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特開2023-125746スピーカの歪み補正装置及びスピーカユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125746
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】スピーカの歪み補正装置及びスピーカユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
H04R3/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030014
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】江上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 仁幸
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA41
(57)【要約】
【課題】比較的簡易な構成で、スピーカの非線形パラメータを特定する「スピーカの歪み補正装置及びスピーカユニット」を提供する。
【解決手段】スピーカ2は振動系の変移を検出する磁気角度センサ212を備える。非線形部補正フィルタ41は、スピーカ2の非線形パラメータによる出力歪みを補正し、線形逆フィルタ42の伝達関数は磁気角度センサ212を用いて検出した振動系の変位に出力歪みがなくなるように適応される。制御部1は、テスト信号でスピーカ2を駆動し、磁気角度センサ212を用いて検出した振動系の変位から応答を測定し、設計仕様から理論的に定まる応答の理論値との誤差が小さければ、設計仕様から理論的に定まる非線形パラメータの理論値を、現用非線形パラメータとし、現用非線形パラメータによる出力の歪みを補正する伝達関数を非線形部補正フィルタ41に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に対するスピーカの出力の歪みを補正する、スピーカの歪み補正装置であって、
前記スピーカの振動系の振動を検出するセンサと、
前記入力信号を入力とする非線形部補正フィルタと、
前記非線形部補正フィルタの出力を入力とし、前記スピーカを駆動する出力信号を出力する可変フィルタと、
所定の適応アルゴリズムを実行し、前記センサで検出される振動が、前記入力信号に対して歪みのない振動となるように前記可変フィルタの伝達関数を更新する適応動作を行う適応アルゴリズム実行部と、
前記スピーカの非線形パラメータを現用非線形パラメータとして算定し、算定した現用非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数を、前記非線形部補正フィルタに設定する動作を、当該スピーカの歪み補正装置の初期設定動作として行う制御部とを有し、
当該制御部は、前記初期設定動作において、
所定のテスト信号で前記スピーカを駆動し、当該テスト信号に対する前記センサが検出した前記振動系の振動からスピーカの応答を応答測定値として測定し、
前記スピーカの設計仕様から理論的に定まる前記スピーカの非線形パラメータを非線形パラメータ理論値として、非線形パラメータ理論値が前記スピーカの非線形パラメータであった場合の前記スピーカの応答の理論値である応答理論値と、前記応答測定値との誤差を算定し、
算定した誤差が所定のレベルより小さいときに、前記非線形パラメータ理論値を、前記現用非線形パラメータとして算定することを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項2】
請求項1記載のスピーカの歪み補正装置であって、
前記制御部は、前記算定した誤差が所定のレベルより小さくないときに、前記スピーカの応答が前記応答測定値に適合する応答となる非線形パラメータを、前記現用非線形パラメータとして算定することを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項3】
請求項2記載のスピーカの歪み補正装置であって、
前記制御部には、現用非線形パラメータの候補である現用非線形パラメータ候補と当該現用非線形パラメータ候補が前記スピーカの非線形パラメータであった場合の前記スピーカの応答の理論値である参照応答との組が、予め、複数登録されており、
当該制御部は、前記算定した誤差が所定のレベルより小さくないときに、前記応答測定値に最も近似する前記参照応答と同組の現用非線形パラメータ候補を、前記現用非線形パラメータとして算定することを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のスピーカの歪み補正装置であって、
前記スピーカの状態を検出する状態検出手段を有し、
前記制御部は、
当該スピーカの歪み補正装置の実稼働開始後、前記状態検出手段が検出したスピーカの状態の履歴を記録し、
記録した履歴から、スピーカの非線形パラメータの変化を推定し、推定した変化に追従するように前記現用非線形パラメータを更新し、更新した現用非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数を、前記非線形部補正フィルタに設定することを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のスピーカの歪み補正装置であって、
前記非線形パラメータは、スピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を含むことを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項6】
入力信号に対するスピーカの出力の歪みを補正する、スピーカの歪み補正装置であって、
前記スピーカの振動系の振動を検出するセンサと、
前記入力信号を入力とする、前記スピーカの非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数が設定された非線形部補正フィルタと、
前記非線形部補正フィルタの出力を入力とし、前記スピーカを駆動する出力信号を出力する可変フィルタと、
所定の適応アルゴリズムを実行し、前記センサで検出される振動が、前記入力信号に対して歪みのない振動となるように前記可変フィルタの伝達関数を更新する適応動作を行う適応アルゴリズム実行部と、
前記スピーカの温度を検出する温度検出手段と、
制御部とを有し、
前記非線形パラメータは、スピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を含み、
前記制御部は、
前記温度検出手が検出したスピーカの温度の履歴を記録し、
記録した温度の履歴から推量される前記スピーカの磁石の減磁量から現在の磁石の起磁力を推定し、推定した磁石の起磁力を適用して、現在のスピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を算定し、算定した駆動力(Force factor)を非線形パラメータとして含むスピーカの等価回路における各非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数に、前記非線形部補正フィルタの伝達関数を更新することを特徴とするスピーカの歪み補正装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載のスピーカの歪み補正装置と、前記スピーカとを、当該歪み補正装置と当該スピーカとが一体化された形態で備えていることを特徴とするスピーカユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力に対するスピーカの出力の歪みを補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々のスピーカの等価回路や、等価回路に基づいてスピーカの駆動を制御する技術が知られている(非特許文献1、特許文献1)。
また、等価回路に基づいてスピーカの駆動を制御する技術としては、スピーカの等価回路に基づいて、入力に対するスピーカの出力の歪みが解消されるように、スピーカを駆動する音声信号を補正する技術も知られている(特許文献2)。
また、スピーカの振動板の振動を検出するセンサを備え、センサで検出した振動に応じてスピーカの駆動を制御するモーショナルフィードバックの技術も知られている(たとえば、特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/179539号
【特許文献2】特許6522668号公報
【特許文献3】特開2008228214号公報
【特許文献4】特開2010124026号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Klippel、 Wolfgang著、 "Modeling the large signal behavior of micro-speakers"、 133rd Audio Engineering Society Convention 2012、 Paper Number 8749、 October 25、 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モーショナルフィードバックの技術を用い、スピーカの振動板の振動を検出し、検出した振動に応じて、スピーカの歪みが解消されるように、スピーカを駆動する音声信号を補正することが考えられる。
また、この場合には、適応フィルタを音声信号の補正に適用し、理想の振動と検出した振動の差をエラーとして、エラーが最小となるように適応フィルタの係数を更新することにより、スピーカの歪みを解消することが考えられる。
一方、スピーカの特性を規定するパラメータには線形パラメータと非線形パラメータがある。
たとえば、図7に示すスピーカの等価回路においては、Bl、KMS、Le(x、i)などは、非線形パラメータを示す。
なお、図7の等価回路は、上掲した非特許文献1で示される等価回路であり、
Re; Electrical Resistance
Le(x、i);Electrical Inductance
Bl(x); Force factor(駆動力)
Fm(x、i); Reluctance Force
Mms; Mechanical mass
Rms(v); Mechanical Resistance
Kms(x); Stiffness(剛性)
である。
【0006】
そして、このようなスピーカの非線形パラメータにも対応するように適応フィルタを構成する場合には、適応フィルタの処理や構成が大規模化し高コスト化を招く。
そこで、適応フィルタの前段にスピーカの非線形パラメータによる歪みを補正する非線形歪補正用のフィルタを設け、適応フィルタではスピーカの線形パラメータによる歪みの補正のみを行うことが考えられる。
【0007】
しかし、この場合には、同じ製品であってもスピーカの非線形パラメータはスピーカ毎にばらつきがあるため、使用開始前に、個々のスピーカ毎に、その非線形パラメータを特定する必要がある。そして、個々のスピーカ毎に、スピーカの振動系の変位等の挙動をレーザ変位計などの適当な計測装置を用いて測定してスピーカの非線形パラメータを特定することとすると、スピーカの製造に比較的負担の大きな工程が加わることとなる。
【0008】
また、スピーカの非線形パラメータが使用開始後に温度などの影響により変化すると、非線形歪補正用のフィルタでスピーカの非線形パラメータによる歪みを適正に補正することができなくなる。
そこで、本発明は、比較的簡易な構成で、スピーカの非線形パラメータを特定することを課題とする。
また、併せて、本発明は、使用開始後にも、安定的にスピーカの非線形パラメータによる歪みを適正に補正することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、入力信号に対するスピーカの出力の歪みを補正する、スピーカの歪み補正装置に、前記スピーカの振動系の振動を検出するセンサと、前記入力信号を入力とする非線形部補正フィルタと、前記非線形部補正フィルタの出力を入力とし、前記スピーカを駆動する出力信号を出力する可変フィルタと、所定の適応アルゴリズムを実行し、前記センサで検出される振動が、前記入力信号に対して歪みのない振動となるように前記可変フィルタの伝達関数を更新する適応動作を行う適応アルゴリズム実行部と、前記スピーカの非線形パラメータを現用非線形パラメータとして算定し、算定した現用非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数を、前記非線形部補正フィルタに設定する動作を、当該スピーカの歪み補正装置の初期設定動作として行う制御部とを備えたものである。当該制御部は、前記初期設定動作において、所定のテスト信号で前記スピーカを駆動し、当該テスト信号に対する前記センサが検出した前記振動系の振動からスピーカの応答を応答測定値として測定し、前記スピーカの設計仕様から理論的に定まる前記スピーカの非線形パラメータを非線形パラメータ理論値として、非線形パラメータ理論値が前記スピーカの非線形パラメータであった場合の前記スピーカの応答の理論値である応答理論値と、前記応答測定値との誤差を算定し、算定した誤差が所定のレベルより小さいときに、前記非線形パラメータ理論値を、前記現用非線形パラメータとして算定する。
【0010】
ここで、このスピーカの歪み補正装置では、前記制御部において、前記算定した誤差が所定のレベルより小さくないときに、前記スピーカの応答が前記応答測定値に適合する応答となる非線形パラメータを、前記現用非線形パラメータとして算定するように構成してもよい。
【0011】
また、この場合には、前記制御部に、現用非線形パラメータの候補である現用非線形パラメータ候補と当該現用非線形パラメータ候補が前記スピーカの非線形パラメータであった場合の前記スピーカの応答の理論値である参照応答との組を、予め、複数登録し、制御部において、前記算定した誤差が所定のレベルより小さくないときに、前記応答測定値に最も近似する前記参照応答と同組の現用非線形パラメータ候補を、前記現用非線形パラメータとして算定してもよい。
【0012】
以上のようなスピーカの歪み補正装置によれば、レーザ変位計などの外部の計測装置を必要とすることなく、スピーカの線形パラメータによる出力の歪みを補正するための可変フィルタの伝達関数の適応に用いるセンサを用いてスピーカの応答を計測して非線形パラメータを特定することができる。
【0013】
また、スピーカの設計仕様から理論的に定まるスピーカの応答に対する誤差が小さい場合には、非線形パラメータの理論値をそのままスピーカの非線形パラメータとする比較的簡易な処理で非線形パラメータを特定することができる。
また、制御部において、前記算定した誤差が所定のレベルより小さくないときに、前記応答測定値に最も近似する前記参照応答と同組の現用非線形パラメータ候補を、前記現用非線形パラメータとして算定する、上述の構成を採用する場合には、スピーカの設計仕様から理論的に定まるスピーカの応答に対する誤差が大きい場合にも、比較的簡易な処理で非線形パラメータを特定することができる。
【0014】
よって、比較的簡易な構成で、スピーカの非線形パラメータを特定することができる。
また、以上のスピーカの歪み補正装置に、前記スピーカの状態を検出する状態検出手段を設け、前記制御部において、当該スピーカの歪み補正装置の実稼働開始後、前記状態検出手段が検出したスピーカの状態の履歴を記録し、記録した履歴から、スピーカの非線形パラメータの変化を推定し、推定した変化に追従するように前記現用非線形パラメータを更新し、更新した現用非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数を、前記非線形部補正フィルタに設定してもよい。
【0015】
このようなスピーカの歪み補正装置によれば、実稼働開始後に、状態の蓄積による非線形パラメータの変化に追従するように非線形部補正フィルタの伝達関数を更新するので、安定的にスピーカの非線形パラメータによる歪みを適正に補正することができる。
また、以上のスピーカの歪み補正装置において、前記非線形パラメータは、スピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を含むものとしてよい。
また、前記課題達成のために、本発明は、入力信号に対するスピーカの出力の歪みを補正する、スピーカの歪み補正装置に、前記スピーカの振動系の振動を検出するセンサと、前記入力信号を入力とする、前記スピーカの非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数が設定された非線形部補正フィルタと、前記非線形部補正フィルタの出力を入力とし、前記スピーカを駆動する出力信号を出力する可変フィルタと、所定の適応アルゴリズムを実行し、前記センサで検出される振動が、前記入力信号に対して歪みのない振動となるように前記可変フィルタの伝達関数を更新する適応動作を行う適応アルゴリズム実行部と、前記スピーカの温度を検出する温度検出手段と、制御部とを設けたものである。前記非線形パラメータは、スピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を含み、前記制御部は、前記温度検出手が検出したスピーカの温度の履歴を記録し、記録した温度の履歴から推量される前記スピーカの磁石の減磁量から現在の磁石の起磁力を推定し、推定した磁石の起磁力を適用して、現在のスピーカの等価回路における駆動力(Force factor)を算定し、算定した駆動力(Force factor)を非線形パラメータとして含むスピーカの等価回路における各非線形パラメータによる当該スピーカの前記入力信号に対する出力の歪みを補正する伝達関数に、前記非線形部補正フィルタの伝達関数を更新する。
【0016】
このようなスピーカの歪み補正装置によれば、実稼働開始後に、温度によるスピーカの磁石の減磁に伴う非線形パラメータの変化に追従するように非線形部補正フィルタの伝達関数を更新するので、安定的にスピーカの非線形パラメータによる歪みを適正に補正することができる。
【0017】
また、併せて、本発明は、以上のスピーカの歪み補正装置と、前記スピーカとを、当該歪み補正装置と当該スピーカとが一体化された形態で備えたスピーカユニットを提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、比較的簡易な構成で、スピーカの非線形パラメータを特定することができる。
また、本発明によれば使用開始後にも、安定的にスピーカの非線形パラメータによる歪みを適正に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る音響システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るスピーカの構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る非線形パラメータ初期値算定処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る駆動力Bl(x)の初期値の算定例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る非線形パラメータ初期値の算定例を示すである。
図6】本発明の実施形態に係る稼働中非線形パラメータ更新処理を示すフローチャートである。
図7】スピーカの等価回路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る音響システムの構成を示す。
図示するように、音響システムは、制御部1、スピーカ2、スピーカ2の振動系の振動/変位を計測する振動計測部3、出力信号Soを出力する信号補正部4、出力信号Soを入力とする、スピーカ2の駆動用のアンプ5、音声信号である入力信号Siを出力するオーディオ装置6を備えている。
【0021】
そして、信号補正部4はオーディオ装置6が出力する入力信号Siを補正して出力信号Soとして出力し、アンプ5は出力信号Soのアナログ信号(電圧信号)への変換、増幅を行ってスピーカ2を駆動する。
図2aに、スピーカ2の構成を示す。
図示するように、スピーカ2は、ヨーク201、磁石202、トッププレート203、ボイスコイルボビン204、ボイスコイル205、フレーム206、ダンパ207、振動板208、エッジ209、ダストキャップ210を有する。
今、図における上方をフロントスピーカの前方、下方をフロントスピーカの後方として、ヨーク201は、中央部に前方に突出した凸部2011を有し、当該凸部2011の外側に環状の磁石202が設けられており、磁石202の上には環状のトッププレート203が設けられている。そして、このトッププレート203は、鉄等の導電性を有する部材によって構成される。そして、これらヨーク201、磁石202、トッププレート203によって磁気回路220が形成される。
【0022】
ボイスコイルボビン204は中空の円筒形状を有し、アンプ5からの信号が印加されるボイスコイル205が外周に巻かれている。また、ヨーク201の凸部2011は、ボイスコイルボビン204がヨーク201に対して前後に移動可能なようにボイスコイルボビン204の中空に後方より挿入されており、ボイスコイル205はヨーク201の凸部2011とトッププレート203との間の、磁気回路220によってトッププレート203の内周端間に発生する磁束が通過する位置に配置されている。
【0023】
振動板208は、おおよそフロントスピーカの前後方向を高さ方向とする円錐台の側面と同様な形状を有し、その外周端部がエッジ209でフレーム206の前端部に連結されている。また、振動板208の内周端部は、ボイスコイルボビン204の前端部に固定されている。
【0024】
このようなスピーカ2の構成において、アンプ5から信号がボイスコイル205に印加されると、磁気回路220から発生する磁気ベクトルと、ボイスコイル205を流れるオーディオ信号との電磁作用によって、オーディオ信号の振幅に応じて、ボイスコイルボビン204が前後に振動する。そして、ボイスコイルボビン204が振動すると、ボイスコイルボビン204に連結されている振動板208が振動し、アンプ5からの信号に応じた音が発生する。
【0025】
次に、図中に示すようにスピーカ2の軸方向をX方向、径方向をY方向として、このようなスピーカ2に、変位検出用磁石211と磁気角度センサ212が、振動板208のX方向(前後方向)の変位を検出するセンサとして組み付けられている。
変位検出用磁石211は、ボイスコイルボビン204と共に上下動するようにボイスコイルボビン204に固定されており、磁気角度センサ212は、磁気回路220に対して位置が変化しないように、トッププレート203の上等に固定される。
そして、磁気角度センサ212は、図2bに示す、磁気回路220の発生する磁気ベクトルと変位検出用磁石211の発生する磁気ベクトルの合成ベクトルVのX方向の成分の大きさとY方向の成分の大きさ検出し、X方向の成分の大きさ示すX検出値Vsと、Y方向の成分の大きさ示すY検出値Vcとを振動計測部3に出力する。
【0026】
ここで、合成ベクトルVの大きさや向き(X方向の成分の大きさとY方向の成分の大きさの組み合わせ)は、ボイスコイルボビン204の変位に伴う変位検出用磁石211のX方向の変位に応じて変化するので、X検出値VsとY検出値Vcから、スピーカ2の振動系のX方向の変位量を算定することができる。
【0027】
また、スピーカ2の磁石202には温度センサ231が取付けられており、温度センサ231は検出した温度を制御部1に出力する。
図1に戻り、振動計測部3は、スピーカ2の磁気角度センサ212の出力から、ボイスコイルボビン204や振動板208等のスピーカ2の振動系の振動/変位を計測し、制御部1と信号補正部4に出力する。
また、制御部1には、オーディオ装置6から、音声出力の有無の情報や、出力レベル(ボリューム等)等の情報が入力する。また、制御部1には、スピーカ2から入力電圧や入力電流の情報が入力する。
次に、信号補正部4は、非線形部補正フィルタ41、線形逆フィルタ42、適応アルゴリズム実行部43、エラー算出部44を備えている。
オーディオ装置6が出力する入力信号Siは、非線形部補正フィルタ41を通って中間補正信号Smとして、線形逆フィルタ42に入力し、線形逆フィルタ42を通って出力信号Soとしてアンプ5を介してスピーカ2に出力される。
非線形部補正フィルタ41の伝達関数(フィルタ係数)は制御部1から切り替え可能であり、制御部1は、非線形部補正フィルタ41の伝達関数を、スピーカ2の非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数に設定する。
【0028】
エラー算出部44は、入力信号Siに対して歪みの無いスピーカ2の振動と、振動計測部3が計測した実際のスピーカ2の振動との差分を算出する。
線形逆フィルタ42は可変フィルタであり、適応アルゴリズム実行部43と線形逆フィルタ42は適応フィルタを構成している。適応アルゴリズム実行部43は中間補正信号Smを参照信号r、エラー算出部44が算出した差分をエラーeとして、LMSアルゴリズム等によって、エラーeが最小化するように、線形逆フィルタ42の伝達関数(フィルタ係数)を更新する適応動作を行う。
【0029】
この適応動作の結果、前記スピーカ2の線形パラメータによるスピーカ2の入力信号Siに対する出力の歪みを補正する伝達関数が線形逆フィルタ42に設定される。
次に、制御部1は、音響システムの利用開始前の初期設定時に、非線形パラメータ初期値算定処理を実行して、スピーカ2の非線形パラメータを算定し、算定した非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数を非線形部補正フィルタ41に設定する。
図3に、この非線形パラメータ初期値算定処理の手順を示す。
図示するように、非線形パラメータ初期値算定処理において、制御部1は、まず、スピーカ2の設計仕様が示す各諸元からスピーカ2が設計仕様通りであるときの非線形パラメータの理論値を算定し、非線形パラメータ初期値とする(ステップ302)。
そして、非線形部補正フィルタ41と線形逆フィルタ42の伝達関数を、入力をそのままスルーして出力する伝達関数に固定する(ステップ304)。
次に、オーディオ装置6を制御して、オーディオ装置6に所定のテスト信号(たとえば、周波数スイープ信号)を出力させると共に、振動計測部3が計測したスピーカ2の振動系の振動/変位を、テスト信号に対するスピーカ2の応答として記録する(ステップ306)。
そして、非線形パラメータ初期値から算定される、スピーカ2の非線形パラメータが真に非線形パラメータ初期値であった場合のスピーカ2の応答と、記録したスピーカ2の応答の誤差(絶対値)が、所定のしきい値ThAを超えているかどうかを調べる(ステップ308)。
【0030】
また、誤差がしきい値ThAを超えている場合には、記録したスピーカ2の応答が得られる非線形パラメータに、非線形パラメータ初期値を更新する(ステップ310)。
そして、非線形部補正フィルタ41と線形逆フィルタ42の伝達関数の固定を解除し(ステップ312)、非線形パラメータ初期値を記憶すると共に、非線形パラメータ初期値を現用非線形パラメータとし、現用非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数を非線形部補正フィルタ41に設定する(ステップ314)、そして、非線形パラメータ初期値算定処理を終了する。
【0031】
一方、ステップ308で誤差がしきい値ThAを超えていないと判定された場合には、非線形部補正フィルタ41と線形逆フィルタ42の伝達関数の固定を解除し(ステップ312)、非線形パラメータ初期値を記憶すると共に、非線形パラメータ初期値を現用非線形パラメータとし、現用非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数を非線形部補正フィルタ41に設定する(ステップ314)、そして、非線形パラメータ初期値算定処理を終了する。
【0032】
ここで、ステップ302のスピーカ2が設計仕様通りであるときの非線形パラメータの理論値である非線形パラメータ初期値の算定は、たとえば、非線形パラメータ駆動力Bl(x)については次のように行う。
図4aに示す構造を備えているスピーカ2のスピーカ2内の磁気回路220は、図4bのように、磁石202とトッププレート203を接着する接着剤241の磁気抵抗Rmad1、トッププレート203の磁気抵抗Rmpl、スピーカ2内部の空気242の磁気抵抗Rmgap、ボイスコイル205の磁気抵抗Rmvc、ヨーク201の磁気抵抗Rmyk、ヨーク201と磁石202を接着する接着剤243の磁気抵抗Rmad2の直接接続によりなる合成抵抗Rmを、磁石202の起磁力Fmに接続したものとなる。
【0033】
そこで、設計仕様が示すトッププレート203と磁石202を接着する接着剤の種類から接着剤の磁気抵抗Rmad1を、設計仕様が示すトッププレート203の素材と体積からトッププレート203の磁気抵抗Rmplを、設計仕様が示すスピーカ2内部の空気の体積から空気の磁気抵抗Rmgapを、設計仕様が示すボイスコイル205の長さlと断面積と素材からボイスコイル磁気抵抗Rmvcを、設計仕様が示すヨーク201の素材と体積からヨーク201の磁気抵抗Rmykを、設計仕様が示すヨーク201と磁石202とトッププレート203を接着する接着剤の種類から接着剤の磁気抵抗Rmad2を算定し、これらの磁気抵抗の合計を合成抵抗Rmとする。
【0034】
また、スピーカ2の設計仕様が示す磁石202の素材と体積から磁石202の起磁力Fmを算定する。
そして、図4bの磁気回路220よりホプキンソンの法則に従って、φをボイスコイル205を通る磁束として、
Fm=Rmφ
が成立し、
振動系の軸方向の変移がxであったときに、トッププレート203とヨーク201間の磁束がボイスコイル205を通過する面積である鎖交面積をS(x)とすると、磁束密度をBとして、
φ=BS(x)
であるので、
B(x)=Fm/RmS(x)
となり、lをボイスコイル205の長さとして、
Bl(x)=B(x)l=Fml/RmS(x)
となる。
そこで、Bl(x)を振動系の振動範囲内の複数のxの値について求め、求めたBl(x)を結ぶ近似曲線を、スピーカ2が設計仕様通りであるときの非線形パラメータ駆動力Bl(x)の理論値と見なし、駆動力Bl(x)の非線形パラメータ初期値とする。
【0035】
次に、ステップ308の、誤差がしきい値ThAを超えているどうかの判定は、たとえば、次のように行う。
すなわち、ステップ302で求めたスピーカ2が設計仕様通りであるときの非線形パラメータの理論値をスピーカ2の等価回路に適用して、ステップ302で求めた理論値がスピーカ2の非線形パラメータであるときのスピーカ2の応答を設計スピーカ応答として算定する。そして、設計スピーカ応答に対する、記録したスピーカ2の応答の誤差が、しきい値ThAを超えているどうかを判定する。
【0036】
また、ステップ310の、記録したスピーカ2の応答が得られる非線形パラメータへの、非線形パラメータ初期値の更新は、たとえば、次のように行う。
すなわち、スピーカ2の製造公差内の相互に少しずつ異なる複数の誤差値について、スピーカ2の各諸元に当該誤差値の誤差がある場合の、非線形パラメータの理論値とスピーカ2の応答を、更新用非線形パラメータ理論値と当該更新用非線形パラメータ理論値に対応する参照用スピーカ応答として算定する。なお、この更新用非線形パラメータ理論値は、諸元を対応する誤差分変更して非線形パラメータの理論値を、非線形パラメータ初期値と同様にして求めることにより算定できる。
【0037】
そして、制御部1において、記録したスピーカ2の応答に最も近似する参照用スピーカ応答に対応する更新用非線形パラメータ理論値に、非線形パラメータ初期値を更新する。
たとえば、非線形パラメータ駆動力Bl(x)の非線形パラメータ初期値の更新においては、予め、設計仕様通りであるときの駆動力Bl(x)の非線形パラメータの理論値である非線形パラメータ初期値が図5a1に示すように算定され、図5a1に示す非線形パラメータ初期値に対して図5a2に示すように設計スピーカ応答が算定されたものとする。
【0038】
また、複数の誤差値に対して算定した駆動力Bl(x)の更新用非線形パラメータ理論値と参照用スピーカ応答のうち、ある誤差値に対して算定された駆動力Bl(x)の更新用非線形パラメータ理論値が図5b1に示すものであり、図5b1に示す駆動力Bl(x)の更新用非線形パラメータ理論値に対して算定された参照用スピーカ応答が図5b2に示すものあるものとする。なお、図5b1は、振動系の振動中心に設計仕様に対する製造公差内の誤差がある場合の、駆動力Bl(x)の理論値を表している。
【0039】
ここで、図5a1、b1の縦軸はBl、横軸は振動系の軸方向の変移xであり、図5a2、b2の縦軸は振動系の軸方向の変移x、横軸は周波数である。
そして、ステップ308で記録されたテスト信号に対するスピーカ応答の、図5a2に示す設計スピーカ応答に対する誤差がしきい値ThAを超えており、算定した参照用スピーカ応答のうち、記録されたテスト信号に対するスピーカ応答に最も近似する参照用スピーカ応答が図5b2の参照用スピーカ応答である場合、図5b1の更新用非線形パラメータ理論値に駆動力Bl(x)の非線形パラメータ初期値を更新する。
【0040】
以上、制御部1が行う非線形パラメータ初期値算定処理について説明した。
なお、以上の説明では、非線形パラメータ初期値や設計スピーカ応答や、製造公差内の各誤差値についての更新用非線形パラメータ理論値や参照用スピーカ応答を、非線形パラメータ初期値算定処理内において算定するものとしたが、これらは、制御部1において算定せずに、外部の装置において設計仕様や製造公差に応じて予め算定しておいたものを、予め音響システムの制御部1に登録しておき、非線形パラメータ初期値算定処理において登録されているものを用いるようにしてよい。
【0041】
このような非線形パラメータ初期値算定処理によれば、レーザ変位計などの外部の計測装置を必要とすることなく、スピーカ2の線形パラメータによる出力の歪みを補正する線形逆フィルタ42の伝達関数の適応に用いる磁気角度センサ212を用いてスピーカ2の応答を計測して非線形パラメータを特定することができる。
【0042】
また、スピーカ2の設計仕様から理論的に定まるスピーカ2の応答に対する誤差が小さい場合には、非線形パラメータの理論値をそのままスピーカ2の現用非線形パラメータとする比較的簡易な処理で非線形パラメータを特定することができる。
また、前記算定した誤差が小さくないときにも、制御部1において、記録したスピーカ2の応答に最も近似する参照用スピーカ応答に対応する更新用非線形パラメータ理論値を現用非線形パラメータ更新するだけの、比較的簡易な処理で非線形パラメータを特定することができる。
【0043】
次に、制御部1は、音響システムの利用開始後の稼働中、オーディオ装置6から入力する情報が示す、音声出力の有無のや出力レベル(ボリューム等)等の履歴や、スピーカ2から入力する情報が示す入力電圧や入力電流の履歴や、温度センサ231が検出した温度の履歴を状態履歴データとして蓄積する。
【0044】
また、制御部1は、音響システムの利用開始後の稼働中、定期的に、稼働中非線形パラメータ更新処理を行って、スピーカ2の現在の非線形パラメータを推定し、現在の非線形パラメータの現用非線形パラメータからの変化が大きい場合には、推定した現在の非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数に、非線形部補正フィルタ41の伝達関数を更新する。
【0045】
図6に、この稼働中非線形パラメータ更新処理の手順を示す。
図示するように、稼働中非線形パラメータ更新処理において、制御部1は、状態履歴データから、スピーカ2の現在の非線形パラメータを推定する(ステップ602)。
そして、推定した現在の非線形パラメータの現在の現用非線形パラメータからの変化量(絶対値)が所定のしきい値ThBを超えているかどうかを調べ(ステップ604)、超えていなければ、今回の稼働中非線形パラメータ更新処理を終了する。
一方、変化量がしきい値ThBを超えている場合には、推定した現在の非線形パラメータに現用非線形パラメータを更新し、更新した現用非線形パラメータによる歪みを補正する伝達関数に、非線形部補正フィルタ41の伝達関数を更新する(ステップ606)。
そして、今回の稼働中非線形パラメータ更新処理を終了する。
ここで、ステップ602の、状態履歴データからのスピーカ2の現在の非線形パラメータの推定は、次のように行う。
すなわち、スピーカ2の非線形パラメータに関わる状態の蓄積量と、スピーカ2の非線形パラメータに関わる諸元の変移量との対応を登録した変移量テーブルを予め制御部1に記憶しておき、制御部1において、状態履歴データから求めた状態の蓄積量に対応するスピーカ2の諸元の変移量を変移量テーブルから取得して、現在のスピーカ2の諸元の値を求め、求めた諸元の値に整合するように、記憶している非線形パラメータ初期値を更新することにより、現在の非線形パラメータを推定する。
【0046】
より具体的には、たとえば、非線形パラメータ駆動力Bl(x)の推定においては、変移量テーブルには、予め、磁石202の減磁を生じさせる温度の蓄積量と、磁石202の減磁量との対応を登録しておく。
そして、現在の駆動力Bl(x)の推定においては、まず、状態履歴データから、磁石202の温度の履歴を算定する。磁石202の温度としては、状態履歴データが示す、磁石202に取り付けた温度センサ231が検出した温度を用いることができる。ただし、温度センサ231を用いずに、状態履歴データが示す、スピーカ2の入力電圧や入力電流とから求まるボイスコイル205が発生するジュール熱の磁石202への熱伝搬から、磁石202の温度を算定してもよい。
【0047】
そして、磁石202の温度の履歴から、磁石202に発生した、磁石202の減磁を生じさせる温度の蓄積量(たとえば、減磁を生じさせる温度の時間積分)を求め、求めた蓄積量に対応する磁石202の減磁量を変移量テーブルから取得し、取得した磁石202の減磁量、磁石202の起磁力Fmが初期値から減少した場合の駆動力Bl(x)を、現在の駆動力Bl(x)として推定する。
【0048】
ここで、上述のように、Bl(x)=B(x)l=Fml/RmS(x)であるので、現在の駆動力Bl(x)は、非線形パラメータ初期値として記憶している駆動力Bl(x)を磁石202の減磁量と同じ割合減少させたものとなる。
以上、制御部1が行う稼働中非線形パラメータ更新処理について説明した。
このような稼働中非線形パラメータ更新処理によれば、実稼働開始後に、状態の蓄積による非線形パラメータの変化に追従するように非線形部補正フィルタ41の伝達関数を更新するので、安定的にスピーカ2の非線形パラメータによる歪みを適正に補正することができる。
【0049】
なお、以上の実施形態において、振動計測部3や信号補正部4は、スピーカユニットとしてスピーカ2と一体化されたものであってよい。
【符号の説明】
【0050】
1…制御部、2…スピーカ、3…振動計測部、4…信号補正部、5…アンプ、6…オーディオ装置、41…非線形部補正フィルタ、42…線形逆フィルタ、43…適応アルゴリズム実行部、44…エラー算出部、201…ヨーク、202…磁石、203…トッププレート、204…ボイスコイルボビン、205…ボイスコイル、206…フレーム、207…ダンパ、208…振動板、209…エッジ、210…ダストキャップ、211…変位検出用磁石、212…磁気角度センサ、220…磁気回路、231…温度センサ、2011…凸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7