(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012597
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】濾過洗浄装置及びそれを用いた濾過洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B01D 29/01 20060101AFI20230119BHJP
C22B 1/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B01D29/04 510A
B01D29/04 520Z
B01D29/04 530Z
C22B1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116102
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591234307
【氏名又は名称】アサヒプリテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】北井 孝明
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸択
【テーマコード(参考)】
4D116
4K001
【Fターム(参考)】
4D116AA24
4D116BB01
4D116BC01
4D116DD01
4D116FF13B
4D116FF16B
4D116FF18B
4D116GG11
4D116KK06
4D116SS01
4D116SS04
4D116SS10
4D116UU09
4D116VV30
4K001AA01
4K001AA02
4K001AA04
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA19
4K001AA20
4K001AA27
4K001AA30
4K001AA41
4K001BA22
4K001CA02
4K001CA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】産業に利用されている金属を再利用するために、濾過フィルターを破損することなく濾過を行い、その固形物を回収することができる濾過洗浄装置などを提供する。
【解決手段】供給された被処理物Oの濾液を排出する濾液排出部12と被処理物Oの残渣に分散液が加えられたスラリーを排出するスラリー排出部を有する濾過容器1と、濾過容器1の内部を区切るように配設された濾過フィルター2と、濾過フィルター2に区切られた濾過容器1内であって被処理物Oが供給される側に位置する撹拌羽31を有する撹拌機3と、スラリーを濾過容器1から排出するスラリー送液ポンプと、を備える濾過洗浄装置などにより解決することができた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された流動性を有する被処理物(O)の濾過による濾液を排出する濾液排出部(12)と前記被処理物(O)の残渣に分散液(AS)が加えられたスラリー(S)を排出するスラリー排出部(13)を有する濾過容器(1)と、
前記濾過容器(1)の内部を区切るよう配設された濾過フィルター(2)と、
前記濾過フィルター(2)に区切られた前記濾過容器(1)内であって前記被処理物(O)が供給される側に位置する撹拌羽(31)を有する撹拌機(3)と、
前記スラリー(S)を前記濾過容器(1)から排出するスラリー送液ポンプ(SP)と、
を備えることを特徴とする濾過洗浄装置。
【請求項2】
前記被処理物(O)を前記濾過容器(1)内に送液し、1度目の濾過を行い、前記被処理物(O)の残渣に洗浄液(WL)を加えて洗浄し、2度目の濾過を行い、前記被処理物(O)の残渣に前記分散液(AS)が加えられて得られた前記スラリー(S)を排出する制御を行う制御装置(4)
を備えることを特徴とする請求項1に記載の濾過洗浄装置。
【請求項3】
前記被処理物(O)を保存する被処理物用容器(5)から前記濾過容器(1)内へ前記被処理物(O)を送液する被処理物送液ポンプ(OP)と、
前記濾液排出部(12)と連通し、濾液用容器(6)へ前記濾液を送液する濾液送液ポンプ(FP)と、
前記洗浄液(WL)を保存する洗浄液用容器(7)から前記濾過容器(1)における前記被処理物(O)が送液される側へ前記洗浄液(WL)を送液する洗浄液送液ポンプ(WP)と、
前記分散液(AS)を保存する分散液用容器(9)から前記濾過容器(1)における前記被処理物(O)が送液される側へ前記分散液(AS)を送液する分散液送液ポンプ(AP)と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の濾過洗浄装置。
【請求項4】
前記濾過容器(1)に供給された前記被処理物(O)を前記濾過フィルター(2)にて濾過する第1濾過工程と、
前記第1濾過工程後における前記被処理物(O)の残渣に前記洗浄液(WL)を加える洗浄液送液工程と、
前記洗浄液送液工程後に前記撹拌羽(31)の回転により前記被処理物(O)の残渣を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後に前記洗浄液(WL)を濾過する第2濾過工程と、
前記第2濾過工程後における前記被処理物(O)の残渣に前記分散液(AS)を加える分散液送液工程と、
前記分散液送液工程後に前記スラリー(S)を排出するスラリー排出工程を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の濾過洗浄装置を用いた濾過洗浄方法。
【請求項5】
前記スラリー排出工程において、前記撹拌羽(31)を回転させることを特徴とする請求項4に記載の濾過洗浄装置を用いた濾過洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金、白金、銀などの貴金属や他の金属などの金属や他の有用な固形物を回収するために用いられる濾過装置及びそれを用いた濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金、白金、銀などの貴金属、チタン、ニッケル、コバルトなどのレアメタル、パラジウム、銅、鉛、アルミニウム、亜鉛などの他の金属や他の有用な固形物などの産業に利用されている固形物には、産出される量が少なかったり、採掘時や精錬時に大量のエネルギー消費や有害な廃棄物を生じたりするために、製品などとして市場に流通した後に、当該製品から抽出され、濾過などの工程を経て再利用されるものも多い。
【0003】
例えば特許文献1には、容器内に原料スラリーを濾過して粉粒体を含む湿潤したケーキを生成して、加圧又は減圧にて濾布22及び濾過板21を介して濾液を排出し、その後、ケーキ内の異物を除去するためにケーキを置換洗浄又は撹拌洗浄によって洗浄するという濾過乾燥装置10により原料スラリー中の固形物を取り出すための一連のプロセスと、そのために使用するろ過乾燥装置10が開示されている。なお、当段落における符号は、特許文献1における符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のろ過乾燥装置では、濾過の効率を上げるために原料スラリーを投入し濾過を行ってから一定時間経過後、撹拌翼をケーキの表面下まで下げて回転させて、表面を延ばす作業を行うが、ケーキ中と濾布の間に大きなせん断力が掛かり濾布を破ってしまい、ケーキが漏れ出てしまうおそれがあった。
【0006】
そのため、本発明においては、金、白金、銀などの貴金属、チタン、ニッケル、コバルトなどのレアメタル、パラジウム、銅、鉛、アルミニウム、亜鉛などの他の金属や他の有用な固形物などの産業に利用されている固形物を再利用するために、濾布などの濾過フィルターを破損することなく濾過を行い、その固形物を回収することができる濾過洗浄装置及びそれを用いた濾過洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕すなわち、供給された流動性を有する被処理物(O)の濾過による濾液を排出する濾液排出部(12)と前記被処理物(O)の残渣に分散液(AS)が加えられたスラリー(S)を排出するスラリー排出部(13)を有する濾過容器(1)と、前記濾過容器(1)の内部を区切るよう配設された濾過フィルター(2)と、前記濾過フィルター(2)に区切られた前記濾過容器(1)内であって前記被処理物(O)が供給される側に位置する撹拌羽(31)を有する撹拌機(3)と、前記スラリー(S)を前記濾過容器(1)から排出するスラリー送液ポンプ(SP)と、を備えることを特徴とする濾過洗浄装置である。
【0008】
〔2〕そして、前記被処理物(O)を前記濾過容器(1)内に送液し、1度目の濾過を行い、前記被処理物(O)の残渣に洗浄液(WL)を加えて洗浄し、2度目の濾過を行い、前記被処理物(O)の残渣に前記分散液(AS)が加えられて得られた前記スラリー(S)を排出する制御を行う制御装置(4)を備えることを特徴とする前記〔1〕に請求項1に記載の濾過洗浄装置である。
【0009】
〔3〕そして、前記被処理物(O)を保存する被処理物用容器(5)から前記濾過容器(1)内へ前記被処理物(O)を送液する被処理物送液ポンプ(OP)と、前記濾液排出部(12)と連通し、濾液用容器(6)へ前記濾液を送液する濾液送液ポンプ(FP)と、前記洗浄液(WL)を保存する洗浄液用容器(7)から前記濾過容器(1)における前記被処理物(O)が送液される側へ前記洗浄液(WL)を送液する洗浄液送液ポンプ(WP)と、前記分散液(AS)を保存する分散液用容器(9)から前記濾過容器(1)における前記被処理物(O)が送液される側へ前記分散液(AS)を送液する分散液送液ポンプ(AP)と、
を備えることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の濾過洗浄装置である。
【0010】
〔4〕そして、前記濾過容器(1)に供給された前記被処理物(O)を前記濾過フィルター(2)にて濾過する第1濾過工程と、前記第1濾過工程後における前記被処理物(O)の残渣に前記洗浄液(WL)を加える洗浄液送液工程と、前記洗浄液送液工程後に前記撹拌羽(31)の回転により前記被処理物(O)の残渣を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後に前記洗浄液(WL)を濾過する第2濾過工程と、前記第2濾過工程後における前記被処理物(O)の残渣に前記分散液(AS)を加える分散液送液工程と、前記分散液送液工程後に前記スラリー(S)を排出するスラリー排出工程を備えることを特徴とする前記〔1〕から前記〔3〕のいずれかに記載の濾過洗浄装置を用いた濾過洗浄方法である。
【0011】
〔5〕そして、前記スラリー排出工程において、前記撹拌羽(31)を回転させることを特徴とする前記〔4〕に記載の濾過洗浄装置を用いた濾過洗浄方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の濾過洗浄装置及び濾過洗浄方法によれば、金、白金、銀などの貴金属、チタン、ニッケル、コバルトなどのレアメタル、パラジウム、銅、鉛、アルミニウム、亜鉛などの他の金属や他の有用な固形物などの産業に利用されている固形物を再利用するために、濾布などの濾過フィルターを破損することなく濾過を行い、その固形物を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本件発明の濾過洗浄装置を用いて行う第1濾過工程を示す概略図である。
【
図2】本件発明の濾過洗浄装置を用いて行う洗浄工程を示す概略図である。
【
図3】本件発明の濾過洗浄装置を用いて行う第2濾過工程を示す概略図である。
【
図4】本件発明の濾過洗浄装置を用いて行うスラリー排出工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る濾過洗浄装置に関する実施の形態について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。
【0015】
図1から
図4に示すように、濾過洗浄装置は、濾過容器1、濾過フィルター2、撹拌機3、制御装置4、被処理物用容器5、濾液用容器6、洗浄用容器7、廃洗浄液用容器8,分散液用容器9、スラリー用容器ST、スラリー送液ポンプSPなどから構成され、金属などの有用な固形物及び液状物が混合され流動性を有する被処理物Oを洗浄後に当該有用な固形物をスラリーSとして排出する装置である。なお、各図面において、制御装置4が簡易に示されているが、後述するように制御する各種部材と有線又は無線にて電気的に接続されている。
【0016】
濾過容器1は、流動性を有する被処理物Oを供給する被処理物供給部11と、濾過による濾液を排出する濾液排出部12と、被処理物Oの残渣に分散液ASが加えられたスラリーSを排出するスラリー排出部13を有している部材である。濾過容器1は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、内部に配設された後述する濾過フィルター2を用いて、被処理物Oを濾過したりすることができる。濾過容器1の上部に、被処理物Oを供給する被処理物供給部11と、濾液を排出する濾液排出部12と、被処理物Oの残渣に分散液ASが加えられたスラリーSを排出するスラリー排出部13がそれぞれ配設されている。被処理物Oは、金、白金、銀などの貴金属、チタン、ニッケル、コバルトなどのレアメタル、パラジウム、銅、鉛、アルミニウム、亜鉛などの他の金属や他の有用な固形物などの産業に利用されている固形物を含有しており、例えば、電化製品などとして市場に流通した後に、それら製品から分解や抽出などを経て回収された流動性を有する粗製品である。当該被処理物Oを洗浄、濾過などを行い、スラリーSとして濾過容器1から排出して、さらに他の装置等を用いて含有されている当該金属などの固形物を回収する。本実施形態において、濾過容器1は被処理物Oを供給する被処理物供給部11を有しているが、他の実施形態において、被処理物供給部11を設けずに濾過容器1の上部の開口からバケツやホースなどの他の容器、器具によって濾過容器1内に被処理物Oを供給するようにしてもよい。
【0017】
被処理物Oを供給する被処理物供給部11は、被処理物Oを保存する被処理物用容器5から被処理物送液ポンプOPを介して被処理物Oを送液するための配管であり、濾過容器1の上部から濾過容器1内に吐出するように配設されている。濾液排出部12は、濾過フィルター2により濾過された濾液を、濾液送液ポンプFPを介して、濾液用容器6へ送液するための配管であり、濾過容器1の下部であって、濾過フィルター2の下方に配設されている。スラリー排出部13は、スラリーSを、スラリー送液ポンプSPを介して、スラリー用容器STへ送液するための配管であり、濾過容器1内において濾過フィルター2の上方であって濾過フィルター2近傍に開口を有して配設されている。
【0018】
洗浄液供給部14は、洗浄液WLを保存する洗浄液用容器7から洗浄液送液ポンプWPを介して洗浄液WLを送液するための配管であり、濾過容器1の上部から濾過容器1内に吐出するように配設されている。分散液供給部15は、分散液ASを保存する分散液用容器9から分散液送液ポンプAPを介して分散液ASを送液するための配管であり、濾過容器1の上部から濾過容器1内に吐出するように配設されている。
【0019】
濾過フィルター2は、濾過容器1の内部であって、被処理物供給部11と濾液排出部12の間に濾過容器1内を区切るよう配設された部材である。濾過フィルター2により、被処理物Oを固液分離したり、洗浄液WLを加えて洗浄し後に固液分離したりするなど分離を行うことで、被処理物Oに含有される固形物に付着した不純物を除去することができる。濾過フィルター2としては、具体的に、濾布、濾紙、濾膜など有機物からなり固液分離用の多孔性の部材であることが好ましく、さらに、厚みが100μm~2mmであることが好ましい。
【0020】
撹拌機3は、濾過フィルター2に区切られた濾過容器1内であって、被処理物Oが供給される側に位置する撹拌羽31を有する部材である。本実施形態において、撹拌羽31は、被処理物供給部11と濾過フィルター2の間に位置している。撹拌羽31を回転させることにより、第1濾過工程後に洗浄液WLを濾過容器1内に送液して被処理物Oの残渣を洗浄する洗浄工程において、洗浄の効率を向上したり、スラリー排出工程において、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣と分散液ASをおおよそ均一に混合させて懸濁状態とし、さらにその状態を維持したりするなど、洗浄工程及びスラリー排出工程を円滑に行うことができる。なお、撹拌機3は図示しない外部電源から供給される電力により撹拌羽31を回転駆動する。また、撹拌羽31は、本実施形態において、2枚羽として示されているが、他の実施形態において、濾過工程及び洗浄工程を円滑に行うことができる限り、1枚又は3枚以上の複数枚とすることができる。
【0021】
制御装置4は、被処理物送液ポンプOPを稼働させて、被処理物用容器5内の被処理物Oを濾過容器1内に送液する第1制御を行い、濾液送液ポンプFPを稼働させ濾液送液ポンプFPの吸引力又は図示しない減圧装置を稼働させその減圧装置によって生じる濾過フィルター2の上下間の圧力差により、濾過フィルター2にて被処理物Oを固形物と液状物に分離する1度目の濾過を行う第2制御を行い、洗浄液送液ポンプWPを稼働させて、洗浄液用容器7内の洗浄液WLを濾過容器1内に送液し、被処理物Oの残渣に洗浄液WLを加え、撹拌機3を稼働させて洗浄する第3制御を行い、濾液送液ポンプFPを稼働させ濾液送液ポンプFPの吸引力又は図示しない減圧装置を稼働させその減圧装置によって生じる濾過フィルター2の上下間の圧力差により、被処理物Oの残渣及び洗浄液WLを固形物と液状物に分離する2度目の濾過を行う第4制御を行い、その後、スラリー送液ポンプSPを稼働させて、被処理物Oの残渣に分散液ASが加えられて得られたスラリーSをスラリー用容器STへ排出する第5制御などを行う、各種動作の制御などの機能を担う部材である。また、制御装置4は、被処理物送液ポンプOP、濾液送液ポンプFP、図示しない減圧装置、洗浄液送液ポンプWP、撹拌機3、スラリー送液ポンプSPなどに電気的に接続され、それぞれの装置の稼働するタイミングなどを制御している。制御装置4により、被処理物Oの固液分離や濾過後の残渣の洗浄及び排出を自動的に行うことができる。
【0022】
制御装置4は、具体的に、コンピューターを構成する装置の一部であって、半導体集積回路として中央処理装置の一部として実装されていることが好ましい。制御装置4には、図示しない入力装置、出力装置、記憶装置、演算装置などが組み合わされて、記憶装置に記憶されたアプリケーションソフトウエアを用いて、作業者が第1制御から第5制御などの状況を監視できるようにし、非常時には第1制御から第5制御などの制御を手動にて切り替えて作業者が行えるようにすることが好ましい。
【0023】
被処理物用容器5は、被処理物Oを保存する容器である。被処理物用容器5は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、その内部に保存された被処理物Oを被処理物送液ポンプOPへ送液するために、被処理物用容器5の内部の下部から被処理物送液ポンプOPへと続く配管が設けられている。
【0024】
濾液用容器6は、被処理物Oが濾過フィルター2により濾過された濾液を保存する容器である。濾液用容器6は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、濾過容器1の濾液排出部12と接続されている濾液送液ポンプFPから濾液用容器6へ送液するために接続されている配管が設けられている。
【0025】
洗浄用容器7は、洗浄液WLを保存する容器である。洗浄液WLとしては、被処理物Oに含有される金属などの有用物質に付着した不純物を除去するための液剤であり、例えば、被処理物Oに白金が含有されるときには塩化アンモニウム水溶液などの塩基性水溶液や塩酸などの酸性水溶液を使用することができる。洗浄用容器7は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、その内部に保存された洗浄液WLを洗浄液送液ポンプWPへ送液するために、洗浄用容器7の内部の下部から洗浄液送液ポンプWPへと続く配管が設けられている。
【0026】
廃洗浄液用容器8は、濾過容器1に洗浄液WLが送液され洗浄された後に、濾過フィルター2により濾過された廃洗浄液を保存する容器である。廃洗浄液用容器8は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、濾過容器1の濾液排出部12から廃洗浄液用容器8へ送液するために接続されている配管が設けられている。なお、濾液を排出するときと洗浄後の廃洗浄液を排出するときに、濾液送液ポンプFPの下流側に分岐弁を設けて濾液を濾液用容器6へ、廃洗浄液を廃洗浄液用容器8へそれぞれ分岐して送液することで、濾液排出部12を兼用することができる。また、濾液排出部12と濾液送液ポンプFPの間に分岐弁を設けて、濾液送液ポンプFPとは異なり、濾過された洗浄液WLを排出可能である廃洗浄液送液ポンプを接続してその下流側に廃洗浄液用容器8を設けることで、廃洗浄液を廃洗浄液用容器8に送液することができるし、濾過容器1に濾液排出部12とは異なる廃洗浄液用の排出口を設けて、廃洗浄液送液ポンプにて吸引して廃洗浄液用容器8へ送液することができる。
【0027】
分散液用容器9は、分散液ASを保存する容器である。分散液用容器9は、断面が円形又は多角形となる缶状であり、その内部に保存された分散液ASを分散液送液ポンプAPへ送液するために、分散液用容器9の内部の下部から分散液送液ポンプAPへと続く配管が設けられている。被処理物Oを濾過する第1濾過工程後の被処理物Oの残渣を洗浄液WLにて洗浄する洗浄工程を行い、その後に洗浄液WLを濾過する第2濾過工程後において、被処理物Oの残渣が固形状であることから、分散液ASは、スラリーSにしてスラリー用容器STへ送液するための液媒体である。分散液ASは、25℃などの常温にて液体であれば種々使用することができるが、例えば、水や、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エタノール、メタノールなどの有機溶剤が好ましく、それらに溶質を含むものであってもよい。例えば、分散液ASとして塩化アンモニウム水溶液などの塩基性水溶液や塩酸などの酸性水溶液、さらには工業用水などの液体を使用することができる。このような分散液ASを選ぶことにより、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣をスラリーSという液状物としてスラリー用容器STに送液して保存することができる。
【0028】
スラリー用容器STは、第2濾過工程後における被処理物Oに分散液ASを混合して得られたスラリーSを保存する容器である。スラリー用容器STは、断面が円形又は多角形となる缶状であり、濾過容器1のスラリー排出部13と接続されているスラリー送液ポンプSPからスラリー用容器STへ送液するために接続されている配管が設けられている。
【0029】
次に、本発明の濾過洗浄装置について、金属などの有用な固形物を含有し流動性を有する被処理物Oを洗浄して、スラリーSとして濾過容器1から排出する一連の作業をすべて自動化したときの実施例の一連の動作の手順を説明する。
【0030】
まず、制御装置4から動作開始の指示を受けて、被処理物送液ポンプOPは、被処理物Oを、被処理物供給部11を経て濾過容器1に送液し、被処理物用容器5の下部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて被処理物Oを検知しなくなるまで、又は濾過容器1の上部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて被処理物Oを検知するまで、送液し続ける。そして、
図1に示すように、濾過容器1と接続され制御装置4と電気的に接続されている濾液送液ポンプFPが制御装置4から動作開始の指示を受けて作動すると、濾過容器1における濾過フィルター2の下方が吸引されることにより、供給された被処理物Oが濾過フィルター2にて濾過される。このように、濾過容器1に供給された被処理物Oを濾過フィルター2にて濾過する工程が、第1濾過工程である。なお、濾過容器1の内容積が比較的小さな場合など、第1濾過工程後に、第1濾過工程を再度実行するなど複数回繰り返すように制御してもよい。
【0031】
そして、
図1に示すように、第1濾過工程中に、濾液送液ポンプFPは、濾過フィルター2にて濾過された濾液を、濾液排出部12を経て濾液用容器6に送液する。
【0032】
そして、第1濾過工程の終了後に、制御装置4から動作開始の指示を受けて、洗浄液送液ポンプWPは、洗浄液WLを、洗浄液供給部14を経て濾過容器1に送液し、洗浄液用容器7の下部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて洗浄液WLを検知しなくなるまで、又は濾過容器1の上部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて洗浄液WLを検知するまで、送液し続ける。このように、第1濾過工程後における被処理物Oの残渣に洗浄液WLを加える工程が、洗浄液送液工程である。
【0033】
そして、
図2に示すように、制御装置4から動作開始の指示を受けて、撹拌機3は撹拌羽31を回転して、第1濾過工程後における被処理物Oの残渣と洗浄液WLを、所定時間撹拌混合して、被処理物Oの残渣を洗浄する。このように、洗浄液送液工程後に撹拌羽31の回転により被処理物Oの残渣を洗浄する工程が、洗浄工程である。
【0034】
そして、
図3に示すように、洗浄工程の終了後に、濾液送液ポンプFPが制御装置4から動作開始の指示を受けて作動すると、濾過容器1における濾過フィルター2の下方が吸引されることにより、第1濾過工程後における被処理物Oの残渣と洗浄液WLが濾過フィルター2にて濾過される。このように、洗浄工程後に洗浄後の廃洗浄液を濾過する工程が、第2濾過工程である。
【0035】
そして、
図3に示すように、第2濾過工程中に、濾液送液ポンプFPは、濾過された廃洗浄液を、濾液排出部12、濾液送液ポンプFP及び図示しない分岐弁を経て廃洗浄液用容器8に送液する。なお、濾過容器1の内容積が比較的小さな場合など、第2濾過工程後に、洗浄工程及び第2濾過工程を再度実行するなど複数回繰り返すように制御してもよい。
【0036】
そして、制御装置4から動作開始の指示を受けて、水系溶媒送液ポンプAPは、分散液ASを、分散液供給部15を経て濾過容器1に送液し、分散液用容器9の下部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて分散液ASを検知しなくなるまで、又は濾過容器1の上部に設けられ制御装置4と電気的に接続されている液面検知センサ等にて分散液ASを検知するまで、送液し続ける。このように、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣に分散液ASを加える工程が、分散液送液工程である。
【0037】
そして、
図4に示すように、分散液送液工程の終了後に、制御装置4から動作開始の指示を受けて、スラリー送液ポンプSPは、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣と分散液ASの混合物であるスラリーSを、スラリー排出部13を経てスラリー用容器STに送液する。このように、分散液送液工程後にスラリーSを作成して排出する工程が、スラリー排出工程である。また、スラリー排出工程において、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣と分散液ASをおおよそ均一に混合させて懸濁状態とするなどのために、分散液ASを濾過容器1に送液した後に制御装置4から動作開始の指示を受けて、撹拌機3が稼働して撹拌羽31を回転させることが好ましい。このように、分散液ASを濾過容器1に送液した後に撹拌羽31を回転させることで、濾布などの濾過フィルター2を破損することなく、第2濾過工程後における被処理物Oの残渣に含有される有用な固形物を、スラリーSとして回収することができ、スラリーSをスラリー用容器STへ送液中にスラリーSが分離しないようにおおよそ均一な混合された懸濁状態を維持することができる。なお、スラリー排出工程後に、濾過容器1の内容積が比較的小さな場合や、濾過容器1内の濾過フィルター2の上方に設けられたイメージセンサ、超音波センサなどのセンサを用いて、スラリーSの排出が十分でないと判断された場合に、制御装置4が分散液送液工程及びスラリー排出工程を再度実行するなど複数回繰り返すことができるようにすることが好ましい。
【0038】
このようにして、本発明の濾過洗浄装置を用いて、金属などの有用な固形物を含有し流動性を有する被処理物Oを洗浄して、スラリーSとして濾過容器1から排出する一連の作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・濾過容器
11・・・被処理物供給部
12・・・濾液排出部
13・・・スラリー排出部
14・・・洗浄液供給部
15・・・分散液供給部
2・・・濾過フィルター
3・・・撹拌機
31・・・撹拌羽
4・・・制御装置
5・・・被処理物用容器
6・・・濾液用容器
7・・・洗浄液用容器
8・・・廃洗浄液用容器
9・・・分散液用容器
ST・・・スラリー用容器
O・・・被処理物
S・・・スラリー
OP・・・被処理物送液ポンプ
FP・・・濾液送液ポンプ
SP・・・スラリー送液ポンプ
WP・・・洗浄液送液ポンプ
AP・・・分散液送液ポンプ
WL・・・洗浄液
AS・・・分散液