETは、画像データとともに、バイタル情報取得部114によって記憶部18のバイタル情報格納部183に保存される。画像データを保存するのは、眼球の移動、瞬きの頻度等の確認に、過去に受信された画像データが必要だからである。バイタル情報取得部114は、本実施形態における情報取得手段に相当する。
【0068】
自律神経分析部115は、バイタル情報格納部183にバイタル情報として保存されている脈波情報MSを用いた分析により、社員の自律神経の状態を測定する。
脳状態測定部116は、バイタル情報格納部183にバイタル情報として保存されている眼球観察情報ETを用いた分析により、社員の脳の活動状態を測定する。
これらは何れも、本実施形態における分析手段に相当する。
自律神経の状態、及び脳の活動状態の各測定結果は、提案結果保存部184に保存される。それにより、ダッシュボード03だけでなく、HRダッシュボードO4の生成も可能となっている。
【0069】
図6は、脳の活動状態の測定に用いられる眼球測定情報が表す内容、及びその内容による推定対象の例を説明する図である。ここで、眼球観察情報ETによる脳の活動状態の測定について、その活動状態を測定する原理を含め、具体的に説明する。
【0070】
眼球観察情報ETには、上記のように、注視点情報、瞳孔径情報、及び瞬き頻度情報が含まれる。
注視点情報は、注視点の動きを表す情報である。その注視点は、脳の活動状態が低くなると、水平方向上の動きが多くなるとともに、動く速度も遅くなるという傾向がある。そのため、注視点情報は、脳の活動状態を評価するうえで有用な情報となっている。
【0071】
図6の(1)は、脳の活動状態による瞳孔径の変化を表している。
瞳孔径は、目に入る光量の調節のために変化する。しかし、瞳孔は、自律神経系の支配を受けている。そのため、交感神経、及び副交感神経のバランスによっても瞳孔径が変化する。交感神経が優位な状況では、副交感神経が優位な状況と比較し、瞳孔径は大きくなる。交感神経が優位な状況とは、脳の活動状態が高い状況であり、認知機能、集中力、ストレス対処力、及び脳の持久力の全てが高いと推定することができる。このような推定が可能となることから、注視点情報と組み合わせた分析を行う場合、脳の活動状態をより高精度に測定できるようになる。
【0072】
図6の(2)は、脳の活動状態によって瞬きの頻度が変化することを表している。
人は、緊張感のある集中をしているとき、瞬きの頻度が減少する。それにより、瞬きの頻度から、脳の活動状態を推定することができる。
瞬きの頻度を減少させるように集中している状態から、更に深く集中した状態になると、瞬きのタイミングが一定になる。これは、リラックス時にも見られる特徴である。このことから、瞬きの頻度の変化を監視することにより、脳の活動状態の変化も推定することができる。このような推定が可能であることから、注視点情報、及び瞳孔径情報のうちの少なくとも一方と組み合わせた分析を行う場合、脳の活動状態をより高精度に測定できるようになる。本サービスでは、その精度をより高くさせるために、上記3種類の情報を眼球観察情報ETに含めている。
【0073】
なお、脳の活動状態の測定は、注視点情報、瞳孔径情報、及び瞬き頻度情報のうちの1つのみを用いて行うようにしても良い。或いは、その1つを脈波情報MSと組み合わせて、脳の活動状態を測定するようにしても良い。
1回の瞬きに要する時間は、普通、0.1~0.15秒の間である。このこともあり、本サービスでは、正面カメラ31による動画撮影結果である画像データ(動画情報)を社員端末3から送信させるようにしている。しかし、瞬きの有無、眼球運動の内容を特定できるのであれば、静止画の画像データを社員端末3から送信させるようにしても良い。つまり、社員端末3から送信させる動画情報は、1秒間当たりに10以上、送信させる静止画の画像情報であっても良い。
【0074】
第1提案部117は、自律神経分析部115による自律神経の状態の測定結果、及び脳状態測定部116による脳の活動状態の測定結果を用いて、社員に提示すべきアクティビティ情報O1を作成する。第1提案部117は、アクティビティ情報O1の特定のために、対象となる社員の顧客情報、年月日を含む現在日時、及び天候を参照する。それにより、社員の住環境、現在日時、及び天候を必要に応じて反映させる形で提案すべきアクティビティを特定し、アクティビティ情報O1を作成する。この第1提案部117は、本実施形態におけるアクティビティ特定手段、及び選択結果特定手段に相当する。
【0075】
本サービスでは、アクティビティ情報O1が提示される社員に、提示されたアクティビティ情報O1のうちから望むものを選択させるようにしている。アクティビティ情報O1の選択結果は、そのアクティビティ情報O1の提示のために第1提案部117が用いた各種情報とともに、アクティビティの提案結果として、記憶部18の提案結果保存部184に保存される。
【0076】
第2提案部118も、第1提案部117と同じく、自律神経の状態の測定結果、及び脳状態測定部116による脳の活動状態の測定結果、並びに顧客情報、現在日時、及び天候を用いて、社員に提案すべきアクティビティを特定する。しかし、第2提案部118では、AIを用いて、アクティビティを特定する。それにより、第2提案部118は、アクティビティ情報として、アクティビティ情報O2を作成し提示する。この第2提案部118は、本実施形態における他のアクティビティ特定手段に相当する。
【0077】
アクティビティ情報O2の提示を可能にするために、第2提案部118では、記憶部18の提案結果保存部184に保存されている提案結果を学習データとした学習が行われる。学習処理部121は、その学習のための処理を行うものである。この学習処理部121が行う学習により、第2提案部118は、アクテビティの提案を望む社員に対し、適切と考えられるアクティビティを推定し、アクティビティ情報O2を提示する。学習処理部121は、本実施形態における学習処理手段に相当する。
【0078】
このようなアクティビティ情報O2の提示のために、第2提案部118によるアクティビティ情報O2の提示は、学習データである提案結果の保存数が設定数以上となることを条件に有効となる。そのような条件が必要なこともあり、アクティビティ情報O2の提示に利用するアバターは、提案結果の保存数に応じて変化させるようにしている。本サービスでは、アクティビティ情報O2の提示を指示するアイコンとして、アバターの画像を用いている。そのため、結果として、第2提案部118は、仮想的に、社員のアバターとして機能する形となる。
【0079】
本サービスでは、アバターを社員の分身と位置付けるだけでなく、その分身が本サービスの利用によって成長していく様子を模擬するようにしている。このようなアバターの表示により、社員は、自身の本サービスの利用情報を視認することができる。
アクティビティ情報O2、及びその提示に用いるアバターを含む画面の生成は、画面生成部119によって行われる。それにより、アクティビティ情報O2の実際の提示は、画面生成部119を介して行われる。この画面生成部119は、第1提案部117が作成したアクティビティ情報O1、ダッシュボードO3、或いはHRダッシュボードO4の提示のための画面生成も行う。
【0080】
記憶部18に確保されたアバター情報格納部185には、各社員のアバターの画像を生成するための情報が保存されている。それにより、画面生成部119は、アバター情報格納部105に保存されているアバター情報を用いて、アイコンとしてのアバター画像を生成する。
【0081】
本サービスでは、アバターは、アクティビティ情報O2の提示の他に、メタバース上に存在するキャラクタとしても用いている。このメタバースは、アニメーション動画で表示させるようにしている。アニメーション画像生成部120は、そのアニメーション動画の表示を社員端末3上に可能にするための機能である。このアニメーション画像生成部120により、社員は、自身のアバターをアニメーション動画上で任意に動かすことができるだけでなく、他のアバターを介して、他の社員とのコミュニケーションを行うことができる。
【0082】
記憶部18に確保された背景画像情報格納部186には、アバターが移動可能なメタバースの背景を表示させるための各種背景画像情報が保存されている。それにより、アニメーション画像生成部120は、背景画像情報格納部186に保存されている各種背景画像情報を用いて背景画像を生成する。アニメーション画像生成部120は、生成した背景画像上に、アバター情報格納部185に保存されているアバター情報を用いて生成したアバター画像を配置し、アニメーション画像を生成する。
【0083】
本サービスの利用により、社員は、提案されたアクティビティの実行を通した知見を得られることになる。メタバースは、その知見の他の社員との共有を可能にさせる。知見の共有は、双方向で行うことが望ましい。これは、何らかの知見を得られない者にとって、メタバース上でコミュニケーションをとることの利点がないと云えるからである。このことを考慮した場合、メタバース上にアバターを参加させられる社員としては、ある程度の知見を得ていると考えられる者が望ましいことになる。
【0084】
このことから、本サービスでは、本サービスの利用によって成長するアバターの成長具合をメタバースへの参加条件として設定している。それにより、双方向で知見の共有を行える可能性をより高くさせるようにしている。この結果、より多くの社員がより多くの知見を双方向で共有できるようになることから、より快適にメタバースを利用できる環境が提供されることとなる。
【0085】
APサーバ1から社員端末3、及び管理者端末5を含む各端末への各種情報は、通常、Webページの形で送信される。ページ生成部122は、そのWebページを生成する機能である。ページ生成部122は、画面生成部119により生成された画面、或いはアニメーション画像生成部120により生成されたアニメーション画像を配置させたWebページを生成することができる。生成されたWebページは、通信部19、及びネットワークNを介して、対象となる端末に送信される。このWebページの生成に画面生成部119が生成する画面が用いられることから、ページ生成部122、及び画面生成部119はともに、本実施形態における提示手段に相当する。
【0086】
図7は、ヘルスケア用アプリケーションによる、アクティビティ情報の提示のためのWebページの表示例を説明する図であり、
図8は、ヘルスケア用アプリケーションによる、ダッシュボードの提示のためのWebページ表示例を説明する図である。
図7に例を示すWebページでは、第1提案部117、及び第2提案部118のうちの何れかによって作成されたアクティビティ情報が画面として配置されている。それにより、行うべきアクティビティの提案を望む社員に対し、その社員の現在の状態で適切と推定されるアクティビティがアクティビティ情報の提示によって提案される。
【0087】
図7に一例を示すアクティビティ情報は、夜にアクティビティの提案が求められた場合のものである。ストレスの大きさ、及び脳の疲労度をともに、「強」「中」「低」の3段階で評価すると想定した場合、ストレスが中より大きい社員に対して提案される。
【0088】
セロトニンは、精神の安定、安心感、平常心、及び脳の活発な活動、等に大きく関係する脳内物質である。そのため、特にストレスの大きさ、及び脳の疲労度がともに強であり、且つ長い休息をとることが困難な状況では、特にセロトニンの分泌を促す行動を積極的にすることが望ましいことになる。
セロトニンの分泌を促す行動としては、日光浴、リズミカルな運動等がある。リズミカルな運動には、歩行運動、食事の際の咀嚼、及び意識的な呼吸等がある。
【0089】
このような知識を持っている社員であっても、現在の自身の心身の状態を必ずしも適切に把握しているとは限らない。例えば心身の状態を適切に把握していたとしても、どの行動をどの程度、行えば良いのかについての知識を有しているとは限らない。このような実情があり、本サービスでは、アクティビティ情報の提示を通して、社員の心身の健康をより良く維持できるように支援する。
図7に示す一例では、太陽が出ていない夜であることから、寝るまでの間に行える比較的に軽いリズミカルな運動としてヨガを提案している。強度の高い運動は交感神経を優位とさせることから、提案する運動は比較的に強度の低いものである。
【0090】
一方、太陽の出ている日中であれば、年月日によっては、例えば「お庭でひまわりを育ててみませんか?」といった提案が行われることになる。社員(住環境等)によっては、ストレスの大きさ、及び脳の疲労度により、例えば以下のような提案が行われる。
ストレス・脳疲労:強 ⇒提案アクティビティ:カーテンを開けて寝てみましょう
ストレス・脳疲労:中 ⇒提案アクティビティ:ベランダでできる家庭菜園
ストレス・脳疲労:低 ⇒提案アクティビティ:シェア農園を利用してみよう
【0091】
上記の例は、日光浴によるセロトニンの分泌を促すことを想定したものである。日光浴が期待できない等の理由により、運動によるセロトニンの分泌を促すことを想定した場合、社員によっては、ストレスの大きさ、及び脳の疲労度により、例えば以下のような提案が行われる。
ストレス・脳疲労:強 ⇒提案アクティビティ:美姿勢ウォーキングのコツ(美姿勢でウォーキングをしてみましょう)
ストレス・脳疲労:強 ⇒提案アクティビティ:猫背改善ヨガ
ストレス・脳疲労:強 ⇒提案アクティビティ:音楽に合わせた縄跳びエクササイズ
【0092】
このように、本サービスでは、社員の心身の状態、つまりストレスの大きさ、及び脳の活動状態に応じて、そのときの社員の状況に応じた適切なアクティビティの提案を可能とし、アクティビティの提案を通して、社員の心身の健康管理を支援する。
なお、アクティビティとしては、食事を含めても良い。これは、メロトニンの分泌には、必須アミノ酸の一種であるクリプトファンが必要ということも考慮してのものである。それが多く含まれる食品としては、カツオ、マグロ、牛乳やチーズ等の乳製品、納豆や豆腐等の大豆製品、ナッツ類、バナナ等がある。食事の提案では、何れかの食品を摂取することを提案しても良い。
【0093】
一方、ダッシュボードO3の提示では、
図8に示すように、過去の心身の状態も2軸相関グラフ上にプロットされる。それに合わせ、過去の心身の状態からの変化に応じたアドバイスが配置される。このアドバイスの提示により、社員に対し、心身の状態をより良い状態にするのをより容易に行えるように支援する。
【0094】
図9は、本実施形態に係る情報処理装置であるAPサーバに搭載のCPUによって実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。この全体処理は、社員端末3、或いは管理者端末5からの各種要求に対応するためにAPサーバ1が主に実行する処理の流れを表したものである。本サービスの提供用に開発されたアプリケーション・プログラムをCPU11が実行することで実現される。次に
図9を参照し、この全体処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としてはCPU11を想定する。本サービスの利用のための要求を送信する端末としては、社員端末3のみを想定する。
【0095】
先ず、S1では、CPU11は、APサーバ1を管理する立場の人、例えばシステム管理者が使用する端末から顧客登録要求を受信したか否か判定する。この顧客登録要求は、本サービスを顧客として利用可能な社員の登録等への対応を要求するためのものである。この登録要求が通信部19によって受信された場合、S1の判定はYESとなってS2に移行する。この登録要求が通信部19によって受信されていない場合、S1の判定はNOとなってS3に移行する。
【0096】
S2では、CPU11は、顧客とする社員の顧客情報の登録、及び登録された顧客情報の削除を含む編集を可能にする顧客登録処理を実行する。その実行後はS1に戻る。
一方、S3では、CPU11は、ログイン要求を受信したか否か判定する。このログイン要求は、上記のように、社員端末3を介した本サービスの利用を可能にするための要求であり、認証用のID、及びパスワードが併せて送信される。
【0097】
何れかの社員端末3から送信されたログイン要求を通信部19が受信した場合、S3の判定はYESとなってS4に移行する。そのS4では、CPU11は、ログイン要求に含まれるID、及びパスワードの組を有する顧客情報の有無を確認する認証処理を実行する。その認証処理の実行後のS5では、CPU11は、ログイン要求を受信した社員端末3に対し、その認証結果を送信する。この送信後は上記S1に戻る。なお、認証処理では、ID、及びパスワードの組を有する顧客情報の存在を確認できた場合、社員端末3に対し、それを使用する社員を対応付けることも行われる。
【0098】
一方、何れの社員端末3からもログイン要求を受信しなかった場合、S3の判定はNOとなってS6に移行する。そのS6では、CPU11は、社員端末3から分析要求を受信したか否か判定する。この分析要求は、社員の心身、つまり自律神経の状態としてストレスの大きさ、及び脳の活動状態(疲労度)の分析を要求するものである。何れかの社員端末3から送信された分析要求を通信部19が受信した場合、S6の判定はYESとなってS7に移行し、CPU11は、社員の心身の状態の分析、その分析結果を用いた各種情報の提示のためのアプリケーション・プログラムを起動させる。その後、上記S1に戻る。このアプリケーション・プログラムも、本サービスの提供用に開発されたプログラムである。
【0099】
分析要求を送信した社員端末3は、背面カメラ31の動画撮影により生成される脈波情報MS、及び正面カメラ31の動画撮影結果の送信を行う必要がある。そのために、社員端末3では、上記ヘルスケア用アプリケーションが実行される。このこともあり、分析要求は、このアプリケーションを社員端末3上で実行させている場合に、送信可能にさせても良い。或いは、分析要求の送信を契機に、このアプリケーションを社員端末3に自動的に起動させるようにしても良い。
【0100】
本サービスでは、上記のように、社員は、アクティビティ情報O1の提示によるアクティビティの提案、アクティビティ情報O2の提示によるアクティビティの提案、及びダッシュボードO3の提示、のうちから所望のものを指定することができる。分析要求には、その指定結果も含まれている。以降、それらを指定する要求を「通常提案指定」「アバター指定」及び「ダッシュボード指定」とそれぞれ表記する。
【0101】
何れの社員端末3からも分析要求を受信しなかった場合、S6の判定はNOとなってS8に移行する。そのS8では、CPU11は、社員端末3からWebページ(画面)の送信要求を受信したか否か判定する。この送信要求は、社員によって指定された、本サービスとは別のサービス用のWebページの表示を可能にする要求であり、その送信要求には、Webページを指定するURL(Uniform Resource Locator)等も含まれる。
【0102】
何れかの社員端末3から送信された送信要求を通信部19が受信した場合、S8の判定はYESとなってS9に移行し、CPU11は、送信要求を送信させた社員端末3に対し、その送信要求で指定されたWebページを送信する。その後、上記S1に戻る。一方、何れの社員端末3からも送信要求を受信しなかった場合、S8の判定はNOとなってS10に移行する。
送信可能とされるWebページは、ログイン中の社員が使用する社員端末3か否かによって異なる。ログイン中でない社員が使用する社員端末3には、分析要求はもとより、後述するアバター登録要求、参加要求等を送信させることが可能なWebページは送信されない。そのようにして、ログイン中か否かにより、社員が利用可能なサービスの種類、その内容等は異なる。管理者端末5を使用するログイン中の管理者は、S9の処理により、HRダッシュボードO4の送信も可能となっている。
【0103】
S10では、CPU11は、社員端末3からアバター登録要求を受信したか否か判定する。このアバター登録要求は、社員が好みのアバター画像の登録を可能にする要求である。何れかの社員端末3から送信されたアバター登録要求を受信した場合、S10の判定はYESとなってS11に移行し、CPU11は、社員による好みのアバター画像の登録、及び編集を可能にするアバター登録処理を実行する。その後は上記S1に戻る。一方、何れの社員端末3からもアバター登録要求を受信しなかった場合、S10の判定はNOとなってS12に移行する。
【0104】
S12では、CPU11は、メタバースへのアバターの参加要求を社員端末3から受信したか否か判定する。何れかの社員端末3からその参加要求を受信した場合、S12の判定はYESとなってS13に移行する。何れの社員端末3からも参加要求を受信しなかった場合、S12の判定はNOとなってS15に移行する。
【0105】
S13では、CPU11は、参加要求を送信させた社員端末3を使用する社員のアバター画像を生成する。続くS14では、CPU11は、メタバースを表現する背景画像上に、生成したアバター画像、及び既に参加要求を送信させた他の社員のアバター画像を配置させた動画の配信を開始させる。その後、上記S1に戻る。
【0106】
この動画配信は、社員がメタバース上からのアバターの退去を要求するまで継続して行われる。動画配信中は、アバターは社員の操作により動くだけでなく、他のアバターとの間のコミュニケーション、つまり他の社員との間の会話も可能である。それにより、各社員は、アバターをメタバースに参加させることにより、様々な有用な情報の取得が可能となっている。
【0107】
一方、S15では、CPU11は、上述の各種要求以外の要求等に対応するためのその他の処理を実行する。その他の処理の実行後は、上記S1に戻る。その他の処理で対応する要求には、ログオフ要求、及びアバターの退去要求等が含まれる。
【0108】
全体処理では、上記のように、社員端末3から受信された要求の種類を判定し、その判定結果に応じて、受信された要求に対応するための処理が実行される。それにより、CPU11上には、結果的に、
図5に例を示す各部111~122のうちで学習処理部121を除く全てが実現される。学習処理部121は、例えば開発されたアプリケーション・プログラムのサブプログラムによって実現される。
【0109】
このサブプログラムは、例えば提案結果の保存数が設定数以上となるか、或いは保存数が設定数を超える提案結果の新規保存分が別の設定数以上となった場合に実行される。この結果、第2提案部118は、仮想的に、社員の心理データが移植され、その社員の思考パターン、趣向、或いは感覚等に沿って、アクティビティ情報O2を提示するアバター(分身)として成長していくことになる。その成長により、様々な心身の状態であっても、適切なアクティビティ情報O2をより確実に提示できるようになる。
【0110】
図10は、S7でのアプリケーション・プログラムの起動によって実行される分析結果提示処理の一例を示すフローチャートである。次に
図10を参照し、この分析結果提示処理について詳細に説明する。ここでも処理を実行する主体はCPU11とする。
この分析結果提示処理の実行時、社員端末3は、脈波情報MS、及び動画データをAPサーバ1に送信し続ける。これは、脈波情報MSが示す内容の変動、つまり心拍数の変動、或いは動画データによる眼球観察情報ETが表す内容の変動等がありうるからである。ストレス、及び脳の活動状態の評価結果は、それらのうちの一方の変動によって変化する可能性がある。
【0111】
先ず、S21では、CPU11は、分析要求を送信させた社員の活動情報を基幹システム6から取得する。続くS22では、CPU11は、通常提案指定か受信されたか否か判定する。通常提案指定が受信された場合、S22の判定はYESとなってS23に移行する。それ以外の指定が受信されるか、或いは何の指示も受信しなかった場合、S22の判定はNOとなってS24に移行する。
【0112】
上記のように、分析要求には、提示する情報の指定結果が含まれている。本サービスでは、その指定を変更することを可能にさせている。このことから、S22で受信の有無を判定する通常提案指定は、社員が分析要求の送信前の操作により送信されたものか、或いは分析結果提示処理の実行開始後に新たに送信されたものとなる。これは、アバター指定、及びダッシュボード指定でも同様である。
【0113】
S23では、CPU11は、対応する顧客情報、年月日を含む現在日時、及び天候を参照し、提案の対象となるアクティビティの範囲、その範囲内のアクティビティにおける提案上の優先順位等を条件として設定し、変数kに0を代入する。その後、S24に移行する。
本サービスでは、社員の操作により、提示するアクティビティ情報O1を順次、変更させるようにしている。このため、変数kは、優先順位に従って提案すべきアクティビティの選択に用いられる。
【0114】
S24では、CPU11は、社員端末3から脈波情報MS、或いは動画データを受信したか否か判定する。それらのうちの少なくとも一方を受信した場合、S24の判定はYESとなってS25に移行する。それらの何れも受信しなかった場合、S24の判定はNOとなってS27に移行する。
【0115】
S25では、CPU11は、社員端末3から受信した情報を記憶部18のバイタル情報格納部183に格納する。受信した情報が脈波情報MSであれば、その脈波情報MSはそのままバイタル情報としてバイタル情報格納部183に保存される。動画データであれば、その動画データとともに、過去に受信した動画データも参照して生成する眼球観察情報ETもバイタル情報格納部183に保存される。そのようにして、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定のためのバイタル情報が蓄積される。
次に移行するS26では、CPU11は、バイタル情報格納部183に保存されているバイタル情報を用いた分析により、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態を測定(推定)する分析測定処理を実行する。その実行後、S27に移行する。
【0116】
S27では、CPU11は、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定が終了したか否か判定する。それらの測定を行ううえで十分なバイタル情報がバイタル情報格納部183に蓄積されていた場合、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定結果が得られることになる。そのため、S27の判定はYESとなってS28に移行する。一方、十分なバイタル情報がバイタル情報格納部183に蓄積されていなかった場合、S27の判定はNOとなってS24に戻る。それにより、S28への移行は、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定結果が得られていることが条件となっている。
【0117】
S28では、CPU11は、アバター指定を受信したか否か判定する。新たにアバター指定を受信した場合、S28の判定はYESとなってS29に移行する。アバター指定を受信していない場合、S28の判定はNOとなってS31に移行する。
【0118】
S29では、CPU11は、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定結果、年月日、及び天候等を入力層に入力し、提案内容としてアクティビティを特定する。続くS30では、CPU11は、特定したアクティビティの提示のためのアクティビティ情報O2の生成、そのアクティビティ情報O2を配置した画面の生成、生成した画面を配置したWebページの生成を順次、行い、そのWebページを社員端末3に送信させる。このWebページの送信の後、S38に移行する。
【0119】
S28の判定がNOとなって移行するS31では、CPU11は、ダッシュボード指定を受信したか否か判定する。ダッシュボード指定を受信した場合、S31の判定はYESとなってS32に移行する。ダッシュボード指定を受信していない場合、S31の判定はNOとなってS33に移行する。
なお、ダッシュボード指定には、他の指定とは異なり、2軸相関グラフの縦軸、及び横軸の各指標の社員による選択結果等の情報も含まれる。それにより、管理者を含む社員は、所望の2軸相関グラフを確認できるようになっている。
【0120】
S32では、CPU11は、ダッシュボードO3を配置した画面の生成、及びその画面を配置したWebページの生成を順次、行い、そのWebページを社員端末3に送信させる。ダッシュボードO3には、
図8に一例を示すように、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定結果、及び過去に得られた各測定結果を用いた傾向解析を行って生成されるアドバイス、及びそれらを表す2軸相関グラフが含まれる。Webページの送信後は、S38に移行する。
【0121】
S33では、CPU11は、通常提案指定を受信したか否か判定する。この通常提案指定を受信した場合、S33の判定はYESとなってS34に移行する。この通常提案指定を受信していない場合、S33の判定はNOとなってS38に移行する。
このS33の判定結果は、S22の判定結果と同じとなる。しかし、フローチャート上の配置から、S33のNOの判定は、何れの指定も受信されなかったことを意味する。
【0122】
S34では、CPU11は、S23での設定に沿って、変数kの値に対応するアクティビティを選択し、選択したアクティビティの提示のためのアクティビティ情報O1を画面として配置したWebページを社員端末3に送信させる。次のS35では、CPU11は、何らかの指示を社員端末3から受信したか否か判定する。社員端末3から何らかの指示を受信した場合、S35の判定はYESとなってS36に移行する。一方、社員端末3から何の指示も受信していない場合、S35の判定はNOとなり、再度、S35の判定処理を実行する。このことから、S35の判定処理の実行により、社員端末3から何らかの指示を受信するのを待つことになる。
【0123】
S36では、CPU11は、社員端末3から受信した指示が別のアクティビティの提案を要求するための別提案要求か否か判定する。この別提案要求を受信した場合、S36の判定はYESとなってS37に移行する。別の指示を受信した場合、S36の判定はNOとなってS38に移行する。
【0124】
S37では、CPU11は、変数kの値をインクリメントする。そのインクリメントの後は、S34に移行する。それにより、社員は、別提案要求を送信させるための操作により、アクティビティ情報O1の提示により提案されるアクティビティを順次、確認することができるようになっている。
【0125】
アクティビティ情報O1が配置された画面上には、例えば別提案要求を送信させるためのボタンの他に、例えばそのアクティビティ情報O1により提案するアクティビティを社員が採用したか否かを入力するためのチェックボックスが配置されている。このチェックボックスへのチェックの有無を表す情報は、例えば別提案要求とともにAPサーバ1に送信される。それにより、APサーバ1側では、アクティビティ情報O1により提案したアクティビティのうちで実際に社員が採用したアクティビティを特定できるようになっている。社員が複数のWebページでチェックを入力した場合、最後にチェックを入力したWebページで提案されているアクティビティが採用されたアクティビティとされる。採用されたアクティビティは、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の各測定結果等とともに、提案結果として提案結果保存部184に保存される。
図4に一例を示す機能構成では、社員が採用したアクティビティの特定は、第1提案部117によって行われる。
【0126】
S38では、CPU11は、終了指示を社員端末3から受信したか否か判定する。この終了指示を受信した場合、S38の判定はYESとなり、ここで分析結果提示処理が終了する。このとき、アクティビティ情報O1が提示され、提示されたアクティビティ情報O1により提案されたアクティビティのうちで社員が採用したアクティビティが存在する場合、提案結果が提案結果保存部184に保存される。別提案要求、及び終了指示以外の指示を受信したか、或いは何の指示も受信していない場合、S38の判定はNOとなって上記S22に戻る。
【0127】
S38からS22に移行した場合、何の指示も受信していなければ、S22、S28、S31、及びS33の判定結果は全てNOとなり、且つS27の判定はYESとなる。このため、分析結果提示処理の実行中は、例えばダッシュボード指定の状態からの通常提案指定、或いはその逆等のように、別の指定が可能となっている。別の指定が行われた場合、ストレスの大きさ、及び脳の活動状態の最新の各測定結果を用いて、指定された情報の提示が行われることとなる。
【0128】
このように、分析結果提示処理では、各種指定に対応できるだけでなく、提示させる情報の切り換えにも対応できるようになっている。それにより、社員は、ヘルスケア用アプリケーションが実行されている社員端末3で各種情報を随時、確認することができる。
【0129】
なお、本実施形態では、社員端末3に単に顔の動画撮影を行わせるようにしているが、眼球の動きを必要とする動画、例えばゲーム、或いはテスト等のため動画を表示させ、動画撮影を行うようにしても良い。或いはネットショッピング等の各種情報の確認を必要とする状況を認識し、動画撮影を行うようにしても良い。そのような動画撮影を行うようにした場合、より適切な眼球観察情報ETが得られると期待できる。
【0130】
また、本実施形態では、顧客情報をアクティビティの提案に用いているが、顧客情報を用いることなく、アクティビティを提案するようにしても良い。提案したアクティビティのうちから対象者が採用した結果を保存し、保存した結果を、新たに提案するアクティビティの特定に反映させるようにしても良い。このことから、第1提案部117にも学習させ、適切なアクティビティを提案できる精度をより高くさせるようにしても良い。これは、顧客情報を用いるか否かに関わらず、行うようにしても良いものである。
【0131】
自律神経の状態を表す指標として、ストレスの大きさを分析し測定するようにしていが、指標は、別のものであっても良い。自律神経の状態の測定に用いる情報も、脈波情報MSに限定されない。別の種類の情報であっても良く、複数種類の情報を用いるようにしても良い。
【0132】
脳の活動状態の測定も、眼球観察情報ETとは異なる情報を用いて行っても良い。眼球観察情報ETに別の1つ以上の種類の情報を組み合わせ、脳の活動状態を測定するようにしても良い。眼球観察情報ETは、上記のように、脳の活動状態を表す情報として優れていることから、眼球観察情報ETを用いるのが望ましい。眼球観察情報ET、及び1つ以上の種類の情報から生成するバイタル情報を脳の活動状態の測定に用いても良い。
【符号の説明】
【0133】
1 APサーバ、3 社員端末、4 スマートウォッチ、5 管理者端末、11 CPU、18 記憶部、19 通信部、30 SoC、31 カメラ、32 フラッシュメモリ、34 タッチパネル、36、37 通信モジュール、111 顧客登録部、112 認証部、113 活動情報取得部、114 バイタル情報取得部、115 自律神経分析部、116 脳状態測定部、117 第1提案部、118 第2提案部、119 画面生成部、120 アニメーション画像生成部、121 学習処理部、122 ページ生成部、181 顧客情報格納部、182 活動情報格納部、183 バイタル情報格納部、184 提案結果保存部、185 アバター情報格納部、186 背景画像情報格納部、HC ヘルスケアサービス会社、TK 提供対象企業