IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三機工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125924
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】散気装置の架台構造
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/20 20230101AFI20230831BHJP
【FI】
C02F3/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030288
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕
(72)【発明者】
【氏名】米谷 光広
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 浩司
【テーマコード(参考)】
4D029
【Fターム(参考)】
4D029AA01
4D029AB05
4D029BB10
(57)【要約】
【課題】簡単な構成の部品により散気装置の架台を好適に構成し得る散気装置の架台構造を提供する。
【解決手段】互いに対向する側面3に、それぞれ長手方向に沿って延びる溝部2を備えた柱状の主材1を備える。各種の連結補助具を用いることにより、互いの溝部2同士が対向し、あるいは隣り合うよう配置された主材1の溝部2同士を連結し、主材1を互いに接合し、架台を構築する。主材1は、端面が開放された中空状とし、溝部2同士の間の側面5に設けられた係合部6において一対の半割体4に分割可能に構成し、同一の形状の一対の半割体4を係合部6において組み合わせることにより、一個の主材1として組立て可能に構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する側面に、それぞれ長手方向に沿って延びる溝部を備えた柱状の主材を備え、
連結補助具を用いることにより、互いの前記溝部同士が対向し、あるいは隣り合うよう配置された前記主材の前記溝部同士を連結し、前記主材を互いに接合し、架台を構築し得るよう構成されていること
を特徴とする散気装置の架台構造。
【請求項2】
前記主材は、端面が開放された中空状であり、
前記溝部同士の間の側面に設けられた係合部において一対の半割体に分割可能に構成され、
同一の形状の前記一対の半割体を前記係合部において組み合わせることにより、一個の前記主材として組立て可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の散気装置の架台構造。
【請求項3】
前記連結補助具として、
設置面に固定可能な土台部と、
鉛直方向に沿って配置された支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な取付部とを備え、
支柱としての前記主材を設置面に固定可能に構成された支柱固定具を備えていること
を特徴とする請求項1または2に記載の散気装置の架台構造。
【請求項4】
前記連結補助具として、
梁としての前記主材の溝部に取付け可能な梁取付部と、
支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な支柱取付部とを備え、
支柱としての前記主材の上端部に、梁としての前記主材を接合可能に構成された支柱梁接合具を備えていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項5】
前記連結補助具として、
梁としての前記主材の溝部に取付け可能な梁取付部と、
支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な支柱取付部とを備え、
前記支柱取付部は、支柱としての前記主材の長手方向に沿ってスライド可能な調節取付部に設けられ、
支柱としての前記主材の上端部に、梁としての前記主材を接合可能に構成された支柱梁接合具を備えていること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項6】
前記連結補助具として、
溝部同士が対向するよう、互いに直交する向きで積み重ねるように配置された一対の梁としての前記主材の、互いに対向する前記溝部に対してそれぞれ取り付けられることにより、前記一対の梁としての主材同士を接合可能に構成された梁直交接合具を備えていること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項7】
前記連結補助具として、
互いに連続する向きで配置された一対の梁としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられることにより、前記一対の梁としての主材同士を接続可能に構成された梁連続接合具を備えていること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項8】
前記連結補助具として、
梁としての前記主材が支柱としての前記主材に片持ちされた片持ち構造部において、前記梁としての主材の溝部および支柱としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられる片持取付具と、
長手方向における両端部を前記片持取付具にそれぞれ取付け可能に構成された斜め支持材とを備えていること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項9】
前記連結補助具として、
設置面、および水平方向に沿って配置された梁としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられることにより、梁としての前記主材を設置面に固定可能に構成された梁固定具を備えていること
を特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【請求項10】
前記連結補助具として、
水平方向に沿って配置された梁としての前記主材の上面に位置する溝部に取付け可能な土台部と、
散気装置を保持可能な保持部とを備え、
前記散気装置を梁としての前記主材の上面に保持可能に構成された装置取付具を備えていること
を特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の散気装置の架台構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水の処理施設の曝気槽等に設けられる散気装置を設置するための架台の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水の処理施設においては、曝気による下水の浄化処理が行われている。処理対象である下水を曝気槽に貯留し、該曝気槽内に設置した散気装置から空気を供給し、好気性微生物の活動によって下水を浄化するのである。この種の施設において、散気装置を曝気槽内に設置するにあたっては、曝気槽の底面に架台を設け、散気装置を底面から適当な高さに支持する必要がある。こうした散気装置の架台構造に関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-200769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き曝気槽の面積や形状は施設によって様々であり、ここに散気装置を設置するには、そうした曝気槽の底部の寸法や形状に合わせて架台を構築しなくてはならない。ここで、架台の素材を金属とする場合には、例えば曝気槽の寸法に合わせて適当な長さに切断した金属の部材を工場で溶接し、組み合わせた状態で曝気槽に運搬し、該曝気槽内の目的の位置に設置することになる。つまり設置対象の状況に応じて都度、架台を特注するのであるが、このような製造方式では、工場における架台の製造に時間がかかって工期が延び、費用も嵩んでしまうほか、製造を委託する業者の技術レベルによって架台の製造精度に差ができやすいという問題もある。
【0005】
上記特許文献1に記載の発明は、鉛直方向に沿って設置される支柱と、該支柱の頂部に支持され、水平方向に沿って延びるレール状部材とによって架台を構成するものであり、支柱やレール状部材といった構成部品を細分化すると共にサイズを小さくし、さらに各構成部品の規格を統一することにより、曝気槽の形状等によらず、該曝気槽の形態に適した架台を容易に構築することができるようになっている。同じ規格で寸法の小さい部品群を曝気槽に搬入して適宜組み合わせることで、曝気槽に合わせた適当な寸法の架台を現場にて組み上げるのである。
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に記載の架台においても、主な構成部品として支柱とレール状部材という2種類の部材が必要であるという点で、部品の規格化にいまだ余地を残していた。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、簡単な構成の部品により散気装置の架台を好適に構成し得る散気装置の架台構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いに対向する側面に、それぞれ長手方向に沿って延びる溝部を備えた柱状の主材を備え、連結補助具を用いることにより、互いの前記溝部同士が対向し、あるいは隣り合うよう配置された前記主材の前記溝部同士を連結し、前記主材を互いに接合し、架台を構築し得るよう構成されていることを特徴とする散気装置の架台構造にかかるものである。
【0009】
本発明の散気装置の架台構造において、前記主材は、端面が開放された中空状とし、前記溝部同士の間の側面に設けられた係合部において一対の半割体に分割可能に構成し、同一の形状の前記一対の半割体を前記係合部において組み合わせることにより、一個の前記主材として組立て可能に構成することができる。
【0010】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、設置面に固定可能な土台部と、鉛直方向に沿って配置された支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な取付部とを備え、支柱としての前記主材を設置面に固定可能に構成された支柱固定具を備えることができる。
【0011】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての前記主材の溝部に取付け可能な梁取付部と、支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な支柱取付部とを備え、支柱としての前記主材の上端部に、梁としての前記主材を接合可能に構成された支柱梁接合具を備えることができる。
【0012】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての前記主材の溝部に取付け可能な梁取付部と、支柱としての前記主材の溝部に取付け可能な支柱取付部とを備え、前記支柱取付部は、支柱としての前記主材の長手方向に沿ってスライド可能な調節取付部に設けられ、支柱としての前記主材の上端部に、梁としての前記主材を接合可能に構成された支柱梁接合具を備えることができる。
【0013】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、溝部同士が対向するよう、平面視で互いに直交する向きで積み重ねるように配置された一対の梁としての前記主材の、互いに対向する前記溝部に対してそれぞれ取り付けられることにより、前記一対の梁としての主材同士を接合可能に構成された梁直交接合具を備えることができる。
【0014】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、互いに連続する向きで配置された一対の梁としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられることにより、前記一対の梁としての主材同士を接続可能に構成された梁連続接合具を備えることができる。
【0015】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての前記主材が支柱としての前記主材に片持ちされた片持ち構造部において、前記梁としての主材の溝部および支柱としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられる片持取付具と、長手方向における両端部を前記片持取付具にそれぞれ取付け可能に構成された斜め支持材とを備えることができる。
【0016】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、設置面、および水平方向に沿って配置された梁としての前記主材の溝部にそれぞれ取り付けられることにより、梁としての前記主材を設置面に固定可能に構成された梁固定具を備えることができる。
【0017】
本発明の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、水平方向に沿って配置された梁としての前記主材の上面に位置する溝部に取付け可能な土台部と、散気装置を保持可能な保持部とを備え、前記散気装置を梁としての前記主材の上面に保持可能に構成された装置取付具を備えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の散気装置の架台構造によれば、簡単な構成の部品により散気装置の架台を好適に構成するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施による散気装置の架台構造を構成する主材の形態の一例を示す斜視図である。
図2図1の主材の端面の形状を示す正面図である。
図3図1の主材の分解斜視図である。
図4図1の主材により構成される散気装置の架台の形態の一例を示す斜視図である。
図5】連結補助具としての支柱固定具の形態の一例を、支柱としての主材と共に示す斜視図である。
図6】支柱固定具を用いて支柱としての主材を設置面に固定し、支柱梁接合具を用いて梁としての主材を支柱としての主材に接合している状態を示す斜視図である。
図7】連結補助具としての支柱梁接合具の形態の一例を示す斜視図である。
図8】支柱梁接合具を用いて梁としての主材と支柱としての主材を接合する様子を示す斜視図である。
図9図7とは別の形態の支柱梁接合具を、支柱としての主材と共に示す斜視図である。
図10図9の支柱梁接合具を用い、梁としての主材を支柱としての主材に接合している状態を示す斜視図である。
図11】支柱固定具を用いて支柱としての主材を設置面に固定し、図9の支柱梁接合具を用いて梁としての主材を支柱としての主材に接合した状態を示す斜視図である。
図12】連結補助具としての梁直交接合具の形態の一例を、梁としての主材と共に示す斜視図である。
図13】梁直交接合具を用いて梁としての主材同士を接合している状態を示す斜視図である。
図14】梁直交接合具を用いて梁としての主材同士を接合した状態を示す斜視図である。
図15】連結補助具としての梁連続接合具の形態の一例を、梁としての主材と共に示す斜視図である。
図16図15とは別の形態の梁連続接合具を、梁としての主材および支柱としての主材と共に示す斜視図である。
図17】連結補助具としての片持取付具の形態の一例を、支柱としての主材と共に示す斜視図である。
図18】片持取付具を、支柱としての主材および梁としての主材に取り付けている状態を示す斜視図である。
図19】連結補助具としての斜め支持材の形態の一例を、支柱としての主材、梁としての主材および片持取付具と共に示す斜視図である。
図20】片持ち梁構造の部分に片持取付具および連結補助具を取り付けた状態を示す正面図である。
図21】連結補助具としての梁固定具の形態の一例を、梁としての主材と共に示す斜視図である。
図22】梁固定具を取り付けた主材を設置面に固定している状態を示す斜視図である。
図23】連結補助具としての装置取付具の形態の一例を、梁としての主材と共に示す斜視図である。
図24】装置取付具を用いて梁としての主材に散気装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1図3は本発明の実施による散気装置の架台構造を構成する主材の形態の一例を示している。主材1は、図1に示す如き略四角柱状の中空の部品であり、長手方向に沿って延びる4側面のうち、互いに対向する2側面には溝部2が設けられている(以下、本明細書では、柱状の形状をなす主材のうち、長手方向と直交する2面を「端面」、主材の長手方向に沿って延びる残りの面を「側面」と称する。また、四角柱状の主材の有する4つの側面のうち、溝部の設けられた2面を「第一側面」、残りの2面を「第二側面」と称することとする)。両端面は開放されており、主材1は全体として管状をなしている。
【0022】
溝部2は、互いに対向する第一側面3の各々において、該第一側面3から内側へ凹むように設けられた部分であり、各第一側面3の幅方向における中央部に、長手方向の全長にわたって設けられている。溝部2の縁には、第一側面3の幅方向における中央部に向かって突出する鍔部2aが設けられている。
【0023】
主材1は、図3に示す如く一対の半割体4同士を組み合わせることで構成されており、主材1を構成する各面のうち第二側面5の幅方向における中央部には、半割体4同士を組み合わせるための係合部6が、長手方向に沿って設けられている。すなわち、半割体4は、図1図2に示す主材1を、溝部2同士の間にあたる第二側面5に設けた係合部6において分割した部品に相当する。
【0024】
一個の半割体4は、第二側面5にあたる面(第二側面5を幅方向に関して中央で半分に分割した面)を2面備えているが、そのうち一方には、互いに係合する係合部6のうち第一係合部6aが、他方には、第一係合部6aと係合する第二係合部6bが設けられている。第一係合部6aは、半割体4に設けられた一方の第二側面5の端部(二個の半割体4を組み合わせて構成された主材1の第二側面5においては幅方向中央にあたる部分)から内側に向かって折れ込んだ板状の部分であり、半割体4の長手方向の全長にわたって設けられている。第二係合部6bは、半割体4に設けられた他方の第二側面5の端部から、第一係合部6aと同様に内側に向かって折れ込んだ板状の部分であるが、第二側面5の端部から折れ込んだ先でさらに折り返してU字状の断面をなしている。第二係合部6bのU字状の断面形状を構成する2枚の板状の部分同士の隙間は、第一係合部6aを構成する板をちょうど一枚挟み込めるだけの寸法に設定されている。
【0025】
図1図2に示す如く一対の半割体4を組み合わせて一個の主材1を構成する際には、一方の半割体4の第一係合部6aに他方の半割体4の第二係合部6bが接触し、他方の半割体4の第一係合部6aに一方の半割体4の第二係合部6bが接触するよう、二個の半割体4を配置する。そして、一方の半割体4の第二係合部6bに他方の半割体4の第一係合部6aを挟み込み、且つ他方の半割体4の第二係合部6bに一方の半割体4の第一係合部6aを挟み込むようにして両者を係合させる。第一係合部6aおよび第二係合部6bを構成する板状の部材には、互いに対応する位置に長手方向に沿ってリブ6c,6dが設けられており、半割体4同士を組み合わせた状態においては、このリブ6c,6dが互いに嵌合することにより、係合の強度が高められるようになっている。
【0026】
一対の半割体4同士を組み合わせる際には、一方の半割体4に対し、他方の半割体4を長手方向にスライドさせるように動かし、互いの第二係合部6bに互いの第一係合部6aを挟み込んでいけばよい。
【0027】
このような構成を有する主材1は、長手方向に関し任意の寸法にて形成し、あるいは長手方向における任意の位置で切断し、後述する架台の構築において適当な長さの部材として使用することができる。尚、本実施例の主材1において、溝部2および係合部6は上に述べた通り長手方向の全長にわたって設けられているので、主材1の長手方向に直交する断面は、すべて図2に示す端面と同じ形状となる。主材1は、各種の素材・製法により製造することができるが、例えば金属板を素材とし、これを屈曲させるロールフォーミングと呼ばれる方法により製造することができる。
【0028】
以上の如き主材1を用いた散気装置の架台の構築について説明する。以下に述べるように、簡単な構成の各種の連結補助具(支柱固定具20、支柱梁接合具21,22、梁直交接合具23、梁連続接合具24,25、片持取付具26、斜め支持材27)を適宜用いて主材1を設置面に固定し、さらに主材1同士を縦横に組み合わせることにより、例えば図4に示す如き架台100を組み立て、ここに散気装置200を取り付けて支持することができる。架台100において、主材1は水平方向に沿って延びる梁として、また、鉛直方向に沿って延びる支柱として機能する。
【0029】
尚、本明細書では便宜上、建築物における「梁」や「柱」の本来の定義にかかわらず、水平方向に沿って設置される主材を「梁」、鉛直方向に沿って設置される主材を「支柱」と、それぞれ必要に応じて呼称する。また、以下では部材や、部材のなす面等に関し、「水平方向に沿って」とか「鉛直方向に沿って」といった表現がしばしば登場するが、それらは必ずしも部材等の向きが水平方向や鉛直方向と正確に一致することを意味しない。架台としての実用上、あるいは人の一般的な感覚上、水平とか鉛直と表して差し支えない程度に、水平方向や鉛直方向に近い、といった程度の意味である。また、「直交」という表現についても同様である。
【0030】
連結補助具を用いて主材1同士を組み合わせる際には、以下に述べるように、互いの溝部2同士が対向し、あるいは隣り合うよう、組み合わせる主材1同士を配置し、該溝部2同士の間を適当な連結補助具で連結する。ここで、「互いの溝部2同士が対向し、あるいは隣り合う」とは、以下に説明する各図に示すように、連結に係る一対の主材1の溝部2を備えた第一側面3同士が互いに向かい合うこと、あるいは、連結に係る一対の主材1の溝部2が長手方向に連続して配列すること、また、連結に係る一対の主材1の第一側面3のなす面同士が交差する位置関係にあり、各第一側面3に設けられた溝部2同士が交差する位置関係にあることを指す。そして、連結補助具は、こうした位置関係にある一対の溝部2に対しそれぞれ連結されることにより、主材1同士を連結する。また、支柱としての主材1を設置面に固定する場合や、梁としての主材1に散気装置200を取り付ける場合なども、溝部2に連結補助具を取り付けて利用する。
【0031】
(I)支柱の設置
【0032】
架台100の設置対象である曝気槽の底面などの設置面に対し、支柱としての主材1を固定する場合、例えば図5に示す如き連結補助具(支柱固定具)20を用いる。支柱固定具20は、設置状態において水平方向に沿った面をなす長方形の板状の土台部20aと、該土台部20aの対向する各長辺の長手方向における中間部から上方へ突出する2枚の板状の取付部20bを備えている。土台部20aの長手方向における両端寄りの位置には、それぞれ土台部20aを上下に貫通するように固定孔20cが設けられている。
【0033】
一対の取付部20b同士は、土台部20aを幅方向に挟んで対向する。各取付部20bの幅、および取付部20b同士の間の距離は、主材1の2つの第一側面3に設けられた溝部2に対応しており、各取付部20bを、2つの第一側面3に設けられた各溝部2に同時に差し込むことができるようになっている。ここで、取付部20bの幅は、溝部2に差込み可能な寸法であるが、溝部2の縁に設けられた鍔部2a同士の間隔よりは大きく設定されている。また、固定孔20c同士の間隔は、主材1の第二側面5同士の間隔よりは広く設定されており、固定孔20cに取り付けられた固定具が取付部20bに対する主材1の取付けを妨げないようになっている。
【0034】
各取付部20bには、取付孔20dが板状の取付部20bを厚み方向(取付部20b同士の対向する方向)に貫通するよう、上下に2個ずつ備えられている。取付孔20dの内周面にはねじ溝が形成されており、後述するように締結具としてのボルト10を挿入して締め込むことができるようになっている。
【0035】
設置面に支柱としての主材1を固定するには、まず設置面に固定具(設置面に架台100を固定するための部品。例えば、アンカーボルト)用の穴を設ける。この穴は、支柱固定具20の固定孔20cの位置に対応するように設ける。この穴の位置に土台部20aの固定孔20cが重なるよう、設置面に支柱固定具20を配置し、図6に示すように固定孔20cに固定具としてのアンカーボルト7を通して締め込み、支柱固定具20を設置面に固定する。
【0036】
この状態においては、一対の取付部20bが設置面から突出する。この突出した各取付部20bを、2個の溝部2にそれぞれ差し込む形で、主材1の端面を下に向け、主材1を鉛直方向に沿って配置する。溝部2に差し込まれた取付部20bの各取付孔20dに、締結具としてのボルト10を挿入して締め込む。この際、必要に応じ、溝部2に設けた鍔部2a同士の間隔よりも径の大きいワッシャ8を座面として使用する(尚、図5に示したワッシャ8のうち、8aの符号を付したワッシャはスプリングワッシャ、8bの符号を付したワッシャが座面としてのワッシャである)。一方、溝部2に差し込まれた取付部20bの幅は、溝部2に設けた鍔部2a同士の間隔よりも大きく設定されている。ボルト10を締め込むと、溝部2に設けられた鍔部2aが座面としてのワッシャ8bと取付部20bの間に挟み込まれ、これにより主材1が支柱固定具20に取り付けられる。こうして、図6の下部に示す如く、支柱としての主材1が支柱固定具20により設置面に固定される。
【0037】
(II)支柱と梁の接合(1)
【0038】
支柱としての主材1に対し、梁としての主材1を接合する場合、例えば図7に示す如き連結補助具(支柱梁接合具21)を用いる。支柱梁接合具21は、長方形の板状の部材が、互いに直交する2面をなすようL字状に折れ曲がった形状の部品であり、一方の面をなす梁取付部21aには一個の取付孔21bが、他方の面をなす支柱取付部21cには二個の取付孔21dが、それぞれ梁取付部21aまたは支柱取付部21cを厚み方向に貫通するように設けられている。支柱取付部21cにおいて、二個の取付孔21dは、梁取付部21aに対し支柱取付部21cが延びる向きに沿って並んでいる。
【0039】
支柱としての主材1に梁としての主材1を接合するには、例えば図8に示す如く、梁としての主材1の溝部2に、支柱梁接合具21を2個取り付ける。各支柱梁接合具21は、主材1に2本設けられている溝部2のうち同じ溝部2(設置状態において下側に位置する溝部2)に、該溝部2の設けられた第一側面3に梁取付部21aが接し、且つ、2個の支柱梁接合具21が、互いに支柱取付部21cを対向させる向き(溝部2の延びる向きに関し、2つの梁取付部21aの内側に2つの支柱取付部21cが位置する向き)に取り付ける。梁としての主材1の第一側面3から、2個の支柱梁接合具21の支柱取付部21cが、主材1の長手方向と直交する向きに沿った面をなして突出する形である。ここに、2個の支柱取付部21cに挟む形で、支柱としての主材1を接合する。
【0040】
支柱としての主材1は、梁としての主材1に対し、該梁としての主材1の第一側面3に上端部の端面を接し、且つ、梁としての主材1の下側に位置する第一側面3と、支柱としての主材1の両側に第一側面3が隣り合い、該第一側面3に設けられた溝部2同士が交差する形で直交する。支柱としての主材1の両側の第一側面3には、それぞれ支柱梁接合具21の支柱取付部21cが接し、取付孔21dと溝部2に挿入される締結具としてのボルト10により、支柱としての主材1と、支柱梁接合具21が互いに固定される。梁としての主材1の下側に位置する第一側面3には、2個の支柱梁接合具21の梁取付部21aが接し、取付孔21bと溝部2に挿入される締結具としてのボルト10により、梁としての主材1と、支柱梁接合具21が互いに固定される。
【0041】
接合にあたっては、例えば、まず2個の支柱梁接合具21の梁取付部21aと支柱取付部21cに設けられた各取付孔21b,21dに、それぞれ締結具であるボルト10、ワッシャ8、ナット9を仮留めしておく。梁取付部21a、支柱取付部21cには、例えばボルト10の頭が主材1の溝部2側に位置するように、ボルト10、ワッシャ8、ナット9を取り付ける。
【0042】
その状態で、まず梁取付部21aに仮留めした締結具のうち、梁としての主材1側に突出した部分(ボルト10の頭)を、梁としての主材1の溝部2に通し、支柱梁接合具21を梁としての主材1に配置する。ここで、溝部2に差し込むボルト10としては、頭が溝部2において回転せず、且つ溝部2から軸方向に脱落しないような寸法、すなわち、頭の最小径が溝部2の幅以下で、且つ溝部2に設けた鍔部2a同士の間隔よりは大きく、しかも最大径が溝部2の幅より大きい寸法のボルトを使用する。
【0043】
続いて、支柱取付部21cに仮留めした締結具のうち、支柱としての主材1側に突出した部分(ボルト10の頭)を、支柱としての主材1の溝部2に通すように、支柱としての主材1を支柱取付部21c同士の間にスライドさせて配置する。その状態で、梁取付部21a、支柱取付部21cの各締結具(ナット9)を締め込む。尚、必要に応じ、各締結具において抜け止め用の座面としてのワッシャをさらに使用してもよい。また、ここに示した各締結具の向きはそれぞれ逆としてもよい。
【0044】
こうして、2個の支柱梁接合具21は、梁取付部21aを梁としての主材1の溝部2に取り付けられ、支柱取付部21cを支柱としての主材1の溝部2に取り付けられ、これにより、図6の上部に示す如く、支柱としての主材1に、梁としての主材1が直交する形で互いを接合する。互いに接合される主材1同士は、第一側面3のなす面同士が直交し、各第一側面3に設けられた溝部2同士が直交する位置関係に配置され、この溝部2同士が接する位置に支柱梁接合具21が取り付けられる。梁としての主材1は、溝部2の設けられた2個の第一側面3を上下に向ける姿勢で、支柱としての主材1の上端部に接合される。
【0045】
(III)支柱と梁の接合(2)
【0046】
支柱としての主材1に対し、梁としての主材1を接合する場合において、高さの調節をしたい場合には、例えば図9に示す如き連結補助具(支柱梁接合具)22を用いる。図4に示す如き散気装置の架台100においては、梁としての主材1に散気装置200が設置されるが、散気装置200が設置される主材1の向きは、極力水平に近いことが望ましい。散気装置200から供給される気泡は、方形をなす散気装置200の上面から気泡として放出されて上方へ移動するが、その際、水平断面における気泡の分布に偏りがあると、気泡の分布が密な領域で気泡同士が合体し、気泡の体積に対する表面積が小さくなって酸素溶解効率が低下するといったことが起こりやすい。散気装置200による曝気を効率よく行うためには、散気装置200を水平に設置し、その水平面から空気を供給することで、液中を上昇する気泡の分布を均等にし、気泡径を小さく保つのが良いのである。一方、架台100が設置される設置面の状況は様々であり、場所によって高さが異なる場合もあり得る。そういった場合には、支柱の高さを場所によって変更すれば梁を水平に支持できるが、その他に、支柱に対する梁の取付け高さを容易に調節できれば、より便利である。
【0047】
支柱梁接合具22は、支柱としての主材1に梁としての主材1を接合する際、支柱としての主材1に対する梁としての主材1の取付け高さを調節できるように設計された部品である。支柱梁接合具22は、図9に示す如く、梁取付部22aと、調節取付部22bとを備えている。調節取付部22bは、互いに直交する3面をなすよう形成された板状の部材であり、調節取付部22bを構成する3つの面は、互いに同じ長手方向に伸びている。すなわち、調節取付部22bの長手方向に直交する断面は、前記3つの面によりU字状、ないしコの字形をなしている。
【0048】
調節取付部22bを構成する3面のうち、互いに対向する2面は、支柱としての主材1を取り付ける支柱取付部22cとして構成されており、その幅方向における中央部には、それぞれ2個の取付孔22dが、支柱取付部22cを厚み方向に貫通するように設けられている。各支柱取付部22cにおいて、2個の取付孔22dは、支柱取付部22cの長手方向に配列している。
【0049】
調節取付部22bを構成する3面のうち残りの1面は、支柱取付部22c同士を適当な間隔で連結する連結部22eとしての機能を果たす。後述するように、支柱梁接合具22は、2個の支柱取付部22cがそれぞれ支柱としての主材1の第一側面3に接するように設置されるが、その際、連結部22eが支柱取付部22c同士を適当な間隔で連結していることにより、調節取付部22bを構成する3面が主材1の3側面をスリーブ状に覆い、これにより、支柱梁接合具22を主材1に対しスムーズに取り付けることができる。
【0050】
梁取付部22aは、一対の板状の部材であり、支柱取付部22cの長手方向における一端から、支柱取付部22cのなす面と直交する面をなし、且つ一対の支柱取付部22c同士の対向する向きに関して外側に突出するように設けられている。梁取付部22aの中央部には、それぞれ1個の取付孔22fが設けられている。
【0051】
つまり、ここに示す支柱梁接合具22は、図7に示した支柱梁接合具21のうち、支柱取付部21cを長く伸ばし、且つ、そのように形成した支柱梁接合具を2個、連結部22eにより適当な間隔で連結した部品に等しい。
【0052】
接合にあたっては、例えば、まず支柱梁接合具22の一対の支柱取付部22cに設けられた各取付孔22dに、それぞれ締結具であるボルト10、ワッシャ8、ナット9を仮留めしておく。図9には、ボルト10の頭が梁としての主材1の溝部2側(対向する支柱取付部22cの内側)に位置するよう、取付孔22dに各締結具を取り付けた状態を示したが、ボルト10とナット9の向きは逆でもよい。
【0053】
この状態では、対向する一対の支柱取付部22cの内側に締結具(ボルト10の頭)が突出している。ここに突出した締結具を、支柱としての主材1に設けられた2個の溝部2にそれぞれ差し込み、3つの面をなす調節取付部22bが支柱梁接合具22の3側面を覆う形(支柱取付部22cが2つの第一側面3とそれぞれ接し、連結部22eが1つの第二側面5と接する形)で、支柱梁接合具22を主材1に対しスライドさせていく。この際、支柱梁接合具22の向きは、梁取付部22aが上(最終的な設置方向における上方)に位置するようにする。支柱梁接合具22は、主材1に対し長手方向に沿って自在にスライドさせることができるので、支柱梁接合具22が長手方向に関し主材1に対し適当な位置に支持した状態で、各取付孔22dに取り付けた締結具を締め込み、支柱梁接合具22を主材1に対し固定する。
【0054】
続いて図10に示す如く、ここに梁としての主材1を接合する。支柱としての主材1に支柱梁接合具22を取り付けた状態において、支柱梁接合具22の上部には一対の梁取付部22aが位置しているので、ここに梁としての主材1を固定する。
【0055】
主材1の一方の溝部2に、支柱梁接合具22の梁取付部22aに設けられた取付孔22fの個数に対応する数(2個)のボルト10の頭を差し込み、該ボルト10の先端部は溝部2から外側へ突出させる。このボルト10の先端は、それぞれ梁取付部22aの取付孔2fに挿入し、ここにワッシャ8とナット9を取り付ける。この状態で、梁としての主材1は、支柱梁接合具22に対し溝部2の向きに沿って自在にスライドさせることができるので、梁としての主材1を支柱梁接合具22に対し適当な位置に支持した状態で、梁取付部22aに取り付けた各締結具を締め込み、支柱梁接合具22に対し梁としての主材1を固定する。
【0056】
こうして、支柱梁接合具22は、一対の梁取付部22aを梁としての主材1の溝部2に取り付けられ、一対の支柱取付部22cを支柱としての主材1の溝部2に取り付けられ、これにより、図11に示す如く、支柱としての主材1に、梁としての主材1が直交する形で互いを接合する。互いに接合される主材1同士は、第一側面3のなす面同士が直交し、各第一側面3に設けられた溝部2のなす直線同士が直交する位置関係で、互いにやや離れた位置に配置され、その間を繋ぐように支柱梁接合具22が取り付けられる。梁としての主材1は、溝部2の設けられた2個の第一側面3を上下に向ける姿勢で、支柱としての主材1の上端部に接合される。ここで、支柱梁接合具22は、支柱としての主材1に対する取付け高さを調節できるので、梁としての主材1を適当な高さで支持することができる。
【0057】
(IV)梁同士の直交接合
【0058】
梁としての主材1同士を直交させて接合する場合には、例えば図12図14に示す如き連結補助具(梁直交接合具)23を用いる。梁直交接合具23は、全体として八角形をなす板状の部材であり、隅には正方形の4頂点をなす位置にそれぞれ取付孔23aが設けられている。4個の取付孔23aは、互いに正方形の対角をなす2個同士の距離が、主材1の第一側面3の幅より大きくなるよう配置されている。この梁直交接合具23を間に挟み、図14に示す如く、2本の主材1同士を、溝部2同士が対向するよう上下に積み重ねる形で接合する。
【0059】
梁としての各主材1は、それぞれ溝部2を設けた第一側面3を上下に向けた姿勢で互いに接合される。接合にあたっては、まず図12に示す如く、一方の主材1のうち、他方の主材1と接合する側の溝部2に、締結具であるボルト10を2個通す。この際、ボルト10の頭が溝部2内に位置し、該ボルト10の先端が溝部2から外側へ突出するようにボルト10を配置する。
【0060】
溝部2から突出したボルト10の先端を、梁直交接合具の取付孔23aに通し、さらに締結具であるワッシャ8、ナット9を取り付けて締め込む。ここで、ボルト10を通す取付孔23aは、正方形の4頂点をなす4個の取付孔23aのうち、対角をなす2個の取付孔23aとする。
【0061】
続いて図13に示す如く、他方の主材1にも、一方の主材1と接合する側の溝部2に2個のボルト10を通す。ボルト10は、頭が溝部2内に位置し、先端が溝部2から外側へ突出するように配置する。これらのボルト10の先端を、梁直交接合具の残った取付孔23aに通し、締結具であるワッシャ8、ナット9を取り付けて締め込む。
【0062】
ここで、4個の取付孔23aは上述の通り、互いに対角をなす2個同士の距離が、主材1の第一側面3の幅より大きく設定されている。これにより、対角をなす2個の取付孔23aに一方の主材1を取り付けた状態において、さらに他方の主材1を配置するにあたり、前記2個の取付孔23aが他方の主材1の幅方向外側に位置することになるので、前記2個の取付孔23aに取り付けられた締結具が他方の主材1と干渉することはない。また、残った2個の取付孔23aに他方の主材1を取り付ける際にも、該2個の取付孔23aは一方の主材1の幅方向外側に位置しているので、一方の主材1が締結具の取付けの妨げになることはない。
【0063】
こうして、梁直交接合具は、溝部2同士が対向するように配置された梁としての主材1同士の間に挟み込まれ、取付孔23aのうち一部を一方の主材1の溝部2に、取付孔23aのうち別の一部を他方の主材1の溝部2にそれぞれ取り付けられ、これにより、図14に示す如く、2本の梁としての主材1が平面視で直交する形で互いを接合する。
【0064】
尚、ここでは梁直交接合具に正方形の4頂点をなすよう4個の取付孔23aを設けた場合を例示したが、このような形で梁としての主材1同士を接合する場合、取付孔の設置数はこれより多くしてもよい。取付孔は、互いに対角をなすよう、且つそれらの間の距離が主材1の幅より大きくなるよう、最低4個が設けられていればよく、例えばその4個に加え、対角をなす取付孔の外側に、さらに別の取付孔が設けられていてもよい。また、前記4個の取付孔の配置は必ずしも正方形である必要もない。
【0065】
(V)梁同士の接続(1)
【0066】
梁としての主材1同士を長手方向に接続したい場合には、例えば図15に示す如き連結補助具(梁連続接合具)24を用いる。梁連続接合具24は、細長い板状の部材であり、長手方向における両端部に2個ずつ、計4個の取付孔24aが、梁連続接合具24を厚み方向に貫通するように設けられている。4個の取付孔24aは、梁連続接合具24の長手方向に沿って配列している。梁連続接合具24の幅は、主材1の溝部2の縁に設けられた鍔部2a同士の距離よりは広く、溝部2における鍔部2a以外の部分の幅よりは狭く設定されており、梁連続接合具24を主材1の溝部2に対し、長手方向および幅方向の向きが一致するように差し込むことができるようになっている。取付孔24aの内周面には、締結具としてのボルト10を挿入して締め込むためのねじ溝が形成されている。
【0067】
接合にあたっては、2本の主材1の下側に位置する第一側面3の溝部2に、それぞれ梁連続接合具24の端部を差し込み、主材1の端面同士を当接させる。この状態では、2本の主材1の下側の溝部2に、梁連続接合具24の取付孔24aが露出する。一方の主材1においては、梁連続接合具24の一端側に設けられた2個の取付孔24aが露出し、他方の主材1においては、梁連続接合具24の他端側に設けられた2個の取付孔24aが露出する。これらの各取付孔24aに、締結具としてのボルト10を、ワッシャ8を適宜挟み込みながら挿入して締め込む。
【0068】
こうして、梁連続接合具24は、長手方向に互いに連続する向きで配置された一対の主材1同士を長手方向に跨ぐよう、一対の主材1の溝部2に挿し込まれ、一端側の取付孔24aの一部を一方の主材1に、別の取付孔23aを他方の主材1にそれぞれ連結され、これにより、2本の梁としての主材1が長手方向に連続する形で互いを接続する。梁連続接続具24は、素材の物性を考慮し、架台の構成部品として十分な強度を保ち得る寸法に設定されており、架台の使用状況において、梁としての主材1同士を接続する部分に加わる荷重を好適に支持する。
【0069】
(VI)梁同士の接続(2)
【0070】
上記(V)では、支柱としての主材1が設置されていない場所における梁としての主材1同士の接続を説明した。支柱としての主材1が設置されている場所において、梁としての主材1同士を長手方向に接続したい場合には、例えば図16に示す如き連結補助具(梁連続接合具)25を用いる。梁連続接合具25は、細長い板状の部材であり、長手方向における両端部に2個ずつ、計4個の取付孔25aが、梁連続接合具25を厚み方向に貫通するように設けられている。4個の取付孔25aは、梁連続接合具25の長手方向に沿って配列している。梁連続接合具25の幅は、主材1の溝部2の縁に設けられた鍔部2a同士の距離よりは広く、溝部2における鍔部2a以外の部分の幅よりは狭く設定されており、梁連続接合具25を主材1の溝部2に対し、長手方向および幅方向の向きが一致するように差し込むことができるようになっている。取付孔25aの内周面には、締結具としてのボルト10を挿入して締め込むためのねじ溝が形成されている。
【0071】
このように、梁連続接合具25は、図15に示した梁連続接合具24とほぼ同様の構成を備えた部材であるが、図15の梁連続接合具24とは長手方向の寸法が若干異なっており、支柱としての主材1、および支柱梁接合具21,22(図7図11)の寸法に合わせた寸法を有する。具体的には、4個の取付孔25aのうち、長手方向に関して内側に位置する2個の取付孔25a同士の距離が、図16に示す如く、支柱としての主材1の上端部に取り付けられた支柱梁接合具21の梁取付部21aの取付孔21b同士の距離と一致するように設定されている(尚、ここでは図7図8の支柱梁接合具21を図示したが、図9図11の支柱梁接合具22の梁取付部22aにおける取付孔22f同士の距離も、上に述べた取付孔25a同士の距離、および取付孔21b同士の距離と同じであり、次に述べる手順と同様の手順で取付けを行うことができる)。
【0072】
接合にあたっては、2本の主材1の下側に位置する第一側面3の溝部2に、それぞれ梁連続接合具25の端部を差し込み、主材1の端面同士を当接させる。この状態では、2本の主材1の下側の溝部2に、梁連続接合具25の取付孔25aが露出する。一方の主材1においては、梁連続接合具25の一端側に設けられた2個の取付孔25aが露出し、他方の主材1においては、梁連続接合具25の他端側に設けられた2個の取付孔25aが露出する。
【0073】
ここに、上端部の両第一側面3に支柱梁接合具21を取り付けた支柱としての主材1の端面を宛てがい、梁連続接合具25の長手方向における内側に位置する2個の取付孔25aと、一対の梁取付部21aに設けられた取付孔21bの位置を一致させる。この状態で、計4個の各取付孔25aに、締結具としてのボルト10を挿入して締め込む。この際、梁連続接合具25の長手方向における内側に位置する2個の取付孔25aに関しては、支柱梁接合具21の梁取付部21aが座面として機能するので、座面としてのワッシャ8bは必要ない。外側に位置する2個の取付孔25aに関しては、連結対象である主材1の溝部2のうち、支柱梁接合具21のない部分に締め込むので、座面としてのワッシャ8bを必要に応じて使用する。
【0074】
こうして、梁連続接合具25は、長手方向に互いに連続する向きで配置された一対の主材1同士を長手方向に跨ぐよう、一対の主材1の溝部2に挿し込まれ、一端側の取付孔25aの一部を一方の主材1に、別の取付孔23aを他方の主材1にそれぞれ連結され、これにより、2本の梁としての主材1が長手方向に連続する形で互いを接続する。
【0075】
尚、ここでは梁連続接合具24,25にそれぞれ4個の取付孔24a,25aを設けた場合を例示したが、このような形で梁としての主材1同士を接合する場合、取付孔の設置数は2個以上が長手方向に沿って設置されていればよく、4個より多くても少なくてもかまわない。
【0076】
(VII)片持ち梁の設置
【0077】
図4に示す如き架台100において、梁としての主材1に散気装置200のような重量物を設置する場合、梁としての主材1は、長手方向に関し被支持物(散気装置200)の両側において支柱としての主材1に接合されることが構造力学上、最も望ましい。しかしながら、設置面の状況等によっては、必ずしもそのような位置に支柱としての主材1を設置できない場合もあり得る。そういった場合、支柱としての主材1に対し、梁としての主材1を片持ちで支持することもできる。
【0078】
支柱としての主材1に対し、梁としての主材1を片持ちで接合する場合、連結補助具として、例えば図17図20に示す如き片持取付具26、および斜め支持材27を用いる。
【0079】
片持取付具26は、図17に示す如く、長方形の板状の土台部26aと、該土台部26aの一長辺の中間部から折れて立ち上がり、土台部26aのなす面と直交し且つ土台部26aの長手方向に沿った面をなす板状の取付部26bを備えている。土台部26aの長手方向における両端部には、それぞれ土台部26aを厚み方向に貫通するように計2個の取付孔26cが設けられている。取付部26bの中央部には、該取付部26bを厚み方向に貫通するように1個の取付孔26dが設けられている。
【0080】
斜め支持材27は、図19に示す如く、互いに直交する2面をなすようL字状に折れ曲がった板状の部品であり、L字状の断面と直交する方向に細長く延びている。互いに直交する2面のうち1面には、長手方向における両端部に、計2個の取付孔27aが部材を厚み方向に貫通するように設けられている。
【0081】
片持取付具26は、梁としての主材1が支柱としての主材1に片持ちされた片持ち構造部において、梁としての主材1と支柱としての主材1に各1個、計2個を取り付け、この2個の片持取付具26の間を渡すように斜め支持材27を取り付ける。これにより、片持ちされた梁としての主材1に加わる荷重を、斜め支持材27を介して支柱としての主材1に伝達し、梁としての主材1を好適に支持することができる。
【0082】
片持ち梁構造の部分に斜め支持材27を取り付けるには、まず図17図18に示す如く、支柱としての主材1と、梁としての主材1にそれぞれ片持取付具26を取り付ける。梁としての主材1における片持取付具26の取付位置は、支柱としての主材1から片持ち梁として突出した部分の下側にあたる第一側面3である。支柱としての主材1における片持取付具26の取付位置は、片持ち梁として突出した主材1と向かい合う側の第一側面3である。
【0083】
これらの主材1の第一側面3の溝部2に、締結具としてのボルト10を、各片持取付具26の土台部26aに設けられた取付孔26cの数(各2個)だけ差し込む。ボルト10の向きは、頭が溝部2内に位置し、先端が溝部2から外側へ突出する向きとする。溝部2から突出したボルト10の先端を、片持取付具26の土台部26aに設けられた取付孔26cにそれぞれ通し、さらに締結具としてのワッシャ8、ナット9を取り付けて締め込む。こうして、片持取付具26を梁および支柱としての主材1にそれぞれ取り付ける。
【0084】
梁としての主材1と、支柱としての主材1にそれぞれ取り付けられた片持取付具26は、図19に示す如く、各主材1の第一側面3から取付部26bをそれぞれ突出させた状態である。ここに、斜め支持材27を取り付ける。斜め支持材27の長手方向における両端部に設けられた取付孔27aを利用し、斜め支持材27の端部を2個の片持取付具26にそれぞれ連結する。斜め支持材27の取付孔27aのうち、一方の位置を支柱としての主材1に取り付けられた片持取付具26の取付孔26dに、他方の位置を梁としての主材1に取り付けられた片持取付具26の取付孔26dに、それぞれ合わせる。斜め支持材27に設けられた取付孔27aと、片持取付具26の取付孔26dを貫通するようにボルト10を挿入し、ワッシャ8とナット9を取り付けて締め込む。尚、斜め支持材27を取り付ける際には、2個の片持取付具26のうち少なくとも一方の取付部26bにおいて取付孔26cの締結具を仮留めしておき、斜め支持材27の長さに応じて片持取付具26を溝部2に沿ってスライドさせ、位置を調整するとよい。こうして、図20に示す如く、片持ち構造部を構成する支柱および梁としての主材1に、片持取付具26を介して斜め支持材27が取り付けられる。
【0085】
(VIII)設置面への梁の設置
【0086】
設置面の高さが場所によって異なるなど、設置面の条件によっては、梁としての主材1を、支柱を介さずに設置面に対し固定したい場合がある。こういった場合、例えば図21に示す如き連結補助具(梁固定具)28を用いる。梁固定具28は、長方形状の板状の部材であり、長手方向における両端寄りの位置には、それぞれ梁固定具28を上下に貫通するように固定孔28aが設けられている。梁固定具28の長手方向における中間部で且つ幅方向における両端寄りの位置には、それぞれ梁固定具28を上下に貫通するように取付孔28bが設けられている。固定孔28a同士の間隔は、主材1の第一側面3の幅よりは広く設定されており、後述するように取付孔28bを用いて梁固定具28を主材1に取り付けた状態において、主材1が固定孔28aに対する固定具の取付けを妨げないようになっている。
【0087】
設置面に梁としての主材1を固定する場合、まず主材1の一方の第一側面3(設置状態において下側に位置する第一側面3)に設けられた溝部2に、締結具としてのボルト10を、梁固定具28に設けられた取付孔28bの数(2個)だけ通す。ボルト10の向きは、頭が溝部2内に位置し、先端が溝部2から外側へ突出する向きとする。溝部2から突出したボルト10の先端を、梁固定具28に設けられた取付孔28bにそれぞれ通し、さらに締結具としてのワッシャ8、ナット9を取り付けて締め込む。こうして、梁固定具28を梁としての主材1の溝部2に取り付ける。
【0088】
固定具(例えば、アンカーボルト)用の穴を設けた設置面に、梁固定具28を取り付けた第一側面3を下に向け、主材1を水平方向に沿って設置する(図22参照)。固定具用の穴の位置に固定孔28aが重なるよう、設置面に主材1と共に梁固定具28を配置し、固定孔28aに固定具としてのアンカーボルト7を通して締め込み、梁固定具28を設置面に取り付ける。こうして、設置面に梁としての主材1が梁固定具28により固定される。
【0089】
(IX)散気装置の設置
【0090】
以上の如き各種の連結補助具を用いて組み立てた架台100(図4参照)に散気装置200を配置する場合、水平方向に沿って配置された梁としての主材1の上面に、例えば図23に示す如き連結補助具(装置取付具)29をさらに用いて散気装置200を取り付ける。
【0091】
装置取付具29は、図23に示す如き長方形状の一枚の板を屈曲して形成された板状の部材であり、主材1に取り付けられる土台部29aと、散気装置200を保持する保持部29bを備えている。土台部29aと保持部29bは、互いに平行な面をなしており、土台部29aと保持部29bの相互間は段差部29cを介して接続されている。すなわち、方形をなす土台部29aの一辺からは、段差部29cが土台部29aと直交する面をなして折れ曲がるように立ち上がり、該段差部29cは、その先端側において土台部29aと反対側へ、土台部29aと平行な面(保持部29b)をなすように折れ曲がっている。装置取付具29は、土台部29aと保持部29bのなす面が水平方向に沿い、且つ土台部29aに対し保持部29bが上に位置する姿勢で、梁としての主材1の上面に取り付けられる。
【0092】
土台部29aの中央部には、土台部29aを厚み方向に貫通するように取付孔29dが設けられている。取付孔29dは長孔状に形成されており、土台部29aと保持部29bとを結ぶ向きに長手方向が沿うように設けられている。
【0093】
散気装置200は、図4図24に示す如き長方形状の枠を備えた薄い方形の装置である。装置取付具29において、土台部29aの下面に沿った平面と、保持部29bの下面に沿った平面との距離は、散気装置200の枠の厚みに等しく設定されており、次に述べるように、土台部29aを梁としての主材1に取り付けた状態で、保持部29bと主材1の間に散気装置200の枠を保持できるようになっている。
【0094】
散気装置200は、架台100に対し、長手方向における両端部を、散気装置200の幅方向が梁としての主材1の長手方向に沿う姿勢で配置される。そして、主材1に載せられた散気装置200の端部の幅方向における両側が、装置取付具29により主材1に対し取り付けられる。すなわち、一台の散気装置200に対し、装置取付具29は長手方向における両端に2個ずつ、計4個が取り付けられる。
【0095】
梁としての主材1に散気装置200を固定するには、まず設置対象である主材1の上側にあたる第一側面3に設けられた溝部2に、締結具としてのボルト10を、主材1に対して取り付ける装置取付具29の取付孔29dの数(1本の主材1に対し取り付けられる1台の散気装置200あたり、2個)だけ通す。各ボルト10の向きは、頭が溝部2内に位置し、先端が溝部2から外側へ突出する向きとする。溝部2から突出したボルト10の先端を、装置取付具29の土台部29aに設けられた取付孔29dに通し、さらに締結具としてのワッシャ8、ナット9を取り付ける。このとき、締結具は、主材1および装置取付具29に対し仮留めしておく。
【0096】
梁としての主材1に対し、散気装置200を適当な位置に配置する。1台の散気装置200に対し、1本の主材1につき2個、締結具が仮留めされた状態で取り付けられた装置取付具29を、主材1の溝部2に沿ってスライドさせ、散気装置200の幅方向に関して両側に移動させる。そして、各装置取付具29を、散気装置200の枠の上に保持部29bが位置するように配置する。その状態で、土台部29aに通した締結具を締め込む。こうして、図24に示す如く、梁としての主材1に、散気装置200が一対の装置取付具29により両側から挟み込まれる形で取り付けられる。
【0097】
以上の如き主材1を用いて構築される架台100では、主材1の互いに対向する側面(第一側面3)にそれぞれ設けられた溝部2を各種の連結補助を用いて相互に連結することにより、主材1同士を縦横に接続することができる。その際、各連結補助具は、主材1の長手方向に沿って延びる溝部2の任意の位置に取り付けることができ、しかも主材1としては簡単な構造の部材を適宜の長さに形成して使用できる。梁としての主材1の長さや、支柱としての主材1の高さ、また、支柱としての主材1に対する梁としての主材1の取付け高さなどを自在に調整できるので、設置面の形状や各部の高さ、寸法といった各種の状況に合わせ、好適な寸法や形状の架台100を構築できる。
【0098】
主材1は、梁として以外に支柱としても利用でき、設置面への固定や、梁としての主材1との接合も、溝部2を利用して行うことができる。すなわち、支柱と梁を同じ部材で構成することができる。上記特許文献1に記載の発明は、架台の構成部品として支柱やレール状部材といった標準部品を採用し、これらの規格を統一することで、設置対象の形態に適した架台の構築を容易にする技術であった。本実施例の如き架台構造では、特許文献1における「支柱」と「レール状部材」の役割を同じ形状の主材1が担うことで、架台の構築に必要な部品の種類数がさらに少なくなり、部品の製造や管理の手間やコストを特許文献1に記載の技術と比較してもさらに大幅に低減することができる。
【0099】
また、板状の素材を折り曲げた形状の部材として主材1を構成し、この主材1を金属で製造できるようにした点も、本実施例の架台構造の大きな特徴である。これまでのところ、特許文献1に記載のようなレール状部材を備えて構成されている架台で実用化に至っている製品は、少なくとも本願発明者らの把握している範囲では樹脂製のものに限られており、強度や耐久性の確保のために架台を金属で構成することが要求されるような現場では、金属製の部材を工場で溶接する従来の方式により架台を製造ざるを得なかった。このような方法で架台を製造する場合、予め工場で部材同士を溶接によって組み合わせてから現場に運び込み、そこで最終的な組付けを行うことになるが、直線状の部材を縦横に組み合わせた状態の構造材は、運搬用の車両へ密に積み込むことが難しく、運搬に費用や時間がかかる。しかも、部材の自重や輸送時の振動により、部材同士の接続部に無理な力が加わって変形が生じやすく、これを防ぐためには積込み時に厳重な梱包が必要となり、運搬にかかる手間や費用はいっそう増大する。さらに、溶接の質は、これを行う作業者の技量や工場の設備等によって左右されがちであり、発注先によって架台の出来にばらつきが生じるという問題もあった。
【0100】
本実施例の架台構造では、主な構成部材である主材1を単純な直線状の部材として形成しつつ、ここに溝部2を設けることで、主材1同士を自在に組み合わせて架台を構築することを可能とした。主材1は、単純な中空の四角柱状の部材であり、金属の板をロールフォーミング等の方法で成形することで容易に製造することができる。主材1同士は溶接によらず、各種の連結補助具により互いに連結できるので、架台を製造する際には、単純な直線状の主材1をその状態で現場に運び込み、これを連結補助具を用いて現場で組み立てれば済む。したがって、大量の素材を運搬車に詰め込み、安価かつ少ない手間で搬送を行うことができる。主材1は、互いに組み合わせていない状態で運搬するので、運搬に際して接合部に力学的な負荷が加わるような懸念はなく、梱包や積込みも容易である。溶接技術のばらつきによる架台の出来不出来が生じることもない。
【0101】
また、中空の主材1は、第二側面5において一対の半割体4に分割されるように構成されている。すなわち、同じ形状の半割体4を2個製造し、これを組み合わせて一本の主材1を構成するのであるが、このような構成は、主材1の製造工程を単純化し、製造の手間や費用をさらに抑えることに役立つ。
【0102】
一般に、板状の金属をロールフォーミングにより成形する場合、一箇所の曲げ部毎に曲げ工程が必要となる。したがって、一種類の部材における曲げ部の数が多いほど、加工にかかる時間は長く、費用は高くなる。本実施例の如く、同じ形状にて製作した2個の半割体4を組み合わせて主材1を製造する方法によれば、一本の主材1の製造に必要なロールフォーミングの工程数は、半割体4を形成するだけの工程数で済む。つまり、半割体4をロールフォーミングにより形成するのに必要な曲げ工程の数は、一枚の板材から主材1と同等の一本の部材を形成する場合と比較すると、半割体4同士の結合に必要な係合部6の分だけ余分な工程が必要となるものの、半分強の回数である。そして、同じ半割体4が2個あれば一本の主材1を製造することができるので、主材1を2個の半割体4で形成する場合、必要な製造ラインは、一枚の板材から同等の主材を形成する場合と比較して半分強の規模で済むのである。
【0103】
ここで、上記特許文献1に記載の架台構造において、レール状部材は機能上、本実施例の主材1における溝部2と部分的にしろ共通する構造を、上下に備えていると言える。しかしながら、上記特許文献1のレール状部材の場合、散気装置を取り付ける上面側と、支柱と接合する下面側とで形状が異なる。したがって、特許文献1に記載の如き樹脂製のレール状部材と同様の形状の部材を金属で作製しようとした場合、本実施例の主材1のように同じ形状の部品(半割体4)を製作して組み合わせるという方法は使えない。仮に上下で分割しても、それぞれ異なる形状の部品を作製することになるため、各々の形成に曲げ工程が別個に必要であり、曲げ工程の数は削減できない。本実施例のように、主材1を上下で対称な形状に形成することで初めて、同じ形状の一対の半割体4で主材1を構成することを可能にし、ロールフォーミングによる製作時の工程の簡素化を実現できるのである。しかも、特許文献1に記載の架台ではレール状部材と支柱とが別の形状の部品として構成されているので、これらを金属を素材としてロールフォーミングにて作製しようとした場合、支柱にあたる部材の成形にもさらに別の工程が必要となり、工期や費用は一層嵩んでしまう。
【0104】
このように、本実施例の散気装置の架台構造は、単に特許文献1に記載されている架台の素材を金属に置き換えただけに留まらず、部材同士の組み合わせによる架台の構築や、部材の形成等における利便性やコスト等を考慮して種々に工夫を凝らした技術である。
【0105】
以上のように、上記本実施例の散気装置の架台構造は、互いに対向する側面(第一側面)3に、それぞれ長手方向に沿って延びる溝部2を備えた柱状の主材1を備え、連結補助具20~29を用いることにより、互いの溝部2同士が対向し、あるいは隣り合うよう配置された主材1の溝部2同士を連結し、主材1を互いに接合し、架台100を構築し得るよう構成されている。このようにすれば、設置面の形状や各部の高さ、寸法といった各種の状況に合わせ、好適な寸法や形状の架台100を構築できる。また、支柱と梁を同じ部材で構成することにより、部品の製造や管理の手間やコストを低減することができる。
【0106】
また、本実施例の散気装置の架台構造において、主材1は、端面が開放された中空状であり、溝部2同士の間の側面(第二側面)5に設けられた係合部6において一対の半割体4に分割可能に構成され、同一の形状の一対の半割体4を係合部6において組み合わせることにより、一個の主材1として組立て可能に構成されている。このようにすれば、主材1の製造工程を単純化し、製造の手間や費用を抑えることができる。
【0107】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、設置面に固定可能な土台部20aと、鉛直方向に沿って配置された支柱としての主材1の溝部2に取付け可能な取付部20bとを備え、支柱としての主材1を設置面に固定可能に構成された支柱固定具20を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(支柱固定具20)により、支柱としての主材1を設置面に固定することができる。
【0108】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての主材1の溝部2に取付け可能な梁取付部21aと、支柱としての主材1の溝部2に取付け可能な支柱取付部21cとを備え、支柱としての主材1の上端部に、梁としての主材1を接合可能に構成された支柱梁接合具21を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(支柱梁接合具21)により、支柱としての主材1に梁としての主材1を接合することができる。
【0109】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての主材1の溝部2に取付け可能な梁取付部22aと、支柱としての主材1の溝部2に取付け可能な支柱取付部22cとを備え、支柱取付部22cは、支柱としての主材1の長手方向に沿ってスライド可能な調節取付部22bに設けられ、支柱としての主材1の上端部に、梁としての主材1を接合可能に構成された支柱梁接合具22を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(支柱梁接合具22)により、支柱としての主材1に梁としての主材1を接合し、しかも梁としての主材1の取付け高さを容易に調整することができる。
【0110】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、溝部2同士が対向するよう、平面視で互いに直交する向きで積み重ねるように配置された一対の梁としての主材1の、互いに対向する溝部2に対してそれぞれ取り付けられることにより、一対の梁としての主材1同士を接合可能に構成された梁直交接合具23を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(梁直交接合具23)により、一対の梁としての主材1同士を平面視で互いに直交する形で接合することができる。
【0111】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、互いに連続する向きで配置された一対の梁としての主材1の溝部2にそれぞれ取り付けられることにより、一対の梁としての主材1同士を接続可能に構成された梁連続接合具24,25を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(梁連続接合具24,25)により、一対の梁としての主材1同士を互いに連続する向きで接続することができる。
【0112】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、梁としての主材1が支柱としての主材1に片持ちされた片持ち構造部において、梁としての主材1の溝部2および支柱としての主材1の溝部2にそれぞれ取り付けられる片持取付具26と、長手方向における両端部を片持取付具26にそれぞれ取付け可能に構成された斜め支持材27とを備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(片持取付具26、斜め支持材27)により、支柱としての主材1に片持ちされた梁としての主材1を好適に支持することができる。
【0113】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、設置面、および水平方向に沿って配置された梁としての主材1の溝部2にそれぞれ取り付けられることにより、梁としての主材1を設置面に固定可能に構成された梁固定具28を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(梁固定具28)により、梁としての主材1を設置面に固定することができる。
【0114】
また、本実施例の散気装置の架台構造は、前記連結補助具として、水平方向に沿って配置された梁としての主材1の上面に位置する溝部2に取付け可能な土台部29aと、散気装置200を保持可能な保持部29bとを備え、散気装置200を梁としての主材1の上面に保持可能に構成された装置取付具29を備えている。このようにすれば、簡単な構成の連結補助具(装置取付具29)により、梁としての主材1に装置取付具29を取り付けることができる。
【0115】
したがって、上記本実施例によれば、簡単な構成の部品により散気装置の架台を好適に構成し得る。
【0116】
尚、本発明の散気装置の架台構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではない。例えば、上では本発明による架台の設置対象として下水処理施設の曝気槽を例に挙げたが、本発明の適用対象として想定し得る施設や設備は下水処理施設に限らず、液体に対し気体を供給するような装置(散気装置)を備えた施設や設備であれば、種々の施設や設備において利用し得る。また、架台を構成する主材としては、実施例では四角柱状のものを説明したが、主材の形状はこれに限定されない。主材は、互いに対向する側面に溝部を備え得る柱状であればよく、例えば六角柱や八角柱状であってもかまわない。その他、本発明は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0117】
1 主材
2 溝部
3 側面(第一側面)
4 半割体
5 側面(第二側面)
6 係合部
20 連結補助具(支柱固定具)
20a 土台部
20b 取付部
21 連結補助具(支柱梁接合具)
21a 梁取付部
21c 支柱取付部
22 連結補助具(支柱梁接合具)
22a 梁取付部
22b 調節取付部
22c 支柱取付部
23 連結補助具(梁直交接合具)
24 連結補助具(梁連続接合具)
25 連結補助具(梁連続接合具)
26 連結補助具(片持取付具)
27 連結補助具(斜め支持材)
28 連結補助具(梁固定具)
29 装置取付具
29a 土台部
29b 保持部
100 架台
200 散気装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24