(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125669
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】フェルール、光コネクタおよび光コネクタモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20230831BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029902
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 亜耶乃
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036QA12
2H036QA22
2H036QA23
2H036QA56
2H137AB01
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA15
2H137BA20
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC10
2H137CA15A
2H137CA46
2H137CA51
2H137CC01
2H137CC30
2H137CD45
2H137DB09
2H137HA01
(57)【要約】
【課題】光伝送体を容易に位置合わせすることができ、かつ光伝送体が折れにくいフェルールを提供すること。
【解決手段】本発明のフェルールは、光伝送体を保持するための光伝送体保持部材と、前記光伝送体保持部材が挿入されるフェルール本体と、を有する。前記フェルール本体は、前記光伝送体保持部材を挿入される挿入部と、前記光伝送体保持部材に保持された前記光伝送体に対向するように配置された第1光学面と、前記挿入部に前記光伝送体保持部材が挿入されたときに、前記光伝送体保持部材の位置を決めるための位置決め部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送体を保持するための光伝送体保持部材と、前記光伝送体保持部材が挿入されるフェルール本体と、を有するフェルールであって、
前記フェルール本体は、
前記光伝送体保持部材が挿入される挿入部と、
前記光伝送体保持部材に保持された前記光伝送体の端面に対向するように配置された第1光学面と、
前記挿入部に前記光伝送体保持部材が挿入されたときに、前記光伝送体保持部材の位置を決めるための位置決め部と、
を有する、
フェルール。
【請求項2】
前記光伝送体保持部材は、前記位置決め部において、前記フェルール本体に圧入されている、請求項1に記載のフェルール。
【請求項3】
前記挿入部は、凹部の内面であって、
前記位置決め部は、前記挿入部における対向する2つの内面に配置された、前記挿入部の開口から前記第1光学面に向かうにつれて先細るテーパー面である、請求項1または2に記載のフェルール。
【請求項4】
前記光伝送体保持部材は、前記挿入部への挿入方向に延在する凸条または凹条を有し、
前記位置決め部は、前記挿入部の開口から前記第1光学面の方向に延在する、前記凸条または凹条に対応する形状の凹条または凸条である、請求項1に記載のフェルール。
【請求項5】
前記第1光学面は、前記挿入部への前記光伝送体保持部材の挿入方向に対して傾斜する傾斜面である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項6】
前記光伝送体保持部材が前記挿入部に挿入された状態において、前記光伝送体保持部材に保持された前記光伝送体の端面と前記第1光学面との間の空間と、外部とを連通する接着剤導入部を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項7】
前記接着剤導入部は、前記挿入部の内面に配置された凹部を含む、請求項6に記載のフェルール。
【請求項8】
前記接着剤導入部は、前記フェルール本体に配置された貫通孔を含む、請求項6に記載のフェルール。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフェルールと、
前記光伝送体保持部材に保持された光伝送体と、
を有する、光コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の光コネクタを含む、
光コネクタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルール、光コネクタおよび光コネクタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送体(例えば、光ファイバーや光導波路)が配置され、光伝送体からの光を受け入れるフェルールが知られている。フェルールは光伝送体の端部を適切な位置に配置できるように構成される。
【0003】
たとえば、特許文献1は、基板と光コネクタ(フェルール)との間に配置される光中継器を開示している。光コネクタ(フェルール)は、本体部、2本の位置決めピンおよび複数の光ファイバー孔を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるような従来のフェルールにおいて、シングルモード方式の光ファイバーを用いようとする場合、光ファイバーの端面の位置をより正確に合わせることが必要となる。また、光ファイバー孔に光ファイバーを挿入する際に光ファイバーが折れてしまうリスクがある。
【0006】
本発明の目的は、光伝送体を容易に位置合わせすることができ、かつ光伝送体が折れにくいフェルールを提供することである。また、本発明の別の目的は、上記フェルールを有する光コネクタおよび光コネクタモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフェルールは、光伝送体を保持するための光伝送体保持部材と、前記光伝送体保持部材が挿入されるフェルール本体と、を有するフェルールであって、前記フェルール本体は、前記光伝送体保持部材を挿入される挿入部と、前記光伝送体保持部材に保持された前記光伝送体の端面に対向するように配置された第1光学面と、前記挿入部に前記光伝送体保持部材が挿入されたときに、前記光伝送体保持部材の位置を決めるための位置決め部と、を有する。
【0008】
本発明の光コネクタは、上記のフェルールと、上記の光伝送体保持部材に保持された光伝送体とを有する。
【0009】
本発明の光コネクタモジュールは、上記の光コネクタを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光伝送体を容易に位置合わせすることができ、かつ光伝送体が折れにくいフェルールを提供することができる。また、本発明によれば、上記フェルールを有する光コネクタおよび光コネクタモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、実施の形態1に係る光コネクタの透過斜視図であり、
図1Bは実施の形態1に係る光コネクタの断面図である。
【
図2】
図2Aは、実施の形態1に係るフェルール本体の平面図であり、
図2Bは、底面図である。
【
図3】
図3Aは、実施の形態1に係るフェルール本体の正面図であり、
図3Bは、背面図であり、
図3Cは、左側面図であり、
図3Dは、右側面図である。
【
図4】
図4A、Bは、実施の形態1に係るフェルール本体の断面図である。
【
図5】
図5Aは、実施の形態1に係る光伝送体保持部材の斜視図であり、
図5Bは、平面図であり、
図5Cは、正面図であり、
図5Dは、右側面図である。
【
図6】
図6Aは、実施の形態2に係る光コネクタの透過斜視図であり、
図6Bは、断面図である。
【
図7】
図7Aは、実施の形態2に係るフェルール本体の背面図であり、
図7Bは断面図である。
【
図8】
図8Aは、実施の形態2に係る光伝送体保持部材の斜視図であり、
図8Bは、平面図であり、
図8Cは、正面図であり、
図8Dは右側面図である。
【
図9】
図9Aは、実施の形態3に係る光コネクタの透過斜視図であり、
図9Bは、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
(光コネクタの構成)
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る光コネクタ100の構成を示す透過斜視図であり、
図1Bは断面図である。
【0013】
図1A、Bに示されるように、本実施の形態に係る光コネクタ100は、光伝送体110と、フェルール120とを有する。フェルール120は、フェルール本体121と、光伝送体保持部材130とを有する。光伝送体保持部材130は、光伝送体110を保持する。光伝送体保持部材130は、光伝送体110を保持した状態で、フェルール本体121に挿入される。光伝送体保持部材130がフェルール本体121に挿入されると、フェルール本体121が有する位置決め部125により、光伝送体保持部材130が位置決めされ、光伝送体110の端部がフェルール本体121の第1光学面123に対して位置合わせされる。このように、本発明では、光伝送体保持部材130をフェルール本体121に挿入すると位置決め部125により光伝送体110を位置合わせすることができる。本実施の形態に係る光コネクタ100は、ハウジング、スプリングクランプ構造部などとともに、光コネクタモジュールとして使用できる。
【0014】
光伝送体110の数は、特に限定されず、単数でも複数でもよい。本実施の形態において、光伝送体110は、複数である。複数の光伝送体110は、被覆部111によって一列に束ねられてリボン状になっている。
【0015】
光伝送体110の種類は、特に限定されない。光伝送体110の種類の例には、光ファイバー、光導波路が含まれる。本実施の形態では、光伝送体110は、光ファイバーである。また、光ファイバーは、シングルモード方式でもよいし、マルチモード方式でもよい。
【0016】
(フェルールの構成)
上記のとおり、フェルール120は、フェルール本体121と、光伝送体保持部材130とを有する。フェルール120は、フェルール本体121に、光伝送体110を保持する光伝送体保持部材130を挿入した状態で使用される。また、本実施の形態では、2つの同一形状のフェルール120を組み合わせて使用されうる。具体的には、一方のフェルール120を天面を上にして配置し、他方のフェルール120を底面を上にして配置した状態で、2つのフェルール120の正面の凹凸を互いに嵌合させることで、それぞれのフェルール120に保持されている光伝送体を光学的に結合することができる。以下、フェルール本体121の構成および光伝送体保持部材130の構成を順番に説明する。
【0017】
図2Aは、本発明の実施の形態1に係るフェルール本体121の平面図であり、
図2Bは底面図である。
図3Aは、本発明の実施の形態1に係るフェルール本体121の正面図であり、
図3Bは、背面図であり、
図3Cは、左側面図であり、
図3Dは、右側面図である。
図4A、Bは、本発明の実施の形態1に係るフェルール本体121の断面図である。
図4Aは、
図3AのA-A線に沿う断面図であり、
図4Bは、
図3AのB-B線に沿う断面図である。
【0018】
なお、以下の説明では、
図3Aに示されるようにフェルール本体121を正面視および背面視したときに、フェルール本体121の底面に沿う方向を「X方向」とする。また、X方向に直交する方向を「Y方向」とする。「Y方向」は、フェルール本体121を正面視および背面視したときに、側面に沿う方向(高さ方向)である。また、「Z方向」は「X方向」および「Y方向」に直交する方向である。「Z方向」は、フェルール本体121を側面視したときに、フェルール本体121の底面に沿う方向である。本実施の形態では、複数の光伝送体110は、X方向に配列されており、Z方向に延在している。
【0019】
図2A~
図4Bに示されるように、フェルール本体121は、略直方体形状の部材である。フェルール本体121は、挿入部122と、第1光学面123と、位置決め部125とを有する。
【0020】
挿入部122は、光伝送体保持部材130が挿入される部分である。挿入部122は、フェルール本体121の背面に開口する凹部である。挿入部122の形状は、光伝送体保持部材130の形状に合わせて適宜設定されれば良い。本実施の形態では、光伝送体保持部材130の形状は略平板状(略直方体状)であり、挿入部122も略直方体状である。また、
図3Bからわかるように、挿入部122の開口部は、X方向およびY方向に延びる略矩形状である。
【0021】
図4A、Bに示されるように、第1光学面123は、光伝送体保持部材130に保持された光伝送体110の端面と対向する面である。第1光学面123は、光伝送体110の端面からの光を入射させるか、または、第1光学面123と対向する位置に配置された第2光学面124から入射した光を光伝送体110の端面に向けて出射させる面である。第1光学面123は平面でもよいし、曲面でもよい。また、第1光学面123は、挿入部122への光伝送体保持部材130の挿入方向(Z方向)に対して傾斜する傾斜面であってもよい。このように第1光学面123が傾斜面であることで、光伝送体110からの光が第1光学面123で反射して光伝送体110に戻ることが抑制される。なお、本発明において、光伝送体110の端面の挿入方向(Z方向)の位置は、光伝送体110が第1光学面123に接触することで決められなくてもよい。本発明においては、光伝送体110のZ方向の位置は、光伝送体110を保持する光伝送体保持部材130と、フェルール本体121とによって決めることができるからである。
【0022】
第2光学面124は、第1光学面123と対向するように配置された面である。第2光学面124は第1光学面123から入射した光伝送体110からの光をフェルール本体121の外に出射させる面である。また、第2光学面124は、フェルール本体121の外部からの光をフェルール本体に入射させる面であってもよい。第2光学面124は平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態において、第2光学面124は曲面であり、より具体的には凸レンズである。
【0023】
位置決め部125は、挿入部122に光伝送体保持部材130が挿入されたときに、光伝送体保持部材130に接触してその位置を決める部分である。本実施の形態では、光伝送体保持部材130は、位置決め部125において、フェルール本体121に圧入されている。より具体的には、本実施の形態では、位置決め部125は、挿入部122の内面において、挿入部122の開口から第1光学面123に向かうにつれて先細るテーパー面である(
図4A、B参照)。テーパー面に位置決め部が配置されていることで、挿入部122に光伝送体保持部材130が徐々に挿入する際に、両者の間のクリアランスが徐々に小さくなり、最後には光伝送体保持部材130と位置決め部125とが接触して、光伝送体保持部材130が位置決めされる(
図1A、B参照)。接触する範囲、位置(位置決め部125の範囲、位置)などは適宜設定されれば良い。
図4Aおよび
図4Bでは傾斜角度が小さいためわかりにくいが、本実施の形態においては、位置決め部125として機能するテーパー面は、少なくとも、挿入部122の最奧部近傍に配置されている。
【0024】
位置決め部125は、
図4Aに示されるように、XZ平面で断面視したときに、挿入部122の内面において、X方向において対向するように配置されることが好ましい。このようにすることで、光伝送体保持部材130のX方向の位置を決めやすくなる。
【0025】
また、位置決め部125は、
図4Bに示されるように、YZ平面で断面視したときに、挿入部122の内面において、Y方向において対向するように配置されることが好ましい。このようにすることで、光伝送体保持部材130のY方向の位置を決めやすくなる。
【0026】
図5Aは、光伝送体保持部材130の斜視図であり、
図5Bは平面図であり、
図5Cは正面図であり、
図5Dは右側面図である。
図5A~Dでは、光伝送体保持部材130が光伝送体110を保持している状態を示している。本実施の形態において、光伝送体保持部材130は、複数の貫通孔を有しており、この貫通孔に光伝送体110が挿入されることで光伝送体110を保持する。
【0027】
図5A、Bに示されるように、光伝送体保持部材130は略平板状(略直方体状)である。光伝送体保持部材130の形状は、フェルール本体121の挿入部122に挿入されたときに、位置決め部125により適切な位置に位置決めされるように構成されている限り特に制限されない。具体的には、光伝送体保持部材130の形状は、位置決め部125と接触する部分を有するように構成されていればよい。
【0028】
光伝送体保持部材130において光伝送体保持部材130の位置決め部125と接触する面は、テーパー面であってもよいしテーパー面でなくてもよい。具体的には、光伝送体保持部材130を平面視したときに、左右の側面は、平行であってもよいし、挿入部122の開口から第1光学面123に向かうにつれて先細るように構成されていてもよい。また、光伝送体保持部材130を側面視したときに、上下の側面が平行であってもよいし、挿入部122の開口から第1光学面123に向かうにつれて先細るように構成されていてもよい。
【0029】
(効果)
本実施の形態に係るフェルール120によれば、光伝送体110は、光伝送体保持部材130により保持された状態でフェルール本体121に挿入されるため、第1光学面123に対して光伝送体110の端面を位置決めする際に折れにくい。また、位置決め部125としてのテーパー面により光伝送体110を保持する光伝送体保持部材130が適切な位置に容易に配置される。これにより、第1光学面123に対して光伝送体110の端面の位置を容易に決めることができる。
【0030】
[実施の形態2]
(光コネクタおよびフェルールの構成)
図6Aは、本発明の実施の形態2に係る光コネクタ200の構成を示す透過斜視図であり、
図6Bは断面図である。
図7Aは、実施の形態2に係るフェルール本体221の背面図であり、
図7Bは、
図7AのB-B線に沿う断面図である。
図8Aは、実施の形態2に係るフェルール本体221に挿入される光伝送体保持部材230の斜視図であり、
図8Bは平面図であり、
図8Cは正面図であり、
図8Dは右側面図である。実施の形態2において、実施の形態1と同様の部材については同様の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
フェルール本体221は、
図7A、Bに示されるように、位置決め部として、挿入部222への挿入方向(Z方向)に延在する凹条223を有する点で実施の形態1に係るフェルール本体121と異なる。また、光伝送体保持部材230は、上記の凹条223とともに光伝送体保持部材230の位置を決めるための凸条231を有する。凸条231は、挿入部222への挿入方向(Z方向)に延在する。本実施の形態において、凹条223と凸条231とは嵌合して光伝送体保持部材230の位置を決める。
【0032】
上記では、フェルール本体221が凹条223を有し、光伝送体保持部材230が凸条231を有する例を説明したが、フェルール本体221が凸条を有し、光伝送体保持部材230が凹条を有していてもよい。
【0033】
(効果)
実施の形態2に係るフェルール220によれば、光伝送体110は、光伝送体保持部材230により保持された状態でフェルール本体221に挿入されるため、第1光学面123に対して光伝送体110の端面を位置決めする際に折れにくい。また、凸条と凹条とによって光伝送体110を保持する光伝送体保持部材130が適切な位置に容易に配置される。これにより、第1光学面123に対して光伝送体110の端面の位置を容易に決めることができる。
【0034】
[実施の形態3]
図9Aは、本発明の実施の形態3に係る光コネクタ300の構成を示す透過斜視図であり、
図9Bは断面図である。光コネクタ300およびフェルール320において、光コネクタ100およびフェルール120と同様の構成については同様の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
フェルール320は、光伝送体保持部材130が挿入部122に挿入された状態において、光伝送体110の端面と第1光学面123との間の空間と、外部とを連通する接着剤導入部322を有する。
図9A、Bにおいては、接着剤導入部322は、フェルール本体321に設けられた、挿入部122とフェルール本体321の外部とを連通させる貫通孔である。
図9A、Bに示される例では、貫通孔である接着剤導入部322から光透過性の接着剤を導入することで、光伝送体110の端面と第1光学面123との間を接着剤で充填しつつ、光伝送体保持部材130をフェルール本体321に対して固定することができる。
【0036】
貫通孔はフェルール本体321の表側に開口するように設けられていてもよいし、フェルール本体321の裏側に開口するように設けられていてもよい。本実施の形態においては、貫通孔は、フェルール本体321の表側に開口している。
【0037】
図10A、Bは、接着剤導入部322の他の例を示す図である。
図10A、Bは光伝送体保持部材130が挿入された状態のフェルール本体321の背面図である。接着剤導入部322は、
図10A、Bに示されるように、挿入部122の内面に配置された凹部であってもよい。この凹部により、光伝送体保持部材130の側面と挿入部122の内面との間に空間が形成される。このような空間であれば、接着剤を導入することができるので、接着剤導入部322として機能させることができる。
【0038】
図10Aに示される接着剤導入部322は、フェルール本体321の挿入部122の内面のうちX方向の両端部に配置された2つの凹条である。これらの凹条は、光伝送体保持部材の挿入方向(Z方向)に延在している。
【0039】
図10Bに示される接着剤導入部322は、フェルール本体321の挿入部122の内面のうち天面および底面に設けられた4つの凹条である。
【0040】
(効果)
実施の形態3に係るフェルール320によれば、実施の形態1に係るフェルール120の効果に加えて、接着剤を用いて光伝送体保持部材130をフェルール本体321に容易に固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るフェルールは、光伝送体が折れることを防ぎつつ光伝送体を容易に位置合わせできるため、光伝送体を用いた光通信を高精度に行うために有用である。
【符号の説明】
【0042】
100、200、300 光コネクタ
110 光伝送体
111 被覆部
120、220、320 フェルール
121、221、321 フェルール本体
122、222 挿入部
123 第1光学面
124 第2光学面
125 位置決め部
130、230 光伝送体保持部材
223 凹条
231 凸条
322 接着剤導入部