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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125923
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20230831BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20230831BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G06K13/06 C
G06K7/00 021
G06K7/08 040
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030286
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】持田 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一徳
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA06
(57)【要約】
【課題】破壊に対する耐性を向上させること。
【解決手段】カードリーダ1は、カードリーダ1に挿入されたカード2の引抜きを閉位置9Aで防止する引抜き防止部材9を備える。引抜き防止部材9は、回動中心部9a、延出部9b、及び延出部9dからなり樹脂により形成された本体部材と、樹脂よりも強度が高い材料により形成され、引抜き防止部材9が閉位置9Aに配置されているときにカード移動路4の一部を閉鎖するカード当接部材9cを備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されたデータの読取り及び前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが移動するカード移動路と、
前記カード移動路を閉鎖する閉位置と前記カード移動路を開放する開位置との間で回動可能に構成され前記カードリーダに挿入された前記カードの引抜きを前記閉位置で防止する引抜き防止部材と、
前記閉位置に向かって前記引抜き防止部材を付勢する付勢部材と、
前記閉位置に配置される前記引抜き防止部材に当接して前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制部材と、
前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制位置と前記引抜き防止部材の回動を可能にする回動可能位置との間で前記回動規制部材を移動させる移動機構と、を備え、
前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とし、前記カードの移動方向のうちの、前記カードリーダへの前記カードの挿入方向側を奥側とし、奥側の反対側である前記カードリーダからの前記カードの引抜き方向側を手前側とすると、
前記引抜き防止部材は、本体部材と、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに前記カード移動路の一部を閉鎖するカード当接部材と、を備えるとともに、前記カードの幅方向を回動の軸方向として回動可能になっており、
前記カード当接部材の奥端には、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに、前記カードリーダに挿入されている前記カードの手前端が接触可能となっており、
前記本体部材は、樹脂により形成されており、
前記カード当接部材は、前記樹脂よりも強度が高い材料により形成されている、
カードリーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、前記本体部材に対して着脱可能である、
カードリーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、ネジによって前記本体部材に対して着脱可能である、
カードリーダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材の手前端は凸曲面状に形成されている、
カードリーダ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材の手前端の角部は面取り加工されている、
カードリーダ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、金属又はセラミックにより形成されている、
カードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが手動でカードを操作して、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダが知られている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダの内部には、カード挿入口から挿入されたカードが移動するカード移動路が形成されている。このカードリーダは、カードに内蔵されたICチップとデータの通信を行うためのIC接点ブロックを備えている。
【0004】
また、特許文献1に記載のカードリーダは、カードリーダの内部に挿入されたカードの引抜きを防止するレバー部材を備えている。レバー部材の手前端側には、カードリーダの内部に挿入されたカードの手前端が当接する突出部が形成されている。レバー部材は、突出部がカード移動路を閉鎖する閉位置と突出部がカード移動路を開放する開位置との間で回動可能となっており、挿入されたカードの引抜きを閉位置で防止する。また、このカードリーダは、閉位置に向かってレバー部材を付勢するネジリコイルバネと、閉位置でレバー部材の回動を規制する規制ピンと、レバー部材の回動を規制する回動規制位置とレバー部材の回動を可能にする回動可能位置との間で規制ピンを移動させるソレノイドとを備えている。
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、カードリーダにカードが挿入されていないときには、レバー部材は、ネジリコイルバネの付勢力によって閉位置に配置されており、突出部は、カード移動路の手前端側を閉鎖している。この状態でカードが挿入されると、突出部の手前端に形成される傾斜面にカードの奥端が接触する。突出部の手前端に形成される傾斜面にカードの奥端が接触すると、傾斜面がカードの奥端に沿って移動するため、レバー部材がネジリコイルバネの付勢力に抗して開位置まで回動して、カード移動路の手前端側が開放される。
【0006】
また、カードがカードリーダの奥側の所定の位置まで挿入されると、レバー部材は、ネジリコイルバネの付勢力で回動して閉位置に戻り、突出部がカード移動路の手前端側を閉鎖する。この状態で、ソレノイドが駆動して、回動可能位置に配置されている規制ピンが回動規制位置まで移動し、閉位置に配置されるレバー部材の回動が規制される。この状態で、カードとカードリーダとの間でデータの通信が行われる。また、この状態では、ユーザがカードを手前側に引き抜こうとしても、カード移動路の手前端側を閉鎖する突出部によってカードの引抜きが防止される。
【0007】
カードとカードリーダとの間でデータの通信が終了すると、ソレノイドへの通電が停止されて、回動規制位置に配置されている規制ピンが回動可能位置に移動し、レバー部材が回動可能な状態となる。この状態で、カードが手前側に向かって引き抜かれると、突出部の奥端に形成される当接面にカードの手前端が接触する。突出部の奥端に形成される当接面にカードの手前端が接触すると、当接面がカードの手前端に沿って移動するため、レバー部材がネジリコイルバネの付勢力に抗して開位置まで回動して、カード移動路の手前端側が開放される。
【0008】
特許文献2に記載のカードリーダでは、引抜き防止部材のカード当接部の奥端には、引抜き防止部材が閉位置に配置されているときに、カードリーダに挿入されているカードの手前端が接触可能となっており、引抜き防止部材のカード当接部の奥端部の幅が、奥側に向かうにしたがって狭くなっている。
【0009】
ところで、近年、カードリーダに挿入可能なクレジットカード等のカードの中には、ステンレス材等を使用した金属カードが流通し始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-26826号公報
【特許文献2】特開2020-197890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の引抜き防止部材は樹脂により形成されているため、金属カードの挿抜により引抜き防止部材の破壊(摩耗や凹み)が発生する場合がある。引抜き防止部材の破壊が発生すると、例えば、カードリーダに対するカードの挿抜が困難となったり、カード挿抜検知機能やラッチ機能が正常に働かなくなったりといった、カードリーダの機能障害を起こす可能性がある。
【0012】
これに対して、引抜き防止部材を金属等の高強度の材料により形成することも考えられるが、引抜き防止部材を金属等により形成すると、引抜き防止部材の重量が増加し、例えばネジリコイルバネを用いた引抜き防止部材の付勢等の、引抜き防止部材の回動の制御が困難になる。
【0013】
そこで、本発明の課題は、挿入されたカードの引抜きを防止する引抜き防止部材の重量の増加を抑制しつつ、カードリーダに対して金属製等の硬いカードが挿入されても引抜き防止部材の破壊を抑制することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取り及び前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、前記カードが移動するカード移動路と、前記カード移動路を閉鎖する閉位置と前記カード移動路を開放する開位置との間で回動可能に構成され前記カードリーダに挿入された前記カードの引抜きを前記閉位置で防止する引抜き防止部材と、前記閉位置に向かって前記引抜き防止部材を付勢する付勢部材と、前記閉位置に配置される前記引抜き防止部材に当接して前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制部材と、前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制位置と前記引抜き防止部材の回動を可能にする回動可能位置との間で前記回動規制部材を移動させる移動機構と、を備え、前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とし、前記カードの移動方向のうちの、前記カードリーダへの前記カードの挿入方向側を奥側とし、奥側の反対側である前記カードリーダからの前記カードの引抜き方向側を手前側とすると、前記引抜き防止部材は、本体部材と、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに前記カード移動路の一部を閉鎖するカード当接部材と、を備えるとともに、前記カードの幅方向を回動の軸方向として回動可能になっており、前記カード当接部材の奥端には、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに、前記カードリーダに挿入されている前記カードの手前端が接触可能となっており、前記本体部材は、樹脂により形成されており、前記カード当接部材は、前記樹脂よりも強度が高い材料により形成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、挿入されたカードの引抜きを防止する引抜き防止部材の重量の増加を抑制しつつ、カードリーダに対して金属製等の硬いカードが挿入されても引抜き防止部材の破壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの構成を説明するための平面図である。
図2図1に示すカードリーダの概略構成を側面から説明するための図である。
図3】(A)は、図1に示すカードリーダにカードを挿入している最中の状態を説明するための側面図であり、(B)は、図1に示すカードリーダへのカードの挿入が完了した状態を説明するための側面図である。
図4】(A)は、図1に示すレバー部材の側面図であり、(B)は、図1に示すレバー部材の底面図である。
図5図4(B)のE部の拡大図である。
図6】実施の形態2のレバー部材の斜視図である。
図7図6に示すレバー部材の側面図である。
図8図6に示すレバー部材の底面図である。
図9図6に示すレバー部材の分解斜視図である。
図10図6に示すレバー部材のカード当接部材の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(実施の形態1)
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカードリーダ1の構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の概略構成を側面から説明するための図である。
【0019】
本形態のカードリーダ1は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録されたデータの読取り及びカード2へのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うための装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の引抜きとを手動で行ってデータの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。
【0020】
カードリーダ1には、カード挿入口3から挿入されるカード2が移動するカード移動路4が形成されている。カードリーダ1は、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロック6と、磁気ヘッド7とを備えている。また、カードリーダ1は、カードリーダ1に挿入されたカード2の引抜きを防止する引抜き防止部材としてのレバー部材9を備えている。レバー部材9は、カード移動路4を閉鎖する閉位置9A(図2図3(B)に示す位置)とカード移動路4を開放する開位置9B(図3(A)に示す位置)との間で回動可能となっている。レバー部材9は、カードリーダ1に挿入されたカード2の引抜きを閉位置9Aで防止する。
【0021】
さらに、カードリーダ1は、閉位置9Aに向かってレバー部材9を付勢する付勢部材としてのネジリコイルバネ10と、閉位置9Aに配置されるレバー部材9に当接してレバー部材9の回動を規制する回動規制部材としての規制ピン11と、レバー部材9の回動を規制する回動規制位置11A(図3(B)に示す位置)とレバー部材9の回動を可能にする回動可能位置11B(図2図3(A)に示す位置)との間で規制ピン11を移動させる移動機構としてのソレノイド12とを備えている。
【0022】
また、カードリーダ1は、カード2の有無を検知するためのセンサ14,15を備えている。センサ14,15は、対向配置される発光素子と受光素子とを備える透過型の光学式センサである。なお、以下の説明では、センサ14,15の発光素子から受光素子へ向かう光が遮られている状態をセンサ14,15のオン状態とし、センサ14,15の受光素子が発光素子からの光を受光している状態をセンサ14,15のオフ状態とする。
【0023】
本形態では、図1等に示すX方向にカード2が移動する。すなわち、X方向は、カード移動路4を移動するカード2の移動方向である。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路4を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路4を移動するカード2の幅方向である。以下の説明では、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向とし、Z方向を上下方向とする。
【0024】
また、以下の説明では、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側又は「手前」側とし、前側の反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側又は「奥」側とし、左右方向の一方側である図1等のY1方向側を「右」側とし、右側の反対側である図1等のY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側である図2等のZ1方向側を「上」側とし、上側の反対側である図2等のZ2方向側を「下」側とする。また、以下の説明では、図2の時計回りの方向を「時計方向」とし、図2の反時計回りの方向を「反時計方向」とする。
【0025】
カード2は、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の金属製(一例としてはステンレス製)のカードである。カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2のおもて面には、ICチップの外部接続端子が形成されている。なお、カード2には、磁気ストライプが形成されていなくてもよい。また、カード2に、通信用のアンテナが内蔵されてもよい。
【0026】
カード2は、カード2のおもて面が上側を向くとともにカード2の長手方向が前後方向と略一致した状態でカードリーダ1に挿入される。具体的には、カード2は、奥側に向かってカードリーダ1に挿入される。また、カード2は、手前側に向かってカードリーダ1から引き抜かれる。すなわち、奥側(X2方向側)は、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であり、手前側(X1方向側)は、カードリーダ1からのカード2の引抜き方向
側である。
【0027】
なお、カードリーダ1には、金属製のカード2に限らず、塩化ビニール製のカード、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のカード、紙製のカードなども挿入され得る。
【0028】
図1に示すように、カードリーダ1の手前端側の一部分は、ユーザによるカード2の挿入及びカード2の引抜きが可能となるように切り欠かれた切欠部16となっている。切欠部16は、カードリーダ1のフレームの手前端から奥側に向かって切り欠かれるように形成されている。また、左右方向では、カードリーダ1のフレームの中間位置に切欠部16が形成されており、左右方向における切欠部16の両側には、突出部17,18が形成されている。突出部17は切欠部16の右側に配置され、突出部18は切欠部16の左側に配置されている。切欠部16の左右方向の幅は、ユーザの指が入る広さとなっている。
【0029】
図2に示すように、カード移動路4は、左右方向から見たときの形状が直線状となるように形成されている。カード移動路4の手前端は、カード挿入口3となっている。図1の2点鎖線で示すように、カードリーダ1の奥側に挿入されたカード2の一部は切欠部16において露出する。磁気ヘッド7は、突出部17の手前端部分に配置されている。また、磁気ヘッド7は、下側からカード移動路4に臨むように配置されている。
【0030】
IC接点ブロック6は、カードリーダ1の奥端側部分に配置されている。また、IC接点ブロック6は、IC接点バネが上側からカード移動路4に臨むように配置されており、IC接点ブロック6は、カード移動路4の上側に配置されている。IC接点ブロック6は、平行リンク機構20を介してカードリーダ1のフレームの上面側部分に連結されており、前後方向にスライドしながら上下動する。IC接点ブロック6は、引張りコイルバネ21によって手前側に付勢されている。
【0031】
本形態では、カードリーダ1の奥側へ挿入されたカード2の先端(奥端)がIC接点ブロック6のカード係合部(図示省略)に係合すると、IC接点ブロック6が奥側にスライドしながら下降して、カード2の外部接続端子に複数のIC接点バネが接触する。また、奥側に挿入されたカード2が手前側に引き抜かれると、カード2のおもて面からIC接点バネが離れるように、引張りコイルバネ21の付勢力によって、IC接点ブロック6が手前側にスライドしながら上昇する。
【0032】
なお、IC接点ブロック6には、カードリーダ1の奥端側でカード2の有無を検知するための遮光部6aが形成されている。本形態では、引張りコイルバネ21の付勢力でIC接点ブロック6が手前側にあるときに、センサ15の受光素子が発光素子からの光を受光している。一方、カードリーダ1にカード2が挿入されて、IC接点ブロック6が奥側にスライドし、カード2の外部接続端子にIC接点バネが接触すると、センサ15の発光素子から受光素子へ向かう光を遮光部6aが遮る。本形態では、センサ15の発光素子から受光素子へ向かう光を遮光部6aが遮って、センサ15がオン状態になると、カードリーダ1の奥端側にカード2があることが検知される。
【0033】
(レバー部材の構成)
図3(A)は、図1に示すカードリーダ1にカード2を挿入している最中の状態を説明するための側面図であり、図3(B)は、図1に示すカードリーダ1へのカード2の挿入が完了した状態を説明するための側面図である。図4(A)は、図1に示すレバー部材9の側面図であり、図4(B)は、図1に示すレバー部材9の底面図である。図5は、図4(B)のE部の拡大図である。
【0034】
レバー部材9は、上述のように、カードリーダ1に挿入されたカード2の引抜きを防止する機能を果たしている。具体的には、レバー部材9は、カード2の外部接続端子にIC接点バネが接触してカード2とカードリーダ1との間でデータの通信を行っているときに、カード2の引抜きを防止する機能を果たしている。また、レバー部材9は、全体として細長い棒状に形成されており、レバー部材9の長手方向と前後方向とが略一致するように、カードリーダ1の右端側に配置されている。
【0035】
レバー部材9は、レバー部材9の回動中心となる回動中心部9aと、回動中心部9aから手前側に向かって延びる延出部9bと、延出部9bの手前端から下側に突出するカード当接部材9cと、回動中心部9aから奥側に向かって延びる延出部9dとを備えている。これらのうち、回動中心部9a、延出部9b、及び延出部9dは、本体部材として、樹脂により一体的に形成されている。
【0036】
一方、カード当接部材9cは、金属で形成されている。カード当接部材9cを形成する金属は、例えばステンレス、鉄系合金、アルミニウム系合金等の合金とすることができる。カード当接部材9cは、本体部材の一部である延出部9bの手前側の先端の下側に、嵌め込み、接着、ネジ止め、一体成型等の各種の方法で固定される。
【0037】
回動中心部9aは、カード移動路4の上側に配置されている。回動中心部9aには、レバー部材9を回動可能に支持する固定軸25が挿通されている。回動中心部9aには、固定軸25が挿通される軸孔9eが形成されている(図4(A)参照)。固定軸25は、カードリーダ1のフレームに固定されている。固定軸25の軸方向は、左右方向と一致している。レバー部材9は、左右方向を回動の軸方向として、かつ、固定軸25を中心にして回動可能となっている。
【0038】
カード当接部材9cの下端は、平面となっている。図3(A)に示すように、カードリーダ1にカード2を挿入している最中には、平面となっているカード当接部材9cの下端にカード2の上面が当接する。このときには、カード当接部材9cの下端は、カード2の上面と略平行になっている。カード当接部材9cの手前端9gは、奥側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する平面状の傾斜面となっている。したがって、以下の説明では、手前端9gを「傾斜面9g」とする。左右方向から見たときに、カード当接部材9cの下端に対する傾斜面9gの傾斜角度θ1(図4(A)参照)は37°となっている。
【0039】
カード当接部材9cの奥端部の左右方向の幅は、奥側に向かうにしたがって狭くなっている。上下方向から見たときに、カード当接部材9cの奥端部の左右方向の両側面は、奥側に向かうにしたがって互いに近づくように、前後方向に対して傾斜している(図5参照)。カード当接部材9cの奥端9hは、凸曲面状に形成されている。具体的には、カード当接部材9cの奥端9hは、カード当接部材9cの奥端部の左右方向の両側面を滑らかに繋げる凸曲面状に形成されている。また、カード当接部材9cの奥端部の左右方向の両側面は、カード当接部材9cの奥端部の左右方向の幅が下側に向かうにしたがって狭くなるように傾斜している。カード当接部材9cの奥端9hは、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうように傾斜している。
【0040】
延出部9dは、カード移動路4の上側に配置されている。延出部9dの奥端部の下面には、規制ピン11が当接する平面状の当接面9jが形成されている。当接面9jは、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうように傾斜する傾斜面となっている。左右方向から見たときに、カード当接部材9cの下端に対する当接面9jの傾斜角度θ2(図4(A)参照)は、17°となっている。
【0041】
ネジリコイルバネ10には、固定軸25が挿通されている。ネジリコイルバネ10は、回動中心部9aの左側に配置されている。ネジリコイルバネ10の一端は、カードリーダ1のフレームに形成されたバネ係合部26に係合し、ネジリコイルバネ10の他端は、レバー部材9に形成された係合突起9kに係合している。ネジリコイルバネ10は、反時計方向にレバー部材9を付勢している。
【0042】
カード2が挿入されていないときには、ネジリコイルバネ10の付勢力によって、図2に示すように、カード移動路4の右前端部の下面に形成される凹部27の底面にカード当接部材9cの下端が接触している。カード当接部材9cの下端が凹部27の底面に接触しているときのレバー部材9の位置が閉位置9Aとなっている。カード当接部材9cは、レバー部材9が閉位置9Aに配置されているときに、カード移動路4の一部を閉鎖している。具体的には、カード当接部材9cは、レバー部材9が閉位置9Aに配置されているときに、カード移動路4の右前端側の一部を閉鎖している。
【0043】
レバー部材9が閉位置9Aに配置されているときには、カードリーダ1に挿入されるカード2の奥端がカード当接部材9cの傾斜面9gに接触可能となっている。レバー部材9が閉位置9Aに配置されている状態で、カード2が挿入されると、カード移動路4の右前端側の一部を閉鎖するレバー部材9の傾斜面9gにカード2の奥端(先端)が接触する。傾斜面9gに奥端が接触したカード2がさらに奥側に挿入されると、傾斜面9gがカード2の奥端に沿って移動する。傾斜面9gがカード2の奥端に沿って移動すると、図3(A)に示すように、レバー部材9は、ネジリコイルバネ10の付勢力に抗して時計方向へ回動して、カード移動路4の右前端側の一部を開放する。カード移動路4の右前端側の一部を開放しているときのレバー部材9の位置が開位置9Bとなっている。
【0044】
また、その後さらにカード2が奥側へ挿入され、カード2の手前端がカード当接部材9cの下側を通過すると、図3(B)に示すように、レバー部材9はネジリコイルバネ10の付勢力で凹部27にカード当接部材9cの下端が接触するまで反時計方向に回動して(すなわち、閉位置9Aまで回動して)、カード移動路4の右前端側の一部を閉鎖する。この状態では、カード当接部材9cの奥端9hに、カードリーダ1に挿入されているカード2の手前端が接触可能となっている。すなわち、レバー部材9が閉位置9Aに配置されているときには、カードリーダ1に挿入されているカード2の手前端がカード当接部材9cの奥端9hに接触可能となっている。
【0045】
レバー部材9が閉位置9Aに配置されている状態で、カードリーダ1に挿入されているカード2が手前側に向かって引かれると、レバー部材9のカード当接部材9cの奥端9hにカード2の手前端が接触する。カード当接部材9cの奥端9hに手前端が接触したカード2がさらに手前側に引かれると、カード当接部材9cの奥端9hがカード2の手前端に沿って移動する。カード当接部材9cの奥端9hがカード2の手前端に沿って移動すると、レバー部材9は、ネジリコイルバネ10の付勢力に抗して時計方向へ回動して、カード移動路4の右前端側の一部を開放する。
【0046】
レバー部材9には、カード2の有無を検知するための遮光部9nが形成されている。遮光部9nは、回動中心部9aの奥側から左側に向かって突出している。遮光部9nは、レバー部材9が閉位置9Aにあるときに、センサ14の発光素子から受光素子へ向かう光を遮る(図2図3(B)参照)。一方、レバー部材9が開位置9Bにあるときには、センサ14の受光素子が発光素子からの光を受光する(図3(A)参照)。センサ14の受光素子が発光素子からの光を受光して、センサ14がオフ状態になると、カードリーダ1の手前端側にカード2があることが検知される。なお、本形態では、センサ14と遮光部9nとによって、カードリーダ1にカード2が挿入されたことも検知される。
【0047】
(規制ピン及びその周辺部分の構成)
規制ピン11は、細長い円柱状に形成されている。規制ピン11は、規制ピン11の軸方向と左右方向とが一致するように、ソレノイド12のプランジャ12aの先端側に固定されている。規制ピン11の左右の両端部は、プランジャ12aから左右方向の外側に突出している。規制ピン11は、固定軸25とほぼ同じ高さに配置されている。ソレノイド12は、プランジャ12aが奥側に向かって突出するように配置されている。プランジャ12aは、延出部9dの奥端部の左側に配置されている。プランジャ12aは、復帰用の圧縮コイルバネ(図示省略)に挿通されており、圧縮コイルバネによって奥側に付勢されている。
【0048】
図2図3(A)に示すように、ソレノイド12が駆動しておらず(ソレノイド12に電流が供給されておらず)、圧縮コイルバネの付勢力でプランジャ12aが奥側に突出しているときには、規制ピン11は、当接面9jよりも奥側に配置されている。このときの規制ピン11の位置がレバー部材9の回動を可能とする回動可能位置11Bとなっている。一方、図3(B)に示すように、ソレノイド12が駆動して(ソレノイド12に電流が供給されて)、プランジャ12aが手前側に引かれているときには、規制ピン11の右側部分が当接面9jに当接可能な位置に配置されている。このときの規制ピン11の位置がレバー部材9の回動を規制する回動規制位置11Aとなっている。
【0049】
規制ピン11の、プランジャ12aから右側に突出した部分は、支持部材31に形成されるガイド溝に挿通されている。規制ピン11の、プランジャ12aから左側に突出した部分は、支持部材32に形成されるガイド溝に挿通されている。規制ピン11は、支持部材31に形成されるガイド溝と支持部材32に形成されるガイド溝とによって前後方向に案内される。
【0050】
(カードリーダの概略動作)
カードリーダ1では、カード2が挿入されていないときには、図2に示すように、レバー部材9は、ネジリコイルバネ10の付勢力によって閉位置9Aに配置されている。この状態では、プランジャ12aが奥側に突出しており、レバー部材9は回動可能となっている。また、この状態では、IC接点ブロック6は、引張りコイルバネ21の付勢力によって手前側に付勢されており、IC接点バネは、カード移動路4の上側に配置されている。また、この状態では、センサ14はオン状態となっており、センサ15はオフ状態となっている。
【0051】
カード2が挿入されてカード2の奥端が傾斜面9gに当接すると、挿入されるカード2によって、レバー部材9が、ネジリコイルバネ10の付勢力に抗して時計方向へ回動して、カード移動路4の右前端側の一部を開放する(図3(A)参照)。レバー部材9が時計方向へ回動すると、遮光部9nがセンサ14の発光素子と受光素子との間から外れ、センサ14の発光素子からの光を受光素子が受光するため、センサ14がオフ状態となって、カード2が挿入されたことが検知される。
【0052】
その後、さらにカード2が奥側へ挿入され、カード2の手前端がカード当接部材9cの下側を通過すると、図3(B)に示すように、レバー部材9がネジリコイルバネ10の付勢力で反時計方向に回動して、カード移動路4の右前端側の一部を閉鎖する。レバー部材9が反時計方向へ回動すると、センサ14の発光素子から受光素子へ向かう光を遮光部9nが遮って、センサ14は再びオン状態となる。
【0053】
また、カード2が奥側へ挿入されると、挿入されるカード2によってIC接点ブロック6は奥側にスライドしながら下降して、カード2のICチップにIC接点バネが接触する。この状態で、カード2とカードリーダ1との間でデータの通信が行われる。また、IC接点ブロック6が奥側にスライドすると、センサ15の発光素子から受光素子へ向かう光を遮光部6aが遮るため、センサ15はオン状態となって、カードリーダ1の奥端側にカード2があることが検知される。
【0054】
本形態では、一旦オフ状態になったセンサ14が再びオン状態になり、かつ、センサ15がオン状態になると、ソレノイド12が駆動して、図3(B)に示すように、プランジャ12aが手前側に引かれて、当接面9jに規制ピン11が当接可能な状態となる。すなわち、レバー部材9の回動が規制された状態となる。そのため、ユーザがカード2を手前側に引き抜こうとしても、回動が規制されたレバー部材9のカード当接部材9cの奥端9hにカード2の手前端が接触してカード2の引抜きが防止される。
【0055】
カード2とカードリーダ1との間でデータの通信が終了すると、ソレノイド12への通電が停止されて、プランジャ12aが奥側に突出する。すなわち、レバー部材9が回動可能な状態となる。この状態で、カード2が手前側に向かって引き抜かれる。カード2が引き抜かれるときには、カード2の手前端がカード当接部材9cの奥端9hに当接するため、引き抜かれるカード2によって、レバー部材9は、ネジリコイルバネ10の付勢力に抗して時計方向へ回動して、カード移動路4の右前端側の一部を開放する。
【0056】
(実施の形態1の主な効果)
以上説明したように、実施の形態1では、レバー部材9の本体部材である回動中心部9a、延出部9b、及び延出部9dが樹脂で形成され、レバー部材9のうちカード2と当接するカード当接部材9cが金属で形成されている。そのため、実施の形態1では、カード当接部材9cの強度が向上するため、カードリーダ1に対して金属製のカード2が挿抜されても、レバー部材9のうちカード当接部材9c、特に傾斜面9gや奥端9hの破壊(摩耗や凹み)を抑制することができる。このため、例えば、カードリーダ1に対するカード(カード2や他のカード)の挿抜が困難となったり、カードリーダ1が備えるカード挿抜検知機能やラッチ機能が正常に働かなくなったりといった、カードリーダ1の機能障害を抑制することができる。
【0057】
また、実施の形態1では、レバー部材9の本体部材である回動中心部9a、延出部9b、及び延出部9dが樹脂で形成されていることにより、レバー部材9の全てを金属とする場合と比べて、レバー部材9の重量の増加を抑制することができる。このため、例えばネジリコイルバネ10を用いたレバー部材9の付勢等の、レバー部材9の回動の制御が困難になることを防止することができる。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。実施の形態2のカードリーダ1は、実施の形態1のレバー部材9に代えて、カードリーダ1に挿入されたカード2の引抜きを防止する引抜き防止部材としてのレバー部材19を備える。
【0059】
図6は、実施の形態2のレバー部材の斜視図である。図7は、図6に示すレバー部材の側面図である。図8は、図6に示すレバー部材の底面図である。図9は、図6に示すレバー部材の分解斜視図である。図10は、図6に示すレバー部材のカード当接部材の拡大斜視図である。
【0060】
レバー部材19は、本体部材として、回動中心部19aと、延出部19bと、延出部19dと、を備えている。回動中心部19a、延出部19b、及び延出部19dは、それぞれ実施の形態1の回動中心部9a、延出部9b、及び延出部9dと同様の構成である。ただし、回動中心部19a、延出部19b、及び延出部19dの大きさや形状は、後述のカード当接部材19cの重量や形状に合わせて、適宜調整がなされている。
【0061】
回動中心部19aに形成された軸孔19e(図6図7参照)は、実施の形態1の軸孔9eと同様の構成である。延出部19dの奥端部の下面に形成された当接面19j(図6から図9参照)は、実施の形態1の当接面9jと同様の構成である。
【0062】
延出部19bには、後述のカード当接部材19cの突起部19mが嵌合可能な矩形孔19oと、後述のネジ19qに対応するネジ溝を有するネジ孔19pと、が設けられている(図9参照)。矩形孔19oは、延出部19bを上下方向に貫通する孔であり、ネジ孔19pは延出部19bを左右方向に貫通する孔である。
【0063】
また、レバー部材19は、カード当接部材19cを備える。カード当接部材19cは、実施の形態1のカード当接部材9cと同様の構成であり、例えばステンレス等の合金により形成されている。ただし、カード当接部材19cは、延出部19bに対して着脱可能に設けられている。また、カード当接部材19cは、左右方向の長さ(厚み)が略一定の板状部材である。
【0064】
また、カード当接部材19cは、レバー部材19の矩形孔19oに篏合可能な突起部19mを上部に有する。また、突起部19mには、突起部19mを左右方向に貫通するネジ孔19nが設けられている。ネジ孔19nは、突起部19mを矩形孔19oに篏合させると、左右方向に見てネジ孔19pと重なる位置に設けられている。
【0065】
したがって、カード当接部材19cの突起部19mを延出部19bの矩形孔19oに篏合させ、ネジ孔19pとネジ孔19nに対してネジ19qを回転挿入することで、延出部19bに対してカード当接部材19cをネジ止めすることができる。このとき、延出部19bに対するカード当接部材19cの、左右方向と直交する方向の位置ずれがネジ19qによって抑止され、延出部19bに対するカード当接部材19cの、左右方向を回転軸とする回転が、突起部19mと矩形孔19oの篏合によって抑止される。
【0066】
カード当接部材19cの傾斜面19g(手前端19g)は、実施の形態1のカード当接部材9cの傾斜面9g(手前端9g)と同様の構成である。ただし、傾斜面19gは、凸曲面状に形成されている。ここで、左右方向から見て(例えば図7参照)、カードリーダ1に挿入されるカード2に対するカード当接部材19cの当接角度は、カード2の挿入に伴う、回動中心部19aを中心とするレバー部材19の回転角度に応じて変化する。したがって、仮に傾斜面19gが平面状であると、カード2に対する傾斜面19gの当接角度が、カード2の挿入に従って大きくなり、傾斜面19gに対するカード2の端部の引っかかりが発生する可能性が高くなる。傾斜面19gに対してカード2の端部が引っかかると、傾斜面19g及びカード2の少なくともいずれかの凹み(抉れ)等に繋がる。
【0067】
これに対して、傾斜面19gが凸曲面状に形成されていることで、レバー部材19の回転角度に応じたカード2に対する傾斜面19gの当接角度の変化を小さくし、傾斜面19gに対するカード2の端部の引っかかりを抑制することができる。このため、傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0068】
また、カード当接部材19cのうち傾斜面19gが形成された部分の角部19r(傾斜面19gの左右方向の端部)は面取り加工なされている。これにより、傾斜面19gに対するカード2の端部の引っかかりをさらに抑制することができる。このため、傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。面取り加工は、例えばバレル研磨などの各種の加工方法によって行うことができる。
【0069】
カード当接部材19cの奥端19hは、実施の形態1のカード当接部材9cの奥端9hと同様の構成である。ただし、奥端19hも傾斜面19gと同様に凸曲面状に形成してもよい。これにより、奥端19hに対するカード2の端部の引っかかりを抑制することができる。このため、傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0070】
また、カード当接部材19cのうち奥端19hが形成された部分の角部も、角部19rと同様に面取り加工なされている。これにより、奥端19hに対するカード2の端部の引っかかりを抑制することができる。このため、傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0071】
(実施の形態2の主な効果)
以上説明したように、実施の形態2では、レバー部材19の本体部材である回動中心部19a、延出部19b、及び延出部19dが樹脂で形成され、レバー部材19のうちカード2と当接するカード当接部材19cが金属で形成されている。そのため、実施の形態2では、カード当接部材19cの強度が向上するため、カードリーダ1に対して金属製のカード2が挿抜されても、レバー部材19のうちカード当接部材19cの破壊(摩耗や凹み)を抑制することができる。このため、例えば、カードリーダ1に対するカード(カード2や他のカード)の挿抜が困難となったり、カードリーダ1が備えるカード挿抜検知機能やラッチ機能が正常に働かなくなったりといった、カードリーダ1の機能障害を抑制することができる。
【0072】
また、実施の形態2では、レバー部材19の本体部材である回動中心部19a、延出部19b、及び延出部19dが樹脂で形成されていることにより、レバー部材19の全てを金属とする場合と比べて、レバー部材19の重量の増加を抑制することができる。このため、例えばネジリコイルバネ10を用いたレバー部材19の付勢等の、レバー部材19の回動の制御が困難になることを防止することができる。また、レバー部材19の全てを金属とする場合と比べて、レバー部材19の製造コストを抑制することができる。
【0073】
また、実施の形態2では、カード当接部材19cがネジ19qによって延出部19bに対して着脱可能であることにより、レバー部材19のカード当接部材19cの破壊があっても、レバー部材19のうちのカード当接部材19cのみを容易に交換することが可能になる。このため、カード当接部材19cの破壊があった場合の部品交換を安価に行うことができる。
【0074】
また、実施の形態2では、カード当接部材19cの傾斜面19g(手前端19g)は凸曲面状に形成されていることにより、レバー部材19の回転角度に応じた、カード2に対するカード当接部材19cの傾斜面19gの当接角度の変化を小さくし、カード当接部材の傾斜面19gに対するカード2の端部の引っかかりを抑制することができる。このため、カード当接部材19cの傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0075】
また、カード当接部材19cに金属等の高強度の材料を用いることによって非金属製の低強度のカードの凹み(抉れ)等が発生しやすくなるが、傾斜面19gが凸曲面状に形成されていることで、傾斜面19gに対するカードの端部の引っかかりを抑制し、低強度のカードの凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0076】
また、実施の形態2では、カード当接部材19cの傾斜面19gの角部19rが面取り加工されていることにより、カード当接部材19cの傾斜面19gに対するカード2の端部の引っかかりを抑制することができる。このため、カード当接部材19cの傾斜面19gやカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0077】
また、カード当接部材19cに金属等の高強度の材料を用いることによって非金属製の低強度のカードの凹み(抉れ)等が発生しやすくなるが、カード当接部材19cの傾斜面19gの角部19rが面取り加工されていることにより、傾斜面19gに対するカードの端部の引っかかりを抑制し、低強度のカードの凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0078】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0079】
例えば、上述した各実施の形態において、レバー部材9(レバー部材19)のカード当接部材9c(カード当接部材19c)が金属により形成される構成について説明したが、カード当接部材9c(カード当接部材19c)は、レバー部材9(レバー部材19)の本体部の樹脂より強度が高い材料により形成されていればよく、例えばセラミックにより形成されてもよい。
【0080】
また、上述した各実施の形態において、レバー部材9(レバー部材19)は、圧縮コイルバネ、引張りコイルバネあるいは板バネ等の、ネジリコイルバネ10以外のバネ部材によって閉位置9Aに向かって付勢されていてもよい。また、上述した形態において、カードリーダ1は、磁気ヘッド7を備えていなくてもよい。
【0081】
(1)
カードに記録されたデータの読取り及び前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが移動するカード移動路と、
前記カード移動路を閉鎖する閉位置と前記カード移動路を開放する開位置との間で回動可能に構成され前記カードリーダに挿入された前記カードの引抜きを前記閉位置で防止する引抜き防止部材と、
前記閉位置に向かって前記引抜き防止部材を付勢する付勢部材と、
前記閉位置に配置される前記引抜き防止部材に当接して前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制部材と、
前記引抜き防止部材の回動を規制する回動規制位置と前記引抜き防止部材の回動を可能にする回動可能位置との間で前記回動規制部材を移動させる移動機構と、を備え、
前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とし、前記カードの移動方向のうちの、前記カードリーダへの前記カードの挿入方向側を奥側とし、奥側の反対側である前記カードリーダからの前記カードの引抜き方向側を手前側とすると、
前記引抜き防止部材は、本体部材と、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに前記カード移動路の一部を閉鎖するカード当接部材と、を備えるとともに、前記カードの幅方向を回動の軸方向として回動可能になっており、
前記カード当接部材の奥端には、前記引抜き防止部材が前記閉位置に配置されているときに、前記カードリーダに挿入されている前記カードの手前端が接触可能となっており、
前記本体部材は、樹脂により形成されており、
前記カード当接部材は、前記樹脂よりも強度が高い材料により形成されている、
カードリーダ。
【0082】
(1)のように構成すると、カード当接部材が本体部材の樹脂よりも強度が高い材料により形成されていることにより、カード当接部材の強度が向上するため、カードリーダに対して金属製のカードが挿抜されても、レバー部材のうちカード当接部材の破壊(摩耗や凹み)を抑制することができる。このため、カードリーダの機能障害を抑制することができる。
【0083】
また、引抜き防止部材の本体部材が樹脂により形成されていることにより、引抜き防止部材の重量の増加を抑制することができる。このため、引抜き防止部材の回動の制御が困難になることを防止することができる。また、引抜き防止部材の製造コストの増加を抑制することができる。
【0084】
(2)
(1)に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、前記本体部材に対して着脱可能である、
カードリーダ。
【0085】
(2)のように構成すると、仮に引抜き防止部材のカード当接部材の破壊があっても、引抜き防止部材のうちのカード当接部材のみを交換することが可能になる。このため、カード当接部材の破壊があった場合の部品交換を安価に行うことができる。
【0086】
(3)
(2)に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、ネジによって前記本体部材に対して着脱可能である、
カードリーダ。
【0087】
(3)のように構成すると、引抜き防止部材のうちのカード当接部材のみを容易に交換することが可能になる。
【0088】
(4)
(1)から(3)のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材の手前端は凸曲面状に形成されている、
カードリーダ。
【0089】
(4)のように構成すると、引抜き防止部材の回転角度に応じた、カードに対するカード当接部材の手前端の当接角度の変化を小さくし、カード当接部材の手前端に対するカードの端部の引っかかりを抑制することができる。このため、カード当接部材の手前端やカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0090】
(5)
(1)から(4)のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材の手前端の角部は面取り加工されている、
カードリーダ。
【0091】
(5)のように構成すると、カード当接部材の手前端に対するカードの端部の引っかかりを抑制することができる。このため、カード当接部材の手前端やカード2の凹み(抉れ)等を抑制することができる。
【0092】
(6)
(1)から(5)のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記カード当接部材は、金属又はセラミックにより形成されている、
カードリーダ。
【0093】
(6)のように構成すると、カード当接部材の強度を、本体部材の強度より高くすることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 カードリーダ
2 カード
4 カード移動路
9,19 レバー部材(引抜き防止部材)
9A 閉位置
9B 開位置
9c,19c カード当接部材
9g,19g 手前端(カード当接部材の手前端)
9h,19h 奥端(カード当接部材の奥端)
10 ネジリコイルバネ(付勢部材)
11 規制ピン(回動規制部材)
11A 回動規制位置
11B 回動可能位置
12 ソレノイド(移動機構)
X カードの移動方向
X1 手前側(カードの引抜き方向側)
X2 奥側(カードの挿入方向側)
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10