(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012567
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】タイヤコード製織装置
(51)【国際特許分類】
D03D 47/48 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
D03D47/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116035
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 佑治
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA11
4L050AA14
4L050CA25
4L050CB29
4L050CB30
4L050CC02
(57)【要約】
【課題】スダレ織り部を含むタイヤコード織布を製織する織機であってタックイン装置を備える織機を含むタイヤコード製織装置において、スダレ織り部におけるタック部分(タックインされた緯糸の端部)の形状を可及的に所望の形状に近づけることができる構成を提供する。
【解決手段】タイヤコード製織装置は、タック部分の経糸方向への移動を規制する規制装置を備えている。その規制装置は、タック部分と係合してタック部分の移動を規制する規制部材、その規制部材を係合位置と待機位置との間で進退駆動する駆動装置、及びその駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリールから引き出される経糸を用いてスダレ織り部を含むタイヤコード織布を製織する織機であって緯入れされた緯糸の端部を経糸開口内へタックインするタックイン装置を備える織機と、前記織機に対する下流側でタイヤコード織布を巻き取る巻取装置とを備えるタイヤコード製織装置において、
スダレ織り部の製織中にタックインされた緯糸の前記端部であるタック部分の経糸方向への移動を規制する規制装置を備え、
前記規制装置は、織幅方向に関し前記タック部分と係合し得る位置であって経糸方向に関し前記タックイン装置と前記巻取装置との間の位置でタイヤコード織布に対向するように設けられる規制部材と、タイヤコード織布に対し係合する係合位置と離間した待機位置との間で前記規制部材を進退駆動する駆動装置と、各前記タック部分に係合させるように前記規制部材を前記係合位置へ向けて進出させると共に後続の緯糸が前記規制部材の位置に達する以前に前記規制部材を前記待機位置へ向けて後退させるように前記駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置とを備える
ことを特徴とするタイヤコード製織装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリールから引き出される経糸を用いてスダレ織り部を含むタイヤコード織布を製織する織機であって緯入れされた緯糸の端部を経糸開口内へタックインするタックイン装置を備える織機と、前記織機に対する下流側でタイヤコード織布を巻き取る巻取装置とを備えるタイヤコード製織装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤコード織布は、緯糸密度が非常に粗いスダレ織り部を含んでいる。そのようなタイヤコード織布を製織するためのタイヤコード製織装置は、主要な構成として、経糸を供給するクリール装置、その経糸を用いてタイヤコード織布を製織する織機、及びその織機に対する下流側でタイヤコード織布を巻き取る巻取装置を備えている。
【0003】
また、一般的なタイヤコード製織装置における織機は、緯入れされた緯糸の端部を経糸開口内へタックインする(折り返す)タックイン装置を備えている。そして、そのタックイン装置としては、特許文献1に開示されているような、空気噴射によってタックインを行う所謂エアタックイン装置が多く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タイヤコード織布におけるスダレ織り部では、品質上の観点から、タックインされた緯糸の端部(タック部分)が、大きく弧を描くかたちで折り返されたような形状を成していることが求められる。しかし、一般的なエアタックイン装置によるタックインでは、そのような所望の形状で緯糸の端部がタックインされた状態とすることができない場合がある。
【0006】
そこで、特許文献1のタイヤコード製織装置(織機)では、タック部分の形状が前記所望の形状となるように、タイヤコード織布におけるスダレ織り部の製織時とスダレ織り部以外の部分(緯糸密度が密なタビー部)の製織時とで、エアタックイン装置におけるタックインのための空気噴射を行う位置を経糸方向において異ならせるといった手法でタックインが行われている。しかし、その手法でも、製織条件等によっては、タック部分の形状が前記所望の形状にならない場合がある。
【0007】
以上のような実情を鑑み、本発明は、スダレ織り部を含むタイヤコード織布を製織する織機であってタックイン装置を備える織機を含むタイヤコード製織装置において、スダレ織り部におけるタック部分の形状を可及的に前記所望の形状に近づけることができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クリールから引き出される経糸を用いてスダレ織り部を含むタイヤコード織布を製織する織機であって緯入れされた緯糸の端部を経糸開口内へタックインするタックイン装置を備える織機と、前記織機に対する下流側でタイヤコード織布を巻き取る巻取装置とを備えるタイヤコード製織装置を前提とする。
【0009】
その上で、前記の目的を達成すべく、本発明によるタイヤコード製織装置は、スダレ織り部の製織中にタックインされた緯糸の前記端部であるタック部分の経糸方向への移動を規制する規制装置を備えている。そして、そのタイヤコード製織装置は、前記規制装置が、織幅方向に関し前記タック部分と係合し得る位置であって経糸方向に関し前記タックイン装置と前記巻取装置との間の位置でタイヤコード織布に対向するように設けられる規制部材と、タイヤコード織布に対し係合する係合位置と離間した待機位置との間で前記規制部材を進退駆動する駆動装置と、各前記タック部分に係合させるように前記規制部材を前記係合位置へ向けて進出させると共に後続の緯糸が前記規制部材の位置に達する以前に前記規制部材を前記待機位置へ向けて後退させるように前記駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるタイヤコード製織装置によれば、スダレ織り部の製織中において、前記のような位置に設けられた規制装置における規制部材が各タック部分に対し漏れなく係合するような態様で係合位置へ向けて進出される。それにより、製織の進行に伴って経糸方向に移動する直近のタック部分が規制部材に係合し、そのタック部分における規制部材と係合した部分(折り返し部分)の経糸方向への移動が規制部材によって規制された状態となる。そして、そのタック部分における前記折り返し部分が、経糸方向における位置を規制部材における係合する部分の位置に一致させた状態で、後続の緯糸に対し経糸方向において相対的に変位するかたちとなる。その結果、タック部分は、大きく弧を描くかたちで折り返されたような形状(前記所望の形状)となる。
【0011】
このように、本発明によるタイヤコード製織装置によれば、スダレ織り部のタック部分の形状を規制装置(規制部材)によって整形するため、製織条件等に関係なく、タック部分の形状を可及的に前記所望の形状に近づけることができる。なお、規制部材は、後続の緯糸が規制部材の位置に達する以前に待機位置へ向けて後退するように駆動される。それにより、後続の緯糸の姿勢を乱すような規制部材と後続の緯糸との干渉が生じることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が前提とするタイヤコード製織装置の一例を示す概略側面図。
【
図2】
図1で示す織機に備えられるタックイン装置(タックインヘッド)の平面図。
【
図3】本発明によるタイヤコード製織装置に備えられる規制装置の一例を示す側面図。
【
図5】
図3、4で示す規制装置における規制部材を進退駆動させる構成のブロック図。
【
図6】
図3、4で示す規制部材の動作を示す平面図(a)~(c)。(a)は、規制部材が待機位置に位置した状態を示す。(b)は、規制部材が係合位置に位置した状態を示す。(c)は、規制部材の各針が経糸間から抜け出た状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、
図1~6に基づき、本発明によるタイヤコード製織装置の一実施例を説明する。
【0014】
図1に示すように、タイヤコード製織装置1は、主要な構成として、経糸2を供給するクリール3、クリール3から引き出される経糸2を用いてタイヤコード織布4を製織する織機5、及び経糸2(タイヤコード織布4)の進行方向における織機5よりも下流側に設けられて製織されたタイヤコード織布4を巻き取る巻取装置6を備えている。なお、そのタイヤコード製織装置1で製織されるタイヤコード織布4は、
図2に示すように、緯糸密度が非常に粗いスダレ織り部4aと、緯糸密度が密なタビー部4bとを含んでいる。
【0015】
また、織機5は、緯入れされた緯糸7の端部を経糸開口20内へタックインする(折り返す)タックイン装置8を備えている。その上で、本実施例では、そのタックイン装置8は、空気噴射によってタックインを行う所謂エアタックイン装置である。
【0016】
そのタックイン装置8は、タックインのための空気噴射等の一連のタックイン動作を行うタックインヘッド9を主体としている。また、そのタックインヘッド9は、緯入れされた緯糸7の端部が挿入されるスリット10と、その緯糸7の端部を経糸開口20内へタックインするために圧縮空気を噴射するタックインノズル11とを有している。そして、タックインヘッド9は、タイヤコード織布4の織端の近傍で、経糸方向に関しスリット10の底面10aが織前CF付近に位置するような配置で設けられている。また、タックイン装置8は、そのタックインヘッド9に加え、緯入れされた緯糸7を切断するカッタ12を含んでいる。そして、そのカッタ12は、織幅方向に関しタックインヘッド9に対するタイヤコード織布4側とは反対の側において、タックインヘッド9に隣接させるかたちで設けられている。
【0017】
以上のようなタイヤコード製織装置1において、本発明では、そのタイヤコード製織装置は、スダレ織り部の製織中にタックインされた緯糸の端部であるタック部分の経糸方向への移動を規制する規制装置を備えている。また、その規制装置は、タック部分と係合してタック部分の移動を規制する規制部材、その規制部材を係合位置と待機位置との間で進退駆動する駆動装置、及びその駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置を備えている。その上で、本実施例は、規制装置(規制部材)がタックイン装置8の近傍に設けられた例である。
【0018】
そのような本実施例の規制装置について、以下で詳細に説明する。なお、本実施例では、規制装置は、織幅方向に関し、タイヤコード織布4の両側、すなわち、給糸側及び反給糸側の両方に設けられている。そして、給糸側の規制装置と反給糸側の規制装置とは、織幅方向に関し対称的に配置されていること以外は同じ構成となっている。そこで、以下では、その一方(図示の例は反給糸側)のみについて説明し、他方についての説明は省略する。
【0019】
図3、4に示す規制装置30において、駆動装置40は、本実施例では複動式のエアシリンダを主体として構成されており、その複動式エアシリンダの構成要素として、ピストン(図示略)を収容するシリンダ本体41と、そのピストンに連結されたピストンロッド42とを含んでいる。なお、本実施例では、シリンダ本体41は、外形が略直方体状を成すように形成されている。
【0020】
そして、駆動装置40は、織機5上で織幅方向に延在するように設けられたテンプルバー13に支持されるかたちで、織機5上に設けられている。なお、そのテンプルバー13上には、駆動装置40を支持するための支持構造体50が設置されている。その上で、駆動装置40は、その支持構造体50に取り付けられており、その支持構造体50を介してテンプルバー13に対し支持されている。
【0021】
その支持構造体50は、テンプルバー13に取り付けられる取付部51と、取付部51に取り付けられると共に駆動装置40が取り付けられる支持部54とで構成されている。
【0022】
その支持構造体50について、取付部51は、テンプルバー13上に載置される取付ブラケット52と、その取付ブラケット52をテンプルバー13に対し固定された状態とするための止め部材53とから成っている。また、取付ブラケット52は、テンプルバー13上に設けられる略直方体状の部分である載置部52aと、その載置部52a上に設けられる部分であって支持部54が取り付けられる部分である立設部52bとで構成されている。
【0023】
その取付ブラケット52について、載置部52aは、概観的に略直方体を成すように形成されると共に、その底面においてテンプルバー13の上面及び織前CF側を向く一方の側面に当接した状態でテンプルバー13に対し係合するように、その底面がテンプルバー13の形状に応じた段部を有するかたちに形成されている。また、載置部52aは、その底面において前記のようにテンプルバー13に係合した状態で、前後方向(経糸方向)に関し、その織前CF側を向く面(前面)とは反対側の面(後面)の位置が、テンプルバー13における前記一方の側面とは反対側を向く他方の側面の位置と略一致するような大きさに形成されている。
【0024】
そして、取付ブラケット52は、その載置部52aと止め部材53とでテンプルバー13を挟み込んだ状態として載置部52aをテンプルバー13に固定された状態とすることで、テンプルバー13に固定される。
【0025】
具体的には、概観的に略台形状を成す止め部材53には、その正面から見た中央部に、ネジ部材530を挿通可能な貫通孔(図示略)が形成されている。一方、載置部52aにおける前記後面には、その底面よりに雌ネジ孔(図示略)が形成されている。その上で、載置部52aを前記のように底面においてテンプルバー13に係合させると共に、止め部材53をテンプルバー13の前記他方の側面及び載置部52aの前記後面に当接した状態とし、止め部材53に挿通させたネジ部材530を載置部52aに螺挿する。そして、そのネジ部材530を締め付けることで、載置部52aがテンプルバー13に固定された状態となり、延いては、取付ブラケット52がテンプルバー13に対し固定された状態となる。
【0026】
また、その載置部52a上に設けられる立設部52bは、支持部54が取り付けられる平面状の取付面を側面として有しており、図示の構成では、全体として略直方体状を成すように形成されている。そして、立設部52bは、その取付面となる側面が経糸方向と平行を成すと共に載置部52aの上面と直交するようなかたちで、載置部52a上に設けられている。なお、この例では、載置部52aと立設部52bとは、一体に形成されている。
【0027】
また、そのように形成される取付ブラケット52について、載置部52aは、取付ブラケット52(載置部52a)がテンプルバー13に固定された状態で、その上面がタイヤコード織布4の下方に位置するような大きさとなっている。また、立設部52bは、その状態の載置部52a上で、上下方向に関し、前記取付面における上側の支持部54が取り付けられる部分(上側部分)がタイヤコード織布4よりも上方に位置するような大きさを有している。
【0028】
その上で、取付ブラケット52は、織幅方向に関し、その立設部52bがタイヤコード織布4の織端の近傍(図示の例ではタックインヘッド9の位置と略一致する位置)に位置するように、テンプルバー13上に配置される。なお、その取付ブラケット52は、そのように配置された状態で、織幅方向に関し、前記取付面をタイヤコード織布4側へ向けた状態となっている。
【0029】
また、支持部54は、取付ブラケット52における立設部52bの前記取付面に取り付けられる支持ブラケット55と、支持ブラケット55に取り付けられる支持ステー56とを含むように構成されている。さらに、支持部54は、支持ステー56に対し駆動装置40を取り付けるための板状の支持板57を含んでいる。
【0030】
その支持部54について、支持ブラケット55は、略直方体状を成す部材であり、取付ブラケット52(立設部52b)における前記取付面(前記上側部分)に取り付けられる被取付面となる側面が矩形状を成すように形成されている。なお、その被取付面の長辺方向における寸法は、前記のように取付ブラケット52がテンプルバー13上に配置された状態における前記取付面(前記上側部分)の経糸方向の寸法よりも大きいものとなっている。
【0031】
そして、支持ブラケット55は、前記被取付面の短辺方向を上下方向と一致させるかたちで、取付ブラケット52の立設部52bの前記取付面における前記上側部分に対し取り付けられている。
【0032】
具体的には、支持ブラケット55には、立設部52bに対し取り付けられるためのネジ部材550が挿通される貫通孔(図示略)が、前記被取付面に開口するように形成されている。なお、その貫通孔は、前記被取付面の長辺方向における一端側の部分において、前記被取付面の短辺方向に間隔を置いて2つ形成されている。また、立設部52bの前記取付面における前記上側部分には、2つの雌ネジ孔(図示略)が、取付ブラケット52がテンプルバー13上に配置された状態における上下方向に関し、支持ブラケット55における2つの前記貫通孔の間隔と同じ間隔を置いて形成されている。その上で、支持ブラケット55は、挿通された2つのネジ部材550、550が立設部52bに螺挿されることで、その立設部52bに対し取り付けられている。
【0033】
但し、その取り付けは、経糸方向に関し、支持ブラケット55の前記被取付面の長辺方向における前記一端側の端縁を、前記のように取付ブラケット52がテンプルバー13上に配置された状態で織前CF側とは反対側を向く立設部52bの側面の位置と略一致させるかたちで行われる。したがって、支持ブラケット55は、前記のように立設部52bに取り付けられた状態で、経糸方向に関し、その他端側の部分が立設部52bよりも織前CF側に突出した状態となる。
【0034】
また、支持ステー56は、板材をL字形に屈曲させたようなかたちに形成されている。そして、支持ステー56は、その屈曲部よりも一端側の部分において、前記のように取付ブラケット52に取り付けられた状態の支持ブラケット55における上面に対し取り付けられている。
【0035】
具体的には、支持ステー56における前記一端側の部分には、支持ステー56を支持ブラケット55に対し取り付けるためのネジ部材560が挿通される貫通孔(図示略)が形成されている。また、支持ブラケット55における前記上面には、雌ネジ孔(図示略)が形成されている。その上で、支持ステー56は、その前記一端側の部分に挿通されたネジ部材560が支持ブラケット55に螺挿されることで、支持ブラケット55に対し取り付けられている。
【0036】
また、その取り付けは、経糸方向に関し、支持ステー56における前記他端側の部分の外側面を織前CF(タックインヘッド9)側へ向けるかたちで行われている。なお、そのように支持ステー56が取り付けられる支持ブラケット55の前記上面には、支持ステー56の前記一端側の部分における側面と係合して支持ステー56の姿勢(前記他端側の外側面の向き)を規制する規制部(図示略)が設けられている。そして、支持ステー56は、その規制部に係合した状態(姿勢が規制された状態)で、支持ブラケット55に取り付けられている。
【0037】
また、そのように支持ステー56が支持ブラケット55に取り付けられた状態において、その支持ステー56における前記他端側の外側面は、織幅方向と平行を成している。さらに、その支持ステー56の支持ブラケット55に対する取り付け位置は、経糸方向に関し、支持ステー56における前記他端側の外側面の位置と支持ブラケット55における織前CF(タックインヘッド9)側を向く側面の位置とが略一致するような位置となっている。
【0038】
また、そのような支持ブラケット55及び支持ステー56を含むように構成された支持部54は、前記のように板状の支持板57も含んでいる。その上で、駆動装置40は、その支持板57を介して支持ステー56に対し取り付けられ、それによって支持部54(支持構造体50)に支持されている。
【0039】
その駆動装置40は、前記のように外形が略直方体状を成すシリンダ本体41を含むと共に、そのシリンダ本体41が、駆動装置40(シリンダ本体41)を支持ステー56に対し取り付けられた状態とするための板状のプレート部41aを有している。また、そのプレート部41aは、シリンダ本体41における4つの側面のうちの1つから突出するように形成されている。但し、そのプレート部41aは、自身が突出するシリンダ本体41における側面と直交する両端面の一方であって駆動装置40の取り付け時に支持ステー56側とされる端面である取付面が、ピストンロッド42の軸線方向と平行を成すように形成されている。
【0040】
その上で、駆動装置40は、支持ステー56における前記他端側の外側面に対し、支持板57を介装した状態で、そのシリンダ本体41におけるプレート部41aにおいて取り付けられる。なお、その取り付けは、駆動装置40(シリンダ本体41のプレート部41a)を支持板57に対し2つのネジ部材410、410で固定すると共に、その支持板57を支持ステー56に対し2つのネジ部材570、570で固定するかたちで行われる。
【0041】
また、前記のように支持ステー56(テンプルバー13上の支持構造体50における支持部54)に対し取り付けられた駆動装置40におけるピストンロッド42には、規制部材60が取り付けられている。その規制部材60は、ピストンロッド42に対し取り付けられる基部61と、タック部分7aと係合する係合部62とで構成されている。
【0042】
その規制部材60について、基部61は、板状に形成されており、その板厚方向に見て板面が矩形状を成すものとなっている。また、その前記板面の短辺方向における基部61の寸法は、タック部分7aにおける折り返し部分7a1の長さよりも大きいものとなっている。また、基部61は、前記板面の長辺方向における両側面の一方に開口するかたちで形成された雌ネジ孔61aを有している。なお、その雌ネジ孔61aは、規制部材60をピストンロッド42に対し取り付けるための孔である。
【0043】
また、係合部62は、複数(図示の例では7つ)の針状の部分(針)63で構成されている。そして、その係合部62を構成する各針63は、前記板面の長辺方向における基部61の両側面の他方から突出させるかたちで設けられている。但し、その複数の針63は、前記板面の短辺方向において、経糸2の間隔と同じ間隔で、等間隔に並ぶように設けられている。
【0044】
そして、前記のような基部61と係合部62とで構成された規制部材60が、前述のように駆動装置40におけるピストンロッド42に対し取り付けられている。なお、そのピストンロッド42における先端部の外周面には雄ネジが形成されており、そのピストンロッド42に対する規制部材60の取り付けは、ピストンロッド42の先端部を規制部材60の基部61における雌ネジ孔61aに螺挿させるかたちで行われる。
【0045】
なお、規制部材60における基部61には、前記一方の側面(雌ネジ孔61aが開口する面)から突出するようなかたちで、丸棒状のガイドピン64が設けられている。一方、駆動装置40のシリンダ本体41におけるプレート部41a側とは反対側の側面には、ガイドピン64が摺動可能に挿通されるガイド孔41cを有するガイド部41bが設けられている。そして、規制部材60は、前記のようにピストンロッド42に対し取り付けられた状態では、そのガイドピン64が駆動装置40(シリンダ本体41)におけるガイド部41b(ガイド孔41c)に挿通された状態となっている。
【0046】
それにより、規制部材60は、その取り付け状態において、ピストンロッド42の軸線周りにおける基部61の前記板面の姿勢が規制された状態で、より詳しくは、前記板面がシリンダ本体41におけるプレート部41aの前記取付面と平行を成す姿勢に規制された状態で、駆動装置40に支持されている。そして、そのように規制部材60を支持する駆動装置40が前記のように支持構造体50(支持ステー56)に取り付けられる結果として、規制部材60は、前述のように基部61の前記板面の短辺方向に並設された複数の針63の並び方向を織幅方向と一致させて設けられた状態となっている。
【0047】
また、そのように設けられた規制部材60の配置について、織幅方向に関しては、規制部材60は、タック部分7aにおける折り返し部分7a1と係合し得る位置に配置されている(
図6)。言い換えれば、その規制部材60を支持する駆動装置40が取り付けられる支持構造体50(取付ブラケット52)は、テンプルバー13上において、規制部材60がそのように配置されるような位置でテンプルバー13に対し取り付けられている。また、経糸方向に関しては、規制部材60は、タックインヘッド9に対するテンプルバー13側で、タックインヘッド9の近傍に位置するように配置されている(
図3)。言い換えれば、テンプルバー13に固定されるかたちで設けられる支持構造体50は、そのような規制部材60の配置が成されるように構成されている。
【0048】
さらに、上下方向に関しては、規制部材60は、ピストンロッド42が最も進出した状態でその係合部62における各針63がタイヤコード織布4における経糸2間に挿入された状態となるような位置に配置されている(
図3、4)。なお、そのように各針63が経糸2間に挿入された状態での上下方向における規制部材60の位置が、本発明で言う「係合位置」に相当する。
【0049】
そして、規制部材60は、前記のように配置されることで、上下方向に関し、タイヤコード織布4に対し係合する前記係合位置と離間する待機位置との間で駆動装置40により進退駆動される。そこで、規制装置30は、駆動装置40の駆動を制御する駆動制御装置70を備えている。また、駆動装置40は、複動式エアシリンダにおけるピストンロッド42を動作させるための圧縮空気の供給、排出を切り換える4方向切換弁43を含んでいる。なお、その4方向切換弁43は、電磁弁である。そして、駆動制御装置70は、その駆動装置40における4方向切換弁43の作動を制御するものとなっている(
図5)。
【0050】
より詳しくは、4方向切換弁43は、
図5に示すように、空気供給源(図示略)とシリンダ本体41との間に介装されており、シリンダ本体41内の往動側の作動圧室及び複動側の作動圧室の一方(他方)へ圧縮空気が供給されると共に他方(一方)から圧縮空気が排出されるように、その作動状態が切り換えられるものとなっている。それにより、その4方向切換弁43を含む駆動装置40においては、往動側の作動圧室に圧縮空気が供給される(複動側の作動圧室から圧縮空気が排出される)ことでピストンロッド42が進出駆動され、複動側の作動圧室に圧縮空気が供給される(往動側の作動圧室から圧縮空気が排出される)ことでピストンロッド42が後退駆動されるようになっている。
【0051】
そして、駆動制御装置70は、前記タックイン動作等との関係で予め設定されたタイミングで、そのピストンロッド42が進退駆動されるように駆動装置40における4方向切換弁43の作動状態を制御する。そこで、駆動制御装置70は、その4方向切換弁43を作動させる作動タイミングの設定値を記憶する記憶器71と、その設定値に従って4方向切換弁43の作動を制御するための駆動制御器72とを含んでいる。
【0052】
その記憶器71には、前記作動タイミングとして、ピストンロッド42の進出駆動を開始するタイミング(進出タイミング)の設定値と、ピストンロッド42の後退駆動を開始するタイミング(後退タイミング)の設定値とが記憶される。なお、記憶器71には、製織条件等の設定値を入力設定するための入力設定器14が接続されており、これらの設定値は、その入力設定器14において入力設定され、記憶器71において記憶される。また、それらの設定値は、クランク角度(織機5の主軸15の回転角度)で設定される。
【0053】
その各設定値について、前記進出タイミングの設定値は、タックインされた緯糸7のタック部分7aにおける折り返し部分7a1が経糸方向における規制部材60の位置(規制位置)に達する時点(本実施例では、概ねクランク角度230°)よりも前に、規制部材60が上下方向に関し前記係合位置に位置した状態(その各針63が経糸2間に挿入された状態)となるようにピストンロッド42の進出駆動が開始されるタイミングとされる。但し、その前記進出タイミングは、規制する折り返し部分7a1を含む緯糸7におけるタック部分7a以外の部分(主緯糸部分)7bが前記規制位置を通過する(その位置に達する)時点(本実施例では、クランク角度30°付近)よりも後に、各針63が経糸2間に挿入するようなタイミングとされる。そこで、本実施例では、前記進出タイミングの設定値は、クランク角度130°で規制部材60が上下方向に関し前記係合位置に位置した状態となるように、クランク角度90°に設定されているものとする。
【0054】
また、前記後退タイミングの設定値は、後続の緯糸7が前記規制位置に達する時点(クランク角度30°付近)よりも前に、規制部材60の各針63が経糸2間から抜け出た状態となるようにピストンロッド42の後退駆動が開始されるタイミングとされる。そこで、本実施例では、前記後退タイミングの設定値は、クランク角度350°でそのように各針63が経糸2間から抜け出た状態となるように、クランク角度330°に設定されているものとする。
【0055】
駆動制御器72は、前記の記憶器71が接続されると共に、4方向切換弁43、エンコーダEN、及び織機制御装置16に接続されている。なお、エンコーダENは、主軸15に連結され、その主軸15の回転角度(クランク角度)を検出すると共に、検出したクランク角度を示す角度信号θを出力するものである。また、織機制御装置16は、入力設定器14によって設定された製織条件、エンコーダENからの角度信号θ等に基づき、タイヤコード織布4における各製織部分(スダレ織り部4a、タビー部4b)の製織が順次行われるように、織機5上の各装置の駆動を制御するための指令信号等を出力するものである。
【0056】
そして、織機制御装置16は、スダレ織り部4aの製織時には、製織部分がスダレ織り部4aであることを示す識別信号Sを駆動制御器72に対し出力するように構成されている。なお、その製織部分の切り換わりは、クランク角度0°(タビー部4bの製織で最後に緯入れされた緯糸7が筬打ちされる時点)で行われるものとする。
【0057】
但し、識別番号Sは、その切り換わり時点から直ぐに出力されるのではなく、そのスダレ織り部4aの製織に切り換わった後の3回目の製織サイクルが開始される時点から出力される。詳しくは、本実施例では、スダレ織り部4aの製織中において緯入れされた緯糸7における主緯糸部分7bは、前記規制位置と製織速度との関係で、その緯糸7に対するタックインが行われる製織サイクル(緯入れされた次の製織サイクル)の次の製織サイクル(次々の(3回目の)製織サイクル)において、前記規制位置に達する。そこで、織機制御装置16は、スダレ織り部4aの製織に切り換わった後において、最初に緯入れされた緯糸7が前記規制位置に達する3回目の製織サイクルの開始時点から前記した識別信号Sの出力を開始するように構成されている。
【0058】
その上で、駆動制御器72は、織機制御装置16から出力された識別信号Sが入力されている状態で、エンコーダENからの角度信号θに基づき、4方向切換弁43の作動を制御するように構成されている。より詳しくは、駆動制御器72は、織機制御装置16からの識別信号S1が入力されている状態でのみエンコーダENからの角度信号θで示されるクランク角度と記憶器71に記憶された前記のタイミングに関する設定値とを比較する比較器(図示略)が内蔵されているものとする。そして、駆動制御器72は、その比較器による比較結果に基づき、4方向切換弁43の作動状態を切り換えるように構成されている。
【0059】
具体的には、駆動制御器72は、前記比較器による比較においてクランク角度が前記進出タイミングの設定値と一致した時点で、4方向切換弁43がシリンダ本体41内の往動側の作動圧室へ圧縮空気が供給されると共に複動側の作動圧室から圧縮空気が排出されるような作動状態となるように、4方向切換弁43を駆動するものとなっている。また、駆動制御器72は、前記比較においてクランク角度が前記後退タイミングの設定値と一致した時点で、4方向切換弁43がシリンダ本体41内の複動側の作動圧室へ圧縮空気が供給されると共に往動側の作動圧室から圧縮空気が排出されるような作動状態となるように、4方向切換弁43を駆動するものとなっている。
【0060】
そして、以上のような規制装置30が設けられたタイヤコード製織装置1(織機5)においては、前記のように駆動制御装置70(駆動制御器72)によって駆動装置40の駆動(4方向切換弁43の作動)が制御されることにより、スダレ織り部4aの製織中に、経糸方向に関し、各タック部分7aにおける折り返し部分7a1の移動が規制部材60によって規制される。
【0061】
より詳しくは、スダレ織り部4aの製織中においては、緯入れされた緯糸7は、筬打ちされた後、後続の緯糸7が緯入れされる経糸開口20内にその端部(タック部分)7aがタックインされた状態となる(
図6(a))。なお、そのタック部分7aがタックインされた緯糸7の主緯糸部分7bは、前述のように、そのタックインが行われる製織サイクルの次の製織サイクル(前記次々の製織サイクル)において、経糸方向に関し、前記のように設けられた規制装置30における規制部材60の位置(前記規制位置)に達する。
【0062】
そして、その前記次々の製織サイクルにおいて、クランク角度が前記進出タイミング(クランク角度90°)に達すると、駆動装置40におけるピストンロッド42の進出駆動が開始される。その結果として、規制部材60は、クランク角度130°において、経糸方向に関し主緯糸部分7bとタック部分7aにおける折り返し部分7a1との間で、上下方向に関し前記係合位置に位置した状態(その係合部62における各針63が経糸2間に挿入された状態)となる。
【0063】
そして、そのように規制部材60が前記係合位置に位置した状態となると、製織の進行に伴って巻取装置6の側(巻取側)へ向けて移動する折り返し部分7a1が、前記規制位置において規制部材60における係合部62(各針63)に係合した状態となる(
図6(b))。それにより、その折り返し部分7a1は、その巻取側への移動が規制部材60によって規制された状態となる。そして、そのように巻取側への折り返し部分7a1の移動が規制された状態となる結果として、その折り返し部分7a1は、その経糸方向における位置を規制部材60における係合部62(各針63)の位置(前記規制位置)に一致させて織幅方向と平行を成す状態となる。さらに、折り返し部分7a1は、そのように織幅方向と平行を成した状態で、製織の進行に伴って巻取側へ向けて移動する後続の緯糸7に対し相対的に変位する。
【0064】
その後、クランク角度が前記後退タイミング(クランク角度330°)に達すると、駆動装置40におけるピストンロッド42の後退駆動が開始される。そして、規制部材60は、クランク角度350°で、前記のようにその各針63が経糸2間から抜け出た状態となる(
図6(c))。なお、そのように後続の緯糸7が前記規制位置に達するよりも前に規制部材60における各針63が経糸2間から抜け出た状態となることで、後続の緯糸7の姿勢を乱すような規制部材60と後続の緯糸7との干渉が生じることはない。
【0065】
そして、そのように各針63が経糸2間から抜け出た状態となることで、後続の緯糸7に対する折り返し部分7a1の相対的な変位が停止し、その折り返し部分7a1が後続の緯糸7の主緯糸部分7bの近傍で、その主緯糸部分7bに沿うように(その主緯糸部分7bと平行を成すように)位置した状態となっている。その結果として、その折り返し部分7a1を含むタック部分7aの形状は、大きく弧を描くかたちで折り返されたような所望の形状となる。
【0066】
因みに、前記のように各針63が経糸2間から抜け出た後の規制部材60は、前記次々の製織サイクルの次の製織サイクルにおけるクランク角度10°において、前記待機位置に位置した状態となり、次に進出駆動される前記進出タイミングまで前記待機位置に位置(待機)した状態となる。そして、そのような規制部材60の動作が繰り返されることで、スダレ織り部4aにおける各タック部分7aの形状が、製織条件等に関係なく、規制装置30によって前記所望の形状となるように整形される。
【0067】
なお、本発明は、以上で説明した実施例に限定されるものではなく、以下(1)~(6)のように変形させた態様(変形例)でも実施することができる。
【0068】
(1)規制部材について、前記実施例では、規制部材60は、その係合部62が経糸2間に挿入される複数の部分(挿入部)63で構成されたものとなっている。その上で、その規制部材60において、各挿入部63は、針状を成すように形成されている。しかし、本発明の規制部材において、係合部が複数の挿入部で構成される場合であっても、その各挿入部は、前記実施例のように針状を成すように形成されたものに限らない。例えば、各挿入部は、板状を成すように形成されていても良い。なお、その場合には、規制部材は、織機(タイヤコード製織装置)上に設けられた状態で各挿入部が板厚方向を織幅方向と略一致させた状態となるように構成される。
【0069】
また、規制部材における係合部が針状や板状等の挿入部で構成される場合において、その規制部材は、係合部(各挿入部)と基部とが単一の部材の部分であるように一体に形成されて構成されたものであっても良いし、係合部と基部とがそれぞれ別部材で形成されて両部材が組み合わされて構成されたものであっても良い。また、後者のように係合部と基部とを別部材で形成する場合には、両部材を異なる材質の部材とすることができるため、係合部における各挿入部を、毛材等の可撓性を有する細い部材によって形成されたものとしても良い。
【0070】
また、前記実施例では、規制部材60における係合部62は、
図6に示すように、タック部分7aの折り返し部分7a1の織幅方向における存在範囲内に複数存在する経糸2の間隙と同じ数の挿入部(針)63を備え、各前記間隙に挿入部が挿入されるような形状に形成されている。しかし、規制部材における係合部が複数の挿入部で構成される場合において、その係合部は、前記実施例のように前記間隙と同じ数の挿入部を有するように形成されたものには限られない。
【0071】
例えば、係合部は、前記間隙の数よりも少ない数の挿入部で構成され、全数よりも少ない前記間隙に挿入部が挿入されるようなものであっても良い。但し、その場合には、その係合部は、前記存在範囲内にある複数の前記間隙のうちの少なくとも両端の前記間隙に挿入部が挿入されるように形成されているのが好ましい。また、係合部は、前記間隙の数よりも多い数の挿入部で構成され、1以上の前記間隙に対し2つ以上の挿入部が挿入されるように形成されていても良い。
【0072】
また、以上で説明した例は、規制部材における係合部が経糸2間に挿入される複数の挿入部で構成され、その挿入部(係合部)において直接的にタック部分7aの折り返し部分7a1に係合するように規制部材が構成されたものとなっている。しかし、本発明において、規制部材は、そのように折り返し部分7a1に直接的に係合する挿入部によって係合部が構成されるものには限られず、係合部が、経糸2間に侵入せずに、経糸2を介して折り返し部分7a1に係合するように構成されたものであっても良い。
【0073】
具体的には、規制部材を、その取り付け状態においてタイヤコード織布4と対向する面(係合面)を係合部が有すると共に、その係合面が織幅方向において前記間隙よりも大きい寸法を有するように構成する。また、規制部材がそのように構成される場合には、前記係合位置は、製織に影響が無い範囲で係合部(前記係合面)がタイヤコード織布4に押し付けられた状態となるような位置とされる。
【0074】
そして、そのような構成によれば、規制部材が前記係合位置に位置した状態において、巻取側へ移動するタック部分7aの折り返し部分7a1が、経糸2を介して、規制部材(係合部)に係合した状態となる。なお、前記係合面については、その前記寸法が折り返し部分7a1の長さと略一致する(折り返し部分7a1の前記存在範囲に亘って存在する)ように形成されていても良いし、その前記寸法が折り返し部分7a1の長さよりも小さい(前記存在範囲よりも小さい範囲に亘って存在する)ように形成されていても良い。但し、後者のように前記係合面を形成する場合には、その前記係合面は、折り返し部分7a1の前記存在範囲内における少なくとも両端側の部分に存在するように、複数形成されるものとするのが好ましい。
【0075】
(2)規制装置における規制部材の配置について、前記実施例では、規制部材60は、経糸方向に関し、タックイン装置8(タックインヘッド9)の近傍に配置されている。しかし、本発明による規制装置において、規制部材の配置は、経糸方向(より詳しくは、タイヤコード織布4の経路に沿った方向)に関しては、タックイン装置と巻取装置との間であってタック部分7aの折り返し部分7a1と係合し得る位置であればどのような位置であっても良く、前記実施例の位置には限られない。その配置は、例えば、タイヤコード織布4の経路における織機の巻取機構よりも下流側で、その巻取機構と織機のガイドロールとの間の位置等であっても良い。
【0076】
また、上下方向における規制部材の配置については、前記実施例では、規制部材60は、タイヤコード織布4の上方に配置されている。すなわち、規制部材60は、タイヤコード織布4の厚み方向に関し、タイヤコード織布4の表面側に配置されている。しかし、そのタイヤコード織布4に対する規制部材の配置は、前記実施例のような表面側に限らず、タイヤコード織布4の裏面側であっても良い。なお、その場合、経糸方向における配置が例えば前記実施例と同じである場合には、規制部材は、タイヤコード織布4の下方に配置される(設けられる)こととなる。
【0077】
また、織幅方向に関しては、前記実施例の規制装置30は、タイヤコード織布4の両側、すなわち、給糸側及び反給糸側の両方に規制部材が設けられるものとなっている。しかし、本発明による規制装置において、規制部材は、織幅方向に関しては、前記実施例のように給糸側及び反給糸側の両方に設けられるのには限られず、反給糸側のみに設けられても良い。
【0078】
なお、そのように反給糸側にのみ規制部材を設けることについて、緯入れされた緯糸が切断されるタイミングは、一般的には、反給糸側の方が遅いタイミングとされている。何故なら、反給糸側の方が、緯入れ完了してから緯糸の張力がカッタにより切断し得る状態に安定するまでの期間が長い等のためである。そのため、反給糸側の方が、緯糸が切断されてからタックインが開始されるまでの期間が短くなっており、それに起因し、タック部分の姿勢が品質上において許容できない程度に乱れる可能性が高くなっている。一方で、給糸側については、製織条件等によっては、タックイン織物の品質に影響するようなタック部分の姿勢の乱れが生じない場合がある。
【0079】
そこで、本発明による規制装置について、製織条件等を踏まえ給糸側においてそのようなタック部分の姿勢の乱れが生じないと考えられる場合には、給糸側の規制部材は省略可能であり、その場合には、規制部材が反給糸側にのみ設けられることとなる。このように、本発明においては、規制部材は、少なくとも反給糸側に設けられていれば良い。
【0080】
(3)規制部材における係合部の経糸方向における配置について、前記実施例では、規制部材60は、その取り付け状態において経糸方向における同じ位置に係合部62が存在する(配置される)ように構成されており、規制装置30は、その規制部材60を製織サイクル毎に進退駆動する(製織サイクル毎に係合部62を対象の折り返し部分7a1に係合させる)ように構成されたものとなっている。しかし、本発明において、規制装置は、そのように構成されたものに限らず、係合部が経糸方向における複数の位置に配置され、1回の規制部材の進退駆動で係合部が複数の折り返し部分7a1に対し同時に係合するように構成されたものであっても良い。
【0081】
具体的には、例えば、規制装置を、前記実施例の規制部材60と同じように構成された規制部材を複数備えると共に、その複数の規制部材が経糸方向において緯糸7の間隔と同じ間隔を置いて並ぶかたちで設けられるように構成されたものとする。そして、そのように規制装置が構成されることにより、係合部が、経糸方向における複数の位置に配置されるものとなる。なお、そのように規制装置を複数の規制部材が備えられるものとする場合において、その規制装置は、複数の規制部材が共通の駆動装置で駆動されるように構成されていても良いし、各規制部材に対し専用の駆動装置が設けられて各規制部材がその専用の駆動装置によって駆動されるように構成されていても良い。
【0082】
また、規制部材を、複数の係合部が1つの基部に対し緯糸7の間隔と同じ間隔を置いて並ぶかたちで設けられるように構成し、その規制部材を複数の係合部が経糸方向に並ぶかたちで設けるように規制装置を構成しても良い。なお、これらのように規制装置を係合部が経糸方向における複数の位置に配置されるように構成する場合、規制部材は、製織サイクル毎にではなく、係合部の数(係合部が配置される位置の数)に応じた製織サイクル毎に進退駆動されることとなる。例えば、係合部が経糸方向における2つの位置に配置される場合には、規制部材の進退駆動は、2回の製織サイクル毎に行われることとなる。
【0083】
(4)駆動装置について、前記実施例では、駆動装置40は、複動式のエアシリンダを主体として構成されている。すなわち、前記実施例の駆動装置40における駆動源は、複動式のエアシリンダとなっている。
【0084】
しかし、本発明において、駆動装置は、そのように構成されたものに限らず、エアシリンダを用いる場合であっても、その駆動源として単動式のエアシリンダを採用したものであっても良い。また、駆動装置は、駆動源としてエアシリンダを用いたものにも限られず、駆動源としてソレノイド、リニアモータ等の直動式のアクチュエータを用いたものであっても良い。さらに、駆動装置は、そのような直動式のアクチュエータを用いたものにも限られず、駆動源として回転モータ等の回転式のアクチュエータを採用したものであっても良い。なお、そのような回転式のアクチュエータを採用する場合において、規制部材を前記実施例のように直線的に進退させる場合には、駆動装置は、そのアクチュエータの回転駆動を直動駆動に変換する機構(例えば、ラック&ピニオン機構)を備えるように構成されることとなる。
【0085】
(5)規制部材を進退させる方向について、前記実施例では、その進退方向は、上下方向(タイヤコード織布4の厚み方向)と平行を成す方向となっている。しかし、本発明において、規制部材の進退方向は、そのような方向には限られない。その方向は、例えば、織幅方向に見て、タイヤコード織布4の厚み方向に対し角度を成す方向であっても良い。なお、そのように規制部材の進退方向を傾斜させる場合には、例えば、駆動源が直動式のアクチュエータである駆動装置を、傾斜させるかたちで設ければ良い。また、規制部材は、前記実施例のように直線的に進退させるのにも限られず、軌跡が円弧を成すかたちで進退させるようにしても良い。その場合には、駆動装置を、例えば駆動源が回転式のアクチュエータであるように構成されたものとすれば良い。
【0086】
(6)本発明が前提とするタイヤコード製織装置における織機に備えられるタックイン装置について、前記実施例では、タックイン装置8は、空気噴射によってタックインを行う所謂エアタックイン装置となっている。その上で、そのタックイン装置8は、そのタックインヘッド9が織機5上に固定配置されるものとなっている。しかし、本発明が前提とするタイヤコード製織装置(織機)において、タックイン装置は、エアタックイン装置である場合であっても、そのようにタックインヘッドが固定配置されるものに限らず、タックインヘッドがタックインを行う位置と退避位置との間で経糸方向に往復運動するように構成されたものであっても良い。また、タックイン装置は、そのように空気噴射によってタックインを行うものにも限られず、ニードルによって機械的にタックインを行うものであっても良い。
【0087】
また、本発明は、以上で説明した実施例及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 タイヤコード製織装置
2 経糸
3 クリール
4 タイヤコード織布
4a スダレ織り部
4b タビー部
5 織機
6 巻取装置
7 緯糸
7a タック部分
7a1 折り返し部分
7b 主緯糸部分
8 タックイン装置
9 タックインヘッド
10 スリット
10a 底面
11 タックインノズル
12 カッタ
13 テンプルバー
14 入力設定器
15 主軸
16 織機制御装置
20 経糸開口
30 規制装置
40 駆動装置
41 シリンダ本体
41a プレート部
41b ガイド部
41c ガイド孔
410 ネジ部材
42 ピストンロッド
43 4方向切換弁(電磁弁)
50 支持構造体
51 取付部
52 取付ブラケット
52a 載置部
52b 立設部
53 止め部材
530 ネジ部材
54 支持部
55 支持ブラケット
550 ネジ部材
56 支持ステー
560 ネジ部材
57 支持板
570 ネジ部材
60 規制部材
61 基部
61a 雌ネジ孔
62 係合部
63 針
64 ガイドピン
70 駆動制御装置
71 記憶器
72 駆動制御器
CF 織前
EN エンコーダ
θ 角度信号
S 識別信号