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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125692
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】スポーツ用手袋
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20230831BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20230831BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20230831BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A63B71/14 F
A41D13/08 102
A41D19/00 Q
A41D19/015 210A
A41D19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029935
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】二宮 徳数
(72)【発明者】
【氏名】長尾 裕史
【テーマコード(参考)】
3B011
3B033
【Fターム(参考)】
3B011AA07
3B011AB11
3B033AA06
3B033AA29
3B033AA30
3B033AB02
3B033AC02
3B033AC07
(57)【要約】
【課題】バットのスイング速度を十分に向上させることができるスポーツ用手袋を提供する。
【解決手段】スポーツ用手袋1は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eと、手掌部12と、裏面滑り止め部材20とを備えている。裏面滑り止め部材20は、中手骨滑り止め部21と、薬指滑り止め部22と、小指滑り止め部23とを含んでいる。中手骨滑り止め部21は、薬指および小指の各々の中手骨骨頭を覆うように配置されており、薬指および小指の各々の中手骨骨幹部を覆わないように配置されており、かつ親指、人差し指および中指の各々の中手骨を覆わないように配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、中手骨滑り止め部から薬指および小指の各々の近位指節間関節と遠位指節間関節との間までそれぞれ配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能な親指部、人差し指部、中指部、薬指部および小指部と、
前記親指部、前記人差し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部に接続されており、かつ前記装着者の手掌を受け入れ可能な手掌部と、
前記薬指部、前記小指部および前記手掌部の裏面に配置された裏面滑り止め部材とを備え、
前記裏面滑り止め部材は、中手骨滑り止め部と、薬指滑り止め部と、小指滑り止め部とを含み、
前記中手骨滑り止め部は、前記薬指および前記小指の各々の中手骨骨頭を覆うように配置されており、前記薬指および前記小指の各々の中手骨骨幹部を覆わないように配置されており、かつ前記親指、前記人差し指および前記中指の各々の中手骨を覆わないように配置されており、
前記薬指滑り止め部および前記小指滑り止め部の各々は、前記中手骨滑り止め部から前記薬指および前記小指の各々の近位指節間関節と遠位指節間関節との間までそれぞれ配置されている、スポーツ用手袋。
【請求項2】
前記薬指滑り止め部および前記小指滑り止め部の各々は、前記薬指部および前記小指部が並ぶ方向において、前記薬指および前記小指の各々の中央部に配置されておらず、前記薬指および前記小指の各々の前記中央部の両側に配置されている、請求項1に記載のスポーツ用手袋。
【請求項3】
前記裏面滑り止め部材は、前記薬指部、前記小指部および前記手掌部の各々よりも高い摩擦係数を有する、請求項1または2に記載のスポーツ用手袋。
【請求項4】
装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能な親指部、人差し指部、中指部、薬指部および小指部と、
前記親指部、前記人差し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部に接続されており、かつ前記装着者の手掌を受け入れ可能な手掌部と、
前記中指部、前記薬指部および前記小指部のうち隣り合う少なくとも2つ、ならびに、前記手掌部の裏面に配置された裏面滑り止め部材とを備え、
前記裏面滑り止め部材は、中手骨滑り止め部、ならびに、中指滑り止め部、薬指滑り止め部および小指滑り止め部のうち隣り合う少なくとも2つを含み、
前記中手骨滑り止め部は、前記裏面滑り止め部材が配置された前記中指、前記薬指および前記小指のうち隣り合う少なくとも2つの中手骨骨頭を覆うように配置されており、前記裏面滑り止め部材が配置された前記中指、前記薬指および前記小指のうち隣り合う少なくとも2つの中手骨骨幹部を覆わないように配置されており、かつ前記親指および前記人差し指の各々の中手骨を覆わないように配置されており、
前記中指滑り止め部、前記薬指滑り止め部および前記小指滑り止め部の各々は、前記中手骨滑り止め部から前記中指、前記薬指および前記小指の各々の近位指節間関節と遠位指節間関節との間までそれぞれ配置されている、スポーツ用手袋。
【請求項5】
前記手掌部の表面から隆起するように構成されたパッド部材をさらに備え、
前記パッド部材は、前記人差し指の中手骨骨頭を覆うように配置されており、前記人差し指の中手骨骨幹部および中手指節関節を覆わないように配置されており、前記親指、前記中指、前記薬指および前記小指の各々の中手骨を覆わないように配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポーツ用手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バットの滑りを抑えるためにスポーツ用手袋に工夫がなされてきた。たとえば、特開2010-31441号公報(特許文献1)には、スポーツ用手袋の裏面の一部に発泡樹脂を印刷することにより、バットの滑りを抑制することができるスポーツ用手袋が記載されている。この公報に記載されたスポーツ用手袋では、発泡樹脂は、着用者の掌の子指球部および第3指ないし第5指に対応する領域にそれぞれ印刷されている。これにより、手とスポーツ用手袋の滑りを抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-31441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報に記載されたスポーツ用手袋では、スポーツ用手袋を装着した装着者がバットを握ってスイングしたときに、バットのスイング速度を十分に向上させることができない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バットのスイング速度を十分に向上させることができるスポーツ用手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスポーツ用手袋は、装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能な親指部、人差し指部、中指部、薬指部および小指部と、親指部、人差し指部、中指部、薬指部および小指部に接続されており、かつ装着者の手掌を受け入れ可能な手掌部と、薬指部、小指部および手掌部の裏面に配置された裏面滑り止め部材とを備えている。裏面滑り止め部材は、中手骨滑り止め部と、薬指滑り止め部と、小指滑り止め部とを含んでいる。中手骨滑り止め部は、薬指および小指の各々の中手骨骨頭を覆うように配置されており、薬指および小指の各々の中手骨骨幹部を覆わないように配置されており、かつ親指、人差し指および中指の各々の中手骨を覆わないように配置されている。薬指滑り止め部および小指滑り止め部の各々は、中手骨滑り止め部から薬指および小指の各々の近位指節間関節と遠位指節間関節との間までそれぞれ配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスポーツ用手袋によれば、バットのスイング速度を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るスポーツ用手袋の構成を概略的に示す正面図である。
図2】実施の形態に係るスポーツ用手袋を装着してバットを握った状態を概略的に示す正面図である。
図3図1に示すスポーツ用手袋の裏返した状態を概略的に示す図である。
図4】装着者の左手を手掌側から見た場合の左手の外観および骨格を概略的に示す模式図である。
図5図1のV-V線に沿うスポーツ用手袋の正面側の断面図である。
図6図1のVI-VI線に沿うスポーツ用手袋の正面側の断面図である。
図7図1のVII-VII線に沿うスポーツ用手袋の正面側の断面図である。
図8図1のVIII-VIII線に沿うスポーツ用手袋の正面側の断面図である。
図9】実施の形態に係るスポーツ用手袋の変形例の構成を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0010】
図1図7を参照して、本発明の実施の形態におけるスポーツ用手袋1の構成について説明する。図1および図2に示されるように、本実施の形態におけるスポーツ用手袋1は、バット2を把持する装着者の手に装着されるスポーツ用手袋である。図2では、装着者がスポーツ用手袋1を装着してバット2を握った状態示されている。実施の形態におけるスポーツ用手袋1として野球打撃用スポーツ用手袋が示されている。
【0011】
スポーツ用手袋1は、装着者の一方の手を受け入れ可能に構成されている。この一方の手は、例えばバット2のグリップ2aの根元側に位置する。装着者は、この一方の手にスポーツ用手袋1をはめた状態でバット2のグリップ2aを把持する。このスポーツ用手袋1は、左手に装着される左手用のスポーツ用手袋である。なお、本実施の形態におけるスポーツ用手袋1は、右手に装着される右手用のスポーツ用手袋であってもよい。左手用のスポーツ用手袋は、右手用のスポーツ用手袋とは鏡面対象となるように構成されている。また、スポーツ用手袋1は、装着者の両手に装着されてもよい。
【0012】
スポーツ用手袋1は、本体部10と、裏面滑り止め部材20と、パッド部材30とを主に備えている。本体部10は、指部11と、手掌部12と、手首部13とを含んでいる。本体部10の材料は、たとえば天然皮革である。
【0013】
指部11は、親指部11Aと、人差し指部11Bと、中指部11Cと、薬指部11Dと、小指部11Eとを含んでいる。親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは、装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能に構成されている。親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは互いに独立している。
【0014】
手掌部12は、装着者の手掌を受け入れ可能に構成されている。手掌部12は指部11に接続されている。手掌部12は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eに接続されている。
【0015】
手首部13は、装着者の手首を受け入れ可能に構成されている。手首部13は、手掌部12に接続されている。手首部13は、手掌部12に対して指部11と反対側に配置されている。
【0016】
図1および図3に示されるように、裏面滑り止め部材20は、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の裏面S1に配置されている。裏面滑り止め部材20は、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の裏面S1の一部に配置されている。裏面滑り止め部材20は、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の裏面S1の全部には配置されていない。
【0017】
裏面滑り止め部材は20、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の各々よりも高い摩擦係数を有する。裏面滑り止め部材20の摩擦係数は、天然皮革の床面の摩擦係数よりも大きい。裏面滑り止め部材20の材料は、たとえば合成皮革および人工皮革の少なくともいずれかである。裏面滑り止め部材20の静摩擦係数は、例えば2.5以上4.0以下である。この静摩擦係数は、摩擦子にバットのグリップテープを用いて、摩擦子の移動速度を10mm/sとしたときの値である。使用機器は、株式会社トリニティーラボ社製TL201Tt静動摩擦測定機である。
【0018】
裏面滑り止め部材20は、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12に糸Tで縫い付けられている。裏面滑り止め部材20は、裏面滑り止め部材20の外縁に沿って糸Tで縫い付けられている。
【0019】
パッド部材30は、手掌部12の裏面S1に取り付けられている。本実施の形態ではパッド部材30は、手掌部12の裏面S1と当て布14とに挟み込まれている。パッド部材30の外縁に沿って手掌部12に当て布14が糸Tで縫い付けられている。また、パッド部材30は、手掌部12の裏面S1に縫い付けにより取り付けられていてもよい。
【0020】
パッド部材30は、手掌部12の表面S2から隆起するように構成されている。パッド部材30は、手掌部12の表面S2の一部から隆起している。パッド部材30は、手掌部12の表面S2の全部から隆起していない。
【0021】
パッド部材30は、本体部10よりも柔らかい。つまり、パッド部材30は、指部11および手掌部12よりも柔らかい。また、パッド部材30は、裏面滑り止め部材20よりも柔らかい。パッド部材30は、裏面滑り止め部材20と重ならないように配置されている。パッド部材30の材料は、たとえば低反発発泡体である。具体的には、パッド部材30の材料は、たとえばウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの発泡樹脂である。パッド部材30の材料の25%圧縮荷重(JIS K 6401)は、例えば0.02MPa以上0.40MPa以下であり、0.02MPa未満では柔らかすぎて握った時に柔らかさを体感しにくく、0.40MPa超では硬すぎて違和感になる。パッド部材30の材料の25%圧縮荷重(JIS K 6401)は、十分に柔らかさを体感でき、違和感の少ない範囲である0.05MPa以上0.15MPa以下が好ましい。
【0022】
図1および図4を参照して、裏面滑り止め部材20およびパッド部材30の配置について、装着者の左手101の骨との対応を用いて説明する。図4には、装着者の左手101を手掌101A側から見た場合の左手101の外観および骨格が示されている。
【0023】
図4に示されるように、人差し指101B2、中指101B3、薬指101B4、小指101B5のそれぞれにおいては、指先側から順に末節骨111、中節骨112、基節骨113、中手骨114が配列されている。末節骨111と中節骨112とは互いに遠位指節間関節121を介して接続されている。中節骨112と基節骨113とは近位指節間関節122を介して接続されている。基節骨113と中手骨114とは中手指節関節123を介して接続されている。中手骨114の基節骨113側の端部には中手骨骨頭114Aが配置されている。中手骨骨頭114Aに対して中手指節関節123と反対側に中手骨骨幹部114Bが配置されている。中手骨骨頭114Aは、中手骨骨幹部114Bから膨出している。親指101B1においては、指先側から順に末節骨111、基節骨113、中手骨114が配列されている。親指101B1においては、末節骨111と基節骨113とは第1指節間関節124を介して接続されており、基節骨113と中手骨114とは中手指節関節123を介して接続されている。
【0024】
図1および図4に示されるように、裏面滑り止め部材20は、中手骨滑り止め部21と、薬指滑り止め部22と、小指滑り止め部23とを含んでいる。
【0025】
中手骨滑り止め部21は、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨頭114Aを覆うように配置されている。中手骨滑り止め部21は、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨頭114Aのみを覆うように配置されている。中手骨滑り止め部21は、手掌101A側において薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨114の中手骨骨頭114Aにまたがるように配置されている。
【0026】
中手骨滑り止め部21は、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨幹部114Bを覆わないように配置されている。中手骨滑り止め部21は、親指101B1、人差し指101B2および中指101B3の各々の中手骨114を覆わないように配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、中手骨滑り止め部21から薬指101B4および小指101B5の各々の近位指節間関節122と遠位指節間関節121との間までそれぞれ配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指101B4および小指101B5の各々の近位指節間関節122をまたぐように配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指101B4および小指101B5の各々における中節骨112の根元部から基節骨113の根元部にまたがるようにそれぞれ配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、遠位指節間関節121に至らないように配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指101B4および小指101B5の各々の遠位指節間関節121から指先までを覆わないように配置されている。
【0027】
薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eが並ぶ方向において、薬指101B4および小指101B5の各々の中央部CPに配置されておらず、薬指101B4および小指101B5の各々の中央部CPの両側に配置されている。つまり、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eが並ぶ方向において指の腹に配置されておらず指の両側に配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々の裏面S1と指の両側との隙間を埋めるように構成されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々の両側の部分は均一の幅を有している。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、指の根元から指先に向けて直線状に延びるように構成されている。
【0028】
パッド部材30は、人差し指101B2の中手骨骨頭114Aを覆うように配置されている。パッド部材30は、人差し指101B2の中手骨骨頭114Aのみを覆うように配置されている。パッド部材30は、手掌101A側において人差し指101B2の中手骨114の中手骨骨頭114Aを覆うように配置されている。パッド部材30は、人差し指101B2の中手骨骨幹部114Bおよび中手指節関節123を覆わないように配置されている。パッド部材30は、親指101B1、中指101B3、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨114を覆わないように配置されている。パッド部材30は、手掌の近位手掌線に重ならないように配置されている。
【0029】
図1および図5を参照して、裏面滑り止め部材20の中手骨滑り止め部21は、手掌部12の裏面S1から背面側に突出するように構成されている。裏面滑り止め部材20の中手骨滑り止め部21は、手掌部12の裏面S1から裏面S1に対して直交方向に突出するように構成されている。
【0030】
図1および図6を参照して、裏面滑り止め部材20の薬指滑り止め部22は、薬指部11Dの裏面S1から背面側に突出するように構成されている。裏面滑り止め部材20の薬指滑り止め部22は、薬指部11Dの裏面S1から裏面S1に対して直交方向に突出するように構成されている。
【0031】
図1および図7を参照して、裏面滑り止め部材20の小指滑り止め部23は、小指部11Eの裏面S1から背面側に突出するように構成されている。裏面滑り止め部材20の小指滑り止め部23は、小指部11Eの裏面S1から裏面S1に対して直交方向に突出するように構成されている。
【0032】
図1および図8を参照して、パッド部材30は、手掌部12の裏面S1と当て布14とに挟み込まれた状態で、パッド部材30の外縁に沿って手掌部12に当て布14が糸Tで縫い付けられている。これにより、パッド部材30は、手掌部12に取り付けられている。本実施の形態では、パッド部材30は、手掌部12の表面S2から隆起している。パッド部材30は、手掌部12の表面S2に対して直交方向に突出するように構成されている。
【0033】
図5図8に示されるように、パッド部材30の手掌部12の裏面S1からの高さ寸法は、裏面滑り止め部材20の手掌部12、薬指部11Dおよび小指部11Eの裏面S1からの高さ寸法よりも大きい。パッド部材30の厚みは、たとえば2mm以上である。
【0034】
図1および図2に示されるように、装着者がバット2を握ったときに、中手骨滑り止め部21は、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々の一部と対向する領域に配置されている。つまり、装着者がバット2を握ったときに、中手骨滑り止め部21は、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々に覆われる。装着者がバット2を握ったときに、中手骨滑り止め部21は、人差し指部11Bおよび中指部11Cと対向する領域に配置されていない。つまり、装着者がバット2を握ったときに、中手骨滑り止め部21は人差し指部11Bおよび中指部11Cに覆われない。
【0035】
裏面滑り止め部材20は、装着者がバット2を握ってスイングしたときに、スポーツ用手袋1にせん断力が大きく作用する領域に配置されている。このせん断力は、スイングしたときに遠心力によってバット2のグリップ2aに作用する力により指部11および手掌部12の表面S2の面内に沿って作用する力である。
【0036】
次に、本実施の形態におけるスポーツ用手袋1の作用効果について説明する。
【0037】
本実施の形態のスポーツ用手袋1によれば、中手骨滑り止め部21は、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨頭114Aを覆うように配置されており、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨幹部114Bを覆わないように配置されており、親指101B1、人差し指101B2および中指101B3の各々の中手骨114を覆わないように配置されている。薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、中手骨滑り止め部21から薬指101B4および小指101B5の各々の近位指節間関節122と遠位指節間関節121との間までそれぞれ配置されている。このため、中手骨滑り止め部21、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23によって、手とスポーツ用手袋1との滑りを抑えることができる。また、中手骨滑り止め部21、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23は、装着者がバット2を握ってスイングしたときに、スポーツ用手袋1にせん断力が大きく作用する領域のみに配置されている。このため、中手骨滑り止め部21、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23がスポーツ用手袋1の全面に配置される場合に比べてフィット感を向上させることができる。したがって、バット2のスイング速度を十分に向上させることができる。
【0038】
本実施の形態のスポーツ用手袋1によれば、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eが並ぶ方向において、薬指101B4および小指101B5の各々の中央部CPに配置されておらず、薬指101B4および小指101B5の各々の中央部CPの両側に配置されている。このため、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々において感覚が鋭い指の腹に配置されていないため、フィット感を損なわない。このため、フィット感をさらに向上させることができる。
【0039】
また、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23の各々は、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々において指の両側に配置されている。このため、薬指部11Dおよび小指部11Eの各々の裏面S1と指の両側の隙間を埋めることによって指に作用する圧力を均一化することができる。
【0040】
本実施の形態のスポーツ用手袋1によれば、裏面滑り止め部材は20、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の各々よりも高い摩擦係数を有する。このため、裏面滑り止め部材20によって手とスポーツ用手袋1との滑りを効果的に抑えることができる。
【0041】
また、裏面滑り止め部材20は、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12に糸Tで縫い付けられている。このため、裏面滑り止め部材20が印刷されている場合に比べて、裏面滑り止め部材20の強度を確保することができる。
【0042】
本実施の形態のスポーツ用手袋1によれば、パッド部材30は、人差し指101B2の中手骨骨頭114Aを覆うように配置されており、人差し指101B2の中手骨骨幹部114Bおよび中手指節関節123を覆わないように配置されており、親指101B1、中指101B3、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨114を覆わないように配置されている。このため、人差し指101B2に力が入りにくくすることができる。これにより、小指101B5寄りでバット2のグリップ2aが把持されるため、バット2の回転半径を大きくすることができる。したがって、バット2のスイング速度をさらに向上させることができる。
【0043】
また、パッド部材30は、手掌部12の表面S2から隆起するように構成されている。このため、バット2のグリップ2aと手掌部12の表面S2との間の隙間が生じ易い人差し指101B2の周辺において、パッド部材30によってバット2のグリップ2aと手掌部12の表面S2との間の隙間を埋めることができる。これにより、手掌部12の表面S2とバット2のグリップ2aとの接触面積が拡大するため、手掌部12の表面S2とバット2のグリップ2aとの摩擦力を大きくすることができる。したがって、装着者が少ない力でバット2をスイングすることができる。この結果、バット2のスイング速度をさらに向上させることができる。
【0044】
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態におけるスポーツ用手袋1の変形例の構成について説明する。
【0045】
本発明の実施の形態におけるスポーツ用手袋1の変形例では、裏面滑り止め部材20は、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eのうち隣り合う少なくとも2つ、ならびに、手掌部12の裏面S1に配置されている。図9では、裏面滑り止め部材20は、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11E、ならびに、手掌部12の裏面S1に配置されている。
【0046】
裏面滑り止め部材20は、中手骨滑り止め部21、ならびに、中指滑り止め部24、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23のうち隣り合う少なくとも2つを含んでいる。図9では、裏面滑り止め部材20は、中手骨滑り止め部21、ならびに、中指滑り止め部24、薬指滑り止め部22および小指滑り止め部23を含んでいる。
【0047】
中手骨滑り止め部21は、裏面滑り止め部材20が配置された中指101B3、薬指101B4および小指101B5のうち隣り合う少なくとも2つの中手骨骨頭114Aを覆うように配置されている。中手骨滑り止め部21は、中指101B3、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨骨頭114Aのみを覆うように配置されている。中手骨滑り止め部21は、手掌101A側において中指101B3、薬指101B4および小指101B5の各々の中手骨114の中手骨骨頭114Aにまたがるように配置されている。
【0048】
中手骨滑り止め部21は、裏面滑り止め部材20が配置された中指101B3、薬指101B4および小指101B5のうち隣り合う少なくとも2つの中手骨骨幹部114Bを覆わないように配置されている。中手骨滑り止め部21は、親指101B1および人差し指101B2の各々の中手骨114を覆わないように配置されている。
【0049】
中指滑り止め部24は、中手骨滑り止め部21から中指101B3の近位指節間関節122と遠位指節間関節121との間までそれぞれ配置されている。中指滑り止め部24は、中指101B3の近位指節間関節122をまたぐように配置されている。中指滑り止め部24は、中指101B3における中節骨112の根元部から基節骨113の根元部にまたがるようにそれぞれ配置されている。中指滑り止め部24は、遠位指節間関節121に至らないように配置されている。中指滑り止め部24は、中指101B3の遠位指節間関節121から指先までを覆わないように配置されている。
【0050】
中指滑り止め部24は、中指101B3の中央部CPに配置されておらず、中指101B3の中央部CPの両側に配置されている。つまり、中指滑り止め部24は、指の腹に配置されておらず指の両側に配置されている。中指滑り止め部24は、中指部11Cの裏面S1と指の両側との隙間を埋めるように構成されている。中指滑り止め部24の両側の部分は均一の幅を有している。中指滑り止め部24は、指の根元から指先に向けて直線状に延びるように構成されている。
【0051】
次に、本実施の形態におけるスポーツ用手袋1の変形例の作用効果について説明する。
【0052】
本実施の形態におけるスポーツ用手袋1の変形例によれば、バット2のスイング速度を十分に向上させることができる。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 スポーツ用手袋、2 バット、2a グリップ、10 本体部、11 指部、11A 親指部、11B 人差し指部、11C 中指部、11D 薬指部、11E 小指部、12 手掌部、20 裏面滑り止め部材、21 中手骨滑り止め部、22 薬指滑り止め部、23 小指滑り止め部、24 中指滑り止め部、30 パッド部材、101A 手掌、101B4 薬指、101B5 小指、101B2 人差し指、101B3 中指、101B1 親指、114A 中手骨骨頭、114B 中手骨骨幹部、121 位指節間関節、122 近位指節間関節、123 中手指節関節、CP 中央部、S1 裏面、S2 表面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9