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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125871
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/073 20060101AFI20230831BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20230831BHJP
   G06K 19/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G06K19/073 027
G06K19/07 230
G06K19/04 010
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030219
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】淺野 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭輔
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、通信デバイスの位置から情報を読み取ることができる構造体を提供すること。
【解決手段】構造体1は、通信デバイス22が設けられる第1構造体21と、少なくとも一部が電磁波を遮蔽する材料で形成されるか、又は、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽部材42を設けることができ、第1構造体21を内部に挿入可能か、又は、第1構造体21内に挿入可能な第2構造体41と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信デバイスが設けられる第1構造体と、
少なくとも一部が電磁波を遮蔽する材料で形成されるか、又は、前記電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽部材を設けることができ、前記第1構造体を内部に挿入可能か、又は、前記第1構造体内に挿入可能な第2構造体と、
を備える構造体。
【請求項2】
前記第1構造体は、前記第1構造体及び前記第2構造体の一方が他方に挿入されたときに、前記第2構造体又は前記電磁波遮蔽部材により前記電磁波が遮蔽される位置に前記通信デバイスを取り付ける取付部を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1構造体及び前記第2構造体は、筒状に形成される、請求項1又は請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記第1構造体及び前記第2構造体の一方は、他方に挿入される側の先端が、挿入方向に対して傾斜又は湾曲する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項5】
前記第1構造体は、一端に形成され、先端が開口する円錐台形筒状の第1先端部、及び、第1先端部に一体に形成された円筒状の第1胴部を有し、
前記第2構造体は、一端に形成され、先端が開口する円錐台形筒状の第2先端部、及び、前記第2先端部に一体に形成され、前記第1胴部の外径よりも内径が大径に形成された円筒状の第2胴部を有する、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
移動できる移動体に端部が取り付けられる被巻取部材と、
前記移動体を操作することで前記被巻取部材を引出可能、且つ、引き出した前記被巻取部材を巻き取る巻取装置と、
前記第1構造体に設けられた前記通信デバイスと、
前記第1構造体を前記被巻取部材の所定の位置に取り付ける取付具と、
前記第2構造体に設けられた前記電磁波遮蔽部材と、
を備え、
前記第2構造体は、前記被巻取部材が移動可能に挿通されるとともに、前記巻取装置及び前記第1構造体の間に設けられ、
前記巻取装置により前記被巻取部材が巻き取られたときに、前記第1構造体が前記第2構造体に挿入され、前記通信デバイスが前記電磁波遮蔽部材により少なくとも前記電磁波の放射方向が遮蔽され、
前記巻取装置から前記被巻取部材が引き出されたときに、前記第1構造体が前記第2構造体から離れる、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記巻取装置により前記被巻取部材を巻き取ったときに、前記通信デバイスが前記電磁波遮蔽部材により遮蔽される位置で、前記第1構造体及び前記第2構造体の相対移動を規制する規制部を有する、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記取付具は、前記第1構造体の先端の外部及び内部と隣接して前記被巻取部材に固定され、前記第1構造体の先端に当接可能な二つの固定片である、請求項6又は請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
前記第1構造体及び前記第2構造体は、前記電磁波を透過する樹脂材料により形成され、
前記通信デバイスは、前記第1構造体の内周面に取り付けられ、
前記電磁波遮蔽部材は、前記第2構造体の外周面に取り付けられる、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、通信デバイスを設ける構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、RFIDタグ等の通信デバイスを商品管理に用いる技術が知られている。例えば、ホームセンター、デパート、スーパーマーケット、家電量販店等の店舗の商品売場では、見本又は商品そのものを展示して、商品の使い易さ、使い心地等を顧客に試してもらうことが行われている。しかしながら、管理者が、商品を効率的に管理するためには、顧客の商品への関心度を把握することが重要である。このため、顧客が興味を持ち見本又は商品を一時的に商品棚から手に取り試したり、見定めたりするといった行動である、商品に対する顧客の関心度情報を把握したいという要望がある。
【0003】
このような商品に対する顧客の関心度情報を得る技術として、RFIDタグを用いたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムは、商品を陳列する什器にRFIDタグを読み取るRFIDリーダのアンテナを配置し、棚に置かれた商品に取り付けられたRFIDタグを読み取る。そして、システムは、商品が手に取られたときにアンテナの通信可能範囲からRFIDタグが外れることにより、RFIDリーダによるRFIDタグの読み取りが行われなくなることを利用して、特定の商品が手に取られたこと及び又は戻されたといった、商品に対する顧客の関心度情報を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-115152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では、複数のRFIDリーダのアンテナが配置される構成のため、商品に取り付けたRFIDタグが、読み取り対象の商品に取り付けたRFIDタグと異なる商品に取り付けたRFIDタグを読み取る虞がある。このため、RFIDタグを読み取るアンテナに隣接するアンテナが、読み取り対象でないRFIDタグに干渉しないよう、隣り合うアンテナ間に仕切りが必要となる等、見本や商品を陳列する什器の構造が複雑化してしまうという問題がある。このため、簡単な構成で、通信デバイスの位置から情報を読み取ることができる技術が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構成で、通信デバイスの位置から情報を読み取ることができる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る構造体は、通信デバイスが設けられる第1構造体と、少なくとも一部が電磁波を遮蔽する材料で形成されるか、又は、前記電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽部材を設けることができ、前記第1構造体を内部に挿入可能か、又は、前記第1構造体内に挿入可能な第2構造体と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、簡単な構成で、通信デバイスの位置から情報を読み取ることができる構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る構造体の構成及び使用の一例を模式的に示す説明図。
図2】同構造体の構成であって、構造体が設けられる商品が移動している状態を模式的に示す斜視図。
図3】同構造体の通信用構造体及び遮蔽用構造体の構成を、通信用構造体及び遮蔽用構造体が離間した状態で一部省略して示す斜視図。
図4】同構造体の通信用構造体及び遮蔽用構造体の構成を、通信用構造体が遮蔽用構造体に挿入した状態で示す斜視図。
図5】本発明の他の実施形態に係る構造体の構成及び使用の一例を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る構造体1の構成及び構造体1の使用の一例として、構造体1を商品200及び什器300に取り付けて、無線通信装置100で構造体1の通信デバイス22を読み取る使用の一例を模式的に示す説明図である。図2は、構造体1の構成を示す斜視図である。図3は、構造体1の通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の構成を、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が離間した状態で、一部切欠させて模式的に示す斜視図である。図4は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の構成を、通信用構造体11が遮蔽用構造体12に挿入された状態で示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る構造体1は、無線通信装置100との間で無線を送受信する通信デバイス22を有する通信用構造体11及び電磁波を遮蔽する遮蔽用構造体12の一方を、移動可能な移動体200に設け、移動体200の位置によって変わる通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の相対位置により、通信用構造体11の遮蔽用構造体12による遮蔽状態を変える。例えば、図3に示すように、構造体1は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が離間することで、無線通信装置100及び通信デバイス22の間の電磁波の送受信を可能とする。例えば、図4に示すように、構造体1は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が重なることで、通信用構造体11を遮蔽用構造体12で遮蔽し、無線通信装置100及び通信デバイス22の間の電磁波の送受信を不能とする。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の例において、構造体1は、ホームセンター、デパート、スーパーマーケット、家電量販店等の店舗の商品売場における店頭の什器300に陳列される見本や商品等の顧客動向データの収集に用いられる。具体例として、什器300に陳列され、顧客が手に取る見本や商品等の移動体200の移動に追従して移動する通信デバイス22の移動状況を顧客動向データとして、通信デバイス22から情報を無線通信装置100で取得する。
【0013】
また、本実施形態において、無線通信装置100は、例えば、RFID読取装置であり、通信デバイス22は、例えば、RFIDタグである。また、移動体200を商品200として、実施形態を説明する。
【0014】
図1乃至図4に示すように、構造体1は、通信用構造体11と、遮蔽用構造体12と、被巻取部材13と、巻取装置14と、取付具15と、固定具16と、を備える。図2に示すように、什器300に複数の商品が陳列される場合には、構造体1は、複数の商品200のそれぞれに設けられる。
【0015】
構造体1は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の一方で他方を覆うことで、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12を少なくとも部分的に重ねて、通信用構造体11を遮蔽用構造体12で遮蔽する。本実施形態において、構造体1は、図4に示すように、通信用構造体11が遮蔽用構造体12に挿入され、通信用構造体11が内側に、遮蔽用構造体12が外側になるように配置されることで、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が重なり、通信用構造体11が遮蔽用構造体12で遮蔽される例を用いて説明する。
【0016】
図2乃至図4に示すように、通信用構造体11は、第1構造体21と、通信デバイス22と、を備える。通信用構造体11は、例えば、第1構造体21の全体か、又は、少なくとも第1構造体21の通信デバイス22が設けられる領域が遮蔽用構造体12に挿入される。
【0017】
第1構造体21は、遮蔽用構造体12に挿入可能な形状に形成される。第1構造体21は、通信デバイス22を取り付ける取付部21aを有する。例えば、第1構造体21は、内面が通信デバイス22を取り付ける取付部21aを構成する中空状又は筒状に形成される。取付部21aは、第1構造体21が遮蔽用構造体12の後述する第1構造体21に挿入されたときに、取り付けた通信デバイス22が遮蔽用構造体12の後述する電磁波遮蔽部材42により電磁波が遮蔽される第1構造体21の位置に形成される。
【0018】
第1構造体21は、例えば、一方向に長い筒状に形成される。第1構造体21の長手方向は、例えば、通信用構造体11を遮蔽用構造体12へ挿入する挿入方向に沿う。また、第1構造体21は、第2構造体41に挿入される側の先端の外形状が最も小さくなるように、第2構造体41への挿入方向に対して先端側が傾斜又は湾曲する。
【0019】
具体例として、第1構造体21は、円筒状に形成される第1胴部31と、先端が第1胴部31よりも小径となるように、第1構造体21の長手方向に対して傾斜する円錐台形筒状に形成される第1先端部32と、を有する。第1構造体21の少なくとも第1胴部31は、電磁波を透過する樹脂材料で成形される。例えば、第1構造体21は、電磁波を透過する樹脂材料で射出成形等により、第1胴部31及び第1先端部32を一体成形することで形成される。例えば、第1構造体21の樹脂材料の一例としては、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)及びポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)等が挙げられるが、他の樹脂材料であってもよい。
【0020】
第1胴部31の一端は、第1先端部32と一体に形成され、第1胴部31の他端は、開口する。第1胴部31は、例えば、外径が同一径に形成される。なお、第1胴部31は、第1先端部32側が後端よりも小径に形成され、第1先端部32側から後端側に向かって外径が漸次増大する形状であってもよい。
【0021】
例えば、第1胴部31の内周面の一部は、通信デバイス22が取り付けられる取付部21aを構成する。第1胴部31の内周面の一部は、第1胴部31の内周面の他の部位よりも内径が小径となる形状や、部分的に窪むことで、通信デバイス22の配置を案内する取付部21aを構成してもよい。
【0022】
第1先端部32は、第1胴部31とは反対側の端部の外径が最も小径に形成される。第1先端部32の先端は、開口する。第1先端部32の先端の開口は、被巻取部材13を挿通可能に形成される。
【0023】
通信デバイス22は、例えば、整合回路を含むタグアンテナと、ICチップと、を備えるRFIDタグである。通信デバイス22の電波方式は一般的なものであり、記録されている情報を無線通信装置100が読み取ることのできるものであれば、その形式は問わず、周波数帯は433MHz、900MHz帯、2.45GHzのいずれのものを使用してもよい。通信デバイス22は、アクティブタグであってもよく、また、パッシブタグであってもよい。通信デバイス22がアクティブタグである場合には、通信デバイス22は、電池や電力供給回路等を有する構成であってもよく、また、環境発電を行うタグであってもよい。例えば、環境発電型無線タグとしては、IoTセンシング・ラベル「Wiliot IoT ピクセル」(Wiliot社製)が挙げられる。なお、通信デバイス22及び無線通信装置100に用いられる無線通信技術は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energy(登録商標)であってもよい。
【0024】
通信デバイス22は、第1構造体21の取付部21aに固定される。通信デバイス22を取付部21aに固定する方法としては、接着剤を用いた接着や、両面テープを用いた貼付等が挙げられるが、他の方法を用いても良い。通信デバイス22は、例えば、第1胴部31の内周面に沿って湾曲させて取付部21aに固定される。また、通信デバイス22は、湾曲することでタグアンテナの一部が重ならないように、第1胴部31の取付部21aに取り付けられる。
【0025】
なお、通信デバイス22のタグアンテナが重ならないようにするために、第1胴部31の取付部21aは、通信デバイス22のタグアンテナを重ならないように配置できる領域を有する形状に形成される。例えば、第1胴部31の内径が、通信デバイス22を取り付けたときにタグアンテナが重ならない内径に設定される。換言すると、第1胴部31の内径は、通信デバイス22の形状や大きさにより適宜設定される。このように通信デバイス22は、タグアンテナが重ならない姿勢又は配置で取付部21aに取り付けられる。また、第1胴部31のタグアンテナが重ならない内径とは、通信デバイス22のタグアンテナが折れたり損傷したりしない程度の内径であることを含む。
【0026】
遮蔽用構造体12は、通信用構造体11を挿入可能、且つ、挿入された通信用構造体11の通信デバイス22及び無線通信装置100の間で行う無線通信のための電磁波を遮蔽可能に形成される。例えば、遮蔽用構造体12は、通信用構造体11が内部空間にきっちりと収まるように、内部空間が通信用構造体11の外形状と同形状又は略同形状であって、且つ、若干大きい形状が望ましい。遮蔽用構造体12は、例えば、什器300又は巻取装置14に固定される。遮蔽用構造体12は、例えば、第2構造体41と、電磁波遮蔽部材42と、を備える。遮蔽用構造体12は、例えば、什器300に固定される。
【0027】
第2構造体41は、内部に第1構造体21を挿入可能な形状に形成される。第2構造体41は、電磁波遮蔽部材42を取り付ける取付部41aを有する。例えば、第2構造体41は、外面が電磁波遮蔽部材42を取り付ける取付部41aを構成するとともに、内部に第1構造体21を挿入可能な筒状に形成される。
【0028】
第2構造体41は、例えば、一方向に長い筒状に形成される。第2構造体41の長手方向は、例えば、通信用構造体11を内部へ挿入する挿入方向に沿う。具体例として、第2構造体41の内部形状は、第1構造体21の外形状と同様の形状であって、且つ、第1構造体21の外形状よりも大きい形状に形成される。第2構造体41は、円筒状に形成される第2胴部51と、先端が第2胴部51よりも小径となるように、第2構造体41の長手方向に対して傾斜する円錐台形筒状に形成される第2先端部52と、を有する。
【0029】
第2構造体41は、電磁波を透過する樹脂材料で成形される。例えば、第2構造体41は、電磁波を透過する樹脂材料で射出成形等により、第1胴部31及び第1先端部32を一体成形することで形成される。例えば、第2構造体41の樹脂材料の一例としては、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)及びポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)等が挙げられるが、他の樹脂材料であってもよい。
【0030】
なお、遮蔽用構造体12は、電磁波遮蔽部材42を有さず、電磁波を透過させない電磁波シールド性を有する材料、例えば、アルミニウム材料等の金属材料や電磁波シールド性を有する樹脂材料により第2構造体41を形成する構成としてもよい。
【0031】
第2胴部51及び第2先端部52は、例えば、一体に成形される。第2胴部51の一端は、第2先端部52と一体に形成され、第2胴部51の他端は開口する。第2胴部51は、例えば、外径が同一径に形成される。なお、第2胴部51は、第2先端部52側が後端よりも小径に形成され、第2先端部52側から後端側に向かって外径が漸次増大する形状であってもよい。また、第2胴部51は、例えば、内径が同一径に形成される。第2胴部51の内径は、第1構造体21を挿入可能に、第1構造体21の第1胴部31の外径及び第1先端部32の外径よりも大径に形成される。例えば、第2胴部51の長手方向の長さは、内部に取付具15で被巻取部材13に取り付けられた第1構造体21を収容可能な長さに形成される。
【0032】
第2胴部51の外周面の一部は、取付部41aを構成する。第2胴部51の外周面の一部は、第2胴部51の外周面の他の部位よりも外径が小径となる形状とすることで、電磁波遮蔽部材42の配置を案内する取付部41aを構成してもよい。
【0033】
第2先端部52は、第2胴部51とは反対側の端部の外径が最も小径に形成される。第2先端部52の先端は、開口する。第2先端部52の先端の開口は、被巻取部材13を挿通可能に形成される。
【0034】
電磁波遮蔽部材42は、第2構造体41の外面に設けられ、電磁波を遮蔽可能に形成される。電磁波遮蔽部材42は、例えば、電磁波を遮蔽可能な金属シート、例えばアルミシートである。電磁波遮蔽部材42は、例えば、周方向において第2構造体41の全周に渡って設けられる。また、電磁波遮蔽部材42は、例えば、軸方向において、第2構造体41の外周面のうち、少なくとも、第2構造体41に挿入された第1構造体21に取り付けられた通信デバイス22が径方向で対向する範囲に設けられる。
【0035】
電磁波遮蔽部材42は、第2構造体41の取付部41aに、接着剤等により接着されていてもよく、また、両面テープ等によって貼付されていてもよい。また、電磁波遮蔽部材42は、アルミシートに粘着層を設ける構成としてもよく、他の金属箔や金属インキを用いる構成としてもよい。また、電磁波遮蔽部材42は、第2構造体41の成形時にインサート成形することで、第2構造体41と一体とする構成であってもよい。また、電磁波遮蔽部材42は、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)及び粘着剤をこの順に積層したものでもよい。
【0036】
被巻取部材13は、糸状、紐状、ワイヤ状、チェーン状、帯状等の一方向に長く、且つ、線径、太さ又は最大幅が小さい、可撓性を有するか又は形状が変化する変形性を有する部材である。被巻取部材13は、例えば、天然繊維、樹脂材料又は金属材料等で形成される。被巻取部材13は、例えば、紐である。被巻取部材13は、第2構造体41に挿通され、第2構造体41に対して移動可能に構成されるとともに、取付具15により所定の位置に第1構造体21が取り付けられる。被巻取部材13は、想定される商品200の移動範囲内において商品200を移動可能な長さに設定される。被巻取部材13は、一端が巻取装置14に固定され、他端が商品200に固定される。被巻取部材13の他端には、例えば、商品200に接続するための接続具13a等が設けられる。なお、接続具13aは、商品200が売り物の場合、その商品200が売り物として不具合が無いような固定方法をとってもよい。
【0037】
巻取装置14は、被巻取部材13を巻き取り可能、且つ、巻き取った被巻取部材13を引出可能に形成される。巻取装置14は、例えば、ケース内に、被巻取部材13を巻き付けるリールと、リールを巻き取り方向に常時付勢する付勢部材と、を備える。巻取装置14は、被巻取部材13が引き出される方向に引っ張られることで、付勢部材の付勢に抗ってリールが回転して、被巻取部材13が引出可能に形成される。また、巻取装置14は、被巻取部材13の引き出し方向の力が解除されると、付勢部材の付勢力によってリールが巻き取り方向に回転することで、リールに被巻取部材13を巻き取る。
【0038】
取付具15は、被巻取部材13の所定の位置において、第1構造体21が被巻取部材13の巻取装置14に固定される一端側への移動を少なくとも規制する。取付具15は、被巻取部材13のうち、被巻取部材13に配置された第2構造体41と商品200が固定される端部との間に設けられることで、被巻取部材13の第2構造体41及び商品200が固定される端部との間に、第1構造体21を配置する。
【0039】
具体例として、取付具15は、被巻取部材13の二箇所に固定される二つの固定片15a、15aを備える。取付具15の二つの固定片15a、15aは、第1構造体21の第1先端部32の先端の開口に第1先端部32の外側及び内側で隣接して、被巻取部材13に固定される。
【0040】
取付具15は、第1先端部32の先端の外側及び内側に設けられる二つの固定片15aによって、第1構造体21が被巻取部材13に沿って移動することを規制する。これにより、取付具15は、被巻取部材13が引き出されたとき、及び、被巻取部材13が巻き取られたときの被巻取部材13の移動時に、第1構造体21の第1先端部32と当接することで、被巻取部材13の移動に追従させて、第1構造体21を移動させる。
【0041】
また、取付具15は、例えば、被巻取部材13が巻き取られたときに、第1構造体21の外側に設けられた一方の固定片15aが第2構造体41又は巻取装置14のケースに当接することで、第2構造体41に対する第1構造体21の位置を規定するとともに、第2構造体41に対する第1構造体21の移動を規制する規制部を構成する。即ち、取付具15の一方の固定片15aが第2構造体41又は巻取装置14に当接することで、通信デバイス22が電磁波遮蔽部材42により遮蔽される位置で第1構造体21及び第2構造体41の相対移動を規制する。なお、この規制部は、固定片15aでなく、第1構造体21及び第2構造体41の少なくとも一方に形成されたフランジやリブ等によって構成してもよい。
【0042】
例えば、取付具15は、被巻取部材13に着脱可能に形成され、第1構造体21の被巻取部材13への取り付け位置を調整可能に形成される。固定片15aは、例えば、円板状の着脱可能な二つのボタン15b、15bによって構成される。固定片15aは、第1構造体21の第1先端部32に形成される開口よりも大きな形状に形成され、第1先端部32に当接可能に形成される。なお、固定片15aは、円板状に限定されず、ボール状、キューブ状等の種々の形状を適用できる。但し、安定して第1先端部32の表面に当接可能に、固定片15aの第1先端部32に当接する面は曲面状であることが好ましい。また、固定片15a、15aは、被巻取部材13に接着や溶着により固定される構成であってもよい。また、例えば、構造体1は、取付具15を有さず、第1構造体21が被巻取部材13に直接接着することで固定される構成や、第1構造体21に凹凸や切り込みを設け、この凹凸や切り込みに被巻取部材13を引き掛ける構成であってもよい。
【0043】
固定具16は、巻取装置14を什器300に固定する。ここで、固定具16による巻取装置14の什器300への固定とは、什器300に対して巻取装置14が移動しないように固定すること、及び、什器300から巻取装置14が完全に離れないように、巻取装置14を什器300に対して所定の範囲で移動可能に什器300及び巻取装置14を接続することを含む。
【0044】
即ち、固定具16は、被巻取部材13が引き出されたときに、巻取装置14が商品200に追従して什器300から離れることを防止する。具体例として、固定具16は、一端が巻取装置14に固定され、他端が什器300に固定された、巻取装置14及び什器300を接続するワイヤ等であり、巻取装置14を什器300から所定の範囲でのみ移動可能とする。
通信側の構成をもう少し詳しく追記する。
【0045】
無線通信装置100は、例えば、RFIDリーダライタ又はRFIDリーダである。無線通信装置100は、アンテナを有し、このアンテナを制御し、通信デバイス22とデータの無線通信を行うために、電波をアンテナから放射する。無線通信装置100は、このようにアンテナから電磁波を放射して通信デバイス22でデータを復調し、アンテナの負荷を変化させることで通信デバイス22から返送された応答波を、アンテナを介して受信する。これにより、無線通信装置100は、通信デバイス22のデータを読み取る。無線通信装置100は、例えば、有線又は無線等によりプロセッサやメモリ等を有する処理端末110に通信可能に接続され、読み取ったデータを処理端末に出力する。
【0046】
処理端末110は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォン、携帯端末)等が挙げられるが、これらに限定されず、専用の機器であってもよい。処理端末110は、例えば、管理サーバである。
【0047】
このような処理端末110は、図1に例示するように、通信部111、入力部112、表示部113、メモリ114及びプロセッサ115を備える。
【0048】
通信部111は、プロセッサ115により制御され、例えば、無線通信装置100と無線又は有線で通信可能な任意の通信インターフェースである。具体的には、通信部111は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて無線通信装置100に接続できる。また、通信部111は、無線通信に加え、又は、無線通信に変えて、USBなどの有線通信技術を用いて、無線通信装置100に接続できる構成であってもよい。
【0049】
入力部112は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、処理端末110に内蔵されてもよいし、処理端末110に外付けされてもよい。入力部112は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ここで、ユーザ入力とは、例えば、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下、マイクロフォンによって捉えられる音声等を含む。
【0050】
表示部113は、プロセッサ115の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部113は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部113は表示手段の一例である。
【0051】
メモリ114は、記憶媒体又は記憶領域である。メモリ114は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、ROM(Read only memory)、RAM(Random Access Memory)又はNAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。また、メモリ114は、例えば、フラッシュメモリを搭載したSSD(Solid State Drive)を含む。
【0052】
メモリ114は、プロセッサ115が各処理を実現するために当該プロセッサ115によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ115によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ114は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。また、メモリ114は、データベースを構築し、無線通信装置100から受信した通信デバイス22の固有ID、商品情報、通信状態、通信開始時間、通信遮断時間、通信回数等の情報を記憶する。
【0053】
プロセッサ115は、典型的にはCPUであるが、マイコン、FPGA、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)またはその他の汎用または専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ115は、通信部111を介して無線通信装置100との間で通信を行い、通信デバイス22から無線通信装置100が取得した情報を管理する処理を実行する。プロセッサ115は、メモリ114に保存されたプログラムを実行することで、通信制御部115a及び処理部115bとして処理端末110を機能し得る。なお、プロセッサ115内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0054】
通信制御部115aは、通信部111を制御して、無線通信装置100との通信を行う。例えば、通信制御部115aは、アドバタイズパケットを送信した無線通信装置100に接続要求を送信する。また、通信制御部115aは、通信部111を介して、通信デバイス22との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、通信デバイス22にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部115aは、処理端末110と無線通信装置100との接続を確立するための何らかのデータ、例えば無線通信装置100及び処理端末110がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての無線通信装置100からのリクエストを受信することもあり得る。
【0055】
処理部115bは、無線通信装置100から受信した通信デバイス22の固有ID、商品情報、通信状態、通信開始時間、通信遮断時間、通信回数等の情報の管理、パラメータ閲覧・変更、プログラム更新等の情報処理を実行する。
【0056】
処理部115bは、例えば、無線通信装置100から受信した通信デバイス22の各種情報を受信すると、当該受信した内容の一部を表示部113に表示させる。処理部115bは、通信デバイス22とリーダが通信を開始した時間と通信が遮断された時間より通信時間を求める処理を行う。また、処理部115bは、通信時間の長さや通信回数を判定することで、商品200に対する顧客の興味の高さを推定する処理を行う。
【0057】
商品200は、例えば、図2に示すように、什器300状に複数配列される。各商品200には、構造体1が取り付けられる。商品200は、例えば、什器300上に固定されたホルダに保持され、設置位置が規定される。
【0058】
什器300は、陳列棚である。什器300は、例えば、天板上に陳列する商品200のホルダ、遮蔽用構造体12及び巻取装置14が固定される。
【0059】
このように構成された構造体1によれば、通信用構造体11は、遮蔽用構造体12に挿入させる構成とし、遮蔽用構造体12に挿入したときに、通信用構造体11の通信デバイス22を通信不能とする簡単な構成で、通信デバイス22の通信の可否を切り替えることができる。
【0060】
具体的に説明すると、構造体1は、通信デバイス22が設けられた通信用構造体11及び電磁波シールド性を有する遮蔽用構造体12を重ねて、通信デバイス22及び無線通信装置100との間を遮蔽する。また、例えば、商品200の移動によって、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12を離間させることで、通信デバイス22及び無線通信装置100との間の通信を可能とする。よって、このような通信デバイス22及び無線通信装置100との通信状態のON/OFFの切り替えは、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の挿抜によって通信用構造体11の位置が変わることで行うことができる。このように、構造体1は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の配置を変える簡単な構成によって、通信デバイス22及び無線通信装置100との通信の可否を切り替えることができる。即ち、無線通信装置100は、通信デバイス22からの信号の受信状態から、通信用構造体11の遮蔽用構造体12に対する位置の情報を受信することができる。
【0061】
また、通信用構造体11が遮蔽用構造体12に挿入されたときに通信デバイス22を通信不能とし、商品200を移動させたときに通信用構造体11が遮蔽用構造体12から抜けると、直ぐに通信デバイス22が通信可能となる。通信デバイス22及び無線通信装置100が電磁波の送受信ができるようになると、商品200が移動した情報として、通信デバイス22の情報を無線通信装置100が検出できる。よって、無線通信装置100は、商品200の移動の検出を効果的、且つ、応答性よく得ることができる。また、構造体1は、顧客が商品200を手に取ったとき、通信デバイス22から無線通信装置100が情報を受信する構成である。このため、商品200が顧客の手に取られていない非常に長い時間、無線通信装置100が通信デバイス22から固有情報を受信し続ける必要もなくなり、通信に要するデータを抑制する効果もある。このように、構造体1は、簡易、且つ、高精度に無線通信装置100で通信デバイス22の情報を取得させることができる。
【0062】
また、構造体1は、巻取装置14により巻き取る被巻取部材13を商品200に接続し、この被巻取部材13の所定の位置に取付具15を介して通信用構造体11を取り付けるとともに、遮蔽用構造体12に対して被巻取部材13を移動可能とした。これにより、商品200を移動させることで、巻取装置14から被巻取部材13が引き出されると、この被巻取部材13の引き出しに追従して通信用構造体11が移動する。これにより、商品200を顧客が手に取る操作によって、通信用構造体11が遮蔽用構造体12から抜き出される。
【0063】
また、商品200を什器300のホルダに戻すと、巻取装置14が被巻取部材13を巻き取り、この被巻取部材13の巻き取りに追従して通信用構造体11が移動する。これにより、商品200を顧客がホルダ等の所定の位置に戻す操作によって、通信用構造体11が遮蔽用構造体12に挿入される。そして、取付具15等の規制部によって、通信用構造体11の通信デバイス22が遮蔽用構造体12によって遮蔽される位置に、位置合わせされ、通信デバイス22が無線通信装置100と通信できなくなる。
【0064】
これらのように、構造体1は、顧客が特段の操作を行うことなく、商品200を手にする行動だけで、通信デバイス22が通信可否を切り替えることができることから、通信デバイス22の通信可否の切り替えに顧客を煩わせることがない。
【0065】
また、通信用構造体11は、遮蔽用構造体12の第2構造体41の第2先端部52の開口に挿通された被巻取部材13に追従して移動する。よって、通信用構造体11は、遮蔽用構造体12内に案内されることから、通信用構造体11を遮蔽用構造体12内に容易に挿入できる。
【0066】
加えて、通信用構造体11の第1構造体21の第1先端部32を、先端が小さい円錐台形の筒状とすることで、第1先端部32の外周面は、挿入方向(移動方向)に対して傾斜面となり、遮蔽用構造体12内への挿入が案内される。よって、通信用構造体11は、遮蔽用構造体12内にスムースに挿入することができる。
【0067】
また、構造体1は、被巻取部材13を巻取装置14で巻き取る構成であり、遮蔽用構造体12及び巻取装置14が什器300に固定されるため、什器300から手に取られた商品200が所定位置以外の場所に戻されることを防止することができる。また、このように、構造体1は、一部の構成を商品200に固定し、そして、他の一部の構成を什器300に固定することで、上記機能を発揮できることから、什器300側を改造することを要さず、簡単な構成で、顧客が商品200を手に取った行動の情報を収集することができる。
【0068】
上述したように、本発明の実施形態に係る構造体1によれば、通信用構造体11を遮蔽用構造体12に挿抜した位置によって、通信デバイス22及び無線通信装置100の通信状態を切り替えることができるため、簡単な構成で、通信デバイス22の位置から情報を読み取ることができる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した例では、第1構造体21及び第2構造体41は、円筒状の胴部31、51を有する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、第1構造体21及び第2構造体41は、ドーム状、多角筒状、箱状、
袋状及び板状等の種々の形状とすることができる。また、上述した例では、第1構造体21の第1先端部32が円錐台形の筒状の例を説明したが、ドーム状等であってもよい。即ち、第1構造体21が、外側となる遮蔽用構造体12に挿入するときに、第1構造体21の挿入を案内可能な形状であれば適宜設定可能である。
【0070】
なお、上述した例では、電磁波遮蔽部材42は、例えば、周方向において第2構造体41の全周に渡って設けられる構成を説明したが、第1構造体21及び第2構造体41をドーム状、多角筒状等の種々の形状で、通信デバイス22の位置が一意に制御できる場合は、電磁波を遮蔽できる部分にのみ電磁波遮蔽部材42を設けることもできる。
【0071】
また、上述した例では、第1構造体21の内周面に通信デバイス22を取り付ける例を説明したがこれに限定されない。例えば、通信デバイス22は、第1構造体21の外周面に設けられる構成であってもよい。但し、通信デバイス22が第1構造体21の第1胴部31の外周面から径方向に突出すると、遮蔽用構造体12に第1構造体21が挿入されるときに、通信デバイス22が遮蔽用構造体12の第2構造体41の後端面に接触すると、第1構造体21の第2構造体41への挿入を阻害する虞がある。このため、通信デバイス22の外面が第1胴部31の外周面と面一となるか、又は、第1胴部31の外周面よりも中心側に位置するように、第1構造体21の取付部21aは、第1構造体21(第1胴部31)の外周面から通信デバイス22の厚さだけ窪む凹部(溝)により形成されることが好ましい。
【0072】
また、上述した例では、構造体1は、内側を通信用構造体11とし、外側を遮蔽用構造体12として、遮蔽用構造体12に通信用構造体11が挿入される例を説明したがこれに限定されない。例えば、無線通信装置100の配置等によって、構造体1は、外側を通信用構造体11とし、内側を遮蔽用構造体12としてもよい。
【0073】
また、上述した例では、構造体1は、被巻取部材13を商品200に取り付けることで、商品200の移動に伴って移動する被巻取部材13により通信用構造体11を遮蔽用構造体12に対して移動させる構成を説明したが、これに限定されない。例えば、通信用構造体11の一方を商品200に配置し、そして、遮蔽用構造体12を什器300や商品200を保持するホルダに配置し、商品200を移動させることで通信用構造体11が移動し、遮蔽用構造体12に挿抜される構成としてもよい。また、上述した構造体1は、商品(移動体)200を保持するホルダの一部に通信用構造体11及び遮蔽用構造体12を設ける構成としてもよい。このような構成とする場合には、構造体1は、例えば、移動体200の下端に、ホルダの一部を構成するドーム状や板状等の通信用構造体11又は遮蔽用構造体12を設け、ホルダの移動体200が載置される部位に、板状や箱状等の遮蔽用構造体12又は通信用構造体11を設ける構成としてもよい。
【0074】
即ち、構造体1は、移動体200の移動に追従して通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の一方が他方に対して移動し、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が重なり、そして離間することで、通信デバイス22及び通信デバイス22と無線通信する無線通信装置100(又は処理端末110の通信部111)との間を遮蔽用構造体12により遮蔽及び遮蔽の解除を行える構成とすれば、種々の形態に適用できる。
【0075】
また、上述した例では、通信デバイス22は、環境発電型無線タグである例や無線通信がBluetooth(登録商標)である例を挙げた。このような構成とする場合は、通信デバイス22を無線通信装置100ではなく処理端末110の通信部111と直接通信可能とし、処理端末110のアプリケーションプログラムを介して通信デバイス22から情報を取得する構成としてもよい。
【0076】
また、上述した例では、通信用構造体11は、巻取装置14の付勢部材の付勢力によって被巻取部材13が巻き取られることで、自動的に遮蔽用構造体12に挿入される構成される例を説明したがこれに限定されない。例えば、構造体1は、巻取装置14を有さない構成としてもよい。例えば、通信用構造体11と遮蔽用構造体12とを相対的に移動させる付勢力を、直接的に、又は、被巻取部材13等の部材をもって間接的に通信用構造体11及び遮蔽用構造体12の少なくとも一方に付与できれば、構造体1は、巻取装置14を有さずに、バネ、ゴム、樹脂や金属の弾性変形力等による付勢部材を有する構成としてもよい。また、構造体1は、巻取装置14及び付勢部材を有さずに、移動体200を所定の位置に配置できる構成とし、移動体200を所定の位置に配置することで、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が重なり、通信デバイス22及び無線通信装置100の無線通信を不能とし、所定の位置から移動体200を移動させることで、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12が離れ、通信デバイス22及び無線通信装置100の無線通信を可能とする構成としてもよい。
【0077】
また、上述した例では、構造体1は、第1構造体21及び通信デバイス22を有する通信用構造体11と、電磁波シールド性を有する第2構造体41とするか、又は、第2構造体41及び電磁波遮蔽部材42を有する遮蔽用構造体12と、を備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、構造体1は、通信用構造体11の第1構造体21及び遮蔽用構造体12の第2構造体41の一方を有さないか、又は、第1構造体21及び第2構造体41の一方を他の部材によって構成してもよい。構造体1は、例えば、第1構造体21を有さずに、移動体200に通信デバイス22を設ける構成としてもよく、また、例えば、第2構造体41を有さずに、ホルダや什器300に電磁波遮蔽部材42を設けるか、又は、電磁波シールド性を持たせても良い。
【0078】
また、上述した各実施形態は、適宜組み合わせて実施しても良い。例えば、図5に他の実施形態に係る構造体1の例を示す。図5に示すように、構造体1は、通信用構造体11及び遮蔽用構造体12を有する。構造体1は、例えば、被巻取部材13、巻取装置14及び付勢部材を有さない。通信用構造体11は、第1構造体21を移動体(商品)200が構成し、通信デバイス22が移動体200に設けられる。遮蔽用構造体12は、板状に形成され、電磁波シールド性を有する第2構造体41を有するか、又は、板状の第2構造体41に電磁波遮蔽部材42が一体に形成される。例えば、遮蔽用構造体12は、什器300の一部か、又は、移動体200を載置するホルダを構成する。また、無線通信装置100は、遮蔽用構造体12により通信デバイス22が遮蔽されたときに、通信デバイス22と無線通信が不能となる位置に配置される。
【0079】
このように構成された構造体1は、図5の右図に示すように、移動体200が遮蔽用構造体12である第2構造体41上に載置されている状態においては、通信デバイス22が第2構造体41(又は電磁波遮蔽部材42)に遮蔽されることで、通信デバイス22及び無線通信装置100の間における無線通信が不能となる。また、図5の左図に示すように、移動体200が第2構造体41から移動すると、通信デバイス22が第2構造体41により遮蔽されない状態となることから、通信デバイス22及び無線通信装置100の間における無線通信が可能となる。なお、このような構造体1において、他の例としては、ワイヤや紐等の部材により移動体200及び第2構造体41を接続し、移動体200の移動できる範囲を規定する構成としてもよく、付勢部材や巻取装置14を設ける構成としてもよい。また、第2構造体41は、移動体200の底面形状に沿った形状とし、移動体200を所定の姿勢で保持できる構成としてもよい。
【0080】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0081】
1…構造体、11…通信用構造体、12…遮蔽用構造体、13…被巻取部材、13a…接続具、14…巻取装置、15…取付具、15a…固定片、15b…ボタン、16…固定具、21…第1構造体、21a…取付部、22…通信デバイス(RFIDタグ)、31…第1胴部、32…第1先端部、41…第2構造体、41a…取付部、42…電磁波遮蔽部材、51…第2胴部、52…第2先端部、100…無線通信装置(RFID読取装置)、110…処理端末、111…通信部、112…入力部、113…表示部、114…メモリ、115…プロセッサ、115a…通信制御部、115b…処理部、200…商品(移動体)、300…什器。
図1
図2
図3
図4
図5