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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125684
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029927
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】西澤 克仁
(72)【発明者】
【氏名】窪田 翔
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605DD01
5H605EC01
5H605EC05
5H605EC08
5H605EC13
5H605EC14
(57)【要約】
【課題】顧客によって異なるインターフェース需要があっても、効率良く且つ簡単に対応する。
【解決手段】ハウジング内にステータ及びロータを収容してなるブラシレスモータは、ステータの軸方向における一端側に位置し、ステータに設けられる三相のコイルを同相ごとに結線する三つのバスバーと、各々のバスバーの一端側において電気的に繋がった状態で軸方向に延設された三つの出力端子7と、ハウジング内においてバスバーの一端側に配置されるとともにハウジングに支持されるホルダ部12、及び、各々の出力端子7と電気的に接続されるとともにハウジングの外部に露出するターミナル11を有する組換え部品10と、を備える。組換え部品10は、ホルダ部12が共通であり且つターミナル11の構成が異なる複数種類が用意され、複数種類のうちの一つがハウジングに支持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にステータ及びロータを収容してなるブラシレスモータにおいて、
前記ステータの軸方向における一端側に位置し、前記ステータに設けられる三相のコイルを同相ごとに結線する三つのバスバーと、
各々の前記バスバーの前記一端側において電気的に繋がった状態で前記軸方向に延設された三つの出力端子と、
前記ハウジング内において前記バスバーの前記一端側に配置されるとともに前記ハウジングに支持されるホルダ部、及び、各々の前記出力端子と電気的に接続されるとともに前記ハウジングの外部に露出するターミナルを有する組換え部品と、を備え、
前記組換え部品は、前記ホルダ部が共通であり且つ前記ターミナルの構成が異なる複数種類が用意され、前記複数種類のうちの一つが前記ハウジングに支持される
ことを特徴とする、ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記各出力端子は、前記各バスバーから前記一端側に向かって延設され、
前記ホルダ部は、前記三つのバスバーの前記一端側に重ねられ、前記軸方向に貫設されて前記各出力端子が挿通される孔部を有する
ことを特徴とする、請求項1記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記組換え部品は、前記ターミナルにおける前記外部に露出する端部が配置されるコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、前記外部において前記ハウジングに隣接配置され、
前記三つの出力端子は、前記コネクタ部が位置する周方向位置に集まって周方向に離間して設けられている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記コネクタ部は、前記組換え部品の種類によって構成が異なる
ことを特徴とする、請求項3記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記組換え部品は、前記ホルダ部を前記一端側から覆う形状であり、且つ、前記コネクタ部の一部と一体に形成された絶縁蓋部を有する
ことを特徴とする、請求項2を引用する請求項3又は4記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハウジング内にステータ及びロータを収容してなるブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータには、外部からモータへ給電する給電装置に接続されるターミナル(導電性の端子)が設けられる。当該ターミナルは、顧客によってインターフェースの仕様が異なる場合があり、要求されるインターフェースの仕様に合わせて様々な構成に変更される。このため、モータには、顧客の仕様に合わせてターミナル構成を簡単に変更できることが要求されており、これまでもさまざまな方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ブラシホルダと別体に設けられたコネクタを、ブラシホルダの外側から押し込んでフィットさせる形状とすることで、要求される仕様に適応可能なブラシ付モータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案第202009007545号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1のように、コネクタをブラシホルダと別体の後付け可能なアタッチメントとして構成すると、モータ本体と別で取り扱われる部品が増えることとなる。言い換えれば、上述の特許文献1のようなブラシ付モータでは、顧客仕様に応じたコネクタ(ターミナル構成)の変更を可能とするために、部品の点数が一点増加してしまうことから、コストや取り扱いの観点から改善の余地がある。なお、上述のような仕様に合わせてターミナル構成を簡単に変更できるようにする要求は、ブラシレスモータにおいても同様に求められる。
【0005】
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、顧客によって異なるインターフェース需要があっても、効率良く且つ簡単に対応することができるブラシレスモータを提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここで開示するブラシレスモータは、ハウジング内にステータ及びロータを収容してなるブラシレスモータにおいて、前記ステータの軸方向における一端側に位置し、前記ステータに設けられる三相のコイルを同相ごとに結線する三つのバスバーと、各々の前記バスバーの前記一端側において電気的に繋がった状態で前記軸方向に延設された三つの出力端子と、前記ハウジング内において前記バスバーの前記一端側に配置されるとともに前記ハウジングに支持されるホルダ部、及び、各々の前記出力端子と電気的に接続されるとともに前記ハウジングの外部に露出するターミナルを有する組換え部品と、を備える。前記組換え部品は、前記ホルダ部が共通であり且つ前記ターミナルの構成が異なる複数種類が用意され、前記複数種類のうちの一つが前記ハウジングに支持される。
【0007】
(2)前記各出力端子は、前記各バスバーから前記一端側に向かって延設されることが好ましい。また、前記ホルダ部は、前記三つのバスバーの前記一端側に重ねられ、前記軸方向に貫設されて前記各出力端子が挿通される孔部を有することが好ましい。
【0008】
(3)前記組換え部品は、前記ターミナルにおける前記外部に露出する端部が配置されるコネクタ部を有することが好ましい。この場合、前記コネクタ部は、前記外部において前記ハウジングに隣接配置され、前記三つの出力端子は、前記コネクタ部が位置する周方向位置に集まって周方向に離間して設けられていることが好ましい。
【0009】
(4)上記(3)の場合において、前記コネクタ部は、前記組換え部品の種類によって構成が異なることが好ましい。
(5)前記組換え部品は、前記ホルダ部を前記一端側から覆う形状であり、且つ、前記コネクタ部の一部と一体に形成された絶縁蓋部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
開示のブラシレスモータによれば、顧客によって異なるインターフェース需要があっても、効率良く且つ簡単に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るブラシレスモータの斜視図である。
図2図1のブラシレスモータの構成部品の一部を分解して示す斜視図である。
図3図1のブラシレスモータが備えるモールドバスバーの平面図である。
図4図1のブラシレスモータが備える組換え部品の一例の斜視図である。
図5図4の組換え部品の分解斜視図である。
図6図4の組換え部品が備えるターミナルホルダがターミナルを保持している状態を示す平面図である。
図7図1のブラシレスモータが備える組換え部品の他例を示す図であって、当該組換え部品のうちターミナルを除く部品の分解斜視図である。
図8図7の組換え部品が備えるターミナルホルダがモールドバスバーに重ねられている状態を示す図であって、当該ターミナルホルダがターミナルを保持している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施形態としてのブラシレスモータについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0013】
[1.全体構成]
図1は、本実施形態に係るブラシレスモータ1(以下「モータ1」という)の斜視図である。図1に示すように、モータ1は、モータ1の外郭をなすハウジング4に、シャフト20が固定されたロータ2と、ハウジング4に固定されたステータ3とを収容してなる。本実施形態では、円筒状のステータ3の中央にロータ2が配置されるインナーロータ型のブラシレスDCモータを例示する。ロータ2,ステータ3及びハウジング4は、モータ1の中心軸Cに同軸配置される。
【0014】
ハウジング4は、軸方向の一端側が開口した金属製の有底筒型であり、ハウジング4の一端側の開口には、図2に示すように、モールドバスバー5,組換え部品10及びエンドベル6が他端側から一端側に向かってこの順で固定される。なお、本実施形態のハウジング4は、その外観形状が円筒であるが、ハウジング4の形状はこれに限られない。
【0015】
ロータ2は、シャフト20と一体回転するロータコア(図示略)と、ロータコアの外周面に固定された円筒状のマグネット(図示略)とを備える。シャフト20は、ロータ2を支持する回転軸であり、その一端側の端部がモールドバスバー5,組み換え部品10及びエンドベル6のそれぞれを貫通し、ハウジング4の一端側に突出するように配設される。これにより、シャフト20は、モータ1の出力(機械エネルギ)を外部に取り出す出力軸としても機能する。本実施形態のシャフト20は、ロータコアを軸方向に挟んだ二箇所の軸受を介して、ハウジング4の底部とエンドベル6とに回転自在に支持される。
【0016】
ステータ3は、内径側にロータ2が配置される空間を持つ略円筒状の部品であり、ハウジング4内に固定される環状のステータコア(図示略)と、ステータコアに対してインシュレータ(図示略)を介して巻回されたコイル(図示略)とを備える。本実施形態のモータ1では、六つのコイルが設けられる。二つのコイルにはU相の電流が供給され、他の二つのコイルにはV相の電流が供給され、残りの二つのコイルにはW相の電流が供給される。
【0017】
モールドバスバー5は、図3に示すように、同相のコイルを結線する三つのバスバー51を含んで構成される。三つのバスバー51は、軸方向に直交する方向に延在する円弧状の平板部材であり、互いに導通しないように軸方向にずれた状態(層を成した状態)で配置される。モールドバスバー5は、これら三つのバスバー51を樹脂によりモールドしたインサート成形品として設けられる。つまり、本実施形態において、三つのバスバー51は、樹脂でモールドされた一体もののモールバスバー5として設けられているとも換言される。モールドバスバー5は、軸方向から視てドーナツ形状(環状)をなし、その中央にモータ1の中心軸Cと同心の円形状の孔部5dを有する。
【0018】
各バスバー51には、電力供給用の三つの出力端子7がその一端側に接続される。三つの出力端子7は、組換え部品10の後述するターミナル11に接続される端子であり、各バスバー51と電気的に繋がった状態で軸方向に延設される。三つの出力端部7は、好ましくは、組換え部品10の後述するコネクタ部13が位置する周方向位置に集まって互いに離間して配置される。本実施形態において、三つの出力端子7は、コネクタ部13が位置する周方向位置の周辺において、周方向に等間隔且つ互いに離間して設けられる。
【0019】
また、本実施形態において、各出力端子7は、三つのバスバー51のそれぞれから軸方向の一端側に向かって延設されており、図2に示すように、各出力端子7は、モールドバスバー5の一端側の端面よりも一端側まで延設される。なお、出力端子7とバスバー51とは一体ものでもよいし、別体ものが電気的に接続されていてもよい。また、三つのバスバー51は、モールドバスバー5として一体化されていなくてもよい。
【0020】
組換え部品10は、外部からモータ1へ給電する給電装置(図示略)と出力端子7との間を導通させるための部品であり、図2に示すように、給電装置に接続されるターミナル11を有する。組み換え部品10は、顧客の仕様に合わせてターミナル11の構成が異なる複数種類が用意されており、複数種類のうちの一つがモータ1に適用される。なお、給電装置は、モータ1へ作動信号を入力する機能を有していてもよい。組換え部品10の構成は後述する。
【0021】
エンドベル6は、組換え部品10の一端側に装着される金属製の部品であり、ハウジング4に固定される。本実施形態のエンドベル6は、組換え部品10の一端側の面(後述するカバー15が有する蓋部18の一端側の面)に載置される平面部6aと、平面部6aから中心軸Cを中心とした有底筒状に形成された膨出部6bとを有する。この膨出部6bは、図示しない軸受を収容する部位である。なお、エンドベル6の形状は特に限られない。
【0022】
[2.要部構成]
本実施形態のモータ1は、顧客の仕様に合わせてターミナル11の構成を簡単に変更できるようになっている。具体的には、ターミナル11の構成(形状,配置,大きさなど)が顧客の仕様に合わせて形成され、異なる構成のターミナル11を備えた組換え部品10が複数種類用意される。そして、複数種類の組換え部品10のうちの一つがハウジング4に支持される(取り付けられる)。これにより、ロータ2,ステータ3,ハウジング4,モールドバスバー5,シャフト20といった主要部品(基本構造)は共通にしながら、顧客のインターフェース需要に対応可能となり、あたかも顧客専用のモータ1を製造したかのようにみえる。
【0023】
本実施形態では、ターミナル11の構成が異なる二種類の組換え部品10を例示する。組換え部品10の一例(以下「第一組換え部品10A」という)を図4図6に示し、組換え部品10の他の例(以下「第二組換え部品10B」という)を図7及び図8に示す。なお、ここでは二種類の組換え部品10を例示するが、三種類以上の組換え部品10が用意されてよい。
【0024】
以下の説明では、組換え部品10の各部の説明において、第一組換え部品10A及び第二組換え部品10Bを区別して説明する場合には、第一組換え部品10Aの各部の符号の末尾に「A」を付し、第二組換え部品10Bの各部の符号の末尾に「B」を付して説明する。また、第一組換え部品10A及び第二組換え部品10Bを区別しない場合には、末尾の大文字のアルファベットを省略して説明する。
【0025】
組換え部品10には、少なくともターミナル11とホルダ部12とが設けられる。ターミナル11は、上記の通り顧客の仕様に合わせて形成されるものである。これに対し、ホルダ部12は、顧客の仕様にかかわらず共通(一様)に構成される部分である。ホルダ部12は、ハウジング4内において、バスバー51の一端側に配置されるとともにハウジング4に支持される。つまり、組換え部品10を上記の基本構造に対して組み換えられる(仕様に合わせて取り付けられる)のは、ホルダ部12という共通部分があるからである。
【0026】
本実施形態の組換え部品10には、図4及び図7に示すように、ハウジング4に内嵌可能な外形を有するホルダ部12と、給電装置のコネクタ(図示略)と係合可能な形状をなすコネクタ部13とが設けられる。ホルダ部12は、モールドバスバー5の軸方向一端側に重ねられてハウジング4に支持される。コネクタ部13は、例えば有底筒状をなし、ホルダ部12の径方向外側であってハウジング4の外部においてハウジング4に隣接配置される。
【0027】
ターミナル11は、例えば、導電性を有する板状の部材であり、出力端子7と同数、すなわち、三本設けられる。各ターミナル11は、各出力端子7と電気的に接続されるとともにハウジング4の外部に露出する。具体的には、各ターミナル11の一端11a(図6又は図8参照)がホルダ部12に配置されて出力端子7と電気的に接続される。また、各ターミナル11の他端11b(図4又は図8参照)がコネクタ部13の内部に配置されて、ハウジング4の外部に露出する。これにより、ターミナル11は、コネクタ部13に給電装置のコネクタが挿入された際に、給電装置と電気的に接続されて、給電装置と出力端子7とを導通させる。
【0028】
コネクタ部13は、ターミナル11の他端11b(すなわち外部に露出する端部)が配置される部分であり、ターミナル11の構成に対応する。つまり、コネクタ部13も、組換え部品10の種類によって構成が異なる。
【0029】
本実施形態の組換え部品10は、図5又は図7及び図8に示すように、ターミナル11と、ターミナル11を保持するターミナルホルダ14と、ターミナルホルダ14の軸方向一端側に配置されるカバー15との三つの部品が組み合わされて形成される。上述のホルダ部12は、ターミナルホルダ14に設けられる。また、上述のコネクタ部13は、ターミナルホルダ14のホルダ側コネクタ部16及びカバー15のカバー側コネクタ部17を組み合わせて形成される。
【0030】
ターミナルホルダ14は、ターミナル11を保持する構造を持つ絶縁性の(例えば樹脂製の)部品であって、上述のホルダ部12と、ホルダ部12の径方向外側に一体形成されたホルダ側コネクタ部16とを有する。
【0031】
本実施形態のホルダ部12は、図5及び図7に示すように、有底円筒状をなし、その底部の中央にはモータ1の中心軸Cと同心の円形状の孔部12dが貫設される。つまり、ホルダ部12は、軸方向から視てドーナツ形状の底部と、底部の外周に立設された側面部とから構成される。ホルダ部12の他端側に位置する底部には、図6及び図8に示すように、出力端子7が挿通される出力端子孔12hが貫設される。出力端子孔12は、上述の出力端子7の位置に対応して設けられる。ここでは、コネクタ部13を構成するホルダ側コネクタ部16の位置に集まって(ホルダ側コネクタ部16の近くにおいて)、周方向に等間隔且つ互いに離間して設けられた三つの出力端子孔12hを例示するが、出力端子孔12hの形状や個数はこれに限らない。例えば、出力端子孔12hは、周方向に沿って設けられた1つの長孔であって、三つの出力端子7の全てが挿通可能なものであってもよい。
【0032】
ホルダ部12の側面部は、ホルダ側コネクタ部16が連設される部分で欠成されており、ターミナル11は、当該欠成部分を跨ぐように配置されて、ターミナルホルダ14に保持される。例えば、図5及び図6に示すように、第一組換え部品10Aでは、軸方向から視て、ホルダ部12Aの底部から一端側に向かって突出する線状のガイド部12gが設けられている。ターミナル11は、このガイド部12gに沿って出力端子7に当接するように配置されることで、ターミナルホルダ14Aに保持される。
【0033】
ホルダ側コネクタ部16は、上述の通り、コネクタ部13の一部を構成するものであり、組換え部品10の種類によってその形状が異なる。例えば、第一組換え部品10Aにおいて、ホルダ側コネクタ部16Aは、有底筒状のコネクタ部13Aの底部側を構成する。ホルダ側コネクタ部16Aは、図5及び図6に示すように、ホルダ部12Aの他端側の底部から径方向外側に延出する底壁と、当該底壁の外縁に立設された側壁とを有する箱型をなす。ホルダ側コネクタ部16Aには、ターミナル11の他端11bの位置を規定する位置決め壁16wがその底壁から一端側に向かって突設される。なお、ホルダ側コネクタ部16Aの底壁には、図6に示すように、ホルダ部12Aのガイド部12gが延設されていてもよい。また、第二組換え部品10Bにおいて、ホルダ側コネクタ部16Bは、有底筒状のコネクタ部13Bの筒部側を構成する。図7及び図8に示すように、ホルダ側コネクタ部16Bは、ホルダ部12Bの側面部よりも軸方向寸法が大きく、その外形状が軸方向の他端側に延びた略四角筒状に形成されている。
【0034】
カバー15は、ターミナル11が他の部品(例えば、エンドベル6)と導通しないように、軸方向一端側からターミナルホルダ14を覆う部品であって、蓋部18(絶縁蓋部)と、蓋部18の径方向外側に設けられたカバー側コネクタ部17とを有する。カバー15は、絶縁性材料(例えば樹脂)で形成された部品であり、蓋部18及びホルダ側コネクタ部17が一体で形成される。
【0035】
蓋部18は、ターミナルホルダ14のホルダ部12を軸方向一端側から覆う部位であり、ホルダ部12の外形状(本実施形態では、軸方向から視てドーナツ形状)に対応した形状に形成される。つまり、本実施形態の蓋部18は、軸方向から視て円板状であって、その中央にモータ1の中心軸Cと同心の円形状の孔部18dを有するドーナツ形状に形成され、ホルダ部12の側面部の一端側の端面に載置される。
【0036】
カバー側コネクタ部17は、ホルダ側コネクタ部16と組み合わされてコネクタ部13を構成するものである。カバー側コネクタ部17は、組換え部品10の種類によってその形状が異なり、且つ、ホルダ側コネクタ部16の形状に対応した形状(ホルダ側コネクタ部16に組み付けられる形状)に形成される。本実施形態では、第一組換え部品10Aにおいて、ホルダ側コネクタ部16Aはコネクタ部13の底部側をなすことから、カバー側コネクタ部17Aは、図5に示すように、コネクタ部13の筒部側をなすように形成される。また、第二組換え部品10Bにおいて、ホルダ側コネクタ部16Bはコネクタ部13の筒部側をなすことから、カバー側コネクタ部17Bは、図7に示すように、コネクタ部13の底部側をなすように形成される。
【0037】
本実施形態において、第一組換え部品10Aの三つのターミナル11の他端11bは、図5に示すように、一つのターミナル11の他端11bが他の二つのターミナル11の他端11bよりも径方向外側に位置するように、言い換えれば、軸方向から視て三角形をなすように配置される。これに対応して、第一組換え部品10Aのカバー側コネクタ17Aは、それぞれのターミナル11の他端11bを囲う三つの孔部を有し、三つの孔部が三角形をなすように設けられる。
【0038】
[3.作用,効果]
(1)上述したモータ1によれば、組換え部品10は、ホルダ部12が共通であり、且つ、ターミナル11の構成が異なる複数種類が用意され、複数種類のうちの一つの組換え部品10がハウジング4に支持される。このように、ロータ2やステータ3並びにハウジング4などの基本構造はそのままで、出力端子7から先の組換え部品10を複数種類用意しておき、組換え可能に構成することで、顧客によって異なるインターフェース需要があっても、効率良く且つ簡単に対応することができる。言い換えれば、顧客によって異なるインターフェース需要があっても、必要最小限の部品、すなわち、組換え部品10だけを交換することで、要求されるインターフェースの仕様に効率良く簡単に合わせることができる。
【0039】
また、組換え部品10は、ハウジング4に後付けされるアタッチメントとして設けられるのではなく、ホルダ部12がハウジング4内においてハウジング4に支持されることで、モータ1に組み付けられる。このため、モータ本体とは別で取り扱われる部品(アタッチメント)をなくすことができるので、モータ1の取り扱い効率を向上させることができる。さらに、組換え部品10のホルダ部12は、ハウジング4の内部にまで入り込むため、デッドスペースがなくモータ1を小型化できる。また、組換え部品10がモータ1に組み込まれることで、モータ1の外観は、モータ本体とは別体のアタッチメントを備えない、すなわち、当該仕様専用の外観をなすことから、モータ1の市場価値を高めることができる。
【0040】
(2)上述したモータ1によれば、三つの出力端子7は、各バスバー51から軸方向一端側に向かって延設される。このように、出力端子7をバスバー51と一体化させたジョイント部品として仕立てることで、構造の簡素化及び部品点数の削減を図ることができる。特に、上述したモータ1では、三つのバスバー51も一つのモールドバスバー5として一体化されているため、構造の簡素化及び部品点数の削減をさらに図ることができる。また、複数種類の組換え部品10のホルダ部12は、いずれも当該出力端子7が挿通される出力端子孔12hを有し、モールドバスバー5に重ねられる。このように、ホルダ部12の共通化を図ることで、簡素な構成で組換え可能な組換え部品10を実現することができる。
【0041】
(3)三つの出力端子7は、組換え部品10のコネクタ部13が位置する周方向位置に集まって周方向に離間して設けられる。このように、三つの出力端子7をコネクタ部13の周辺に集めるように且つ周方向に互いに離間させて構成することで、ターミナル11を互いに接触させることなく、ターミナル11の長さを短くすることができる。特に、上述したモータ1では、三つの出力端子7が、周方向に等間隔設けられるため、ターミナル11の構成を簡素化することができ簡単に配線することができる。
【0042】
(4)組換え部品10のコネクタ部13は、組換え部品10の種類によって形状が異なる。このように、ターミナル11の構成だけでなく、コネクタ部13の構成についても変更可能とすることで、顧客によって異なるインターフェース(コネクタ)需要があっても、効率良く且つ簡単に対応することができる。
【0043】
(5)組換え部品10は、ホルダ部12を軸方向一端側から覆う絶縁性の蓋部18を有する。これにより、組換え部品10を配置するだけで、ターミナル11と他の部品とを蓋部18により絶縁することができるため、モータ1の組立効率や、組換え部品10の組換え効率を向上させることができる。また、蓋部18は、コネクタ部13の一部であるカバー側コネクタ部17と一体に形成されているため、蓋部18を設けるにあたり、部品の点数を増加させることなくターミナル11と他の部品との絶縁を実現することができる。
【0044】
[4.その他]
上述の実施形態で説明したモータ1の構成は一例であって、上述したものに限らない。例えば、組換え部品10の蓋部18は省略されてもよい。組換え部品10のホルダ部12及び蓋部18を軸方向から視た形状は、ドーナツ形状に限らず、例えば円弧状であってもよい。また、組換え部品10は、ターミナル11,ターミナルホルダ14及びカバー15の三部品から構成されるものでなくてもよい。組換え部品10は、ターミナルホルダ14及びカバー15に対応する形状となるようにターミナル11をインサート成形した一部品として構成されてもよい。
【0045】
複数種類の組換え部品10のターミナル11及びコネクタ部13の構成も、上述のものに限らない。例えば、上述の第一組換え部品10Aでは、三つのターミナル11の他端11bが三角形をなすように配置されているものを例示したが、三つのターミナルの他端が径方向に並んで配置された組換え部品や、三つのターミナルの他端が周方向に並んで配置された組換え部品などが用意されてもよい。コネクタ部は、三つのターミナルの他端が径方向に並んで配置される場合には径方向に並ぶ三つの孔部を有する形状とされてもよく、三つのターミナルの他端が周方向に並んで配置される場合には周方向に並ぶ三つの孔部を有する形状とされてもよい。
【0046】
三つの出力端子7は、バスバー51を含むモールドバスバー5と別体で設けられてもよい。三つの出力端子7は、組換え部品10のコネクタ部13が位置する周方向位置に集まって設けられなくてもよく、互いの間隔が異なっていてもよい。複数種類の組換え部品10のホルダ部12は、三つの出力端子7の位置に対応して共通であればよい。
【0047】
モータ1は、ロータ2の回転位置を検出するホールセンサを備えていてもよい。この場合、組換え部品10には、ホールセンサに接続される信号線が配設されていてもよい。なお、モータの種類は特に限定されず、ステータの径方向外側にロータが配置されるアウターロータ型のブラシレスDCモータであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 モータ(ブラシレスモータ)
2 ロータ
3 ステータ
4 ハウジング
5 モールドバスバー
7 出力端子
10 組換え部品
10A 第一組換え部品(組換え部品)
10B 第二組換え部品(組換え部品)
11 ターミナル
11b 他端(外部に露出する端部)
12,12A,12B ホルダ部
12h 出力端子孔(孔部)
13 コネクタ部
14,14A,14B ターミナルホルダ
15,15A,15B カバー
18 蓋部(絶縁蓋部)
51 バスバー
図1
図2
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図7
図8