(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125829
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】臭気特定システム
(51)【国際特許分類】
G01V 11/00 20060101AFI20230831BHJP
G01V 8/10 20060101ALI20230831BHJP
G01V 9/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01V11/00
G01V8/10 S
G01V9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030152
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB09
2G105DD01
2G105EE02
2G105EE06
2G105FF02
2G105GG08
2G105HH05
2G105JJ05
2G105KK06
(57)【要約】
【課題】臭気の発生源を特定することができる臭気特定システムを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る臭気特定システムは、複数の臭気センサと、カメラと、特定装置とを具備する。複数の臭気センサは、所定の空間に配置され、空間に生じた臭気を検出する。カメラは、空間に配置され、空間を撮像する。特定装置は、カメラによって撮像された画像と臭気センサによって検出された臭気情報とに基づいて、空間における臭気の発生源を特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間に配置され、前記空間に生じた臭気を検出する複数の臭気センサと;
前記空間に配置され、前記空間を撮像するカメラと;
前記カメラによって撮像された画像と前記臭気センサによって検出された臭気情報とに基づいて、前記空間における前記臭気の発生源を特定する特定装置と;
を具備する臭気特定システム。
【請求項2】
前記特定装置は、
前記画像に基づいて、前記空間における前記臭気センサの位置を特定し、前記位置と前記臭気情報とに基づいて前記発生源を特定する
請求項1に記載の臭気特定システム。
【請求項3】
前記カメラは、
前記空間の映像情報を前記特定装置へ出力し、
前記特定装置は、
前記臭気情報と前記映像情報との時間を同期した情報を、前記発生源の情報とともに出力する
請求項1または2に記載の臭気特定システム。
【請求項4】
前記特定装置は、
前記複数の臭気センサの位置に基づいて、前記空間における前記臭気情報の分布情報を出力する
請求項1~3のいずれか1つに記載の臭気特定システム。
【請求項5】
前記特定装置は、
前記複数の臭気センサそれぞれで検出された前記臭気情報のうち、少なくとも1つの前記臭気情報における前記臭気のレベルが閾値以上となった場合に、前記発生源を特定する処理を行う
請求項1~4のいずれか1つに記載の臭気特定システム。
【請求項6】
前記特定装置は、
前記空間における風流情報を検出し、前記風流情報に応じて前記臭気センサ毎の前記閾値を変更する
請求項5に記載の臭気特定システム。
【請求項7】
前記特定装置は、
前記画像の中から前記発生源となる物体の種別を特定し、前記物体の種別に基づいて通報の実施有無を判定する
請求項1~6のいずれか1つに記載の臭気特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、臭気特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間に生じた臭気をセンサにより検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、空間に生じた臭気をセンサにより検出しているに過ぎず、臭気の発生源を特定する点で改善の余地があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、臭気の発生源を特定することができる臭気特定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る臭気特定システムは、複数の臭気センサと、カメラと、特定装置とを具備する。前記複数の臭気センサは、所定の空間に配置され、前記空間に生じた臭気を検出する。前記カメラは、前記空間に配置され、前記空間を撮像する。前記特定装置は、前記カメラによって撮像された画像と前記臭気センサによって検出された臭気情報とに基づいて、前記空間における前記臭気の発生源を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る臭気特定システムにおいて実行される処理の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る特定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、通報の実施有無を判定する処理の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、通報の実施有無を判定する処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る特定装置において実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で説明する臭気特定システムSは、複数の臭気センサ10と、カメラ11と、特定装置1とを具備する。複数の臭気センサ10は、所定の空間SPに配置され、空間SPに生じた臭気を検出する。カメラ11は、空間SPに配置され、空間SPを撮像する。特定装置1は、カメラ11によって撮像された画像と臭気センサ10によって検出された臭気情報とに基づいて、空間SPにおける臭気の発生源を特定する。
【0009】
以下で説明する特定装置1は、画像に基づいて、空間SPにおける臭気センサ10の位置を特定し、位置と臭気情報とに基づいて発生源を特定する。
【0010】
以下で説明するカメラ11は、空間SPの映像情報を特定装置1へ出力する。特定装置1は、臭気情報と映像情報との時間を同期した情報を、発生源の情報とともに出力する。
【0011】
以下で説明する特定装置1は、複数の臭気センサ10の位置に基づいて、空間SPにおける臭気情報の分布情報を出力する。
【0012】
以下で説明する特定装置1は、複数の臭気センサ10それぞれで検出された臭気情報のうち、少なくとも1つの臭気情報における臭気レベルが閾値以上となった場合に、発生源を特定する処理を行う。
【0013】
以下で説明する特定装置1は、空間SPにおける風流情報を検出し、風流情報に応じて臭気センサ10毎の閾値を変更する。
【0014】
以下で説明する特定装置1は、画像の中から発生源となる物体100の種別を特定し、物体100の種別に基づいて通報の実施有無を判定する。
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に係る臭気特定システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0016】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る臭気特定システムSにおいて実行される処理の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る臭気特定システムSにおいて実行される処理の概要を示す図である。
【0017】
図1に示すように、実施形態に係る臭気特定システムSは、特定装置1と、複数の臭気センサ10と、カメラ11とを備える。特定装置1と、複数の臭気センサ10と、カメラ11とは、所定のネットワークNによって通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット等の通信ネットワークである。
【0018】
図1に示す例では、実施形態に係る臭気特定システムSは、所定の空間SPに設けられる。所定の空間SPは、例えば、オフィス内や、作業空間、倉庫等のような、壁および天井で区切られた空間である。
図1では、所定の空間SPに臭気を発する物体100が設置される例を示している。
【0019】
なお、物体100は、静止物に限らず、人等の移動物体や、人が持ち運ぶ可搬性の物体であってもよい。また、臭気は、人や、周囲の環境に悪影響を及ぼす臭気や、人が不快に感じる臭気である。なお、臭気は、人や、周囲の環境に好影響を及ぼす臭気や、人が快適に感じる臭気であってもよい。
【0020】
臭気センサ10は、空間SPに配置され、空間SPに生じる臭気を検出するセンサである。臭気センサ10は、匂いセンサとも呼ばれる。臭気センサ10は、空間SPの壁や天井、床等に設置される設置型のセンサであってもよく、人が持ち運び可能な可搬性のセンサであってもよい。
図1では、臭気センサ10が2つ配置される例を示しているが、3つ以上であってもよい。
【0021】
カメラ11は、空間SPに配置され、空間SPを撮像する。カメラ11は、例えば、天井や、壁等に固定して設けられる。カメラ11は、撮像範囲が固定であってもよく、可変であってもよい。また、カメラ11は、空間SPに複数配置されてもよい。
【0022】
特定装置1は、カメラ11によって撮像された画像と、臭気センサ10によって検出された臭気情報とに基づいて、空間SPにおける臭気の発生源を特定する。例えば、特定装置1は、複数の臭気センサ10で検出した臭気情報における臭気レベル(匂いの強さや濃度)が閾値以上である場合に、カメラ11の画像の中から臭気の発生源となる物体100を画像解析により認識することで、発生源を特定する。なお、特定装置1による発生源の特定方法の詳細については後述する。
【0023】
このように、実施形態に係る臭気特定システムSでは、臭気情報を基にカメラ11の画像から発生源を特定することができる。
【0024】
なお、実施形態に係る臭気特定システムSでは、臭気情報の分布情報(ヒートマップ)を生成して出力可能であるが、かかる点の詳細については後述する。
【0025】
次に、
図2を用いて、特定装置1の機能構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る特定装置1の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、特定装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを備える。
【0026】
通信部2は、通信インターフェースであり、所定のネットワークNを介して臭気センサ10およびカメラ11と通信する。
【0027】
制御部3は、取得部31と、判定部32と、特定部33と、処理部34とを具備する。記憶部4は、映像情報41と、臭気情報42と、発生源情報43とを記憶するを有する。
【0028】
ここで、特定装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0029】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部3の取得部31、判定部32、特定部33および処理部34として機能する。
【0030】
また、制御部3の取得部31、判定部32、特定部33および処理部34の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0031】
また、記憶部4は、RAMやフラッシュメモリに対応し、映像情報41や、臭気情報42、発生源情報43、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、特定装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0032】
映像情報41は、カメラ11によって撮像された映像の情報である。映像情報41は、カメラ11を常時駆動して撮像された映像であってもよく、臭気情報が所定の条件を満たす映像のみであってもよい。また、映像情報41は、映像に限らず、画像であってもよい。
【0033】
臭気情報42は、臭気センサ10によって検出された臭気の情報である。
図3は、臭気情報42の一例を示す図である。
図3に示すように、臭気情報42は、「センサID」と、「センサ位置」と、「臭気情報」とを含む。
【0034】
「センサID」は、臭気センサ10を識別する識別情報である。「センサ位置」は、空間SPにおける臭気センサ10の位置を示す情報である。センサ位置は、予め管理者等によって登録されてもよく、カメラ11の画像によって位置が特定されてもよい。「臭気情報」は、臭気の情報である。臭気情報は、例えば、臭気レベルや、臭気の種類(化合物名)等の情報を含む。
【0035】
発生源情報43は、後述する特定部33によって特定された臭気の発生源に関する情報である。
図4は、発生源情報43の一例を示す図である。
図4に示すように、発生源情報43は、「発生源ID」と、「時刻」と、「発生位置」と、「臭気情報」とを含む。
【0036】
「発生源ID」は、発生源を識別する識別情報である。「時刻」は、発生源が特定(検出)された時刻の情報である。「発生位置」は、空間SPにおける発生源の位置(物体100の位置)の情報である。「臭気情報」は、発生源を特定した際において臭気センサ10で検出された臭気情報である。なお、「臭気情報」は、臭気センサ10と発生源との位置関係に基づいて推定した発生源の位置における臭気情報(臭気レベル)であってもよい。
【0037】
次に、制御部3の各機能(取得部31、判定部32、特定部33および処理部34)について説明する。
【0038】
取得部31は、臭気センサ10で検出された臭気の情報である臭気情報を取得し、臭気情報42として記憶部4に記憶する。具体的には、取得部31は、臭気センサ10で検出された臭気レベル(匂いの強さまたは濃度)を臭気の種類(化合物)毎に取得する。
【0039】
また、取得部31は、カメラ11で撮像された画像を取得する。取得部31は、カメラ11によって一定間隔で撮像された画像を逐一取得する。なお、取得部31は、一定間隔で撮像された画像を逐一取得する場合に限らず、カメラ11で一時的保存された一定期間の画像をまとめて取得してもよい。また、取得部31は、画像に限らず、カメラ11から映像を取得してもよい。
【0040】
また、取得部31は、空間SPにおける風流を示す風流情報を取得する。例えば、取得部31は、空間SPにおける風の流れる方向や風量を検出する風流センサ(不図示)から風の流れる方向や風量の情報を含む風流情報を取得する。風流センサは、例えば、臭気センサ10と同じ位置に配置される。
【0041】
また、取得部31は、例えば、エアコンの駆動状態や、窓の開閉状態に関する情報を風流情報として取得してもよい。窓の開閉状態は、例えば、カメラ11の画像に基づいて判定してもよい。
【0042】
判定部32は、取得部31が取得した臭気情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、判定部32は、臭気情報における臭気レベルが閾値以上であるか否かを判定する。つまり、判定部32は、空間SPにおいて臭気が強い(または濃い)か否かを判定する。
【0043】
また、判定部32は、臭気情報に含まれる臭気のうち、特定の種類の臭気の臭気レベルが閾値以上であるか否かを判定してもよい。また、判定部32は、臭気情報に特定の種類の臭気が含まれるか否かを判定してもよい。
【0044】
また、判定部32は、複数種類の臭気の臭気レベルに統計処理を施して算出した臭気レベルの統計値が閾値以上であるか否かを判定してもよい。統計値は、例えば、平均値や加重平均値、中央値等を用いることができる。
【0045】
なお、臭気レベルの閾値判定は、臭気センサ10毎に検出された臭気レベルそれぞれに対して行ってもよく、複数の臭気センサ10で検出された各臭気レベルを統計した統計値に対して行ってもよい。
【0046】
また、判定部32で用いる閾値は、取得部31が取得した風流情報や、臭気センサ10の位置に基づいて臭気センサ10毎に個別に設定してもよい。つまり、判定部32は、風流情報に応じて臭気センサ10毎の閾値を変更する。
【0047】
例えば、判定部32は、風流情報における風量が閾値以上となる臭気センサ10の閾値を、他の臭気センサ10の閾値よりも高くする。あるいは、判定部32は、風流情報における風量が閾値未満となる臭気センサ10の閾値を、他の臭気センサ10の閾値よりも低くしてもよい。
【0048】
また、判定部32は、風流情報における風の向きに基づいて、空間SPにおける風の流路を推定し、流路(付近)に配置された臭気センサ10の閾値を他の臭気センサ10の閾値よりも高くする。あるいは、判定部32は、風の流路から離れた位置に配置された臭気センサ10の閾値を他の臭気センサ10の閾値よりも低くしてもよい。
【0049】
つまり、判定部32は、臭気が風で流れやすい(臭気が拡散しやすい)位置では、臭気により悪影響が小さいと推定されるため、閾値を高く設定することで、より悪影響のある臭気を精度良く判定することができる。一方で、判定部32は、臭気が風で流れにくい(臭気が拡散しにくい)位置では、臭気レベルが小さくても悪影響が生じると推定されるため、閾値を低く設定することで、より悪影響のある臭気を精度良く判定することができる。
【0050】
特定部33は、カメラ11によって撮像された画像と、臭気センサ10によって検出された臭気情報とに基づいて、空間SPにおける臭気の発生源を特定する。具体的には、特定部33は、カメラ11の画像を解析することで、画像の中から臭気の発生源となり得る物体を発生源候補として検出する。
【0051】
そして、特定部33は、発生源候補のうち、臭気レベルが最も高い臭気センサ10に最も近い発生源候補を臭気の発生源として特定する。これにより、臭気の発生源を高精度に特定することができる。
【0052】
なお、発生源を特定する処理は、例えば、臭気情報における臭気レベルが閾値以上である場合に限って行われてもよい。つまり、特定部33は、判定部32によって臭気レベルが閾値以上であると判定された場合に、発生源を特定する処理を行う。これにより、臭気レベルが大きい(人等の周囲への悪影響が大きい)場合に限って発生源の特定処理を行うため、処理負荷を軽減することができる。
【0053】
なお、特定部33は、発生源候補の中から、1つの発生源を特定してもよく、複数の発生源を特定してもよい。例えば、特定部33は、臭気レベルが閾値以上である臭気センサ10が複数存在する場合、それぞれの臭気センサ10の最も近くにある発生源候補をそれぞれ発生源として特定してもよい。
【0054】
また、特定部33は、臭気センサ10の位置が登録されていない場合(臭気センサ10が移動された場合)、カメラ11の画像に基づいて、空間SPにおける臭気センサ10の位置を特定し、特定した臭気センサ10の位置と臭気情報とに基づいて発生源を特定する。
【0055】
これにより、臭気センサ10の位置が不明な場合や、臭気センサ10が人によって移動された場合であっても、発生源を高精度に特定することができる。
【0056】
特定部33は、特定した発生源に関する情報を発生源情報43として記憶部4に記憶する。
【0057】
処理部34は、特定部33によって特定された発生源に関する情報である発生源情報43に基づいた各種処理を行う。例えば、処理部34は、カメラ11の画像に発生源情報43を紐付けた情報を空間SPの関係者(管理者や使用者等)の端末装置へ出力する。具体的には、処理部34は、発生源となる物体100を強調表示した画像を端末装置へ出力する。
【0058】
また、処理部34は、臭気情報と映像情報との時間を同期した情報を、発生源情報43とともに端末装置へ出力する。つまり、処理部34は、映像情報における各時刻において臭気センサ10から検出された臭気情報を示す表示を、発生源を示す表示とともに映像に表示する。これにより、映像における臭気情報の移り変わりを容易に把握することができる。
【0059】
なお、出力する映像情報は、特定部33によって発生源が特定された時刻を基準とした前後所定時間分の映像である。これにより、発生源が移動する(人が発生源となる物体100を持って移動する)場合であっても、映像から発生源を容易に把握することができる。
【0060】
また、処理部34は、複数の臭気センサ10の位置に基づいて、空間SPにおける臭気情報の分布情報を生成して端末装置へ出力する。ここで、
図5を用いて、分布情報の一例について説明する。
【0061】
図5は、分布情報の一例を示す図である。
図5では、天井に配置されたカメラ11で撮像された画像、言い換えれば、空間SPの上面視の画像を示している。また、
図5では、空間SPに臭気センサ10が12個(縦3個×横4個)配置された例を示している。
【0062】
図5に示すように、分布情報は、各領域Rの中央に1つの臭気センサ10が位置するようにグリッド線GLが設定された情報であり、各領域Rには、対応する臭気センサ10の臭気情報に応じた色が背景色として設定される。また、
図5に示すように、分布情報は、発生源となる物体100の位置が表示される。
【0063】
例えば、各領域Rに設定される色は、特定の種類の臭気の臭気レベルが高い程、濃く(
あるいは薄く)なるように色が設定される。つまり、分布情報は、臭気情報のヒートマップである。これにより、空間SP全体における臭気の濃淡を容易に把握することができる。
【0064】
なお、
図5では、1つの領域Rには1つの色が設定される例を示したが、例えば、上記した風流情報に基づいて、1つの領域Rにおいて複数の色が設定されてもよい。
【0065】
なお、
図5では、画像における分布情報を一例として示したが、例えば、映像情報に分布情報を紐付けた情報を生成して出力してもよい。つまり、映像の時刻変化に対応して分布情報の臭気情報が変化する情報を生成する。
【0066】
また、処理部34は、カメラ11の画像の中から発生源となる物体100の種別を特定し、物体100の種別に基づいて通報の実施有無を判定する。かかる点について、
図6Aおよび
図6Bを用いて説明する。
【0067】
図6Aおよび
図6Bは、通報の実施有無を判定する処理の一例を示す図である。なお、
図6Aおよび
図6Bでは、臭気の種類が同じ(臭気A)で物体100の種別が異なる(
図6Aがたばこの煙による臭気、
図6Bが発火による臭気)。
【0068】
特定部33は、カメラ11の画像から発生源となる物体100を特定するとともに、物体100の種別を特定する。例えば、特定部33は、パターンマッチング等の画像解析により、物体100の種別、すなわち、物体100がたばこであるか発火あるかの種別を特定する。
【0069】
そして、処理部34は、
図6Aに示すように、物体100の種別がたばこである場合、すなわち、危険性が低い物体100である場合、通報を実施しない。一方、処理部34は、
図6Bに示すように、物体100の種別が発火である場合、すなわち、危険性が高い物体100である場合、通報を実施する。
【0070】
通報は、空間SP内に警告音を発する方法や、空間SPを管理する管理者へ通知する方法等がある。このように、処理部34は、物体100の種別に応じて通報実施の有無を判定することで、より危険性が高い物体100に起因する臭気が生じた場合に通報を行うことができるとともに、危険性が低い物体100に起因する臭気が生じた場合に通報が行われることで通報先の人が煩わしく感じることを防止できる。
【0071】
次に、
図7を用いて、実施形態に係る特定装置1において実行される処理の処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係る特定装置1において実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
図7に示すように、まず、制御部3は、カメラ11の画像を取得する(ステップS101)。
【0073】
つづいて、制御部3は、臭気センサ10から臭気情報を取得する(ステップS102)。
【0074】
つづいて、制御部3は、臭気センサ10から取得した臭気情報のうち、少なくとも1つの臭気情報における臭気レベルが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0075】
制御部3は、臭気レベルが閾値以上であると判定した場合(ステップS103:Yes)、臭気の発生源を特定する(ステップS104)。なお、制御部3は、すべての臭気情報の臭気レベルが閾値未満である場合(ステップS103:No)、処理を終了する。
【0076】
つづいて、制御部3は、特定した発生源の情報である発生源情報43を記憶部4に記憶し(ステップS105)、処理を終了する。
【0077】
上述したように、実施形態に係る臭気特定システムSは、複数の臭気センサ10と、カメラ11と、特定装置1とを具備する。複数の臭気センサ10は、所定の空間SPに配置され、空間SPに生じた臭気を検出する。カメラ11は、空間SPに配置され、空間SPを撮像する。特定装置1は、カメラ11によって撮像された画像と臭気センサ10によって検出された臭気情報とに基づいて、空間SPにおける臭気の発生源を特定する。これにより、臭気の発生源を特定することができる。
【0078】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 特定装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
10 臭気センサ
11 カメラ
31 取得部
32 判定部
33 特定部
34 処理部
41 映像情報
42 臭気情報
43 発生源情報
100 物体
S 臭気特定システム
SP 空間