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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125974
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】テープ止め型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/494 20060101AFI20230831BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 13/513 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/49
A61F13/56 211
A61F13/56 213
A61F13/62
A61F13/513 100
A61F13/49 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030374
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA13
3B200BA12
3B200BA16
3B200CA02
3B200CA08
3B200CB01
3B200DA03
3B200DA17
3B200DC05
3B200DC06
3B200DC07
3B200DE14
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】昼用の幅狭尿とりパッドも、夜用の幅広ワイドパッドも、適切に収納保持可能な、テープ止め型吸収性物品の提供。
【解決手段】トップシート10と吸収コア20とバックシート30とを備え、前身頃60と股部70と後見頃80とが連接された外装体90と、後見頃80両端から外方に展開する一対のファスニングテープ64と、固定手段65と、トップシート10の幅方向両側を長手方向に延びる一対の立体ギャザー40とを有し、立体ギャザー40は、ギャザーシート部41と、トップシート10の肌側表面に固定された根元固定部42と、ギャザーシート40bに対して脱着自在に設けられ、トップシート10の肌側表面において、根元固定部42の幅方向内側に位置し、ギャザーシート40bを仮固定し、一対の立体ギャザー40間の幅方向寸法を調整する調整部43と、を備えるテープ止め型吸収性物品。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備えるテープ止め吸収性物品であって、
着用者の腹側に主に当接する前身頃と、着用者の股間部に主に当接して前記吸収体を支持する股部と、着用者の背側に主に当接する後見頃と、が長手方向にこの順に連接された外装体と、前記後見頃の幅方向両端から外方に展開する一対のファスニングテープと、前記ファスニングテープを固定する固定手段と、を有し、
前記トップシートの肌側表面の幅方向両側を、前記前身頃から前記股部を経て前記後見頃に向けて長手方向に延びる一対の立体ギャザーをさらに有し、
前記立体ギャザーは、
幅方向に拡がって長手方向に延びるギャザーシートを含み、少なくとも幅方向先端部である遊離端が前記トップシートの前記肌側表面に対して起立するギャザーシート部と、
前記トップシートの前記肌側表面の幅方向両側で固定されて長手方向に延びる根元固定部と、
前記ギャザーシートに対して脱着自在に設けられ、前記トップシートの前記肌側表面において、前記根元固定部の幅方向内側に位置し、前記ギャザーシートを仮固定し、前記一対の立体ギャザー間の幅方向寸法を調整する調整部と、を備えるテープ止め型吸収性物品。
【請求項2】
前記調整部がフックテープであり、前記フックテープは前記ギャザーシートの非肌側表面に係合する、請求項1に記載のテープ止め型吸収性物品。
【請求項3】
前記調整部は、平面視三角形状である、請求項1又は請求項2に記載のテープ止め型吸収性物品。
【請求項4】
前記テープ止め型吸収性物品は、その肌側表面の長手方向端部近傍に、前記立体ギャザーの端部を固定するエンドシール部を更に有し、
前記調整部は、前記エンドシール部よりも長手方向及び幅方向の内側に少なくとも4つ設けられている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテープ止め型吸収性物品。
【請求項5】
前記ギャザーシートの仮固定位置が、前記根元固定部の幅方向内端から前記ギャザーシート部の幅方向先端部までの長さを100とするとき、前記根元固定部の前記幅方向内端から30以上以下80以下の範囲内に設けられている、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のテープ止め型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ止め型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
重度の介護では、テープ止めタイプの紙おむつをアウターに、尿とりパッドをインナーにして併用することが行われている。介護現場の人手不足が常態化している昨今では十分な交換頻度を確保しにくいため、夜間用を中心に装着するインナーパッドの高吸収量化、大型化が顕著に進んでいる。具体的には、インナーパッドの長手方向における臀部領域の幅方向寸法を、その他の前側領域に比べて大きくしている。
【0003】
しかしながら、インナーパッドの大型化の影響で、インナーパッドをアウターであるテープ止めタイプの紙おむつの内部に収めようとすると、アウターの立体ギャザー根元間の間隔が、大型化したインナーパッドに対し十分な幅を有しておらず、収納が難しく、装着しにくいという問題がある。この問題は、介助者の負担となる上、無理に収納しようとすると、厚い大型化したインナーパッドを適正な位置に固定できないことため、着用者の肌と接触するインナーパッドの全体や肌当接面部分にシワが生じ、その結果、装着者への圧迫感が生じたり、漏れが生じたりする。これは、介護者、被介護者、双方への相当な心理的肉体的負担となっている。このように、後部の幅が広い大型インナーパッドの収納性が良く、着用作業が容易であり、圧迫感を感じにくく、漏れにくいテープ止めタイプの紙おむつが求められている。
【0004】
特許文献1には、前腹部と後背部との間に股部を有し、前腹部と後背部の上部に形成された胴周り開口と、股部の両側部に形成された脚周り開口と、を有する外装体を備え、外装体の肌側表面にインナーパッドが交換可能にセットされたときに、インナーパッドを外装体の肌側表面に挟み込んで保持するベルト部材を有し、ベルト部材は、外装体の幅方向に延在して、その両端部はインナーパッドの外側に位置する外装体の表面シートに固定されるとともに、この固定された両端部の間の所定部位は、インナーパッドがセットされる前には外装体の肌側表面に仮止め材で剥離可能に仮止めされている使い捨て着用物品が記載されている(請求項1)。特許文献1によれば、ベルト部材の両端部の間の部位が浮き上がりにくい状態となって、使い捨て着用物品の製造時には、製造ラインの部品に引っ掛かりにくく、使い捨て着用物品の着用時には、着用者が穿く際に足が引っ掛かりにくくなると記載されている(段落0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4284217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、幅方向に伸びるように設けられた伸縮性のあるベルト部材でインナーパッドを固定するというものである。しかしながら、この技術では、高い伸縮性は幅方向にアウターが収縮することで着用の妨げになり、一方伸縮性の低いものでは、小型の尿取りパッドや、夜間長時間使用における高吸収な大型インナーパッドを十分に保持できないという問題がある。
【0007】
これらの問題を解決するために、アウターであるテープ止めタイプの紙おむつの立体ギャザーの幅方向の間隔を広くすれば、夜間の大型化したインナーパッドの収納性は向上するが、日中に使用する小型のインナーパッドである尿取りパッドの固定が甘くなり不具合となる。これは、アウターの立体ギャザーの幅方向の間隔が小型のインナーパッドの製品幅に対して広すぎるため、収納性は良いものの、幅方向が広すぎるため、その固定がしにくくなるという意味である。そこで、主に昼に使用される幅の狭い尿とりパッドのようなインナーパッドも、主に夜間に使用される幅の広いワイドパッドも、適切に収納保持可能な、アウターとしてのテープ止め型吸収性物品が求められている。
【0008】
本発明の目的は、主に昼に使用される幅の狭い尿とりパッドも、主に夜間に使用される幅の広いワイドパッドも、適切に収納保持可能な、テープ止め型吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来のように立体ギャザーを、幅方向に拡がって長手方向に延びるギャザーシートを含み、少なくとも幅方向先端部である遊離端がトップシートの肌側表面に対して起立するギャザーシート部と、トップシートの肌側表面の幅方向両側で固定されて長手方向に延びる根元固定部と、で構成するとともに、ギャザーシートに対して脱着自在に設けられ、トップシートの肌側表面において、根元固定部の幅方向内側に位置し、ギャザーシートを仮固定し、一対の立体ギャザー間の幅方向寸法を調整する調整部を設けることで、所望のテープ止め型吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記のテープ止め型吸収性物品を提供するものである。
【0010】
(1)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備えるテープ止め吸収性物品であって、
着用者の腹側に主に当接する前身頃と、着用者の股間部に主に当接して前記吸収体を支持する股部と、着用者の背側に主に当接する後見頃と、が長手方向にこの順に連接された外装体と、前記後見頃の幅方向両端から外方に展開する一対のファスニングテープと、前記ファスニングテープを固定する固定手段と、を有し、
前記トップシートの肌側表面の幅方向両側を、前記前身頃から前記股部を経て前記後見頃に向けて長手方向に延びる一対の立体ギャザーをさらに有し、
前記立体ギャザーは、
幅方向に拡がって長手方向に延びるギャザーシートを含み、少なくとも幅方向先端部である遊離端が前前記トップシートの前記肌側表面に対して起立するギャザーシート部と、
前記トップシートの前記肌側表面の幅方向両側で固定されて長手方向に延びる根元固定部と、
前記ギャザーシートに対して脱着自在に設けられ、前記トップシートの前記肌側表面において、前記根元固定部の幅方向内側に位置し、前記ギャザーシートを仮固定し、前記一対の立体ギャザー間の幅方向寸法を調整する調整部と、を備えるテープ止め型吸収性物品。
(2)前記調整部がフックテープであり、前記フックテープは前記ギャザーシートの非肌側表面に係合する、上記(1)のテープ止め型吸収性物品。
(3)前記調整部は、平面視三角形状である、上記(1)又は(2)のテープ止め型吸収性物品。
(4)前記テープ止め型吸収性物品は、その肌側表面の長手方向端部近傍に、前記立体ギャザーの端部を固定するエンドシール部を更に有し、
前記調整部は、前記エンドシール部よりも長手方向及び幅方向の内側に少なくとも4つ設けられている、上記(1)乃至(3)のいずれかのテープ止め型吸収性物品。
(5)前記ギャザーシートの仮固定位置が、前記根元固定部の幅方向内端から前記ギャザーシート部の幅方向先端部までの長さを100とするとき、前記根元固定部の前記幅方向内端から30以上80以下の範囲内に設けられている、上記(1)乃至(4)のいずれかのテープ止め型吸収性物品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主に昼に使用される幅の狭い尿とりパッドも、主に夜間に使用される幅の広いワイドパッドも、適切に収納保持可能な、テープ止め型吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るテープ止め型吸収性物品の構成を模式的に示す展開図である。
図2】調整部による立体ギャザー間の幅方向間隔を説明するための模式図である。
図3】調整部の構成を説明する模式図である。(a)は調整部の一実施形態を示し、(b)は調整部とその周囲の構成を示す。
図4】本実施形態に係るテープ止め型吸収性物品が昼間用の小型の尿取りパッドを収納した状態を示す模式図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
図5】本実施形態に係るテープ止め型吸収性物品が夜間用のワイドパッドを収納した状態を示す模式図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、テープ止め型吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、テープ止め型吸収性物品を身体に着用した状態をいう。テープ止め型吸収性物品において、長さ方向とはテープ止め型吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘るYで示す方向であり、幅方向とは長さ方向に対して直交するXで示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材を積層するZで示す方向である。肌側表面とは、テープ止め型吸収性物品を着用したときに、着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面であり、非肌側表面とは、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0014】
<テープ止め型吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50について説明する。図1乃至図3は本実施形態のテープ止め型吸収性物品50及びその一部を示す。図4及び図5は、インナー(尿取りパッド51、ワイドパッド52)を内部に収納したアウター(テープ止め型吸収性物品50)を示す。これらの図面はテープ止め型吸収性物品50中の各構成部材の形状や寸法、大小関係等を規定するものではない。
【0015】
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、着用者の主に腹側に当接する前身頃60と、着用者の主に股間部に当接する股部70と、着用者の主に背側に当接する後身頃80とが長手方向にこの順に連接された外装体90で構成されたテープ止めタイプ吸収性物品(アウター)である。トップシート10の主に股部70の肌側表面に配置された吸収体1が配置され、トップシート10の肌側表面の幅方向両側には、長手方向を前身頃60から股部70を経て後身頃80に延びる一対の立体ギャザー40が配置されている。立体ギャザー40は、幅方向に拡がって長手方向に延びるギャザーシート40bを含み、少なくとも幅方向先端部である遊離端40aがトップシート10の肌側表面に対して起立するギャザーシート部41と、トップシート10の肌側表面の幅方向両側で固定されて長手方向に延びる根元固定部42と、ギャザーシート40bに対して脱着自在に設けられ、トップシート10の肌側表面において、根元固定部42の幅方向内側に位置し、ギャザーシート40bを仮固定し、一対の立体ギャザー40間の幅方向寸法を調整する調整部43と、を有している。テープ止め型吸収性物品50の、長手方向の寸法は、例えば、700mm以上1100mm以下の範囲であり、最大幅は700mm以上1500mm以下の範囲であり、最大幅は300mm以上500mm以下の範囲である。後見頃80側の吸収体1が成す外形の後見頃80の最大幅が300mm以上500mm以下である。
【0016】
本実施形態によれば、
第1に、立体ギャザー40の根元を仮止めする調整部43(例えばフックテープ)を設けることで、立体ギャザー40間の幅方向寸法が調整可能になり、幅方向寸法を狭くすれば昼間用の小型の尿とりパッドの収納性と固定性を確保でき、また、幅方向寸法を広くすれば夜間用の大型インナーパッド(ワイドパッド)を交換作業性よく適切に収納保持可能となり、
第2に、調整部43として例えば三角形状のフックテープを用い、該フックテープを幅方向内側から外側に向けて次第に広くなるように配置すると、軽い力で立体ギャザー40のギャザーシート40bと調整部43とを軽い力で脱着可能となり、交換作業性と固定の保持力が確保でき両立でき、
第3に、調整部(例えばフックテープ)をギャザーシート40bから剥がして立体ギャザー40間の幅方向寸法を拡げて大型インナーパッドを収納するときに、調整部43の肌側表面に対向したフックテープのフック面(係合面)が、大型インナーパッドの衣類面に配置された外装体90(外装不織布)へ係合し、インナーパッドの位置を適切に固定保持することができる。
【0017】
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、前述のように、前身頃60と、股部70と、後身頃80とが、長手方向にこの順に連接された外装体90から外形を構成され、外装体90の肌側表面に吸収体1、トップシート10及び立体ギャザー40を有する。また、本実施形態の吸収性物品50は、後身頃80の幅方向両端から外方に延出された一対のサイドフラップ62と、サイドフラップ62の幅方向途中部に固定され、幅方向両外方に延出された一対のサイドパネル63と、サイドパネル63の2股に分かれたつまみしろに配設された一対のファスニングテープ64と、前身頃60の長さ方向端部付近において幅方向中央付近に帯状に設けられ、吸収性物品50を着用するときにファスニングテープ64が固定されるターゲットテープ(固定部材)65と、を含む。吸収体1は、主に股部70の肌側表面に支持され、着用者の股間部を身体の前後から覆う長さ方向に細長い形態を有している。本実施形態では、前身頃60から股部70を介して後身頃80に至る一体化した外装体90によりテープ止め型吸収性物品50の外形を構成しているが、これに限定されず、前身頃60、及び後身頃80を別体とし、これらを吸収体1により連結して一体化したテープ止め型吸収性物品50としてもよい。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、幅方向両側の一対の立体ギャザー40の長手方向両端部に、立体ギャザー40のトップシート10への固定性を向上させるために、エンドシール部44を設けてもよい(図2(a))。
【0018】
前身頃60の幅方向の寸法は例えば380mm以上790mm以下の範囲であり、後身頃80の幅方向の寸法(最大幅寸法)は例えば300mm以上500mm以下の範囲であり、股部70の幅方向の寸法は例えば250mm以上320mm以下の範囲、又は270mm以上310mm以下の範囲である。前身頃60、後身頃80及び股部70の各寸法を上述の範囲に調整することで、インナーパッド51を適正に収納できるテープ止めタイプのテープ止め型吸収性物品50が得られる。
【0019】
以下、各構成部材について、立体ギャザー40、前身頃60、股部70、後身頃80、サイドフラップ62、ターゲットテープ65、及び吸収体1の順で説明する。
【0020】
<立体ギャザー>
一対の立体ギャザー40は、トップシート10の肌側表面の幅方向両側を、前身頃60から股部70を経て後見頃80に至るように長手方向に延びるように設けられている。立体ギャザー40は、股部70では、股部70の肌側表面及び/又は吸収体1の肌側表面に形成されていてもよい。立体ギャザー40は、幅方向に拡がって長手方向に延びるギャザーシート40bを含み、少なくとも幅方向先端部である遊離端40aがトップシート10の肌側表面に対して起立するギャザーシート部41と、トップシート10の肌側表面の幅方向両側で固定されて長手方向に延びる根元固定部42と、ギャザーシート40bの非肌側表面に対して脱着自在に設けられ、トップシート10の肌側表面において根元固定部42の幅方向内側に位置し、ギャザーシート40bを仮固定し、一対の立体ギャザー40間の幅方向寸法を調整する調整部43と、を備えている。
【0021】
(ギャザーシート部)
ギャザーシート部41は、根元固定部42から幅方向に拡がりかつ根元固定部42に沿って長手方向に延びるギャザーシート40bを含む。ギャザーシート40bは、根元固定部42とは反対側の幅方向先端が遊離端40aとなり、遊離端40a付近には弾性伸縮部材(不図示)が遊離端40aに沿って長手方向に延びるように配設され、これにより、遊離端40aがトップシート10の肌側表面に対して起立状態になり、着用者の体型に合わせて変形自在になる。
【0022】
ギャザーシート40bは、撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。ギャザーシート40bの坪量は、例えば、13g/m以上20g/m以下の範囲である。遊離端40aに沿って長手方向に配設される弾性伸縮部材としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0023】
(根元固定部)
根元固定部42は、ギャザーシート40bをトップシート10の幅方向両側で長手方向に略直線状に延びるように固定した領域である。ギャザーシート40bの固定には、ホットメルト接着剤、熱融着等の手法が用いられる。幅方向両側の根元固定部42間の幅方向寸法は、夜間用の大容量ワイドパットの幅方向寸法よりもやや大き目に形成されている。なお、ギャザーシート40bは、根元固定部42だけではなく、例えば、吸収コア20における、バックシート30の非肌側面、バックシート30の肌側表面の幅方向両端等に固定されていてもよい。
【0024】
(調整部)
調整部43は、図1及び図2に示すように、ギャザーシート40bに対して脱着自在に設けられ、トップシート10の肌側表面において、根元固定部42の幅方向内側に位置し、ギャザーシート40bの非肌側面に係合することでギャザーシート40bを所定の位置で仮固定し、一対の立体ギャザー40間又は立体ギャザー40の根元固定部42間の幅方向寸法を調整する。本実施形態では、調整部43は本実施形態ではフックテープであり、フックテープはその係合面がギャザーシート40bの非肌側面に対向するように、トップシート10の肌側表面に固定されている。この固定は、例えば、ホットメルト接着剤を用いる方法、熱融着、エンボス加工等の方法で行われる。調整部43は、本実施形態のフックテープに限定されず、トップシート10の肌側表面に固定可能でありかつギャザーシート40bの非肌側面に係合可能な材料を特に限定なく使用できる。
【0025】
本実施形態では、調整部43として、4つの直角三角形状のフックテープが、前身頃60の股部70への近接領域から、後身頃80の股部70への近接領域にわたる長方形状の仮想領域の四隅に、直角三角形状のフックテープの斜辺が長手方向及び幅方向の各内側を向くように配置されている。或いは、立体ギャザー40の長手方向端部近傍の四隅に設けられるエンドシール部44をつないだ仮想領域の幅方向及び長手方向の内側に設けてもよい。フックテープの個数や配置方法は特に限定されないが、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50にインナーパッドを挿入するときに、力が均等に掛かるようにするためには、前述の長方形状の仮想領域の四隅に、4つの調整部43、好ましくは4つの三角形状のフックテープを配置することが好ましい。調整部43の平面視形状は特に限定されないが、例えば、直角三角形、二等辺三角形等の三角形等が挙げられる。このような調整部43は、前述の長方形状の仮想領域の四隅に、それぞれ幅方向に対向するように配置される。
【0026】
三角形状のフックテープについて、図3を参照しつつ、更に説明する。図3(a)では、Wは幅方向内側であり、Nは幅方向外側である。本実施形態のフックテープは、幅方向内側になるほど、フックテープ係合面の面積が相対的に小さくなり、付着力、剥がす力が小さくなるため、インナーパッドの脱着が容易になる。さらに、幅方向は、テープ止め型吸収性物品50に対してインナーパッドを挿入及び取り外す主な方向でもある。したがって、インナーパッドのサイズに応じて立体ギャザー40を仮固定したり、剥がしたりするときの、操作性が向上し、誤った位置に仮固定することが非常に少なくなり、介助者の労力を軽減する。なお、フックテープ全体の力により、立体ギャザー40の形態が確実に維持されるので、立体ギャザー40の機能が十分に発揮される。
【0027】
また、図3(b)では、調整部43により仮固定されるギャザーシート40bの幅長さBは、実際には、根元固定部41の幅方向内端から調整部43により仮固定されるギャザーシート40bの幅方向外端までの幅長さを示している。また、根元固定部41の幅方向内端からギャザーシート部42(又はギャザーシート40b)の幅方向先端部(又は遊離端40a)までの幅長さが図3(b)中Aで表されている。ここで幅長さAを100とするとき、幅長さBは、30以上80以下に設定することが好ましい。30未満であると、立体ギャザー40を固定する力が不足し意図せずトップシート10等の肌側表面から剥がれてしまう恐れがあり、80より大きいと立体ギャザー40がずれた際に調整部43が露出し期せずして他部材と付着する恐れがある。
【0028】
また、図4では、調整部43による仮固定寸法を調整して相対的に大きくし、立体ギャザー40の仮固定間の長さをXYとしている。同様に、図5では、調整部43による仮固定寸法を調整して相対的に小さくし、立体ギャザー40の仮固定間の長さをXYとしている。これにより、昼間用の小型のインナーバッド(尿取りパッド)51又は夜間用の大型のインナーパッド52をテープ止め型吸収性物品50内にフィットして挿入することが可能になり、窮屈感、圧迫感等がなく、ズレ、体液漏れ等も非常に起こり難い。
【0029】
<前身頃、股部、及び後身頃>
前身頃60及び後身頃80は、吸収体1の前側端部(腹側端部)及び後方端部(背側端部)に、それぞれ、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。また、股部70は、前身頃60と後身頃80との間に介在し、これらと同様に、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。
【0030】
本実施形態では、前身頃60、股部70及び後身頃80は、それぞれ、着用者の非肌側に位置する外装不織布シート(不図示)と、着用者の肌側に位置するバックシートフィルム(不図示)と、を備える。外装不織布シート及びバックシートフィルムからなる外装体素材を、吸収体1が内側となるように吸収体1の中心線で股部70を二つ折りにして、下腹部及び背側部の両側縁が接続される。これにより、外装不織布シートは、伸縮性のウエスト開口部と、一対の脚開口部とを形成し、吸収性物品50を全体として着脱可能なパンツ状に構成する。そして、吸収性物品50を着用すると、下腹部が着用者の腹側で腰部を覆い、背側部16が着用者の背側で腰部を覆う。
【0031】
外装不織布シートの内側には、例えば、バックシートフィルムが積層されており、前身頃60、後身頃80及び股部70の強度を高めている。外装不織布シートには、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる繊維を含む不織布を使用できる。該不織布の具体例としては、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が好ましい。不織布の坪量は、例えば、15g/m以上40g/m以下の範囲である。バックシートフィルムとしては樹脂フィルムを特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。バックシートフィルムの坪量は、例えば、10g/m)以上40g/m)以下である。
【0032】
<サイドフラップ及びターゲットテープ>
本実施形態の吸収性物品50は、バックシートフィルムの下腹部及び背側部16の幅方向両側端部に形成された一対のサイドフラップ62と、背側部16の各サイドフラップ62の、幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられたサイドパネル63と、サイドパネル63の幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられた2股のファスニングテープ64とを有している。本実施形態の吸収性物品50は、サイドフラップ62、サイドパネル63及びファスニングテープ64を有しない実施形態をも包含する。また、サイドパネル63とファスニングテープ64とは、別々の部材により形成されたものでも、両者が一体となって形成されたものでもよい。また、本実施形態において、一のサイドパネル63上の2つのファスニングテープ64は、吸収性物品50の長手方向に離間して設けられていてもよい。ファスニングテープ64は肌側面に、下腹部と背側部16とを締結するための面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段を備えるとともに、各ファスニングテープ64の幅方向の外側端部の先端部には、2股に分かれたつまみしろを設けてもよい。サイドパネル63には分割可能となるミシン目を付与してもよい。一方、下腹部の衣類側表面には、面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープ65を設けてもよい。吸収性物品50を着用者に着用するときは、各ファスニングテープ64が、締結手段としてループ部材で構成されたターゲットテープ65に固定される。これにより、本実施形態の吸収性物品50をテープ止めタイプ紙おむつの構成とすることができる。これに限定されず、ウエスト部において前身頃60と後身頃80とを幅方向端部で連結し、パンツ状に一体化した吸収性物品50としてもよい。
また、サイドパネル63上の略長さ方向中央又はその近傍を手で切断分割できるミシン目66を付与することができる。これによりミシン目66からタブ部を長く分割することができ、係合位置をより広く自由に選択することが可能になる。体型により吸収性物品50と着用者の身体とを適切に密着させる張力を着用時に発現させることができる。
【0033】
なお、サイドフラップ62の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、サイドパネル63及びファスニングテープ64の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる樹脂フィルムや不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、フック部材とは、面ファスナーを構成する部材のうち、フック状突起からなる部材を指し、ループ部材とは、フック部材と対を成す部材であって、ループ状に密集して起毛された部材を指す。面ファスナーは、このフック部材とループ部材とが対となって構成されている。吸収性物品50は、例えば、背側部16を着用者の背部にあてた状態で、下腹部を着用者の腹部側に持っていき、ファスニングテープ64をターゲットテープ65に締結することで、着用できる。また、ミシン目66はサイドパネル63の長さ方向略中央に等間隔の切れ目を入れて設けることができる。
【0034】
<エンドシール部>
テープ止め型吸収性物品50の肌側表面の長手方向端部近傍、より具体的には一対の立体ギャザー40の各端部(四隅)には、エンドシール部44を設けることができる。エンドシール部44は、例えば、トップシート10及び/又は吸収体1の各肌側表面に対し立体ギャザー40を固定する。エンドシール部44は、例えば、ホットメルト接着剤等で構成される。エンドシール部44の平面視形状は本実施形態の方形(四角形)に限定されず、例えば、円形、三角形、六角形等でもよい。
【0035】
<吸収体>
吸収体1は、図2に示すように、肌側から非肌側に向けて積層した、トップシート10、吸収コア20、及びバックシート30を基本単位とするものである。吸収体1は、着用者の主に下腹部に当接する前側部、着用者の主に股間部に当接する股部、及び着用者の主に臀部に当接する後側部に区分してもよい。本実施形態の吸収体1は、トップシート10の肌側面の幅方向両端付近に、長手方向に延びる一対の立体ギャザー40を有している。立体ギャザー40は、前述した通りである。吸収体1には公知の種々の改変を施すことができる。以下、トップシート10、吸収コア20、バックシート30、及び立体ギャザー40の順に各部材の構成をさらに詳しく説明する。
【0036】
(トップシート)
トップシート10は、吸収性シート90及び吸収コア20に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状基材である。トップシート10は、着用者の肌に当接する場合あることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。
【0037】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m以上40g/m以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を反応性吸収性シート90及び吸収コア20へと誘導するために必要とされる、吸収コア20の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0038】
(吸収コア)
吸収コア20は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、150mm以上500mm以下の範囲、又は270mm以上500mm以下の範囲である。吸収コア20の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、50mm以上500mm以下の範囲、60mm以上400mm以下の範囲、又は70mm以上105mm以下の範囲である。また、吸収コア20の平面視形状が砂時計型である場合は、長手方向寸法が180mm以上800mm以下の範囲、着用者の腹部及び背部にそれぞれ当接する腹側部及び背側部の幅方向寸法がともに60mm以上400mm以下の範囲であり、着用者の股間部に当接する股部の幅方向寸法が90mm以上250mm以下の範囲である。吸収コア20の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収コア20の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。吸収コア20は、上層(肌側)に配置された上層吸収体と、下層(非肌側)に配置された下層吸収体との積層体でもよい。
【0039】
吸収コア20は、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)と、を含有する。
【0040】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収コア20に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m以上800g/m以下の範囲又は325g/m以上615g/m以下の範囲である。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0041】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0042】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収コア20が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
【0043】
吸収コア20中のSAPの坪量は、例えば、60g/m以上450g/m以下の範囲、又は245g/m以上445g/m以下の範囲である。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収コア20におけるゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収コア20に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収コア20において、吸収コア20全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収コア20全体の重量×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲、又は15重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0044】
吸収コア20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。
【0045】
(バックシート)
バックシート30は、吸収コア20が保持する体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0046】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m以上60g/m以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0047】
<吸収体の製造方法>
吸収体1は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、トップシート10とバックシート30との間に吸収コア20を配置する工程と、トップシート10の縁辺とバックシート30の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、を含む製造方法が挙げられる。必要に応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を設けることができる。
【0048】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用でき、例えば、前身頃60、股部70、及び後身頃80の所定の形状を有する外装不織布シート及びバックシートフィルムを用意する工程と、外装不織布シートとバッグシートフィルムとを含む外装体素材の肌側表面に吸収体1を配設し、さらに立体キャザー40を配設する工程と、前身頃60のターゲットテープ65と後身頃80のファスニングテープ64とを接続する工程と、を含む製造方法等が挙げられる。ファスニングテープ64は、あらかじめ、サイドパネル63の基材表面に締結手段を接着し、所定の形状に切断してサイドパネル63とし、これをサイドフラップ62に接合してもよい。
【0049】
本実施形態に係る吸収性物品50に収納される吸収性物品51、52は、昼用の尿取りパッド、及び体液吸収量が多い、夜用の高吸収ワイドパッド等のパッド製品であり、吸収体1が肌側及び非肌側の2層構造である以外は、吸収体1と同様の構成であり、トップシート11と、吸収コア21と、バックシート31と、立体ギャザー45と、を含んで構成されている。トップシート11は前述したトップシート10と同様であり、吸収コア21は前述した吸収コア20と同様の構成であり、長手方向に延びる2つの貫通孔(不図示)を有していてもよい。バックシート31は、前述したバックシート30と同様であり、立体ギャザー45は、根元部間間隔が等間隔でありかつ調整部43を有しない以外は立体ギャザー40と同様である。
【0050】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0051】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明する。
【0052】
(実施例1~4及び比較例1~3)
表1に示す構成を有するアウター用のテープ止めタイプ吸収性物品(外装体:スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド不織布)、(トップシート:スパンボンド不織布) 表2に示す構成を有するインナーパッド(夜間用大型パッド)、及び表3に示す構成を有するインナーパッド(昼間用小型尿取りパッド)をそれぞれ作製し、パネラー10名に着用してもらい、次のモニター評価に供した。結果を表4に示す。
【0053】
(長時間連続着用の圧迫感、違和感)
パネラー10名に一晩(8時間以上、実績10~14時間)着用してもらい、圧迫感の有無、着用感(ゴワゴワ感、睡眠のとれ具合、圧迫感、痛み)について回答を得た。
(交換作業性)
10名のパネラーに、上記のテープ止めタイプ吸収性物品の着用、交換を実施した介護スタッフに、着用後にインナー用のテープ止め尿取りパッド交換時の作業性(テープ止めへインナーパッドを容易に納めることが出来るか)について回答を得た。
(漏れの有無)
10名のパネラーに、上記のテープ止めタイプ吸収性物品の着用、交換を実施した介護スタッフに、漏れ及びインナーパッドのズレ、ヨレが見られたかについて回答を得た。
回答は以下の基準で評価した。
○:「圧迫感を感じなかった」「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「インナーパッド交換時にテープ止めへインナーパッドが納めやすかった」が8人以上10人以下のとき
△:「圧迫感を感じなかった」「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「インナーパッド交換時にテープ止めへインナーパッドが納めやすかった」が5人以上7人以下のとき
×:「圧迫感を感じなかった」「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「インナーパッド交換時にテープ止めへインナーパッドが納めやすかった」がいないか4人以下のとき
結果を表4に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
実施例1~4及び比較例1~3は、実際には次のようであった。
(実施例1)良好なモニター結果を得た。立体ギャザーを軽い力で付け剥がしできることで操作性が良く、装着精度も向上した。小型インナーパッドは調整部で吸収体位置を固定できることにより適正な位置に保持できた。大型インナーパッドは立体ギャザーを広く展開し収納しやすく、インナーパッドの裏面が調整部へ係合することで位置が保持できヨレることなく着用できた。調整部により着用時の違和感は生じなかった。
(実施例2)調整部の上下の向きを変更した。同様によい結果が得られた。
(実施例3)調整部の形状を変更した。同様によい結果が得られた。
(実施例4)調整部の形状で角のRを設けた。同様に良い結果が得られた。調整部の繰り返し使用時のトップシートからの端部剥がれを抑制する効果がみられた。
(比較例1)調整部を円形にした。着用感は問題なかったが交換時の立体ギャザーを剥がす操作がやや強く、大型インナーパッド着用時に係合の保持力がやや不足し、漏れが発生した。
(比較例2)調整部を方形にした。付着力が全体に強すぎて交換作業時に立体ギャザーが剥がしにくかったり、意図しない箇所に再付着したり、と操作性が低下した。着用精度の低下によりズレ、モレが生じた。フックテープの固さで着用時の違和感が生じた。
(比較例3)調整部が無い実施形態。もちろん立体ギャザー間の幅方向寸法の調整はできない。
【符号の説明】
【0059】
1 吸収体
10、11 トップシート
20、21 吸収コア
30、31 バックシート
40、45 立体ギャザー
40a 遊離端
40b ギャザーシート
41 ギャザーシート部
42 根元固定部
43 調整部
44 エンドシール部
50 テープ止め型吸収性物品
51 昼間用尿取りパッド
52 夜間用ワイドパッド
60 前身頃
62 サイドフラップ
63 サイドパネル
64 ファスニングテープ
65 ターゲットテープ
66 ミシン目
70 股部
71 前側領域
80 後身頃
81 後側領域
90 外装体
図1
図2
図3
図4
図5