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特開2023-125736緑色蛍光体および緑色蛍光体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125736
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】緑色蛍光体および緑色蛍光体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/80 20060101AFI20230831BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C09K11/80
C09K11/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030003
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健司
(72)【発明者】
【氏名】岩城 将人
【テーマコード(参考)】
4H001
【Fターム(参考)】
4H001CA02
4H001CF02
4H001XA08
4H001XA13
4H001XA21
4H001XA39
4H001XA40
4H001XA56
4H001XA90
4H001YA58
(57)【要約】
【課題】比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体を提供すること、また、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の緑色蛍光体は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とすることを特徴とする。R3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率が、0.10mol%以上1.00mol%以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とすることを特徴とする緑色蛍光体。
【請求項2】
3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率が、0.10mol%以上1.00mol%以下である請求項1に記載の緑色蛍光体。
【請求項3】
前記複酸化物は、BaAlZrO13を母相とする第1の複酸化物、および、BaAlZrOを母相とする第2の複酸化物を含むものである請求項1または2に記載の緑色蛍光体。
【請求項4】
緑色蛍光体中における前記第1の複酸化物:100質量部に対する前記第2の複酸化物の含有量は、1質量部以上10質量部以下である請求項3に記載の緑色蛍光体。
【請求項5】
原料としてのBa源の物質、R源の物質(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、Al源の物質およびZr源の物質を混合する混合工程と、
前記混合物に対して、熱処理を行う熱処理工程とを有することを特徴とする緑色蛍光体の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理工程は、1200℃以上1600℃以下で、3時間以上6時間以下の熱処理を行うものである請求項5に記載の緑色蛍光体の製造方法。
【請求項7】
前記Ba源の物質、前記R源の物質、前記Al源の物質および前記Zr源の物質として、それぞれ、炭酸金属塩および金属酸化物のうちの少なくとも一方を用いる請求項5または6に記載の緑色蛍光体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色蛍光体および緑色蛍光体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色LEDは、青色LEDチップ上に黄色蛍光体を配置させて発光させる。三原色を含むことが必要な液晶ディスプレイのバックライトのような、高演色型の白色LEDでは、青色LEDと緑色蛍光体と橙~赤色蛍光体との組み合わせによる白色が使用される。白色LEDの高演色性と発光効率とを両立するためには、橙~赤色蛍光体とともに、高効率で発光する緑色蛍光体が求められている。
【0003】
現在の緑色蛍光体には、βサイアロンと呼ばれる、Eu2+をドープした酸窒化物系の蛍光体が用いられている(特許文献1~4参照)。
【0004】
しかしながら、発光イオンとしてのEu2+は、高価である。また、母体である酸窒化物の合成には高温を必要とする。高温処理には特別な設備等が必要とされるため、製造コストがかさむという問題があった。
【0005】
そのため、比較的安価な酸化物を母体とし、比較的安価なCe3+を発光イオンとして用いた緑色蛍光体が求められていたが、そのような緑色蛍光体は、得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-255895号公報
【特許文献2】特開2011-174015号公報
【特許文献3】特開2007-326981号公報
【特許文献4】特開2013-173868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体を提供すること、また、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の緑色蛍光体は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とすることを特徴とする。
【0009】
本発明の緑色蛍光体では、R3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率が、0.10mol%以上1.00mol%以下であるのが好ましい。
【0010】
本発明の緑色蛍光体では、前記複酸化物は、BaAlZrO13を母相とする第1の複酸化物、および、BaAlZrOを母相とする第2の複酸化物を含むものであるのが好ましい。
【0011】
本発明の緑色蛍光体では、緑色蛍光体中における前記第1の複酸化物:100質量部に対する前記第2の複酸化物の含有量は、1質量部以上10質量部以下であるのが好ましい。
【0012】
本発明の緑色蛍光体の製造方法は、原料としてのBa源の物質、R源の物質(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、Al源の物質およびZr源の物質を混合する混合工程と、
前記混合物に対して、熱処理を行う熱処理工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の緑色蛍光体の製造方法では、前記熱処理工程は、1200℃以上1600℃以下で、3時間以上6時間以下の熱処理を行うものであるのが好ましい。
【0014】
本発明の緑色蛍光体の製造方法では、前記Ba源の物質、前記R源の物質、前記Al源の物質および前記Zr源の物質として、それぞれ、炭酸金属塩および金属酸化物のうちの少なくとも一方を用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体を提供すること、また、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の緑色蛍光体の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。
図2】実施例1における緑色蛍光体の製造方法の工程を示すフローチャートである。
図3】実施例1の緑色蛍光体についての光ルミネセンスの測定結果を示す図である。
図4】実施例1および比較例1の緑色蛍光体についての減衰曲線を示す図である。
図5】実施例1および比較例1の緑色蛍光体についての熱ルミネセンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]緑色蛍光体
まず、本発明の緑色蛍光体について説明する。
【0018】
本発明の緑色蛍光体は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とすることを特徴とする。
【0019】
このような構成により、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体を提供することができる。特に、この緑色蛍光体では、青色光を吸収して高効率で緑色発光する。
【0020】
これに対し、上記のような条件を満足しないと、上記のような優れた効果が得られない。
【0021】
例えば、Baの含有量に対するR(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)の含有量の比率が小さすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0022】
また、例えば、Baの含有量に対するRの含有量の比率が大きすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0023】
また、Baの含有量に対するAlの含有量の比率が小さすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0024】
また、例えば、Baの含有量に対するAlの含有量の比率が大きすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0025】
また、Baの含有量に対するZrの含有量の比率が小さすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0026】
また、例えば、Baの含有量に対するZrの含有量の比率が大きすぎると、緑色蛍光体の発光特性を十分に優れたものとすることができない。
【0027】
また、本発明の緑色蛍光体が、希土類元素Rを含むことにより、トラップ深さの制御により残光時間を好適に調整することができる。
【0028】
希土類元素Rとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができるが、Sc、Y、Gd、Ce、Dy、Pr、Sm、NdおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、Sc、Y、Gd、Ce、Dy、PrおよびSmよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがより好ましく、Sc、Y、GdおよびCeよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0029】
前述したように、本発明の緑色蛍光体を構成する前記複酸化物中におけるBa:100質量部に対するR(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)の含有量は、10質量部以上40質量部以下であるが、11質量部以上35質量部以下であるのが好ましく、12質量部以上30質量部以下であるのがより好ましく、13質量部以上25質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0030】
また、前述したように、本発明の緑色蛍光体を構成する前記複酸化物中におけるBa:100質量部に対するAlの含有量は、20質量部以上40質量部以下であるが、21質量部以上38質量部以下であるのが好ましく、22質量部以上35質量部以下であるのがより好ましく、23質量部以上30質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0031】
また、前述したように、本発明の緑色蛍光体を構成する前記複酸化物中におけるBa:100質量部に対するZrの含有量は、0質量部以上20質量部以下であるが、1質量部以上18質量部以下であるのが好ましく、2質量部以上16質量部以下であるのがより好ましく、3質量部以上14質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0032】
本発明の緑色蛍光体におけるR3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率は、0.10mol%以上1.00mol%以下であるのが好ましく、0.20mol%以上0.80mol%以下であるのがより好ましく、0.30mol%以上0.60mol%以下であるのがさらに好ましい。
【0033】
これにより、輝度飽和や濃度消光の発生が効果的に抑制され、緑色蛍光体は、より優れた緑色発光特性を示すものとなる。
特に、高輝度の青色LEDで励起されても、十分に高い発光強度を有するものとなる。
【0034】
これに対し、R3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率が前記下限値未満であると、励起光を十分に吸収・変換することが困難となり、その結果、入射光の強度を増していくにつれて、緑色蛍光体からの光出力の伸びが比例関係からずれて飽和していく、言い換えると、発光効率が徐々に低下していく、いわゆる輝度飽和が発生する可能性がある。
【0035】
また、R3+の含有率に対するCe3+の含有率が前記上限値を超えると、発光中心イオンの濃度増加にともない緑色蛍光体の発光強度が低下する、言い換えると、発光効率が低下する、いわゆる濃度消光が発生する可能性がある。
【0036】
本発明の緑色蛍光体を構成する前記複酸化物は、BaAlZrO13を母相とする第1の複酸化物、および、BaAlZrOを母相とする第2の複酸化物を含むものであることが好ましい。
【0037】
本発明の緑色蛍光体が、母体である複酸化物として、第1の複酸化物であるBaAlZrO13を含むことにより、Ce3+を発光イオンとして緑色発光を示すことができる。この緑色発光は、発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が狭い、言い換えると、狭帯域での発光となる。これにより、この緑色蛍光体は、より高効率で緑色発光するものとなる。
【0038】
さらに、緑色蛍光体が、第2の複酸化物であるBaAlZrOを含むことにより、第1の複酸化物であるBaAlZrO13にCe3+を賦活した蛍光特性と比較して発光強度が1.2倍程度増大する。
【0039】
緑色蛍光体中における第1の複酸化物:100質量部に対する第2の複酸化物の含有量は、1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上8質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上6質量部以下であることがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0040】
前述したように、本発明の緑色蛍光体を構成する主成分としての複酸化物は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有するものであるが、当該複酸化物は、さらに、他の金属元素を含んでいてもよい。以下、このような金属元素を「その他の金属元素」という。
【0041】
その他の金属元素としては、例えば、Ca、Mg、Ga、Ge、Si、Li、Na等が挙げられ、本発明の緑色蛍光体は、これらから選択される1種または2種以上を含むことができる。
【0042】
前記複酸化物が、その他の金属元素として、Ca、Mg、Li、NaおよびSiよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであると、緑色蛍光体の蛍光ピーク波長を好適に長波長にシフトさせることができる。
【0043】
また、前記複酸化物が、その他の金属元素として、GaおよびGeよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであると、緑色蛍光体の蛍光ピーク波長を好適に短波長にシフトさせることができる。
【0044】
前記複酸化物がその他の金属元素を含むものである場合、前記複酸化物中におけるBaの含有量に対するその他の金属元素の含有量の比率は、35mol%以下であるのが好ましく、30mol%以下であるのがより好ましく、25mol%以下であるのがさらに好ましい。
【0045】
また、本発明の緑色蛍光体は、前記複酸化物以外の成分を含んでいてもよい。ただし、本発明の緑色蛍光体中における前記複酸化物以外の成分の含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以下であるのがさらに好ましい。言い換えると、本発明の緑色蛍光体中における前記複酸化物(主成分としての前記複酸化物)の含有率は、90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上であるのがより好ましく、97質量%以上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0046】
例えば、本発明の緑色蛍光体がフラックスを含んでいてもよいが、本発明の緑色蛍光体におけるフラックスの含有率は、0.001質量%未満であるのが好ましく、0.0005質量%以下であるのがより好ましい。
【0047】
フラックスには毒性を有するものがあり、このような成分の含有率を十分に低くすること、すなわち、このような成分を実質的に含有しないことにより、緑色蛍光体の製造過程における安全性、製造された緑色蛍光体を使用する者等の安全性を確保するうえで有利である。また、上記のようにフラックスの含有率が十分に低いと、緑色蛍光体中に、蓄光、発光に寄与しない成分の含有率を低くすることができ、緑色蛍光体全体としての発光特性をより優れたものとすることができる。
【0048】
緑色蛍光体に含まれるフラックスは、通常、製造時の原料混合物に添加されるフラックス(例えば、硼素化合物)によるものである。後述するように、本発明に係る緑色蛍光体の製造方法では、各成分(特に、Ce3+)を十分に反応させることができ、原料混合物にフラックスを添加する必要がない。したがって、本発明に係る緑色蛍光体中において、フラックスを実質的に含有しないものとすることができ、フラックスの含有率について、上記のような条件を満足するものとすることができる。
【0049】
[2]緑色蛍光体の製造方法
次に、本発明の緑色蛍光体の製造方法について説明する。
図1は、本発明の緑色蛍光体の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。
【0050】
本発明の緑色蛍光体の製造方法は、原料としてのBa源の物質、R源の物質(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、Al源の物質およびZr源の物質を混合する混合工程と、前記混合物に対して、熱処理を行う熱処理工程とを有することを特徴とする。
【0051】
これにより、比較的安価な酸化物を母体とし、発光イオンとしてCe3+を用いた緑色蛍光体を安定して製造することができる緑色蛍光体の製造方法を提供することができる。特に、この緑色蛍光体では、青色光を吸収して高効率で緑色発光することができる。
【0052】
特に、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とする緑色蛍光体を好適に製造することにより、上記のような効果が得られる。
【0053】
このような優れた効果が得られるのは、原料混合物に対して、熱処理を行うことにより、従来では得られていなかった、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とする緑色蛍光体が得られるためである。
【0054】
以下、各工程について説明する。
[2-1]混合工程
混合工程では、Ba源の物質、R源の物質(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、Al源の物質およびZr源の物質を混合して原料混合物を得る。原料混合物には、さらに、Ce源の物質を混合してもよい。
【0055】
なお、原料混合物へのCe源の混合タイミング(添加タイミング)は、限定されず、例えば、他の元素源とともに混合してもよいし、他の元素源を混合して得られた原料混合物に後から添加してもよい。
【0056】
以下の説明では、Ce源を、他の元素源とともに混合する場合について主に説明するが、本発明は、この例に限定されるものではない。
【0057】
Ba源、R源、Al源およびZr源としては、それぞれ、Ba、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、AlおよびZrを含む化合物であれば使用可能であるが、例えば、これらの酸化物、炭酸塩、水酸化物等を好適に用いることができる。中でも、炭酸金属塩および金属酸化物のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。
これにより、後工程の熱処理工程における反応を好適に行うことができる。
【0058】
これらの化合物としては、水和物を用いてもよい。以下の好ましい化合物の説明では、水和物の水和水を省略して示す。
【0059】
Ba源としては、例えば、酸化バリウム(BaO)、炭酸バリウム(BaCO)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)等が挙げられる。
【0060】
R源としては、例えば、酸化物、炭酸塩、水酸化物等を用いることができる。より具体的には、Rが、例えば、Scである場合、R源であるSc源としては、例えば、酸化スカンジウム(Sc)、炭酸スカンジウム(Sc(CO)、水酸化スカンジウム(Sc(OH))等が挙げられる。
【0061】
Al源としては、例えば、γ-Al等のアルミナ、炭酸アルミニウム(Al(CO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。
【0062】
Zr源としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸ジルコニウム(Zr(CO)、水酸化ジルコニウム(Zr(OH))等が挙げられる。
【0063】
また、Ce源としては、Ceを含む化合物であれば使用可能であるが、例えば、酸化物、炭酸塩、水酸化物等を好適に用いることができる。中でも、炭酸金属塩および金属酸化物のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。これらの化合物としては、水和物を用いてもよい。
【0064】
Ce源としては、例えば、酸化セリウム(CeO)、炭酸セリウム(Ce(CO)、水酸化セリウム(Ce(OH))等が挙げられる。
【0065】
混合工程では、上記のようなBa源、R源、Al源、Zr源およびCe源を、所定の比率、例えば、化学量論比に従って混合して原料混合物とする。
【0066】
より具体的には、Ba源としてBaCO、R源であるSc源としてSc、Al源としてγ-Al、Zr源としてZrO、Ce源としてCeOを用いる場合、それらの混合比は、以下のようにするのが好ましい。
【0067】
すなわち、物質量比でのBaCOの使用量に対するScの使用量の比率は、0.20以上0.50以下であるのが好ましく、0.30以上0.50以下であるのがより好ましい。
【0068】
また、物質量比でのBaCOの使用量に対するγ-Alの使用量の比率は、0.20以上0.50以下であるのが好ましく、0.25以上0.40以下であるのがより好ましい。
【0069】
また、物質量比でのBaCOの使用量に対するZrOの使用量の比率は、0.20以上0.50以下であるのが好ましく、0.30以上0.45以下であるのがより好ましい。
【0070】
また、物質量比でのBaCOの使用量に対するCeOの使用量の比率は、0.0004以上0.02以下であるのが好ましく、0.005以上0.01以下であるのがより好ましい。
【0071】
上記のような条件を満足することにより、後工程の熱処理工程における反応をより好適に行うことができる。また、得られる複酸化物において、BaAlZrO13相、および、BaAlZrO相をより好適に形成することができる。
【0072】
原料混合物の混合方法は、乾式混合、湿式混合のいずれでも構わないが、原料をより均一に混合できるという観点から、湿式混合であるのが好ましい。
【0073】
湿式混合に用いる溶媒としては、例えば、メタノ-ル、アセトン、ベンゼン、四塩化炭素等の有機溶剤が用いられる。
【0074】
混合方法としては、例えば、撹拌機、らせん型混合機、リボン型混合機、流動化型混合機等の固定型混合機、円筒型混合機、双子円筒型混合機等の回転型混合機、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル等の湿式粉砕機、ペイントシェーカー等の振とう機、超音波分散機等の分散機等を用いて混合することができる。
このとき、原料混合物は、フラックスを含まないものであるのが好ましい。
【0075】
フラックスには毒性を有するものがあり、このような成分の含有率を十分に低くすること、すなわち、このような成分を実質的に含有しないことにより、緑色蛍光体の製造過程における安全性、製造された緑色蛍光体を使用する者等の安全性を確保するうえで有利である。また、上記のようにフラックスの含有率が十分に低いと、緑色蛍光体中に、蓄光、発光に寄与しない成分の含有率を低くすることができ、緑色蛍光体全体としての残光特性を優れたものとすることができる。
【0076】
[2-2]熱処理工程
熱処理工程では、原料混合物に対して熱処理を行う。
【0077】
熱処理工程における熱処理方法としては、原料混合物を加熱することができれば、特に限定されるものではなく、種々の装置や方法を用いることができる。
【0078】
熱処理工程は、1200℃以上1600℃以下で、3時間以上6時間以下の熱処理を行うものであることが好ましい。
【0079】
これにより、熱処理工程における反応をより好適に進行させることができる。また、比較的低温での熱処理で複酸化物を合成することができ、これにより、特別な設備等を必要とせず、製造コストの低下にもつながる。
【0080】
熱処理工程での加熱温度は、上記のように、1200℃以上1600℃以下であるのが好ましいが、1250℃以上1550℃以下であるのがより好ましく、1300℃以上1500℃以下であるのがさらに好ましい。また、熱処理工程での加熱時間は、上記のように、3時間以上6時間以下であるのが好ましいが、3.5時間以上5.5時間以下であるのがより好ましく、4時間以上5時間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、熱処理工程における反応をさらに好適に進行させることができる。
【0081】
本発明の製造方法では、熱処理工程を、不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0082】
原料であるBa源、R源(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。)、Al源、Zr源およびCe源として、前述したような酸化物または炭酸塩を用いた場合、水素ガスを含有する還元ガス雰囲気下で熱処理工程を行うことにより、熱処理工程における反応、特に、例えば、Ce4+→Ce3+といった還元反応をより好適に進行させることができる。
【0083】
不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。
【0084】
混合ガス中の水素ガスの割合は、1.0体積%以上10.0体積%以下であるのが好ましく、2.0体積%以上7.0体積%以下であるのがより好ましい。
【0085】
これにより、より安全な条件で、熱処理工程における反応をより好適に進行させることができる。
【0086】
なお、上述したような熱処理工程は、1段階で行ってもよいし、条件を変えた2段階以上で行ってもよい。
【0087】
熱処理工程を2段階以上で行う場合、各段階における温度および処理時間が、それぞれ上記範囲であればよい。
【0088】
具体的には、熱処理工程を、温度条件を変えた2段階で行う場合、例えば、第1段階を1400℃以上1600℃以下で、3時間以上6時間以下で行い、第2段階を1200℃以上1400℃以下で、3時間以上6時間以下で行うことができる。
【0089】
また、第1段階と第2段階とで、雰囲気を変えてもよい。
例えば、熱処理工程を上記のような第1段階と第2段階とで行う場合、第1段階を大気中で行い、第2段階を不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下で行ってもよい。
【0090】
これにより、熱処理工程の第1段階および第2段階における反応をより好適に進行させることができる。
【0091】
また、第1段階と第2段階との間に、固体反応物を粉砕してもよい。
これにより、熱処理工程の第2段階における反応をさらに好適に進行させることができる。
【0092】
以上のようにして、本発明の緑色蛍光体(すなわち、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とする緑色蛍光体)が得られる。
【0093】
この緑色蛍光体は、ピーク波長λex=435nm付近の光(励起光)で励起され、ピーク波長λem=533nm付近の緑色の光(蛍光)を発する。この緑色発光は、発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が狭い。
【0094】
上記のようにして得られる緑色蛍光体中におけるR3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率が、0.10mol%以上1.00mol%以下であるのが好ましく、0.20mol%以上0.80mol%以下であるのがより好ましい。
【0095】
これにより、輝度飽和や濃度消光の発生がより効果的に抑制され、緑色蛍光体は、より優れた発光特性を示すものとなる。
【0096】
また、上記のようにして得られる緑色蛍光体は、BaAlZrO13を母相とする第1の複酸化物、および、BaAlZrOを母相とする第2の複酸化物を含むものであることが好ましい。
これにより、Ce3+を発光イオンとして、より狭帯域の緑色発光を示すものとなる。
【0097】
特に、狭帯域での発光は、液晶表示装置の色再現範囲や照明装置の演色性を改善できる。また、人間の目の視感度が高い波長(555nm)近傍での狭帯域発光を示すため、高効率化を実現できる。
【0098】
そのため、本発明に係る緑色蛍光体は、様々な用途に使用可能であり、特に、青色LEDの光(λ=460nm付近)で励起されて黄色光を発光し、青色LED自体の青色光と組み合わせることで白色光を得る、白色LEDに好適に使用可能である。
【0099】
このような白色LEDは、例えば、一般照明、懐中電灯やランタン、車のヘッドライト、ウインカーやブレーキランプ、プロジェクター、電光掲示板、大型ディスプレイ等の光源として用いられる。
【0100】
特に、本発明の緑色蛍光体は、高効率で緑色発光するので、この緑色蛍光体を白色LEDに用いることで、高演色性と発光効率とを両立することができ、例えば、液晶ディスプレイのバックライトのような、高演色型の白色LEDに好適に用いることができる。
【0101】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、これらに限定されない。
【0102】
例えば、緑色蛍光体の製造方法においては、前述した工程に加え、他の工程をさらに有していてもよい。
【0103】
より具体的には、例えば、本発明の製造方法では、必要に応じ、熱処理工程の後に粉砕や分級を行ってもよい。粉砕は、湿式粉砕、乾式粉砕のいずれでもよい。乾式粉砕では、必要に応じて、例えば、乳鉢、ロールクラッシャー、アトマイザー、ハンマーミル、ジェットミル、流体エネルギーミル、ミックスマラー等の乾式粉砕機を用いてもよい。
【0104】
粉砕により得られた粉末状の緑色蛍光体を、液体中に分散させた後、固液分離により回収することにより、不純物を除去してもよい。これにより、緑色蛍光体の発光効率をより一層向上させることができる。
【0105】
固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。固液分離により回収された緑色蛍光体は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーター等の工業的に通常用いられる装置を用いて乾燥させることができる。
【0106】
また、本発明の緑色蛍光体は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分とするものであればよく、前述した製造方法を用いて製造されたものに限定されない。
【実施例0107】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、特に温度条件を示していない処理については、25℃で行った。
【0108】
[3]評価方法
まず、以下の実施例および比較例の評価に用いた分析方法について、測定条件を以下にまとめて示す。
【0109】
[3-1]X線回折
装置:MX-Labo(Mac Science Co.Ltd)
X線:CuΚα(λ=1.54056オングストローム)
電流:25mA
電圧:40kV
試料:粉末
【0110】
[3-2]光ルミネセンス
装置:FP-6500(日本分光(株))
線源:150Wキセノンランプ
励起波長:465nm
試料:粉末
励起光(λex=435nm)を照射した際の発光光の強度を測定した。
【0111】
[3-3]減衰曲線
装置:FP-6500(日本分光(株))
線源:150Wキセノンランプ
励起波長:320nm
励起時間:5分
測定波長:520nm
試料:粉末
励起光(λex=320nm)を5分間照射し、消灯後、時間変化に伴う発光(λem=520nm)の減少を測定した。
【0112】
[3-4]熱特性
熱特性は、前記光ルミネセンスの測定において、25℃における発光光の強度を100%とし、温度上昇に伴う発光強度の変化を測定した。
【0113】
[4]緑色蛍光体の製造
(実施例1)
前記R(希土類元素)としてScを用い、以下のようにして緑色蛍光体を製造した。
図2は、実施例1における緑色蛍光体の製造方法の工程を示すフローチャートである。
【0114】
まず、Ba源としてのBaCO粉末と、Sc源としてのSc粉末と、Al源としてのγ-Al粉末と、Zr源としてのZrO粉末と、Ce源としてのCeO粉末を用意し、これらを化学量論比に従い、秤量した。
【0115】
次に、メノウ乳鉢を用いて上記原料を混合し原料混合物を得た。このとき、アセトンを溶媒として用いて湿式混合した。
【0116】
この原料混合物を熱処理した。具体的には、熱処理は、2段階で行った。
まず、第1段階として、原料混合物を、Ptからなるプレートに載置してアルミナボートに入れ、大気中、1500℃で6時間熱処理することにより予備加熱し、反応中間物とした。
得られた反応中間物を、乳鉢を用いて粉砕した。
【0117】
第2段階として、粉砕した反応中間物を、Ptからなるプレートに載置してアルミナボートに入れ、アルゴンと水素との混合雰囲気下、1400℃で6時間熱処理することによりか焼し、固体物質を得た。
【0118】
その後、前記固体物質を室温まで放冷した。得られた生成物を粉砕した後、篩分し、粉末状の緑色蛍光体を得た。
【0119】
実施例1の緑色蛍光体について、前述の測定条件により、粉末X線回折により結晶相を同定した。
【0120】
本実施例の緑色蛍光体は、BaSc1.99AlZrO13:0.01Ce3+で表される複酸化物を主成分とするものであった。
【0121】
より具体的には、複酸化物は、BaAlZrO13を母相とする第1の複酸化物、および、BaAlZrOを母相とする第2の複酸化物を含むものであることが確認された。
【0122】
また、複酸化物における第1の複酸化物:100質量部に対する第2の複酸化物の含有量は、1質量部以上10質量部以下であった。
【0123】
なお、本実施例で得られた緑色蛍光体中に含まれる前記複酸化物以外の成分の割合は、3質量%以下であった。
【0124】
(比較例1)
市販の緑色蛍光体(三菱ケミカル社製、LAP:Ce3+,Tb3+(組成La0.47Ce0.03Tb0.50PO))を準備し、これを比較例1とした。
【0125】
実施例1の緑色蛍光体について、前述の測定条件により、光ルミネセンスおよび減衰曲線により蛍光・残光特性を評価した。また、熱ルミネセンスによりトラップ深度を測定した。
【0126】
また、実施例1の緑色蛍光体に対し、1400℃で3時間のアニールを行った。
アニール後の緑色蛍光体、比較例1の緑色蛍光体について、前述の測定条件により、減衰曲線、熱ルミネセンスを測定した。
【0127】
これらの結果について、光ルミネセンスの測定結果を図3に、減衰曲線の測定結果を図4に、そして、熱ルミネセンスの測定結果を図5にそれぞれ示す。
【0128】
図3に示す光ルミネセンスの測定結果から、実施例1で製造された緑色蛍光体は、λex=435nm付近の光により励起され、λem=533nm付近をピークトップとする緑色発光を示すことを確認した。このピークは、半値幅が狭いものであった。
【0129】
図4に示す減衰曲線の測定結果から、実施例1の緑色蛍光体は、比較例1の緑色蛍光体に比べ、減衰はゆるやかであった。
【0130】
図5に示す熱ルミネセンスの測定結果から、実施例1の緑色蛍光体は、比較例1の緑色蛍光体よりも強度の高いピークが得られている。すなわち、実施例1の緑色蛍光体では、より多くの電子をトラップすることができ、長時間経過後において優れた残光特性を示すものであると推察される。
【0131】
緑色蛍光体を構成する主成分としての複酸化物を構成する金属元素の含有率が、以下の条件を満たすように、原料の配合比率を種々変更した以外は、前記実施例1と同様にして緑色蛍光体を製造した。すなわち、複酸化物中におけるBa:100質量部に対するScの比率を10質量部以上40質量部以下の範囲内、Ba:100質量部に対するAlの比率を20質量部以上40質量部以下の範囲内、Ba:100質量部に対するZrの比率を0質量部以上20質量部以下の範囲内で種々変更するとともに、緑色蛍光体中での、Sc3+の含有率に対するCe3+の含有率の比率を0.10mol%以上1.00mol%以下の範囲内で種々変更した以外は、前記実施例1と同様にして緑色蛍光体を製造した。これらの緑色蛍光体について、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様に優れた結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の緑色蛍光体は、Ba:100質量部に対して、R(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素。):10質量部以上40質量部以下、Al:20質量部以上40質量部以下、Zr:0質量部以上20質量部以下を含み、Ce3+を発光イオンとして含有する複酸化物を主成分としている。
【0133】
このような緑色蛍光体は、青色光を吸収して高効率で緑色発光する。したがって、本発明の緑色蛍光体は、産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5