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特開2023-125686情報通信ネットワークシステム及び情報通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125686
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】情報通信ネットワークシステム及び情報通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20230831BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230831BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H04B10/112
G08B25/00 510M
G08B21/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029929
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】522078808
【氏名又は名称】杉山 寛幸
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 寛幸
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K102
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086BA20
5C086CA06
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA04
5C086EA13
5C086EA41
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA10
5C087AA19
5C087BB18
5C087BB46
5C087DD02
5C087DD27
5C087EE10
5C087FF02
5C087FF03
5C087FF04
5C087FF11
5C087GG02
5C087GG17
5C087GG35
5C087GG70
5C087GG82
5C087GG83
5K102AA21
5K102AL23
5K102PH38
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】情報通信ネットワークシステム及び情報通信方法に関し、通信キャリアやインターネットを必要としない情報通信ネットワークを実現する。
【解決手段】送信側の中継装置101(#1)で、中継器105(#1)が、伝送情報(#1)に対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を生成し、対応する伝送用ARマーカ112(#1)を表示器103(#1)に表示する。受信側の中継装置101(#2)で、中継器105(#2)が、送信側の中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された伝送用ARマーカ112(#1)を撮像器104(#2)に撮像させて伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を取得し、そこから伝送情報110(#2)を抽出して受信する。末端装置である子機端末装置102(#A、#B)や管理側子機端末装置102(#C)は、低消費電力又は無電力供給で動作し、中継装置101との間で、伝送情報110を、無線若しくは有線の電子通信方式により通信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々、表示器と撮像器と中継器とを備える中継装置と該中継装置を介して末端間で通信を行う末端装置とを複数組備える情報通信ネットワークシステムであって、
送信側の前記中継装置において、前記中継器が伝送情報に対応する伝送用ARマーカイメージデータを生成し、該生成した伝送用ARマーカイメージデータに対応する伝送用ARマーカを前記表示器に表示し、
受信側の前記中継装置において、前記中継器が、前記送信側の中継装置の前記表示器に表示された前記伝送用ARマーカを前記撮像器に撮像させて該伝送用ARマーカに対応する前記伝送用ARマーカイメージデータを取得し、該取得した伝送用ARマーカイメージデータから前記伝送情報を抽出して受信し、
前記末端装置は、低消費電力又は無電力供給で動作し、前記中継装置との間で、前記伝送情報を、無線若しくは有線の電子通信方式により通信する、
通信動作を実行する情報通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記受信側の前記中継装置において、前記伝送情報を正しく受信したことを示す受信確認用ARマーカイメージデータを生成し、該生成した受信確認用ARマーカイメージデータに対応する受信確認用ARマーカを前記表示器に表示し、
前記送信側の中継装置において、前記中継器が、前記受信側の中継装置の前記表示器に表示された前記受信確認用ARマーカを前記撮像器に撮像させて該受信確認用ARマーカに対応する前記受信確認用ARマーカイメージデータを取得し、該受信確認用ARマーカイメージデータを正しく受信したら前記表示器における前記伝送用ARマーカの表示をクリアする、
通信動作を更に実行する請求項1に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記末端装置は、前記中継装置との間で、無電力供給無線電子通信方式により前記伝送情報の通信を実行する子機端末装置である、請求項1又は2に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記末端装置は、前記中継装置との間で、近距離無線電子通信方式又は有線電子通信方式により前記伝送情報の通信を実行する子機端末装置である、請求項1乃至3の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記末端装置は、前記情報通信ネットワークシステムの末端に複数種類の伝送情報に対応した複数種類の数メートル四方以上の面積を有する大型の伝送用ARマーカボードを設置するARマーカボード設置装置であり、
前記受信側の中継装置のうちの1つにおいて、前記中継器が、前記ARマーカボード設置装置に設置された前記伝送用ARマーカボードが示す前記伝送用ARマーカを前記撮像器に撮像させて該伝送用ARマーカに対応する前記伝送用ARマーカイメージデータを取得し、該取得した伝送用ARマーカイメージデータから前記伝送用ARマーカボードに対応する前記伝送情報を抽出して受信する、請求項1乃至4の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記受信側の中継装置のうちの1つにおいて、前記中継器が、前記撮像器を介して、前記ARマーカボード設置装置に設置された前記伝送用ARマーカボードの位置又は距離を測定し、前記受信した伝送情報に付加する、請求項5に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項7】
前記ARマーカボード設置装置の前記伝送用ARマーカボードが設置される前面に設置され、前記伝送用ARマーカボードを視認できる範囲を制限するガラリを更に備える、請求項5又は6に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項8】
前記末端装置は、前記中継装置の表示器に表示されたARマーカを撮像し、該撮像したARマーカに対応するARマーカイメージデータを取得することにより情報を受信して表示する、携帯型情報受信端末装置である、請求項5乃至7の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項9】
前記送信側の中継装置及び前記受信側の中継装置は夫々、前記受信側の中継装置及び前記送信側の中継装置としても動作する双方向通信動作を実行する、請求項1乃至8の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項10】
前記送信側の中継装置及び前記受信側の中継装置は夫々、前記伝送情報又は前記伝送用ARマーカイメージデータを所定期間記憶する、請求項1乃至9の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項11】
前記送信側の中継装置の前記中継器は、前記伝送情報をデータ変換し、該データ変換した伝送情報に対応する伝送用ARマーカイメージデータを生成し、
前記受信側の中継装置の前記中継器は、取得した前記伝送用ARマーカイメージデータから抽出した前記データ変換した伝送情報に対して、元の前記伝送情報に戻すデータ変換処理を実行する、
請求項1乃至10の何れかに記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項12】
前記送信側の中継装置の前記中継器は、10進数で表記される前記伝送情報をARマーカのIDで表記される前記データ変換した伝送情報に変換することにより、前記伝送情報をデータ変換し、
前記受信側の中継装置の前記中継器は、取得した前記伝送用ARマーカイメージデータから抽出した前記データ変換した伝送情報を、前記10進数で表記される元の伝送情報に戻すデータ変換処理を実行する、
請求項11に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項13】
前記子機端末装置のうちの少なくとも1つは、前記中継装置との間で、前記伝送情報を元の10進数値と圧縮変換コードとの間で相互変換しながら、前記伝送情報の通信を実行する、請求項3に記載の情報通信ネットワークシステム。
【請求項14】
夫々、表示器と撮像器と中継器とを備える中継装置と該中継装置を介して末端間で通信を行う子機端末装置とを複数組備える情報通信ネットワークシステムにおける情報通信方法であって、
送信側の前記中継装置において、前記中継器が伝送情報に対応する伝送用ARマーカイメージデータを生成し、該生成した伝送用ARマーカイメージデータに対応する伝送用ARマーカを前記表示器に表示し、
受信側の前記中継装置において、前記中継器が、前記送信側の中継装置の前記表示器に表示された前記伝送用ARマーカを前記撮像器に撮像させて該伝送用ARマーカに対応する前記伝送用ARマーカイメージデータを取得し、該取得した伝送用ARマーカイメージデータから前記伝送情報を抽出して受信し、前記子機端末装置は、低消費電力又は無電力供給で動作し、前記中継装置との間で、前記伝送情報を、無線又は有線の通信方式により通信する、
通信動作を実行する情報通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信ネットワークシステム及び情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)やインターネットの発達により、無線や有線によるデータ通信が行われるようになっている。ここで、データ通信の安全性や、通信システム自身の安定性についてのリスクは従来から指摘されており、暗号化や認証方式の工夫などがなされている。
しかしながら、これらの通信は利便性や信頼性の高いインフラであるが、災害時など急なトラブルにより、管理システムや基地局がダウンした場合、災害被災地においては利用しにくくなるという現状がある。
【0003】
上記背景のような場面において、適応しうる技術として、従来、QRコード(登録商標)を遠隔操作でカメラから読み取り、その結果得られる読取り画像をQRコードリーダに固定したモニタ上に映し出し、車の識別を行う技術が提案されている(例えば、非特許文献1に記載の技術)。
【0004】
また、カメラのフレーム画像内にARマーカを検出した際、ARコンテンツを重畳表示させる技術や、カメラ画像と重畳表示した画像を作業者が端末を用いて録画し、その録画で得られる動画ファイルをサーバに送信し、管理者がサーバから動画ファイルを受信して確認する技術が開示されている(例えば、特許文献1に記載の技術)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6582626号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「CP-01プラスによる遠隔QRコード読取/遠隔QRコードのエクセル一括読取」、有限会社エーアンドエフ・コーポレーションホームページ、2022年2月24日インターネット検索:https://www.af-corporation.com/%E9%81%A0%E9%9A%94%EF%BD%91%EF%BD%92%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術では、カメラが読み取った物理的なコードやマーカの情報を送信したり、モニタに表示したりしている。これらの従来技術を使えば、情報をデータ化して転送することは可能である。しかし、システムダウン時等においては、情報がインターネットに流入しようとした時点でアクセスできなくなる、という点は解消されない。
【0008】
インターネットを介さないネットワークを構成すれば、災害時、機械等の発する電磁波の影響により通信が確実に行えない場所等でもデータ転送が可能となる。しかし、この場合、限られた電源の中でシステムが運用されることになる。このため、ネットワークが構成されるべき災害地等で電力消費が大きかったり停電が発生したりしていると、情報を伝達するネットワークを運用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、通信キャリアやインターネットを必要としない情報通信ネットワークを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
態様の一例の情報通信ネットワークシステムは、表示器と撮像器と中継器とを備える中継装置と該中継装置を介して末端間で通信を行う子機端末装置とを複数組備える情報通信ネットワークシステムであって、送信側の中継装置において、中継器が伝送情報に対応する伝送用ARマーカイメージデータを生成し、その生成した伝送用ARマーカイメージデータに対応する伝送用ARマーカを表示器に表示し、受信側の中継装置において、中継器が、送信側の中継装置の表示器に表示された伝送用ARマーカを撮像器に撮像させてその伝送用ARマーカに対応する伝送用ARマーカイメージデータを取得し、その取得した伝送用ARマーカイメージデータから伝送情報を抽出して受信し、子機端末装置は、低消費電力又は無電力供給で動作し、中継装置との間で、伝送情報を、無線又は有線の通信方式により通信する、通信動作を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信キャリアやインターネットを必要としない情報通信ネットワークを実現することが可能となる。
本発明による情報通信ネットワークは、災害時インフラがダウンしたときの情報伝達手段として活用することが可能となる。
本発明によれば、情報通信媒体としてARマーカを利用することにより、情報発信側は段ボール紙などの物理媒体を使用することで、電源を必要とせずに低コストで情報発信することが可能となる。
本発明によれば、独自のデータ変換によりセキュリティを向上させた情報通信ネットワークを実現することが可能となる。
本発明によれば、情報通信媒体としてARマーカを利用することにより、通信距離を解析することができ、通信場所を特定することが可能となる。
本発明によれば、電波と画像を組み合わせて送信を行うことにより、情報を限られた人にだけ提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の情報通信ネットワークシステムのブロック図である。
図2】送信側の子機端末装置102(#A、#B)から受信側の管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報を伝送する場合の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
図3】送信側の管理側子機端末装置102(#C)から受信側の子機端末装置102(#A)に処理内容を伝送する場合の動作シーケンス図である。
図4】送信側の子機端末装置102(#A、#B)から受信側の管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報を伝送する場合のデータ変換動作を示す図である。
図5】送信側の管理側子機端末装置102(#C)から受信側の子機端末装置102(#A)に処理内容を伝送し、更に受信側の子機端末装置102(#A)から送信側の管理側子機端末装置102(#C)に処理結果を返す場合のデータ変換動作を示す図である。
図6図1の子機端末装置102(#A)のハードウェア構成例を示す図である。
図7図1の子機端末装置102(#B)のハードウェア構成例を示す図である。
図8図1の管理側子機端末装置102(#C)のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」と記載)について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態の情報通信ネットワークシステム100のブロック図である。
【0014】
図1において、情報通信ネットワークシステム100は、表示器103と撮像器104と中継器(無線通信モジュール)105とを備える中継装置101を複数組(#1、#2)備える。なお、図1では、#1と#2の中継装置101のみが例示されているが、より多くの中継装置101で中継するようにしてもよい。
【0015】
表示器103は、小規模の中継装置101の場合、A4サイズの高輝度ディスプレイに、中継器105から出力されるARマーカイメージデータに対応する1つ以上のARマーカを表示する機能を備える。また、中大規模の中継装置101の場合、表示器103は、例えば1メートル×1メートルサイズ程度の大画面ディスプレイに、中継器105から出力されるARマーカイメージデータに対応する1つ以上のARマーカを表示する機能を備える。
【0016】
撮像器104は、小規模の中継装置101の場合、数百メートル先に設置された中継装置101の表示器103にA4サイズで表示されるARマーカを、十分な解像度で撮像する機能を備える。また、中大規模の中継装置101の場合、数キロメートル先に設置された中継装置101の表示器103に例えば1メートル×1メートルサイズで表示されるARマーカを、十分な解像度で撮像する機能を備える。
【0017】
中継装置101は、後述する動作シーケンスに従って、ARマーカを介して伝送情報を送受信及び中継する機能を備える。
【0018】
災害時等に備えて、中継装置101の特には図示しない電源は、通常時は商用電力が供給されているが、災害の発生等に伴う停電時は自家発電機から非常用電力が供給されて情報通信ネットワークシステム100における情報通信の中継を維持することができる。
【0019】
図1の情報通信ネットワークシステム100において、中継装置101同士は、1つの中継装置101の表示器103のディスプレイに表示されるARマーカを、隣の中継装置101の撮像装置104によって撮像しながら、そのARマーカによって表現される伝送情報110が伝送されてゆく。
【0020】
ARマーカは、写真やイラストなどで表現される画像マークであり、複数種類のARマーカに夫々、様々な情報が予め対応づけられ、それらの対応関係を送信側と受信側とで予め共有(記憶)しておく。本実施形態では、このARマーカを情報伝送に適用したものである。
【0021】
例えば、災害発生時の救助要請や食料支援要請などの要請情報を複数枚のARマーカに対応づけておく。そして、災害発生時等においては、例えば災害が発生した自治体に設置されている中継装置101(#1)が送信側となって、ARマーカを使って、それによって表現される災害救助要請等の伝送情報110(#1)が、数百メートルから数キロメートルの距離で隣接する受信側の中継装置101(#2)に伝送される。そして、その隣接する中継装置101(#2)が新たな送信側の中継装置となって、ARマーカを使って、更に先の受信側の中継装置に伝送情報110(#2)が伝送されてゆく。このようにして、最終的に例えば、災害が発生した自治体からの救助要請情報等が、災害救助本部の受信側の中継装置に到達する。
【0022】
このように、本実施形態では、ARマーカによって表現される伝送情報が、古代ののろしの原理でバケツリレー式に次々と伝達されてゆく。これにより、災害発生時等において携帯電話やスマートフォン等の通信キャリアやインターネットがダウンして使えなくなっても、通信キャリアやインターネットを使わず電波も必要としない図1の情報通信ネットワークシステム100の中継装置101が、最低限のライフライン情報等を伝送できる非常時ネットワークを形成することが可能となる。本実施形態により実現される情報通信ネットワークシステム100は、いわば「デジタルのろし」と称することができる。
【0023】
図1において、情報通信ネットワークシステム100は、その末端に、低消費電力又は無電力供給で動作する1つ以上の末端装置である子機端末装置102(#A、#B、#C)を更に具備する。
【0024】
ここで、例えば送信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、送信側の子機端末装置102(#A、#B)から、伝送情報110(#1)を、無線又は有線の電子通信方式により受信する。
【0025】
また、例えば受信側の中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、末端装置である受信側の子機端末装置(管理側子機端末装置)102(#C)に、伝送情報110(#2)を、無線又は有線の電子通信方式により送信する。
【0026】
ここで、例えば子機端末装置102(#A、#B)は、中継装置101(#1)との間で、無電力供給無線電子通信方式により伝送情報110(#1)の通信を実行する。無電力供給無線電子通信方式としては例えば、EnOcean社(ドイツ、ミュンヘン)のEnOceanバッテリーレス無線発信方式を採用することができる。
これにより、自治体庁舎等が被災して電源が失われたような場合であっても、子機端末装置102(#A、#B)から中継装置101(#1)に向けて、災害救助要請等の重要情報を送信することが可能となる。
【0027】
災害救助本部等に設置される管理側子機端末装置102(#C)は、受信側の中継装置101(#2)との間で、例えば前述したEnOceanバッテリーレス無線発信方式により、又は電源が確保されている場合には例えばBrutooth(米国登録商標)等の近距離無線電子通信方式又はローカルエリアネットワーク等の有線電子通信方式により、伝送情報110(#2)の通信を実行することができる。
管理側子機端末装置102(#C)には、例えばUSB(ユニバーサルシリアルバス)インタフェースを介して、特には図示しないパーソナルコンピュータ等が接続され、子機端末装置102(#A、#B)との間で伝送情報110に基づく情報通信を行うことができる。
【0028】
更に、図1において、情報通信ネットワークシステム100は、末端装置として、例えば災害救助要請、飲料水の要請、食料の要請、毛布の要請等の複数種類の伝送情報110に対応した、複数種類の数メートル四方以上の面積を有する大型の伝送用ARマーカボード106を設置するARマーカボード設置装置107を、例えば自治体庁舎の屋上などに更に具備することができる。
【0029】
ここで、例えば中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、ARマーカボード設置装置107に設置された伝送用ARマーカボード106が示す伝送用ARマーカを撮像器104に撮像させてそれに対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を取得する。そして、中継器105(#1)が、その取得した伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)から伝送用ARマーカボード106に対応する伝送情報110(#1)を抽出して受信する。
【0030】
このように、ARマーカボード設置装置107に設置された段ボール紙などの物理媒体による大型の伝送用ARマーカボード106により、自治体庁舎等が被災して電源が失われたような場合であっても、災害救助要請等の重要情報を数キロメートル離れた中継装置101(#1)等に送信することが可能となる。
【0031】
ここで、中継装置101(#1)において、中継器105が、撮像器104のオートフォーカスレンズ等を介して、ARマーカボード設置装置107に設置された伝送用ARマーカボード106の位置又は距離を測定し、受信した伝送情報110に付加することができる。
これにより、例えば災害場所までの距離を解析できて災害場所を特定することなどが可能となる。
【0032】
更に、図示しないが、ARマーカボード設置装置107の伝送用ARマーカボード106が設置される前面に、伝送用ARマーカボード106を視認できる範囲を制限するガラリを具備することができる。
これにより、伝送用ARマーカボード106は、中継装置101(#1)が設置されている方向範囲以外からは視認できないようにすることができ、関係者以外の人間が伝送用ARマーカボード106によって示される伝送情報110を勝手に読んでしまったりといった行為を防止することが可能となる。
【0033】
更に、上述のARマーカボード設置装置107と一緒に使用する想定で、末端装置として、以下のような携帯型情報受信端末装置108を具備することができる。
この携帯型情報受信端末装置108は、中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された受信確認用ARマーカ114(#1)を内蔵するカメラ108-1により撮像し、その撮像した受信確認用ARマーカ114(#1)に対応する受信確認用ARマーカイメージデータ113を取得することにより、中継装置101(#1)にて伝送用ARマーカボード106に対応する伝送情報110(#1)が正しく受信されたことを、内蔵する液晶ディスプレイ108-2に表示できる。
これにより、伝送用ARマーカボード106の管理者は、災害救助要請等が正しく伝わったか、確認することが可能となる。
また、携帯型情報受信端末装置108は、中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された伝送用ARマーカ112(#1)を内蔵するカメラ108-1により撮像し、その撮像した伝送用ARマーカ112(#1)に対応する伝送用ARマーカイメージデータ111を取得することにより、中継装置101(#1)から送信された伝送情報110を受信して内蔵する液晶ディスプレイ108-2に表示できる。
これにより、被災した自治体は、ハンディタイプの携帯型情報受信端末装置108を用意しておくだけで、通信キャリアやインターネットが被災して使えなくても、例えば災害救助本部からの伝送情報110を受け取ることが可能となる。
【0034】
図1の情報通信ネットワークシステム100において、送信側の中継装置101(#1)及び受信側の中継装置101(#2)は夫々、受信側の中継装置及び送信側の中継装置としても動作することができる。これにより、送信側の子機端末装置102(#A、#B)から受信側の管理側子機端末装置102(#C)への情報伝送と、逆方向の、送信側の管理側子機端末装置102(#C)から例えば受信側の子機端末装置102(#A)への情報伝送の、双方向通信動作を実現することが可能となる。
例えば、被災地の自治体に設置されている子機端末装置102(#A)から災害救助本部に設置されている管理側子機端末装置102(#C)に災害救助要請が送信され、それに対して、管理側子機端末装置102(#C)から子機端末装置102(#A)に災害救助支援の具体的な内容、日時等が返信される、といった情報通信が可能となる。
【0035】
図2は、送信側の例えば子機端末装置102(#A)から受信側の管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報110を伝送する場合の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
まず、中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、子機端末装置102(#A)から、伝送情報110(#1)を、無線又は有線の通信方式により受信する(シーケンスS201)。
【0036】
中継器105(#1)は、受信した伝送情報110(#1)を後述するようにデータ変換して受信し、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(シーケンスS202)。災害発生時等で各中継装置101が故障する可能性を踏まえて、伝送情報110は各中継器105において所定期間記憶される。
【0037】
次に、送信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、伝送情報110(#1)を後述するようにデータ変換し、その変換されたコードに対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を生成する(シーケンスS203)。
【0038】
次に、中継器105(#1)は、その生成した伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を表示器103(#1)に出力し、対応する伝送用ARマーカ112(#1)を表示器103(#1)に表示させる(シーケンスS204)。
【0039】
一方、受信側の中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、撮像器104(#2)に撮像指示を出す。この結果、撮像器104(#2)が、送信側の中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された伝送用ARマーカ112(#1)を撮像する(シーケンスS205)。
【0040】
次に、中継器105(#2)が、撮像器104(#2)から、伝送用ARマーカ112(#1)に対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を取得する(シーケンスS206)。
【0041】
中継器105(#2)が、その取得した伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)からデータ変換(後述する)により伝送情報110(#2)を抽出して受信し、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(シーケンスS207)。
【0042】
中継器105(#2)は、その伝送情報110(#2)を正しく受信したことを示す受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を生成する(シーケンスS208)。
【0043】
次に、中継器105(#2)は、その生成した受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を表示器103(#2)に出力し、対応する受信確認用ARマーカ114(#2)を表示器103(#2)に表示させる(シーケンスS209)。
【0044】
これに対して、送信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、撮像器104(#1)に撮像指示を出す。この結果、撮像器104(#1)が、受信側の中継装置101(#2)の表示器103(#2)に表示された受信確認用ARマーカ114(#2)を撮像する(シーケンスS210)。
【0045】
次に、中継器105(#1)が、撮像器104(#1)から、受信確認用ARマーカ114(#2)に対応する受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を取得する(シーケンスS211)。
【0046】
中継器105(#1)は、受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を正しく受信したら、表示器103(#1)における伝送用ARマーカ112(#1)の表示をクリアする(シーケンスS212)。
【0047】
受信側の中継装置101(#2)は、シーケンスS207で送信側の中継装置101(#1)から受信した伝送情報110(#2)を、前述した無線又は有線の電子通信方式により、管理側子機端末装置102(#C)に送信する(シーケンスS213)。
これにより、管理側子機端末装置102(#C)は、子機端末装置102(#A)から例えば災害救助要請の伝送情報110を受信することが可能となる。管理側子機端末装置102(#C)は、特には図示しないUSBインタフェースを介して接続されている上位機器であるパーソナルコンピュータ等に伝送情報110を引渡す。
【0048】
図3は、送信側の管理側子機端末装置102(#C)から受信側の子機端末装置102(#A)に処理内容(例えば災害救助本部からの避難指示)を伝送する場合の動作シーケンス図である。
まず、中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、管理側子機端末装置102(#C)から、伝送情報110(#2)を、無線又は有線の通信方式により受信する(シーケンスS301)。なお、管理側子機端末装置102(#C)は、中継装置101(#2)との通信に先立って、特には図示しないUSBインタフェースを介して接続されている上位機器であるパーソナルコンピュータ等から、子機端末装置102(#A、#B)に指示される処理内容を含む伝送情報110(#2)を引き渡されている。
【0049】
中継器105(#2)は、元の伝送情報110(#2)を受信し、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(シーケンスS302)。
【0050】
次に、送信側の中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、伝送情報110(#2)をデータ変換し(後述する)、そのデータ変換されたコードに対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を生成する(シーケンスS303)。
【0051】
次に、中継器105(#2)は、その生成した伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を表示器103(#2)に出力し、対応する伝送用ARマーカ112(#2)を表示器103(#2)に表示させる(シーケンスS304)。
【0052】
一方、受信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、撮像器104(#1)に撮像指示を出す。この結果、撮像器104(#1)が、送信側の中継装置101(#2)の表示器103(#2)に表示された伝送用ARマーカ112(#2)を撮像する(シーケンスS305)。
【0053】
次に、中継器105(#1)が、撮像器104(#1)から、伝送用ARマーカ112(#2)に対応する伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を取得する(シーケンスS306)。
【0054】
中継器105(#1)が、その取得した伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)から元の伝送情報110(#1)を抽出して受信し、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(シーケンスS307)。
【0055】
中継器105(#1)は、その伝送情報110(#1)を正しく受信したことを示す受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を生成する(シーケンスS308)。
【0056】
次に、中継器105(#1)は、その生成した受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を表示器103(#1)に出力し、対応する受信確認用ARマーカ114(#1)を表示器103(#1)に表示する(シーケンスS309)。
【0057】
これに対して、送信側の中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、撮像器104(#2)に撮像指示を出す。この結果、撮像器104(#2)が、受信側の中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された受信確認用ARマーカ114(#1)を撮像する(シーケンスS310)。
【0058】
次に、中継器105(#2)が、撮像器104(#2)から、受信確認用ARマーカ114(#1)に対応する受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を取得する(シーケンスS311)。
【0059】
中継器105(#2)は、受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を正しく受信したら、表示器103(#2)における伝送用ARマーカ112(#2)の表示をクリアする(シーケンスS312)。
【0060】
受信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)は、シーケンスS307で送信側の中継装置101(#2)から受信した伝送情報110(#1)を、例えば前述したEnOceanバッテリーレス無線発信方式により、子機端末装置102(#A)に送信する(シーケンスS313)。
【0061】
これにより、子機端末装置102(#A)は、管理側子機端末装置102(#C)から指示された処理内容が格納された伝送情報110(#1)を受信する(シーケンスS314)。
【0062】
上記処理が実行された結果、子機端末装置102(#A)が管理側子機端末装置102(#C)に処理結果(例えば安全な場所への避難完了)を返す場合には、図2と同様の、子機端末装置102(#A)から管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報110を伝送する場合の動作シーケンスが実行される(シーケンスS315)。
【0063】
図2及び図3で説明した子機端末装置102(#A、#B)と管理側子機端末装置102(#C)間での伝送情報110の伝送においては、セキュリティを確保するために伝送情報110がデータ変換される。
【0064】
図4は、図2で説明した動作シーケンスに従って、送信側の子機端末装置102(#A、#B)から受信側の管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報を伝送する場合における、データ変換動作を示す図である。図4において、図2の場合と同じシーケンス番号が付された部分は、図2の同じ番号のシーケンスに対応している。
【0065】
まず、図1の子機端末装置102(#A)が例えばRFID(Radio Frequency Identifier)読取り装置であった場合を考える。図1の情報通信ネットワークシステム100は、例えば災害時非常用ネットワークとしてだけではなく、例えば工場内の製造現場から管理部門への各種報告用ネットワークとしても活用することができる。工場内の様々な製造物や商品などには、RFIDと呼ばれる、商品を識別したり、製造物の状態を記憶させた無線タグが用いられることが多い。そこで、例えば図1の情報通信ネットワークシステム100を製造工場内に構築し、子機端末装置102(#A)が製造物や商品に添付されたRFIDタグの内容を読み取って、管理棟等にある管理側子機端末装置102(#C)に通知するようなシステムを構築することができる。このような構成により、インターネットを経由しないセキュアなネットワークを構築することが可能となる。
本実施形態では、読取りが行われるべきRFIDには、数字0から9アルファベット大文字小文字と記号の組み合わせで圧縮変換される、例えば90進数コードが書き込まれている。圧縮変換されたコードが使用されることにより、1桁の表示で少しでも多くの情報を表現することができる。また、記号が入ることにより、知らない人が見た場合に、意味不明となり、情報漏洩に対するセキュリティを高めることができる。更に、任意に対応コードを決めることで、意味が異なる暗号とすることができる。
【0066】
次に、子機端末装置102(#A)がRFIDを読み取ると、子機端末装置102(#A)は、その圧縮変換されたRFIDコードを、そのまま伝送情報110として中継装置101(#1)に送信する(図2図4のシーケンスS201)。
【0067】
一方、図1の子機端末装置102(#B)が例えば無線方式のセレクトスイッチであった場合を考える。この場合、スイッチ処理による選択結果は、例えば圧縮変換コードに変換された後に、その変換後のコードが、伝送情報110として中継装置101(#1)に送信される(図2図4のシーケンスS201)。
【0068】
中継装置101(#1)の中継器105(#1)は、子機端末装置102(#A)から受信した圧縮変換コードを、中継器105(#1)が内蔵する回路又はソフトウェアライブラリであるデータ変換部109(#1)によって、元の10進数値にデータ変換して、その結果得られる伝送情報110(#1)を、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(図2図4のシーケンスS202)。
【0069】
このようにして、子機端末装置102(#A、#B)は、中継装置101(#1)との間で、伝送情報110(#1)を元の10進数値と圧縮変換コードとの間で相互変換しながら、伝送情報110(#1)の通信を実行する。この結果、伝送情報110のセキュリティを高めることが可能となる。
【0070】
次に、中継装置101(#1)において、中継器105(#1)は、前述した図2のシーケンスS203で、伝送情報110(#1)から伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を生成する場合に、次のようなデータ変換を実施する。即ち、中継器105(#1)が内蔵するデータ変換部109(#1)は、図2図4のシーケンスS202で元の10進数に変換された伝送情報110(#1)を、ARマーカIDで決まる586進数をコードに変換する。そして、中継器105が、そのデータ変換されたコードを含む伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を生成し、表示器103(#1)に対応する伝送用ARマーカ112(#1)を表示させる(図2図4のシーケンスS203、S204)。伝送用ARマーカ112(#1)の各画素は、例えば輝度情報として複数階調の情報を有する。例えば各画素が1024階調の輝度情報を持つとすれば、ARマーカIDで決まる586進数の1桁の1つの画素の輝度に割り当てることができる。このようにして、本実施形態では、伝送用ARマーカ112の各画素にARマーカ112のIDに変換された伝送情報110のコードを割り当てることにより、1つの伝送用ARマーカ112で多くの伝送情報110(#1)を伝送することが可能となる。
【0071】
一方、受信側の中継装置101(#2)において、中継器105(#2)が、撮像器104(#2)を使って、送信側の中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された伝送用ARマーカ112(#1)を撮像して読み取る(図2図4のシーケンスS205)。続いて、中継器105(#2)が、伝送用ARマーカ112(#1)に対応するARマーカのIDコードを含む伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を取得する(図2図4のシーケンスS206)。
【0072】
そして、中継器105(#2)が内蔵するデータ変換部109(#2)は、伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)から元の10進数の伝送情報110(#2)にデータ変換を実行し、それを内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(図2図4のシーケンスS207)。
【0073】
その後、受信側の中継装置101(#2)の中継器105(#2)が、図2のシーケンスS208及びS209を実行することにより、受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を生成して表示器103(#2)に受信確認用ARマーカ114(#2)を表示させるときには、特にはデータ変換は行われない。受信確認用のコードは簡単なコードであるので、処理負荷を軽減するためである。
更に、送信側の中継装置101(#1)の中継器105(#1)が、図2のシーケンスS210、S211、及びS212を実行することにより、受信側の中継装置101(#2)の表示器103(#2)に表示された上記受信確認用ARマーカ114(#2)を読み取って、対応する受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を生成し、そこから受信確認用のコードを解読し、表示器103(#1)に表示されている伝送用ARマーカ112(#1)の表示をクリアする場合にも、上述した理由で、特にはデータ変換は行われない。
【0074】
図5は、図3で説明した動作シーケンスに従って、送信側の管理側子機端末装置102(#C)から受信側の子機端末装置102(#A)に処理内容を伝送する場合における、データ変換動作を示す図である。図5において、図3の場合と同じシーケンス番号が付された部分は、図3の同じ番号のシーケンスに対応している。
【0075】
まず、管理側子機端末装置102(#C)は、特には図示しないパーソナルコンピュータ等からUSBインタフェース等を介して受信した、子機端末装置102(#A)に対して発行する処理命令コードを、圧縮変換される、例えば90進数のコードに変換した後に、その変換後のコードを、伝送情報110(#2)として中継装置101(#2)に送信する(図3図5のシーケンスS301)。
【0076】
中継装置101(#2)の中継器105(#2)は、それが内蔵するデータ変換部109(#2)によって、管理側子機端末装置102(#C)から受信した圧縮変換コードを元の10進数の伝送情報110(#2)にデータ変換する。そして、中継器105(#2)は、その伝送情報110(#2)を、内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(図3図5のシーケンスS302)。
【0077】
このようにして、管理側子機端末装置102(#C)は、中継装置101(#2)との間で、伝送情報110を元の10進数値と圧縮変換コードとの間で相互変換しながら、伝送情報110の通信を実行する。この結果、伝送情報110のセキュリティを高めることが可能となる。
【0078】
次に、中継装置101(#2)において、中継器105(#2)は、前述した図2のシーケンスS303で、伝送情報110(#2)から伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を生成する場合に、次のようなデータ変換を実施する。即ち、中継器105(#2)が内蔵するデータ変換部109(#2)は、図3図5のシーケンスS302で元の10進数に変換された伝送情報110(#2)を、ARマーカのIDコードに変換する。そして、中継器105が、そのデータ変換されたコードを含む伝送用ARマーカイメージデータ111(#2)を生成し、表示器103(#2)に対応する伝送用ARマーカ112(#2)を表示させる(図3図5のシーケンスS303、S304)。
【0079】
一方、受信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、撮像器104(#1)を使って、送信側の中継装置101(#2)の表示器103(#2)に表示された伝送用ARマーカ112(#2)を撮像して読み取る(図3図5のシーケンスS305)。続いて、中継器105(#1)が、伝送用ARマーカ112(#2)に対応するARマーカのIDコードを含む伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)を取得する(図3図5のシーケンスS306)。
【0080】
そして、中継器105(#1)が内蔵するデータ変換部109(#1)は、伝送用ARマーカイメージデータ111(#1)から元の10進数の伝送情報110(#1)にデータ変換を実行し、それを内部の特には図示しないメモリに所定期間記憶する(図3図5のシーケンスS307)。
【0081】
その後、受信側の中継装置101(#1)の中継器105(#1)が、図3のシーケンスS308及びS309を実行することにより、受信確認用ARマーカイメージデータ113(#1)を生成して表示器103(#1)に受信確認用ARマーカ114(#1)を表示させるときには、図4のシーケンスS208及びS209の場合と同様の理由で、特にはデータ変換は行われない。
更に、送信側の中継装置101(#2)の中継器105(#2)が、図3のシーケンスS310、S311、及びS312を実行することにより、受信側の中継装置101(#1)の表示器103(#1)に表示された上記受信確認用ARマーカ114(#1)を読み取って、対応する受信確認用ARマーカイメージデータ113(#2)を生成し、そこから受信確認用のコードを解読し、表示器103(#2)に表示されている伝送用ARマーカ112(#2)の表示をクリアする場合にも、図4のシーケンスS210、S211、及びS212の実行時と同様に、特にはデータ変換は行われない。
【0082】
更に、前述した図3のシーケンスS313により、受信側の中継装置101(#1)において、中継器105(#1)が、シーケンスS307で送信側の中継装置101(#2)から受信した伝送情報110(#1)を子機端末装置102(#A)に送信する場合に、中継器105(#1)が内蔵するデータ変換部109(#1)は、シーケンスS306が実行されたときのままの伝送情報110(#1)を送信してもよいし、シーケンスS307で10進数に戻された伝送情報110(#1)を圧縮変換して送信してもよい(図3図5のシーケンスS313)。
【0083】
その後、前述した図3のシーケンスS314により、子機端末装置102(#A)が処理を実行し、その処理結果を管理側子機端末装置102(#C)に返す場合には、図3のシーケンスS315で、前述した図2と同様の、子機端末装置102(#A)から管理側子機端末装置102(#C)に伝送情報110を伝送する場合の動作シーケンスが実行されるので、前述した図4と同様のデータ変換処理が実行されてよい(図3図5のシーケンスS315)。
【0084】
図6は、図1の子機端末装置102(#A)のハードウェア構成例を示す図である。この構成例は、図4で前述したように、子機端末装置102(#A)がRFID読取り装置である場合の例である。
【0085】
この子機端末装置102(#A)は、図1の中継装置101(#1)との間で、無電力供給無線通信方式により伝送情報110(#1)の送信を実行する。無電力供給無線通信方式としては例えば、前述したEnOceanバッテリーレス無線発信方式を採用することができる。
【0086】
図6において、エネルギーハーベスティング(環境発電)電源管理回路601は、例えば特には図示しない太陽光発電ユニットやLED懐中電灯等からの光やスイッチを押す力等によって発電する微弱な電力を管理することにより、602~605の回路に稼働可能な電力を供給する(図6の破線)。
【0087】
また、EnOcean無線インタフェース回路602は、この子機端末装置102(#A)がRFIDタグから読み取ったデータを含む伝送情報110(#1)を、外部からの電力供給を必要とせずに、図1の中継装置101(#1)に送信する動作を実現する。
【0088】
図6において、アンテナ603で受信された特には図示しないRFIDタグからの電波は、復調回路604にて復調された後、制御回路605の制御によって、EnOcean無線インタフェース回路602から図1の中継装置101(#1)に無線送信される。
【0089】
図6の構成を有する子機端末装置102(#A)は、災害発生時等においても、外部からの電力供給を必要とせずに、図1の情報通信ネットワークシステム100を介して、災害救助本部等にある管理側子機端末装置102(#C)に向けて、災害救助要請等の重要情報を送信することが可能となる。
【0090】
図7は、図1の子機端末装置102(#B)のハードウェア構成例を示す図である。この子機端末装置102(#B)は、図1の中継装置101(#1)との間で、子機端末装置102(#A)の例と同様の例えばEnOceanバッテリーレス無線発信方式により各種オン/オフ情報を含む伝送情報110(#1)の送信を実行する。
【0091】
図7において、スイッチ部701は、非常扉やシャッター、自家発電機などの各オン/オフ情報を指示するための1つ以上のスイッチパッドを具備する。
【0092】
エネルギーハーベスティング(環境発電)電源管理回路702は、例えばスイッチ部701の各スイッチパッドを押す力等によって発電する微弱な電力を管理することにより、701及び703の回路に稼働可能な電力を供給する。
【0093】
また、EnOcean無線インタフェース回路703は、スイッチ部701が出力する各種オン/オフ情報を含む伝送情報110(#1)を、外部からの電力供給を必要とせずに、図1の中継装置101(#1)に送信する動作を実現する。
【0094】
図8は、図1の管理側子機端末装置102(#C)のハードウェア構成例を示す図である。この管理側子機端末装置102(#C)は、図1の中継装置101(#2)との間で、子機端末装置102(#A、#B)の例と同様の例えばEnOceanバッテリーレス無線発信方式により伝送情報110(#2)の通信を実行する。
【0095】
図8において、エネルギーハーベスティング(環境発電)電源管理回路801は、図6の例と同様に、例えば特には図示しない太陽光発電ユニットやLED懐中電灯等からの光によって発電する微弱な電力を管理することにより、802及び803の回路に稼働可能な電力を供給する。
【0096】
図8において、EnOcean無線インタフェース回路802は、中継装置101(#2)との間の伝送情報110(#2)の通信動作を、外部からの電力供給を必要とせずに実現する。
【0097】
また図8において、USBインタフェース回路803は、特には図示しないパーソナルコンピュータ等との間の伝送情報110(#2)の通信動作を、外部からの電力供給を必要とせずに実現する。
【0098】
最後に、図1の中継装置101のハードウェア構成例について説明する。中継装置101は、小規模なものであれば、一般的に市販されている製品の組合せで構成することが可能である。
【0099】
例えば、図1の表示器103は、30~60インチ程度の一般的なコンピュータディスプレイモニタ901で実現できる。
【0100】
また、図1の撮像器104は、市販されているズームレンズ機能付きビデオカメラ902で実現できる。
【0101】
更に、図1の中継器105は、市販されているワンボードマイクロコンピュータで実現できる。なお、ワンボードマイクロコンピュータ自体もエネルギーハーベスティング電源に対応したものとすることで、低消費電力により動作する中継装置101を実現することが可能である。
【0102】
このような構成により、図1の情報通信ネットワークシステム100を、非常に安価に実現することが可能となる。
【0103】
本発明は、本実施形態で説明した災害時非常用ネットワーク以外にも、様々な情報通信ネットワークシステムとして活用することができる。
具体的には例えば、前述したように、工場内の製造現場から管理部門への各種報告用ネットワークとして活用することができる。
また例えば、販売店舗内で、子機端末装置102(#A)が設置されている売り場部門から管理側子機端末装置102(#C)が設置されている倉庫部門への商品の問合せや補充要請やその逆方向の返信などに本実施形態による情報通信ネットワークシステム100を活用することにより、通信キャリアやインターネットを利用せず、かつ子機端末装置102(#A)や管理側子機端末装置102(#C)を低消費電力又は無電力供給で運用することができる。これにより、低コストでデータ変換による高セキュリティな店舗内情報通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
更に例えば、学校内や研究施設内や病院内や金融機関内や役所内等においても、低コストでデータ変換による高セキュリティで、通信キャリアやインターネットに接続しないことによるハッキングフリーな情報通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0104】
100 情報通信ネットワークシステム
101 中継装置
102 子機端末装置
102(#C) 管理側子機端末装置
103 表示器
104 撮像器
105 中継器
106 伝送用ARマーカボード
107 ARマーカボード設置装置
108 携帯型情報受信端末装置
108-1 カメラ
108-2 液晶ディスプレイ
109 データ変換部
110 伝送情報
111 伝送用ARマーカイメージデータ
112 伝送用ARマーカ
113 受信確認用ARマーカイメージデータ
114 受信確認用ARマーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8