(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125700
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/47 20180101AFI20230831BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20230831BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230831BHJP
【FI】
F24F11/47
F24F11/64
F24F11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029945
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】重盛 洸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 満博
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA04
3L260AB06
3L260BA44
3L260CB42
3L260DA02
3L260EA04
3L260FB32
3L260JA24
(57)【要約】
【課題】複数の建物間で熱融通を行い各建物の熱源機の運転効率を向上させる。
【解決手段】熱源ポンプを有する熱源機と空調機とを備える第1建物、第2建物を含む複数の建物の間で熱融通を行う熱融通システムでは、第1建物の熱源機、空調機と第2建物の熱源機、空調機とが熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、第1建物および第2建物の熱需要を予測し、第1建物および第2建物の熱需要に基づいて、第1建物の熱源機および熱源ポンプの運転計画と第2建物の熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定し、第1建物の熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、第2建物の熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で熱融通を行う熱融通システムであって、
前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、
前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測部と、
前記熱需要予測部によって予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定部と、
前記運転計画策定部によって策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、前記運転計画策定部によって策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する監視部とを備える熱融通システム。
【請求項2】
前記運転計画策定部は、
前記第1建物の熱源ポンプと二次側ポンプとを、逆並列に接続された前記第1建物の熱源ポンプに相当する電流源である第1建物熱源ポンプ電流源と前記第1建物の二次側ポンプに相当する電流源である第1建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、前記熱需要予測部によって予測された前記第1建物の熱需要を前記第1建物二次側ポンプ電流源の電流値に対応させ、前記運転計画策定部によって策定される前記第1建物の熱源ポンプの運転計画を前記第1建物熱源ポンプ電流源の電流値に対応させ、
前記第2建物の熱源ポンプと二次側ポンプとを、逆並列に接続された前記第2建物の熱源ポンプに相当する電流源である第2建物熱源ポンプ電流源と前記第2建物の二次側ポンプに相当する電流源である第2建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、前記熱需要予測部によって予測された前記第2建物の熱需要を前記第2建物二次側ポンプ電流源の電流値に対応させ、前記運転計画策定部によって策定される前記第2建物の熱源ポンプの運転計画を前記第2建物熱源ポンプ電流源の電流値に対応させ、
前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とを接続する前記熱融通配管を介して搬送される熱媒体の配管抵抗を、逆並列に接続された前記第1建物熱源ポンプ電流源および前記第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された前記第2建物熱源ポンプ電流源および前記第2建物二次側ポンプ電流源とを接続する配線の抵抗値に対応させ、
逆並列に接続された前記第1建物熱源ポンプ電流源および前記第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された前記第2建物熱源ポンプ電流源および前記第2建物二次側ポンプ電流源と、前記配線とを含む電気回路における前記第1建物熱源ポンプ電流源の電流値および前記第2建物熱源ポンプ電流源の電流値を算出することによって、
前記第1建物の熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の熱源ポンプの運転計画とを策定する、
請求項1に記載の熱融通システム。
【請求項3】
少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で熱融通を行う熱融通方法であって、
前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、
前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測ステップと、
前記熱需要予測ステップにおいて予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定ステップと、
前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する監視ステップとを備える熱融通方法。
【請求項4】
少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で行われる熱融通を管理するエネルギー管理システムであって、
前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、
前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、
前記エネルギー管理システムは、
前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測部と、
前記熱需要予測部によって予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定部とを備え、
前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定部によって策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力され、
前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定部によって策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力される、
エネルギー管理システム。
【請求項5】
少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とを備える第1建物と、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とを備える第2建物とを少なくとも含む複数の建物の間で行われる熱融通を管理するエネルギー管理システムを構成するコンピュータに、
前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測ステップと、
前記熱需要予測ステップにおいて予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、
前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力され、
前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来行われてきた建物への熱供給手法として、「建物単体の熱供給」と「地域熱供給」が挙げられる。「建物単体の熱供給」における課題として、低負荷時の熱源機の効率低下が挙げられる。また地域熱供給(地域冷暖房)施設として、ひとまとまりの地域に熱供給を行う場合には、熱源機の効率的な運転が可能であるが、熱搬送に多大なエネルギーを要するため、システム全体の効率向上に課題がある。つまりは、熱源機の消費エネルギーの削減分と熱融通によるポンプ動力増加分の最適化を図る必要がある。
【0003】
オフィスなどの建物の熱源に地中熱や太陽熱などの再生可能・未利用エネルギーを利用する場合、平日の建物運用中にはそれらの装置が有効に利用可能であるが、休日などで建物の運用が停止あるいは熱需要が少ない場合、有効に利用できない。そのため、装置の設置容量を抑えるなどの計画が必要となり、再生可能・未利用エネルギー利用装置の導入への制約条件となる。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、予測日において予め決められている設定温度に温度調整するために予想される熱量を示す空調熱負荷予測値が算出される。予測日において発電機が発電する発電電力を示す発電出力予測データが算出される。空調熱負荷予測値が示す熱量を生成する各空調熱源設備機器の運転について時刻毎の割り当てを示す空調熱源運転計画が作成されるとともに、空調熱負荷予測値に基づき、空調熱負荷予測値が示す予測熱量を生成するために負荷装置に供給する電力を示す電力負荷予測値が算出される。商用電力系統の買電電源から供給される買電電力の予め決められた一定時間毎の電力が任意の目標値となるように、発電出力予測データを用いて電力負荷予測値の電力に対応する買電電力と発電電力を決定して発電機および買電電源が出力する電力のスケジュールを示す電源設備運転計画が作成される。
特許文献1に記載された技術は、建物単体のエネルギー供給側(1次側)の効率運用の機能にとどまり、複数棟間で熱融通を行う搬送動力、建物の負荷側(2次側)の効率的な運用を含んだ制御にはなっていない。そのため、特許文献1に記載された技術では、建物全体としての総合的な制御にはなっておらず、建物全体としての総合的な制御、さらに発展すべき建物の群の統合的な制御に関しては課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した点に鑑み、本発明は、複数の建物間で熱融通を行うことによって複数の建物のそれぞれの熱源機の運転効率を向上させることができる熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で熱融通を行う熱融通システムであって、前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測部と、前記熱需要予測部によって予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定部と、前記運転計画策定部によって策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、前記運転計画策定部によって策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する監視部とを備える熱融通システムである。
【0008】
本発明の一態様は、少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で熱融通を行う熱融通方法であって、前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測ステップと、前記熱需要予測ステップにおいて予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定ステップと、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する監視ステップとを備える熱融通方法である。
【0009】
本発明の一態様は、少なくとも第1建物と第2建物とを含む複数の建物の間で行われる熱融通を管理するエネルギー管理システムであって、前記第1建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第2建物には、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とが配置され、前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、前記エネルギー管理システムは、前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測部と、前記熱需要予測部によって予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定部とを備え、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定部によって策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力され、前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定部によって策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力される、エネルギー管理システムである。
【0010】
本発明の一態様は、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とを備える第1建物と、少なくとも熱源ポンプを有する熱源機と二次側ポンプを有する空調機とを備える第2建物とを少なくとも含む複数の建物の間で行われる熱融通を管理するエネルギー管理システムを構成するコンピュータに、前記第1建物の熱源機の運転実績、前記第1建物の外部情報、および、前記第1建物の空調機の運転情報を含む前記第1建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1建物の熱需要を予測し、前記第2建物の熱源機の運転実績、前記第2建物の外部情報、および、前記第2建物の空調機の運転情報を含む前記第2建物の内部情報の少なくともいずれかに基づいて前記第2建物の熱需要を予測する熱需要予測ステップと、前記熱需要予測ステップにおいて予測された前記第1建物の熱需要と前記第2建物の熱需要とに基づいて、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画と前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画とを策定する運転計画策定ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記第1建物の熱源機および空調機と、前記第2建物の熱源機および空調機とは、熱媒体搬送用の熱融通配管を介して接続されており、前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第1建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力され、前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプに対する運転指令は、前記運転計画策定ステップにおいて策定された前記第2建物の少なくとも熱源機および熱源ポンプの運転計画に基づいて前記監視部によって作成されると共に、前記監視部によって出力される、プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の建物間で熱融通を行うことによって複数の建物のそれぞれの熱源機の運転効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の熱融通システム1の一例を示す図である。
【
図2】電気回路を用いることによって
図1に示す第1実施形態の熱融通システム1の一部を表現した一例を示す図である。
【
図3】
図1に示すエネルギー管理システム1-1におけるデータの流れ等の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態の熱融通システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】電気回路を用いることによって第3実施形態の熱融通システム1の一部を表現した一例を示す図である。
【
図6】第4実施形態の熱融通システム1の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態の熱融通システム1の一例を示す図である。
図2は電気回路を用いることによって
図1に示す第1実施形態の熱融通システム1の一部を表現した一例を示す図である。
【0015】
図1および
図2に示す例では、熱融通システム1が、建物11と建物12と建物13との間で熱融通を行う。建物11には、熱源ポンプ11A1を有する熱源機11Aと、往ヘッダ11Bと、二次側ポンプ11C1を有する空調機11Cと、還ヘッダ11Dと、太陽熱利用システム11Eとが配置されている。
図1および
図2に示す例では、太陽熱利用システム11Eが建物11に配置されているが、他の例では、太陽熱利用システム11Eが建物11に配置されていなくてもよい。
【0016】
図1および
図2に示す例では、建物12に、熱源ポンプ12A1を有する熱源機12Aと、往ヘッダ12Bと、二次側ポンプ12C1を有する空調機12Cと、還ヘッダ12Dと、地中熱利用システム12Eとが配置されている。
図1および
図2に示す例では、地中熱利用システム12Eが建物12に配置されているが、他の例では、地中熱利用システム12Eが建物12に配置されていなくてもよい。
【0017】
図1および
図2に示す例では、建物13に、熱源ポンプ13A1を有する熱源機13Aと、往ヘッダ13Bと、二次側ポンプ13C1を有する空調機13Cと、還ヘッダ13Dと、未利用エネルギー利用システム13Eとが配置されている。
図1および
図2に示す例では、未利用エネルギー利用システム13Eが建物13に配置されているが、他の例では、未利用エネルギー利用システム13Eが建物13に配置されていなくてもよい。
【0018】
図1および
図2に示す例では、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cとが、熱媒体搬送用の熱融通配管17を介して接続されている。詳細には、
図2に示す例では、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cとが、建物11の往ヘッダ11Bと熱融通配管17A1と建物12の往ヘッダ12Bとを介して接続されると共に、建物11の還ヘッダ11Dと熱融通配管17A2と建物12の還ヘッダ12Dとを介して接続されている。また、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cとが、建物12の往ヘッダ12Bと熱融通配管17B1と建物13の往ヘッダ13Bとを介して接続されると共に、建物12の還ヘッダ12Dと熱融通配管17B2と建物13の還ヘッダ13Dとを介して接続されている。
つまり、
図1および
図2に示す例では、熱融通システム1が、複数熱源・複数建物間における熱融通を行う。すなわち、分散設置された熱源システム(熱源機11A、12A、13A)が熱融通配管17を介して接続され、面的な熱融通が行われる。
【0019】
図1および
図2に示す例では、熱融通システム1がエネルギー管理システム1-1を備えている。エネルギー管理システム1-1は、熱需要予測部1Aと、運転計画策定部1Bと、監視部1Cとを備えている。
【0020】
図3は
図1に示すエネルギー管理システム1-1におけるデータの流れ等の一例を示す図である。
図1~
図3に示す例では、熱需要予測部1Aが、建物11の熱源機11Aの運転実績、建物11の外部情報、および、建物11の空調機11Cの運転情報を含む建物11の内部情報に基づいて建物11の熱需要を予測する。建物11の熱源機11Aの運転実績には、例えば熱源機11Aの運転履歴データ等(計測・計量実績)が含まれる。建物11の外部情報には、例えば気象予報、建物11の施設利用情報などが含まれる。建物11の内部情報には、建物11の空調機11Cの運転情報、建物11内における利用者の位置情報などが含まれる。
図3に示す例では、気象予報、施設利用情報などの建物11の外部情報が熱需要予測部1Aに入力されるため、それらが入力されない場合よりも熱需要予測の精度を向上させることができる。
また、
図3に示す例では、建物11の空調機11Cの運転情報、建物11内における利用者の位置情報などの建物11の内部情報が熱需要予測部1Aに入力されるため、それらが入力されない場合よりも熱需要予測の精度を向上させることができる。
図3に示す例では、熱需要予測部1Aが、建物11の熱源機11Aの運転実績、建物11の外部情報、および、建物11の空調機11Cの運転情報を含む建物11の内部情報に基づいて建物11の熱需要を予測するが、他の例では、熱需要予測部1Aが、建物11の熱源機11Aの運転実績、建物11の外部情報、および、建物11の空調機11Cの運転情報を含む建物11の内部情報の少なくともいずれかに基づいて建物11の熱需要を予測してもよい。
図3に示す例では、熱需要予測部1AがAI(人工知能)予測サーバーによって構成されている。つまり、
図3に示す例では、熱需要予測部1AがAIを用いた手法によって複数建物の熱需要を予測する。他の例では、熱需要予測部1AがAIを用いることなく複数建物の熱需要を予測してもよい。
【0021】
図1~
図3に示す例では、熱需要予測部1Aが、建物12の熱源機12Aの運転実績、建物12の外部情報、および、建物12の空調機12Cの運転情報を含む建物12の内部情報に基づいて建物12の熱需要を予測する。建物12の熱源機12Aの運転実績には、例えば熱源機12Aの運転履歴データ等(計測・計量実績)が含まれる。建物12の外部情報には、例えば気象予報、建物12の施設利用情報などが含まれる。建物12の内部情報には、建物12の空調機12Cの運転情報、建物12内における利用者の位置情報などが含まれる。
また、熱需要予測部1Aは、建物13の熱源機13Aの運転実績、建物13の外部情報、および、建物13の空調機13Cの運転情報を含む建物13の内部情報に基づいて建物13の熱需要を予測する。建物13の熱源機13Aの運転実績には、例えば熱源機13Aの運転履歴データ等(計測・計量実績)が含まれる。建物13の外部情報には、例えば気象予報、建物13の施設利用情報などが含まれる。建物13の内部情報には、建物13の空調機13Cの運転情報、建物13内における利用者の位置情報などが含まれる。
つまり、熱源機11A、12A、13Aの運転実積(運転履歴データ、計測・計量実積等)、建物11、12、13の外部情報(気象予報・施設利用情報)、建物11、12、13の内部情報(空調運転情報・位置情報)が、熱需要予測部1Aを構成するAI予測サーバーに入力され、AI予測サーバーが建物11、12、13の熱需要を予測する。そのため、AI予測サーバーは、日々の学習の積み重ねにより、予測精度を向上させることができる。
【0022】
図1~
図3に示す例では、運転計画策定部1Bが、熱需要予測部1Aによって予測された建物11の熱需要と建物12の熱需要と建物13の熱需要とに基づいて、建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画と建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画と建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画とを策定する。
詳細には、
図2に示すように、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源ポンプ11A1と二次側ポンプ11C1とを、逆並列に接続された建物11の熱源ポンプ11A1に相当する電流源である第1建物熱源ポンプ電流源と建物11の二次側ポンプ11C1に相当する電流源である第1建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物11の熱需要を第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1に対応させ(つまり、建物11の熱需要が大きくなるほど、第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画を第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aに対応させる(つまり、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aが大きくなるほど、建物11の熱源ポンプ11A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
【0023】
また、運転計画策定部1Bは、建物12の熱源ポンプ12A1と二次側ポンプ12C1とを、逆並列に接続された建物12の熱源ポンプ12A1に相当する電流源である第2建物熱源ポンプ電流源と建物12の二次側ポンプ12C1に相当する電流源である第2建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物12の熱需要を第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2に対応させ(つまり、建物12の熱需要が大きくなるほど、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画を第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bに対応させる(つまり、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bが大きくなるほど、建物12の熱源ポンプ12A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
同様に、運転計画策定部1Bは、建物13の熱源ポンプ13A1と二次側ポンプ13C1とを、逆並列に接続された建物13の熱源ポンプ13A1に相当する電流源である第3建物熱源ポンプ電流源と建物13の二次側ポンプ13C1に相当する電流源である第3建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物13の熱需要を第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3に対応させ(つまり、建物13の熱需要が大きくなるほど、第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物13の熱源ポンプ13A1の運転計画を第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig3cに対応させる(つまり、第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig3cが大きくなるほど、建物13の熱源ポンプ13A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
【0024】
更に、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cとを接続する熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2を介して搬送される熱媒体の配管抵抗を、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源とを接続する配線の抵抗値(
図2に符号R1、R2で示す)に対応させる(つまり、熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2における熱媒体の流れづらさが大きくなるほど、配線の抵抗値R1、R2が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、配線とを含む電気回路における第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1a、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bおよび第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
3cを算出する。
【0025】
運転計画策定部1Bは、それらに基づき、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig1aに対応する建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画と、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bに対応する建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画と、第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig3cに対応する建物13の熱源ポンプ13A1の運転計画とを策定する。
つまり、運転計画策定部1Bは、AI予測サーバーから運転計画策定部1Bに入力された建物11、12、13の熱需要の予測結果に基づいて、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転計画を策定し、監視部1Cに出力する。
他の例では、運転計画策定部1Bが、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、配線とを含む電気回路における第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2および第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3を算出し、それらに基づき、第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1に対応する建物11の二次側ポンプ11C1の運転計画と、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2に対応する建物12の二次側ポンプ12C1の運転計画と、第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3に対応する建物13の二次側ポンプ13C1の運転計画とを策定してもよい。つまり、この例では、運転計画策定部1Bが、建物11、12、13の空調機11C、12C、13Cおよび二次側ポンプ11C1、12C1、13C1の運転計画を策定し、監視部1Cに出力する。
【0026】
図1~
図3に示す例では、監視部1Cが、運転計画策定部1Bによって策定された建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画に基づいて建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1に対する運転指令を生成して出力する。また、監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画に基づいて建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1に対する運転指令を生成して出力する。更に、監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画に基づいて建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1に対する運転指令を生成して出力する。
つまり、
図1~
図3に示す例では、運転計画策定部1Bが、建物11、12、13の熱需要予測に基づいて、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転台数、運転容量を最適制御する熱源運転計画を策定し、監視部1Cが熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1に対する運転指令を出力し、熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転制御する。すなわち、監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された熱源運転計画(運転台数、運転容量)に基づいて、熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転制御する。
その結果、
図1~
図3に示す例では、3棟の建物11、12、13の相互間で熱融通を行うことによって建物11、12、13のそれぞれの熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転効率を向上させることができる。
【0027】
具体的には、
図3に示す例では、熱需要予測部1Aを構成するAI予測サーバーが、建物11、12、13の熱需要の予測結果を30分ごとに出力する。更に、運転計画策定部1Bは、AI予測サーバーから30分ごとに出力された建物11、12、13の熱需要の予測結果の24時間分に基づいて、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転計画を策定する。そのため、建物11、12、13の30分のみの熱需要の予測結果に基づいて運転計画が策定される場合よりも適切に、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転計画を策定することができる。
また、
図3に示す例では、監視部1Cが、運転計画策定部1Bによって策定された建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の運転計画に基づいて、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転制御し、熱需要予測部1Aが、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転実績に基づいて、建物11、12、13の熱需要を当日補正する。そのため、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転実績を反映させた適切な運転計画策定およびリアルタイム運転制御を行うことができる。
【0028】
図3に示す例では、熱需要の予測結果が30分ごとに出力されるが、他の例では、熱需要の予測結果が例えば1時間ごと、10分ごと等のような任意の時間間隔で出力されてもよい。
例えば、熱需要予測部1Aが、建物11の熱需要の予測結果として小さい値を出力した場合(つまり、建物11の熱需要が小さいと熱需要予測部1Aによって予測された場合)、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源機11Aの熱源ポンプ11A1の流量が小さい値に設定された運転計画を策定する。その結果、建物11の熱源機11Aの高効率運転を実現することができる。すなわち、例えば、監視部1C(中央監視装置)からの熱源ポンプ11A1への流量信号により、熱源ポンプの流量11A1を強制的に絞ることにより、熱源機11Aが最高効率点で運転可能となる。
図3に示す例では、監視部1Cが、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転データを取得する。建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転データには、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の搬送動力などが含まれる。監視部1Cは、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの熱源ポンプ11A1、12A1、13A1の搬送動力を評価することによって、熱生成および熱搬送を最適化した運転を行うことができる。監視部1Cによって取得される建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転データは、例えばセンサ(図示せず)によって検出される。他の例では、監視部1Cによって取得される建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転データが、監視部1Cから建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aに出力される運転信号に基づいて推定されてもよい。
監視部1Cによって取得される建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転データが、熱源運転実積として蓄積され、以降の熱需要予測部1Aによる熱需要予測に活用されてもよい。
【0029】
詳細には、
図1~
図3に示す例では、熱融通システム1が、複数熱源・複数建物を熱融通することにより、低負荷時には、熱源運転を集約する。そのため、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの運転効率を向上させることができる。一方、高負荷時には、自己熱源から熱が直接供給される(具体的には、建物11の熱源機11Aから空調機11Cに熱が供給され、建物12の熱源機12Aから空調機12Cに熱が供給され、建物13の熱源機13Aから空調機13Cに熱が供給される)。そのため、熱搬送効率を向上させることができる。
【0030】
図1に示す例では、熱融通システム1が、複数熱源・複数建物を熱融通することにより、建物11の太陽熱利用システム11Eによって集められた太陽熱(再生可能エネルギー)を建物12、13において利用することができ、建物12の地中熱利用システム12Eによって地中から取り出された地熱(再生可能エネルギー)を建物11、13において利用することができ、建物13の未利用エネルギー利用システム13Eによって回収された排熱(未利用エネルギー)を建物11、12において利用することができる。
他の例では、熱融通システム1が、蓄熱槽(図示せず)と連携することによって、ピークシフトを実現したり、エネルギー製造効率を向上させたりすることができる。
【0031】
図1~
図3に示す例では、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aが電力を用いる電気熱源であるが、他の例では、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aが電気熱源とガス熱源とを組み合わせたものであってもよい。この例では、熱融通システム1が、省CO
2、省ランニングコスト、省エネ、自然エネルギー最大利用、デマンド制御などの目的に応じた最適制御を行うことができる。
更に他の例では、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aが、水素およびガスコージェネレーション等の発電システム(図示せず)や排熱を伴う装置と連携してもよい。ガスコージェネレーションとは、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載されているように、都市ガスを燃料としてエンジン、タービン、燃料電池などで発電し、この時に生じる熱エネルギーも蒸気や温水に変えて利用するシステムである。
https://www.gas.or.jp/gas-life/cogeneration/
【0032】
また、他の例では、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aが、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載されているような電力ネットワーク制御と連携することによって、電力需給バランスに応じて制御されてもよい。
https://www.shimz.co.jp/solution/tech082/
【0033】
例えば上記のURLが示すwebサイトに記載されているような排熱を伴う発電設備(コージェネレーション)が、第1実施形態の熱融通システム1(建物11、12、13の熱源機11A、12A、13A)および電力ネットワーク制御と連携をする場合、熱源運転計画(コージェネ発電量)が、第1実施形態の熱融通システム1から電力ネットワーク制御システムに入力されてもよい。
この例では、電力ネットワーク制御システムが、コージェネ発電量を加味した電力ネットワーク制御計画(創エネ量予測)を策定し、その結果を第1実施形態の熱融通システム1に出力する。第1実施形態の熱融通システム1は、電力ネットワーク制御システムから入力された電力ネットワーク制御計画を受け、熱源の運転計画を補正する。
【0034】
図1~
図3に示す例では、エネルギー管理システム1-1の運転計画策定部1Bが、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの電力ならびに熱融通にかかる電力をトータルで最適化する手法として、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載されているような線形計画法などの最適化問題、数理計画問題を解く最適化手法を用いる。
https://www.msi.co.jp/nuopt/introduction/algorithm/lp.html
【0035】
熱源ポンプ11A1などのポンプの水動力[kW]は、下記の式(1)によって表すことができる。ただし、ρ:流体密度[kg/m3]、F:ポンプの流量[m3/min]、H:全揚程[m]である。
水動力=0.1634ρFH/1000 (1)
【0036】
図1~
図3に示す例では、ポンプ効率ηを一定と仮定する。軸動力[kW]は、下記の式(2)によって表すことができる。
軸動力=0.1634ρFH/(1000η) (2)
【0037】
更に、
図1~
図3に示す例では、熱流体の温度差△Tを一定と仮定する。軸動力[kW]は、下記の式(3)のようにみなすことができ、ポンプ動力は流量Q[m
3/h]と全揚程H[m]との積に比例する形で表現することができる(αは定数)。
軸動力=αQH (3)
【0038】
図1~
図3に示す例では、熱融通配管17を閉回路とみなし、全揚程H=配管抵抗として考える。配管抵抗は流量の二乗に比例し、下記の式(4)のように表すことができる。
全揚程=配管抵抗=βQ
2 (4)
【0039】
これを、例えば線形計画法で定式化するには、一次式に線形近似する必要がある。
図1~
図3に示す例では、全揚程Hと流量Qとの関係を下記の一次式(5)の線形近似で表現する(βは定数)。具体的には2次曲線の全区間をある区間ごとに直線の一次式で結んで表現する。
全揚程=βQ (5)
【0040】
その結果、
図1~
図3に示す例では、第1実施形態の熱融通システム1の建物11の熱源機11Aの熱源ポンプ11A1および空調機11Cの二次側ポンプ11C1と、建物12の熱源機12Aの熱源ポンプ12A1および空調機12Cの二次側ポンプ12C1と、建物13の熱源機13Aの熱源ポンプ13A1および空調機13Cの二次側ポンプ13C1と、熱融通配管17とが、
図2に示す電気回路の第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、抵抗値R1を有する配線と、抵抗値R2を有する配線とに置き換えられる。
【0041】
図2に示すように、建物11の熱源ポンプ11A1の流量は、建物11の熱源ポンプ11A1に相当する第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aに置き換えられ、建物11の二次側ポンプ11C1の流量は、建物11の二次側ポンプ11C1に相当する第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1に置き換えられる。建物12の熱源ポンプ12A1の流量は、建物12の熱源ポンプ12A1に相当する第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bに置き換えられ、建物12の二次側ポンプ12C1の流量は、建物12の二次側ポンプ12C1に相当する第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
2に置き換えられる。建物13の熱源ポンプ13A1の流量は、建物13の熱源ポンプ13A1に相当する第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
3cに置き換えられ、建物13の二次側ポンプ13C1の流量は、建物13の二次側ポンプ13C1に相当する第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
3に置き換えられる。
更に、運転計画策定部1Bが、後述する式(6)および式(8)に相当する式(図示せず)を線形計画法で定式化し、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの電力などと合わせて最適化することによって、熱融通にかかる電力を考慮した建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aの最適な運転計画を策定することができる。
【0042】
図4は第1実施形態の熱融通システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4に示す例では、ステップS1において、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1Aが、建物11の熱源機11Aの運転実績、建物11の外部情報、および、建物11の空調機11Cの運転情報を含む建物11の内部情報に基づいて建物11の熱需要を予測し、建物12の熱源機12Aの運転実績、建物12の外部情報、および、建物12の空調機12Cの運転情報を含む建物12の内部情報に基づいて建物12の熱需要を予測し、建物13の熱源機13Aの運転実績、建物13の外部情報、および、建物13の空調機13Cの運転情報を含む建物13の内部情報に基づいて建物13の熱需要を予測する。
次いで、ステップS2では、エネルギー管理システム1-1の運転計画策定部1Bが、ステップS1において予測された建物11の熱需要と建物12の熱需要と建物13の熱需要とに基づいて、建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画と建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画と建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画とを策定する。
次いで、ステップS3では、エネルギー管理システム1-1の監視部1Cが、ステップS2において策定された建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画に基づいて建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1に対する運転指令を生成して出力し、ステップS2において策定された建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画に基づいて建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1に対する運転指令を生成して出力し、ステップS2において策定された建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画に基づいて建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1に対する運転指令を生成して出力する。
【0043】
上述したように、第1実施形態の熱融通システム1によれば、複数熱源・複数建物間の熱融通を行うことによって、省エネ化・冗長化を実現することができる。
また、第1実施形態の熱融通システム1では、上述したように、建物11の太陽熱利用システム11Eによって集められた太陽熱(再生可能エネルギー)を建物12、13において利用することができ、建物12の地中熱利用システム12Eによって地中から取り出された地熱(再生可能エネルギー)を建物11、13において利用することができる。つまり、自然エネルギー設備を導入することにより得られる省エネ効果が増大するため、自然エネルギー設備の導入を促進することができる。
更に、第1実施形態の熱融通システム1では、上述したように、熱需要予測部1Aが、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を運転実績に基づいて、建物11、12、13の熱需要を当日補正する。そのため、運転計画策定部1Bが最適な運転計画をリアルタイムに策定して出力することができ、監視部1Cが、最適な運転計画に基づいて、建物11、12、13の熱源機11A、12A、13Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1を適切に運転することができる。
【0044】
上述した第1実施形態の熱融通システム1の第1例では、熱需要予測部1Aと運転計画策定部1Bと監視部1Cとを備えるエネルギー管理システム1-1が、建物11、12、13のうちのいずれかに配置されるか、あるいは、建物11、12、13以外の建物(図示せず)に配置される。
第1実施形態の熱融通システム1の第2例では、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1Aおよび運転計画策定部1Bがクラウドに配置され、エネルギー管理システム1-1の監視部1Cが、建物11、12、13のそれぞれに分散して配置されてもよい。
第1実施形態の熱融通システム1の第3例では、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1Aおよび運転計画策定部1Bが、建物11、12、13のうちのいずれかに配置され、エネルギー管理システム1-1の監視部1Cが、建物11、12、13のそれぞれに分散して配置されてもよい。
第1実施形態の熱融通システム1の第4例では、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1A、運転計画策定部1Bおよび監視部1Cの配置・構成が、第1例~第3例のエネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1A、運転計画策定部1Bおよび監視部1Cの配置・構成とは異なっていてもよい。
【0045】
[第2実施形態]
以下、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の熱融通システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の熱融通システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
上述したように第1実施形態の熱融通システム1では、建物11と建物12と建物13との間で熱融通が行われるが、第2実施形態の熱融通システム1では、建物11と建物12との間で熱融通が行われる。
つまり、第2実施形態の熱融通システム1では、
図1~
図3に示す熱融通配管17B1、17B2と、建物13(熱源機13A、熱源ポンプ13A1、往ヘッダ13B、空調機13C、二次側ポンプ13C1、還ヘッダ13D、未利用エネルギー利用システム13E)とが存在しない。
【0047】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、建物11に、熱源ポンプ11A1を有する熱源機11Aと、往ヘッダ11Bと、二次側ポンプ11C1を有する空調機11Cと、還ヘッダ11Dと、太陽熱利用システム11Eとが配置されている。
他の例では、太陽熱利用システム11Eが建物11に配置されていなくてもよい。
【0048】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、建物12に、熱源ポンプ12A1を有する熱源機12Aと、往ヘッダ12Bと、二次側ポンプ12C1を有する空調機12Cと、還ヘッダ12Dと、地中熱利用システム12Eとが配置されている。
他の例では、地中熱利用システム12Eが建物12に配置されていなくてもよい。
【0049】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cとが、熱媒体搬送用の熱融通配管17を介して接続されている。詳細には、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cとが、建物11の往ヘッダ11Bと熱融通配管17A1と建物12の往ヘッダ12Bとを介して接続されると共に、建物11の還ヘッダ11Dと熱融通配管17A2と建物12の還ヘッダ12Dとを介して接続されている。
【0050】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、熱需要予測部1Aが、建物11の熱源機11Aの運転実績、建物11の外部情報、および、建物11の空調機11Cの運転情報を含む建物11の内部情報に基づいて建物11の熱需要を予測する。
また、熱需要予測部1Aは、建物12の熱源機12Aの運転実績、建物12の外部情報、および、建物12の空調機12Cの運転情報を含む建物12の内部情報に基づいて建物12の熱需要を予測する。
【0051】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、運転計画策定部1Bが、熱需要予測部1Aによって予測された建物11の熱需要と建物12の熱需要とに基づいて、建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画と建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画とを策定する。
詳細には、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源ポンプ11A1と二次側ポンプ11C1とを、逆並列に接続された建物11の熱源ポンプ11A1に相当する電流源である第1建物熱源ポンプ電流源と建物11の二次側ポンプ11C1に相当する電流源である第1建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物11の熱需要を第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1に対応させ(つまり、建物11の熱需要が大きくなるほど、第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画を第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig1aに対応させる(つまり、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig1aが大きくなるほど、建物11の熱源ポンプ11A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、建物12の熱源ポンプ12A1と二次側ポンプ12C1とを、逆並列に接続された建物12の熱源ポンプ12A1に相当する電流源である第2建物熱源ポンプ電流源と建物12の二次側ポンプ12C1に相当する電流源である第2建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物12の熱需要を第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2に対応させ(つまり、建物12の熱需要が大きくなるほど、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画を第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bに対応させる(つまり、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bが大きくなるほど、建物12の熱源ポンプ12A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
【0052】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cとを接続する熱融通配管17A1、17A2を介して搬送される熱媒体の配管抵抗を、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源とを接続する配線の抵抗値(
図2に符号R1で示す)に対応させる(つまり、熱融通配管17A1、17A2、における熱媒体の流れづらさが大きくなるほど、配線の抵抗値R1が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、配線とを含む電気回路における第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aおよび第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bを算出する。
【0053】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、運転計画策定部1Bが、それらに基づき、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig1aに対応する建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画と、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig2bに対応する建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画とを策定する。
他の例では、運転計画策定部1Bが、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、配線とを含む電気回路における第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1および第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2を算出し、それらに基づき、第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il1に対応する建物11の二次側ポンプ11C1の運転計画と、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il2に対応する建物12の二次側ポンプ12C1の運転計画とを策定してもよい。
【0054】
第2実施形態の熱融通システム1の一例では、監視部1Cが、運転計画策定部1Bによって策定された建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画に基づいて建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1に対する運転指令を生成して出力する。また、監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画に基づいて建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1に対する運転指令を生成して出力する。
【0055】
[第3実施形態]
以下、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の熱融通システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の熱融通システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様の効果を奏することができる。
【0056】
図5は電気回路を用いることによって第3実施形態の熱融通システム1の一部を表現した一例を示す図である。
図5に示す例では、熱融通システム1が、建物11と建物12と建物13と建物14との間で熱融通を行う。建物14には、熱源ポンプ14A1を有する熱源機14Aと、往ヘッダ14Bと、二次側ポンプ14C1を有する空調機14Cと、還ヘッダ14Dとが配置されている。
【0057】
図5に示す例では、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cとが、建物11の往ヘッダ11Bと熱融通配管17A1と建物12の往ヘッダ12Bとを介して接続されると共に、建物11の還ヘッダ11Dと熱融通配管17A2と建物12の還ヘッダ12Dとを介して接続されている。また、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cとが、建物12の往ヘッダ12Bと熱融通配管17B1と建物13の往ヘッダ13Bとを介して接続されると共に、建物12の還ヘッダ12Dと熱融通配管17B2と建物13の還ヘッダ13Dとを介して接続されている。更に、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cと、建物14の熱源機14Aおよび空調機14Cとが、建物13の往ヘッダ13Bと熱融通配管17C1と建物14の往ヘッダ14Bとを介して接続されると共に、建物13の還ヘッダ13Dと熱融通配管17C2と建物14の還ヘッダ14Dとを介して接続されている。
【0058】
図5に示す例では、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1Aが、建物11、12、13の熱需要を予測すると共に、建物14の熱源機14Aの運転実績、建物14の外部情報、および、建物14の空調機14Cの運転情報を含む建物14の内部情報に基づいて建物14の熱需要を予測する。
エネルギー管理システム1-1の運転計画策定部1Bは、熱需要予測部1Aによって予測された建物11、12、13、14の熱需要に基づいて、建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画と建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画と建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画と建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1の運転計画とを策定する。
【0059】
詳細には、
図5に示すように、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源ポンプ11A1と二次側ポンプ11C1とを、逆並列に接続された建物11の熱源ポンプ11A1に相当する電流源である第1建物熱源ポンプ電流源と建物11の二次側ポンプ11C1に相当する電流源である第1建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物11の熱需要を第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1に対応させ(つまり、建物11の熱需要が大きくなるほど、第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画を第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aに対応させる(つまり、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aが大きくなるほど、建物11の熱源ポンプ11A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、建物12の熱源ポンプ12A1と二次側ポンプ12C1とを、逆並列に接続された建物12の熱源ポンプ12A1に相当する電流源である第2建物熱源ポンプ電流源と建物12の二次側ポンプ12C1に相当する電流源である第2建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物12の熱需要を第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
2に対応させ(つまり、建物12の熱需要が大きくなるほど、第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
2が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画を第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bに対応させる(つまり、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bが大きくなるほど、建物12の熱源ポンプ12A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
【0060】
更に、運転計画策定部1Bは、建物13の熱源ポンプ13A1と二次側ポンプ13C1とを、逆並列に接続された建物13の熱源ポンプ13A1に相当する電流源である第3建物熱源ポンプ電流源と建物13の二次側ポンプ13C1に相当する電流源である第3建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物13の熱需要を第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3に対応させ(つまり、建物13の熱需要が大きくなるほど、第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il3が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物13の熱源ポンプ13A1の運転計画を第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig3cに対応させる(つまり、第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig3cが大きくなるほど、建物13の熱源ポンプ13A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、建物14の熱源ポンプ14A1と二次側ポンプ14C1とを、逆並列に接続された建物14の熱源ポンプ14A1に相当する電流源である第4建物熱源ポンプ電流源と建物14の二次側ポンプ14C1に相当する電流源である第4建物二次側ポンプ電流源とに置き換えると共に、熱需要予測部1Aによって予測された建物14の熱需要を第4建物二次側ポンプ電流源の電流値Il4に対応させ(つまり、建物14の熱需要が大きくなるほど、第4建物二次側ポンプ電流源の電流値Il4が大きくなる、と考え)、運転計画策定部1Bによって策定される建物14の熱源ポンプ14A1の運転計画を第4建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig4dに対応させる(つまり、第4建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig4dが大きくなるほど、建物14の熱源ポンプ14A1の運転容量の計画値が大きくなる、と考える)。
【0061】
更に、運転計画策定部1Bは、建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cと、建物14の熱源機14Aおよび空調機14Cとを接続する熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2、17C1、17C2を介して搬送される熱媒体の配管抵抗を、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第4建物熱源ポンプ電流源および第4建物二次側ポンプ電流源とを接続する配線の抵抗値(
図5に符号R1、R2、R3で示す)に対応させる(つまり、熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2、17C1、17C2における熱媒体の流れづらさが大きくなるほど、配線の抵抗値R1、R2、R3が大きくなる、と考える)。
また、運転計画策定部1Bは、逆並列に接続された第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、逆並列に接続された第4建物熱源ポンプ電流源および第4建物二次側ポンプ電流源と、配線とを含む電気回路における第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1a、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2b、第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
3cおよび第4建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
4dを算出する。
【0062】
運転計画策定部1Bは、それらに基づき、第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aに対応する建物11の熱源ポンプ11A1の運転計画と、第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bに対応する建物12の熱源ポンプ12A1の運転計画と、第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
3cに対応する建物13の熱源ポンプ13A1の運転計画と、第4建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
4dに対応する建物14の熱源ポンプ14A1の運転計画とを策定する。
エネルギー管理システム1-1の監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画に基づいて建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画に基づいて建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画に基づいて建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1の運転計画に基づいて建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1に対する運転指令を生成して出力する。
その結果、
図5に示す例では、4棟の建物11、12、13、14の相互間で熱融通を行うことによって建物11、12、13、14のそれぞれの熱源機11A、12A、13A、14Aおよび熱源ポンプ11A1、12A1、13A1、14A1の運転効率を向上させることができる。
【0063】
換言すれば、
図5に示す例では、第3実施形態の熱融通システム1の建物11の熱源機11Aの熱源ポンプ11A1および空調機11Cの二次側ポンプ11C1と、建物12の熱源機12Aの熱源ポンプ12A1および空調機12Cの二次側ポンプ12C1と、建物13の熱源機13Aの熱源ポンプ13A1および空調機13Cの二次側ポンプ13C1と、建物14の熱源機14Aの熱源ポンプ14A1および空調機14Cの二次側ポンプ14C1と、熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2、17C1、17C2とが、電気回路の第1建物熱源ポンプ電流源および第1建物二次側ポンプ電流源と、第2建物熱源ポンプ電流源および第2建物二次側ポンプ電流源と、第3建物熱源ポンプ電流源および第3建物二次側ポンプ電流源と、第4建物熱源ポンプ電流源および第4建物二次側ポンプ電流源と、抵抗値R1を有する配線(17A1、17A2)と、抵抗値R2を有する配線(17B1、17B2)と、抵抗値R3を有する配線(17C1、17C2)とに置き換えられる。
【0064】
また、
図5に示す例では、建物11の熱源ポンプ11A1の流量が、建物11の熱源ポンプ11A1に相当する第1建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
1aに置き換えられ、建物11の二次側ポンプ11C1の流量は、建物11の二次側ポンプ11C1に相当する第1建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
1に置き換えられる。建物12の熱源ポンプ12A1の流量は、建物12の熱源ポンプ12A1に相当する第2建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
2bに置き換えられ、建物12の二次側ポンプ12C1の流量は、建物12の二次側ポンプ12C1に相当する第2建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
2に置き換えられる。建物13の熱源ポンプ13A1の流量は、建物13の熱源ポンプ13A1に相当する第3建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
3cに置き換えられ、建物13の二次側ポンプ13C1の流量は、建物13の二次側ポンプ13C1に相当する第3建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
3に置き換えられる。建物14の熱源ポンプ14A1の流量は、建物14の熱源ポンプ14A1に相当する第4建物熱源ポンプ電流源の電流値Ig
4dに置き換えられ、建物14の二次側ポンプ14C1の流量は、建物14の二次側ポンプ14C1に相当する第4建物二次側ポンプ電流源の電流値Il
4に置き換えられる。
建物11の往ヘッダ11Bの揚程がV
1で表され、建物12の往ヘッダ12Bの揚程がV
2で表され、建物13の往ヘッダ13Bの揚程がV
3で表され、建物14の往ヘッダ14Bの揚程がV
4で表され、建物12の還ヘッダ12Dの揚程がV
5で表され、建物13の還ヘッダ13Dの揚程がV
6で表され、建物14の還ヘッダ14Dの揚程がV
7で表される。更に、抵抗値R1を有する熱融通配管17A1、17A2の単位流量当たりの配管抵抗がy
1で表され、抵抗値R2を有する熱融通配管17B1、17B2の単位流量当たりの配管抵抗がy
2で表され、抵抗値R3を有する熱融通配管17C1、17C2の単位流量当たりの配管抵抗がy
3で表される。
図5に示す例では、運転計画策定部1Bが、建物11、12、13、14の熱源機11A、12A、13A、14Aの最適な運転計画を策定するために、下記の連立方程式(6)を解く。
【0065】
【0066】
軸動力は、下記の式(7)のように表すことができる。式(7)においてαはポンプ効率であり、Qは流量であり、Hは揚程である。
軸動力=αQH (7)
【0067】
運転計画策定部1Bは、下記の式(8)を用いることによって、建物11の熱源機11Aの熱源ポンプ11A1の動力P1aと、建物12の熱源機12Aの熱源ポンプ12A1の動力P2bと、建物13の熱源機13Aの熱源ポンプ13A1の動力P3cと、建物14の熱源機14Aの熱源ポンプ14A1の動力P4dとを算出する。式(8)において、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7は式(7)のHに相当する揚程であり、Ig1a、Ig2b、Ig3c、Ig4dは式(7)のQに相当する流量であり、ka、kb、kc、kdは式(7)のαに相当するポンプ効率である。
【0068】
【0069】
運転計画策定部1Bが、式(6)および式(8)を線形計画法で定式化し、建物11、12、13、14の熱源機11A、12A、13A、14Aの電力などと合わせて最適化することによって、熱融通にかかる電力を考慮した建物11、12、13、14の熱源機11A、12A、13A、14Aの最適な運転計画を策定する。
【0070】
[第4実施形態]
以下、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の熱融通システム1は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の熱融通システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の熱融通システム1によれば、後述する点を除き、上述した第3実施形態の熱融通システム1と同様の効果を奏することができる。
【0071】
図6は第4実施形態の熱融通システム1の一例を示す図である。
図6に示す例では、熱融通システム1が、建物11と建物12と建物13と建物14と建物15と建物16との間で熱融通を行う。建物15には、熱源ポンプ(図示せず)を有する熱源機15Aと、往ヘッダ(図示せず)と、二次側ポンプ(図示せず)を有する空調機(図示せず)と、還ヘッダ(図示せず)とが配置されている。建物16には、熱源ポンプ(図示せず)を有する熱源機16Aと、往ヘッダ(図示せず)と、二次側ポンプ(図示せず)を有する空調機(図示せず)と、還ヘッダ(図示せず)とが配置されている。
建物11の熱源機11Aおよび空調機11Cと、建物12の熱源機12Aおよび空調機12Cと、建物13の熱源機13Aおよび空調機13Cと、建物14の熱源機14Aおよび空調機14Cと、建物15の熱源機15Aおよび空調機と、建物16の熱源機16Aおよび空調機とが、熱媒体搬送用の熱融通配管17を介して接続されている。
【0072】
図6に示す例では、エネルギー管理システム1-1の熱需要予測部1Aが、建物11、12、13、14の熱需要を予測すると共に、建物15の熱源機15Aの運転実績、建物15の外部情報、および、建物15の空調機の運転情報を含む建物15の内部情報に基づいて建物15の熱需要を予測し、建物16の熱源機16Aの運転実績、建物16の外部情報、および、建物16の空調機の運転情報を含む建物16の内部情報に基づいて建物16の熱需要を予測する。
エネルギー管理システム1-1の運転計画策定部1Bは、熱需要予測部1Aによって予測された建物11~16の熱需要に基づいて、建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画と建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画と建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画と建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1の運転計画と建物15の熱源機15Aおよび熱源ポンプの運転計画と建物16の熱源機16Aおよび熱源ポンプの運転計画とを策定する。
エネルギー管理システム1-1の監視部1Cは、運転計画策定部1Bによって策定された建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1の運転計画に基づいて建物11の熱源機11Aおよび熱源ポンプ11A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1の運転計画に基づいて建物12の熱源機12Aおよび熱源ポンプ12A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1の運転計画に基づいて建物13の熱源機13Aおよび熱源ポンプ13A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1の運転計画に基づいて建物14の熱源機14Aおよび熱源ポンプ14A1に対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物15の熱源機15Aおよび熱源ポンプの運転計画に基づいて建物15の熱源機15Aおよび熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力し、運転計画策定部1Bによって策定された建物16の熱源機16Aおよび熱源ポンプの運転計画に基づいて建物16の熱源機16Aおよび熱源ポンプに対する運転指令を生成して出力する。
その結果、
図6に示す例では、6棟の建物11~16の相互間で熱融通を行うことによって建物11~16のそれぞれの熱源機および熱源ポンプの運転効率を向上させることができる。
【0073】
[第5実施形態]
以下、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の熱融通システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の熱融通システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様の効果を奏することができる。
【0074】
第5実施形態の熱融通システム1では、5つの建物の間で、あるいは、7以上の建物の間で熱融通が行われる。
【0075】
[第6実施形態]
以下、本発明の熱融通システム、熱融通方法、エネルギー管理システムおよびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の熱融通システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の熱融通システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の熱融通システム1と同様の効果を奏することができる。
【0076】
上述したように、第1実施形態の熱融通システム1(
図2に示す例)では、熱融通配管17A1、17A2、17B1、17B2上にブースターポンプが配置されていないが、第6実施形態の熱融通システム1では、熱融通配管上にブースターポンプが配置されている。
【0077】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態および各例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0078】
なお、上述した実施形態における熱融通システム1が備える各部(例えばエネルギー管理システム1-1等)の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…熱融通システム、1-1…エネルギー管理システム、1A…熱需要予測部、1B…運転計画策定部、1C…監視部、11…建物、11A…熱源機、11A1…熱源ポンプ、11B…往ヘッダ、11C…空調機、11C1…二次側ポンプ、11D…還ヘッダ、11E…太陽熱利用システム、12…建物、12A…熱源機、12A1…熱源ポンプ、12B…往ヘッダ、12C…空調機、12C1…二次側ポンプ、12D…還ヘッダ、12E…地中熱利用システム、13…建物、13A…熱源機、13A1…熱源ポンプ、13B…往ヘッダ、13C…空調機、13C1…二次側ポンプ、13D…還ヘッダ、13E…未利用エネルギー利用システム、14…建物、14A…熱源機、14A1…熱源ポンプ、14B…往ヘッダ、14C…空調機、14C1…二次側ポンプ、14D…還ヘッダ、15…建物、15A…熱源機、16…建物、16A…熱源機、17…熱融通配管、17A1…熱融通配管、17A2…熱融通配管、17B1…熱融通配管、17B2…熱融通配管、17C1…熱融通配管、17C2…熱融通配管