(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125967
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】位置特定装置、位置特定方法、および、測定用台車
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G01B7/00 102M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030365
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】新井 イスマイル
(72)【発明者】
【氏名】奥村 嶺
(72)【発明者】
【氏名】藤川 和利
(72)【発明者】
【氏名】新 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】川端 馨
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063BB03
2F063CA09
2F063DA01
2F063DC08
2F063DD08
2F063GA52
(57)【要約】
【課題】作業者の位置の特定精度を向上させる。
【解決手段】位置特定装置(1)は、測位対象領域における作業者(W)の移動経路において計測した複数の磁気と、作業者(W)の移動距離とを取得する取得部(10)と、取得部(10)が取得した複数の磁気の、作業者(W)の移動に伴う変化パターンと、測位対象領域において予め磁気が計測された複数の計測点の少なくとも一部の連続する計測点を繋ぐことにより特定される照合対象経路のうち、上記移動距離に相当する長さを有する照合対象経路の磁気の変化パターンとを照合することにより、作業者(W)が移動した経路を推定する推定部(20)と、推定部(20)が推定した経路に基づいて、作業者(W)の位置を特定する特定部(30)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位対象領域における被測位対象の位置を特定する位置特定装置であって、
前記測位対象領域における前記被測位対象の移動経路において計測した複数の磁気と、前記移動経路上を前記被測位対象が移動した移動距離とを取得する取得部と、
(1)前記取得部が取得した前記複数の磁気の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、(2)前記測位対象領域において予め磁気が計測された複数の計測点のうち少なくとも一部の連続する計測点を繋ぐことにより特定される経路を照合対象経路とし、前記照合対象経路のうち、前記移動距離に相当する長さを有する前記照合対象経路の磁気の変化パターンと、を照合することにより、前記被測位対象が移動した経路を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記被測位対象が移動した経路に基づいて、前記被測位対象の位置を特定する特定部と、を含む、位置特定装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記取得部が取得した磁気の水平成分の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、前記照合対象経路における、予め測定された磁気の水平成分の変化パターンとを照合し、
磁気の水平成分の変化パターンの照合結果に基づいて、前記被測位対象が移動した経路を推定する、請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記取得部が取得した磁気の水平成分および鉛直成分の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、前記照合対象経路における、予め測定された磁気の水平成分および鉛直成分の変化パターンとを照合し、
磁気の水平成分の変化パターンの照合結果、および、磁気の鉛直成分の変化パターンの照合結果に基づいて、前記被測位対象が移動した経路を推定する、請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記移動経路の複数箇所において計測した磁気の成分の変化パターンと、前記照合対象経路における複数の計測点における予め測定された磁気の成分の変化パターンとの類似度を算出し、当該類似度に基づいて前記被測位対象が移動した経路を推定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の位置特定装置。
【請求項5】
前記推定部は、
磁気の水平成分および鉛直成分のそれぞれについて前記類似度を算出し、
複数の前記照合対象経路について算出された水平成分の類似度についてのランキングが所定のランキング以上である前記照合対象経路の中から、前記被測位対象が移動した経路を推定する、請求項4に記載の位置特定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記取得部が取得した磁気の成分、および、予め計測された磁気の成分を所定の方法で規格化した後、磁気の成分の変化パターンの照合を行う、請求項1から5のいずれか1項に記載の位置特定装置。
【請求項7】
測位対象領域における被測位対象の位置を特定する位置特定方法であって、
前記測位対象領域における複数の計測点の磁気を予め計測する第1磁気成分計測工程と、
前記測位対象領域における前記被測位対象の移動経路において複数の磁気を計測する第2磁気成分計測工程と、
(1)前記第2磁気成分計測工程で測定した前記複数の磁気の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、(2)前記第1磁気成分計測工程で計測を行った複数の計測点のうち少なくとも一部の連続する計測点を繋ぐことにより特定される経路を照合対象経路とし、前記照合対象経路のうち、前記第2磁気成分計測工程において前記被測位対象が移動した移動距離に相当する長さを有する前記照合対象経路の磁気の変化パターンと、を照合することにより、前記被測位対象が移動した経路を推定する推定工程と、
前記推定工程において推定した前記被測位対象が移動した経路に基づいて、前記被測位対象の位置を特定する特定工程と、を含む、位置特定方法。
【請求項8】
磁気を測定するための測定用台車であって、
車輪と、
磁気を測定し、測定した磁気、および、当該磁気を測定した時刻を記録する第1記録部と、
前記車輪の回転量から前記測定用台車の走行距離を算出し、算出した走行距離、および、前記測定用台車が走行した時刻を記録する第2記録部と、を備える測定用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位対象領域における被測位対象の位置を特定する位置特定装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が現場で機器の点検などを行う場合に、不慮の事故を迅速に発見するためにリアルタイムに作業者(被測位対象)の位置を特定するシステムが求められている。
【0003】
人などの被測位対象の位置を特定する技術として、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)が知られている。しかし、これらのシステムは、屋内では電波が届きにくく屋内での位置特定に利用することが難しい。また、屋内における被測位対象の位置特定においては、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等電波を利用する方法が知られている。ただし、これらの技術は、位置特定に用いる電波発信設備であるWi-Fi(登録商標)基地局やBluetooth(登録商標)のビーコンを構造物内部または周囲に設置する必要がある。また、位置特定を行う構造物の広さや構造によっては、電波を受信しづらくなり、位置特定精度が低下することがある。そこで、屋内で使用可能であり、かつ、電波発信設備の設置が不要な位置特定方法が望まれている。
【0004】
このような位置推定技術として、特許文献1には、予め生成した磁気マップと、携帯端末により収集された磁気データとを照合することにより、人(ユーザ)の位置を特定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、予め生成した磁気マップと、携帯端末により収集された磁気データとを照合する際に、磁気マップ上の各点と、携帯端末により収集された1つの磁気データとを照合する。そのため、携帯端末により収集された1つの磁気と同等の大きさの磁気を有する点が磁気マップに複数ある場合、人(ユーザ)の位置を正確に特定することができないという問題があった。
【0007】
本発明の一態様は、被測位対象の位置の特定精度を向上させることができる位置特定装置および位置特定方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置特定装置は、測位対象領域における被測位対象の位置を特定する位置特定装置であって、前記測位対象領域における前記被測位対象の移動経路において計測した複数の磁気と、前記移動経路上を前記被測位対象が移動した移動距離とを取得する取得部と、(1)前記取得部が取得した前記複数の磁気の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、(2)前記測位対象領域において予め磁気が計測された複数の計測点のうち少なくとも一部の連続する計測点を繋ぐことにより特定される経路を照合対象経路とし、前記照合対象経路のうち、前記移動距離に相当する長さを有する前記照合対象経路の磁気の変化パターンと、を照合することにより、前記被測位対象が移動した経路を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記被測位対象が移動した経路に基づいて、前記被測位対象の位置を特定する特定部と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置特定方法は、測位対象領域における被測位対象の位置を特定する位置特定方法であって、前記測位対象領域における複数の計測点の磁気を予め計測する第1磁気成分計測工程と、前記測位対象領域における前記被測位対象の移動経路において複数の磁気を計測する第2磁気成分計測工程と、(1)前記第2磁気成分計測工程で測定した前記複数の磁気の、前記被測位対象の移動に伴う変化パターンと、(2)前記第1磁気成分計測工程で計測を行った複数の計測点のうち少なくとも一部の連続する計測点を繋ぐことにより特定される経路を照合対象経路とし、前記照合対象経路のうち、前記第2磁気成分計測工程において前記被測位対象が移動した移動距離に相当する長さを有する前記照合対象経路の磁気の変化パターンと、を照合することにより、前記被測位対象が移動した経路を推定する推定工程と、前記推定工程において推定した前記被測位対象が移動した経路に基づいて、前記被測位対象の位置を特定する特定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、被測位対象の位置の特定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る位置特定装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図2】測位対象領域のフロアの例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る測定用台車の側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る位置特定の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1情報生成工程における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】測位工程における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態における位置特定装置1の要部構成を示すブロック図である。本実施形態における位置特定装置1は、例えばGPSなどに用いられる電波が届きにくい建物内部などの測位対象領域において、被測位対象としての作業者Wが存在している位置を特定する、すなわち、作業者Wが存在している位置を測位するための装置である。
【0013】
位置特定装置1の説明に先立って、位置特定装置1による作業者Wの位置の特定のために必要となる情報、ならびに、当該情報を取得する装置および方法について説明する。位置特定装置1による作業者Wの位置の特定には、少なくとも下記の第1情報および第2情報が必要となる。
【0014】
(第1情報)
第1情報は、測位対象領域における複数の計測点において予め計測された磁気および気圧、ならびに、各計測点の位置の情報を含む。
図2は、測位対象領域のフロアFの例を示す模式図である。磁気および気圧は、
図2に示す、測位対象領域において作業者Wが移動する可能性がある経路上にある複数の計測点Pにおいて測定される。ここで、「作業者Wが移動する可能性がある経路にある複数の計測点P」は、1つの直線状の経路にある計測点Pを意味するのではなく、作業者Wが移動する可能性があるすべての経路における複数の計測点Pを意味する。
【0015】
測定した磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した計測点Pの位置を含む第1情報は、後述する位置特定装置1の記憶部40に格納される。なお、第1情報は、磁気の水平成分および鉛直成分のそれぞれの大きさを磁気の情報として含む。第1情報に含まれる磁気の水平成分および鉛直成分は、グローバル座標系における水平成分および鉛直成分である。「グローバル座標系」とは、地表に平行な面をX軸およびY軸からなるX-Y平面、鉛直方向をZ軸とした座標系である。また、気圧については、各計測点Pにおいて測定する必要はなく、測位対象領域の各フロアについて1回のみ計測してもよい。
【0016】
上記複数の計測点の間の距離は、一定の間隔であることが好ましい。これにより、後述する類似度をより正確に算出することができる。第1情報は、例えば、磁気測定装置を所持した測定者が一定の距離進むごとに磁気を測定することにより取得してもよい。また、第1情報は、下記に説明する測定用台車100を用いて取得してもよい。
【0017】
図3は、測定用台車100の側面図である。
図3に示すように、測定用台車100は、載置部110と、車輪120と、第1測定部130(第1記録部)と、第2測定部140(第2記録部)とを備えている。
【0018】
載置部110は、後述する、第1測定部130および第2測定部140が載置される台である。載置部110の上面111は、水平面に平行な平面となっている。
【0019】
車輪120は、載置部110の下方において、測定用台車100の進行方向(
図3における左方向)の前後にそれぞれ2つずつ設けられている。
図3では、4つの車輪120のうち2つの車輪120のみを図示している。
【0020】
車輪120のうち、測定用台車100の進行方向の前側かつ左側の車輪120(以降では、他の車輪と区別するために車輪120Aと称する)の内側には、車輪120Aの円周方向に沿って等間隔に、N極磁石121およびS極磁石122がそれぞれ交互に4つずつ配置されている。なお、車輪120Aに配置されるN極磁石121およびS極磁石122の個数は、4つずつに限定されるものではなく、その他の個数であってもよい。
【0021】
車輪120Aの内側にはホールセンサ123が設けられている。ホールセンサ123は、N極磁石121およびS極磁石122がホールセンサ123に所定の距離よりも近づくとN極磁石121およびS極磁石122を検知する。ホールセンサ123は、N極磁石121を検知した場合には出力として「1」を、S極磁石122を検知した場合には出力として「0」を後述する第2測定部140に出力する。
【0022】
第1測定部130は、磁気および気圧を測定する。第1測定部130は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。第1測定部130は、所定の時間間隔で磁気および気圧を測定し、測定した磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した時刻を記録する。第1測定部130は、測定した磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した時刻を第2測定部140に出力する。また、第1測定部130は、第1測定部130が備える加速度センサ(不図示)を用いて、水平方向に対する第1測定部130の傾斜角(すなわち、第1測定部130と地表とのなす角度)を取得する。なお、水平方向に対する第1測定部130の傾斜角を取得するセンサは、加速度センサに限られず、他のセンサを用いてもよい。
【0023】
第1測定部130は、第1測定部130と地表とのなす角度を用いて、測定した磁気のグローバル座標系における水平成分および鉛直成分を算出し、第2測定部140に出力する。なお、第1測定部130と地表とのなす角度が0°の場合には、第1測定部130は、グローバル座標系における水平成分および鉛直成分、および、第1測定部130の上記加速度センサで取得した角度を用いた座標系における水平成分および鉛直成分、のいずれの水平成分および鉛直成分を第2測定部140に出力してもよい。
【0024】
第2測定部140は、演算装置(例えば、ラップトップPC)によって構成されている。ホールセンサ123から出力された出力から測定用台車100の走行距離を算出する。ここで、車輪120Aの円周の長さは既知であるため、ホールセンサ123の出力が切り替わってから次に切り替わるまでの測定用台車100の走行距離は、車輪120Aの円周の1/8の長さになる。なお、ホールセンサ123の出力が切り替わってから次に切り替わるまでの測定用台車100の走行距離は、車輪120Aに配置されるN極磁石121およびS極磁石122の個数によって異なる。第2測定部140は、ホールセンサ123から出力された「0」と「1」の出力が切り替わった回数(すなわち、車輪120Aの回転量)に基づいて測定用台車100の走行距離を算出し、算出した走行距離を記録する。また、第2測定部140は、測定用台車100が走行した時刻を記憶部(不図示)に記録する。
【0025】
また、第2測定部140は、測定用台車100が走行を開始した位置を、目視によって、または、既製品の屋内測位システム(例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping))などを用いて取得し、取得した測定用台車100の位置と当該位置を取得した時刻とを上記記憶部に記録する。
【0026】
さらに、第2測定部140は、第1測定部130から出力された磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した時刻を上記記憶部に記録する。第2測定部140によって記録された磁気および計測点Pの位置は、後述する、第1情報生成工程(ステップS1)および測位工程(ステップS2)において、磁気マップとして活用されてもよい。
【0027】
第2測定部140は、上記記憶部に記憶された、測定用台車100の走行距離、測定用台車100が走行を開始した位置、および、磁気および気圧を、時刻で紐付けることにより、磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した計測点Pの位置を含む第1情報を生成し、後述する位置特定装置1に出力する。第2測定部140から出力された第1情報は、後述する記憶部40に格納される。
【0028】
上記の測定用台車100を用いることにより、測位対象領域において作業者Wが移動する可能性がある経路上を、測定者が測定用台車100を移動させることにより、磁気および気圧、ならびに、磁気および気圧を測定した計測点Pの位置を自動的にかつ正確に測定することができる。
【0029】
本実施形態における測定用台車100では、車輪120のうち測定用台車100の進行方向の前側かつ左側の車輪120AにN極磁石121およびS極磁石122が配置されていたが、これに限られない。本発明の一態様の測定用台車100では、車輪120A以外の車輪120にN極磁石121およびS極磁石122を配置して、測定用台車100の走行距離を算出してもよい。
【0030】
本実施形態における測定用台車100では、第1測定部130により磁気および気圧を測定し、第2測定部140により測定用台車100の走行距離を測定する構成であったが、本発明の測定用台車100はこれに限られない。本発明の測定用台車100は、1つの測定部により、磁気、気圧および測定用台車100の走行距離を測定してもよい。
【0031】
(第2情報)
第2情報は、作業者Wが測位対象領域において移動しながら複数の箇所で測定した磁気および気圧、ならびに、作業者Wが移動した移動距離の情報を含む。第2情報は、作業者Wが所持する、磁気、気圧および移動距離を測定することができるセンサ200(例えば、スマートフォン、タブレット端末など)によって所定の時間間隔で自動的に測定される。センサ200により測定された情報を含む第2情報は、位置特定装置1に送信される。
【0032】
第2情報は、磁気の水平成分および鉛直成分のそれぞれの大きさを磁気の情報として含む。磁気の水平成分および鉛直成分は、センサ200が備える加速度センサ(不図示)およびジャイロセンサ(不図示)を用いて取得された、水平方向に対するセンサ200の傾斜角に基づいて算出されたグローバル座標系における水平成分および鉛直成分である。
【0033】
(位置特定装置1)
次に、本実施形態における位置特定装置1の詳細について説明する。
図1に示すように、位置特定装置1は、取得部10と、推定部20と、特定部30と、記憶部40を備えている。
【0034】
取得部10は、無線通信によりセンサ200から、作業者Wが測位対象領域において移動しながら複数の箇所で測定した磁気および気圧、ならびに、作業者Wが移動した移動距離の情報を含む第2情報を取得する。取得部10は、取得した第2情報を推定部20に出力する。
【0035】
推定部20は、取得部10から出力された第2情報、および、記憶部40に予め格納されている第1情報に基づいて、測位対象領域において作業者Wが移動した経路を推定する。推定部20は、フロア推定部21と、経路推定部22とを備えている。
【0036】
フロア推定部21は、第2情報に含まれるセンサ200により取得された気圧と、第1情報に含まれる予め測定された気圧とに基づいて、測位対象領域における、作業者Wが存在するフロアを推定する。より詳細には、フロア推定部21は、第1情報に含まれる、測位対象領域の各フロアにおいて測定された気圧のうち基準となるフロア(本実施形態では、1階とする)の気圧と、1階以外のフロアの気圧との差分を算出する。次に、フロア推定部21は、1階からの高さおよび算出した差分の複数のセットに対して線形回帰分析を行うことにより、気圧を変数とする1階からの高さを求める回帰式を算出する。フロア推定部21は、当該回帰式に、第2情報に含まれる、センサ200によって測定された気圧を代入することにより、作業者Wが存在する高さを算出し、当該高さから作業者Wが存在するフロアを推定する。
【0037】
経路推定部22は、フロア推定部21が推定した、作業者Wが存在するフロアにおいて、作業者Wが移動した経路を推定する。経路推定部22は、第1時系列データ生成部22Aと、照合対象経路生成部22Bと、照合対象経路特定部22Cと、第2時系列データ生成部22Dと、照合部22Eとを備えている。
【0038】
第1時系列データ生成部22Aは、センサ200によって計測された磁気を、計測した時刻順に並べた時系列データを生成する。第1時系列データ生成部22Aは、生成した時系列データを照合部22Eに出力する。
【0039】
照合対象経路生成部22Bは、フロア推定部21が推定した、作業者Wが存在するフロアに存在する計測点Pのうち少なくとも一部の計測点Pを繋ぐことにより、後述する照合部22Eにおいて照合の対象となり得る複数の照合対象経路を生成する。
図2に、照合対象経路生成部22Bによって4つの計測点Pを繋ぐことにより生成される照合対象経路の例を点線で囲んで示す。なお、
図2では、4つの計測点Pを繋ぐことにより生成される照合対象経路の例として3パターンを図示しているが、その他にも連続する4つの計測点Pを結んだ照合対象経路が照合対象経路生成部22Bによって生成される。また、
図2では、4つの計測点Pを繋いだ例についてのみ図示しているが、照合対象経路に含まれる計測点Pの個数は、4つに限定されるものではなく、その他の個数の計測点Pを繋いだ照合対象経路が照合対象経路生成部22Bによって生成される。
【0040】
照合対象経路特定部22Cは、照合対象経路生成部22Bが生成した複数の照合対象経路のうち、作業者Wが移動した移動距離に相当する長さ(換言すれば、作業者Wが移動した移動距離と同じ長さ)を有する照合対象経路を特定する。通常、照合対象経路特定部22Cにより特定される照合対象経路は、複数存在する。
【0041】
第2時系列データ生成部22Dは、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路のそれぞれについて、経路に沿った順に磁気成分を並べた時系列データを生成する。第2時系列データ生成部22Dは、生成した時系列データを照合部22Eに出力する。
【0042】
照合部22Eは、(1)第2情報に含まれる複数の磁気の、作業者Wの移動に伴う変化パターンと、(2)照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路の磁気の変化パターンとを照合することにより、作業者Wが移動した経路を推定する。本実施形態における照合部22Eは、(1)第2情報に含まれる複数の磁気の、作業者Wの移動に伴う変化パターンと、(2)照合対象経路生成部22Bが特定した照合対象経路の磁気の変化パターンとの類似度を算出し、当該類似度に基づいて作業者Wが移動した経路を推定する。本実施形態における、作業者Wが移動した経路を推定する方法の詳細については後述する。
【0043】
特定部30は、推定部20が推定した作業者Wが移動した経路に基づいて、作業者Wの位置を特定する。具体的には、特定部30は、推定部20が推定した作業者Wが移動した経路において作業者Wが最後に磁気を測定した地点付近を、作業者Wが存在する位置として特定する。
【0044】
(測位方法)
次に、本実施形態における測位対象領域における作業者Wが存在している位置を特定する位置特定方法について説明する。
図4は、本実施形態における位置特定の処理の一例を示すフローチャートである。
【0045】
図4に示すように、本実施形態における位置特定の処理は、第1情報生成工程(ステップS1)と、測位工程(ステップS2)とを含む。なお、第1情報生成工程(ステップS1)は、測位を行うごとに行われる必要はなく、一度のみ第1情報生成工程(ステップS1)を行えば、その後は、測位工程(ステップS2)のみを行うことにより、作業者Wが存在している位置を特定することができる。
【0046】
第1情報生成工程は、測位工程において使用される第1情報を生成する工程である。
図5は、第1情報生成工程における処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、第1情報生成工程では、まず、測位対象領域の各フロアにおける、作業者Wが移動する可能性がある経路上で、測定用台車100を走行させる。これにより、複数の計測点Pについて磁気および気圧を測定する(ステップS11、第1磁気成分計測工程)。
【0047】
次に、測定用台車100が備える第2測定部140が、測位対象領域の各フロアについて、作業者Wが移動可能な計測点Pの間を結んだリンクを作成する(ステップS12)。当該リンクは、計測点Pの間の距離の情報を含む。最後に、第2測定部140により、測位対象領域における複数の計測点において予め計測された磁気および気圧、各計測点の位置の情報、ならびにステップS12で作成したリンクを含む第1情報を、位置特定装置1に出力され、第1情報が記憶部40に格納される(ステップS13)。
【0048】
測位工程は、位置特定装置1により測位対象領域における作業者Wが存在している位置を特定する工程である。
図6は、測位工程における処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、測位工程では、まず、作業者Wが所定の距離を移動する間、センサ200により磁気および気圧を所定の時間間隔で測定する(ステップS21、第2磁気成分計測工程)。
【0049】
次に、取得部10が、センサ200により測定した磁気および気圧、ならびに、作業者Wが移動した移動距離の情報を含む第1情報を、センサ200から取得する(ステップS22)。
【0050】
次に、フロア推定部21が、センサ200から取得した気圧に基づいて、測位対象領域において作業者Wが存在するフロアを推定する(ステップS23)。具体的には、フロア推定部21は、上記の方法で作成した回帰式に、第2情報に含まれる、センサ200によって測定された気圧を代入することにより、作業者Wが存在する高さを算出し、当該高さから作業者Wが存在するフロアを推定する。
【0051】
次に、第1時系列データ生成部22Aが、センサ200によって計測された磁気を計測した時刻順に並べることによって時系列データを生成する(ステップS24)。第1時系列データ生成部22Aは、磁気のグローバル座標系における水平成分および鉛直成分のそれぞれについて時系列データを生成する。以降では、第1時系列データ生成部22Aが生成した時系列データを第1時系列データと称して説明する。
【0052】
次に、照合対象経路生成部22Bが、フロア推定部21が推定した、作業者Wが存在するフロアに存在する計測点Pのうち少なくとも一部の連続する計測点Pを繋ぐことにより、複数の照合対象経路を生成する(ステップS25)。「連続する計測点Pを繋ぐ」とは、作業者Wが移動可能な互いに隣接する計測点Pの間をリンクによって連結された構造(いわゆる、グラフ構造)において、互いにリンクされている経路を辿って計測点Pを繋ぐことを意味する。具体的には、照合対象経路生成部22Bは、ステップS12において作成した、作業者Wが存在するフロアについてのリンクに基づいて、複数の照合対象経路を生成する。
【0053】
次に、照合対象経路特定部22Cが、照合対象経路生成部22Bが生成した複数の照合対象経路のうち、作業者Wが移動した移動距離に相当する長さを有する照合対象経路を、ステップS12において作成した、作業者Wが存在するフロアについてのリンクに含まれる計測点P間の距離に基づいて特定する(ステップS26)。
【0054】
次に、第2時系列データ生成部22Dが、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路のそれぞれについて、経路に沿った順に並べることによって生成される時系列データを、磁気の水平成分および鉛直成分のそれぞれについて生成する(ステップS27)。以降では、第2時系列データ生成部22Dが生成した時系列データを第2時系列データと称して説明する。第2時系列データ生成部22Dは、センサ200と地表とのなす角度を用いて、センサ200によって測定された磁気のグローバル座標系における水平成分および鉛直成分を算出し、当該成分を用いて第2時系列データを生成する。
【0055】
次に、照合部22Eが、ステップS24において生成した第1時系列データと、ステップS27において生成した第2時系列データとの類似度を算出し、当該類似度に基づいて作業者Wが移動した経路を推定する(ステップS28、推定工程)。
【0056】
具体的には、照合部22Eは、第1時系列データの水平成分の時系列データをa=(a
1、a
2、・・・・、a
i)、第2時系列データの水平成分の時系列データをb=(b
1、b
2、・・・・、b
i)としたときに、下記の数1に示す式で表されるデータ間の距離dを算出し、下記の数2で表される式にデータ間の距離dを代入することによって類似度sを算出する。以降では、水平成分の類似度をs1として説明する。
【数1】
【0057】
【数2】
なお、第1時系列データの要素数と、第2時系列データの要素数が異なっている場合は、要素数が多い方の時系列データをダウンサンプリングすることにより、同じ要素数にすればよい。例えば、要素数が多い時系列データの要素を等間隔で間引くことにより、第1時系列データの要素数と、第2時系列データの要素数とを同じにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、上記の数2に示す式で算出される類似度sを用いる構成について説明するが、当該類似度sは、類似度の一例であり、照合部22Eは、その他の数式を用いて類似度を算出してもよい。上記の数2に示す式で算出される類似度sを用いた場合、類似度sは0~1の数値で規格化され、類似度sが0に近づくほど時系列データ間の類似度が低く、類似度sが1に近づくほど時系列データ間の類似度が高くなる。また、照合部22Eは、上記データ間の距離dを類似度としても用いてもよい。
【0059】
照合部22Eは、第1時系列データの鉛直成分および第2時系列データの鉛直成分についても、水平成分と同様に類似度sを算出する。以降では、鉛直成分の類似度をs2として説明する。
【0060】
照合部22Eは、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路のそれぞれについて、第1時系列データと、第2時系列データとの類似度を水平成分および鉛直成分のそれぞれについて算出する。そして、照合部22Eは、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路のうち、水平成分の類似度s1と鉛直成分の類似度s2との和が最も大きい照合対象経路を、作業者Wが移動した経路であると推定する。
【0061】
照合部22Eにより作業者Wが移動した経路が推定されると、特定部30が、推定部20が推定した作業者Wが移動した経路に基づいて、作業者Wの位置を特定する(ステップS29)。具体的には、特定部30は、推定部20が推定した作業者Wが移動した経路において作業者Wが最後に磁気を測定した地点付近を、作業者Wが存在する位置として特定する。
【0062】
以上のように、本実施形態の位置特定装置1では、作業者Wの移動経路において計測した磁気を用いて生成した第1時系列データと、予め計測した磁気の上方から生成した第2時系列データとの類似度を算出し、当該類似度に基づいて作業者Wが移動した経路を推定する。換言すれば、本実施形態の位置特定装置1では、前記被測位対象の移動に伴う磁気の変化パターンと、(2)予め磁気が計測された複数の計測点のうち一部またはすべての計測点を繋ぐことにより特定される経路を照合対象経路の磁気の変化パターンとを照合すし、作業者Wが移動した経路を推定する。これにより、複数の照合対象経路の中から作業者Wが移動した経路を推定する精度を向上させることができる。その結果、予め作成された磁気マップ上の各点と、作業者Wが所持するセンサにより測定された1つの磁気データとを照合することにより位置の推定を行う従来の方法に比べて、作業者Wの位置の推定精度を向上させることができる。
【0063】
上記の説明では、照合部22Eは、第1時系列データと第2時系列データの水平成分および鉛直成分の類似度を用いて作業者Wが移動した経路を推定していたが、本発明はこれに限られない。本発明の一態様では、照合部22Eは、第1時系列データと第2時系列データの水平成分または鉛直成分のいずれかを用いて作業者Wが移動した経路を推定してもよい。ただし、第1時系列データおよび第2時系列データの水平成分および鉛直成分の類似度を用いることにより、第1時系列データと第2時系列データとの類似度をより正確に算出することができる。
【0064】
ここで、測位対象領域としての建物の構造(例えば、鉄骨の配置、置かれている装置など)の影響により、磁気の鉛直成分は、高さによって値が上方または下方にシフトする場合がある。これにより、磁気の鉛直成分よりも磁気の水平成分を用いた方が経路の推定精度が高くなる。そのため、第1時系列データおよび第2時系列データの水平成分または鉛直成分のいずれかを用いる場合には、水平成分を用いることが好ましい。
【0065】
また、本発明の一態様では、照合部22Eは、以下のようにして、作業者Wが移動した経路を推定してもよい。すなわち、照合部22Eは、まず、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路のそれぞれについて、第1時系列データと第2時系列データの磁気の水平成分および鉛直成分のそれぞれについて類似度を算出する。次に、照合部22Eは、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路について、水平成分の類似度が高い順にランキング付けを行う。そして、照合部22Eは、水平成分の類似度のランキングが所定のランキング以上である照合対象経路(例えば、ランキングが上位5位以上の照合対象経路)の中から、水平成分の類似度s1と鉛直成分の類似度s2との和が最も大きい照合対象経路を、作業者Wが移動した経路を推定する。これにより、水平成分の類似度が高い照合対象経路から作業者Wが移動した経路を推定するので、作業者Wが移動した経路の推定精度を向上させることができる。
【0066】
また、本発明の一態様では、照合部22Eは、照合対象経路特定部22Cが特定した照合対象経路について、水平成分および鉛直成分にそれぞれに対して類似度が高い順にランキング付けを行い、ランキングに応じたスコアを付けて、水平成分のスコアと鉛直成分のスコアの和が最も高い照合対象経路を、作業者Wが移動した経路を推定してもよい。また、上述したように、磁気の鉛直成分よりも磁気の水平成分を用いた方が経路の推定精度が高くなることから、水平成分の類似度の重みづけが大きくなるように、水平成分のスコアと鉛直成分のスコアの和を算出して、作業者Wが移動した経路を推定してもよい。
【0067】
上述したように、磁気の鉛直成分は、高さによって値が上方または下方にシフトしてしまう可能性がある。そのため、本発明の一態様では、第1時系列データ生成部22Aが生成した時系列データを第1時系列データ、および、第2時系列データ生成部22Dが生成した時系列データを所定の方法で規格化した後、照合部22Eによる照合を行ってもよい。具体的には、第1時系列データと第2時系列データに含まれる成分の最小値および最大値が同じになるように規格化してもよい。これにより、第1情報生成工程(ステップS11)において測定用台車100を用いて磁気を測定した高さと、ステップS21においてセンサ200が磁気を測定した高さが異なっている場合において、測定の高さの差による成分のシフトの影響を小さくすることができる。その結果、作業者Wが移動した経路の推定精度を向上させることができる。
【0068】
また、上述の説明では、照合部22Eは、上記数1で表される式を用いて、データ間の距離dを算出していた。すなわち、上述の方法は、いわゆるユークリッド距離を用いてデータ間の距離dを算出していたが、本発明はこれに限られない。本発明の一態様では、動的時間伸縮法(DTW:Dynamic Time Warping)またはピアソンの積率相関係数を用いてデータ間の距離を算出してもよい。
【0069】
動的時間伸縮法は、2つの時系列データの各点の距離(すなわち、誤差の絶対値)を総当たりで求め、2つの時系列データ間の距離が最短となるパスを見つけ、当該パスにおける2つの時系列データの各点の距離の合計に基づいてデータ間の距離を算出する方法である。動的時間伸縮法を用いる場合には、データ間の距離DTW(x、y)は、以下のようにして算出することができる。なお、本説明では、第1時系列データの水平成分の時系列データをx=(x1、x2、・・・・、xN)、第2時系列データの水平成分の時系列データをy=(y1、y2、・・・・、yM)であるものとして説明する。動的時間伸縮法では、まず、第1時系列データxの時刻t=wxと、第2時系列データyの時刻t=wyとのアライメントをw=(wx、wy)とし、時系列データのアライメント全体を集合W(W={w1、w2、・・・・、wK})で表す。集合Wは、wm=(wx
m、wy
m)とおいたとき、以下の3つの条件を満たすように定められる。-
(1)wx
m-1-wx
m≦1かつwy
m-1-wy
m≦1
(2)wx
m-1-wx
m≧0かつwy
m-1-wy
m≧0
(3)w1=(1、1)かつwK=(N、M)
このとき、データ間の距離DTW(x、y)は下記の数3に示す式を用いて算出することができる。
【0070】
【数3】
ピアソンの積率相関係数は、2つの変数間の関係の強さおよび方向性を表す数値である。ピアソンの積率相関係数を用いる場合には、データ間の距離rは、例えば、下記の数4に示す式を用いて算出することができる。
【0071】
【数4】
上記式において、X
iは第1時系列データの磁気成分であり、Y
iは第2時系列データの磁気成分である。
【0072】
また、本発明の一態様では、照合部22Eは、磁気の水平成分と鉛直成分とで異なる方法を用いてそれぞれの類似度sを算出してもよい。例えば、磁気の水平成分については動的時間伸縮法を用いて類似度sを算出し、磁気の鉛直成分についてはユークリッド距離を用いて類似度sを算出してもよい。なお、動的時間伸縮法を用いて類似度sを算出する場合には、第1時系列データの要素数と、第2時系列データの要素数が異なっていても類似度を算出することができるため、上記のようなダウンサンプリングを行う必要はない。
【0073】
本実施形態では、作業者Wが存在している位置を特定する形態について説明したが本発明はこれに限られない。本発明の一態様では、人以外の物体(例えば、自律走行ロボットなど)を被測位対象としてもよい。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 位置特定装置
10 取得部
20 推定部
30 特定部
100 測定用台車
120、120A 車輪
130 第1測定部(第1記録部)
140 第2測定部(第2記録部)