(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125978
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】粘着シートおよび粘着シート積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230831BHJP
C09J 109/00 20060101ALI20230831BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20230831BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230831BHJP
B32B 3/02 20060101ALI20230831BHJP
A47L 25/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J109/00
C09J133/00
B32B27/00 M
B32B3/02
A47L25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030378
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 栞
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕子
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CB05B
4F100DB01
4F100EJ94
4F100GB90
4F100JL05
4J004AA05
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA02
4J004CA06
4J004CC05
4J004CC06
4J004CE01
4J004DB02
4J004FA08
4J040CA031
4J040DF001
4J040JA09
4J040JB09
(57)【要約】
【課題】 手を汚すことなく、ゴミをより確実かつ手軽に除去する掃除用途に適した粘着シートを提供する。
【解決手段】 本発明のある態様の粘着シート10は、基材層20および粘着層30を備える。粘着層30は、基材層20の一方の主表面の一部に積層されている。粘着層30が積層されずに基材層20が露出している非粘着領域R2の縁の一部が基材層20の一方の主表面の縁の一部と一致している。粘着層30が積層されている粘着領域R1の面積は非粘着領域R2の面積より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の一方の主表面の一部に積層された粘着層と、
を備え、
前記粘着層が積層されずに前記基材層が露出している非粘着領域の縁の一部が前記基材層の一方の主表面の縁の一部と一致しており、
前記粘着層が積層されている粘着領域の面積が前記非粘着領域の面積より大きい、粘着シート。
【請求項2】
前記基材層の他方の主表面に積層された剥離層を含む、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記粘着層の側の前記基材層の主表面および/または前記粘着層とは反対側の前記基材層の主表面に粗面処理が施されている、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着層にアクリル系エマルジョン粘着剤または合成ゴム系粘着剤が用いられている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着シートが矩形状であり、一辺の長さが8~13cmであり、前記一辺と直交する他辺の長さが6~10cmであり、
前記他辺に沿って前記非粘着領域が延在している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項6】
矩形状の請求項1乃至5のいずれか1項に記載の前記粘着シートが複数枚積層され、
隣接する前記粘着シートに関して、一方の前記粘着シートの前記非粘着領域が対向する一対の辺のうち、一方の辺に沿って位置し、他方の前記粘着シートの前記非粘着領域が対向する一対の辺のうち、他方の辺に沿って位置する、粘着シート積層体。
【請求項7】
矩形状の請求項1乃至5のいずれか1項に記載の前記粘着シートが複数枚積層され、
隣接する前記粘着シートに関して、一方の前記粘着シートの前記非粘着領域および他方の前記粘着シートの前記非粘着領域が、対向する一対の辺のうち、ともに一方の辺に沿って位置する、粘着シート積層体。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の前記粘着シートがロール状に巻回されており、
切断を容易にするための切り取り部が巻回方向において所定間隔で設けられている、粘着シート積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートおよび粘着シート積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルや家電製品などの掃除対象物に付着したゴミ(食べかす、粉体状の調味料、消しゴムのカス、抜け毛、埃など)を取り除くための簡易掃除製品として、回転自在のロール形状を有し、ロールの表面に粘着剤が配置された粘着クリーナー(特許文献1参照)、および、難水溶性の不織布にアルコールまたは次亜塩素酸ナトリウムなどの水溶液を含浸させたウェットティッシュ(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-221422号公報
【特許文献2】特開2011-136137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着クリーナーは、粘着シートが巻回されたロールを回転させながら、ゴミを除去する必要があるため、曲面や隙間に存在するゴミの除去に不向きである。また、粘着面が不必要に貼り付いたりすることや、使用済みの粘着シートを部分的に切り離す際に汚れた面に手で触れる必要があることが課題として挙げられる。
また、ウエットティッシュは細かい汚れを確実に除去することが難しい。このため、掃除対象物を拭いた際に汚れを却って伸ばして広げる結果となったり、掃除対象物から持ち上げたときに、汚れが落ちてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、手を汚すことなく、ゴミをより確実かつ手軽に除去する掃除用途に適した粘着シートおよび粘着シート積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、粘着シートである。当該粘着シートは、基材層と、前記基材層の一方の主表面の一部に積層された粘着層と、を備え、前記粘着層が積層されずに前記基材層が露出している非粘着領域の縁の一部が前記基材層の一方の主表面の縁の一部と一致しており、前記粘着層が積層されている粘着領域の面積が前記非粘着領域の面積より大きい。
【0007】
上記態様の粘着シートにおいて、前記基材層の他方の主表面に積層された剥離層を含んでもよい。前記粘着層の側の前記基材層の主表面および/または前記粘着層とは反対側の前記基材層の主表面に粗面処理が施されてもよい。前記粘着層にアクリル系エマルジョン粘着剤または合成ゴム系粘着剤が用いられていてもよい。前記粘着シートが矩形状であり、一辺の長さが8~13cmであり、前記一辺と直交する他辺の長さが6~10cmであり、前記他辺に沿って前記非粘着領域が延在していてもよい。
【0008】
本発明の他の態様は、粘着シート積層体である。当該粘着シート積層体は、上述した態様の矩形状の前記粘着シートが複数枚積層され、隣接する前記粘着シートに関して、一方の前記粘着シートの前記非粘着領域が対向する一対の辺のうち、一方の辺に沿って位置し、他方の前記粘着シートの前記非粘着領域が対向する一対の辺のうち、他方の辺に沿って位置する。
【0009】
本発明の他の態様は、粘着シート積層体である。当該粘着シート積層体は、上述した態様の矩形状の前記粘着シートが複数枚積層され、隣接する前記粘着シートに関して、一方の前記粘着シートの前記非粘着領域および他方の前記粘着シートの前記非粘着領域が、対向する一対の辺のうち、ともに一方の辺に沿って位置する。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、粘着シート積層体である。当該粘着シート積層体は、上述した態様の前記粘着シートがロール状に巻回されており、切断を容易にするための切り取り部が巻回方向において所定間隔で設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手を汚すことなく、ゴミをより確実かつ手軽に除去する掃除用途に適した粘着シートおよび粘着シート積層体に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)は、実施形態1に係る粘着シートの構成を示す概略断面図である。
図1(b)は、実施形態1に係る粘着シートを粘着層側から平面視したときの平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態2に係る粘着シート積層体の構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態2に係る粘着シート積層体をポップアップ式で取り出すことができるポップアップ式ケースの概略断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態3に係る粘着シート積層体の構成を示す概略断面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態4に係る粘着シート積層体100の構成を示す斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)のA-A'線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
また、本明細書および各図において、既出の図に記載した要素と同様の要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
(実施形態1)
図1(a)は、実施形態1に係る粘着シート10の構成を示す概略断面図である。
図1(b)は、実施形態1に係る粘着シート10を粘着層30側から平面視したときの平面図である。
図1(a)に示すように、粘着シート10は、基材層20、粘着層30および任意の層としての剥離層40を備える。粘着シート10の形状は長方形、正方形などの矩形状であることが好ましい。なお、本明細書において、「矩形状」の形状は、長方形、正方形に限定されず、角が丸められた角丸長方形、角丸正方形を含む。
【0015】
基材層20は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンフィルム(PE)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などの軟質合成樹脂製フィルム;パルプなどの柔軟性を有する不織布;で形成される。基材層20の厚さは、柔軟性が損なわれない限り、特に限定されないが、たとえば、0.05~1mmである。
後述する粘着層30が積層される側の、基材層20の主表面および粘着層30が積層される側と反対側の、基材層20の主表面のいずれか一方または両方に粗面処理が施されていることが好ましい。粗面処理としては、エンボス加工処理が挙げられる。基材層20に粗面処理を施すことによる効果については後述する。
【0016】
粘着層30は、基材層20の一方の主表面において、当該主表面の一部に積層されている。
【0017】
粘着層30に用いられる粘着剤としては、テーブル、家電製品などの掃除対象物上にあるゴミや埃等を粘着して除去できる程度の粘着力を有していれば、特に限定されないが、たとえば、アクリル系溶剤型粘着剤、アクリル系エマルジョン型粘着剤などのアクリル系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤などの合成ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらのうち、アクリル系エマルジョン粘着剤および合成ゴム系粘着剤は、接着剤に特有の臭いが少ないため、無香タイプの粘着シート10に好適に用いることができる。
粘着層30には、必要に応じて他の任意成分が含有されていてもよい。他の任意成分として、タッキファイヤー、粘着性微球体、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤などが挙げられる。
【0018】
粘着層30が積層されずに基材層20が露出している領域を非粘着領域R2と呼ぶ。非粘着領域R2の縁の一部が基材層20の一方の主表面の縁の一部と一致している。
図1(b)に示すように、本実施形態では、非粘着領域R2が短冊状であり、非粘着領域R2の一方の長辺と基材層20の一辺とが一致している。このように、非粘着領域R2の縁の一部の側(本実施形態では、非粘着領域R2の一方の長辺側)から粘着シート10を持つことにより、粘着層30に触れずに済み、手を汚さずに掃除を行うことができる。
【0019】
粘着シート10が矩形状の場合、一辺の長さ(
図1(b)における紙面横方向の長さ、以下では便宜的に「横方向の長さ」と呼ぶ場合がある)は8~13cmが好ましい。また、上記一辺と直交する他辺の長さ(
図1(b)における紙面縦方向の長さ、以下では便宜的に「縦方向の長さ」と呼ぶ場合がある)は6~10cmであることが好ましい。粘着シート10の他辺に沿って非粘着領域R2が延在していている場合、非粘着領域R2の延在方向の長さは、当該他辺の長さ(6~10cm)と一致する。
粘着シート10のサイズ(横方向の長さ×縦方向の長さ)は、たとえば、13cm×10cm、12cm×9cm、11cm×8cm、10cm×7cm、または8cm×6cmである。
【0020】
粘着層30が積層されている粘着領域R1の面積、すなわち、粘着層30の面積は非粘着領域R2の面積より大きい。換言すると、基材層20の主表面全体の面積を基準としたときの、粘着領域R1の面積の割合は50%以上であり、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上であってもよい。粘着領域R1の面積の割合を上述の割合とすることにより、粘着層30の面積が十分に確保されるため、粘着シート10が清掃用途に適したものなる。
一方、非粘着領域R2は、指でつまめる程度の幅が確保されていることが好ましく、非粘着領域R2の短辺(
図1(b)における紙面横方向の長さ)は、0.5cm以上、1cm以上、1.5cm以上または2cm以上としてもよい。
【0021】
基材層20に粗面処理を施してある場合には、粘着層30が基材層20の凹凸に追従することにより、粘着層30の表面にも凹凸が生じる。これにより、粘着層30の表面積が増加するため、粘着層30によって捕捉されるゴミや埃の量を増やすことができる。また、粘着層30の表面に凹凸があることにより、ゴミや埃がひっかかりやすくなり、粘着層30によって捕捉されるゴミや埃の量を増やす効果が相乗的に発揮される。
【0022】
粘着層30の厚さは、特に制限がないが、たとえば、10~100μmである。
【0023】
剥離層40は、基材層20の他方の主表面に積層されている。剥離層40として、基材が剥離剤により剥離処理された離型フィルムが挙げられる。また、剥離剤を基材層20の他方の主表面に剥離剤を直接塗布することにより、剥離層40を形成してもよい。
【0024】
剥離層40に用いられる基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙などの紙基材;これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
【0025】
剥離層40に用いられる剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂などのゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
【0026】
剥離層40の厚さは、特に制限されないが、剥離層40が基材を含む場合では、たとえば、20~250μmである。また、剥離層40が、基材を用いずに、剥離剤の直接塗布により形成されている場合には、0.01~250μmである。
【0027】
剥離層40を設けることにより、後述するように、複数の粘着シート10が積層された積層体を形成した場合に、積層体の最上部または最下部に位置する粘着シート10を当該積層体から剥がしやすくすることができる。
【0028】
<粘着シートの製造方法1>
実施形態1に係る粘着シート10を製造する方法の一例を以下に述べる。
まず、基材層20の一方の主表面における粘着領域R1に、上述した成分の粘着剤を塗布することにより、粘着層30を形成する。粘着剤を塗布する方法としては、押出機を用いた溶融押出方法が挙げられる。
次に、基材層20の他方の主表面全体に、上述した離型フィルムを周知の接着剤を用いて貼付することにより、剥離層40を形成する。
【0029】
<粘着シートの製造方法2>
実施形態1に係る粘着シート10を製造する方法の他の例を以下に述べる。
基材層20の一方の主表面における粘着領域R1に相当する領域の剥離紙上に、粘着剤を溶媒に溶解・分散した塗布液を塗工する。これにより、剥離紙上に粘着領域R1と同じサイズの粘着剤を得る。この粘着剤を基材層20の一方の主表面に転写し、乾燥させることにより、粘着層30が形成される。
剥離層40については、粘着層30を形成する前に、基材層20の他方の主表面に剥離液を直接塗布することにより形成することができる。
【0030】
以上の手順により、実施形態1に係る粘着シート10を得ることができる。なお、長尺の基材層20を用意し、上述の手順により粘着層30および剥離層40を形成した後、所定の間隔で切断加工を行うことにより、多数の粘着シート10を生産性よく製造することができる。
【0031】
以上説明した粘着シート10が奏する効果を以下に述べる。
ユーザは、非粘着領域R2を指で持った状態で、テーブル表面、モニタ画面、棚面、壁面、電子製品の筐体表面など清掃対象に粘着層30を押し付けることにより、手を汚すことなく、埃や髪の毛などの細かい汚れを確実かつ手軽に除去することができる。
本実施形態の粘着シート10は、柔らかい素材で構成されているため、様々な形状にフィットさせることができ、細かい部分の汚れを確実に除去することができる。
本実施形態の粘着シート10は、上述したような、手軽に使いやすいサイズとすることにより、ティッシュ感覚で即座に汚れの除去に使うことができる。また、本実施形態の粘着シート10は、上述したようなサイズとすることにより、後述のように、粘着シート積層体として使用する場合に、ボックスティッシュに比べて、テーブルに置いても邪魔になりにくい。
【0032】
(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る粘着シート積層体100の構成を示す概略断面図である。本実施形態の粘着シート積層体100は、上述した実施形態1に係る粘着シート10が複数枚積層された積層体である。粘着シート10の積層枚数は特に限定されないが、たとえば5~200枚程度である。なお、後述するように、実施形態2に係る粘着シート積層体100をポップアップ用ケースに収容して据え置き状態で使用する場合には、粘着シート10の積層枚数は、20~100枚が好ましく、30~50枚がより好ましい。
【0033】
本実施形態で用いられる粘着シート10は矩形状であり、粘着シート積層体100の積層構造において隣接する粘着シート10に関して、一方の粘着シート10の非粘着領域R2が対向する一対の辺のうち、一方の辺に沿って位置している。一方、他方の粘着シート10の非粘着領域が対向する一対の辺のうち、他方の辺に沿って位置している。換言すると、粘着シート積層体100から粘着シート10を順次剥がしたとき、対向する一辺において、非粘着領域R2が交互に現れる。このため、本実施形態の粘着シート積層体100は、後述するように、ポップアップ用ケースに収容された状態で使用することに適している。
【0034】
本実施形態の粘着シート積層体100は、上述の粘着シート10を複数枚用意し、非粘着領域R2が互い違いになるように、粘着シート10を順次積層することにより、作製することができる。
【0035】
図3は、実施形態2に係る粘着シート積層体100をポップアップ式で取り出すことができるポップアップ用ケース200の概略断面図である。
【0036】
ポップアップ用ケース200は、ハウジング210および弾性体220を有する。
ハウジング210は、上面部および側面部からなる蓋部212、および底面部214を含む。ハウジング210に、
図2に示した粘着シート積層体100が収容される。蓋部212の上面部に開口部216が設けられている。開口部216を経て、粘着シート積層体100の最上部に位置する粘着シート10を取り出すことができる。
【0037】
図2に示した粘着シート積層体100を用いることにより、最上部の粘着シート10を取り出すと、その下の粘着シート10の一部が剥がされ、開口部216から外部に飛び出た状態となる。このため、粘着シート積層体100から粘着シート10を取り出すことが容易となる。
【0038】
蓋部212は、底面部214に着脱可能に構成されている。粘着シート積層体100を使い終わったときに、蓋部212を取り外すことにより、底面部214の上方に、新たな粘着シート積層体100を設置することができる。
【0039】
弾性体220はバネなどの弾性を有する部材で構成される。弾性体220の一端は底面部214に固定されている。弾性体220の他端は、粘着シート積層体100の底面に当接しており、弾性体220によって、ポップアップ用ケース200に収容された粘着シート積層体100が上方に付勢されるように構成されている。これにより、粘着シート積層体100の最上部に位置する粘着シート10を取り出しやすくすることができる。
【0040】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係る粘着シート積層体100の構成を示す概略断面図である。本実施形態の粘着シート積層体100は、上述した実施形態1に係る粘着シート10が複数枚積層された積層体である。粘着シート10の積層枚数は特に限定されないが、たとえば5~200枚程度である。
本実施形態で用いられる粘着シート10は矩形状であり、粘着シート積層体100の積層構造において隣接する粘着シート10に関して、一方の粘着シート10の非粘着領域および他方の粘着シート10の非粘着領域が、対向する一対の辺のうち、ともに一方の辺に沿って位置している。
【0041】
本実施形態の粘着シート積層体100は、収容ケースを用いることなく、粘着シート10が複数枚積層された状態から、最上部に位置する粘着シート10を剥がし、当該粘着シート10を掃除に用いることができる。
【0042】
本実施形態の粘着シート積層体100は、上述したようなコンパクトなサイズとすることにより、携帯に適した掃除用製品となる。このため、ユーザは、粘着シート積層体100を持ち歩き、必要なときに、粘着シート積層体100を取り出して、最上部の粘着シート10を剥がすことにより、手軽に掃除を行うことができる。本実施形態の粘着シート積層体100を携帯タイプとして用いる場合には、粘着シート10の積層枚数は、10~50枚が好ましく、20~40枚がより好ましい。
【0043】
(実施形態4)
図5(a)は、実施形態4に係る粘着シート積層体100の構成を示す斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)のA-A'線に沿った断面図である。
本実施形態の粘着シート積層体100は、粘着シート10がロール状に巻回された積層体である。具体的には、ダンボール紙などの紙材で形成された円筒状の芯材110に、長尺の粘着シート10が巻回されることにより積層体が形成されている。
【0044】
粘着シート積層体100には、切断を容易にするための切り取り部120が巻回方向において所定間隔で設けられている。切り取り部120は、たとえば、粘着シート10の巻回方向と直交する方向に延在するミシン目である。切り取り部120に沿って切断することにより、実施形態1と同様な形状の粘着シート10を得ることができる。
【0045】
本実施形態では、長尺状態の粘着シート10において、一方の長辺に沿って非粘着領域R2が延在している。このため、粘着シート10の端の部分(最外部に位置する切り取り部120によって分割される粘着シート10の最外領域)をロール状に巻回された状態から剥がす作業が、非粘着領域R2を持つことで、手を汚すことなく容易となる。また、非粘着領域R2を持つことで、切り取り部120に沿って切断する作業が手を汚すことなく容易となる。
【0046】
本実施形態では、芯材110の中空部分の一部または全部に固定軸(図示せず)を挿通することにより、粘着シート積層体100を回転させながら、粘着シート10の端の部分を引き出すことができる。また、上記固定軸を有するホルダー(図示せず)を壁などの所定位置に固定することにより、粘着シート積層体100がある場所を迷うことなく、片手で手軽に切り取り部120に沿って粘着シート10の端の部分を切り離して、掃除に用いることができる。
【0047】
本実施形態の粘着シート積層体100は、非粘着領域R2が重畳するように粘着シート10を巻回することにより、作製することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0049】
たとえば、上述の各実施形態では、粘着シート10の形状が矩形状であるが、粘着シート10の形状を略円形または略楕円形とてもよい。この場合、非粘着領域R2は、粘着シート10の縁のうち、湾曲した部分に沿って形成される場合がある。
【0050】
実施形態2で使用されるポップアップ用ケースは、紙箱やプラスチックで形成された不定形の袋状ケースであってもよい。この場合、弾性体220を用いることなく、紙箱や袋状ケースの上面に粘着シート10を取り出すためのスリット状の開口を形成した構成としてもよい。
【0051】
実施形態4の粘着シート積層体100を形成する粘着シート10の全体にエンボス加工などにより粗面処理が施されていてもよい。粗面処理は、粘着シート10(基材層20)の一方の側および/または粘着シート10(基材層20)の他方の側に施されていてもよい。これによれば、粘着シート積層体100から切り離されて使用される、各粘着シート10において、粘着層30の表面積が増加するため、粘着層30によって捕捉されるゴミや埃の量を増やすことができる。また、粘着層30の表面に凹凸があることにより、ゴミや埃がひっかかりやすくなり、粘着層30によって捕捉されるゴミや埃の量を増やす効果が相乗的に発揮される。
【符号の説明】
【0052】
10 粘着シート,20 基材層,30 粘着層,40 剥離層,100 粘着シート積層体,110 芯材,200 ポップアップ用ケース,210 ハウジング,220 弾性体,R1 粘着領域,R2 非粘着領域