(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125763
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ドア開閉ロボット、及び、ドア開閉システム
(51)【国際特許分類】
B62D 65/00 20060101AFI20230831BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20230831BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B62D65/00 Z
B05B12/00 A
B62D65/00 C
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】38
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030039
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】石丸 裕二
(72)【発明者】
【氏名】宮園 義彰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】吉野 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】大坪 直幸
【テーマコード(参考)】
3C707
3D114
4F035
【Fターム(参考)】
3C707AS23
3C707BS15
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY36
3C707CY37
3C707HS27
3C707LV02
3D114AA03
3D114BA13
3D114CA05
3D114CA10
3D114DA02
3D114DA11
3D114DA18
3D114FA07
3D114FA08
3D114GA02
3D114GA08
4F035AA03
4F035BC02
4F035BC05
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図る。
【解決手段】ドア開閉ロボットは、車体が搬送される搬送ラインとは異なる位置に設けられた基台と、第1軸まわりに回転するように基台に取り付けられ、第1軸から遠ざかる方向に延びている第1アームと、第1軸に平行な第2軸まわりに回転するように第1アームに取り付けられ、第2軸から遠ざかる方向に延びている第2アームと、第1軸に平行な第3軸まわりに回転するように第2アームに取り付けられ、第3軸から遠ざかる方向に延びている第3アームと、上下方向に沿って延びるように第3アームに取り付けられ、車体に取り付けられたドアを保持可能なツールを上下方向に沿って移動させる第4アームと、を備える。第2アームの先端部と第3アームの基端部とを含む連結部の少なくとも一部と、基台の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象の車体が搬送される搬送ラインとは異なる位置に設けられた基台と、
上下方向に沿う第1軸まわりに回転するように前記基台に取り付けられ、前記第1軸から遠ざかる方向に延びている第1アームと、
前記第1軸に平行な第2軸まわりに回転するように前記第1アームに取り付けられ、前記第2軸から遠ざかる方向に延びている第2アームと、
前記第1軸に平行な第3軸まわりに回転するように前記第2アームに取り付けられ、前記第3軸から遠ざかる方向に延びている第3アームと、
前記第3アームの先端部において前記上下方向に沿って延びるように前記第3アームに取り付けられ、前記車体に取り付けられたドアを保持可能なツールを前記上下方向に沿って移動させる第4アームと、を備え、
前記上下方向において、前記第2アームの先端部と前記第3アームの基端部とを含む連結部の少なくとも一部と、前記基台の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する、ドア開閉ロボット。
【請求項2】
前記第2アーム及び前記第3アームは、前記ツールに保持される前記ドアの下方において動作するように設けられている、請求項1に記載のドア開閉ロボット。
【請求項3】
前記上下方向において、前記第2アームの先端部以外の部分の最上位置と、前記第3アームの基端部以外の部分の最上位置とは、前記連結部の最上位置よりも低い、請求項1又は2に記載のドア開閉ロボット。
【請求項4】
前記上下方向において、前記第1アームと前記第2アームとの接続箇所と、前記連結部の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項5】
作業対象の車体が搬送される搬送ラインとは異なる位置に設けられた基台と、
上下方向に沿う第1軸まわりに回転するように前記基台に取り付けられ、前記第1軸から遠ざかる方向に延びている第1アームと、
前記第1軸に平行な第2軸まわりに回転するように前記第1アームに取り付けられ、前記第2軸から遠ざかる方向に延びている第2アームと、
前記第1軸に平行な第3軸まわりに回転するように前記第2アームに取り付けられ、前記第3軸から遠ざかる方向に延びている第3アームと、
前記第3アームの先端部において前記上下方向に沿って延びるように前記第3アームに取り付けられ、前記車体に取り付けられたドアを保持可能なツールを前記上下方向に沿って移動させる第4アームと、を備え、
前記第4アームは、前記ドアの窓枠を通過できるように前記ツールを昇降可能に保持し、
前記上下方向において、前記第3アームと前記第4アームとの接続箇所が、前記第2アーム及び前記第3アームの最上位置よりも低く、
前記第2アーム及び前記第3アームは、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の前記ドアの下方において動作するように設けられており、
前記上下方向において、前記第3アームの先端部の少なくとも一部と、前記第2アームの少なくとも一部とが、同じ高さに位置する、ドア開閉ロボット。
【請求項6】
前記上下方向において、前記第1アームと前記第2アームとの接続箇所と、前記第2アームの先端部と前記第3アームの基端部とを含む連結部の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する、請求項5に記載のドア開閉ロボット。
【請求項7】
前記第2アーム及び前記第3アームは、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の下方において動作するように設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項8】
前記第2アームは、前記第1アームの先端部の下に取り付けられており、
前記第3アームは、前記第2アームの先端部の上に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項9】
前記上下方向において、前記第3アームの先端部は、前記第3アームの基端部よりも低い、請求項8に記載のドア開閉ロボット。
【請求項10】
前記上下方向において、前記第2アームの最上位置は、前記第1アームのうちの基端部と先端部との間の部分の下面における最上位置よりも低い、請求項8又は9に記載のドア開閉ロボット。
【請求項11】
前記第2アームは、前記第1アームの先端部の下に取り付けられており、
前記第3アームは、前記第2アームの先端部の下に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項12】
前記上下方向において、前記第2アームの先端部は、前記第2アームの基端部よりも高い、請求項11に記載のドア開閉ロボット。
【請求項13】
前記第2アームは、前記第1アームの先端部の上に取り付けられており、
前記第3アームは、前記第2アームの先端部の下に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項14】
前記上下方向において、前記第1アームの先端部は、前記第1アームの基端部よりも低い、請求項13に記載のドア開閉ロボット。
【請求項15】
前記第1アームは、前記基台の上に取り付けられている、請求項1~14のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項16】
前記上下方向において、前記第2アームの少なくとも一部と、前記基台の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する、請求項1~15のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項17】
前記上下方向において、前記第1アームの先端部の最上位置は、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の前記ドアの最下位置よりも低い、請求項1~16のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項18】
前記上下方向において、前記第2アームの最上位置及び前記第3アームの最上位置は、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の前記ドアの最下位置よりも低く、
前記上下方向において、前記第2アームの最下位置及び前記第3アームの最下位置は、前記搬送ラインに沿って前記車体を搬送する搬送装置が設けられるブース底壁よりも高く、
前記上下方向において、前記第1アームの基端部の少なくとも一部は、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の前記ドアの最下位置と、同じ高さに位置する、請求項1~17のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項19】
前記上下方向において、前記第2アームの最上位置及び前記第3アームの最上位置は、前記第1アームの最上位置よりも低い、請求項1~18のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項20】
前記上下方向において、前記第2アームの最下位置と前記第3アームの最下位置とは、互いに略一致する、請求項1~19のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項21】
前記基台は、前記上下方向から見て、前記第1軸との間の距離が最も小さい側面が前記搬送ラインを向くように設置されている、請求項1~20のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項22】
前記第1アームを前記第1軸まわりに回転させるための第1駆動力を発生する第1モータと、
前記第2アームを前記第2軸まわりに回転させるための第2駆動力を発生する第2モータと、を更に備え、
前記第1モータ及び前記第2モータは、前記第1アームに配置されている、請求項1~21のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項23】
前記第1モータは、第1モータ本体と、第1出力軸とを含み、
前記第2モータは、第2モータ本体と、第2出力軸とを含み、
前記第1モータは、前記第1出力軸を下に向けた状態で上方から取り付けられており、
前記第2モータは、前記第2出力軸を下に向けた状態で上方から取り付けられている、請求項22に記載のドア開閉ロボット。
【請求項24】
前記第3アームを前記第3軸まわりに回転させるための第3駆動力を発生する第3モータを更に備え、
前記第3モータは、前記第2アームにおいて、前記第3モータと前記第2軸との間の距離が前記第3モータと前記第3軸との間の距離よりも小さくなるように配置されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項25】
前記第3モータは、第3モータ本体と、第3出力軸とを含み、
前記第3モータは、前記第3出力軸を下に向けた状態で上方から取り付けられている、請求項24に記載のドア開閉ロボット。
【請求項26】
前記上下方向から見て、前記第2アームの側方部分は、内側に向かって凹むように形成されている、請求項1~25のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項27】
前記第4アームは、前記第1軸と平行な第4軸まわりに前記ツールと共に回転するように、前記第3アームの先端部に取り付けられている、請求項1~26のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項28】
前記第4アームを前記第4軸まわりに回転させるための第4駆動力を発生する第4モータと、
前記ツールを前記上下方向に沿って移動させるための第5駆動力を発生する第5モータと、を更に備え、
前記第4モータ及び前記第5モータは、前記第3アームに配置されている、請求項27に記載のドア開閉ロボット。
【請求項29】
前記第4モータは、第4モータ本体と、第4出力軸とを含み、
前記第5モータは、第5モータ本体と、第5出力軸とを含み、
前記第4モータは、前記第4出力軸を下に向けた状態で上方から取り付けられており、
前記第5モータは、前記第5出力軸を下に向けた状態で上方から取り付けられている、請求項28に記載のドア開閉ロボット。
【請求項30】
前記第4アームは、
前記第3アームの先端部に取り付けられ、前記第4軸まわりに回転可能な第1部分と、
前記第1部分の回転により前記第4軸まわりに前記第1部分と共に回転可能であり、前記第1部分に昇降可能に設けられた第2部分と、を含み、
前記ツールは、前記第2部分に取り付けられている、請求項27~29のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項31】
前記第4アームは、前記第1部分の少なくとも一部を上から覆い、前記第2部分と共に昇降するカバー部分を更に含む、請求項30に記載のドア開閉ロボット。
【請求項32】
前記第2アームのアーム長は、前記第1アームのアーム長の0.9倍~1.1倍であり、
前記第3アームのアーム長は、前記第1アームのアーム長の0.9倍~1.1倍である、請求項1~31のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項33】
前記基台の底面及び側面それぞれが、所定位置に取り付け可能である、請求項1~32のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項34】
前記基台の側面が、前記搬送ラインに沿って延び、前記車体及び前記ドアを含むワークへの塗装を行うための領域を形成するブース側壁に含まれる支柱に取り付けられている、請求項1~33のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項35】
前記基台の底面が、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体と、前記搬送ラインに沿って延び、前記車体及び前記ドアを含むワークへの塗装を行うための領域を形成するブース側壁との間に位置するブース底壁に取り付けられている、請求項1~33のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項36】
前記基台は、前記搬送ラインに沿って延び、前記車体及び前記ドアを含むワークへの塗装を行うための領域を形成するブース側壁と、前記搬送ラインに沿って搬送されている前記車体の側面との間において、前記ブース側壁寄りに配置されている、請求項1~35のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項37】
前記ツールは、前記上下方向に交差する方向に沿って延びる延長部分と、前記延長部分から下に向かって延び、前記ドアの内面に接触可能な保持部分と、を含み、
前記第4アームは、前記保持部分が、前記ドアの窓枠の下端よりも上昇した状態で前記ドアの窓枠を通過可能となるように、前記ツールを前記上下方向に沿って移動させる、請求項1~36のいずれか一項に記載のドア開閉ロボット。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載のドア開閉ロボットと、
前記搬送ラインに沿って前記車体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されている前記車体の前記ドアを開閉させるように、前記ドア開閉ロボットを制御する制御装置と、を備えるドア開閉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドア開閉ロボット、及び、ドア開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塗装ブース内に固定され、所定の搬送向きに搬送される車両を塗装する複数の塗装ロボットと、車両の開閉部材を操作する操作ロボットと、を備える塗装システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、省スペース化に有用なドア開閉ロボット、及び、ドア開閉システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るドア開閉ロボットは、作業対象の車体が搬送される搬送ラインとは異なる位置に設けられた基台と、上下方向に沿う第1軸まわりに回転するように基台に取り付けられ、第1軸から遠ざかる方向に延びている第1アームと、第1軸に平行な第2軸まわりに回転するように第1アームに取り付けられ、第2軸から遠ざかる方向に延びている第2アームと、第1軸に平行な第3軸まわりに回転するように第2アームに取り付けられ、第3軸から遠ざかる方向に延びている第3アームと、第3アームの先端部において上下方向に沿って延びるように第3アームに取り付けられ、車体に取り付けられたドアを保持可能なツールを上下方向に沿って移動させる第4アームと、を備える。上下方向において、第2アームの先端部と第3アームの基端部とを含む連結部の少なくとも一部と、基台の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する。
【0006】
本開示の一側面に係るドア開閉ロボットは、作業対象の車体が搬送される搬送ラインとは異なる位置に設けられた基台と、上下方向に沿う第1軸まわりに回転するように基台に取り付けられ、第1軸から遠ざかる方向に延びている第1アームと、第1軸に平行な第2軸まわりに回転するように第1アームに取り付けられ、第2軸から遠ざかる方向に延びている第2アームと、第1軸に平行な第3軸まわりに回転するように第2アームに取り付けられ、第3軸から遠ざかる方向に延びている第3アームと、第3アームの先端部において上下方向に沿って延びるように第3アームに取り付けられ、車体に取り付けられたドアを保持可能なツールを上下方向に沿って移動させる第4アームと、を備える。第4アームは、ドアの窓枠を通過できるようにツールを昇降可能に保持する。上下方向において、第3アームと第4アームとの接続箇所が、第2アーム及び第3アームの最上位置よりも低い。第2アーム及び第3アームは、搬送ラインに沿って搬送されている車体のドアの下方において動作するように設けられている。上下方向において、第3アームの先端部の少なくとも一部と、第2アームの少なくとも一部とが、同じ高さに位置する。
【0007】
本開示の一側面に係るドア開閉システムは、上記ドア開閉ロボットと、搬送ラインに沿って車体を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送されている車体のドアを開閉させるように、ドア開閉ロボットを制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、省スペース化に有用なドア開閉ロボット、及び、ドア開閉システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ドア開閉ロボットが設けられる塗装システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、ドア開閉ロボットの一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、ドア開閉ロボットの一例を示す上面図である。
【
図4】
図4は、ドア開閉ロボットの内部構成の一例と制御装置の機能構成の一例とを示す模式図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第4アーム及びツールの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、ワークとドア開閉ロボットとの高さ関係の一例を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、ドア開閉ロボットの設置位置の一例を模式的に示す上面図である。
【
図8】
図8は、ドア開閉ロボットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、ドア開閉ロボットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、制御装置が実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図16】
図16(a)及び
図16(b)は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、ドア開閉ロボットの一連の動作の一例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、ドア開閉ロボットの一連の動作の一例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、ドア開閉ロボットの一連の動作の一例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、2台のドア開閉ロボットが設けられる塗装システムの一例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、制御装置が実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図23】
図23は、ドア開閉ロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1に示される塗装システム1は、塗装対象物(以下、「ワークW」という。)に対する塗装作業の少なくとも一部を実行するためのシステムである。ワークWは、自動車(例えば、四輪自動車)において乗員室を形成する車体250と、車体250に取り付けられたドア260と、を含む。ワークWは、内装部材、エンジン、及び、窓等の部品が装着される前の状態である。ドア260(サイドドア)は、車体250(ボディ)に対して開閉自在に取り付けられている。一例では、車体250の左右の側面(車体250の両側面)それぞれに、2つのドア260が取り付けられている。
【0012】
塗装システム1は、いわゆる内板塗装を実行するように構成されている。塗装システム1による塗装箇所は、ドア260を開放した状態で塗装を行う必要がある箇所を含む。塗装システム1による塗装箇所は、例えば、ドア260の内側、及び、前後に並ぶ一対のドア260の間に位置するセンターピラーを含む。以下、車体250に取り付けられているドア260を、「車体250のドア260」と表記する場合がある。ドア260は、ヒンジドアであってもよく、スライドドアであってもよい。車体250の1つの側面に設けられる2以上のドア260が、異なる種類のドアであってもよい。
【0013】
塗装システム1は、塗装作業を行うための領域(塗装ブース内)において車体250が搬送されている状態で、ドア260の開閉を行いながら、車体250及びドア260を含むワークWに対する塗装を行う。塗装作業を行うための領域(以下、「塗装領域R」という。)は、例えば、ブース底壁202と、一対のブース側壁204と、ブース天井とによって区画される。塗装システム1は、塗料ミストの拡散を防ぐ観点から、塗装領域Rにおいて、上方から下方に流れるダウンフローを形成してもよい。
【0014】
塗装システム1は、搬送装置12と、塗装ロボットと、ドア開閉ロボット14と、制御装置16と、を備える。搬送装置12は、所定の搬送ラインLcに沿って、車体250(ワークW)を搬送するように構成された装置である。搬送装置12は、車体250の上下方向の高さを一定の位置に維持しつつ、搬送ラインLcに沿って車体250を搬送する。搬送装置12による搬送速度は、一定であってもよい。搬送装置12は、車体250のフロント部分を前に向けて、車体250を搬送してもよい。搬送ラインLcは、水平に設定される仮想的なラインである。搬送装置12が搬送ラインLcに沿って車体250を搬送することで、車体250の幅方向における中心が搬送ラインLc上を移動する。
【0015】
本開示では、搬送ラインLcが延びる水平方向を「X軸方向」と表記し、X軸方向に直交する水平方向を「Y軸方向」と表記する。X軸方向が塗装領域Rの長手方向に対応し、Y軸方向が塗装領域Rの幅方向に対応する。図面において、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向の双方に垂直な上下方向を表す。搬送装置12による車体250の搬送を基準に、「上流」及び「下流」の用語を用いる。搬送装置12は、搬送ラインLcに沿って、上流から下流に向けて車体250を搬送する。
【0016】
搬送装置12は、塗装領域Rにおいて、ブース底壁202に設けられている。搬送装置12は、例えば、コンベアである。搬送装置12は、Y軸方向において、一対のブース側壁204の間に配置されている。一対のブース側壁204それぞれは、搬送ラインLc(X軸方向)に沿って延びている。搬送装置12は、Y軸方向において、一対のブース側壁204の間の中央に配置されてもよい。Y軸方向において、一対のブース側壁204の一方と搬送ラインLcとの間の距離は、一対のブース側壁204の他方と搬送ラインLcとの間の距離に略一致する。本開示において、1つの部材と他の1つの部材との間の距離は、これらの部材間の最短距離で定義される。ブース側壁204は、複数の支柱208と、隣り合う一対の支柱208の間に位置する壁本体206と、を含んでもよい。
【0017】
塗装ロボットは、ドア開閉ロボット14と協働して、搬送装置12によって搬送されているワークWに対する塗装を実行する。塗装ロボットは、例えば、6軸以上の垂直多関節ロボットである。塗装ロボットは、ブース側壁204(例えば、ブース側壁204の支柱又は梁)に設置されていてもよい。塗装ロボットは、ドア開閉ロボット14がドア260を開放したときに、そのドア260に関する塗装箇所を塗装できるように設置される。塗装ロボットは、複数のアームの先端に取り付けられた塗装ガンから塗料の吹き付け(噴霧)を行う。
【0018】
ドア開閉ロボット14は、作業対象の車体250が搬送される搬送ラインLcと、ブース側壁204との間に配置されている。ドア開閉ロボット14は、ブース底壁202のうちの搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の側面とブース側壁204との間に位置する底面、又は、ブース側壁204に設置される。ドア開閉ロボット14は水平多関節ロボット(いわゆるスカラロボット)である。ドア開閉ロボット14は、車体250に取り付けられたドア260の開閉を行うことができるように構成されている。
【0019】
図2及び
図3には、ドア開閉ロボット14の一例が示されている。ドア開閉ロボット14は、基台20と、第1アーム30と、第2アーム40と、第3アーム50と、第4アーム60と、ツール70と、を備える。
【0020】
基台20は、ドア開閉ロボット14を所定位置に固定すると共に、複数のアームを支持するベース部分である。基台20は、搬送ラインLcとは異なる位置に設けられている。基台20は、Y軸方向において、ブース側壁204と、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250(車体250のブース側壁204に対向する側面)との間に設けられる。基台20は、X軸方向において、搬送装置12によって車体250が搬送される範囲内に設けられる。搬送ラインLc上において基台20よりも上流の位置から、基台20よりも下流の位置まで、搬送装置12によって車体250が搬送される。一例では、搬送装置12は、車体250の前端が基台20よりも上流に位置する第1所定位置から、車体250の後端が基台20よりも下流に位置する第2所定位置まで、車体250を搬送する。
【0021】
基台20は、ブース底壁202、又は、ブース側壁204に固定されている。基台20が所定位置に固定されることで、ドア開閉ロボット14(基台20)は塗装領域Rにおいて固定される。搬送装置12によりワークWが搬送されても、基台20の塗装領域Rにおける位置は変化しない。塗装システム1では、ドア開閉ロボット14自体を搬送する装置が設けられていない。
【0022】
基台20は、その底面22及び1つの側面(例えば、後述の側面24b)それぞれが、所定位置に取り付け可能であってもよい。底面22が取り付けられる場合、基台20は、ブース底壁202に固定される。基台20の側面が取り付けられる場合、基台20は、ブース側壁204に固定される。基台20の底面22及び側面それぞれが取り付け可能であることによって、基台20の底面をブース底壁202に固定すること、及び、基台20の側面をブース側壁204に固定することの選択が可能である。
【0023】
基台20は、他の部材を介して、ブース底壁202又はブース側壁204に固定されてもよい。基台20がブース底壁202に固定される場合、ブース底壁202と基台20との間に、固定用の部材が設けられてもよく、基台20がブース側壁204に固定される場合、ブース側壁204と基台20との間に、固定用の部材が設けられてもよい。ブース底壁202又はブース側壁204に基台20を固定することには、他の部材を介して実質的に固定される場合も含む。
【0024】
基台20は、例えば、底面22に設けられた取付部26と、側面に設けられた取付部28と、を含む。一例では、ボルト等の固定部材によって取付部26がブース底壁202に固定されるか、又は、ボルト等の固定部材によって取付部28がブース側壁204に固定される。
図1に示される例では、基台20の底面22が、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250と、塗装領域Rを形成するブース側壁204との間に位置するブース底壁202に取り付けられている。
【0025】
第1アーム30は、上下方向に沿う回転軸Ax1(第1軸)まわりに回転するように基台20に取り付けられている。回転軸Ax1は、上下方向に延びる鉛直な軸線であり、第1アーム30は回転軸Ax1まわりに回転可能である。第1アーム30は、回転軸Ax1から遠ざかる方向に延びている。第1アーム30(第1アーム30のアーム本体)は、回転軸Ax1に交差する方向(例えば、回転軸Ax1に垂直な方向)に延びている。第1アーム30の基端部32が、基台20に取り付けられてもよい。回転軸Ax1は、基端部32と基台20とを通っていてもよい。第1アーム30の基端部32は、基台20の上に取り付けられてもよい。
【0026】
第2アーム40は、回転軸Ax1と平行な回転軸Ax2(第2軸)まわりに回転するように第1アーム30に取り付けられている。「平行」とは、厳密に平行である場合だけでなく、製造誤差又は設置誤差が含まれる状態を許容し、実質的に平行な場合も含む。「垂直」及び「鉛直」についても同様であり、実質的に垂直な場合、及び、実質的に鉛直な場合を含む。回転軸Ax2は、上下方向に延びる鉛直な軸線であり、第2アーム40は回転軸Ax2まわりに回転可能である。
【0027】
第2アーム40は、回転軸Ax2から遠ざかる方向に延びている。第2アーム40(第2アーム40のアーム本体)は、回転軸Ax2に交差する方向(例えば、回転軸Ax2に垂直な方向)に延びている。第2アーム40の基端部42が、第1アーム30の先端部34に取り付けられてもよい。回転軸Ax2は、第2アーム40の基端部42と、第1アーム30の先端部34とを通っていてもよい。第2アーム40(例えば、基端部42)は、第1アーム30の先端部34の下に取り付けられてもよい。
【0028】
第3アーム50は、回転軸Ax1と平行な回転軸Ax3(第3軸)まわりに回転するように第2アーム40に取り付けられている。回転軸Ax3は、上下方向に延びる鉛直な軸線であり、第2アーム40は、回転軸Ax3まわりに回転可能である。第3アーム50は、回転軸Ax3から遠ざかる方向に延びている。第3アーム50(第3アーム50のアーム本体)は、回転軸Ax3に交差する方向に延びている。上下方向から見て、第3アーム50は、水平な一方向に延在するように形成されている。第3アーム50の基端部52が、第2アーム40の先端部44に取り付けられてもよい。回転軸Ax3は、第3アーム50の基端部52と、第2アーム40の先端部44とを通っていてもよい。第3アーム50(例えば、基端部52)は、第2アーム40の先端部44の上に取り付けられてもよい。
【0029】
第4アーム60は、上下方向に沿って延びるように第3アーム50に取り付けられている。第4アーム60は、第3アーム50の先端部54に取り付けられている。第4アーム60は、車体250に取り付けられたドア260を保持可能なツール70を上下方向に沿って移動させる。第4アーム60には、ツール70が取り付けられている。第4アーム60は、回転軸Ax1と平行な回転軸Ax4(第4軸)まわりにツール70と共に回転するように、第3アーム50の先端部54に取り付けられていてもよい。
【0030】
回転軸Ax4は、上下方向に延びる鉛直な軸線であり、第4アーム60は、回転軸Ax4まわりに回転可能である。第4アーム60の回転軸Ax4まわりの回転に伴って、ツール70は、回転軸Ax4まわりに回転する。第4アーム60及びツール70の詳細については、後述する。
【0031】
図2には、ブース底壁202の高さ位置が「H0」で示され、搬送装置12によって搬送されているワークWの車体250の下端の高さ位置が「H1」で示され、そのワークWのドア260の下端の高さ位置が「H2」で示されている。本開示において、高さ位置は、上下方向における位置を意味する。「高い」及び「低い」は、上下方向における位置(高さ位置)の位置関係を表す。以下、各アームの高さ位置について、説明する。
【0032】
第2アーム40の先端部44と、第3アーム50の基端部52とを含む連結部(以下、「連結部CS」という。)の少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とは、同じ高さに位置する。例えば、連結部CSの少なくとも一部と、基台20の最上位置とが、同じ高さ位置する。この場合に、基台20の最下位置は、連結部CSと同じ高さでなくてもよい。連結部CSの最下位置が、基台20の最下位置よりも高くてもよい。1つの部材の最上位置は、その部材において最も上方に位置する箇所を表し、1つの部材の最下位置は、その部材において最も下方に位置する箇所を表す。第2アーム40の先端部44の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置し、第3アーム50の基端部52の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。
【0033】
図2に示される例とは異なり、連結部CSの少なくとも一部と、基台20の最下位置とが、同じ高さ位置し、基台20の最上位置が、連結部CSと同じ高さでなくてもよい。基台20の最上位置が、連結部CSの少なくとも一部と同じ高さであり、基台20の最下位置が、連結部CSの少なくとも一部と同じ高さであってもよい。第2アーム40の先端部44の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置し、第3アーム50の基端部52が、基台20と同じ高さでなくてもよい。第3アーム50の基端部52の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置し、第2アーム40の先端部44の少なくとも一部が、基台20と同じ高さでなくてもよい。
【0034】
第2アーム40及び第3アーム50は、ツール70に保持されるドア260の下方において動作するように設けられてもよい。ドア260の下方において動作するとは、ドア260の下端よりも低い位置で動作することを意味し、ドア260の鉛直下方を含む領域において動作してもよく、ドア260の水平方向における位置とは異なる領域で動作してもよい。第2アーム40及び第3アーム50は、ドア260の下端よりも低い位置で動作が可能な高さ位置に設置されてもよい。第3アーム50の最上位置h1は、ドア260の下端の高さ位置H2(ドア260の最下位置)よりも低くてもよい。第2アーム40の最上位置h2は、高さ位置H2よりも低くてもよい。上下方向から見て、第2アーム40及び第3アーム50をドア260と重なる位置まで移動させた場合に、第2アーム40及び第3アーム50がドア260の下に配置可能であってもよい。
【0035】
第2アーム40及び第3アーム50は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の下方において動作するように設けられてもよい。第2アーム40及び第3アーム50は、車体250の下端よりも低い位置で動作が可能な高さ位置に設置されてもよい。第3アーム50の最上位置h1は、車体250の下端の高さ位置H1(車体250の最下位置)よりも低くてもよい。第2アーム40の最上位置h2は、車体250の下端の高さ位置H1よりも低くてもよい。上下方向から見て、第2アーム40及び第3アーム50を車体250と重なる位置まで移動させた場合に、第2アーム40及び第3アーム50は車体250の下に配置可能であってもよい。
【0036】
第2アーム40の先端部44以外の部分の最上位置と、第3アーム50の基端部52以外の部分の最上位置h3とは、連結部CSの最上位置よりも低い。
図1に示される例では、連結部CSにおける最上位置が、第3アーム50における最上位置h1に相当し、第2アーム40の先端部44以外の部分の最上位置は、第2アーム40の最上位置h2に相当する。以上のように、連結部CSが、第2アーム40及び第3アーム50において最も高い部分であってもよい。
【0037】
第1アーム30と第2アーム40との接続箇所CP12と、連結部CSの少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。接続箇所CP12は、連結部CSの最上位置(最上位置h1)よりも低く、連結部CSの最下位置よりも高くてもよい。接続箇所CP12は、第1アーム30において、第2アーム40が接続されている箇所(第1アーム30によって、第2アーム40が支持されている箇所)である。
【0038】
第3アーム50と第4アーム60との接続箇所CP34は、第2アーム40及び第3アーム50の最上位置よりも低くてもよい。接続箇所CP34は、第3アーム50において、第4アーム60が接続されている箇所(第3アーム50によって、第4アーム60が支持されている箇所)である。第2アーム40及び第3アーム50の最上位置は、第2アーム40及び第3アーム50の双方を含めた部分における最上位置を意味する。
図2に示される例では、第2アーム40及び第3アーム50の最上位置は、第3アーム50の最上位置h1に相当する。
【0039】
第3アーム50の先端部54の少なくとも一部と、第2アーム40の少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。例えば、第2アーム40の最下位置h6が、第3アーム50の先端部54の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。第3アーム50の先端部54の最下位置が、第2アーム40の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。
【0040】
第3アーム50の先端部54は、基端部52よりも低くてもよい。先端部54の最上位置は、基端部52の最上位置(最上位置h1)よりも低くてもよい。第3アーム50のうちの基端部52と先端部54との間の中間部分56の少なくとも一部は、基端部52を起点として、鉛直斜め下方に延びていてもよい。第2アーム40の最上位置h2は、第1アーム30のうちの基端部32と先端部34との間の中間部分36の下面における最上位置h8よりも低くてもよい。
【0041】
第2アーム40の少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。第2アーム40の最下位置h6が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。第2アーム40の基端部42の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。第2アーム40のうちの基端部42と先端部44との間の中間部分46の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。
【0042】
第3アーム50の少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。第3アーム50の最下位置h7が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。第3アーム50の先端部54の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。第3アーム50の中間部分56の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置してもよい。
【0043】
第1アーム30の先端部34の最上位置h4は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の下端の高さ位置H2(ドア260の最下位置)よりも低くてもよい。最上位置h4は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の下端の高さ位置H2(車体250の最下位置)よりも高くてもよい。第1アーム30の基端部32の少なくとも一部は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の最下位置(高さ位置H1)と、同じ高さに位置してもよい。第1アーム30の最上位置h5が、高さ位置H1よりも高くてもよい。第1アーム30の最上位置h5が、高さ位置H2よりも高くてもよい。
【0044】
第2アーム40の最上位置h2及び第3アーム50の最上位置h1は、第1アーム30の先端部34の最上位置h4よりも低くてもよい。第2アーム40の最上位置h2及び第3アーム50の最上位置h1は、第1アーム30の最上位置h5よりも低くてもよい。
【0045】
第2アーム40の最下位置h6及び第3アーム50の最下位置h7は、ブース底壁202よりも高い。最下位置h6は、高さ位置H0よりも高く、最下位置h7は、高さ位置H0よりも高い。第2アーム40及び第3アーム50は、ブース底壁202のうちの搬送ラインLc上の車体250とブース側壁204との間の底壁部分と、高さ位置H2における水平な仮想平面との間の領域において動作してもよい(
図6を参照)。
【0046】
上下方向において、第2アーム40の最下位置h6と第3アーム50の最下位置h7とは、互いに略一致していてもよい。上下方向において最下位置h6と最下位置h7とが互いに略一致する場合、最下位置h6と最下位置h7との間の上下方向における差分が、200mm以下である。最下位置h6と最下位置h7との間の上下方向における差分は、150mm以下、130mm以下、又は100mm以下であってもよい。最下位置h6と最下位置h7との間の上下方向における差分が、各アームの後述のアーム長に比べて、比較的小さい範囲となるように、最下位置h6及び最下位置h7が設定されてもよい。
【0047】
図3に示されるように、第2アーム40の側方部分43,43の少なくとも一方は、内側に向かって凹むように(湾曲するように)形成されていてもよい。第2アーム40の2つの側方部分43それぞれが、内側に向かって凹むように形成されていてもよい。第2アーム40において、基端部42と先端部44との間の中間部分46の側面が、基端部42の側面と先端部44の側面とを結ぶ仮想平面よりも内側に位置していてもよい。
【0048】
図3には、回転軸Ax1、回転軸Ax2、回転軸Ax3、及び、回転軸Ax4が、直線状の仮想ライン上に並んだ状態のドア開閉ロボット14が示されている。上下方向から見たときに、回転軸Ax1、回転軸Ax2、回転軸Ax3、及び、回転軸Ax4を通る仮想ラインを中心ラインCLと定義する。ドア開閉ロボット14(より詳細には、ドア開閉ロボット14のうちのツール70以外の部分)は、中心ラインCLに関して実質的に線対称であってもよい。
【0049】
図4には、ドア開閉ロボット14の内部が模式的に示されている。ドア開閉ロボット14の内部の少なくとも一部の圧力は、ドア開閉ロボット14の外の領域の圧力よりも高くてもよい。これにより、ドア開閉ロボット14の内部に塗料ミストが入る可能性が低減される。ドア開閉ロボット14の内部には、モータに電力を供給する配線、及び、各種センサとの間で信号を伝達する配線が設けられてもよい。ドア開閉ロボット14は、モータM1~M5と、駆動装置91~95と、を有する。
【0050】
モータM1(第1モータ)は、第1アーム30を回転軸Ax1まわりに回転させるための駆動力(第1駆動力)を発生する。モータM1は、第1アーム30に配置されてもよい。モータM1は、モータ本体81a(第1モータ本体)と、出力軸81b(第1出力軸)と、を含む。モータM1は、第1アーム30において、出力軸81bを下に向けた状態で上方から取り付けられている。モータM1が取り付けられた状態において、モータ本体81aは、出力軸81bの鉛直上方に位置してもよい。モータM1は、第1アーム30のアーム本体に対して、取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0051】
モータM1は、回転軸Ax1と回転軸Ax2との間において、回転軸Ax1寄りに配置されてもよい。モータM1と回転軸Ax1との間の距離は、モータM1と回転軸Ax2との間の距離よりも小さくてもよい。駆動装置91は、モータM1による駆動力を、基台20と第1アーム30の基端部32との間の第1関節に伝達し、第1関節を動作させる。駆動装置91は、例えば、ギヤ、及び、減速機を含む。駆動装置91は、ベルト、及び、プーリを含んでもよい。駆動装置91は、第1アーム30に配置されてもよい。
【0052】
モータM2(第2モータ)は、第2アーム40を回転軸Ax2まわりに回転させるための駆動力(第2駆動力)を発生する。モータM2は、第1アーム30に配置されてもよい。モータM2は、モータ本体82a(第2モータ本体)と、出力軸82b(第2出力軸)と、を含む。モータM2は、第1アーム30において、出力軸82bを下に向けた状態で上方から取り付けられている。モータM2が取り付けられた状態において、モータ本体82aは、出力軸82bの鉛直上方に位置してもよい。モータM2は、第1アーム30のアーム本体に対して、取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0053】
モータM2は、回転軸Ax1と回転軸Ax2との間において、回転軸Ax1寄りに配置されてもよい。モータM2と回転軸Ax1との間の距離は、モータM2と回転軸Ax2との間の距離よりも小さくてもよい。駆動装置92は、モータM2による駆動力を、第1アーム30の先端部34と第2アーム40の基端部42との間の第2関節に伝達し、第2関節を動作させる。駆動装置92は、例えば、ベルト、プーリ、ギヤ、及び、減速機を含む。駆動装置92は、第1アーム30に配置されてもよい。
【0054】
第1アーム30において、回転軸Ax1、モータM1、モータM2、及び回転軸Ax2が、この順に並んで配置されてもよい。第1アーム30は、取り付けられたモータM1及びモータM2を上方から覆うカバー部材38を含んでもよい。カバー部材38は、第1アーム30のアーム本体に対して着脱自在に設けられている。カバー部材38は、回転軸Ax1と回転軸Ax2との間において、回転軸Ax1寄りに配置されている。
【0055】
モータM3(第3モータ)は、第3アーム50を回転軸Ax3まわりに回転させるための駆動力(第3駆動力)を発生する。モータM3は、第2アーム40に配置されてもよい。モータM3は、モータ本体83a(第3モータ本体)と、出力軸83b(第3出力軸)と、を含む。モータM3は、第2アーム40において、出力軸83bを下に向けた状態で上方から取り付けられている。モータM3が取り付けられた状態において、モータ本体83aは、出力軸83bの鉛直上方に位置してもよい。モータM3は、第2アーム40のアーム本体に対して、取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0056】
モータM3は、回転軸Ax2と回転軸Ax3との間において、回転軸Ax2寄りに配置されてもよい。モータM3は、第2アーム40において、モータM3と回転軸Ax2との間の距離がモータM3と回転軸Ax3との間の距離よりも小さくなるように配置されてもよい。駆動装置93は、モータM3による駆動力を、第2アーム40の先端部44と第3アーム50の基端部52との間の第3関節に伝達し、第3関節を動作させる。駆動装置93は、例えば、ベルト、プーリ、ギヤ、及び、減速機を含む。駆動装置93は、第2アーム40に配置されてもよい。
【0057】
第2アーム40は、取り付けられたモータM3を上方から覆うカバー部材48を含んでもよい。カバー部材48は、第2アーム40のアーム本体に対して着脱自在に設けられている。カバー部材48は、回転軸Ax2と回転軸Ax3との間において、回転軸Ax2寄りに配置されてもよい。
【0058】
モータM4(第4モータ)は、第4アーム60を回転軸Ax4まわりに回転させるための駆動力(第4駆動力)を発生する。モータM4は、第3アーム50に配置されてもよい。モータM4は、モータ本体84a(第4モータ本体)と、出力軸84b(第4出力軸)と、を含む。モータM4は、第3アーム50において、出力軸84bを下に向けた状態で上方から取り付けられている。モータM4が取り付けられた状態において、モータ本体84aは、出力軸84bの鉛直上方に位置してもよい。モータM4は、第3アーム50のアーム本体に対して、取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0059】
モータM4は、第3アーム50の基端部52と先端部54との間の中間部分56において、基端部52よりも低い位置に配置されてもよい。駆動装置94は、モータM4による駆動力を、第3アーム50の先端部54と、第4アーム60の下端部との間の第4関節に伝達し、第4関節を動作させる。駆動装置94は、例えば、ベルト、プーリ、ギヤ、及び、減速機を含む。駆動装置94は、第4アーム60に配置されてもよい。
【0060】
モータM5(第5モータ)は、ツール70を上下方向に沿って移動させるための駆動力(第5駆動力)を発生する。モータM5は、第3アーム50に配置されてもよい。モータM5は、モータ本体85a(第5モータ本体)と、出力軸85b(第5出力軸)と、を含む。モータM5は、第3アーム50において、出力軸85bを下に向けた状態で上方から取り付けられている。モータM5が取り付けられた状態において、モータ本体85aは、出力軸85bの鉛直上方に位置してもよい。モータM5は、第3アーム50のアーム本体に対して、取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0061】
モータM5は、第3アーム50の中間部分56において、基端部52よりも低い位置に配置されてもよい。駆動装置95は、第4アーム60に含まれ、ツール70を支持する部分を、モータM5が発生した駆動力によって昇降させる。駆動装置95は、伝達装置96と、昇降装置97と、を含む。伝達装置96は、モータM5による駆動力を昇降装置97に伝達する。昇降装置97は、例えば、ボールねじであり、伝達装置96を介して伝達された、モータM5による駆動力(回転力)を直線運動に変換する。昇降装置97は、第4アーム60(第4アーム60の内部)に配置されている。
【0062】
モータM4の少なくとも一部、及び、モータM5の少なくとも一部は、先端部54が基端部52よりも低いことに起因して、中間部分56の上方において基端部52の最上位置よりも下に形成されるデットスペースに配置されている。第3アーム50は、取り付けられたモータM4及びモータM5を上方から覆うカバー部材58を含んでもよい。カバー部材58は、第3アーム50のアーム本体に対して着脱自在に設けられている。第4アーム60には、いずれのモータ(駆動源)も配置されていなくてもよい。
【0063】
第1アーム30のアーム長L1、第2アーム40のアーム長L2、及び、第3アーム50のアーム長L3は、互いに略一致していてもよい。アーム長L1は、回転軸Ax1と回転軸Ax2との間の距離である。アーム長L2は、回転軸Ax2と回転軸Ax3との間の距離である。アーム長L3は、回転軸Ax3と回転軸Ax4との間の距離である。
【0064】
第2アーム40のアーム長L2は、第1アーム30のアーム長L1の0.9倍~1.1倍であってもよく、アーム長L1の0.95倍~1.05倍であってもよく、アーム長L1の0.98倍~1.02倍であってもよい。第3アーム50のアーム長L3は、第1アーム30のアーム長L1の0.9倍~1.1倍であってもよく、アーム長L1の0.95倍~1.05倍であってもよく、アーム長L1の0.98倍~1.02倍であってもよい。
【0065】
ドア開閉ロボット14は、車体250が搬送されている間、その動きに追従しながら、ドア260を開放させた状態に維持する。距離Lx、距離Ly、及び、総合アーム長Ltそれぞれを次のように定義したときに(
図1も参照)、総合アーム長Ltは、下記の式(1)を満たすように設定されてもよい。
距離Lx:ドア開閉ロボット14によりドア260を開放させる全期間に車体250(センターピラー)が進む距離
距離Ly:回転軸Ax1と、車体250のうちドア260が位置する側方が通るラインとの間のY軸方向における距離
総合アーム長Lt:アーム長L1、アーム長L2、及び、アーム長L3の合計値
【数1】
【0066】
一例では、距離Lxが4000mmであり、距離Lyが1200mmである場合、総合アーム長Ltは、2330mm以上に設定される。総合アーム長Ltは、2400mm~2700mm程度であってもよい。アーム長L1、アーム長L2、及び、アーム長L3それぞれ(各アーム長)は、800mm~900mm程度であってもよい。
【0067】
図5(a)及び
図5(b)には、第4アーム60及びツール70の動作の様子が示されている。第4アーム60は、ツール70がドア260の窓枠262(窓枠262の内側の開口)を通過できるように、ツール70を昇降可能に保持する。昇降装置97が設けられた第4アーム60は、ツール70の少なくとも一部が窓枠262を通過できる高さ位置まで、ツール70を昇降させることが可能である。
【0068】
第4アーム60は、例えば、固定部分62(第1部分)と、可動部分64(第2部分)と、カバー部分68と、を含む。固定部分62は、第3アーム50の先端部54に取り付けられており、回転軸Ax4まわりに回転可能な部分である。固定部分62は、上下方向に延びるように形成されており、例えば、昇降装置97、及び、可動部分64の一部を収容する筐体を含む。可動部分64は、固定部分62の回転により回転軸Ax4まわりに固定部分62と共に回転可能であり、固定部分62に昇降可能に設けられた部分である。ツール70は、可動部分64に取り付けられている。
【0069】
上下方向において、固定部分62に対する可動部分64の位置が変化することで、可動部分64に取り付けられたツール70が昇降する。可動部分64は、例えば、ツール保持部64aと、接続部64bと、を含む。ツール保持部64aは、上下方向に沿って延びるように棒状に形成されている。上下方向から見て、ツール保持部64aの中心が回転軸Ax4に略一致する。ツール保持部64aの上端部は、固定部分62の外に露出している。ツール保持部64aの上端部にツール70が取り付けられている。接続部64bは、ツール保持部64aと、昇降装置97の可動部分(例えば、ボールねじのナット)とを接続する。
【0070】
カバー部分68は、固定部分62の少なくとも一部を上から覆うように形成されている。カバー部分68の少なくとも一部は、固定部分62の上端部の上と側面とを覆う。カバー部分68は、可動部分64のツール保持部64aに取り付けられており、可動部分64と共に昇降する。カバー部分68は、可動部分64が昇降可能な範囲において、固定部分62の一部を覆った状態を維持できるように形成されていてもよい。
【0071】
ツール70は、ドア260の窓枠262(窓枠262内の開口)を通過可能であり、ドア260の内側を保持するように構成されている。ツール70は、例えば、延長部分72と、保持部分74と、を含む。延長部分72は、上下方向に交差する方向に沿って延びるように形成されている。延長部分72は、上記交差する方向に沿って、直線状に延びていてもよく、湾曲した状態で延びていてもよい。延長部分72は、例えば、その下端がツール保持部64aの上端に接続されており、延長部分72とツール保持部64aとの接続箇所を起点として、水平方向に延びている。
【0072】
保持部分74は、延長部分72に接続されており、ドア260の内面264に接触可能である。保持部分74は、延長部分72と保持部分74との接続箇所を起点として、延長部分72から下に向かって延びている。保持部分74は、例えば、延長部分72の回転軸Ax4から離れた端部の下に接続されている。保持部分74は、磁力によりドア260の内面264を吸着することによって、ドア260を保持してもよい。保持部分74は、永久磁石を含んでいてもよく、円筒状に形成されていてもよい。保持部分74は、その延在方向に沿い、且つ、自身の中心を通る軸線まわりに、回転可能となるように構成されてもよい。
【0073】
図5(a)に示される状態では、ドア260の窓枠262の下端の高さ位置H3よりも、ツール70が下に位置する。モータM5による駆動力が伝達された昇降装置97が、ツール保持部64a及び接続部64bを上昇させることで、ツール70が上昇する。
図5(b)に示されるように、保持部分74の下端が窓枠262の下端の高さ位置H3よりも高くなるまで、ツール70が上昇することで、ツール70は、窓枠262を通過可能となる。
【0074】
ドア開閉ロボット14は、窓枠262内の開口した領域と保持部分74とが対向した状態で、回転軸Ax4がドア260に近づくように各アームを動作させて、ツール70の一部(保持部分74)をドア260よりも内側に移動させる。そして、昇降装置97が設けられた第4アーム60は、保持部分74がドア260の内面264に接触するように、ツール70を下降させる。以上のように、第4アーム60は、延長部分72がドア260の窓枠262の下端よりも上昇した状態で窓枠262を通過可能となるように、ツール70を上下方向に沿って移動させる。
【0075】
閉じた状態のドア260の内面264に保持部分74が接触した状態で、ドア開閉ロボット14は、各アームを動作させることでドア260を開放する。搬送ラインLcに沿ってワークWが搬送されている間、ドア開閉ロボット14は、各アームを動作させてドア260の内面264に保持部分74が接触した状態を維持しつつ、ドア260が開放された状態を維持する。開放された状態のドア260の内面264に保持部分74が接触した状態で、ドア開閉ロボット14は、各アームを動作させることでドア260を閉じる。
図6には、ツール70の保持部分74がドア260を保持し、ドア260を開放させた状態が模式的に示されている。
【0076】
図7には、ブース側壁204と搬送ラインLcとの間に位置するドア開閉ロボット14の一部が模式的に示されている。基台20は、直方体状に形成された部分を含んでもよい。
図7に示されるように、上下方向から見て(上方からブース底壁202を見て)、基台20の上記部分は、4つの側面を含む。基台20は、4つの側面が、X軸方向又はY軸方向に沿うように設置されてもよい。X軸方向に沿う一対の側面のうち、搬送ラインLcに近い側面(前面)を「側面24a」とし、ブース側壁204に近い側面(背面)を「側面24b」とする。Y軸方向に沿う一対の側面それぞれを「側面24c」及び「側面24d」とする。
【0077】
基台20は、上下方向から見て、回転軸Ax1との間の距離が最も小さい側面が搬送ラインLcを向くように設置されてもよい。
図7に示される例では、側面24aと回転軸Ax1との間の距離は、側面24bと回転軸Ax1との間の距離、側面24cと回転軸Ax1との間の距離、及び、側面24dと回転軸Ax1との間の距離よりも小さい。側面24aと回転軸Ax1との間の距離、及び、側面24bと回転軸Ax1との間の距離が、互いに略一致していてもよい。この場合であっても、回転軸Ax1との間の距離が最も小さい側面に側面24aが含まれるので、回転軸Ax1との間の距離が最も小さい側面が搬送ラインLcを向くことになる。
【0078】
基台20(回転軸Ax1)は、ブース側壁204と、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の側面との間において、ブース側壁204寄りに配置されている。ブース側壁204と回転軸Ax1との間のY軸方向における距離d1は、回転軸Ax1と搬送ラインLcとの間のY軸方向における距離d2よりも小さい。距離d1は、距離d1と距離d2との合計値の1/4倍以下であってもよく、1/5倍以下であってもよく、1/6倍以下であってもよい。一例では、距離d1と距離d2との合計が2500mm~3000mmである場合、距離d1は、600mm以下であってもよく、550mm以下であってもよく、500mm以下であってもよい。
【0079】
基台20は、回転軸Ax1まわりに第1アーム30を回転させたときに、上下方向から見て、第1アーム30の先端部34が車体250に重ならないように配置されてもよい。車体250の一部が、X軸方向において基台20と同じ位置に配置されているときに、第1アーム30の回転により、先端部34が車体250の下に配置されないか、又は、車体250(ドア260が閉じた状態のワークW)に接触しないように、基台20(回転軸Ax1)の位置が設定されてもよい。
図7には、先端部34の先端の回転軌跡が「IC」で示されており、回転軌跡ICが、搬送装置12の搬送による車体250の移動軌跡と重ならないように、基台20が設けられてもよい。
【0080】
以上に説明したドア開閉ロボット14の構成は一例であり、適宜変更可能である。基台20は、
図8に示されるように、ブース底壁202に代えて、ブース側壁204に含まれる支柱208に取り付けられてもよい(固定されていてもよい)。
【0081】
また、
図8に示されるように、ドア開閉ロボット14は、第2アーム40に代えて第2アーム40Aを有し、第3アーム50に代えて第3アーム50Aを有してもよい。第2アーム40Aは、第1アーム30の先端部34の下に取り付けられており、回転軸Ax2から遠ざかるように延びている。第2アーム40Aの基端部42Aが、第1アーム30の先端部34の下に取り付けられてもよい。第3アーム50Aは、第2アーム40Aの先端部44Aの下に取り付けられており、回転軸Ax3から遠ざかるように延びている。第3アーム50Aの基端部52Aが、第2アーム40Aの先端部44Aの下に取り付けられてもよい。
【0082】
第2アーム40Aの先端部44Aは、第2アーム40Aの基端部42Aよりも高くてもよい。先端部44Aの最上位置は、基端部42Aの最上位置よりも高くてもよい。
図2に示されるドア開閉ロボット14の連結部CSでは、第3アーム50の基端部52が、第2アーム40の基端部42の鉛直上方に位置する。これに対して、第2アーム40Aの先端部44Aと、第3アーム50Aの基端部52Aとを含む連結部(以下、「連結部CSA」という。)では、先端部44Aが、基端部52Aの鉛直上方に位置する。
【0083】
連結部CSAの少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とは、同じ高さに位置する。例えば、連結部CSAの少なくとも一部と、基台20の最上位置とが、同じ高さに位置する。
図2に示されるドア開閉ロボット14と同様に、第3アーム50Aと第4アーム60との接続箇所が、第2アーム40A及び第3アーム50Aの最上位置よりも低くてもよい。第3アーム50Aの先端部54Aの少なくとも一部と、第2アーム40Aの少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。
【0084】
第2アーム40A及び第3アーム50Aを有するドア開閉ロボット14において、各アームとワークWとの間の互いの高さ関係が、
図2に示されるドア開閉ロボット14での対応する高さ関係と同じであってもよい。第2アーム40A及び第3アーム50Aを有するドア開閉ロボット14において、アーム同士の間の互いの高さ関係が、
図2に示されるドア開閉ロボット14での対応する高さ関係と同じであってもよい。
【0085】
図9に示されるように、ドア開閉ロボット14は、第1アーム30に代えて第1アーム30Bを有し、第2アーム40に代えて第2アーム40Bを有し、第3アーム50に代えて第3アーム50Bを有してもよい。第1アーム30Bの基端部32Bは、基台20に取り付けられており、回転軸Ax1から遠ざかるように延びている。第1アーム30Bの基端部32Bは、基台20の上に取り付けられてもよい。第1アーム30Bの先端部34Bは、第1アーム30Bの基端部32Bよりも低くてもよい。先端部34Bの最上位置は、基端部32Bの最上位置よりも低くてもよい。
【0086】
第2アーム40Bは、第1アーム30Bの先端部34Bの上に取り付けられており、回転軸Ax2から遠ざかるように延びている。第2アーム40Bの基端部42Bが、第1アーム30Bの先端部34Bの上に取り付けられてもよい。第3アーム50Bは、第2アーム40Bの先端部44Bの下に取り付けられており、回転軸Ax3から遠ざかるように延びている。第3アーム50Bの基端部52Bが、第2アーム40Bの先端部44Bの下に取り付けられてもよい。
【0087】
第2アーム40Bの先端部44Bと、第3アーム50Bの基端部52Bとを含む連結部(以下、「連結部CSB」という。)の少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とは、同じ高さに位置する。例えば、連結部CSBの少なくとも一部と、基台20の最上位置とが、同じ高さに位置する。
図2に示されるドア開閉ロボット14と同様に、第3アーム50Bと第4アーム60との接続箇所が、第2アーム40B及び第3アーム50Bの最上位置よりも低くてもよい。第3アーム50Bの先端部54Bの少なくとも一部と、第1アーム30Bの少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。
【0088】
第1アーム30B、第2アーム40B、及び第3アーム50Bを有するドア開閉ロボット14において、各アームとワークWとの間の互いの高さ関係が、
図2に示されるドア開閉ロボット14での対応する高さ関係と同じであってもよい。第1アーム30B、第2アーム40B、及び第3アーム50Bを有するドア開閉ロボット14において、アーム同士の間の互いの高さ関係が、
図2に示されるドア開閉ロボット14での対応する高さ関係と同じであってもよい。
【0089】
第1アーム30,30Bの基端部32,32Bは、基台20において、基台20の上以外の箇所に取り付けられてもよい。第1アーム30,30Bの基端部32,32Bが、基台20のうちの本体から張り出した部分の下に取り付けられてもよい。第1アーム30,30Bの基端部32,32Bが、基台20の本体から張り出した一対の部分に上下から挟まるように、基台20に取り付けられてもよい。基台20がブース側壁204に固定されている場合において、第1アーム30,30Bの基端部32,32Bが基台20の下に取り付けられてもよい。
図2、
図8、及び
図9のいずれかに示されるドア開閉ロボット14に含まれる一部の部材が、他の図に示されるドア開閉ロボット14に適用されてもよい。
【0090】
図1に戻り、制御装置16は、以上に説明したドア開閉ロボット14を制御するように構成されたコンピュータ装置である。塗装システム1において、搬送装置12、ドア開閉ロボット14、及び、制御装置16によって、ドア開閉システム10が構成される。すなわち、塗装システム1は、ドア開閉システム10を備える。ドア開閉システム10は、塗装ロボットが塗装作業を実行可能となるように、ワークWを搬送ラインLcに沿って搬送しつつ、ワークWのドア260を開閉することと、ドア260が開放された状態を維持することと、を行う。以下では、ドア260がヒンジドアであり、制御装置16が、
図2に示されるドア開閉ロボット14を制御する場合を例に説明する。
【0091】
制御装置16は、搬送ラインLc上の回転軸Ax1よりも上流において、ツール70がドア260を開放するようにドア開閉ロボット14を制御することを実行するように構成されている。また、制御装置16は、搬送ラインLcに沿って車体250が搬送されている間に、ドア260を開放した状態が維持されるようにドア開閉ロボット14を制御することと、搬送ラインLc上の回転軸Ax1よりも下流において、ツール70がドア260を閉じるようにドア開閉ロボット14を制御することと、を実行するように構成されている。
【0092】
制御装置16は、
図4に示されるように、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、例えば、搬送情報取得部102と、ドア開放制御部104と、ドア追従制御部106と、ドア閉止制御部108と、を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、制御装置16が実行する処理に相当する。ドア開閉ロボット14と制御装置16とによってロボット装置18が構成される。すなわち、塗装システム1は、ロボット装置18を備える。
【0093】
搬送情報取得部102は、搬送装置12によって搬送されている車体250の搬送ラインLc上の位置を示す情報を取得する。搬送情報取得部102は、所定の周期において(所定の周期ごとに)、車体250の位置を示す情報を取得することを繰り返してもよい。搬送情報取得部102は、例えば、搬送装置12を制御する別の制御装置、又は、上位のコントローラから、車体250の位置を示す情報を取得する。
【0094】
ドア開放制御部104は、搬送ラインLc上での回転軸Ax1よりも上流の領域において、ツール70がドア260を開放するようにドア開閉ロボット14を制御する。以下、ドア開閉ロボット14により、閉じた状態のドア260を開放させる制御を「ドア開放制御」と称する。回転軸Ax1よりも上流の領域においてツール70がドア260を開放する場合、そのドア260の開放動作においてツール70が最初にドア260を保持した時点で、ツール70(又は、回転軸Ax4)が、回転軸Ax1よりも上流の領域に位置する。
【0095】
ドア開放制御部104は、ドア開放制御を実行する期間において、ツール70(又は、回転軸Ax4)の位置が回転軸Ax1よりも上流の領域に維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア開放制御部104は、搬送ラインLc上において、作業対象のドア260の最も下流に位置する端部が回転軸Ax1に到達する前の段階で、ドア開放制御を実行してもよい。ドア開放制御部104は、例えば、ドア260が開放可能な最大位置に略一致する位置まで開放されるように、ドア開放制御を実行する。
【0096】
ドア追従制御部106は、搬送ラインLcに沿って車体250が搬送されている間に、ドア260を開放した状態が維持されるようにドア開閉ロボット14を制御する。以下、ドア開閉ロボット14により、ドア260を開放した状態を維持させる制御を「ドア追従制御」と称する。ドア追従制御部106は、上記ドア開放制御が実行された後に、ドア追従制御を実行する。ドア追従制御部106は、例えば、ドア開放制御において、ドア260が開放可能な最大位置に略一致する位置に開放された時点から、ドア追従制御を実行する。ドア追従制御部106は、ドア260が回転軸Ax1よりも上流に位置する時点から、ドア260が回転軸Ax1よりも下流に位置する時点まで、ドア追従制御を継続してもよい。
【0097】
ドア閉止制御部108は、搬送ラインLc上での回転軸Ax1よりも下流の領域において、ツール70がドア260を閉じるようにドア開閉ロボット14を制御する。以下、ドア開閉ロボット14により、開放した状態のドア260を閉じる制御を「ドア閉止制御」と称する。回転軸Ax1よりも下流の領域においてツール70がドア260を閉じる場合、そのドア260を閉じる動作の開始時点で、ツール70(又は、回転軸Ax4)が回転軸Ax1よりも下流の領域に位置する。
【0098】
ドア閉止制御部108は、ドア閉止制御を実行する期間において、ツール70(又は、回転軸Ax4)の位置が回転軸Ax1よりも下流の領域に維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア閉止制御部108は、上記ドア追従制御が実行された後に、ドア閉止制御を実行する。ドア閉止制御部108は、搬送ラインLc上において、ドア追従制御により開放されているドア260の最も上流に位置する端部が回転軸Ax1を通過した後、所定の設定位置に達した段階で、ドア閉止制御を実行してもよい。ドア閉止制御の実行開始により、ドア追従制御が終了してもよい。ドア260が閉じられた状態では、ドア開閉ロボット14のツール70がドア260を保持しなくても、車体250においてドア260は所定の位置に維持される。
【0099】
ここで、ドア開放制御、ドア追従制御、及び、ドア閉止制御を含む一連の制御を「開閉制御」と称する。制御装置16は、教示情報を記憶してもよく、制御装置16は、記憶された教示情報に従ってドア開閉ロボット14を動作させるように、上記開閉制御を実行してもよい。教示情報は、ドア開閉ロボット14の動作を教示するティーチング段階で作業員等のオペレータにより作成され、各アームの動作経路を規定するプログラムを含む。
【0100】
制御装置16は、車体250に取り付けられたフロントドア、及び、リアドアの少なくとも一方に対して、開閉制御を実行する。フロントドアは、車体250の一方の側方に位置する一対のドア260のうちの、前方に位置するドアであり、リアドアは、フロントドアの後方に位置するドアである。制御装置16は、フロントドアに対して開閉制御を実行し、リアドアに対して開閉制御を実行してもよい。
【0101】
制御装置16は、
図10に示されるように、回路120を備える。回路120は、少なくとも1つのプロセッサ122と、メモリ124と、ストレージ126と、入出力ポート128と、ドライバ129と、を含む。ストレージ126は、コンピュータによって読み取り可能な不揮発型の記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)である。ストレージ126は、ドア開閉ロボット14を制御することを制御装置16に実行させるためのプログラム及びデータを記憶する。メモリ124は、ストレージ126からロードしたプログラム及びプロセッサ122による演算結果等を一時的に記憶する。
【0102】
プロセッサ122は、メモリ124と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。ドライバ129は、プロセッサ122からの指令に応じてドア開閉ロボット14のモータM1~M5に駆動電力を出力する。入出力ポート128は、プロセッサ122からの指令に応じて、ドア開閉ロボット14に含まれる各種装置(例えば、各種センサ)等との間で電気信号の入出力を行う。制御装置16は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。制御装置16は、例えば、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0103】
続いて、ドア開閉ロボット14の制御方法の一例として、制御装置16が実行する一連の処理を説明する。
図11は、1つのドア260に対する開閉制御において、制御装置16が実行する一連の処理を示すフローチャートである。以下では、車体250において前方に位置するドア260に対する開閉制御を実行する場合を例に説明する。初期状態において、ドア開閉ロボット14の各アームは、所定の待機位置に配置されており、ツール70は、第4アーム60において所定の高さに位置している。
【0104】
制御装置16は、最初に、ステップS01を実行する。ステップS01では、制御装置16が、作業対象の車体250が、搬送ラインLc上の所定の設定位置に到達するまで待機する。制御装置16は、搬送情報取得部102により周期的に得られる車体250の位置を示す情報に基づき、車体250が所定の設定位置に到達したか否かを判断してもよい。所定の設定位置は、搬送ラインLc上において、基台20よりも上流の位置に設定されている。設定位置は、例えば、作業員等のオペレータにより、ドア260の開放を開始させる位置として予め設定されている。
【0105】
次に、制御装置16は、ステップS02を実行する。ステップS02では、例えば、制御装置16のドア開放制御部104が、ドア開放制御を実行するようにドア開閉ロボット14を制御する。ドア開放制御は、例えば、下記のように実行される。ドア開放制御部104は、最初に、
図12(a)に示されるように、初期状態での待機位置から、ドア開放制御における準備位置に各アームが配置されるように、ドア開閉ロボット14を制御する。
【0106】
ドア開放制御における準備位置では、第1アーム30、第2アーム40、及び、第3アーム50が、搬送ラインLc上の上流を向く状態となるように、各アームが配置されてもよい。以下、第1アーム30、第2アーム40、及び、第3アーム50が、搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態A」と定義する。アームが搬送ラインLc上の上流を向くとは、アームの基端部から先端部に向かう方向(向き)の搬送ラインLc上の成分が、上流を向くことを意味する。そのため、上下方向から見て、搬送ラインLcに対してアームが傾いた状態でも、搬送ラインLc上の上記成分が上流を向く限り、そのアームは上流を向く状態である。アームが搬送ラインLc上の下流を向くとは、アームの基端部から先端部に向かう方向(向き)の搬送ラインLc上の成分が、下流を向くことを意味する。
【0107】
ドア開放制御部104は、上記準備位置に各アームを配置することに合わせて、ツール70の保持部分74がドア260の窓枠262を通過可能となる高さ位置まで、昇降装置97が設けられた第4アーム60によりツール70を上昇させる。そして、制御装置16は、
図12(b)に示されるように、準備位置から、第1アーム30を上流に向けて回転させ、第2アーム40及び第3アーム50を車体250に近づけるようにドア開閉ロボット14を制御して、ツール70の保持部分74を車体250の内部に入れる。
【0108】
保持部分74が車体250の内部に入った後、ドア開放制御部104は、昇降装置97が設けられた第4アーム60によりツール70を下降させて、保持部分74がドア260に(保持)接触するようにドア開閉ロボット14によりツール70の位置を変化させる。保持部分74が最初にドア260に接触した時点において、その接触箇所(保持箇所)が、回転軸Ax1よりも上流に位置する。ツール70の保持部分74が窓枠262を通過し、保持部分74を閉じた状態のドア260に接触させるときに、第3アーム50の少なくとも一部(例えば、連結部CSの一部)が、車体250の下に配置されて動作してもよい。
【0109】
ツール70がドア260を保持した後に、ドア開放制御部104は、
図13(a)に示されるように、ツール70がドア260を引っ張って開放させるように、ドア開閉ロボット14を制御する。ドア開放制御部104は、ドア260が開放可能な最大位置に略一致する位置までドア260を開放するように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。以下、ドア開放制御において開放されたドア260の位置を「開放位置」と称する。ドア開放制御部104は、ドア260を開放位置まで移動させる際に、第1アーム30が回転軸Ax1まわりに下流に向かって回転するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0110】
ドア開放制御部104は、ドア260を開放位置に移動させた後において、第1アーム30が下流を向くようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。第1アーム30が搬送ラインLc上の下流を向き、第2アーム40及び第3アーム50が、搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態B」と定義する。状態Aに遷移した後、第1アーム30が下流を向くように回転軸Ax1まわりに回転することで、複数のアームの動作状態が、状態Aから状態Bに遷移する。ドア開放制御部104は、ドア開放制御の実行中に、状態Aから状態Bに遷移するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0111】
ドア260が開放位置まで移動することで、ドア開放制御が終了する。ドア開放制御が終了した時点で、複数のアームの動作状態が状態Bであってもよい。上述の例とは異なり、ドア開放制御部104は、ドア開放制御の実行中において状態Aに維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア開放制御部104は、状態Aに遷移した後、状態Bに遷移する前に、ドア260が開放位置まで移動するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア開放制御が終了した時点で、複数のアームの動作状態が状態Aであってもよい。
【0112】
以上のように、制御装置16は、ドア開放制御において、閉じた状態のドア260をツール70に保持させる際に、第3アーム50の少なくとも一部が車体250の下に配置されるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。制御装置16は、ドア開放制御において、閉じた状態のドア260をツール70に保持させる際に、第2アーム40の少なくとも一部と第3アーム50の少なくとも一部とが車体250の下に配置されるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0113】
ステップS02の実行後、制御装置16は、ステップS03を実行する。ステップS03では、例えば、制御装置16のドア追従制御部106が、ドア追従制御を実行するようにドア開閉ロボット14を制御する。ドア追従制御は、例えば、下記のように実行される。ドア追従制御部106は、ドア開放制御が終了した状態から、
図13(b)及び
図14(a)に示されるように、車体250の移動に追従して、第1アーム30を下流に向けて回転軸Ax1まわりに回転させつつ、ドア260が開放状態に維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御する。
【0114】
ドア追従制御部106は、ドア260を開放状態に維持しつつ、ドア開放制御の終了時点での回転開始位置から、所定の設定位置まで回転軸Ax1まわりに第1アーム30を回転させて停止させるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア追従制御部106は、ドア追従制御の前段において、上記回転開始位置から上記設定位置まで回転軸Ax1まわりに第1アーム30を回転させて停止させるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0115】
ドア追従制御部106は、回転開始位置から設定位置まで第1アーム30を回転させる際に、第1アーム30の単位時間あたりの回転角度の変化量が一定(実質的に一定)となるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア開放制御が状態Aで終了する場合、第1アーム30が設定位置までの回転する途中において、複数のアームの動作状態が、状態Aから状態Bに遷移してもよい。
【0116】
図14(a)には、設定位置において第1アーム30が停止した状態が示されている。第1アーム30を停止させる上記設定位置は、第1アーム30が停止したときに、第1アーム30の先端部34がブース側壁204に接触しないように設定されている。上記設定位置は、第1アーム30が停止した時点で、搬送ラインLcに沿った方向(X軸方向)から基台20を見たときに、第1アーム30の先端部34の少なくとも一部が、基台20と重なるように設定されてもよい。この場合、第1アーム30が設定位置で停止したときに、Y軸方向において、基端部32の少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ位置に位置する。
【0117】
ドア追従制御部106は、複数のアームが状態Bに維持されたまま、第1アーム30が上記設定位置で停止するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア追従制御部106は、ツール70が保持するドア260の先端が、搬送ラインLcに沿ったX軸方向において基台20に到達する前に、上記設定位置で第1アーム30を停止させるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。この場合、ツール70が保持するドア260の先端が、搬送ラインLc上において基台20よりも上流に位置するときに、第1アーム30が上記設定位置で停止する。
【0118】
ドア追従制御部106は、状態Bに遷移した後、第1アーム30を上記設定位置まで回転させている間に、第1アーム30に対する第2アーム40の角度θ1が90°よりも小さい状態が維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。角度θ1は、上下方向から見て、回転軸Ax1と回転軸Ax2とを結ぶ仮想線分を0°(基準角度)とし、回転軸Ax2まわりの回転方向の1つの方向(
図13(b)において時計回り)を正としたときの、回転軸Ax2と回転軸Ax3とを結ぶ仮想線分の角度である。
【0119】
第1アーム30が上記設定位置で停止した後、
図14(b)及び
図15(a)に示されるように、ドア追従制御部106は、第2アーム40を下流に向けて回転軸Ax2まわりに回転させつつ、車体250の移動に追従して、ドア260が開放状態に維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御する。ドア追従制御部106は、ドア追従制御において、第1アーム30を上記設定位置で停止させた後に、第1アーム30が上記設定位置に留まるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0120】
図14(b)に示されるように、第2アーム40が回転軸Ax2まわりに回転することで、第3アーム50が上流を向く状態で、第2アーム40が下流を向く状態に遷移する。第1アーム30及び第2アーム40が搬送ラインLc上の下流を向き、第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態C」と定義する。ドア追従制御部106は、第1アーム30を上記設定位置で停止させた後に、複数のアームの動作状態が、状態Bから状態Cに遷移するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0121】
状態Cに遷移した後、ドア追従制御部106は、ツール70が保持するドア260の先端が基台20を通過するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。この場合、搬送ラインLcに沿った方向において、ドア260の先端の位置が基台20の上流に位置する一端に達してから、ドア260の先端の位置が基台20の下流に位置する他端に達するまでの間、状態Cが維持される。
【0122】
状態Cに遷移した後、ドア追従制御部106は、ツール70が保持するドア260の先端が基台20を通過している間に、第2アーム40に対する第3アーム50の角度θ2が90°よりも小さい状態が維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。角度θ2は、上下方向から見て、回転軸Ax2と回転軸Ax3とを結ぶ仮想線分を0°(基準角度)とし、回転軸Ax3まわりの回転方向の1つの方向(
図14(b)において時計回り)を正としたときの、回転軸Ax3と回転軸Ax4とを結ぶ仮想線分の角度である。
【0123】
図15(a)には、状態Cに遷移した後、第2アーム40の先端部44がY軸方向において基台20と重なる位置まで第2アーム40を回転軸Ax2まわりに回転させた状態が示されている。ドア追従制御部106は、状態Cに遷移した後、回転軸Ax1、回転軸Ax2、及び、回転軸Ax3を結ぶ仮想線分が直線に近い状態となるまで、第2アーム40を回転させるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0124】
上記仮想線分が直線に近い状態となるまで第2アーム40が回転した後、
図15(b)に示されるように、ドア追従制御部106は、第3アーム50を下流に向けて回転軸Ax3まわりに回転させつつ、車体250の移動に追従して、ドア260が開放状態に維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア追従制御部106は、第3アーム50を下流に向けて回転させている間において、第1アーム30が上記設定位置に留まり、第2アーム40の回転角度が変化するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0125】
第3アーム50が回転軸Ax3まわりに回転することで、第1アーム30及び第2アーム40が下流を向く状態で、第3アーム50が下流を向く状態に遷移する。第1アーム30、第2アーム40、及び第3アーム50が、搬送ラインLc上の下流を向く状態を「状態D」と定義する。ドア追従制御部106は、ドア追従制御の実行中において、状態Cから状態Dに遷移するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0126】
ドア追従制御部106は、搬送ラインLc上において基台20の下流における所定の追従終了位置まで、ドア260が開放状態に維持されるようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。状態Dに遷移した後、ドア追従制御部106は、複数のアームの動作状態が他の状態に遷移することなくドア追従制御を終了するように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア追従制御部106は、ドア追従制御の実行中に、状態Bから状態Cに遷移し、状態Cから状態Dに遷移するように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。ドア追従制御部106は、状態Dに遷移した後、ドア追従制御を実行している間、第2アーム40に対する第3アーム50の角度θ2が180°よりも小さい状態が維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0127】
ドア追従制御部106は、ドア追従制御において、ツール70がドア260を保持する箇所(以下、「保持箇所hp」という。)が、搬送ラインLcと平行な保持ラインLh上を移動するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。保持箇所hpは、例えば、上下方向から見たときに、ツール70の保持部分74が、ドア260の内面264に接触している箇所である。
図13(a)~
図15(b)に示されるように、ドア追従制御部106は、ドア追従制御の実行中の保持箇所hpの移動軌跡が、搬送ラインLcと実質的に平行になるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0128】
一例では、ドア追従制御部106は、ドア追従制御において、開放された状態のドア260に対するツール70(又は、第4アーム60)の相対的な位置及び姿勢を維持させつつ、ツール70がドア260を保持する保持箇所hpが上記保持ラインLh上を移動するようにドア開閉ロボット14を制御する。ドア追従制御部106は、ドア追従制御において、上下方向から見て、ツール70がドア260に接触する箇所(保持箇所hp)と、回転軸Ax4とを結ぶ仮想線分が、ドア260に対して所定角度を維持するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0129】
ステップS03の実行後、制御装置16は、ステップS04を実行する。ステップS04では、例えば、制御装置16のドア閉止制御部108が、ドア閉止制御を実行するようにドア開閉ロボット14を制御する。ドア閉止制御は、例えば、下記のように実行される。ドア閉止制御部108は、例えば、ツール70がドア260を保持した状態(例えば、磁力により吸引した状態)を維持しつつ、
図16(a)に示されるように、ツール70がドア260を引っ張ってドア260を車体250に近づけるように、ドア開閉ロボット14を制御する。ドア260を閉じる動作を開始する時点において、ツール70の保持部分74がドア260に接触している箇所(保持箇所)が、回転軸Ax1よりも下流に位置する。
【0130】
ドア閉止制御部108は、ドア追従制御が終了した時点よりも、第3アーム50が上流に向かって回転軸Ax3まわりに回転させつつ、ドア開閉ロボット14によりドア260を開放位置から閉じた位置まで移動させてもよい。ドア閉止制御部108は、ドア260が閉じられた後に、ツール70の保持部分74がドア260の窓枠262を通過可能となる高さ位置まで、昇降装置97が設けられた第4アーム60によりツール70を上昇させる。そして、ドア閉止制御部108は、第2アーム40及び第3アーム50が車体250から離れ、ツール70の保持部分74が窓枠262を通過するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ツール70の保持部分74が車体250の外に出される。保持部分74が車体250の外に出ることで、ドア閉止制御が終了する。
【0131】
制御装置16は、ドア閉止制御の終了後、
図16(b)に示されるように、ステップS02の実行前の待機位置に各アームが配置されるように、制御装置16を制御してもよい。制御装置16は、各アームを待機位置に移動させている間において、昇降装置97が設けられた第4アーム60により、ツール70を、保持部分74が窓枠262を通過できない高さ位置まで下降させてもよい。以上により、1つのドア260に対する開閉制御に含まれる一連の制御が終了する。
【0132】
第2アーム40は、ドア開放制御、ドア追従制御、及びドア閉止制御を実行する期間において、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の下端よりも低い位置(低い高さ範囲)で動作してもよい。第2アーム40及び第3アーム50は、ドア開放制御、ドア追従制御、及びドア閉止制御を実行する期間において、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の下端よりも低い位置(低い高さ範囲)で動作してもよい。
【0133】
制御装置16は、ドア開放制御、ドア追従制御、及びドア閉止制御を実行する期間において、第2アーム40に対する第3アーム50の角度θ2が180°よりも小さい状態が維持されるように、ドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0134】
図17には、ドア開放制御、ドア追従制御、及びドア閉止制御を含む開閉制御での複数のアームにおける動作状態の遷移が模式的に示されている。
図17では、複数のアームに関して7つの動作状態が示されており、
図17の紙面上において上から下に状態が遷移している。ワークW(車体250)は、
図17の紙面上において、左から右に向かって搬送される。「x0」は、搬送ラインLcに沿うX軸方向において、開閉制御が開始されるときの車体250の後端の位置を表す。「x1」及び「y1」は、基台20の設置位置(回転軸Ax1の位置)を表す。「x1」は、搬送ラインLcに沿うX軸方向における位置であり、「y1」は、搬送ラインLcに直交するY軸方向における位置である。
【0135】
図17の拡大図に示されるように、x1,y1に位置する回転軸Ax1から次の点(回転軸Ax2)まで延びる線が第1アーム30を表し、回転軸Ax2から次の点(回転軸Ax3)まで延びる線が第2アーム40を表す。回転軸Ax3から次の点(回転軸Ax4)まで延びる線が第3アーム50を表し、回転軸Ax4から次の点まで延びる線がツール70を表す。第4アーム60は、上下方向に延びるように形成されているので、
図17では省略されている。
【0136】
図17に示されるように、制御装置16は、第1アーム30、第2アーム40、及び第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態Aに遷移した後、ドア開放制御を開始する。状態Aに遷移した後、制御装置16は、第1アーム30が他のアームよりも先に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア開放制御の実行中、又は、ドア追従制御の実行中において、状態Aから、第1アーム30が搬送ラインLc上の下流を向き、第2アーム40及び第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態Bに遷移する。
【0137】
状態Bに遷移した後、制御装置16は、第2アーム40が第3アーム50よりも先に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Bから、第1アーム30及び第2アーム40が搬送ラインLc上の下流を向き、第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態Cに遷移する。制御装置16は、状態Cに遷移した後、第3アーム50が最後に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Cから、状態Dに遷移する。
【0138】
状態Dに遷移した後、制御装置16は、複数のアームの動作状態を他の状態に遷移させずにドア追従制御を終了し、ドア閉止制御を実行する。
図17に示される以上の動作を、説明の便宜上、「動作パターン1」と称する。動作パターン1では、制御装置16が、ドア開放制御及びドア追従制御を実行する期間において、状態A、状態B、状態C、及び、状態Dに順に遷移するように、ドア開閉ロボット14を制御する。
【0139】
制御装置16は、動作パターン1とは異なる動作で、開閉制御を実行してもよい。
図18には、動作パターン1とは異なる「動作パターン2」での複数のアームにおける動作状態の遷移が模式的に示されている。
図18では、
図17と同様に、複数のアームに関して7つの動作状態が示されている。
図18での状態遷移の表し方は、
図17での表し方と同じである。
【0140】
動作パターン2では、動作パターン1と同様に、ドア開放制御の実行中、又は、ドア追従制御の実行中において、状態Aから状態Bに遷移する。制御装置16は、状態Bに遷移した後、第3アーム50が第2アーム40よりも先に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Bから、第1アーム30及び第3アーム50が搬送ラインLc上の下流を向き、第2アーム40が搬送ラインLc上の上流を向く状態に遷移する。第1アーム30及び第3アーム50が搬送ラインLc上の下流を向き、第2アーム40が搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態E」と定義する。
【0141】
状態Eに遷移した後、制御装置16は、最後に第2アーム40が下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Eから、状態Dに遷移する。動作パターン2では、制御装置16が、ドア開放制御及びドア追従制御を実行する期間において、状態A、状態B、状態E、及び、状態Dに順に遷移するように、ドア開閉ロボット14を制御する。
【0142】
図19には、動作パターン1及び動作パターン2とは異なる「動作パターン3」での複数のアームにおける動作状態の遷移が模式的に示されている。
図19では、複数のアームに関して9つの動作状態が示されている。
図19での状態遷移の表し方は、
図17での表し方と同じである。
【0143】
状態Aに遷移した後、制御装置16は、第2アーム40が他のアームよりも先に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア開放制御の実行中、又は、ドア追従制御の実行中において、状態Aから、第2アーム40が搬送ラインLc上の下流を向き、第1アーム30及び第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態に遷移する。第2アーム40が搬送ラインLc上の下流を向き、第1アーム30及び第3アーム50が搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態F」と定義する。
【0144】
状態Fに遷移した後、制御装置16は、第3アーム50が第1アーム30よりも先に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Fから、第2アーム40及び第3アーム50が搬送ラインLc上の下流を向き、第1アーム30が搬送ラインLc上の上流を向く状態に遷移する。第2アーム40及び第3アーム50が搬送ラインLc上の下流を向き、第1アーム30が搬送ラインLc上の上流を向く状態を「状態G」と定義する。
【0145】
状態Gに遷移した後、制御装置16は、第1アーム30が最後に下流を向く状態まで回転するようにドア開閉ロボット14を制御する。これにより、ドア追従制御の実行中において、状態Gから、状態Dに遷移する。動作パターン3では、制御装置16が、ドア開放制御及びドア追従制御を実行する期間において、状態A、状態F、状態G、及び、状態Dに順に遷移するように、ドア開閉ロボット14を制御する。動作パターン1~3それぞれは、複数のアームの動作の一例であり、制御装置16は、動作パターン1~3と異なる動作パターンで動作するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0146】
塗装システム1は、
図20に示されるように、搬送ラインLcに沿って並ぶ2台のドア開閉ロボット14を備えてもよい。2台のドア開閉ロボット14は、搬送ラインLcとブース側壁204との間に配置されている。以下、2台のドア開閉ロボット14のうち1台のドア開閉ロボット14を「ドア開閉ロボット14A」と表記し、ドア開閉ロボット14Aよりも下流に配置されたドア開閉ロボット14を「ドア開閉ロボット14B」と表記する。
【0147】
制御装置16は、ドア開閉ロボット14Aと、ドア開閉ロボット14B(第2ドア開閉ロボット)とを制御する。制御装置16は、ドア開閉ロボット14Aを制御するコントローラ(コンピュータ装置)と、ドア開閉ロボット14Bを制御するコントローラ(コンピュータ装置)と、を有してもよい。これらの2台のコントローラ同士が、通信可能に接続されてもよい。各コントローラが、
図10に示される回路120を有してもよい。制御装置16は、複数台のコントローラで構成される制御システムであってもよい。
【0148】
制御装置16は、ドア開閉ロボット14Aにより、1つのドア260に対してドア開放制御、ドア追従制御、及び、ドア閉止制御を順に行う開閉制御(第1制御)を実行する。制御装置16は、ドア開閉ロボット14Bにより、ドア開閉ロボット14Aにより開閉された後のドア260に対してドア開放制御、ドア追従制御、及び、ドア閉止制御を順に行う開閉制御(第2制御)を実行する。ロボット装置18は、ドア開閉ロボット14A,14Bと、制御装置16と、を備えてもよい。
【0149】
ここで、車体250の1つの側方において前方に位置するドア260を「フロントドア260a」とし、車体250のフロントドア260aの後方に取り付けられたドア260を「リアドア260b」と称する。制御装置16は、ドア開閉ロボット14Aにより、フロントドア260a及びリアドア260bそれぞれに対して、開閉制御を順に実行してもよい。制御装置16は、ドア開閉ロボット14Bにより、フロントドア260a及びリアドア260bそれぞれに対して、開閉制御を順に実行してもよい。
【0150】
図21は、2台のドア開閉ロボット14により、フロントドア260a及びリアドア260bそれぞれに対して開閉制御を実行する場合の制御装置16による一連の処理を示すフローチャートである。この一連の処理は、作業対象の車体250のフロントドア260aが、搬送ラインLc上において基台20よりも上流に位置している状態で、制御装置16がステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、制御装置16が、上述のステップS01と同様に、作業対象の車体250が、搬送ラインLc上の所定の第1設定位置に到達するまで待機する。
【0151】
次に、制御装置16は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、制御装置16が、ドア開閉ロボット14Aにより、フロントドア260a(ドア)に対して開閉制御(第1制御)を実行する。制御装置16は、上述のステップS02~S04と同様に、フロントドア260aに対して開閉制御を実行してもよい。複数のアームの動作状態が状態Aに遷移した後、制御装置16は、フロントドア260aに対するドア開放制御を開始し、状態A、状態B、及び状態Cに順に遷移するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。状態Cに遷移した後、制御装置16は、他の状態に遷移させずに、フロントドア260aに対するドア追従制御を終了するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
図20には、ドア開閉ロボット14Bが待機し、ドア開閉ロボット14Aによりフロントドア260aに対する開閉制御が実行されている途中の様子が例示されている。
【0152】
次に、制御装置16は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、制御装置16が、作業対象の車体250が、搬送ラインLc上の所定の第2設定位置に到達するまで待機する。第2設定位置は、ステップS11で用いられる第1設定位置よりも下流の位置に設定されている。
【0153】
次に、制御装置16は、ステップS14を実行する。ステップS14では、例えば、制御装置16が、ドア開閉ロボット14Bにより、フロントドア260aに対して開閉制御(第2制御)を実行する。制御装置16は、上述のステップS02~S04と同様に、フロントドア260aに対して開閉制御を実行してもよい。制御装置16は、ステップS12と同様に、状態Aに遷移した後、フロントドア260aに対するドア開放制御を開始し、状態A、状態B、及び状態Cに順に遷移させてから、他の状態に遷移させることなく、フロントドア260aに対するドア追従制御を終了してもよい。
【0154】
制御装置16は、ステップS14(第2制御)の実行期間の少なくとも一部と重複する期間において、ステップS15を実行する。ステップS15では、例えば、制御装置16が、ドア開閉ロボット14Aにより、リアドア260b(第2ドア)に対して開閉制御(第3制御)を実行する。制御装置16は、上述のステップS02~S04と同様に、リアドア260bに対して開閉制御を実行してもよい。制御装置16は、ステップS12とは異なり、状態Bに遷移した後に、ドア開放制御を開始し、状態B、状態C、及び状態Dに順に遷移させてから、状態Dに遷移した後でドア追従制御を終了してもよい。
【0155】
図22には、ドア開閉ロボット14Aによりリアドア260bに対する開閉制御が実行され、ドア開閉ロボット14Bによりフロントドア260aに対する開閉制御が実行されている途中の様子が例示されている。
図22に示されるように、ステップS15(第3制御)の実行期間の少なくとも一部の期間において、ドア開閉ロボット14Bにより開放された状態のフロントドア260aの下で、リアドア260bを開放させているドア開閉ロボット14Aの第2アーム40及び第3アーム50が動作してもよい。上記一部の期間において、フロントドア260aの鉛直下方に第2アーム40及び第3アーム50の少なくとも一部が位置する状態で、ドア開閉ロボット14Aの第2アーム40及び第3アーム50が動作してもよい。ステップS15の実行期間の少なくとも一部の期間において、上下方向から見て、フロントドア260aの少なくとも一部が、ドア開閉ロボット14Aの第2アーム40及び第3アーム50の少なくとも一部に重なっていてもよい。
【0156】
次に、制御装置16は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、制御装置16が、作業対象の車体250が、搬送ラインLc上の所定の第3設定位置に到達するまで待機する。第3設定位置は、ステップS13で用いられる第2設定位置よりも下流の位置に設定されている。
【0157】
次に、制御装置16は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、制御装置16が、ドア開閉ロボット14Bにより、リアドア260b(第2ドア)に対して開閉制御(第4制御)を実行する。制御装置16は、上述のステップS02~S04と同様に、リアドア260bに対して開閉制御を実行してもよい。制御装置16は、ステップS14とは異なり、状態Bに遷移した後に、ドア開放制御を開始し、状態B、状態C、及び状態Dに順に遷移させてから、他の状態に遷移させることなくドア追従制御を終了してもよい。
図23には、ドア開閉ロボット14Aが待機し、ドア開閉ロボット14Bによりリアドア260bに対する開閉制御が実行されている途中の様子が例示されている。
【0158】
図11及び
図21のそれぞれに示される一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、制御装置16は、1つのステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。制御装置16は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。制御装置16は、
図21に示される一連の処理のいずれかのステップにおいて、動作パターン1、動作パターン2、動作パターン3、動作パターン2の一部、又は、動作パターン3の一部に従って、各アームが動作するようにドア開閉ロボット14を制御してもよい。
【0159】
塗装システム1は、搬送装置12と、一対のブース側壁204の一方との間に配置された3台以上のドア開閉ロボット14を備えてもよい。塗装システム1は、搬送装置12と、一対のブース側壁204の他方との間に配置された1台以上のドア開閉ロボット14を更に備えてもよい。搬送装置12と、一方のブース側壁204との間に配置された1台以上のドア開閉ロボット14の個数と、搬送装置12と、他方のブース側壁204との間に配置された1台以上のドア開閉ロボット14の個数とが、互いに同じであってもよい。
【0160】
以上に説明したドア開閉ロボット14の一例は、基台20と、第1アーム30,30Bと、第2アーム40,40A,40Bと、第3アーム50,50A,50Bと、第4アーム60と、を備える。基台20は、作業対象の車体250が搬送される搬送ラインLcとは異なる位置に設けられている。第1アーム30,30Bは、上下方向に沿う回転軸Ax1まわりに回転するように基台20に取り付けられ、回転軸Ax1から遠ざかる方向に延びている。第2アーム40,40A,40Bは、回転軸Ax1に平行な回転軸Ax2まわりに回転するように第1アーム30,30Bに取り付けられ、回転軸Ax2から遠ざかる方向に延びている。第3アーム50,50A,50Bは、回転軸Ax1に平行な回転軸Ax3まわりに回転するように第2アーム40,40A,40Bに取り付けられ、回転軸Ax3から遠ざかる方向に延びている。第4アーム60は、第3アーム50,50A,50Bの先端部54,54A,54Bにおいて上下方向に沿って延びるように第3アーム50,50A,50Bに取り付けられ、車体250に取り付けられたドア260を保持可能なツール70を上下方向に沿って移動させる。上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの先端部44,44A,44Bと第3アーム50,50A,50Bの基端部52,52A,52Bとを含む連結部CS,CSA,CSBの少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とが、同じ高さに位置する。
【0161】
ドア開閉ロボット14は、上下方向に沿う回転軸まわりに回転する3つのアームを備えるので、ドア開閉ロボット14の基台20が所定位置に取り付けられていても、搬送されている車体250に追従して、広い範囲においてドア260を開放状態に維持できる。また、3つのアームが設けられても、上記連結部CS,CSA,CSBの少なくとも一部が、基台20の少なくとも一部と同じ高さに位置することで、ドア開閉ロボット14の上下方向における大きさが小さくなり、他の部材との干渉を避けることができる。これにより、車体250が搬送される搬送ラインLcに近づけた状態で、基台20を設置できる。従って、ドア開閉ロボット14は、塗装を行うための塗装領域の省スペース化に有用である。
【0162】
第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bは、ツール70に保持されるドア260の下方において動作するように設けられてもよい。この場合、第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bを動作させても、ワークWとの干渉を避けることができ、基台20を搬送ラインLcに近づけて配置することができる。従って、ワークWに対する塗装を行うための領域の省スペース化に有用である。
【0163】
上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの先端部44,44A,44B以外の部分の最上位置と、第3アーム50,50A,50Bの基端部52,52A,52B以外の部分の最上位置とは、連結部CS,CSA,CSBの最上位置よりも低くてもよい。この場合、連結部CS,CSA,CSBが、第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bにおいて最も高くなるが、上述のように、連結部CS,CSA,CSBの高さ位置は、基台20の高さ範囲内に収められている。そのため、第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bの上方の領域において、他の部材(例えば、塗装ロボット)の動作領域を広くすることが可能となる。従って、他の部材とドア開閉ロボット14との干渉を回避するのに有用である。
【0164】
上下方向において、第1アーム30,30Bと第2アーム40,40A,40Bとの接続箇所と、連結部CS,CSA,CSBの少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。この場合、第1アーム30,30B、第2アーム40,40A,40B、及び、第3アーム50,50A,50Bを含む部分の上下方向における大きさが小さくなる。従って、ドア開閉ロボット14の小型化に有用である。
【0165】
以上に説明したドア開閉ロボット14の一例は、作業対象の車体250が搬送される搬送ラインLcとは異なる位置に設けられた基台20と、上下方向に沿う回転軸Ax1まわりに回転するように基台20に取り付けられ、回転軸Ax1から遠ざかる方向に延びている第1アーム30,30Bと、回転軸Ax1に平行な回転軸Ax2まわりに回転するように第1アーム30,30Bに取り付けられ、回転軸Ax2から遠ざかる方向に延びている第2アーム40,40A,40Bと、回転軸Ax1に平行な回転軸Ax3まわりに回転するように第2アーム40,40A,40Bに取り付けられ、回転軸Ax3から遠ざかる方向に延びている第3アーム50,50A,50Bと、第3アーム50,50A,50Bの先端部54,54A,54Bにおいて上下方向に沿って延びるように第3アーム50,50A,50Bに取り付けられ、車体250に取り付けられたドア260を保持可能なツール70を上下方向に沿って移動させる第4アーム60と、を備える。第4アーム60は、ドア260の窓枠262を通過できるようにツール70を昇降可能に保持する。上下方向において、第3アーム50,50A,50Bと第4アーム60との接続箇所が、第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bの最上位置よりも低い。第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bは、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の下方において動作するように設けられている。上下方向において、第3アーム50,50A,50Bの先端部54,54A,54Bの少なくとも一部と、第2アーム40,40A,40Bの少なくとも一部とが、同じ高さに位置する。
【0166】
以上のドア開閉ロボット14は、上下方向に沿う回転軸まわりに回転する3つのアームを備えるので、従来のようにドア開閉ロボット14を搬送する装置等によって、ドア開閉ロボット14自体(全体)をX軸方向に移動させなくても、搬送されている車体250に追従して、広い範囲においてドア260を開放状態に維持できる。第3アームと第4アームとの接続箇所が、第2アーム及び第3アームの最上位置よりも低いことで、第4アームによるツール70の昇降範囲を長くしても、ドア開閉ロボット14の上下方向の大きさが小さくなる。また、このように上下方向の大きさが小さくなるので、第2アーム及び第3アームが、ドア260の下において動作することが可能であり、上下方向において、第3アームの先端部の少なくとも一部と、第2アームの少なくとも一部とが、同じ高さに位置することで、ドア開閉ロボット14の上下方向の大きさが小さい。これにより、他の部材との干渉を避けることができ、車体250が搬送される搬送ラインLcに近づけた状態で、ドア開閉ロボット14を配置できる。従って、ドア開閉ロボット14は、塗装領域の省スペース化に有用である。
【0167】
第2アーム40,40A,40B及び第3アーム50,50A,50Bは、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の下方において動作するように設けられていてもよい。この場合、搬送ラインLcにドア開閉ロボット14をより近づけても、ワークWとの干渉が回避できる。また、第2アーム及び第3アームが低い位置に配置されることで、ドアを開放中に塗装ロボットと干渉する範囲が縮小される。従って、塗装領域の省スペース化に更に有用である。
【0168】
第2アーム40は、第1アーム30の先端部34の下に取り付けられていてもよい。第3アーム50は、第2アーム40の先端部44の上に取り付けられてもよい。この場合、第1アーム、第2アーム、及び、第3アームを含む部分の上下方向の大きさを小さくできる。従って、ドア開閉ロボット14の小型化に有用である。
【0169】
上下方向において、第3アーム50の先端部54は、第3アーム50の基端部52よりも低くてもよい。この場合、先端部54が基端部52と同じ高さに位置する場合に比べて、第4アーム60によるツール70の昇降範囲が大きくなる。ツール70の昇降範囲が大きくなることで、同じ仕様のドア開閉ロボット14を用いて、より多くの種類の車体250(ワークW)に対する作業が可能となる。従って、ドア開閉ロボット14の共用化に有用である。
【0170】
上下方向において、第2アーム40の最上位置は、第1アーム30のうちの基端部32と先端部34との間の部分(中間部分36)の下面における最上位置よりも低くてもよい。この場合、第1アーム30に近づくように第2アーム40を折り曲げる際に、第1アーム30と第2アーム40とが互いに干渉し難い。従って、第2アーム40の可動範囲の拡大に有用である。
【0171】
第2アーム40Aは、第1アーム30の先端部34の下に取り付けられてもよい。第3アーム50Aは、第2アーム40Aの先端部44Aの下に取り付けられてもよい。第2アーム40及び第3アーム50を備える構成と異なり、第3アームの先端部を下げる場合に第3アーム50Aを直線状に形成できる。従って、第3アームの簡素化に有用である。
【0172】
上下方向において、第2アーム40Aの先端部44Aは、第2アーム40Aの基端部42Aよりも高くてもよい。この場合、先端部44Aが基端部42Aと同じ高さに位置する場合に比べて、第4アーム60によるツール70の昇降範囲が大きくなる。ツール70の昇降範囲が大きくなることで、同じ仕様のドア開閉ロボット14を用いて、より多くの種類の車体250(ワークW)に対する作業が可能となる。従って、ドア開閉ロボット14の共用化に有用である。
【0173】
第2アーム40Bは、第1アーム30Bの先端部34Bの上に取り付けられてもよい。第3アーム50Bは、第2アーム40Bの先端部44Bの下に取り付けられてもよい。第2アーム40及び第3アーム50、又は第2アーム40A及び第3アーム50Aを備える構成と異なり、第3アームの先端部を下げる場合に第2アーム40B及び第3アーム50Bを直線状に形成できる。従って、第2アーム及び第3アームの簡素化に有用である。
【0174】
上下方向において、第1アーム30Bの先端部34Bは、第1アーム30Bの基端部32Bよりも低くてもよい。この場合、先端部34Bが基端部32Bと同じ高さに位置する場合に比べて、第4アーム60によるツール70の昇降範囲が大きくなる。ツール70の昇降範囲が大きくなることで、同じ仕様のドア開閉ロボット14を用いて、より多くの種類の車体250(ワークW)に対する作業が可能となる。従って、ドア開閉ロボット14の共用化に有用である。
【0175】
第1アーム30,30Bは、基台20の上に取り付けられていてもよい。この場合、基台20が簡素化されるので、ドア開閉ロボット14の小型化に有用である。
【0176】
上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの少なくとも一部と、基台20の少なくとも一部とが、同じ高さに位置してもよい。この場合、ドア開閉ロボット14の上下方向における大きさを小さくできる。従って、ドア開閉ロボット14の小型化に有用である。
【0177】
上下方向において、第1アーム30,30Bの基端部32,32Bの最上位置は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の最下位置よりも低くてもよい。この場合、ワークW等の他の部材と第1アーム30,30Bとの干渉を回避し易く、他の部材に近づけてドア開閉ロボット14を配置することができる。従って、ドア開閉ロボット14の動作に起因して、塗装領域が大きくなるのを抑制するのに有用である。
【0178】
上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの最上位置及び第3アーム50,50A,50Bの最上位置は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の最下位置よりも低くてもよい。上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの最下位置及び第3アーム50,50A,50Bの最下位置は、搬送ラインLcに沿って車体250を搬送する搬送装置12が設けられるブース底壁202よりも高くてもよい。上下方向において、第1アーム30,30Bの基端部32,32Bの少なくとも一部は、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250のドア260の最下位置と、同じ高さに位置してもよい。この場合、第2アーム及び第3アームが、ドア260の下端とブース底壁202との間の領域で動作するので、ワークW等の他の部材と干渉し難い。また、第1アーム30,30Bの基端部32,32Bをドア260の下端と同じ高さ範囲に配置することで、基端部32,32Bの水平方向における大きさを小さくできる。従って、ドア開閉ロボット14と他の部材との干渉防止とドア開閉ロボット14の小型化とに有用である。
【0179】
上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの最上位置及び第3アーム50,50A,50Bの最上位置は、第1アーム30,30Bの最上位置よりも低くてもよい。この場合、第1アーム30,30Bが動作する領域の横において、他の部材が動作することが可能な領域が形成される。従って、他の部材との干渉を回避するのに有用である。
【0180】
上下方向において、第2アーム40,40A,40Bの最下位置と第3アーム50,50A,50Bの最下位置とは、互いに略一致してもよい。この場合、ドア開閉ロボット14の上下方向における大きさが、より小さくなる。従って、ドア開閉ロボット14の小型化に有用である。
【0181】
基台20は、上下方向から見て、回転軸Ax1との間の距離が最も小さい側面(側面24a)が搬送ラインLcを向くように設置されていてもよい。この場合、基台20と搬送ラインLcとの間において、回転軸Ax1よりも搬送ラインLcに向かって張り出す部分が小さい。そのため、基台20を搬送ラインLcに近づけても、ワークWとの干渉が回避される。従って、塗装領域の搬送ラインLcに直交する幅方向における省スペース化に有用である。
【0182】
ドア開閉ロボット14は、第1アーム30を回転軸Ax1まわりに回転させるための第1駆動力を発生するモータM1と、第2アーム40を回転軸Ax2まわりに回転させるための第2駆動力を発生するモータM2と、を更に備えてもよい。モータM1及びモータM2は、第1アーム30に配置されてもよい。この場合、基台20にモータを配置する場合に比べて、基台20を簡素化することができ、モータM1,M2への作業が容易となる。従って、基台20の小型化とメンテナンス性の向上とに有用である。
【0183】
モータM1は、モータ本体81aと、出力軸81bとを含んでもよい。モータM2は、モータ本体82aと、出力軸82bとを含んでもよい。モータM1は、出力軸81bを下に向けた状態で上方から取り付けられていてもよい。モータM2は、出力軸82bを下に向けた状態で上方から取り付けられていてもよい。この場合、モータM1,M2の取り外し作業が容易である。従って、メンテナンス性の向上に有用である。
【0184】
ドア開閉ロボット14は、第3アーム50を回転軸Ax3まわりに回転させるための第3駆動力を発生するモータM3を更に備えてもよい。モータM3は、第2アーム40において、モータM3と回転軸Ax2との間の距離がモータM3と回転軸Ax3との間の距離よりも小さくなるように配置されていてもよい。この場合、モータM3の配置に起因して、第3アーム50の可動範囲が縮小されるのを回避し、慣性モーメントを低減するのに有用である。
【0185】
モータM3は、モータ本体83aと、出力軸83bとを含んでもよい。モータM3は、出力軸83bを下に向けた状態で上方から取り付けられてもよい。この場合、モータM3の取り外し作業が容易である。従って、メンテナンス性の向上に有用である。
【0186】
上下方向から見て、第2アーム40の側方部分43は、内側に向かって凹むように形成されていてもよい。この場合、第2アーム40に近づくように第3アーム50を折り曲げる際に、第2アーム40と第3アーム50とが互いに干渉し難い。従って、第3アーム50の可動範囲の拡大に有用である。
【0187】
第4アーム60は、回転軸Ax1と平行な回転軸Ax4まわりにツール70と共に回転するように、第3アーム50,50A,50Bの先端部54,54A,54Bに取り付けられてもよい。この場合、ツール70によりドア260を開放させる際に、第4アーム60の回転軸Ax4まわりに回転させることで、ツール70の姿勢が調節される。従って、第4アーム60以外のアームの動作の簡素化に有用である。
【0188】
ドア開閉ロボット14は、第4アーム60を回転軸Ax4まわりに回転させるための第4駆動力を発生するモータM4と、ツール70を上下方向に沿って移動させるための第5駆動力を発生するモータM5と、を更に備えてもよい。モータM4及びモータM5は、第3アーム50に配置されてもよい。この場合、第4アーム60にモータM4及びモータM5の少なくとも一方が配置される場合に比べて、第4アーム60が小型化される。従って、第4アーム60の動作範囲を縮小するのに有用である。例えば、ドア開閉ロボットの内部の圧力を高める場合に、第4アーム60にモータを配置しなくてもよいので、第4アーム60内の圧力を高めることが不要になる。そのため、ドア開閉ロボット14の簡素化に有用である。
【0189】
モータM4は、モータ本体84aと、出力軸84bとを含んでもよい。モータM5は、モータ本体85aと、出力軸85bとを含んでもよい。モータM4は、出力軸84bを下に向けた状態で上方から取り付けられていてもよい。モータM5は、出力軸85bを下に向けた状態で上方から取り付けられていてもよい。この場合、モータM4,M5の取り外し作業が容易である。従って、メンテナンス性の向上に有用である。
【0190】
第4アーム60は、第3アーム50,50A,50Bの先端部54,54A,54Bに取り付けられ、回転軸Ax4まわりに回転可能な固定部分62と、固定部分62の回転により回転軸Ax4まわりに固定部分62と共に回転可能であり、固定部分62に昇降可能に設けられた可動部分64と、を含んでもよい。ツール70は、可動部分64に取り付けられていてもよい。この場合、ツール70が昇降すると共に、ツール70の回転軸Ax4まわりの姿勢が変化する。従って、ツール70の上下方向における位置と、ツール70の回転軸Ax4まわりの姿勢を所望の制御に合わせて調節するのに有用である。
【0191】
第4アーム60は、固定部分62の少なくとも一部を上から覆い、可動部分64と共に昇降するカバー部分68を更に含んでもよい。この場合、ツール70を昇降させる構成でも、塗装に用いられる塗料が第4アーム60に入り難い。従って、ドア開閉ロボット14の劣化抑制又はメンテナンス性の向上に有用である。
【0192】
第2アーム40のアーム長L2は、第1アーム30のアーム長L1の0.9倍~1.1倍であってもよい。第3アーム50のアーム長L3は、第1アーム30のアーム長L1の0.9倍~1.1倍であってもよい。第1アーム30のアーム長L1が、アーム長L2よりも大き過ぎると、基台20の位置が同じであると仮定した場合、第1アーム30がY軸方向に沿う角度に配置された際に、第2アーム40がワークWと干渉してしまう可能性が高い。アーム長L1が、アーム長L2よりも小さ過ぎると、アーム長の合計値を同じにするには、アーム長L2及びアーム長L3の少なくとも一方を長くする必要がある。アーム長L2及びアーム長L3の少なくとも一方が長いと、基台20の上流においてツール70がドア260を保持する際に、第2アーム40及び第3アーム50の連結部が、搬送ラインLcに向かった張り出し、ワークWと干渉してしまう可能性が高い。これに対して、上記構成では、各アーム長が互いに略一致するので、各アームとワークWとの干渉を回避するのに有用である。
【0193】
基台20の底面22及び側面(側面24b)それぞれが、所定位置に取り付け可能であってもよい。この場合、同じ種類のドア開閉ロボット14を、底面22及び側面のどちらにも取り付けることができる。従って、ドア開閉ロボット14の共用化に有用である。
【0194】
基台20の側面(側面24b)が、搬送ラインLcに沿って延び、車体250及びドア260を含むワークWへの塗装を行うための塗装領域Rを形成するブース側壁204に含まれる支柱208に取り付けられてもよい。この場合、基台20を底壁に固定する場合に比べて、ツール70を高い位置まで上昇させるのが容易である。従って、窓枠262の下端が高い位置にある車体250への作業に用いるのに有用である。
【0195】
基台20の底面22が、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250と、搬送ラインLcに沿って延び、車体250及びドア260を含むワークWへの塗装を行うための塗装領域Rを形成するブース側壁204との間に位置するブース底壁202(ブース底壁202の一部)に取り付けられてもよい。この場合、基台20の底面22が支持されるので、基台20の設置が安定する。従って、ドア開閉ロボット14の安定化に有用である。
【0196】
基台20は、搬送ラインLcに沿って延び、車体250及びドア260を含むワークWへの塗装を行うための塗装領域Rを形成するブース側壁204と、搬送ラインLcに沿って搬送されている車体250の側面との間において、ブース側壁204寄りに配置されてもよい。この場合、基台20と車体250の側面との間に、基台20とブース側壁204との間よりも大きいスペースが形成される。そのため、基台20の横をワークWが通過する際に、ドア開閉ロボット14に含まれる各アームと開放された状態のドア260とが干渉し難い。従って、車体250に追従しながら、ドア260を開放状態に維持するための動作の簡素化に有用である。
【0197】
ツール70は、上下方向に交差する方向に沿って延びる延長部分72と、延長部分72から下に向かって延び、ドア260の内面264に接触可能な保持部分74と、を含んでもよい。第4アーム60は、保持部分74が、ドア260の窓枠262の下端よりも上昇した状態でドア260の窓枠262を通過可能となるように、ツール70を上下方向に沿って移動させてもよい。この場合、ドア260の内面264がツール70により保持されるので、ドア260の開放動作が安定する。従って、ドア260を開放した状態での塗装作業の安定化に有用である。
【0198】
以上に説明したドア開閉システム10の一例は、ドア開閉ロボット14と、搬送ラインLcに沿って車体250を搬送する搬送装置12と、搬送装置12によって搬送されている車体250のドア260を開閉させるように、ドア開閉ロボット14を制御する制御装置16と、を備える。この場合、塗装ロボットとの協働により、ドア260を開放した状態で車体250及びドア260を含むワークWへの塗装を行うことができる。従って、車体250を搬送させつつ、塗装を行う作業の自動化に有用である。
【符号の説明】
【0199】
1…塗装システム、W…ワーク、250…車体、260…ドア、10…ドア開閉システム、12…搬送装置、Lc…搬送ライン、14…ドア開閉ロボット、16…制御装置、18…ロボット装置、20…基台、22…底面、24a~24d…側面、30,30B…第1アーム、32,32B…基端部、34,34B…先端部、40,40A,40B…第2アーム、42,42A,42B…基端部、44,44A,44B…先端部、50,50A,50B…第3アーム、52,52A,52B…基端部、54,54A,54B…先端部、60…第4アーム、62…固定部分、64…可動部分、68…カバー部分、70…ツール、72…延長部分、74…保持部分、M1~M5…モータ、Ax1~Ax4…回転軸、R…塗装領域、202…ブース底壁、204…ブース側壁、208…支柱。