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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125948
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】物品管理器具
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20230831BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A47F7/00 V
A47F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030341
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
(72)【発明者】
【氏名】淺野 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭輔
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB04
3B118DA31
3B118FA11
(57)【要約】
【課題】通信に要するデータを抑制しつつ、物品が手に取られた頻度を自動的に測定するために用いる物品管理器具を提供する。
【解決手段】本発明のある態様は、第1端が固定され、他方の第2端が物品に取り付けられた線状部材と、第2端に取り付けられた物品を前記第1端に向けて付勢する付勢部材と、を有する物品取り付け用具と、線状部材に連結され、内面に通信デバイスが取り付けられた筒状部材と、電磁シールド機能を備え、筒状部材の外径よりも大きな内径の第1開口を有し、筒状部材が第1開口から進入又は退出可能に設けられた筒状の収容部と、を備え、筒状部材は、物品に対して付勢部材の付勢力に抗する外力が加わっていない場合に収容部に収容され、物品に対して付勢部材の付勢力に抗する外力が加わった場合に収容部から退出可能となる、物品管理器具である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端が固定され、他方の第2端が物品に取り付けられた線状部材と、前記第2端に取り付けられた前記物品を前記第1端に向けて付勢する付勢部材と、を有する物品取り付け用具と、
前記線状部材に連結され、内面に通信デバイスが取り付けられた筒状部材と、
電磁シールド機能を備え、前記筒状部材の外径よりも大きな内径の第1開口を有し、前記筒状部材が前記第1開口から進入又は退出可能に設けられた筒状の収容部と、を備え、
前記筒状部材は、前記物品に対して前記付勢部材の付勢力に抗する外力が加わっていない場合に前記収容部に収容され、前記物品に対して前記付勢部材の付勢力に抗する外力が加わった場合に前記収容部から退出可能となる、物品管理器具。
【請求項2】
前記収容部は、前記第1開口とは反対側に、前記筒状部材の外径よりも小さな内径の第2開口を有する、
請求項1に記載された物品管理器具。
【請求項3】
前記物品取り付け用具は、前記線状部材の前記第1端と前記付勢部材を含むケースを有し、
前記ケースは、前記付勢部材の付勢力によって前記線状部材のうち前記ケースから露出した部分を巻き取り可能な巻き取り機構を有する、
請求項1又は2に記載された物品管理器具。
【請求項4】
前記筒状部材は、前記線状部材の前記第1端に向く端部において、前記線状部材を取り付ける取り付け部を有し、
前記ケースには、前記線状部材を巻き取るための貫通孔が形成され、
前記取り付け部は、前記貫通孔を通過できない形態である、
請求項3に記載された物品管理器具。
【請求項5】
前記物品は、試供用に店舗に配置される商品である、
請求項1から4のいずれか一項に記載された物品管理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品のマーケティング等の目的で、店舗に配置した商品サンプルを来店者が手に取ったことを検出するように構成したシステムが知られている。
例えば、特許文献1に記載されたシステムでは、商品陳列棚に、非接触ICタグが添付されている商品サンプルを陳列させるとともに、非接触ICタグと通信可能な構造を有するICタグリーダを備える。そして、商品サンプルが商品陳列棚から取り出された際に、ICタグリーダで読み取られていた固有情報が受信できない状態になったことで、システム内の情報処理装置は、商品サンプルを買物客が手に取られたことを検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-148884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、店舗において商品サンプルが買物客に手に取られていない時間は、買物客に手に取られている時間に比べてずっと長い。そのため、上記従来のシステムでは、買物客に手に取られていない非常に長い時間、ICタグリーダは、商品サンプルに添付されている非接触ICタグから固有情報を受信し続け、情報処理装置が常時、固有情報を受信できなくなったか否か監視し続けることになる。それによって、システムにおいてICタグリーダと情報処理装置の間の通信に要するデータ量が膨大となり、回線容量の逼迫を招く虞がある。そればかりか、買物客に手に取られていない非常に長い時間に情報処理装置が受信するデータは、商品のマーケティング解析に寄与しない。
【0005】
そこで、本発明は、通信に要するデータを抑制しつつ、物品が手に取られた頻度を自動的に測定するために用いる物品管理器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、第1端が固定され、他方の第2端が物品に取り付けられた線状部材と、前記第2端に取り付けられた前記物品を前記第1端に向けて付勢する付勢部材と、を有する物品取り付け用具と、
前記線状部材に連結され、内面に通信デバイスが取り付けられた筒状部材と、
電磁シールド機能を備え、前記筒状部材の外径よりも大きな内径の第1開口を有し、前記筒状部材が前記第1開口から進入又は退出可能に設けられた筒状の収容部と、を備え、
前記筒状部材は、前記物品に対して前記付勢部材の付勢力に抗する外力が加わっていない場合に前記収容部に収容され、前記物品に対して前記付勢部材の付勢力に抗する外力が加わった場合に前記収容部から退出可能となる、物品管理器具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、通信に要するデータを抑制しつつ、物品が手に取られた頻度を自動的に測定するために用いる物品管理器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の物品管理器具の適用例を示す図であり、商品棚に商品が置かれている状態を示す図である。
図2図1に示す物品管理器具の適用例において、商品棚に商品が置かれている状態を横から見た図である。
図3】コード巻き取り用具の構造を示す図である。
図4図3に示すコード巻き取り用具において、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態を断面で示す図である。
図5】筒状部材の構造を示す図である。
図6】一実施形態の物品管理器具において、商品がホルダにセットされている場合と商品がホルダから外れた状態の筒状部材と収容部材を断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「物品」とは、例えば商品、製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、モックアップ等の有体物を意味する。以下の実施形態では、物品の一例として、販売促進用商品(POSM(Point of Sale Material)ともいう。)を挙げる。
【0010】
以下、物品管理器具の一実施形態について説明する。
一実施形態の物品管理器具は、店舗に販売促進用商品(POSM)を試供可能に配置し、販売促進用商品を来店者が手に取る時刻や頻度を測定し、有用なマーケティング情報を効率的に取得するために設けられる。
販売促進用商品(以下、単に「商品」という。)は限定しないが、来店者が手に取って試してみたくなるような商品であることが好ましく、例えば、電気髭剃り、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン等であるが、その限りではない。商品は、筆箱や万年筆等の文房具、香水、口紅やファンデーション等の化粧品、携帯型ゲーム機、ハンディクリーナ等の家電製品、洗濯用の柔軟剤、さらには香りの見本等に広く適用することができる。
【0011】
一実施形態の物品管理器具では、商品に、コードや紐等の線状部材が取り付けられ、線状部材には、通信デバイスが取り付けられる。線状部材、及び、線状部材に取り付けられた通信デバイスは、商品がホルダから外されるとき、あるいは商品がホルダに戻されるときの商品の動きに連動して動く。通信デバイスの位置は、商品がホルダに保持されているときに、通信デバイスが遮蔽される位置にあるように構成される。
【0012】
通信デバイスが通信可能な範囲内には、通信デバイスと通信を行うための無線装置が配置される。
通信デバイスは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えたIoTタグ(無線タグの一例)が長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましいが、その限りではなく、UHF帯、HF帯、又は、マイクロ波帯で動作するRFIDタグ(無線タグの一例)であっても構わない。また、いずれの場合も、RFIDタグは、パッシブ型(電池が内蔵されていないもの)でもよいし、アクティブ型(電池が内蔵されているもの)であってもよい。
【0013】
一実施形態の物品管理器具では、線状部材に取り付けられ、電磁シールド機能を有する収容部と、線状部材に取り付けられている通信デバイスとによって、商品が来店者によって手に取られてホルダから外れたか否か判断するように構成される。一実施形態では、通信デバイスが内面に取り付けられた筒状部材が線状部材に連結され、線状部材の動きに連動して筒状部材が筒状の収容部に進入又は退出可能である。
商品がホルダに保持されている場合には、収容部に筒状部材が収容されて電磁シールド機能が通信デバイスに作用するため、通信デバイスの電波の放射性能が大幅に低下し、通信デバイスと無線装置の通信ができないか、通信頻度が大幅に低下する。他方、商品がホルダに保持されていない場合(つまり、来店者が商品を手に取った場合)には、線状部材の動きに連動して筒状部材が収容部から退出し、収容部の電磁シールド機能が、筒状部材に取り付けられた通信デバイスに作用しなくなり、通信デバイスと無線装置の通信が可能である。
【0014】
一実施形態では、無線装置が、取り付けられた通信デバイスと通信できるか否か、あるいは、通信デバイスと通信可能となる頻度をモニタすることで、来店者が商品を手に取った頻度を測定することが可能となる。
一実施形態では、通信デバイスの識別情報を、当該通信デバイスが取り付けられた線状部材に対応する商品の情報と予め関連付けておき、無線装置は、通信デバイスとの通信が可能である場合、通信デバイスを識別する識別情報(例えば、後述するタグID)を受信する。それによって、複数の商品の各々について来店者が手に取った頻度を測定することもできる。
ここで、商品が来店者に手に取られていない間は、通信デバイスと無線装置の通信ができないか、通信頻度が大幅に低下するため、商品が手に取られた頻度を自動的に測定する際に、通信に要するデータを大幅に抑制できる。
【0015】
以下、一実施形態の物品管理器具1について、商品が電気髭剃りである場合を例に採り、図面を参照してより具体的に説明する。
図1は、電気髭剃りのPOSMとして6台の商品7-1~7-6が商品棚3に試供可能に展示されている状態の図を示している。図2は、商品棚3に商品が置かれている状態を横から見た図である。以下の説明では、商品7-1~7-6に共通して言及するときには「商品7」と表記する。
図1に示すように、商品棚3のホルダ30に設けられた凹部H-1~H-6に、それぞれ6台の商品7-1~7-6が収容され、各ホルダの近傍には来店者への商品説明のためのラベルPL1~PL6が配置されている。以下の説明では、凹部H-1~H-6に共通して言及するときには「凹部H」と表記する。
【0016】
図2では、1個の商品7について、商品7がホルダ30に保持されていない状態(実線)と、ホルダ30から外された状態(仮想線)とを比較して示してある。
図2に示すように、商品棚3は、脚部34と、脚部34に支持された基部33と、基部33上に固定されているホルダ30とを有する。
ホルダ30は、凹部Hが形成されて商品7の底部を支持するための支持部31と、背もたれ部32とを有する。背もたれ部32は、支持部31から上方に延びる板状部材であり、商品7の背面部を支持可能である。
【0017】
図2に示すように、商品7の底部にはコード15(線状部材の一例)の一端(第2端の一例)が取り付けられている。コード15の他端は、コード巻き取り用具10(物品取り付け用具の一例)に取り付けられている。コード巻き取り用具10は、商品棚3の基部33に固定されているが、その固定方法は限定されず、例えば、両面テープ、接着剤やねじによる締結等、公知の固定方法を採ることができる。
【0018】
コード巻き取り用具10は、コード15を伸縮自在に引き出し、かつ巻き取り可能である。コード15の長さは、来店者が商品7を手に取ったとき商品7を十分に試供することができる程度に設定されている。来店者がホルダ30にある商品7を手に取った場合、コード巻き取り用具10からコード15が引き出されて、コード15が取り付けられた状態で商品7をホルダ30から外すことができる。商品7がホルダ30に戻された場合には、コード15がコード巻き取り用具10によって巻き取られる。
【0019】
図2に示すように、コード15には筒状部材8が取り付けられている。筒状部材8は、コード15が引き出され、あるいは巻き取られるとコード15に連動して移動する。
コード15は、筒状部材8を収容するための円筒状の収容部9を貫通している。収容部9は、コード15に拘束されていない。後述するが、商品7がホルダ30に保持されている状態では、筒状部材8は収容部9に収容された状態となり、商品7が商品棚3から外された状態では、筒状部材8は収容部9から脱出した状態となる。
なお、コード15、筒状部材8、収容部9、及び、コード巻き取り用具10は、商品7ごとに設けられている。したがって、図1に例示するように6個の商品7が展示されている場合には、6セットのコード15、筒状部材8、収容部9、及び、コード巻き取り用具10が設けられる。
【0020】
後述するが、筒状部材8の内部に、IoT(Internet of Things)タグT(通信デバイスの一例)が取り付けられている。IoTタグは、周囲環境の電波に基づいて発電する環境発電型の通信デバイスの一例であり、バッテリを備えていない。以下の説明では、IoTタグTを単にタグTという。
タグTは、タグTが取り付けられた筒状部材8にコード15を介して接続された商品7ごとに異なるタグIDを記憶している。タグIDは、タグTの識別情報である。
【0021】
タグTの最大通信距離は、限定しないが、例えば3~10メートルの範囲である。タグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグTは、BLEの規格に準拠する場合、所定間隔毎(例えば、1~10秒程度の短時間毎)にアドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャスト送信する。タグTが送信するパケットにはタグIDが含まれる。
【0022】
図1に示すように、商品棚3の近くには、タグT1~T6の各々とBLE通信を行うための無線装置2が配置される。無線装置2は、図2に示すように各ホルダに商品が配置されていない場合に各タグから発信されるパケットを受信可能な位置に配置される。すなわち、無線装置2は、各タグの電波出力を考慮して配置される。図1において仮想線で無線装置2を示しているように、無線装置2の設置場所は任意に設定することができる。
無線装置2がタグから受信するパケットには、タグの識別情報であるタグIDが含まれる。
【0023】
次に、図3を参照して、コード巻き取り用具10の構成について説明する。
図3は、コード巻き取り用具10の平面図と、A-A断面図とを示している。図3に示すように、コード巻き取り用具10は略円盤形状であり、コード15を引き出し、かつ巻き取るための貫通孔10daが形成された突出部10dが周縁に設けられている。
A-A断面に示すように、コード巻き取り用具10は、下部ケース11と上部ケース12により形成される収容空間内に、コード巻き取り部13及びゼンマイばね14が設けられている。コード巻き取り部13は、下部ケース11の底部の中心から突出しているばね支持部11cの回りを回転可能に構成される。コード15の一端(第1端の一例)はコード巻き取り部13に取り付けられており、コード巻き取り部13には、コード15を巻き取るための外周溝13dが形成されている。
コード巻き取り部13及びゼンマイばね14は、巻き取り機構を構成する。
【0024】
ゼンマイばね14の一端がばね支持部11cに支持されており、コード巻き取り部13がばね支持部11cの回りを回転し、コード15が引き出されると、ゼンマイばね14が巻き上げられる。そのため、コード15が引き出されると、コード15を巻き取る方向に付勢力が発生する。
図4は、コード15が引き出されていない状態とコード15が引き出された状態のコード巻き取り用具10の平面図である。なお、図4は、コード巻き取り用具10について断面で示してある。図4に示すように、コード15が引き出されていない状態では、ゼンマイばね14が巻き上げられておらず、ゼンマイばね14の復元力はコード15に作用しないか、作用しても僅かである。他方、コード15が引き出された状態では、コード15が引き出されてゼンマイばね14が巻き上げられ、ゼンマイばね14の復元力Fがコード15を巻き取る方向に作用する。
【0025】
図5は、コード15に取り付けられている筒状部材8の構成を示す。
図5に示すように、筒状部材8は、本体部82とコード取り付け部83を有する。本体部82は、内部が空洞となっており、コード15が挿通される。コード取り付け部83は、本体部82を通るコード15を取り付けるために、コード巻き取り用具10側のコード15の端に向く筒状部材8の端部に設けられている。コード15の取り付け方法は問わないが、例えば接着剤で取り付けることができる。
本体部82は、円筒部821と、円筒部821の端部からコード取り付け部83に向けて縮径するテーパ部822とを有する。
図5の矢視Bを拡大して示すように、円筒部821の内周面には、タグTが取り付けられている。このタグTは、筒状部材8を挿通するコード15の一端が取り付けられた商品7に対応している。すなわち、筒状部材8に取り付けられているタグTのタグIDと、当該筒状部材8とコード15を通して連結されている商品7の商品コードとを予め対応付けておくことで、ホルダから外された商品7を認識するようにシステムを構成することができる。なお、タグTは、筒状部材8の外周面に取り付けてもよい。
【0026】
次に、図6を参照して、収容部9の構成について説明する。
図6は、商品7がホルダ30にセットされている場合と商品7がホルダ30から外された状態とにおいて、筒状部材8及び収容部9の断面を示した図である。
図6に示すように、収容部9は概ね筒状形状である。収容部9は、コード15に沿って筒状部材8よりもコード巻き取り用具10側に配置されている。収容部9の内部は、筒状部材8を収容可能な空洞が形成され、コード15を挿通させるための開口9a,9bが両端部に形成されている。開口9a(第1開口の一例)は、筒状部材8を収容するときに筒状部材8が通過する開口でもある。開口9b(第2開口の一例)は開口9aと反対側(コード巻き取り用具10側)に形成された開口である。
筒状部材8を収容させ、かつ筒状部材8が収容部9よりもコード巻き取り用具10側に移動することがないように、開口9aの径D2は筒状部材8の外径D1(図5参照)よりも大きく、かつ開口9bの径D3は筒状部材8の外径D1よりも小さくなっている。
【0027】
筒状部材8が収容部9に収容された状態で筒状部材8の一部がコード巻き取り用具10内に引き込まれることがないように、筒状部材8のコード取り付け部83は、コード巻き取り用具10の貫通孔10da(図3参照)を通過できない形態であることが好ましい。
【0028】
図6に示すように、収容部9は、本体部91と電磁シールド層92を有する。電磁シールド層92は、本体部91の外周面に設けられている。電磁シールド層92は、例えば、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)と粘着剤をこの順に積層したものであり、粘着剤により本体部91の外周面に貼り付けられている。なお、電磁シールド層92は、曲面追従性を有するホイル紙(フォイル紙)を本体部91の外周面に貼り付けたものであってもよい。
電磁シールド層92は、筒状部材8が本体部91の内部に収容されたときに、筒状部材8に取り付けられているタグTへの電磁波を遮蔽して無線タグ2との通信を遮断するために設けられている。
【0029】
次に、物品管理器具1の動作を説明する。
先ず、商品7がホルダ30にセットされている状態では、商品7に取り付けられたコード15がコード巻き取り用具10に巻き取られている。コード15に取り付けられている筒状部材8は、コード15に作用するゼンマイばね14の復元力によりコード巻き取り用具10の突出部10dに引き寄せられる。その結果、図6に示すように、筒状部材8のコード取り付け部83がコード巻き取り用具10に当接した状態となる。
【0030】
ここで、筒状部材8の外径D1は、収容部9の開口9bの径D3より大きいため、筒状部材8の本体部82のテーパ部822が収容部9の開口9b近傍に当接し、それによって収容部9も筒状部材8と連動してコード巻き取り用具10の突出部10dの近傍に引き寄せられる。この状態で、筒状部材8は収容部9に収容されている。筒状部材8のタグTの周囲には、収容部9の電磁シールド層92が配置されており、この層が無線タグ2やタグTから発信される電波を遮蔽するため、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
【0031】
次に、商品7がホルダ30から外されている状態では、来店者が商品7に取り付けられたコード15を引っ張ることでコード巻き取り用具10からコード15が引き出される。収容部9の開口9aの径D2が筒状部材8の外径D1より大きいため、コード15に取り付けられた筒状部材8が連動して凹部Hに向かって移動し、筒状部材8が収容部9の開口9aから脱出する。収容部9はコード15に取り付けられていないため、筒状部材8とは連動して移動しない。そのため、筒状部材8のタグTが収容部9の電磁シールド層92から解放されて無線装置2からの電波を受信可能になるとともに、タグTからの電波の放射性能が低下しなくなるため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信でき、あるいは受信頻度が多くなる。
【0032】
以上説明したように、上述した物品管理器具1では、コード15に取り付けられ、電磁シールド機能を有する収容部9と、コード15に取り付けられているタグTとによって、商品7が来店者によって手に取られてホルダ30から外れたか否か判断するように構成される。タグTが内面に取り付けられた筒状部材8がコード15に連結され、コード15の動きに連動して筒状部材8が筒状の収容部9に進入又は退出可能である。
商品がホルダに保持されている場合には、収容部9に筒状部材8が収容されて電磁シールド機能が通信デバイスに作用するため、通信デバイスの電波の放射性能が大幅に低下し、タグTと無線装置2の通信ができないか、通信頻度が大幅に低下する。他方、商品7がホルダ30に保持されていない場合(つまり、来店者が商品7を手に取った場合)には、コード15の動きに連動して筒状部材8が収容部9から退出し、収容部9の電磁シールド機能が、筒状部材8に取り付けられたタグTに作用しなくなり、タグTと無線装置2の通信が可能である。
そのため、無線装置2とタグTとの通信可否の結果に基づいて無線装置2がタグTと通信可能となる頻度を測定することで、対応する商品7が来店者によって手に取られた頻度についての情報を得ることができる。
商品7が来店者の手に取られていない間、すなわち、一日の大半の時間は、タグTと無線装置2の通信ができないため、商品7が手に取られた頻度を自動的に測定する際に、通信に要するデータを大幅に抑制できる。
【0033】
以上、本発明の物品管理器具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…物品管理器具
2…無線装置
3…商品棚
30…ホルダ
H-1~H-6…凹部
31…支持部
32…背もたれ部
32h…孔
33…基部
34…脚部
T1~T6…タグ
7-1~7-6…商品
8…筒状部材
82…本体部
821…円筒部
822…テーパ部
83…コード取り付け部
9…収容部
9a,9b…開口
91…本体部
92…電磁シールド層
10…コード巻き取り用具
10d…突出部
10da…貫通孔
11…下部ケース
11c…ばね支持部
12…上部ケース
13…コード巻き取り部
13d…外周溝
14…ゼンマイばね
15…コード
PL1~PL6…ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6