(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125951
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】乳幼児用仮設ベッドまたはコット
(51)【国際特許分類】
A47C 19/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A47C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030345
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】河村 眞弓
(72)【発明者】
【氏名】野澤 知泰
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 浩二郎
(57)【要約】
【課題】乳幼児への使用に適し、取り扱い性が向上した乳幼児用仮設ベッドまたはコットを提供する。
【解決手段】仮設ベッド1は、本体部10と、本体部10に保持される床板部材30と、を備えている。床板部材30は、床板部31と、床板部31に接続した側板部32~35と、を有している。側板部32~35は、側板本体部36と、側板本体部36の上縁に接続した第1折返部37aと、第1折返部37aの一部に接続した第2折返部37bと、を有する。第2折返部37bは、第1折返部37aと側板本体部36との間に位置し、側板本体部36に接着されている。本体部10の側壁12~15は、側壁本体16と、側壁本体16との上縁の一部から突出した差込板部17と、を有する。第1折返部37aと側板本体部36との間に、差込板部17を挿入する開口部70が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を有する本体部と、
前記本体部に保持される床板部材と、を備え、
前記床板部材は、床板部と、前記床板部に接続した側板部と、を有し、
前記側板部は、前記床板部に接続した側板本体部と、前記側板本体部の上縁に接続した第1折返部と、前記第1折返部の下縁の一部に接続した第2折返部と、を有し、
前記第2折返部は、前記第1折返部と前記側板本体部との間に位置し、前記側板本体部に接着され、
前記側壁は、側壁本体と、前記側壁本体との上縁の一部から突出した差込板部と、を有し、
前記第1折返部と前記側板本体部との間に前記差込板部を挿入する開口部が形成されている、乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項2】
前記本体部は、四角筒を構成する四つの側壁を有し、
隣り合う二つの側壁の前記差込板部は、当該二つの側壁に跨がって前記四角筒の角部に位置する屈曲部を形成する、請求項1に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項3】
前記側板部は、前記側板本体部の上縁と前記第1折返部の上縁との間に位置する第1マチ部と、前記第1折返部の下縁の一部と前記第2折返部の下縁との間に位置する第2マチ部と、前記第1折返部の下縁の他の一部に直接接続する押圧板部と、を更に有し、
前記押圧板部は、前記第1折返部と前記側板本体部との間に位置し、
前記差込板部は、前記押圧板部と前記側板本体部との間に位置する、請求項1又は2に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項4】
前記第1折返部と前記側板本体部との間に挿入された前記差込板部が前記第1折返部と前記側板本体部との間から抜け出ることを規制するロック機構が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項5】
前記第1折返部と前記側板本体部との間に挿入された前記差込板部が前記第1折返部と前記側板本体部との間から抜け出ることを規制するロック機構を更に備え、
前記ロック機構は、穴が形成された前記差込板部と、前記第1折返部と前記側板本体部との間で前記穴に挿入された前記押圧板部と、によって構成され、
前記押圧板部が前記穴の上縁に接触することにより、前記床板部材を前記本体部から上方に引き抜くことが規制される、請求項3に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項6】
前記本体部は、四角筒を構成する四つの側壁を有し、
前記床板部材は、前記本体部の四つの側壁と対面する四つの側板部を有し、
前記四つの側板部は、隣り合う側板部と、前記第1折返部において接続部材で接続されている、請求項1に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【請求項7】
前記接続部材は、蛍光剤または蓄光剤を含む、請求項6に記載の乳幼児用仮設ベッドまたはコット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児用仮設ベッドまたはコットに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時に避難所等で用いられる仮設ベッドとして、例えば特許文献1に記載の段ボール製の組立式ベッドが知られている。このような仮設ベッドは、仮設ベッドが設置された床の振動や冷気が仮設ベッド上の人に直接伝わって、安眠を妨げることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような仮設ベッドは主に大人向けであり、乳幼児に使用することを考慮して設計されていない。例えば、このような仮設ベッドには、乳幼児が仮設ベッドから転落することを防止する手段が設けられていない。また、このような仮設ベッドは、持ち上げると容易に分解してしまうため、取り扱い性が悪い。
【0005】
本件発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、乳幼児への使用に適し、取り扱い性が向上した乳幼児用仮設ベッドまたはコットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットは、
側壁を有する本体部と、
前記本体部に保持される床板部材と、を備え、
前記床板部材は、床板部と、前記床板部に接続した側板部と、を有し、
前記側板部は、前記床板部に接続した側板本体部と、前記側板本体部の上縁に接続した第1折返部と、前記第1折返部の下縁の一部に接続した第2折返部と、を有し、
前記第2折返部は、前記第1折返部と前記側板本体部との間に位置し、前記側板本体部に接着され、
前記側壁は、側壁本体と、前記側壁本体との上縁の一部から突出した差込板部と、を有し、
前記第1折返部と前記側板本体部との間に前記差込板部を挿入する開口部が形成されている。
【0007】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットにおいて、
前記本体部は、四角筒を構成する四つの側壁を有してもよく、
隣り合う二つの側壁の前記差込板部は、当該二つの側壁に跨がって前記四角筒の角部に位置する屈曲部を形成してもよい。
【0008】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットにおいて、
前記側板部は、前記側板本体部の上縁と前記第1折返部の上縁との間に位置する第1マチ部と、前記第1折返部の下縁の一部と前記第2折返部の下縁との間に位置する第2マチ部と、前記第1折返部の下縁の他の一部に(前記第2マチ部を介さずに)直接接続する押圧板部と、を更に有してもよく、
前記押圧板部は、前記第1折返部と前記側板本体部との間に位置してもよく、
前記差込板部は、前記押圧板部と前記側板本体部との間に位置してもよい。
【0009】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットは、
前記第1折返部と前記側板本体部との間に挿入された前記差込板部が前記第1折返部と前記側板本体部との間から抜け出ることを規制するロック機構が設けられていてもよい。
【0010】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットにおいて、
前記ロック機構は、穴が形成された前記差込板部と、前記第1折返部と前記側板本体部との間で前記穴に挿入された前記押圧板部と、によって構成されてよく、
前記押圧板部が前記穴の上縁に接触することにより、前記床板部材を前記本体部から上方に引き抜くことが規制されてもよい。
【0011】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットにおいて、
前記本体部は、四角筒を構成する四つの側壁を有してもよく、
前記床板部材は、前記本体部の四つの側壁と対面する四つの側板部を有してもよく、
前記四つの側板部は、隣り合う側板部と、前記第1折返部において接続部材で接続されていてもよい。
【0012】
本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコットにおいて、
前記接続部材は、蛍光剤または蓄光剤を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乳幼児への使用に適し、取り扱い性が向上した乳幼児用仮設ベッドまたはコットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態を説明するための図であって、使用状態にある乳幼児用仮設ベッドまたはコットを示す斜視図。
【
図2】
図1のA-A線に沿った断面を模式的に示す図。
【
図3】
図1に示す乳幼児用仮設ベッドまたはコットの分解斜視図。
【
図4】折り畳み状態にある乳幼児用仮設ベッドまたはコットを示す斜視図。
【
図5】
図4に示す乳幼児用仮設ベッドまたはコットの分解斜視図。
【
図7】本体部の底壁の形成方法を説明するための図。
【
図8】本体部の底壁の形成方法を説明するための図。
【
図12B】
図12Aに示すB-B線に沿った位置でのロック機構の断面を模式的に示す図。
【
図13B】
図13Aに示すC-C線に沿った位置でのロック機構の変形例の断面を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図16は、本発明による乳幼児用仮設ベッドまたはコット1の一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1には、使用状態にある乳幼児用仮設ベッドまたはコット1の外観が示されている。また、
図2には、
図1に示す乳幼児用仮設ベッドまたはコット1のA-A線に沿った断面が模式的に示されている。また、
図3には、
図1に示す乳幼児用仮設ベッド1の分解斜視図が示されている。以下では、乳幼児用仮設ベッドまたはコット1を単に「仮設ベッド1」とも呼ぶ。
【0016】
なお、本明細書中において、仮設ベッド1及びその構成要素に対する「上」、「下」および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、組み立てられて使用状態にある仮設ベッド1を基準とした「上」、「下」および「上下方向」を意味する。したがって、「上下方向」とは、仮設ベッド1の接地面に直行する方向であり、
図1における紙面の上下方向に一致する。また、「前後方向」とは、上下方向に直交する方向であって、
図1における紙面の左上と右下を結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、
図1における紙面の右下側となる。また、「後」とは、
図1における紙面の左上側となる。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。さらに、仮設ベッド1及びその構成要素に対する「内側」および「外側」の用語は、特に指示がない場合、使用状態にある仮設ベッド1内に横臥する乳幼児を基準とした「内側」および「外側」を意味する。
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0018】
図2~3に示すように、仮設ベッド1は、本体部10と、土台20と、床板部材30と、パッド40と、幌50と、を含む。このうち、本体部10と土台20と床板部材30と後述するパッド40の中板45は、段ボール製である。また、本体部10、土台20、床板部材30および幌50は、収納時および保管時には
図4~5に示す折り畳み状態にされて、パッド40と共に、袋60に入れられている。そして、仮設ベッド1の組立時には、
図1~3に示す使用状態に変形される。
【0019】
まず、本体部10について説明する。
図1及び
図3から理解されるように、本体部10は、仮設ベッド1の使用状態において直方体の箱状であり、長方形の底壁11と四つの側壁12~15とを有する。四つの側壁12~15は、底壁11の長辺に接続する第1及び第2長手方向側壁12,13と、底壁11の短辺に接続する第1及び第2短手方向側壁14,15と、を含む。隣り合う側壁12~15は互いに接続され、四角筒を構成する。仮設ベッド1がこのような四つの側壁12~15を有していることにより、乳幼児が仮設ベッド1から転落する虞が効果的に抑制される。
【0020】
図6は、本体部10の展開図である。本体部10の接合部10aが第2短手方向側壁15に接合されていることにより、本体部10は周状を成している。本体部10は、使用状態に変形される際、
図6において二点鎖線で示される組立用折れ線Sに沿って折り曲げられる。
【0021】
図6に示すように、各側壁12~15の下端縁から、底壁フラップ11a~11dが延び出している。4つの底壁フラップ11a~11dを側壁12~15の下端縁に沿って延びる組立用折れ線Sに沿って折り曲げて組み合わせることで、底壁11が形成される。図示された例では、次のようにして底壁11が形成される。すなわち、
図7に示すように、第1長手方向側壁12から延び出す第1底壁フラップ11aに、第1及び第2短手方向側壁14,15から延び出す第2及び第3底壁フラップ11b,11cを重ねる。その後、
図8に示すように、第2長手方向側壁13から延び出す第4底壁フラップ11dを、第2及び第3底壁フラップ11b,11cに重ね、第4底壁フラップ11dの先端を、第1底壁フラップ11aの上に差し込む。これにより、底壁11が完成する。
【0022】
図6に示すように、各側壁12~15は、底壁11に接続する側壁本体16と、側壁本体の上縁の一部から突出した差込板部17と、を有している。差込板部17は、後述する床板部材30の開口部70に挿入され、これにより本体部10は床板部材30を保持する。本体部10が床板部材30を保持することにより、仮設ベッド1を取り扱う際に本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が向上する。
【0023】
図示された例では、第1及び第2長手方向側壁12,13は、それぞれ、前後方向に沿って並ぶ三つの差込板部17を有する。これら三つの差込板部17は、第1及び第2長手方向側壁12,13の前後方向における両端部に形成された二つの端部差込板部17aと、二つの端部差込板部17aの間に形成された一つの中央差込板部17bと、を含む。また、第1及び第2短手方向側壁14,15は、それぞれ、幅方向に沿って並ぶ三つの差込板部17を有する。これら三つの差込板部17は、第1及び第2短手方向側壁14,15の幅方向における両端部に形成された二つの端部差込板部17cと、二つの端部差込板部17cの間に形成された一つの中央差込板部17dと、を含む。
図7~8によく示されているように、長手方向側壁12,13の端部差込板部17aは、短手方向側壁14,15の隣り合う端部差込板部17cと、屈曲部18を形成する。屈曲部18は、隣り合う二つの側壁12,14;12,15;13,14;13,15に跨がって位置している。屈曲部18は、側壁12~15が構成する四角筒の角部に位置する。
【0024】
なお、差込板部17a~17dが形成される位置は、上述した位置に限られない。差込板部17a~17dは、側壁本体16の上縁上の任意の位置に形成されてよい。
【0025】
図6~8に示すように、いくつかの差込板部17a~17dには、穴19が形成されている。図示された例では、短手方向側壁14,15の中央差込板部17dに、穴19が形成されている。穴19が形成された差込板部17は、後述するロック機構75の一部を構成する。以下では、ロック機構75の一部を構成する差込板部17dを「ロック用差込板部17d」とも呼ぶ。
【0026】
図1及び
図6に示すように、各長手方向側壁12,13の長手方向の中央には、上下方向に延びる折畳用折れ線Tが設けられている。折畳用折れ線Tは、
図1及び
図6において一点鎖線で示されている。周状に形成された本体部10を折畳用折れ線Tと組立用折れ線Sのうち上下方向に延びる折れ線とに沿って折ることにより、
図5に示すように本体部10をコンパクトに折り畳むことができる。
【0027】
図1に示すように、各長手方向側壁12,13の下端縁の近傍には、通気穴65が形成されている。通気穴65を通じて本体部10内の湿気が本体部10外に排出されることにより、乳幼児に快適な寝心地を提供することができる。また、本体部10内に湿気が籠もって仮設ベッド1を構成する要素(とりわけ段ボール製の要素)が変形する、という虞が抑制される。なお、図示された例では、長手方向側壁12,13に上方に向けて凸状の爪片66が形成されるように切込みが設けられており(
図6参照)、爪片66を折り曲げることにより通気穴65が形成(開放)される。通気穴65が開放された後も、爪片66は側壁12,13に接続したままである(
図2参照)。このため、乳幼児が誤って爪片66を飲み込む虞が抑制される。
【0028】
土台20は、本体部10の底壁11上に配置されて、床板部材30を下方から支持する。土台20は、
図9~10に示すように、複数の土台要素21~26を組み合わせることにより構成されている。複数の土台要素21~26の間には空間が形成されている。これにより、底壁11と床板部材30との間に空間が形成される。この結果、仮設ベッド1が配置された床面の振動が床板部材30上の乳幼児に伝わる虞が低減される。また、冬は、仮設ベッド1が設置された床面からの冷気が床板部材30上に横臥する乳幼児に伝わる、という虞が抑制される。また、夏は、乳幼児と床板部材30との間の湿気を、上記空間に逃がすことができる。なお、土台20によって床板部材30は上記床面よりも高い位置に配置されるが、側壁12~14によって、乳幼児が床板部材30上から転落する虞が抑制される。
【0029】
図示された例では、土台20は、前後方向に沿って延びる第1及び第2土台要素21,22と、幅方向に沿って延びる第3~第6土台要素23~26と、を噛み合わせて成る。第1及び第2土台要素21,22は、それぞれ、幅方向及び前後方向に広がる第1部分20aと、上下方向及び前後方向に広がる2つの第2部分20bと、を有する。2つの第2部分20bは、互いに平行であり、その上端部において第1部分20aに接続している。また、第3~第6土台要素23~26は、それぞれ、幅方向及び前後方向に広がる第3部分20cと、上下方向及び幅方向に広がる2つの第4部分20dと、を有する。2つの第4部分20dは、互いに平行であり、その下端部において第3部分20cに接続している。また、各土台要素21~26の第2部分20b又は第4部分20cには、土台要素21~26を噛み合わせるためのスリット27が形成されている。
【0030】
各土台要素21~26には、通気穴28が設けられている。これにより、土台20と土台20の上に配置される床板部材30との間に湿気が溜まって土台20および床板部材30が変形する、という虞が抑制される。また、床板部材30と本体部10との間の湿気が通気穴65を通じて排出されることを、促進することができる。
【0031】
床板部材30は、
図3に示すように、仮設ベッド1の使用状態において、床面を形成する長方形状の床板部31と、床板部31の長辺から上方に延び出す第1及び第2長手方向側板部32,33と、床板部31の短辺から上方に延び出す第1及び第2短手方向側板部34,35を有する。側板部32~35は、それぞれ、本体部10の側壁12~15に対面するように配置される。側板部32~35は、対応する側壁12~15の上縁まで延びている。側板部32~35は、全体として四角筒状となるように配置される。上述したように、床板部材30は、本体部10の側壁12~15によって保持されている。
【0032】
図示された例では、床板部31と側板部32~35とは、一体として形成されている。これにより、次のような効果が得られる。すなわち、床板部31と側板部32~35とが別体として形成されている場合、乳幼児が仮設ベッド1内に配置されたまま側壁12~15を把持して仮設ベッド1を持ち上げると、乳幼児の荷重が床板部31及び土台20を介して本体部10の底壁11に加わる。この結果、本体部10の底壁11を形成する底壁フラップ11a~11dが互いから分離して、いわゆる本体部10の底抜けが生じ、乳幼児が仮設ベッド1から落下する虞がある。一方、床板部31と側板部32~35とが一体として形成されている場合、側壁12~15を把持して仮設ベッド1を持ち上げると、仮設ベッド1内の乳幼児は側壁12~15に保持された床板部材30によって支持される。この結果、仮設ベッド1の底抜けが生じる虞が低減され、乳幼児が仮設ベッド1から落下する虞が低減される。
【0033】
側板部32~35は、それぞれ、本体部10の側壁12~15に接続される。側板部32~35が本体部10の側壁12~15に接続されることで、床板部材30は本体部10に保持される。また、側板部32~35が本体部10の側壁12~15に対面して配置され、側壁12~15に接続されることにより、本体部10の側壁12~15が撓む虞が抑制される。とりわけ、図示された例では、長手方向側壁12,13には上下方向に延びる折畳用折れ線Tが形成されている。仮設ベッド1の使用状態において長手方向側板部32,33が長手方向側壁12,13に対面して配置され、長手方向側板部32,33に接続していることにより、長手方向側壁12,13が折畳用折れ線Tで折れ曲がる虞が抑制される。この結果、使用状態にある仮設ベッド1が意図せず変形して乳幼児が仮設ベッド1から転落する、という虞が効果的に低減される。
【0034】
図2及び
図11を参照して、側板部32~35と側壁12~15との接続方法について説明する。
図11は、短手方向側板部34,35の上縁部を示す斜視図である。
図2及び
図11に示すように、各側板部32~35の上縁部には開口部70が形成されている。開口部70に本体部10の差込板部17を挿入することにより、側板部32~35は、本体部10の側壁12~15に接続される。
【0035】
より詳細には、各側板部32~35は、床板部31に接続した側板本体部36と、側板本体部36の上縁に接続した折返縁部37と、を有する。折返縁部37は、上縁が側板本体部36の上縁に接続した第1折返部37aと、第1折返部37aの下縁の一部に接続した第2折返部37bと、を有する。第2折返部37bは、第1折返部37aと側板本体部36との間に位置するように折り返されており、側板本体部36の外面に接着されている。第1折返部37aの下縁の他の一部と側板本体部36とによって開口部70の入口が画成されている。開口部70を通じて、本体部10の差込板部17が、第1折返部37aと側板本体部36との間に挿入されている。これにより、リベット等の追加の接続部材を用いることなく、本体部10と床板部材30とを接続することができる。したがって、仮設ベッド1の組み立てが容易になる。また、差込板部17と差込板部17を内側及び外側から挟む側板部32~35との間の摩擦力によって、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が抑制される。これにより、仮設ベッド1の取り扱い性が向上する。
【0036】
図示された例では、折返縁部37は、側板本体部36の上縁と第1折返部37aの上縁との間に位置する第1マチ部38aと、第1折返部37aの下縁の一部と第2折返部37bの下縁との間に位置する第2マチ部38bと、を有する。また、折返縁部37は、第1折返部37aの上記他の一部に直接接続する(すなわち、第2マチ部38bを介さずに接続する)押圧板部39を有する。
図11に示すように、押圧板部39は、第1折返部37aの上記他の一部から、第1折返部37aと側板本体部36との間に(言い換えると、開口部70内に)延び出している。
図2に示すように、本体部10の差込板部17は、押圧板部39と側板本体部36との間に挿入されている。第1マチ部38aと第2マチ部38bとによって、側板本体部36と第1折返部37aとの間に押圧板部39及び差込板部17のための空間が形成される。また、押圧板部39が第2マチ部38bを介さずに第1折返部37aに直接接続されていることにより、押圧板部39は側板本体部36に向けて付勢される。このため、押圧板部39は、上方に向かうにつれて側板本体部36に接近するように、側板本体部36に対して傾いている。そして、差込板部17が側板本体部36と側板本体部36に向けて付勢された押圧板部39との間に位置していることにより、差込板部17と側板部32~35との間の摩擦力を増大させることができる。これにより、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が更に効果的に抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が更に向上する。
【0037】
図示された例では、各側板部32~35には、複数の開口部70が形成されている。第1及び第2長手方向側板部32,33には、それぞれ、前後方向に沿って三つの開口部70が形成されている。これら三つの開口部70は、第1及び第2長手方向側板部32,33の前後方向における両端部に形成された二つの端部開口部70aと、二つの端部開口部70aの間に形成された一つの中央開口部70bと、を含む。また、第1及び第2短手方向側板部34,35には、それぞれ、幅方向に沿って三つの開口部70が形成されている。これら三つの開口部70は、第1及び第2短手方向側板部34,35の幅方向における両端部に形成された二つの端部開口部70cと、二つの端部開口部70cの間に形成された一つの中央開口部70dと、を含む。端部開口部70aと中央開口部70bとの間及び端部開口部70cと中央開口部70dとの間には、第2マチ部38b及び第2折返部37bが位置している。各開口部70a~70d内に押圧板部39が位置している。
【0038】
第1及び第2長手方向側板部32,33の端部開口部70a及び中央開口部70bは、それぞれ、本体部10の第1及び第2長手方向側壁12,13の端部差込板部17a及び中央差込板部17bを受容している。また、第1及び第2短手方向側板部34,35の端部開口部70c及び中央開口部70dは、それぞれ、本体部10の第1及び第2短手方向側壁14,15の端部差込板部17c及び中央差込板部17dを受容している。
【0039】
隣り合う側板部32,34;32,35;33,34;33,35の隣り合う端部開口部70a,70cは、本体部10の端部差込板部17a,17cによって構成される屈曲部18を受容する。これにより、床板部材30の隣り合う二つの側板部32,34;32,35;33,34;33,35の相対移動が効果的に抑制される。この結果、隣り合う二つの側板部32,34;32,35;33,34;33,35の間に、乳幼児の指が挟まれる虞が、効果的に抑制される。
【0040】
図示された例では、床板部材30は、本体部10と協働してロック機構75を構成する。ロック機構75によって、差込板部17が第1折返部17aと側板本体部36との間から抜け出ることを規制する。これにより、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が効果的に抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が更に効果的に向上する。
【0041】
図12A~13Bを参照して、ロック機構75について説明する。
図12Aは、ロック機構75を構成する押圧板部39及び差込板部17を示す図である。
図12Bは、折返縁部37及び差込板部17aの、
図12Aに示すB-B線に沿った位置での断面を示す。また、
図13Aは、ロック機構75を構成する押圧板部39及び差込板部17の変形例を示す図である。
図13Bは、
図13Aの変形例による折返縁部37及び差込板部17aの、
図13Aに示すC-C線に沿った位置での断面を示す。以下では、ロック機構75の一部を構成する押圧板部39を「ロック用押圧板部39a」とも呼ぶ。
【0042】
ロック機構75は、本体部10のロック用差込板部17dと、床板部材30のロック用押圧板部39aとによって構成される。上述したように、図示された例では、ロック用差込板部17dは、短手方向側壁14,15の中央差込板部17dである。これに対応して、短手方向側板部34,35の幅方向中央に位置する押圧板部39が、ロック用押圧板部39aを成す。
【0043】
図12A~12Bに示すように、ロック用押圧板部39aは、第1折返部37aに接続する基部39bと、基部39bから上方に延び出す先端部39cとを有する。先端部39cは、第1折返部37aと側板本体部36との間でロック用差込板部17dの穴19に挿入されている。
図12Bに示すように、先端部39cは、穴19の内部に位置している。このようなロック機構75によれば、先端部39cが穴19の上縁に接触することにより、床板部材30を本体部10から上方に引き抜くことが規制される。あるいは、
図13A~13Bに示すように、先端部39cは、ロック用差込板部17dの穴19を通じて、ロック用差込板部17dと側板本体部36との間に挿入されている。一方で、基部39bは、第1折返部37aとロック用差込板部17dとの間に位置する。このようなロック機構75によれば、ロック用押圧板部39aの先端部39c又は基部39bが穴19の上縁に接触することにより、床板部材30を本体部10から上方に引き抜くことが規制される。
【0044】
なお、ロック用押圧板部39aは側板本体部36に向けて付勢されているため、穴19が形成された差込板部17dをロック用押圧板部39aが内部に位置する開口部70dに挿入するだけで、ロック用押圧板部39aの先端部39cが自動的に穴19に挿入される。すなわち、差込板部17を開口部70に挿入するだけで、床板部材30は本体部10に対して自動的にロックされる。
【0045】
このようなロック機構75によれば、ロック機構75を構成するための追加の部材を必要としない。これにより、ロック機構75を有する仮設ベッド1を、容易に組み立てることができる。また、仮設ベッド1を組み立てるだけで床板部材30が本体部10に対して自動的にロックされるため、ロック機構75を機能させるための追加の作業を必要としない。
【0046】
さらに、
図2から理解されるように、図示された例では、本体部10の側壁12~15の上縁と床板部材30の側板本体部36の上縁との間の隙間は、側板部32~35の折返縁部37によって、上方から覆われる。これにより、子供の指が本体部10と床板部材30との間に挟まれる虞が、効果的に抑制される。
【0047】
このような床板部材30の側板部32~35は、
図14に示す平板な板状部材を、
図14において一点鎖線で示す製造用折れ線Mに沿って折り曲げ、第2折返部37bと側板本体部36とを接着剤等を用いて接着することにより、形成される。より具体的には、
図14に示す板状部材の面を第1面とし、他方の面を第2面とした場合に、第2折返部37b及び押圧板部39の第1面と、側板本体部36の第2面とが対面するように、板状部材を製造用折れ線Mに沿って折り曲げる。その後、第2折返部37bの第1面と、側板本体部36の第2面の
図14において破線で囲まれた領域Rとを接着する。これにより、
図11に示すような側板部32~35が形成される。また、このようにして側板部32~35が形成された床板部材30を、
図14において二点鎖線で示す組立用折れ線Sに沿って折り曲げることにより、
図3に示す床板部材30が形成される。
【0048】
なお、図示された例では、短手方向側壁14,15の幅方向中央に位置する中央差込板部17dと、短手方向側板部34,35の幅方向中央に位置する押圧板部39aとによって、ロック機構75が形成されているが、これに限られない。ロック機構75を形成する差込板部17及び押圧板部39は、他の差込板部17及び押圧板部39であってもよい。
【0049】
さらに、
図1に示すように、図示された例では、隣り合う側板部32,34;32,35;33,34;33,35は、第1折返部37aにおいて、接続部材80で接続されている。これにより、第1折返部37aの側板本体部36に対する移動が規制され、側板部32~35と差込板部17との間に働く摩擦力を増大させることができる。このことによっても、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が効果的に抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が更に効果的に向上する。
【0050】
図示された例では、隣り合う側板部32,34;32,35;33,34;33,35を接続する接続部材80は、粘着テープである。接続部材80は、第1折返部37aの外側を向く面に取り付けられている。接続部材80は、蓄光剤又は蛍光剤を含む。例えば、接続部材80としての粘着テープの基材に、蓄光剤又は蛍光剤が塗布されている。このような接続部材80が仮設ベッド1の外側を向く面に取り付けられていることにより、光が乏しい環境においても、周囲に仮設ベッド1の存在を示すことができる。この結果、仮設ベッド1の周囲を移動する者が仮設ベッド1に意図せずぶつかる、という虞が抑制される。後述する幌が含んでいてもよい。
【0051】
図14に示すように、床板部31には、通気穴31aが設けられている。これにより、床板部材30と床板部材30上に配置されるパッド40との間に湿気が溜まって床板部材30が変形する、という虞が抑制される。
図2に示す例では、通気穴31aは、土台要素21,22の通気穴28と上下方向に整列している。
【0052】
なお、床板部材30は、
図11に示す組立用折れ線Sに沿って折ることにより、床板部材30を
図5に示す折り畳み状態にすることができる。
【0053】
パッド40は、床板部材30の上に配置される。
図2及び
図15に示された例では、パッド40は、シート41と中板45とを含む。シート41は、クッション性を有するだけでなく、通気性に優れている。したがって、乳幼児とシート41との間に湿気が溜まって蒸れることを抑制することができ、乳幼児に快適な寝心地を提供することができる。具体的には、シート41は、仮設ベッド1内に横臥する乳幼児に対面することとなる表側部42と、床板部31に対面することとなる裏側部43と、を含む。表側部42と裏側部43は、その周縁部において互いに縫着されている。表側部42は、メッシュ材で形成された第1布地及び第2布地と、第1布地と第2布地との間に配置されたクッション材とを含む。裏側部43は、メッシュ材で形成されている。
【0054】
中板45は、シート41の表側部42と裏側部43との間に配置されている。これにより、仮設ベッド1の使用中にシート41がよれたり、適切な位置からずれたりする虞が防止される。図示された例では、中板45には通気穴46が設けられている。これにより、シート41の表側部42と中板45との間に湿気が溜まって中板45が変形する、という虞が抑制される。
図2に示す例では、通気穴46は、床板部材30の通気穴31aおよび土台要素21,22の通気穴28と上下方向に整列している。
【0055】
また、図示された例では、中板45は、シート41に設けられた開口44を通じて、シート41内から取り出し可能である。これにより、シート41を洗濯することができる。
図15に示す例では、開口44は、裏側部43の前後方向の中央に、幅方向に沿って形成されている。この場合、中板45を前後方向の中央で幅方向に沿って折り曲げることにより、開口44を通じて中板45をシート41内から出し入れ可能である。
【0056】
幌50は、
図1に示すように、本体部10の後部領域を上方から覆う。これにより、仮設ベッド1内に横臥する乳幼児の頭部を、例えば余震で天井から落ちてくる粉塵等から守ることができる。また、仮設ベッド1の上方からの光を遮ることができる。
【0057】
図1および
図16に示すように、幌50は、幌材51と、幌材51の前端縁に取り付けられた幌骨52と、を有する。幌材51は、仮設ベッド1の幅方向の一側及び他側にそれぞれ配置される第1および第2幌布材53,54と、幌材51を補強する補強紐55と、を有する。
【0058】
各幌布材53,54は、第1~第3端縁56a~56cを有する。第1および第2幌布材53,54の第1端縁56aは、幌50の前端縁を成す。第1および第2幌布材53,54の第1端縁56aには、幌骨52をなすワイヤが取り付けられている。幌骨52は、幌50の前端縁の一端から他端に亘って延びている。
【0059】
第2端縁56bは、一端が第1端縁56aの下端に接続している。
図2に示すように、第2端縁56bは、本体部10の外側に配置される。第1幌布材53の第2端縁56bは、第1長手方向側板部32の後部領域および第2短手方向側板部35の幅方向の一側半部において、第1折返部37aを外側から覆う。第2幌布材54の第2端縁56bは、第2長手方向側板部33の後部領域および第2短手方向側板部35の幅方向の他側半部において、第1折返部37aを外側から覆う。
【0060】
第3端縁56cは、第2端縁56bの他端と第1端縁56aの上端とを接続する。2枚の幌布材53,54は、第3端縁56cで接続されている。図示された例では、第3端縁56cは、第1端縁56aの上端から後方に延びた後、第2端縁56bの他端に向けて下方に延びる折れ線状または曲線状をなしている。このような幌50は、
図5に示すように、全体として幌50の幅方向に沿って延びる折畳用折れ線T(
図16参照)に沿って、三つ折りに折り畳むことができる。
【0061】
図示された例では、各幌布材53,54は不織布で形成されている。各幌布材53,54の各端縁56a~56cには、補強紐55が縫い付けられている。これにより、幌材51が補強される。幌布材53,54または補強紐55の一部または全てが、蓄光剤又は蛍光剤を含んでいてもよい。これにより、光が乏しい環境においても、周囲に仮設ベッド1の存在を示すことができる。この結果、仮設ベッド1の周囲を移動する者が仮設ベッド1に意図せずぶつかる、という虞が抑制される。
【0062】
図2および
図16に示すように、第1および第2幌布材53,54の第2端縁56bの近傍及び床板部材30の側板部32,33の第1折返部37aには、幌50を側板部32,33に固定するための幌用固定具85が取り付けられている。幌布材53,54が側板部32,33に固定されていること及び幌材51に幌骨52が取り付けられていることにより、幌材51を張った状態に維持することができる。なお、図示された例では、幌用固定具85は面ファスナーであるが、これに限られない。幌用固定具85は、例えばスナップボタンやリベットピンであってもよい。
【0063】
次に、仮設ベッド1の組立方法について説明する。まず、
図5に示す折り畳み状態の本体部10を広げる。そして、
図7~8に示すように底壁フラップ11a~11dを組み合わせて、底壁11を形成する。
次に、土台20を
図9に示す状態に組み立てて、土台20を本体部10の中に配置する。
次に、
図5に示す折り畳み状態にある床板部材30を広げ、床板部材30を、その組立用折れ線Sに沿って折り曲げる。このとき、
図3に示すように、側板部32~35が床板部31から上方に延び出して、第1折返部37aが外側に位置するようにする。そして、床板部31を土台20の上に配置する。このとき、側板部32~35の開口部70に、本体部10の差込板部17を挿入する。
次に、接続部材80を用いて、隣り合う側板部32,34;32,35;33,34;33,35の第1折返部37aを接続する。
次に、床板部材30の床板部31上にパッド40を敷く。
次に、幌50を、幌用固定具85を用いて側板部32,33に固定する。
最後に、本体部10の長手方向側壁12,13に形成された通気穴65を開放する。
【0064】
このように、仮設ベッド1は、工具を用いることなく簡単に組み立てることができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、乳幼児用仮設ベッドまたはコット1は、側壁12~15を有する本体部10と、本体部10に保持される床板部材30と、を備えている。床板部材30は、床板部31と、床板部31に接続した側板部32~35と、を有している。側板部32~35は、床板部31に接続した側板本体部36と、側板本体部36の上縁に接続した第1折返部37aと、第1折返部37aの下縁の一部に接続した第2折返部37bと、を有する。第2折返部37bは、第1折返部37aと側板本体部36との間に位置し、側板本体部36に接着されている。側壁12~15は、側壁本体16と、側壁本体16との上縁の一部から突出した差込板部17と、を有する。第1折返部37aと側板本体部36との間に、差込板部17を挿入する開口部70が形成されている。
【0066】
このような乳幼児用仮設ベッドまたはコット1によれば、側壁12~15及び側板部32~35によって、床板部31上の乳幼児が仮設ベッド1から転落する虞が抑制される。したがって、仮設ベッド1は乳幼児への使用に適している。また、仮設ベッド1を取り扱う際、差込板部17と差込板部17を内側及び外側から挟む側板部32~35との間の摩擦力によって、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が抑制される。これにより、仮設ベッド1の取り扱い性が向上する。
【0067】
また、本実施の形態によれば、本体部10は、四角筒を構成する四つの側壁12~15を有する。隣り合う二つの側壁12,14の差込板部17は、当該二つの側壁12,14;12,15;13,14;13,15に跨がって上記四角筒の角部に位置する屈曲部18を形成する。このような乳幼児用仮設ベッドまたはコット1によれば、本体部10が四角筒を構成する四つの側壁12~15を有しているので、床板部31上の乳幼児が仮設ベッド1から転落する虞が、さらに効果的に抑制される。また、屈曲部18によって、床板部材30の隣り合う二つの側板部32,34;32,35;33,34;33,35の相対移動が効果的に抑制される。これにより、隣り合う二つの側板部32,34;32,35;33,34;33,35の間に、乳幼児の指が挟まれる虞が、効果的に抑制される。
【0068】
また、本実施の形態によれば、側板部32~35は、側板本体部36の上縁と第1折返部37aの上縁との間に位置する第1マチ部38aと、第1折返部37aの下縁の一部と第2折返部37bの下縁との間に位置する第2マチ部38bと、第1折返部37aの下縁の他の一部に直接接続する押圧板部39と、を更に有する。押圧板部39は、第1折返部37aと側板本体部36との間に位置する。差込板部17は、押圧板部39と側板本体部36との間に位置する。このような乳幼児用仮設ベッドまたはコット1によれば、第1マチ部38aと第2マチ部38bとによって、側板本体部36と第1折返部37aとの間に押圧板部39及び差込板部17のための空間が形成される。また、押圧板部39が第2マチ部38bを介さずに第1折返部37aに直接接続されていることにより、押圧板部39は側板本体部36に向けて付勢される。このような押圧板部39と側板本体部36との間に差込板部17が位置していることにより、差込板部17と側板部32~35との間の摩擦力が増大する。これにより、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が更に効果的に抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が更に向上する。
【0069】
また、本実施の形態によれば、第1折返部37aと側板本体部36との間に挿入された差込板部17が第1折返部37aと側板本体部36との間から抜け出ることを規制するロック機構75が設けられている。これにより、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞を更に効果的に抑制することができ、仮設ベッド1の取り扱い性が更に向上する。
【0070】
また、本実施の形態によれば、ロック機構75は、穴19が形成された差込板部17dと、第1折返部37aと側板本体部36との間で上記穴19に挿入された押圧板部(ロック用押圧板部)39aと、によって構成される。押圧板部39aが上記穴19の上縁に接触することにより、床板部材30を本体部10から上方に引き抜くことが規制される。このような乳幼児用仮設ベッドまたはコット1によれば、ロック機構75を構成するための追加の部材を必要としない。これにより、ロック機構75を有する仮設ベッド1を、容易に組み立てることができる。また、ロック用押圧板部39aは側板本体部36に向けて付勢されているため、穴19が形成された差込板部17dをロック用押圧板部39aが内部に位置する開口部70dに挿入するだけで、ロック用押圧板部39aが自動的に穴19に挿入される。すなわち、差込板部17を開口部70に挿入するだけで、床板部材30は本体部10に対して自動的にロックされる。したがって、ロック機構75を機能させるための追加の作業を必要としない。
【0071】
また、本実施の形態によれば、本体部10は、四角筒を構成する四つの側壁12~15を有する。床板部材30は、本体部10の四つの側壁12~15と対面する四つの側板部32~35を有する。四つの側板部32~35は、隣り合う側板部32,34;32,35;33,34;33,35と、第1折返部37aにおいて接続部材80で接続されている。このような乳幼児用仮設ベッドまたはコット1によれば、接続部材80によって第1折返部37aの側板本体部36に対する移動が規制され、側板部32~35と差込板部17との間に働く摩擦力を増大させることができる。これにより、本体部10と床板部材30とが意図せず分離する虞が効果的に抑制され、仮設ベッド1の取り扱い性が更に効果的に向上する。
【0072】
また、本実施の形態によれば、接続部材80は、蛍光剤または蓄光剤を含む。これにより、光が乏しい環境においても、周囲に仮設ベッド1の存在を示すことができる。この結果、仮設ベッド1の周囲を移動する者が仮設ベッド1に意図せずぶつかる、という虞が抑制される。
【0073】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 乳幼児用仮設ベッドまたはコット
10 本体部
11 底壁
12 第1長手方向側壁
13 第2長手方向側壁
14 第1短手方向側壁
15 第2短手方向側壁
17 差込板部
19 穴
20 土台
30 床板部材
31 床板部
32 第1長手方向側板部
33 第2長手方向側板部
34 第1短手方向側板部
35 第2短手方向側板部
36 側板本体部
37 折返縁部
37a 第1折返部
37b 第2折返部
38a 第1マチ部
38b 第2マチ部
39 押圧板部
39b 基部
39c 先端部
40 パッド
50 幌
60 袋
70 開口部
75 ロック機構
80 接続部材
M 製造用折れ線
S 組立用折れ線
T 折畳用折れ線