IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンワカンパニーの特許一覧

<>
  • 特開-手洗い器の固定装置 図1
  • 特開-手洗い器の固定装置 図2
  • 特開-手洗い器の固定装置 図3
  • 特開-手洗い器の固定装置 図4
  • 特開-手洗い器の固定装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125689
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】手洗い器の固定装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/04 20060101AFI20230831BHJP
   A47K 1/05 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A47K1/04 A
A47K1/05
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029932
(22)【出願日】2022-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】596094773
【氏名又は名称】株式会社サンワカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 嘉行
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一種類のブラケットで手洗い器の正位置での取付と反転位置での取付の双方に対応可能な、手洗い器の取付装置を得る。
【解決手段】手洗い器Aと、この手洗い器を設置壁に固定するためのブラケットBとの組合せで手洗い器の固定装置を構成する。手洗い器Aは、底面形状を長軸において対称とし、流し部3と給水部4を左右に並列して備えている。給水部4の底部に前後方向の受け板9、10を備え、受け板9、10は、その前方及び後方にそれぞれネジ受け穴を備えている。ブラケットBは、壁に固定するための垂直壁21と、手洗い器Aの底部を支承し固定するための支承部を備え、支承部は、手洗い器Aの受け板9、10の前方のネジ受け穴又は後方のネジ受け穴のいずれか壁側に位置するネジ受け穴に選択的に対応する位置にネジ挿通穴を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い器と、この手洗い器を設置壁に固定するためのブラケットとの組合せであって、
前記手洗い器は、底面形状を長軸において対称とし、流し部と給水部を左右に並列して備え、
前記給水部の底部に前後方向の受け板を備え、
前記受け板は、その前方及び後方にそれぞれネジ受け穴を備え、
前記ブラケットは、壁に固定するための垂直壁と、手洗い器の底部を支承し固定するための支承部を備え、
前記支承部は、前記手洗い器の受け板の前方のネジ受け穴又は後方のネジ受け穴のいずれか壁側に位置するネジ受け穴に選択的に対応する位置にネジ挿通穴を備え、
一つのブラケットで、手洗い器を左右位置を左右反転した場合にも手洗い器を設置壁に固定できるようにした、
手洗い器の固定装置。
【請求項2】
手洗い器の受け板のネジ受け穴は、手洗い器の左右中央より偏位した位置に設けられ、
ブラケットのネジ挿通穴は、前記偏位したボルト受け穴に対応するように設けられた、
請求項1に記載の手洗い器の固定装置。
【請求項3】
ブラケットの垂直壁と支承部は、下方に突出するリブを介して連設された、
請求項1又は2に記載の手洗い器の固定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手洗い器(洗面器を含む)を壁に固定するための固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手洗い器を壁に固定する手法として、手洗い器が、後方(壁側)に給水部を備え前方に流し部を備えた構造のものであれば、給水部の後ろ壁を利用して、ネジなどで直接設置壁に固定することができる。
しかし、手洗い器の流し部と給水部を左右に並列して備えた構造のものにおいては、流し部にネジを貫通させることができないので、設置壁に直接取り付けることができず、ブラケットを介して取り付けている。
【0003】
通常、ブラケットとしては逆L字状の金物が使用されており、左右各一つのブラケットの垂直部を設置壁に固定し、水平部に手洗い器を固定する。この場合、左右個々のブラケットを手洗い器のネジ穴に対応するように、作業現場で取付位置を計測して決める必要があり、作業が煩雑であるほか、手洗い器の流し部側にもネジ穴を設ける必要があり手洗い器の側壁に一定の厚さが必要とされる他、ブラケットが手洗い器の下方に大きく露出して見栄えがよくない等の問題がある。
【0004】
左右のブラケットを一体化すれば、位置決めの問題は解決する。
しかしながら、手洗い器の流し部と給水部を左右に並列して備えた構造の手洗い器は、設置場所の要請などから、左右反転して設置する場合があるが、一般に給水部の幅は流し部の幅よりも狭い。そしてブラケットは給水部の底部に設けた受け板にネジ止めなどの手法で固定するのであるが、上記の事情により受け板の位置は左右の中心ではなく一方に偏位している。
そのために、正位置での取付と反転した位置での取付には、ネジ穴の位置の異なるブラケットが必要となる。その結果、一種類の手洗い器の取付のためにネジ穴位置の異なる二種類のブラケットを用意する必要があり在庫が膨らむほか、現場での反転位置での取付への変更に対応できないなどの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、一種類のブラケットで手洗い器の正位置での取付と反転位置での取付の双方に対応可能な、手洗い器の取付装置を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の手洗い器の取付装置は、手洗い器と、この手洗い器を設置壁に固定するためのブラケットとの組合せで構成する。「設置壁」とは、手洗い器を固定する壁をいう。
前記手洗い器は、底面形状を長軸において対称としてあり、左右反転して壁に固定できるものとしてある。なお、この発明において「手洗い器」とは、流し部と給水部とを備えた衛生器具をいい、「洗面器」を含むものである。
【0007】
前記手洗い器は、流し部と給水部を左右に並列して備えたものである。なお、この明細書において「流し部」とは水が排出される凹陥部を、「給水部」とは給水栓が取り付けられる部位を意味するものとして使用する。また、「左右」「前後」とは、手洗い器を設置した状態における位置関係を意味するものとして使用する。
【0008】
前記手洗い器は、給水部の底部に前後方向の受け板を備えている。この受け板は、以下の実施例に示すように、給水部の前後の周壁の間に掛け渡した態様の他、前後の周壁から片持ち状に設けられたものでもよい。
前記受け板は、その前方及び後方にそれぞれネジ受け穴を備えている。このネジ受け穴は、ネジ溝を備えたものでも、ネジ溝を備えずにナットで固定するようにしたものでもよい。
【0009】
前記ブラケットは、壁に固定するための垂直壁と、手洗い器の底部を支承し固定するための支承部を備えている。
垂直壁の壁への固定態様は任意であり、本願発明は関与しない。
【0010】
前記支承部は、前記受け板の前方のネジ受け穴又は後方のネジ受け穴のいずれか設置壁側に位置するネジ受け穴に選択的に対応する位置にネジ挿通穴を備えている。前記において「選択的に対応する」とは、手洗い器の正位置においては一方のネジ受け穴に対応してネジ挿通穴から通したネジがネジ受け穴に挿通でき、左右反転させた位置においても同様にネジ挿通穴からネジ受け穴に挿通できることを意味する。
【0011】
以上の構成によって、一つのブラケットで、手洗い器の左右位置を左右反転した場合にも手洗い設置壁に固定できるようにすることができるようにしてある。
【0012】
請求項3の発明は、ブラケットの垂直壁と支承部を、下方に突出するリブを介して連設したものである。リブの形状は問わない。下方に突出するリブにより手洗い器を支承する強度が向上し、支承部の幅を減少することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、一つのブラケットで手洗い器を固定することができるので、位置決め作業が不要である。加えて一種類のブラケットで手洗い器の正位置(図1に示す状態)での取付と反転位置での取付の双方に対応可能となり、前記課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の組み合わせた状態の斜視図
図2】同じく手洗い器の底面図
図3】同じくブラケットの斜視図
図4】同じくブラケットの平面図
図5】同じくブラケットの側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下この発明の実施例を説明する。
【実施例0016】
手洗い器Aは、平面視長方形であって、前壁1a、後壁1b、左壁2a、右壁2bを備え、図中左側が流し部3、左側が給水部4としてあり、前記流し部3の横幅は前記給水部4の横幅よりも広くしてある。
前記流し部3は底板5を備え、底板5に排水口7が設けてある。前記給水部4は天板6を備え、天板6に給水栓の取付穴8が設けてある。前記天板6の下方は底板がなく抜けている。
前記前後壁1a、1b及び左右壁2a、2b、底板5及び天板6はステンレス板である。
【0017】
前記給水部4の底部、すなわち前壁1aの下端部と後壁1bの下端部との間に受け板が設けてある。1枚の受け板9は流し部3の隔壁3aに沿って設けてあり、他の1枚の受け板10は右壁2bに沿って設けてある。
前記受け板9には二つのネジ受け穴11a、11bが、前記受け板10には二つのネジ受け穴12a、12bが設けてある。ネジ受け穴11aと前壁1aの距離とネジ受け穴11bと後壁1bとの距離は等しく、ネジ受け穴12aと前壁1aの距離とネジ受け穴12bと後壁1bとの距離は等しくしてある。また、各ネジ受け穴にはネジ溝が形成してある。
【0018】
前記ブラケットBは、設置壁に固定するための垂直壁21の下縁に水平壁22a、傾斜壁22bで構成されたリブ22が形成され、前記傾斜壁22bの先端縁に水平な支承部が設けてある。そして、リブ22には支承部に対応する位置に補強板28を取り付けてある。
この実施例においては三つの独立した舌片状の支承部24、25a、25bを設けてあるが、支承部は左右に亘り一体のものとしてもよい。
【0019】
前記支承部24は、前記手洗い器Aの中央部の受け板9に対応する位置に、支承部25aは右壁2bに沿った受け板10に対応する位置に、支承部25bは手洗い器Aを反転させたときに受け板10に対応する位置に、それぞれ設けてある。
【0020】
前記各支承部にはネジ挿通穴が設けてある。このネジ挿通穴は前後の遊びを得るために、前後方向の長穴としてある。
中央部の支承部24は、二つのネジ挿通穴26a、26bが左右に併設してあり、右側のネジ挿通穴26aは、前記手洗い器Aのネジ受け穴11aに対応する位置に、左側のネジ挿通穴26bは、前記手洗い器Aを反転させたときにネジ受け穴11bに対応する位置に、それぞれ設けてある。
右側の支承部25aのネジ挿通穴27aは前記手洗い器Aのネジ受け穴12aに対応する位置に、左側の支承部25bのネジ挿通穴27bは、前記手洗い器Aを反転させたときにネジ受け穴12bに対応する位置に、それぞれ設けてある。
なお、中央部の支承部24には、前後の遊びを考慮して前後方向の長穴を二つ並設してとしてあるが、遊びを考慮する必要がない場合は、左右方向の長穴として二つのネジ挿通穴を一つにまとめることもできる。また、支承部24は二つに分割してそれぞれに一つのネジ挿通穴を設けてもよい。
【0021】
上記のように構成された手洗い器の取付装置を用いて手洗い器を設置壁に固定する場合、正位置(図1に示す状態)では、ブラケットBのネジ挿通穴26a、27aからネジを挿通して、手洗い器Aのネジ受け穴11a、12aにネジを螺合する。手洗い器を反転させて固定する場合は、ブラケットBのネジ挿通穴26b、27bからネジを挿通して、手洗い器Aのネジ受け穴11b、12bにネジを螺合する。
【0022】
この装置を用いて手洗い器を設置壁に取り付ける手順は、設置壁の所望の位置にブラケットBの垂直壁21をボルトなどで固定した後に、手洗い器Aを支承部で支承してブラケットのネジ挿通穴と手洗い器のネジ受け穴との位置を合わせ、ネジで固定する。
この作業において、手洗い器のネジ受け穴とブラケットのネジ挿通穴の位置関係は予め設定されているので、現場での寸法合わせの作業は不要である。したがって、取付作業が迅速化され、作業者による作業速度や作業品質のばらつきも解消する。
【0023】
この装置においては、手洗い器の給水部2カ所でブラケットと固定するので、ステンレス板で構成されて側壁の幅が狭く、流し部側壁でネジ固定できない仕様の手洗い器であっても設置壁に固定することができ、加えてネジで固定しない流し部側も支承部で支持されているので、取付強度が不足することはない。
また、リブを形成することによってブラケットの手洗い器を支承する強度は一層向上する。そして、設置壁との固定部(垂直壁)を手洗い器の背面に隠すことができるので、ブラケットの露出を可及的に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、手洗い器の新規な取り付け手法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0025】
A 手洗い器
B ブラケット
3 流し部
4 給水部
9、10 受け板
11a、11b、12a、12b ネジ受け穴
21 垂直壁
22 リブ
24、25a、25b 支承部
26a、26b、27a、27b ネジ挿通穴

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
手洗い器の受け板のネジ受け穴は、手洗い器の左右中央より偏位した位置に設けられ、
ブラケットのネジ挿通穴は、前記偏位したネジ受け穴に対応するように設けられた、
請求項1に記載の手洗い器の固定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項2の発明は、手洗い器の受け板のネジ受け穴を、手洗い器の左右中央より偏位した位置に設け、ブラケットのネジ挿通穴は、前記偏位したネジ受け穴に対応するように設けたものである。
請求項3の発明は、ブラケットの垂直壁と支承部を、下方に突出するリブを介して連設したものである。リブの形状は問わない。下方に突出するリブにより手洗い器を支承する強度が向上し、支承部の幅を減少することができる。