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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125719
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】防災関連機器用アダプタ
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029977
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅人
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA02
5G405FA04
(57)【要約】
【課題】機器収容箱や非常警報設備のサイズの変更に伴うコストアップを回避することができるアダプタを提供する。
【解決手段】防災関連機器の収納部の前方に開閉可能に設けられるパネル部および該パネル部を保持する枠体を備えたベースプレートを埋込みボックスに取り付けるための防災関連機器用アダプタにおいて、前記枠体の開口に対応した大きさの開口を有する平板状のアダプタ本体と、ベースプレートと同一の厚さを有しアダプタ本体の前面のアダプタ本体が存在しない部位に接合され段差をなくすための化粧用パネルとを備え、アダプタ本体は少なくとも上下高さがベースプレートよりも大きな形状を有しており、4隅にはアダプタ本体を埋込みボックスに取り付けるための固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、アダプタ本体の開口の縁部の4隅には、ベースプレートを当該アダプタ本体に取り付けるための固定用ネジが螺合されるネジ穴を設けた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも押ボタンを備えた発信機を有し防災関連機器の収納部の前方に開閉可能に設けられるパネル部および該パネル部を保持する枠体を備えたベースプレートを埋込みボックスに取り付けるための防災関連機器用アダプタであって、
前記枠体の開口に対応した大きさの開口を有する平板状のアダプタ本体と、
前記ベースプレートと同一の厚さを有し、前記ベースプレートを前記アダプタ本体の前面に取り付けた状態で、前記アダプタ本体の前面の前記アダプタ本体が存在しない部位に接合され、前記ベースプレートと前記アダプタ本体との段差をなくすための化粧用パネルと、を備え、
前記アダプタ本体は、少なくとも上下高さが前記ベースプレートよりも大きな形状を有しており、
前記アダプタ本体の4隅には、当該アダプタ本体を前記埋込みボックスに取り付けるための第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
前記アダプタ本体の前記開口の縁部の4隅には、前記ベースプレートを当該アダプタ本体に取り付けるための第2固定用ネジが螺合されるネジ穴が形成されていることを特徴とする防災関連機器用アダプタ。
【請求項2】
前記アダプタ本体の前記開口は1つであって当該アダプタ本体の上部または下部に設けられ、前記化粧用パネルは前記アダプタ本体の下部または上部に取り付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防災関連機器用アダプタ。
【請求項3】
前記アダプタ本体の4隅に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記アダプタ本体の背面側に設けられ前記第1固定用ネジのネジ部が挿通される小径部と、前記アダプタ本体の前面側に設けられ前記第1固定用ネジの頭部が嵌合される大径部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の防災関連機器用アダプタ。
【請求項4】
前記枠体には、前記アダプタ本体の前記ネジ挿通孔に対応する部位に前記第1固定用ネジが挿通される第1ネジ挿通孔が形成され、
前記枠体に設けられた前記第1ネジ挿通孔は、前記第1固定用ネジの頭部の径よりも大きい径を有するように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防災関連機器用アダプタ。
【請求項5】
前記アダプタ本体の前記開口の縁部の4隅には、前記埋込みボックスのネジ穴に対応する部位に前記第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
前記枠体の4隅には、前記埋込みボックスの前記ネジ穴の横方向間隔と同一の間隔をおいて前記第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の防災関連機器用アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時に警報を発するために建物の壁部に設けられる火災発信機を備えた防災関連機器の取付け用アダプタに関し、警報を発するための火災発信機及びベルやスピーカを備えた機器収容箱もしくは非常警報設備の取付けに利用して有効なアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内部には火災の発生を知らせるために、火災発信機(以下、単に発信機と記す)や表示灯などの防災関連機器と火災受信機からなる火災報知システム(火災報知設備)が設けられている。火災報知システムを構成する防災関連機器には、発信機及びベルやスピーカ、表示灯を前面に備え建物の壁部に設置された機器収容箱もしくは非常警報設備がある。機器収容箱と非常警報設備とは、発信機が操作された際に生成される火災発生を知らせる信号の送信先が異なるが、類似の構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-196742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、小型化を目的として表示灯と発信機の一体化が進められており、機器収容箱や非常警報設備においても表示灯一体型の発信機を用いることで小型化が進められているが、既存の設備においては従来の大型のものを設置するためのボックスが壁に埋め込まれており、その交換は容易ではない。そのため、既設の埋込ボックスに適合するサイズのベースプレートを別途設計し生産する必要が生じている。
しかしながら、埋込ボックスが交換できない以上、リニューアルのため新たな機器収容箱や非常警報設備を製作する度に、既設の埋込ボックスに適合するサイズのベースプレートを設計し生産することはコストアップに繋がるため、回避したいという要求がある。
【0005】
また、発信機の取付け位置は、その操作部(押しボタン)が床面から高さ80~150cmの間に存在するように設置することが法律(消防法)上で定められているが、リニューアルの際に一部ユニットを削減することで、ベースプレートに変更が生じそれに伴い発信機の位置が変わり、操作部の位置が、法律で規定された高さに適合しなくなるおそれがあるという課題があることが明らかとなった。
【0006】
なお、本願発明に関連する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1の発明は、機器収納箱の正面に略全面に渡る凹陥状であって略平面状の取付け面を形成し、この取付け面に色彩板を固定するようにしたものである。しかし、この先行発明は、機器収納箱の露出部分を略全面に渡って覆う色彩板を設けることで、周囲の壁面と調和させ、機器収納箱の意匠性を向上させるようにしたもので、機器収容箱のリニューアル時におけるサイズの変更に伴うコストアップを回避するためのものでない。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、機器収容箱や非常警報設備のリニューアル時におけるサイズの変更に伴うコストアップを回避することができる防災関連機器用アダプタを提供することにある。
本発明の他の目的は、機器収容箱や非常警報設備のリニューアルの際に、機器収容箱や非常警報設備における一部の部品やユニットの削減により機器の上下長さが小さくなることで発信機の位置が変わって規定の高さに適合しなくなるのを回避することができる防災関連機器用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
少なくとも押ボタンを備えた発信機を有し防災関連機器の収納部の前方に開閉可能に設けられるパネル部および該パネル部を保持する枠体を備えたベースプレートを埋込みボックスに取り付けるための防災関連機器用アダプタであって、
前記枠体の開口に対応した大きさの開口を有する平板状のアダプタ本体と、
前記ベースプレートと同一の厚さを有し、前記ベースプレートを前記アダプタ本体の前面に取り付けた状態で、前記アダプタ本体の前面の前記アダプタ本体が存在しない部位に接合され、前記ベースプレートと前記アダプタ本体との段差をなくすための化粧用パネルと、を備え、
前記アダプタ本体は、少なくとも上下高さが前記ベースプレートよりも大きな形状を有しており、
前記アダプタ本体の4隅には、当該アダプタ本体を前記埋込みボックスに取り付けるための第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
前記アダプタ本体の前記開口の縁部の4隅には、前記ベースプレートを当該アダプタ本体に取り付けるための第2固定用ネジが螺合されるネジ穴が形成されているようにしたものである。
【0009】
上記構成のアダプタによれば、既設の埋込みボックスの前部に、機器収容箱や非常警報設備の表示灯および発信機を表示灯付き発信機に置き換える場合に、既設の埋込ボックスに適合するサイズのベースプレートを設計し生産する必要がないため、機器収容箱や非常警報設備のリニューアル時におけるサイズの変更に伴うコストアップを回避することができる。また、埋込みボックスの前部のサイズとベースプレートのサイズとが異なっても、アダプタによって、サイズ差に起因して開口が生じるのを回避することができる。
また、化粧用パネルを備えているため、アダプタの前面とベースプレートの前面との段差がなくなり、見栄えを向上させることができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記アダプタ本体の前記開口は1つであって当該アダプタ本体の上部または下部に設けられ、前記化粧用パネルは前記アダプタ本体の下部または上部に取り付けられるようにする。
かかる構成によれば、アダプタ本体を上下逆さにしてもベースプレートを取り付けることができるため、機器収容箱や非常警報設備のリニューアルの際に、機器収容箱や非常警報設備における一部の部品やユニットの削減により、機器の上下長さが小さくなることで発信機の位置が変わって、規定の高さに適合しなくなるのを回避することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記アダプタ本体の4隅に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記アダプタ本体の背面側に設けられ前記第1固定用ネジのネジ部が挿通される小径部と、前記アダプタ本体の前面側に設けられ前記第1固定用ネジの頭部が嵌合される大径部を有しているように構成する。
かかる構成によれば、アダプタ本体を埋込みボックスの前部に取り付けるための固定用ネジの頭がベースプレートと干渉するのを回避することができる。
【0012】
さらに、望ましくは、 前記枠体には、前記アダプタ本体の前記ネジ挿通孔に対応する部位に前記第1固定用ネジが挿通される第1ネジ挿通孔が形成され、
前記枠体に設けられた前記第1ネジ挿通孔は、前記第1固定用ネジの頭部の径よりも大きい径を有するように形成されているように構成する。
かかる構成によれば、アダプタ本体を埋込みボックスの前部に取り付けるための固定用ネジの頭がベースプレートと干渉するのを回避することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記アダプタ本体の前記開口の縁部の4隅には、前記埋込みボックスのネジ穴に対応する部位に前記第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
前記枠体の4隅には、前記埋込みボックスの前記ネジ穴の横方向間隔と同一の間隔をおいて前記第1固定用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成されているように構成する。
かかる構成によれば、ベースプレートとアダプタを共通のネジで同時に埋込みボックスの前部に取り付けることができるため、使用する固定用ネジの本数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る防災関連機器用アダプタによれば、機器収容箱や非常警報設備のリニューアル時におけるサイズの変更に伴うコストの上昇を回避することができる。また、機器収容箱や非常警報設備のリニューアルの際に、機器収容箱や非常警報設備における一部の部品やユニットの削減により機器の高さが小さくなることで発信機の位置が変わって規定の高さに適合しなくなるのを回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る防災関連機器用アダプタの第1の実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1に示すアダプタを用いたベースプレートの取付けの様子と取付け後の状態を示す斜視図である。
図3】防災関連機器用アダプタの第2の実施形態を示す分解斜視図である。
図4】第2実施形態のアダプタの取付けの様子と取付け後の状態を示す斜視図である。
図5】防災関連機器用アダプタの第3の実施形態を示す分解斜視図である。
図6】第3実施形態のアダプタの取付けの様子と取付け後の状態を示す斜視図である。
図7】防災関連機器用アダプタの第4の実施形態を示す分解斜視図である。
図8】防災関連機器用アダプタの第4の実施形態の他の形態を示す斜視図である。
図9】防災関連機器用アダプタの第5の実施形態を示す分解斜視図である。
図10】第5実施形態のアダプタの取付けの様子を示す斜視図である。
図11】(A)は従来の機器収容箱の構成例を示す分解斜視図、(B)は従来の埋込みボックスにリニューアル後の機器収容箱用扉を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用した防災関連機器用アダプタの実施形態について説明するが、先ず、本実施形態の防災関連機器用アダプタが使用される既設の機器収容箱の構成について説明する。
既設の一般的な機器収容箱は、図11(A)に示すように、前面に表示灯31とベルやスピーカの音響穴32と発信機33とが設けられた前面用扉(ベースプレート)34が、建物の壁の内部に設置された埋込みボックス35の前端縁部を90度内側へ折り曲げて形成した折曲片の4隅に設けられたネジ穴35aを利用してネジによって固定されていた。
【0017】
また、従来の機器収容箱は表示灯31と発信機33が別々に設けられているものが一般的であるとともに、表示灯31には砲弾型のものが使用されていた。しかし、砲弾型の表示灯は出っ張り量が大きく、通行等の際の障害となる場合もあるため、フラット型の表示灯に置き替えたものが実用化されている。さらに、表示灯を一体に備えた表示灯付き発信機も普及してきている。そのため、既存の機器収容箱に対しても、表示灯付き発信機に置き替えたいという要求がある。
【0018】
しかし、従来の表示灯31と音響穴32と発信機33とが設けられた機器収容箱から表示灯31および発信機33を外して、表示灯付き発信機を取り付けた場合、ベースプレートとなる前面用扉34を従来のままの大きさにすると、既設の埋込みボックス35に設置するのには便利であるが、新規に設置することもあるので、発信機のリニューアルに合わせて前面用扉34を小型化することが要求されている。ところが、前面用扉34を小型化すると、図11(B)に示すように、既設の埋込みボックス35に設置する際に開口が生じてしまうことになる。本発明は、この開口が生じるのを回避しつつベースプレート30を既設の埋込みボックス35に設置可能にするアダプタを提供するものである。以下、このアダプタの実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1および図2には本発明に係る第1の実施形態のアダプタが示されている。
本実施形態のアダプタ10は、図1に示すように、外形が既設の埋込みボックス35と同一の大きさを有し開口11Aを備えた平板状のアダプタ本体11により構成されており、このアダプタ本体11の4隅には、ネジ(雄ネジ)を挿通するためのネジ挿通孔12aが設けられている。このネジ挿通孔12aにネジを挿通して、埋込みボックス35の4隅に設けられているネジ穴35a(雌ネジ)に螺合させることで、アダプタ本体11を埋込みボックス35の前面に固定することができる。
【0020】
また、小型化された機器収容箱用のベースプレート30は、音響穴32と表示灯付き発信機33とを備えたパネル部36と開口37Aを有する矩形状の枠体37とにより構成され、パネル部36が枠体37に対して開閉可能に取り付けられている。枠体にはネジ挿通孔37aが設けられている。アダプタ本体11には、枠体37の開口37Aに対応した大きさの開口11Aが形成されている。そして、アダプタ本体11の開口11Aの縁部に、機器収容箱用のベースプレート30をネジ挿通孔37aを介して当該アダプタ本体11に固定するためのネジを螺合させるためのネジ穴12bが形成されている。
【0021】
図2には、本実施形態のアダプタ10を用いて機器収容箱用のベースプレート30を埋込みボックス35の前面に取り付ける様子と、固定後の状態が示されている。本実施形態のアダプタ10によれば、図2(B)に示すように、小型化された機器収容箱用のベースプレート30を埋込みボックス35の前面に取り付けたとしても、開口が生じないようにすることができる。
なお、機器収容箱用のベースプレート30の表示灯付き発信機33は、中央に発信機用の押しボタン33aが設けられ、その両側に一対の弓形をなす表示灯33bが配設されている。
【0022】
(第2実施形態)
図3および図4には本発明に係る第2実施形態のアダプタが示されている。
本実施形態のアダプタ10は、図3に示すように、アダプタ10の開口11Aの上方と下方に、機器収容箱用のベースプレート30の厚さと同一の厚さを有する化粧用パネル14A,14Bをネジによって取り付けるようにしたものである。
【0023】
第1実施形態のアダプタは、図2(B)に示すように、機器収容箱用のベースプレート30を埋込みボックス35の前面に取り付けた際に、ベースプレート30の前面とアダプタ10の前面との間に段差が生じてしまうが、本実施形態のアダプタ10は化粧用パネル14A,14Bを備えているため、図4(B)に示すように、段差がなくなり見栄えを向上させることができるという利点がある。
【0024】
(第3実施形態)
図5および図6には本発明に係る第3実施形態のアダプタが示されている。
本実施形態のアダプタ10は、図5に示すように、アダプタ10の開口11Aをアダプタ本体11の下部(または上部のいずれか一方)に形成して、その前方にベースプレート30を配設するとともに、開口11Aのない側の前面に化粧用パネル14を1つ取り付けるように構成したものである。
【0025】
本実施形態のアダプタ10によれば、図6に示すように、アダプタ本体11を上下逆にすることで、ベースプレート30を取り付ける位置を変えることができ、それによって表示灯付き発信機33の床面からの高さを変えることができる。
その結果、既設の埋込みボックス35が、発信機の押しボタン33aの高さが規定されている高さ範囲の上限または下限ぎりぎりになるように配設されていた場合にも、図6の(A)または(B)のいずれかの姿勢でアダプタ本体11を埋込みボックス35に固定することによって、発信機の押しボタン(33a)の高さを規定の範囲内に収めることができる。
【0026】
(第4実施形態)
図7および図8には本発明に係る第4実施形態のアダプタが示されている。
本実施形態のアダプタ10は、アダプタ本体11を埋込みボックス35に取り付けるためのネジの頭がベースプレート30と干渉しないように工夫したものである。
【0027】
本実施形態においては、図7(A)に示すようにアダプタ本体11の4隅の外寄りの位置にアダプタ本体11を埋込みボックス35に取り付けるためのネジの挿通孔12aが設けられ、このネジ挿通孔12aよりも内寄りの位置と開口11Aの化粧用パネル14側の縁部にベースプレート30をアダプタ本体11に取り付けるためのネジを螺合させるネジ穴12bがそれぞれ設けられている。そして、このうちネジ挿通孔12aの周囲に、図7(B)に示すように、ネジ15の頭部を収納する凹部からなる干渉防止穴12cが設けられている。これにより、ネジ15の頭部がベースプレート30の枠体37と干渉するのを回避することができる。ネジ15の下方のネジ16は、ネジ穴12bに螺合されることでベースプレート30をアダプタ本体11に取り付けるためのネジである。
【0028】
図8に示す実施形態は、ベースプレート30の枠体37の4隅の開口寄りの位置にベースプレート30をアダプタ本体11に取り付けるためのネジ16の挿通孔37aをそれぞれ設けるとともに、枠体37の4隅の挿通孔37aよりも外寄りの位置に、アダプタ本体11を埋込みボックス35に取り付けるためのネジの頭部がベースプレート30に干渉しないようにするための干渉防止孔37cを設けるようにしたものである。従って、干渉防止孔37cの径は、固定用のネジ15の頭部の径よりも大きな値となる。
ベースプレート30の枠体37の下部にも上部と同様に干渉防止孔37cを設けているのは、図6(A),(B)に示すように、ベースプレート30をアダプタ10の上側に偏位して設置した場合も下側に偏位して設置した場合も、固定用のネジ15の頭部がベースプレート30の枠体37と干渉するのを回避できるようにするためである。
【0029】
(第5実施形態)
図9および図10には本発明に係る第5実施形態のアダプタが示されている。
本実施形態のアダプタ10は、使用するネジの個数を他の実施形態に比べて低減可能なように工夫したものである。
具体的には、図9に示すように、ベースプレート30の枠体37の4隅の開口寄りの位置にベースプレート30をアダプタ本体11に取り付けるためのネジの挿通孔37aを、またその外側に埋込みボックス35へ固定するネジの挿通孔37bをそれぞれ設けるとともに、アダプタ本体11の4隅にネジの挿通孔12aを設け、アダプタ本体11の開口11Aの4隅のうち中央寄りの縁部に、ベースプレート30の枠体37をアダプタ本体11に取り付けるための2つのネジ穴12bを設けている。
【0030】
上記のように構成しているのは、ベースプレート30に対して、埋込みボックス35のネジ穴35aと同じ幅でネジ挿通孔を設けてしまうと高さ方向の長さの違いから上側2つ又は下側2つしか埋込みボックスへネジを取り付けられないので、埋込みボックス35のネジ穴35aよりも小さい幅でネジ挿通孔37aを設ける必要があり、埋込みボックス35へ直接取付け可能なネジ挿通孔37bとアダプタ本体11へのみ取付け可能なネジ挿通孔37aの両方を設ける必要があるためである。
【0031】
上記のように構成することにより、図10に示すように、ベースプレート30の枠体37の挿通孔37aとアダプタ本体11のネジの挿通孔12aに共通のネジを挿通して、埋込みボックス35のネジ穴35aに螺合させることで、固定用のネジの数を第1~第4の実施形態に比べて減らすことができる。
なお、図9に破線で示すように、アダプタ本体11の開口11Aの4隅のうち上寄りの縁部にも、ベースプレート30の枠体37をアダプタ本体11に取り付けるための2つのネジ穴12bを設ける、つまり開口11Aの4隅のすべてにネジ穴12bを設けるようにしても良い。これにより、ベースプレート30とアダプタ本体11を1つのネジで同時に埋込みボックス35に固定することも、ベースプレート30をアダプタ本体11に固定してからベースプレート30を埋込みボックス35に固定することも可能となる。
【0032】
上記のように構成された第1~第4の実施形態のアダプタによれば、従来の機器収容箱の発信機を表示灯付き発信機に置き替えて小型化を図るリニューアルを行う際に、機器収容箱のベースプレート30を埋込みボックスに合わせて大きなものを設計し製造する必要がないとともに、化粧用パネルを使用することでアダプタ10と機器収容箱のベースプレート30との間に段差が生じるのを回避して見栄えを向上させることができる。
【0033】
また、アダプタ10の上下姿勢を変えることで表示灯付き発信機33の高さを調整することができる。さらに、干渉防止孔を設けることで、埋込みボックス35へのアダプタ10の取付けとアダプタ10への機器収容箱のベースプレート30の取付けを別々に行う場合に、ネジの頭部と機器収容箱のベースプレート30とが干渉するのを回避することができる。また、埋込みボックス35へアダプタ10と機器収容箱のベースプレート30の取付けを1つのネジで同時に行えるようにすることで、使用する固定用ネジの個数を低減することができる。
【0034】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではない。 例えば、化粧用パネル14A、14Bは、少なくとも機器収容箱のベースプレート30に接する面だけが機器収容箱のベースプレート30と同一の厚みであればよく、埋込みボックス35の上端や下端に近づくにつれて薄くなるような傾斜等を持たせていてもよい。
また、化粧用パネル14A、14Bはアダプタ本体11と一体で構成されていてもよく、またネジ以外の手段でアダプタ本体11に取り付けられるようにしていてもよい。
【0035】
また、機器収容箱のベースプレート30は、パネル部36と枠体37とが一体であってもよい。その場合、機器収容箱のベースプレート30に音響穴32や表示灯付き発信機33が備えられるとともに、ネジ挿通孔が設けられていればよい。
また、アダプタ10の表面にはネジ部が露出することとなるが、例えば樹脂製のネジキャップやシール等で隠すことが好ましい。これにより意匠性の向上の他、ネジ部に対するいたずら防止の効果が期待できる。
【0036】
さらに、図3および図4に示す第2実施形態のアダプタは、アダプタ本体11の中央に開口11Aを1つ設けて上下に化粧用パネル14A,14Bを配設しているが、機器収容箱用のベースプレート30を、音響穴32用のベースプレートと表示灯付き発信機33用のベースプレートの2つに分けて構成するとともに、アダプタ本体11の中央に開口11Aの一部を覆う化粧用パネルを1つ配設して、その上下にそれぞれ音響穴用と表示灯付き発信機用のベースプレートを取り付けて、段差をなくすように構成しても良い。
【0037】
また、前記実施形態では、化粧用パネル14A,14Bを固定するネジの挿通孔については説明を省略したが、小径部と大径部とからなる図7(B)のネジ挿通孔(12a,12c)と同様な構造にしても良いし、小径部のみからなるネジ挿通孔としても良い。
さらに、前記実施形態では、本発明を、火災報知システムを構成する機器収容箱に適用したものを説明したが、本発明は機器収容箱に限定されず、非常警報設備に利用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 アダプタ
11 アダプタ本体
11A 開口
12a ネジ挿通孔
12b ネジ穴
12c 干渉防止穴
14A,14B 化粧用パネル
15,16 固定用のネジ
30 ベースプレート
31 表示灯
32 音響穴
33 発信機
34 前面用扉
35 埋込みボックス
35a ネジ穴
36 パネル部
37 枠体
37A 開口
37a,37b ネジ挿通孔
37c 干渉防止孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11