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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125982
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】注出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/26 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B65D41/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030384
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA25
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC04
3E084DA01
3E084DB08
3E084DC04
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA10
3E084HB08
3E084HC03
3E084HD03
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】 PET素材で容器本体とキャップとが成形されていても、容器本体の口筒部にキャップの螺合をスムーズに行うことができる注出容器を提供すること。
【解決手段】 PET素材で成形され、口筒部1を有する容器本体Aと、PET素材で成形され、容器本体Aの口筒部1に装着されるキャップCとを備える注出容器であって、容器本体Aは、PETと異なる素材で成形され、少なくともねじ部6を設けた口筒部1を覆う被覆部材Bを備え、キャップCは、被覆部材Bを介在して容器本体Aの口筒部1に螺合されることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET素材で成形され、口筒部を有する容器本体と、PET素材で成形され、容器本体の口筒部に装着されるキャップとを備える注出容器であって、
容器本体は、PETと異なる素材で成形され、少なくともねじ部を設けた口筒部を覆う被覆部材を備え、
キャップは、被覆部材を介在して容器本体の口筒部に螺合されることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
被覆部材は、容器本体から除去する分別機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の注出容器。
【請求項3】
容器本体は、口筒部に形成されたネックリングと、ネックリングに形成された回転止め突部とを備え、
キャップは、容器本体の口筒部外周に螺合される外周筒壁と、口筒部内周に密接する内周筒壁とを備え、
被覆部材は、口筒部の上端面を覆う上壁部と、上壁部から垂設され、口筒部の外周面を覆う上外周壁部と、上外周壁部の下端に弱化部を介して連設され、ネックリングを覆う下外周壁部と、下外周壁部に形成され、ネックリングの回転止め突部と係合する回転止め部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の注出容器。
【請求項4】
被覆部材は、上壁部の内縁から垂設され、口筒部の内周を覆う内周壁部を備え、
キャップは、内周筒壁が被覆部材の内周壁部を介在して口筒部内周に密接することを特徴とする請求項3に記載の注出容器。
【請求項5】
被覆部材は、容器本体の口筒部を被覆する熱収縮可能なシュリンクフィルムであり、
シュリンクフィルムは、軸線方向に破断可能な弱化線を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の注出容器。
【請求項6】
シュリンクフィルムは、容器本体の口筒部および胴部の外周面を被覆することを特徴とする請求項5に記載の注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを備えた注出容器に関し、とくに、キャップと容器本体がPET素材で成形された注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤容器などでは、内容液を計量し易く、かつ内容液の詰め替えが容易な計量キャップを装着した注出容器が用いられている。
このような注出容器として、容器本体の口筒部に、注出口から内容液を案内する注出筒と、内容液を容器本体内に回収する液回収部とを備えた注出キャップを取着し、その上部に計量キャップを装着したものが従前から知られており、液回収および液詰め替えのために、注出キャップの傾斜した底面に、スリットを設けた注出筒を立設し、底面に注出口とともに液回収部や空気置換部を設けたものもよく知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-77111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の計量キャップは、容器本体の口筒部に別部材で構成されるノズル本体を装着し、ノズル本体に計量キャップを螺合する必要があり、注出容器として、容器本体、ノズル本体、および計量キャップの3点のパーツを成形しなければならず、コストがかかるという問題があった。
【0005】
そこで、容器本体とノズル本体とを一体化し、この一体化した容器本体に計量キャップを螺合することが考えられるが、この場合、容器本体をPET(ポリエチレンテレフタレート)素材で成形し、計量キャップも同様に、PET素材で成形すると、PET素材の容器本体と計量キャップとの滑りが悪く、キャップ本体の開閉を阻害するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、PET素材で容器本体とキャップとが成形されていても、容器本体の口筒部にキャップの螺合をスムーズに行うことができる注出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、注出容器として、PET素材で成形され、口筒部を有する容器本体と、PET素材で成形され、容器本体の口筒部に装着されるキャップとを備える注出容器であって、容器本体は、PETと異なる素材で成形され、少なくともねじ部を設けた口筒部を覆う被覆部材を備え、キャップは、被覆部材を介在して容器本体の口筒部に螺合されることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
注出容器の実施形態として、被覆部材は、容器本体から除去する分別機構を備えることを特徴とする構成を採用し、また、容器本体は、口筒部に形成されたネックリングと、ネックリングに形成された回転止め突部とを備え、キャップは、容器本体の口筒部外周に螺合される外周筒壁と、口筒部内周に密接する内周筒壁とを備え、被覆部材は、口筒部の上端面を覆う上壁部と、上壁部から垂設され、口筒部の外周面を覆う上外周壁部と、上外周壁部の下端に弱化部を介して連設され、ネックリングを覆う下外周壁部と、下外周壁部に形成され、ネックリングの回転止め突部と係合する回転止め部とを備えることを特徴とする構成を採用し、また、被覆部材は、上壁部の内縁から垂設され、口筒部の内周を覆う内周壁部を備え、キャップは、内周筒壁が被覆部材の内周壁部を介在して口筒部内周に密接することを特徴とする構成を採用する。
さらに、被覆部材の別の実施形態として、被覆部材は、容器本体の口筒部を被覆する熱収縮可能なシュリンクフィルムであり、シュリンクフィルムは、軸線方向に破断可能な弱化線を備えることを特徴とする構成を採用し、また、シュリンクフィルムは、容器本体の口筒部および胴部の外周面を被覆することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出容器は、上記構成を採用することにより、容器本体とキャップとの滑りがよくなるので、PET素材の容器本体とキャップが干渉し合って開閉を阻害することがなく、開閉をスムーズに行うことができ、密封性がよくなる。
また、廃棄時に、容器本体から被覆部材を簡単に取り除き、分別廃棄できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例の注出容器の閉蓋状態を示す図であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図2】本発明の第1実施例の容器本体に被覆部材を装着した側面図である。
図3】本発明の第2実施例の注出容器の閉蓋状態を示す図であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図4】本発明の第3実施例の注出容器の図であり、(a)は閉蓋時の側面断面図、(b)は容器本体に被覆部材を装着した側面図である。
図5】本発明の第4実施例の注出容器の図であり、(a)は閉蓋時の側面断面図、(b)は容器本体に被覆部材を装着した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の注出容器について、計量キャップ付き容器として実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1(a)でみて、左右方向を「横方向」とし、上下方向を「軸線方向」とする。
【実施例0012】
図1において、Aは口筒部1を有する容器本体、Bは容器本体Aの口筒部1の外周に装着される薄肉の被覆部材、Cは被覆部材Bを介在して容器本体Aの口筒部1に螺合されるキャップとしての計量キャップである。
容器本体Aおよび計量キャップCは、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材で成形され、被覆部材Bは、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などの素材で成形されている。
【0013】
図1に示すように、容器本体Aは、上部の口筒部1と、口筒部1の内周下端から下方斜めに縮径し、内方に注出口2aが開口されるリング状の傾斜底壁2と、注出口2aから下方に連設され、内方に内容液を収納する有底の胴部3と、傾斜底壁2の注出口2aから、所定の範囲で注出口2aに連なるスリット4を切り欠いて上方に延びる注出筒5が形成されている。
図2に示すように、口筒部1の外周は、上部にねじ部である雄ねじ部6が螺設され、下部にネックリング7が周設されており、ネックリング7の所定の範囲には切り欠いて間欠部7aが設けられ、少なくとも間欠部7aがあるネックリング7のいずれかの端部側(本実施例では、図2で見て左側)には、回転止め突部8が間隔を開けて複数配設されている。
【0014】
図2に示すように、被覆部材Bは、容器本体Aの口筒部1の上端面を覆うリング状の上壁部10と、上壁部10の外縁から垂設され、口筒部1の外周上部を覆う上外周壁部11と、上外周壁部11の外周下端から連設され、リング状の段壁部12を上部に有し、ネックリング7の外周を覆う下外周壁部13と、を備え、上外周壁部11には、内周が雄ねじ部6の形と係合して覆うとともに、その部分が外にねじを形成して膨出する覆いねじ凸部14が設けられている。
下外周壁部13は、ネックリング7の間欠部7aの位置に切り欠け部13aが切り欠かれ、切り欠け部13aのいずれかの端部(本実施例では図2で見て右側)に指掛け片15が連設され、切り欠け部13aを除く下外周壁部13の内周には、容器本体Aの回転止め突部8と噛み合い、被覆部材Bの回転を止める回転止め部16が間隔を開けて2個所程度配設されているが、もちろん、回転止め突部8と回転止め部16は、ネックリング7と下外周壁部13の全周(切り欠け部13aを除く)に形成してもよい。
また、被覆部材Bには、段壁部12の切り欠け部13aの指掛け片15側から始まり、最後は上外周壁部11の覆いねじ凸部14の下部に沿って螺旋状に延びる破断可能な薄肉に形成された弱化部17が設けられ、指掛け片15および弱化部17は、分別機構を構成している。
【0015】
計量キャップCは、図1に示すように、内容液を計量する有底の計量部20と、計量部20の開口から垂設され、閉蓋時に先端が容器本体Aの口筒部1の内周と注出筒5の外周との間に入る計量注出筒21と、計量注出筒21の外周上部に連設されるリング状の環状壁22と、環状壁22の外周側から垂設され、閉蓋時に、内周が被覆部材Bの上外周壁部11外周に装着される外周筒壁23と、環状壁22の内周側から垂設され、閉蓋時に、外周が容器本体Aの口筒部1内周上端に挿入される内周筒壁24とからなり、外周筒壁23の内周には、被覆部材Bの覆いねじ凸部14の外周に螺合する雌ねじ部25が螺設されている。
本実施例では、容器本体Aの口筒部1の外周面にねじ部(雄ねじ部6)が螺設されるとともに、計量キャップCの外周筒壁23の内周面に雌ねじ部25が螺設されているが、ねじ部は、容器本体Aの口筒部1の内周面に螺設され、口筒部1の内周面のねじ部に計量キャップCを螺合するようにしても構わない。この場合には、被覆部材Bは、口筒部1内周面のねじ部を覆うように装着すればよい。
【0016】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、図2に示すように、容器本体Aの口筒部1に被覆部材Bを被せて装着する。
その際、容器本体Aの口筒部1のネックリング7の間欠部7aに、被覆部材Bの下外周壁部13の切り欠け部13aを位置合わせして被覆部材Bを被せていくと、被覆部材BがPET(ポリエチレンテレフタレート)素材よりも柔らかく、ある程度変形可能に構成されているので、僅かに広がりながら下ろされていき、最後は、口筒部1の雄ねじ部6に、被覆部材Bの上外周壁部11の覆いねじ凸部14の内周が嵌合するとともに、口筒部1の回転止め突部8に、下外周壁部13内周の回転止め部16が嵌合して、容器本体Aの口筒部1に被覆部材Bが固定して装着される。
【0017】
次に、容器本体Aの注出筒5の内方の注出口2aから内容液を充填した後、計量キャップCを容器本体Aの口筒部1および被覆部材Bの上方より被せ、被覆部材Bの覆いねじ凸部14の外周に計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25を螺合させる。
その際、容器本体Aの口筒部1に固定された被覆部材BがPET(ポリエチレンテレフタレート)素材よりも柔らかく、ある程度変形可能であるので、計量キャップCの雌ねじ部25の螺合時の回転による当接に対して、覆いねじ凸部14表面が変形して抵抗なくスムーズに回転できる。
従来のように、容器本体Aの口筒部1の雄ねじ部6に計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25を螺合させる場合、PET素材同士の螺合では、互いが変形せず、抵抗となりスムーズに回転できず、螺合の支障となるが、本実施例では、被覆部材Bの覆いねじ凸部14表面が変形するので雌ねじ部25との抵抗がなくスムーズに螺合することができる。
【0018】
容器本体Aは、計量キャップCとの螺合が終わり、閉蓋されると、図1に示すように、被覆部材Bの覆いねじ凸部14の外周に計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25が螺合されるとともに、容器本体Aの口筒部1の内周に計量キャップCの内周筒壁24が挿入される。
被覆部材Bは、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材よりも柔らかく、ある程度変形可能であるので、覆いねじ凸部14と計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25との螺合が、被覆部材Bの表面の変形により、より強く密着させることができる。
【0019】
内容液を使用するため計量キャップCを螺脱方向に回転して、開蓋する際にも、被覆部材Bの表面の変形により、計量キャップCとの抵抗がなくスムーズに螺合を外すことができる。
計量キャップCが取り外された容器本体Aを、注出筒5の先端を下方にして傾ければ、内容液が傾斜底壁2の注出口2aから流出し、注出筒5に案内されて、計量キャップCの計量注出筒21内に注出し、計量部20とともに内容液を計量することができる。
【0020】
計量キャップC内で計量された内容液は、計量キャップCを傾けて計量注出筒21に案内されて、所定個所に注出され、その後、計量キャップCを再度螺着されて容器を密封することができる。
この際、計量キャップC内に残った液は、計量注出筒21を伝い、容器本体Aの傾斜底壁2の上面に落ち、スリット4から注出口2a内に流れ、胴部3内に回収される。
【0021】
注出容器内の内容液がなくなり、詰め替え用容器から内容液を充填する際には、開蓋した容器本体Aの口筒部1内に内容液を注入し、傾斜底壁2で案内され、スリット4から注出口2a内に流れ、胴部3内に収納されるので、容易に内容液の詰め替えをすることができる。
【0022】
注出容器を廃棄する時には、計量キャップCを外し、図2に示す状態から、被覆部材Bの指掛け片15を指で摘み、外側に引っ張ると、切り欠け部13aの指掛け片15側にある弱化部17の端部から破断していき、弱化部17の破断が進むことで被覆部材Bが破断され、容器本体Aの口筒部1を覆う係合が弱くなり、被覆部材Bを毟り取ることができ、素材による分別廃棄ができる。
【実施例0023】
次に、被覆部材Bを変更した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0024】
本実施例では、図3において、Aは口筒部1を有する容器本体、Baは容器本体Aの口筒部1の外周に装着される被覆部材、Caは被覆部材Baを介在して容器本体Aの口筒部1に螺合されるキャップとしての計量キャップである。
【0025】
図3に示すように、被覆部材Baの上壁部10は、内縁から、口筒部1の内周上部に挿入される内周壁部30が垂設され、外周に、上外周壁部11が設けられている。
【0026】
計量キャップCaの環状壁22には、外周側に、外周筒壁23と、内周側に垂設され、閉蓋時に、外周が被覆部材Baの内周壁部30の内周上端に挿入される内周筒壁31とを備えている。
【0027】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
容器本体Aの口筒部1に被覆部材Baを被せて装着した後、図3(b)に示すように、計量キャップCaを閉蓋した際に、被覆部材Baの覆いねじ凸部14の外周に計量キャップCaの外周筒壁23の雌ねじ部25が螺合されるとともに、被覆部材Baの内周壁部30の内周に計量キャップCaの内周筒壁31が挿入される。
閉蓋時に、容器本体Aの口筒部1内周と計量キャップCaの内周筒壁31との間で、被覆部材Baの内周壁部30を挟み込むので、内周壁部30が変形して、内周壁部30と内周筒壁31との密着が強くなり、第1実施例よりもシール性がよい。
また、計量キャップCaの開閉の際に、内周壁部30の表面が変形するので、抵抗がなくスムーズに螺合することができる。
その他の作用効果は、第1実施例と同じである。
【実施例0028】
次に、被覆部材Bの構成を変更した第3実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0029】
本実施例では、図4において、Aaは口筒部1を有する容器本体、Dは容器本体Aaの口筒部1の外周に装着される被覆部材、Cは被覆部材Dを介在して容器本体Aaの口筒部1に螺合されるキャップとしての計量キャップである。
被覆部材Dは、PEやPPなどの素材で成形された熱収縮変形可能なシュリンクフィルムある。
【0030】
図4に示すように、容器本体Aaは、口筒部1と、傾斜底壁2と、傾斜底壁2の下方に連設され、内方に内容液を収納する有底の胴部3と、傾斜底壁2の上面にスリット4を切り欠いて上方に延びる注出筒5とからなり、口筒部1の外周には、上部に雄ねじ部6が螺設され、下部にネックリング35が周設されている。
【0031】
図4(b)に示すように、被覆部材Dは、高さが容器本体Aaの口筒部1の外周より上下に少しはみ出す高さで、口筒部1を覆う径の筒状のフィルムで形成され、横方向に間隔を開けて2本のミシン目等で破断可能な弱化線36が、軸線方向に上から下まで形成され、弱化線36の間は、切り取り部37となり、被覆部材Dを容器本体Aaの口筒部1にセットし、外部から加熱すると、被覆部材Dが熱収縮によって、口筒部1の外周面をシュリンクするようになっており、弱化線36および切り取り部37は、分別機構を構成している。
被覆部材Dは、シュリンク後に、容器本体Aaの口筒部1の外周の形状により、口筒部1の上端面を覆うリング状の上壁部40と、雄ねじ部6を覆うとともに、その部分が外にねじを形成して膨出する覆いねじ凸部41と、ネックリング35を覆うとともに、その部分が外に膨出する覆いネックリング凸部42が形成される。なお、被覆部材Dは、シュリンク後、容器本体Aaの口筒部1の内周と計量キャップCの内周筒壁24によるシール部の邪魔にならないように、口筒部1の上端面まで覆う構成にすることが望ましい。
【0032】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
被覆部材Dを容器本体Aaの口筒部1に被せた後、過熱して、図4(b)に示すように、シュリンクする。
その際、容器本体Aaの口筒部1の雄ねじ部6外周とネックリング35外周に、被覆部材Dの覆いねじ凸部41内周と覆いネックリング凸部42内周が密着し、容器本体Aaの口筒部1に被覆部材Dが固定される。
【0033】
本実施例では、計量キャップCの開閉の際に、被覆部材Dの覆いねじ凸部41の外周に計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25が螺合するので、被覆部材Dの表面が変形し、抵抗がなくスムーズに開閉をすることができる。
【0034】
容器を廃棄する時には、図4(b)に示す状態から、被覆部材Dの切り取り部37を上壁部40端部から下に引っ張ることで、弱化線36を破断させていき、両方、または、片方の弱化線36を切断した時点で、切り取り部37を切り取った被覆部材Dの間を押し広げ、または、残った切り取り部37をさらに引っ張って被覆部材Dの間を広げることで、被覆部材Dを容器本体Aaの口筒部1から簡単に毟り取ることができ、素材による分別廃棄ができる。
その他の作用効果は、第1実施例と同じである。
【実施例0035】
次に、第3実施例の被覆部材Dの構成を変更した第4実施例について説明する。
以下、第3実施例と同一部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0036】
本実施例では、図5において、Aaは口筒部1を有する容器本体、Daは容器本体Aaの口筒部1および胴部3の外周に装着される被覆部材、Cは被覆部材Daを介在して容器本体Aaの口筒部1に螺合されるキャップとしての計量キャップである。
【0037】
図5(b)に示すように、被覆部材Daは、高さが容器本体Aaの口筒部1の外周上端から少なくとも胴部3の外周まで、上に少しはみ出す高さで、容器本体Aaの外周を覆う径の筒状のフィルムで形成され、横方向に間隔を開けて2本のミシン目等で破断可能な弱化線45が、軸線方向に上から下まで形成され、弱化線45の間は、切り取り部46となり、被覆部材Daを容器本体Aaにセットし、外部から加熱すると、被覆部材Daが熱収縮によって、容器本体Aaの側周面をシュリンクするようになっており、弱化線45および切り取り部46は、分別機構を構成している。
被覆部材Daは、シュリンク後に、上部に、容器本体Aaの口筒部1の外周の形状により、口筒部1の上端面を覆うリング状の上壁部40と、雄ねじ部6を覆うとともに、その部分が外にねじを形成して膨出する覆いねじ凸部41と、ネックリング35を覆うとともに、その部分が外に膨出する覆いネックリング凸部42が形成され、それより下に、胴部3の側周面の形状に合わせて、覆い側周部47が形成される。
【0038】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
被覆部材Daを容器本体Aaの外周面に被せた後、加熱して、図5(b)に示すように、シュリンクする。
その際、容器本体Aaの口筒部1の雄ねじ部6外周とネックリング35外周に、被覆部材Daの覆いねじ凸部41内周と覆いネックリング凸部42内周が嵌合し、また、容器本体Aaの胴部3の側周に、被覆部材Daの覆い側周部47内周が嵌合し、容器本体Aaに被覆部材Daが固定される。
【0039】
本実施例では、計量キャップCの開閉の際に、被覆部材Daの覆いねじ凸部41の外周に計量キャップCの外周筒壁23の雌ねじ部25が螺合するので、被覆部材Daの表面が変形し、抵抗がなくスムーズに開閉することができる。
【0040】
容器を廃棄する時には、図5(b)に示す状態から、被覆部材Daの切り取り部46を上壁部40端部から下に引っ張ることで、弱化線45を破断させていき、両方、または、片方の弱化線45を切断した時点で、切り取り部46を切り取った被覆部材Daの間を押し広げ、または、残った切り取り部46をさらに引っ張って被覆部材Daの間を広げることで、被覆部材Da全体を容器本体Aaから簡単に毟り取ることができ、素材による分別廃棄ができる。
その他の作用効果は、第1実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の注出容器は、容器本体とキャップとを、PET素材で成形し、PEやPPなどの素材で成形された被覆部材を介在させることで、容器本体とキャップとの滑りがよくなるので、PET素材の容器本体とキャップが干渉し合って開閉を阻害することがなく、開閉をスムーズに行うことができ、密封性がよくなる。
また、廃棄時に、容器本体から被覆部材を簡単に取り除き、分別廃棄できるので、液体洗剤や漂白剤などの容器としてはもちろんのこと、その他液状の薬品や調味料などの容器にも好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
A、Aa 容器本体
B、Ba、D、Da 被覆部材
C、Ca 計量キャップ(キャップ)
1 口筒部
2 傾斜底壁
2a 注出口
3 胴部
4 スリット
5 注出筒
6 雄ねじ部(ねじ部)
7、35 ネックリング
7a 間欠部
8 回転止め突部
10、40 上壁部
11 上外周壁部
12 段壁部
13 下外周壁部
13a 切り欠け部
14、41 覆いねじ凸部
15 指掛け片
16 回転止め部
17 弱化部
20 計量部
21 計量注出筒
22 環状壁
23 外周筒壁
24、31 内周筒壁
25 雌ねじ部
30 内周壁部
36、45 弱化線
37、46 切り取り部
42 覆いネックリング凸部
47 覆い側周部
図1
図2
図3
図4
図5