(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125870
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法および監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20230831BHJP
G08B 25/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G08B25/04 A
G08B25/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030218
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 拓也
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA10
5C087AA16
5C087AA19
5C087BB03
5C087BB11
5C087BB73
5C087BB74
5C087CC02
5C087DD05
5C087DD08
5C087DD23
5C087DD24
5C087DD27
5C087DD29
5C087DD33
5C087DD38
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG07
5C087GG17
5C087GG31
5C087GG40
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】 (修正有)
【課題】監視環境における警報の遅延状況を通知する監視装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】監視システムにおいて、中央監視室5が有する監視装置50は、空調設備1a、電気設備1b、防災設備1c、防犯設備1d、熱源設備1nなどの監視対象装置の警報を検出する検出装置であるコントローラ10から、警報の内容と警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信し、警報情報を受信した受信時刻と警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、警報情報に含まれる警報の内容とともに経過時間を出力する。この結果、監視装置は、監視環境における警報の遅延状況を通知することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象装置の警報を検出した検出装置から、前記警報の内容と前記警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信する受信部と、
前記警報情報が受信された受信時刻と前記警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、前記警報情報に含まれる前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する出力部と、
を有する監視装置。
【請求項2】
前記受信部は、
前記監視対象装置と同じネットワークに接続される前記検出装置から、前記ネットワークとは異なる少なくとも1つのネットワークを介して、前記警報を受信し、
前記出力部は、
前記少なくとも1つのネットワークの通信に要した時間として、前記経過時間を算出し、前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記監視対象装置は、
第1の建物に設置される、前記第1の建物の運営に関する装置であり、
前記検出装置は、
前記第1の建物に設置され、前記第1の建物内の第1のネットワークを介して受信した前記警報に基づき前記警報情報を生成して、前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、
前記第1の建物とは異なる第2の建物に設置され、第2のネットワークを介して前記検出装置に接続され、
前記監視装置の受信部は、
前記第2のネットワークを介して、前記第1の建物で発生した警報に関する前記警報情報を受信し、
前記監視装置の出力部は、
前記警報情報を受信した場合に、前記経過時間を算出し、前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
コンピュータが、
監視対象装置の警報を検出した検出装置から、前記警報の内容と前記警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信し、
前記警報情報が受信された受信時刻と前記警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、前記警報情報に含まれる前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する、
処理を実行する監視方法。
【請求項5】
コンピュータに、
監視対象装置の警報を検出した検出装置から、前記警報の内容と前記警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信し、
前記警報情報が受信された受信時刻と前記警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、前記警報情報に含まれる前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する、
処理を実行させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法および監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの空調監視や防災監視では、中央監視室の管理装置を用いた遠隔監視が利用されている。遠隔監視では、ビルの空調監視などで発生した警報が中央監視室の管理装置へ通知され、管理装置が警報発報を行うことで、警報に対する各種対応が行われる。近年では、ビル内で警報が発生した場合に警報通知順位表に基づいて通知機能の使用順序を決定する技術、遠隔監視環境でタイムスタンプを補正する技術、遅延測定用のパケットを用いて通信経路の遅延有無を測定する技術などが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-260130号公報
【特許文献2】特開2020-141164号公報
【特許文献3】特開2013-197643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遠隔監視を行う場合、監視対象と中央監視室の管理装置とをネットワークで接続する場合が多いことから、警報検出と警報発報とを異なる装置が実行することが多い。このような場合に、システム構成やネットワークの複雑化により通信遅延が発生し、警報通知の遅延が致命的なトラブルにつながることもある。しかしながら、上記技術では、警報の信頼性が確保できるものの、警報の遅延状況を通知することができない。
【0005】
本願はこのような課題を解決するためのものであり、監視環境における警報の遅延状況を通知することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る監視装置は、監視対象装置の警報を検出した検出装置から、前記警報の内容と前記警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信する受信部と、前記警報情報が受信された受信時刻と前記警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、前記警報情報に含まれる前記警報の内容とともに前記経過時間を出力する出力部と、を有する。
【0007】
上記監視装置において、前記受信部は、前記監視対象装置と同じネットワークに接続される前記検出装置から、前記ネットワークとは異なる少なくとも1つのネットワークを介して、前記警報を受信し、前記出力部は、前記少なくとも1つのネットワークの通信に要した時間として、前記経過時間を算出し、前記警報の内容とともに前記経過時間を出力してもよい。
【0008】
上記監視装置において、前記監視対象装置は、第1の建物に設置される、前記第1の建物の運営に関する機器であり、前記検出装置は、前記第1の建物に設置され、前記第1の建物内の第1のネットワークを介して受信した前記警報に基づき前記警報情報を生成して、前記監視装置に送信し、前記監視装置は、前記第1の建物とは異なる第2の建物に設置され、第2のネットワークを介して前記検出装置に接続され、前記監視装置の受信部は、前記第2のネットワークを介して、前記第1の建物で発生した警報に関する前記警報情報を受信し、前記監視装置の出力部は、前記警報情報を受信した場合に、前記経過時間を算出し、前記警報の内容とともに前記経過時間を出力してもよい。
【発明の効果】
【0009】
上述した監視装置によれば、監視対象装置の警報を検出した検出装置から、警報の内容と警報が検出された検出時刻とを含む警報情報を受信し、警報情報が受信された受信時刻と警報情報に含まれる検出時刻との差分である経過時間を算出し、警報情報に含まれる警報の内容とともに経過時間を出力する。この結果、監視装置は、監視環境における警報の遅延状況を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる監視システムの全体構成例を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる警報発生時の処理を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる監視システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、警報発生時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、実施の形態(適宜、「実施形態」)について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0012】
〔全体構成〕
図1は、実施形態にかかる監視システムの全体構成例を説明する図である。
図1に示すように、この監視システムは、ビル1と複数の中央監視室5とがネットワークNを介して接続され、各中央監視室5によりビル1内の各種設備の遠隔監視が実行される。ネットワークNは、少なくとも1つのネットワークから構成され、例えばインターネット、LTE(Long Term Evolution)網や専用線などの各種通信網を採用することができる。
【0013】
ビル1は、建物の一例であり、遠隔による監視対象の各種装置が設置される。例えば、ビル1は、ビル管理装置30、少なくも1つのコントローラ10、各監視対象装置がネットワークMを介して接続される。このネットワークMには、LAN(Local Area Network)などを採用することができる。なお、ここでは、ビル1を例にして説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、集合住宅、病院、工場などの施設にも適用することができる。
【0014】
ビル1内の各監視対象装置は、例えば空調設備1a、電気設備1b、防災設備1c、防犯設備1d、熱源設備1nなど、ビル1内を安全に運営するための各種設備であり、専門的知識を有する専門のメンテンナンス員等により管理される。なお、空調設備1aは、エアコンや排気等を行う設備である。電気設備1bは、例えばモータ、照明、コンセントなど、ビル1中で実際に電気を利用するための設備である。防災設備1cは、防火シャッター、防火扉、防火ダンパなど、ビル1を災害から守る設備である。防犯設備1dは、防犯カメラや出入口の施錠など、ビル1内への不正侵入などを監視する設備である。熱源設備1nは、電気、ガスなどの資源を使用して、冷暖房や給湯等に使う熱に変換し供給する設備である。
【0015】
なお、これらの各設備は、センサや無線通信を行う無線機などを有しており、センサ値などが異常を検出した場合には、異常内容を含む警報をコントローラ10に送信することができる。もっとも、ここに示した各設備は、ビル1内に設置される一般的な設備を例示したものであり、ビル1内に設置される他の設備も監視対象とすることができる。
【0016】
コントローラ10は、空調設備1a、電気設備1b、防災設備1c、防犯設備1d、熱源設備1nなどの各監視対象装置とネットワークMにより接続され、各監視対象装置とビル管理装置30との間の通信を中継する検出装置の一例である。コントローラ10は、異常が発生した各監視対象装置から警報を受信することで、監視対象装置の異常検出を実行する。なお、コントローラ10には、サーバ、ルータ、ゲートウェイなどの装置を採用することができる。
【0017】
ビル管理装置30は、ビル1全体を管理するコンピュータ装置の一例である。例えば、ビル管理装置30は、警報送信先一覧などを保持し、コントローラ10から警報を受信すると、該当する送信先へ当該警報を送信する。なお、ビル管理装置30は、メール、監視ソフトウェアなど予め指定した手法を用いて、警報を送信することができる。なお、送信手法は、送信先ごとに変更することもでき、警報の重要度ごとに変更することもできる。
【0018】
各中央監視室5は、監視対象装置の警報を発報することで管理者等への警報通知を実行する監視装置50を有し、ビル1を含む複数の遠隔監視を実行する。各中央監視室5や監視装置50は、クラウドコンピューティング等を用いて実現することもできる。監視装置50は、監視員、メンテナンス員などが利用するコンピュータ装置の一例であり、例えばスマートフォン、携帯端末、ノートパソコンなどにより実現される。この監視装置50は、ビル1内で発生した警報に関係する警報情報を、コントローラ10およびビル管理装置30を介して受信し、ディスプレイ等に出力する。
【0019】
〔警報発生時の処理〕
次に、警報発生時の遠隔監視について説明する。上述したように、遠隔監視を行う監視システムは、警報を検出するコントローラ10と、警報発報する監視装置50とが別々の装置であり、さらに複数のネットワークを介して接続される。このような場合、通信遅延により警報のリアルタイム性が問題になる。一般的には、リアルタイム性を担保するために、通知速度の品質を一定に保つネットワークの構成や設定が行われる。
【0020】
しかし、通知速度の品質は、製品スペックで提示されているが、あくまで設計段階の測定値であり、実運用時のものとは異なる可能性がある。また、設備導入時に検査するとしても、環境の変化やネットワーク構成の変化などにより、通信速度の品質が悪化することも考えられる。例えば、新しい機器やサービスを追加することにより、ネットワークの通信量やプロセッサの使用量が増えれば、通知に掛かる時間も増加し、システム導入時と同じ速度を保てているとは限らない。このように、現状の遠隔監視では、実際に構成されるネットワーク環境やシステム環境に影響を受ける通知速度の品質を理論値通りに維持することが難しく、その影響により発生する通知速度の低下などを検出することも難しい。
【0021】
そこで、実施形態1にかかる監視システムは、警報検出時刻と警報発報時刻を記録し、その時刻差分を算出することにより遅延の有無を検出し、遅延の有無や通知品質など遅延状況の見える化を実現する。この結果、実施形態1にかかる監視システムは、警報の健全性を証明し、遅延が認められた場合は原因究明を促すことができるシステムを提供する。
【0022】
ここで、
図2を用いて、
図1の監視システムにおける遅延状況の見える化の具体例を説明する。
図2は、実施形態にかかる警報発生時の処理を説明する図である。
図2に示すように、ビル1内の空調設備1aで異常が発生すると(S1)、空調設備1aから警報がコントローラ10に通知される。コントローラ10は、この警報を検出し、検出した時刻である警報検出時刻を記録し(S2)、警報内容(異常の詳細)と警報検出時刻とを含む警報情報をビル管理装置30に送信する(S3)。そして、ビル管理装置30は、予め定めた送信手法で予め定めた送信先である監視装置50に、コントローラ10から受信した警報情報(警報内容+警報検出時刻)を送信する(S4)。
【0023】
その後、監視装置50は、警報情報(警報内容+警報検出時刻)を受信すると、警報情報を受信した受信時刻である警報発報時刻を記録する(S5)。そして、監視装置50は、警報発報時刻と警報情報に含まれる警報検出時刻との時刻の差分である経過時間を算出する(S6)。その後、監視装置50は、警報情報に含まれる警報内容と、算出された経過時間とをあわせて、ディスプレイ等に表示出力する(S7)。この結果、監視装置50は、監視環境における警報の遅延状況を通知することができる。
【0024】
〔機能構成〕
次に、
図3を用いて、
図1に示した監視システムの各装置の機能構成について説明する。
図3は、実施形態にかかる監視システムの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、ビル1内の監視対象装置は、一般的な設備と同様の機能を有するので、ここでは、コントローラ10、ビル管理装置30、監視装置50について説明する。
【0025】
(コントローラ10の機能構成)
図3に示すように、コントローラ10は、通信部11、記憶部12、制御部13を有する。通信部11は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部11は、監視対象装置から警報を受信し、ビル管理装置30に警報を送信する。
【0026】
記憶部12は、各種データや制御部13が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやハードディスクなどにより実現される。例えば、記憶部12は、監視対象装置の一覧などを記憶する。
【0027】
制御部13は、コントローラ10全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。例えば、制御部13は、異常が発生した監視対象装置から、客室系統給水量の変化量が上限に到達した警報を受信すると、その警報検出時刻「2021/05/22 18:23:46」を記録する。そして、制御部13は、警報が発生した監視対象装置を特定する識別子情報「000.9002.13」と異常の詳細「客室系統給水量、変化量上限警報、1000001(m3)」とを含む警報内容に警報検出時刻を付加した警報情報を、ビル管理装置30に送信する。
【0028】
(ビル管理装置30の機能構成)
図3に示すように、ビル管理装置30は、通信部31、記憶部32、制御部33を有する。通信部31は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部31は、コントローラ10から警報情報を受信し、監視装置50に警報情報を送信する。
【0029】
記憶部32は、各種データや制御部33が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやハードディスクなどにより実現される。例えば、記憶部32は、各監視装置50の宛先情報としてIP(Internet Protocol)アドレスやメールアドレスなどを記憶する。
【0030】
制御部33は、ビル管理装置30全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。例えば、制御部33は、コントローラ10から「警報情報(警報検出時刻(2021/05/22 18:23:46)、警報内容(000.9002.13、客室系統給水量、変化量上限警報、1000001(m3)))」を受信すると、記憶部32に記憶される宛先情報を用いて、受信した「警報情報」を監視装置50に送信する。
【0031】
(監視装置50の機能構成)
図3に示すように、監視装置50は、通信部51、記憶部52、制御部53を有する。通信部51は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部51は、ビル管理装置30から警報情報を受信する。
【0032】
記憶部52は、各種データや制御部53が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやハードディスクなどにより実現される。例えば、記憶部52は、監視対象装置の一覧や、通信先となる装置の宛先情報などを記憶する。
【0033】
制御部53は、監視装置50全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。例えば、制御部53は、受信部53aと出力制御部53bとを有する。
【0034】
受信部53aは、ビル管理装置30からら警報情報を受信する処理部である。上記例で説明すると、受信部53aは、コントローラ10により検出されて警報検出時刻が付与された「警報情報(警報検出時刻(2021/05/22 18:23:46)、警報内容(000.9002.13、客室系統給水量、変化量上限警報、1000001(m3)))」を、ビル管理装置30を介して受信する。
【0035】
出力制御部53bは、受信部53aにより警報情報が受信された場合に、警報発報時刻と警報情報に含まれる警報検出時刻との差分である経過時間を算出し、警報情報に含まれる異常内容とともに経過時間を出力する制御部である。
【0036】
例えば、出力制御部53bは、警報情報を受信すると、警報を受信した時刻である警報発報時刻「2021/05/22 18:29:13」を記録する。そして、出力制御部53bは、警報情報に含まれる警報検出時刻「2021/05/22 18:23:46」を抽出し、警報発報時刻「2021/05/22 18:29:13」と警報検出時刻「2021/05/22 18:23:46」との差分「5.27(sec)」を経過時間として算出する。その後、出力制御部53bは、警報内容と経過時間とをあわせて出力する。
【0037】
図4は、出力画面例を説明する図である。
図4に示すように、出力制御部53bは、受信した警報情報に含まれる「警報内容(000.9002.13、客室系統給水量、変化量上限警報、1000001(m
3))」とともに、経過時間「5.27(sec)」を監視画面に出力する。
【0038】
なお、出力制御部53bは、経過時間が閾値以上である場合は、赤字にするなどの強調表示を行うこともでき、「遅延が発生しています。原因究明と対策を行ってください」などの原因究明を促すメッセージも出力することができる。また、出力制御部53bは、ディスプレイ等の表示部に限らず、メンテナンス員、保守員、作業員等が所持する端末に送信することもできる。
【0039】
〔シーケンス図〕
次に、上述した監視システムにおける警報発生時の処理シーケンスを説明する。
図5は、警報発生時の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5に示すように、コントローラ10は、警報を検出すると(S101:Yes)、警報を検出した時刻である警報検出時刻を警報に記録する(S102)。続いて、コントローラ10は、警報内容と警報検出時刻とを含む警報情報をビル管理装置30に送信する(S103とS104)。
【0040】
そして、ビル管理装置30は、コントローラ10から警報情報(警報内容と警報検出時刻)を受信すると、警報情報を監視装置50に送信する(S105とS106)。
【0041】
その後、監視装置50は、ビル管理装置30から警報情報を受信すると(S107:Yes)、受信時刻である警報発報時刻を警報情報に記録する(S108)。続いて、監視装置50は、警報発報時刻と警報検出時刻との差分である経過時間を算出する(S109)。そして、監視装置50は、警報内容と経過時間とをあわせて出力する(S110)。
【0042】
〔効果〕
上述したように、監視装置50は、警報検出時刻と警報発報時刻との差分である経過時間を算出して、警報内容とあわせて出力することができるので、監視員等に、監視環境における警報の遅延状況を通知することができる。したがって、監視員等は、想定以上の遅延の発生有無を目視することができる。また、監視員等は、目視により遅延状況を監視できるので、遅延発生時の迅速な対応および原因究明に要する時間を短縮することができる。
【0043】
また、監視装置50は、監視対象装置と同じネットワークに接続されるコントローラ10から、ネットワークとは異なる少なくとも1つのネットワークを介して、警報を受信する。監視装置50は、少なくとも1つのネットワークの通信に要した時間として、経過時間を算出し、警報の内容とともに経過時間を出力することができる。この結果、監視装置50は、システムの運用環境が実験環境や理論上とは異なる環境であっても、環境に依存することなく、運用環境の実際の状況を反映させた遅延状況を監視して、通知することができる。
【0044】
また、監視装置50は、監視対象装置が設置されるビル1とは異なる建物に設置される場合であっても、設置場所に依存することなく、建物間に存在する少なくとも1つ以上のネットワークの輻輳や回線状況を考慮して遅延状況を監視して、通知することができる。
【0045】
〔その他の実施形態〕
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0046】
(数値等)
上記実施形態で説明したネットワーク、監視対象装置の種類や数、コントローラ10の数、監視装置50の数、メッセージの例、警報内容、出力画面例等は、あくまで一例であり、任意に変更することができる。また、各シーケンス図で説明した処理の流れも矛盾のない範囲内で適宜変更することができる。
【0047】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。なお、ビル1は、第1の建物の一例である。中央監視室5は、第2の建物の一例である。
【0048】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、コントローラ10とビル管理装置30とを同じコンピュータ(筐体)で実現することもできる。
【0049】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0050】
(ハードウェア構成)
図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。なお、コントローラ10、ビル管理装置30、監視装置50は、同じハードウェア構成を有するので、ここでは、情報処理装置100として説明する。
図6に示すように、情報処理装置100は、通信装置100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、プロセッサ100dを有する。また、
図6に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0051】
通信装置100aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を行う。HDD100bは、
図3に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0052】
プロセッサ100dは、
図3に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100b等から読み出してメモリ100cに展開することで、
図3等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、監視装置50を例にして説明すると、このプロセスは、監視装置50が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ100dは、受信部53aと出力制御部53b等と同様の機能を有するプログラムをHDD100b等から読み出す。そして、プロセッサ100dは、受信部53aと出力制御部53b等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0053】
このように、情報処理装置100は、プログラムを読み出して実行することで各種情報処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、上記実施形態が同様に適用されてもよい。
【0054】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 コントローラ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
30 ビル管理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
50 監視装置
51 通信部
52 記憶部
53 制御部
53a 受信部
53b 出力制御部