(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125927
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】蔓性植物除去具
(51)【国際特許分類】
A01M 21/02 20060101AFI20230831BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20230831BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A01M21/02
H02G1/02
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030296
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】竹本 顕信
【テーマコード(参考)】
2B121
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB23
2B121EA21
2B121FA15
5G352AB09
5G352AC04
5G352AM05
5G367AA02
5G367AD06
5G367AD09
5G367BB11
(57)【要約】
【課題】、電柱の支線に絡み付いた蔓性植物を安全に効率良く切断して除去するとともに、作業者の疲労を軽減することが可能な蔓性植物除去具を提供する。
【解決手段】本発明の蔓性植物除去具1a、1bは、間接活線作業において用いられる絶縁操作棒のような絶縁性を有する棒状部材2の先端に鎌3aや鋸3bからなる刃部3が取り付けられるとともに、電柱の支線に係止される鈎状の係止部材4が取付部6を有する連結部材5を介して棒状部材2に連結された構造となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱の支線に絡み付いた蔓性植物を切断して除去する蔓性植物除去具であって、
絶縁性を有する棒状部材と、
この棒状部材の先端に取り付けられた刃部と、
前記支線に係止される係止部材と、
前記棒状部材に取り付けられる取付部を有し、前記係止部材を前記棒状部材に連結する連結部材と、を備えていることを特徴とする蔓性植物除去具。
【請求項2】
前記取付部は、
内部に配置された前記支線に対して挟着可能に、ヒンジを介して開閉自在に連結される一対の半割体からなることを特徴とする請求項1に記載の蔓性植物除去具。
【請求項3】
前記連結部材は、前記取付部と前記係止部材の間に設置される自在継手を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蔓性植物除去具。
【請求項4】
前記連結部材は、棒状をなして全長を可変に構成された長さ調節機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蔓性植物除去具。
【請求項5】
前記刃部は、鎌又は鋸からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蔓性植物除去具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱の支線などの電気設備を伝うようにして自生している葛などの蔓性植物を切断して除去する蔓性植物除去具に係り、特に、先端に取り付けられた刃部を適切な角度に調整して、蔓性植物を安全に効率良く切断することが可能な蔓性植物除去具に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は電柱の支線に蔓性植物が絡み付いた状態を示した図である。この図に示すように、電柱50の支線51を伝うようにして自生している葛52などの蔓性植物は、高圧線や機器に接触することによって停電を発生させるだけでなく、電柱50の保守作業の際には昇柱の支障となる。支線51の下部に絡み付いている葛52については、比較的容易に除去することができるものの、葛52が支線51の上部に達している場合には、電柱50に昇って作業を行わなければならないため、多くの時間と労力を要していた。なお、電柱50に昇る代わりに高所作業車を使用することもできるが、この場合には、2名の作業者を必要とすることから、作業効率が悪いという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1には「かずら除去具」という名称で、支線に絡み付いたかずらを切断するための切断部材を備えた道具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、支線を受容可能な凹形状の刃部と、逆U字状に湾曲した引掛部材からなる切断部材が絶縁操作棒の先端に取り付けられた構造となっている。
このような構造によれば、刃部に支線を受容させた状態で切断部材を支線に沿って摺動させることで、支線に絡み付いたかずらを切断することができる。
【0004】
また、特許文献2には「除草作業支援具」という名称で、管理者が行う電気設備の周囲の除草作業を支援する道具に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、湾曲した略三日月形の平板形状をなし、軸部の先端に取り付けられた刃物部と、この刃物部に対して回動自在に連結された回収部を備えている。
このような構造によれば、回収部を支線等に沿わせて作業者の手元側に移動させることにより、刃物部で切断された植物が回収されるため、植物の切断と回収を効率良く行うことができる。
【0005】
さらに、特許文献3には「蔓性植物除去工具」という名称で、支線に絡み付いたかずら等を長尺の操作棒によって除去する際の労力を低減させることが可能な工具に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、互いに対峙し対をなす側壁部と、この側壁部の一端側を連結する連結部からなり、一対の側壁部の間に他端側が開放されるように収容空間が形成されたヘッド本体と、上記一対の側壁部の間に挿入される部材に対して、近接又は離間するように揺動可能に上記一対の側壁部に取り付けられた揺動刃と、ヘッド本体から引き出された線状部材の操作により一対の揺動刃を互いに近接するように揺動させる揺動刃駆動機構を備えたヘッドが操作棒の先端部に取り付けられた構造となっている。
このような構造によれば、支線に巻き付いた蔓性植物を支線とともに一対の側壁部の間の収容空間に挿入した状態で線状部材を操作することで、上述の蔓性植物を揺動刃によって切断することができる。
【0006】
そして、特許文献4には「電柱支線における巻付き蔓の切払い除去具」という名称で、電柱支線に巻付いた蔓を地上から切払って除去するための道具に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、杆体の先端に鎌と鋸からなる刃部が互いに外を向くように取り付けられた構造となっている。
このような構造によれば、鎌と鋸を蔓の太さにより選択して使い分けることで、どのような太さの蔓も効率良く切払うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-278408号公報
【特許文献2】特開2019-50743号公報
【特許文献3】特開2016-15951号公報
【特許文献4】特開平6-7066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された発明では、刃部が絶縁操作棒の先端に固定されており、刃部の絶縁操作棒に対する位置関係を変化させることができないため、刃部を支線に沿って摺動させている間に刃部と支線がなす角度が変化すると、絶縁操作棒をどのように操作しても刃部に支線を受容させることが不可能な状態となり、かずらの除去作業を続けることが困難になってしまうおそれがあった。
また、特許文献2に開示された発明では、回収部と刃物部の位置関係を自由に変更できないため、回収部を支線に沿わせて移動させる際に回収部と支線のなす角度が変化してしまい、回収部を支線に沿わせるようにして作業者の手元側に移動させることが困難となる結果、除草作業を継続できなくなる可能性が高い。
【0009】
特許文献3に開示された発明では、ヘッドが操作棒の先端に対して固定されており、ヘッドの操作棒に対する角度を変更できないため、蔓性植物を支線とともに収容空間に挿入した状態でヘッドを支線に沿って移動させている間に、ヘッドと支線のなす角度が変化してしまい、ヘッドを支線に沿って移動させることが不可能となり、揺動刃による蔓性植物の切断が困難になる可能性が高い。
また、特許文献4に開示された発明において、電柱支線の上部に巻付いた蔓を切払うためには、長尺の杆体を用いなければならないが、その場合、除去具が重くなるとともに操作が難しくなることから、作業性が格段に低下してしまうという課題があった。
本発明は、このような課題に対処してなされたものであり、電柱の支線に絡み付いた蔓性植物を安全に効率良く切断して除去するとともに、作業者の疲労を軽減することが可能な蔓性植物除去具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明は、電柱の支線に絡み付いた蔓性植物を切断して除去する蔓性植物除去具であって、絶縁性を有する棒状部材と、この棒状部材の先端に取り付けられた刃部と、支線に係止される係止部材と、棒状部材に取り付けられる取付部を有し、係止部材を棒状部材に連結する連結部材と、を備えていることを特徴とする。
第1の発明においては、蔓性植物の除去作業を行う際に係止部材を電柱の支線に係止すると、除去具の自重が支線に加わる結果、棒状部材を操作する作業者の負担が軽減されるという作用を有する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、取付部は、内部に配置された支線に対して挟着可能に、ヒンジを介して開閉自在に連結される一対の半割体からなることを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、連結部材の棒状部材からの取外しが容易であるという作用を有する。
【0012】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、連結部材は、取付部と係止部材の間に設置される自在継手を備えていることを特徴とする。
第3の発明においては、第1の発明又は第2の発明の作用に加え、係止部材と取付部が自在継手を介して接合されていることから、係止部材と取付部のなす角度が自由に変化するという作用を有する。
【0013】
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明において、連結部材は、棒状をなして全長を可変に構成された長さ調節機構を備えていることを特徴とする。
第4の発明においては、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の作用に加え、長さ調節機構を操作して係止部材と取付部の間隔を調節すると、支線に対して係止部材を掛けることができる範囲が広くなるという作用を有する。
【0014】
第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの発明において、刃部は、鎌又は鋸からなることを特徴とする。
第5の発明においては、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の作用に加え、刃部が鎌である場合には刃部を支線に沿ってスライドさせることにより、蔓性植物が容易に切断されるとともに除去され、刃部が鋸である場合には、樹木の枝などが容易に切断されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、棒状部材を持って刃部を操作する作業者の労力が軽減されるため、作業者は蔓性植物の除去作業を容易に行うことができる。
【0016】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、係止部材が破損や故障した場合の交換が容易であるため、保守に要する費用が削減されるという効果を奏する。
【0017】
第3の発明によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、刃部と支線のなす角度が一定になるように係止部材と取付部のなす角度を調節することにより、蔓性植物が安定した状態で切断されるため、蔓性植物の除去を効率良く行うことができるという効果を奏する。
【0018】
第4の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の効果に加え、支線に係止部材を掛ける際に、刃部が蔓性植物に対して所望の角度をなすのに適した箇所を選択可能であるため、蔓性植物を効率良く除去できるという効果がより一層発揮される。
【0019】
第5の発明によれば、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の効果に加え、電柱の支線に絡み付いた蔓性植物を除去したり、支線の近くに繁茂する樹木の枝を伐採したりする作業を効率良く行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)は本発明の実施の形態に係る蔓性植物除去具の外観斜視図であり、(b)は同図(a)に示した蔓性植物除去具の変形例を示した外観斜視図である。
【
図2】(a)は
図1(a)及び
図1(b)に示した連結部材の外観図であり、(b)は同図(a)における長さ調節機構の内部構造を示した断面図である。
【
図3】(a)及び(b)はそれぞれ
図2(a)において取付部と長さ調節機構のなす角度を変化させた状態及び長さ調節機構の全長を変化させた状態を示した図である。
【
図4】(a)は電柱の支線に絡み付いた葛を
図1(a)に示した蔓性植物除去具によって除去する様子を示した図であり、(b)は電柱の支線の近くに繁茂している樹木の枝を
図1(b)に示した蔓性植物除去具を用いて切断する様子を示した図である。
【
図5】電柱の支線に蔓性植物が絡み付いた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0021】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る蔓性植物除去具の外観斜視図であり、
図1(b)は
図1(a)に示した蔓性植物除去具の変形例を示した外観斜視図である。
図2(a)は
図1(a)及び
図1(b)に示した連結部材の外観図であり、
図2(b)は
図2(a)における長さ調節機構の内部構造を示した断面図である。
なお、
図2(b)は長さ調節機構がその中心軸を含む平面で切断された状態を表している。また、
図5を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより適宜その説明を省略する。
図1(a)に示すように、本発明の蔓性植物除去具1aは、間接活線作業において用いられる絶縁操作棒のような絶縁性を有する棒状部材2の先端に鎌3aからなる刃部3が取り付けられて構成される。
また、棒状部材2には、電柱50の支線51に係止することで蔓性植物の除去作業時に蔓性植物除去具1aの荷重をかけて保持することで、作業者の負担を軽減することが可能な鈎状の係止部材4が、取付部6を有する連結部材5を介して棒状部材2に連結された構造となっている。
【0022】
図1(b)には、変形例である蔓性植物除去具1bが、鎌3aに代えて鋸3bからなる刃部3を備えている。
これらの鎌3aや鋸3bはそれぞれ棒状部材2の先端に固定されていても良いし、交換できるように着脱可能としても良い。さらに、着脱可能とした場合には、作業中に簡単に外れて作業者が怪我をしないように、ロック付きの固定具(図示せず)で鎌3a又は鋸3bと棒状部材2を固着可能とし、取外しは固定具のロックを解除することで可能としておくことが望ましい。
【0023】
図2(a)に示すように、連結部材5は、取付部6と長さ調節機構7と自在継手8から構成されている。
取付部6は、内部に配置された支線51に対して挟着可能に、ヒンジ6cを介して開閉自在に連結される一対の半割体6a、6bからなり、半割体6bの開放縁部を半割体6aに固定するための固定片6d及びボルト6eが半割体6bの開放縁部に設けられている。なお、固定片6dには、内周面に雌ネジを有するボルト孔(図示せず)が設けられており、半割体6aには、上記ボルト孔に螺入されているボルト6eの先端が固定片6dから突出した場合に、その先端が当接する箇所に、平面視した場合にボルト6eの外径よりも直径の大きな円形をなす有底孔(図示せず)が設けられている。すなわち、取付部6は、閉じられている状態で、ボルト6eの先端が半割体6aの上記有底孔に嵌るように固定片6dの上記ボルト孔にボルト6eを螺入することにより、半割体6bが半割体6aに固定される構造となっている。また、長さ調節機構7は、棒状をなして全長を可変に構成され、先端7aに係止部材4が設置されている。そして、自在継手8は、長さ調節機構7の基端7bと取付部6の間に設置されるものである。
長さ調節機構7の先端7aに設置される係止部材4は、鈎状に形成されており、外側に開いた開口部4a、4bを備えつつ開口部4a、4b間の角度は円周全体の1/6以下となっている。したがって、電柱50の支線51に対して係止部材4を掛けやすく、一旦掛けると蔓性植物の除去作業中には外れ難いという作用を有し、作業が容易となり、作業効率の向上を見込むことができるという効果を有する。
蔓性植物の除去作業では、一旦、係止部材4を支線51に掛けて蔓性植物除去具1a、1bを保持すると、刃部3で蔓性植物を切断する際に刃部3を引き下げるようにして上から下へ移動させられることから、頻繁に係止部材4を外す必要はないので、特に作業効率の向上が見込めるのである。
【0024】
図2(b)に示すように、長さ調節機構7は基端7b側に設けられた小径部9aと、内周面に雌ネジ部10aが形成されるとともに小径部9aが一端に接続された円筒状の大径部9bと、雌ネジ部10aに螺合する雄ネジ部10bが外周面に形成されて大径部9bに螺入される円柱体9cを有する段付き棒からなり、大径部9bに対して円柱体9cを相対的に回動させると、円柱体9cが前後方向へ移動するように構成されている。
このような構造の蔓性植物除去具1a、1bにおいては、取付部6がヒンジ6cを介して開閉自在に連結される一対の半割体6a、6bを備えていることから、連結部材5の棒状部材2からの取外しが容易であるという作用を有する。したがって、係止部材4が破損や故障した場合の交換が容易であるため、保守に要する費用が削減される。
また、蔓性植物除去具1a、1bの保管時や搬送時には取り外しておいて、蔓性植物の除去作業時に、連結部材5の装着を行うことが可能であるので管理が容易である。また、現場で装着する際には電柱50の支線51の状況に応じて連結部材5が取り付けられる棒状部材2上の位置を選択することが可能であり、さらに、一対の半割体6a、6bを少し開いて棒状部材2上でずらして作業の進捗状況に応じて位置を調整することも可能である。
さらに、長さの異なる連結部材5を複数用意しておけば、目的に応じて選択された適切な長さの連結部材5に交換することができる。
なお、本実施例では、長さ調節機構7を円柱体や円筒体からなる段付き棒としているが、これに限らず、例えば、この段付き棒は角柱体や角筒体であってもよく、雌ネジ部10aやそれに螺合する雄ネジ部10bに代えて、固定可能なスライド機構を備えて長さ調節が可能な構造であれば良い。
【0025】
図3(a)及び
図3(b)はそれぞれ
図2(a)において取付部と長さ調節機構のなす角度を変化させた状態及び長さ調節機構の全長を変化させた状態を示している。
上記構造の蔓性植物除去具1a、1bにおいては、係止部材4と取付部6が自在継手8を介して接合されていることから、係止部材4と取付部6のなす角度が自由に変化するという作用を有する。なお、
図3(a)には自在継手8の先端部(長さ調節機構7に接合された側)8aが基端部(取付部6に接合された側)8bに対して紙面に垂直な回転軸8cを中心として回転する様子(矢印Aを参照)が例示されているが、自在継手8は基端部8bの中心軸8dを中心として回転軸8cが回転可能な構造であるため、基端部8bの先端部8aに対する回転は
図3(a)に矢印Aで示すような紙面と平行な平面内における回転に限られない。
【0026】
なお、
図2(a)を用いて説明した係止部材4の開口部4a、4bの向きは、自在継手8の基端部8bの中心軸8dを中心として回転軸8cを回転させることで調節することが可能である。あるいは、開口部4a、4bの向きの調節は
図2(b)を用いて説明した雄ネジ部10bを外周面に備える円柱体9cを回転することでも可能である。
開口部4a、4bの向きを調節可能とすることで、蔓性植物の除去作業者と電柱50の支線51との位置関係に応じて係止部材4を支線51に掛けやすくすることが可能である。よって、作業者の負担を軽減しながら作業効率を向上させることができる。
また、蔓性植物除去具1a、1bにおいては、連結部材5が長さ調節機構7を備えていることから、
図3(b)に矢印Bで示すように長さ調節機構7の全長を変えると、係止部材4と取付部6の間隔が変化するという作用を有する。
例えば刃部3で蔓性植物を切断する際に、長さ調節機構7を操作して係止部材4と取付部6の間隔を調節すると、支線51に対して係止部材4を掛けることができる範囲が広くなる。これにより、支線51において、蔓性植物に対して刃部3が所望の角度をなすのに適した箇所を選択することが可能となる。このように、蔓性植物除去具1a、1bによれば、蔓性植物に対して刃部3が所望の角度をなすような状態にできるため、蔓性植物の除去を効率良く行うことが可能である。
【0027】
図4(a)は電柱の支線に絡み付いた葛を蔓性植物除去具1aによって除去する様子を示しており、
図4(b)は電柱の支線の近くに繁茂している樹木の枝を、蔓性植物除去具1bを用いて切断する様子を示している。
蔓性植物除去具1a、1bは係止部材4を備えているため、
図4(a)及び
図4(b)に示すように電柱50の支線51に係止部材4を係止すると、それらの自重が支線51に加わる結果、作業者は蔓性植物除去具1a、1bの自重の一部のみを負担すれば良いことになる。これにより、棒状部材2を持って刃部3を操作する作業者の労力が軽減される。
したがって、蔓性植物除去具1aによれば、係止部材4を支線51に係止させた状態で
図4(a)に矢印Cで示すように刃部3(鎌3a)を支線51に沿ってスライドさせることにより、作業者は葛52を刃部3(鎌3a)によって切断しながら除去する作業を容易に行うことができる。その際、刃部3(鎌3a)と支線51のなす角度が一定になるように係止部材4と取付部6のなす角度や係止部材4と取付部6の間隔を調節することにより、葛52が安定した状態で切断されるため、葛52を効率良く除去することができる。
また、蔓性植物除去具1a、1bでは、係止部材4と取付部6のなす角度や係止部材4と取付部6の間隔の調節が容易であるため、
図4(b)に示すように蔓性植物除去具1bを用いることで、支線51の近くに繁茂する樹木53の枝53aを効率良く切断することができる。
【0028】
なお、本発明の蔓性植物除去具は上記実施例に示した構造に限定されるものではない。例えば、自在継手8の代わりにボールジョイントを備えた構造であっても良いし、長さ調節機構7を備える代わりに係止部材4と自在継手8を繋ぐ部分を着脱可能な構造として、当該部分を目的に応じて長さの異なる複数の部材と交換するようにしても良い。
1a、1b…蔓性植物除去具 2…棒状部材 3…刃部 3a…鎌 3b…鋸 4…係止部材 4a、4b…開口部 5…連結部材 6…取付部 6a、6b…半割体 6c…ヒンジ 6d…固定片 6e…ボルト 7…長さ調節機構 7a…先端 7b…基端 8…自在継手 8a…先端部 8b…基端部 8c…回転軸 8d…中心軸 9a…小径部 9b…大径部 9c…円柱体 10a…雌ネジ部 10b…雄ネジ部 50…電柱 51…支線 52…葛 53…樹木 53a…枝