(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125989
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】車両制御装置及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230831BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030395
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 晋司
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181KK07
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】通信状況に応じた車両の遠隔制御を実現すること。
【解決手段】車両に搭載される車両制御装置であって、前記車両の周囲に存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部と、前記障害物情報取得部で取得した障害物が、所定距離以内に存在しているか否かを判定する障害物判定部と、前記車両の外部と通信を行う通信部と、前記通信部による通信状況を判定する通信状況判定部と、前記通信状況判定部で判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、前記遅延が前記一定値未満である状況に比して前記障害物判定部が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う変更指示部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両制御装置であって、
前記車両の周囲に存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部と、
前記障害物情報取得部で取得した障害物が、所定距離以内に存在しているか否かを判定する障害物判定部と、
前記車両の外部と通信を行う通信部と、
前記通信部による通信状況を判定する通信状況判定部と、
前記通信状況判定部で判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、前記遅延が前記一定値未満である状況に比して前記障害物判定部が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う変更指示部と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記通信状況判定部は、通信方式が近距離無線通信であるか、移動体通信であるか、を判定し、
前記変更指示部は、前記通信方式が移動体通信であると判定した場合に、前記一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、前記障害物判定部が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記通信状況判定部は、通信の電界強度を判定し、
前記変更指示部は、前記電界強度が所定の電界強度閾値以下である場合に、前記一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、前記障害物判定部が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記障害物判定部による判定結果に基づいて前記車両の走行を制御する自動走行制御部をさらに備え、
前記通信部は、前記車両の走行状態を示す情報を外部の端末に送信し、前記端末から前記車両の走行を制御する指示を受信可能であり、
前記自動走行制御部は、前記変更指示部からの指示を受けて車速を制御し、前記端末から前記車両の走行を制御する指示を受けた場合には前記端末からの指示を優先する
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置であって、
前記自動走行制御部は、駐車区画に前記車両を駐車する制御を行い、前記端末から停止の指示を受け付けた場合には前記車両が停止する制御を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の車両制御装置であって、
前記自動走行制御部は、前記端末から駐車区画の情報を受け付けた場合に、前記受け付けた駐車区画に駐車する制御を開始することを特徴とする車両制御装置。
【請求項7】
車両に搭載される車両制御装置が、
前記車両の外部と通信を行う通信ステップと、
前記通信ステップによる通信状況を判定する通信状況判定ステップと、
前記通信状況判定ステップで判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、前記遅延が前記一定値未満である状況に比して障害物検知距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う変更指示ステップと、
前記車両の周囲に存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得ステップと、
前記障害物情報取得ステップで取得した障害物が、前記障害物検知距離以内に存在しているか否かを判定する障害物判定ステップと、
を含むことを特徴とする車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行を遠隔で制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、「車両操縦要求を携帯機器に送信し、車両操縦要求の送信に応答して、携帯機器から複数の応答を受信し、複数の物体センサ、複数の応答、および、移動軌跡に基づいて車両を操縦するように構成された遠隔駐車支援システム」との記載がある。また、特許文献2には、「車両と携帯機との間での双方向通信に基づき、車載装置を作動させる場合に、車両の通信機が携帯機から受信するRF信号の電波強度に基づき、適切に車載装置の作動を制限或いは禁止することが可能な車両制御システム」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-511751号公報
【特許文献2】特開2018-71175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によれば、車両が外部との通信により指示を受信して動作を制御することができる。しかしながら、従来の技術では、通信による遅延が一定でないことについて考慮されていない。
【0005】
例えば、車両が自車両の状態や周辺の状態を示す情報をユーザが携帯する端末に送信し、ユーザが端末を操作して車両の状態を確認し、必要に応じて走行に対する指示を送信するケースを想定する。このようなケースで送受信の遅延が大きくなると、時間的な余裕がなくなり、車両の制御が間に合わなくなる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、通信状況に応じた車両の遠隔制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の車両制御装置の一つは、車両に搭載される車両制御装置であって、前記車両の周囲に存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部と、前記障害物情報取得部で取得した障害物が、所定距離以内に存在しているか否かを判定する障害物判定部と、前記車両の外部と通信を行う通信部と、前記通信部による通信状況を判定する通信状況判定部と、前記通信状況判定部で判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、前記遅延が前記一定値未満である状況に比して前記障害物判定部が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う変更指示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信状況に応じた車両の遠隔制御を実現することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施例1の自動駐車の処理手順を示すフローチャート。
【
図6】自動運転処理の処理手順を示すフローチャート(その1)。
【
図7】自動運転処理の処理手順を示すフローチャート(その2)。
【
図9】実施例2の自動駐車の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1に係る車両の制御の説明図である。
図1に示す車両10は、車両制御装置20を搭載している。車両制御装置20は、電子制御装置(ECU)であり、駐車に関する車両の走行制御を自動で実行する自動駐車機能を有する。また、車両制御装置20は、車両10のユーザが携行する端末40と通信可能である。
【0012】
ユーザが、車両10を運転し、駐車場の出入り口で降車し、自動駐車機能を実行すると、車両10は、駐車区画まで自動で走行し、駐車区画内に駐車する走行制御を行う。このように自動で走行制御を行っている間、車両制御装置20は、端末40に対して車両走行状態に関する情報を送信する。車両走行状態に関する情報には、車両10自体の状態に関する情報(車速など)と、車両10周辺の状態に関する情報(レーダ検知結果やカメラ画像など)が含まれる。
【0013】
ユーザは、端末40を用いて車両走行状態を確認することができる。そして、必要に応じて車両10の走行を制御する操作を行うことができる。例えば、ユーザが周辺の画像を確認することで、緊急停止が必要であると判断したならば、端末40に緊急停止操作を行う。端末40は、緊急停止操作を受け付けて、緊急停止を要求する指示を車両制御装置20に送信する。緊急停止を要求する指示を受信した車両制御装置20は、端末40からの指示を自動の走行制御よりも優先し、車両10が停止する。
【0014】
このように、車両制御装置20は、車両走行状態を端末40に送信し、端末40から走行介入操作を受信する。ここで、車両制御装置20と端末40との通信における遅延は、一定とは限らない。異なる通信方式を状況に応じて切り替えて使用すれば、通信方式によって遅延量は異なる。また、同一の通信方式であっても、電界強度によって遅延量が変化する。そして、送受信の遅延が大きくなると、ユーザの判断や操作に時間的な余裕がなくなる。このため、例えば、遅延が大きくなった場合に、ユーザからの緊急停止の操作が間に合わない、といった事態が生じ得る。
【0015】
そこで、車両制御装置20は、端末40との通信状況を判定し、一定値以上の遅延が発生する状況である場合には、遅延が一定値未満である状況に比して、障害物検知距離を大きくし、車両10の車速を遅くする制御の指示を行う。
【0016】
図1では、車両制御装置20は、端末40と近距離無線通信を行っている場合には、障害物検知距離をD1とし、車両10の速度をV2としている。一方、車両制御装置20は、端末40と移動体通信を行っている場合には、障害物検知距離をD2とし、車両10の速度をV1としている。
【0017】
ここで、D1<D2であり、V1<V2である。また、障害物検知距離とは、車両10の周囲に存在し、走行の障害となる物体の検知を行う範囲を示す。
移動体通信は、基地局を介して行う移動通信システムによる通信であり、例えば第4世代(4G)、第5世代(5G)などで区別される。近距離無線通信は、車両制御装置20と端末40との直接の通信であり、例えば無線LANやBluetooth(登録商標)、UWB(Ultrawideband)等によって実現される。
【0018】
したがって、
図1では、車両制御装置20は、端末40と直接に近距離無線通信を行っていれば、遅延が一定値未満の状況であるとして、障害物の検知を近距離に限定して行い、より高速で車両10を走行させている。一方、車両制御装置20は、端末40と基地局を介した移動体通信を行っていれば、遅延が一定値以上の状況であるとして、より遠くの障害物を検知し、より低速で車両10が走行する。このため、遅延が一定値以上の状況の場合には、ユーザは、緊急停止の要否などの判断を余裕をもって行うことができ、緊急停止の指示を間に合わせることができる。
【0019】
図2は、車両制御装置20の構成を示す構成図である。車両制御装置20は、車両10に搭載され、1又は複数のカメラ11、1又は複数のレーダ12、駆動制御ユニット13などと接続される。カメラ11は、車両10の周囲を撮像する。レーダ12は、車両10の周囲に存在する物体を検知する。レーダ12は、電波式であってもよいし、音波式のソナーであってもよい。また、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging
Detection and Ranging)であってもよい。駆動制御ユニット13は、車両の加減速制御や操舵制御などを行うユニット群である。
【0020】
車両制御装置20は、ユーザの端末40と通信が可能である。また、車両制御装置20は、基地局50を介してユーザの端末40と通信が可能である。端末40は、さらに、基地局50を介してサーバ60と通信可能である。サーバ60は、駐車場における駐車区画の配置などを示す駐車場データと、各駐車区画の空き状況を示す空き状況データを管理している。
【0021】
車両制御装置20は、その内部に、通信部21、障害物情報取得部22、通信状況判定部23、変更指示部24、障害物判定部25及び自動走行制御部26を有する。
【0022】
通信部21は、車両の外部と通信を行う処理部である。通信部21には、近距離無線通信部と、移動体通信部が含まれる。具体的には、通信部21は、通信方式ごとに異なる複数の通信ユニットの集合である。通信部21は、車両10の走行状態を示す情報を外部の端末40に送信し、端末40から車両10の走行を制御する指示を受信可能である。
【0023】
障害物情報取得部22は、車両の周囲に存在する障害物の情報を取得する。具体的には、障害物情報取得部22は、カメラ11の画像や、レーダ12の出力から障害物を識別する。
【0024】
障害物判定部25は、障害物情報取得部22で取得した障害物が、所定距離以内に存在しているか否かを判定する。この所定距離が、障害物検知距離である。障害物検知距離は、変更指示部24からの指示に基づいて決定するため、通信状況に応じた距離の障害物を検知することになる。
通信状況判定部23は、通信部21による通信状況を判定する。具体的には、通信状況判定部23は、通信方式が近距離無線通信であるか、移動体通信であるか、を判定する。また、通信状況判定部23は、通信の電界強度を判定することも可能である。
【0025】
変更指示部24は、通信状況判定部23で判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、遅延が一定値未満である状況に比して障害物検知距離を大きくする制御、及び/又は車両10の車速を遅くする制御の指示を行う。
例えば、変更指示部24は、通信方式が移動体通信であると判定した場合に、一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、障害物検知距離を大きくする制御や車両10の車速を遅くする制御の指示を行う。
また、変更指示部24は、電界強度が所定の電界強度閾値以下である場合に、一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、障害物検知距離を大きくする制御や車両10の車速を遅くする制御の指示を行う。
【0026】
自動走行制御部26は、障害物判定部25による判定結果や、駆動制御ユニット13から取得した自車両の状態等を用いて車両10の走行を制御する。また、自動走行制御部26は、変更指示部24からの指示を受けて車速を制御する。この結果、自動走行制御部26は、通信状況に応じた車速で車両10の走行を制御することになる。
【0027】
さらに、自動走行制御部26は、端末40から車両10の走行を制御する指示を受けた場合には端末40からの指示を優先する。例えば、自動走行制御部26は、駐車区画に車両を駐車する制御を行っている途中で、端末40から停止の指示を受け付けた場合には、車両10が停止する制御を行う。また、自動走行制御部26は、車両10の走行を制御している状態で、端末40から駐車区画の情報を受け付けた場合に、受け付けた駐車区画に駐車する制御を開始することもできる。
【0028】
図3は、カメラとレーダの配置についての説明図である。
図3では、カメラ11は、車両10の車体の前側、後側、左右のサイドミラーに設置されている。レーダ12は、車両10の車体の前側、右前側、左前側、後側、右後側、左後側に設置されている。このように車両10に適宜複数のカメラ11とレーダ12を設置することで、車両10の周囲の画像を撮像し、障害物の検知を行うことができる。
【0029】
図4は、自動駐車の説明図である。
図4では、ユーザは駐車場の出入口で車両10を降り、自動運転による駐車を指示している。駐車場には複数の駐車区画があり、その全ては移動体通信が可能な範囲A2に入っている。また、複数の駐車区画の一部は、近距離無線通信が可能な範囲A1にも入っている。
【0030】
このような駐車場で車両10の走行を制御する場合には、車両10が範囲A1の内側であるときは近距離無線通信を用い、車両10が範囲A1の外側であるときは移動体通信を使うことになり、無線通信方式の切り替えに伴って、車両10の障害物検知距離と速度が変更されることになる。
【0031】
図4には、端末40の表示例を示している。端末40は、車両10の自動運転中には、俯瞰画像、前方画像、駐車場模式図、入庫ボタン、出庫ボタン、緊急停止ボタン、状態情報、障害物報知結果を表示する。俯瞰画像は、複数のカメラ11の撮像結果を合成して生成する。前方画像は、車両10の前方を撮像するカメラ11の出力を用いる。駐車場模式図は、サーバ60から取得した駐車場データと空き状況データから生成する。また、駐車場模式図には、端末40の位置、車両10の位置、走行予定経路、目標とする駐車区画などを重畳表示する。
【0032】
入庫ボタンは、自動運転による駐車を指示する場合に用いる。出庫ボタンは、駐車した車両10が自動で出入口まで走行する指示を行う場合に用いる。緊急停止ボタンは、車両10の緊急停止を指示する操作を受け付ける。状態情報としては、車両10の車速など任意の情報を表示することができる。障害物検知結果は、障害物検知距離内に物体を検知した場合に表示出力する。
【0033】
図5は、実施例1の自動駐車の処理手順を示すフローチャートである。まず、端末40が駐車場を管理するサーバ60に対して問い合わせを行う(ステップS101)。サーバ60は、端末40に対して駐車場データと空き状況データを応答する(ステップS201)。
【0034】
端末40は、駐車場データ及び空き状況データを表示出力し、ユーザから駐車区画の選択操作を受け付ける(ステップS102)。端末40は、選択された駐車区画の予約をサーバ60に要求し、サーバ60は空き状況を更新する(ステップS202)。その後、端末40は、駐車場データと選択された駐車区画を車両制御装置20に送信する(ステップS104)。
【0035】
車両制御装置20は、端末40から駐車場データと選択された駐車区画を受信すると、自動運転の行先としての駐車区画を決定するとともに、走行経路を決定する(ステップS301)。そして、決定した行先と走行経路に従って、自動運転処理を実行し(ステップS302)、処理を終了する。
【0036】
図6及び
図7は、自動運転処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、自動運転処理では、ステップS401からステップS425の処理が実行される。各ステップの処理は次のとおりである。
【0037】
ステップS401 通信状況判定部23は、通信部21から近距離無線通信と移動体通信の通信状態を取得する。例えば、通信状況判定部23は、各通信方式の信号強度や、ノイズ量を取得する。その後、ステップS402に進む。
ステップS402 通信状況判定部23は、ステップS401で取得した情報をもとに、予め設定している通信状態の基準に基づき、近距離無線通信が利用可能かを判定する。近距離無線通信が利用できないと判断した場合は(ステップS402;No)、移動体通信の利用を試みるため、ステップS403に進む。利用可能である場合は(ステップS402;Yes)、ステップS406に進む。
なお、このフローでは、近距離無線通信が最も低遅延である前提の例を示す。仮に特定の無線方式の遅延量が少ない場合は、順序を入れ替えてもよい。
【0038】
ステップS403 通信状況判定部23は、ステップS401で取得した情報を用いて、予め設定している通信状態の基準に基づき、移動体通信が使用可能かを判定する。ここでは、移動体通信の中でも、低遅延の方式が使用可能か優先的に確認を実施する。通常、通信システムは、5G、4G等、複数の通信方式が利用可能である。ステップS403では、5Gの通信が利用可能かを判定する。5Gの通信が可能であれば(ステップS403;Yes)、ステップS406に進む。5Gの通信が不可能であれば(ステップS403;No)、ステップS404に進む。
【0039】
ステップS404 通信状況判定部23は、ステップS401で取得した情報を用いて、予め設定している通信状態の基準に基づき、4Gの通信が利用可能かを判定する。4Gの通信が可能であれば(ステップS404;Yes)、ステップS406に進む。4Gの通信が不可能であれば(ステップS404;No)、ステップS405に進む。
【0040】
ステップS405 全ての無線方式が使えない状態のため、変更指示部24は、障害物検知距離に対応する物体検知の閾値を最大に設定し、さらに自動駐車中の車両速度設定も最低速度に設定する。その後、ステップS410に進む。
【0041】
ステップS406 通信部21は、使用する無線方式を決定する。その後、ステップS407に進む。
ステップS407 変更指示部24は、ステップS406で決定した通信方式に基づき、障害物検知距離に対応する物体検知の閾値を設定する。物体検知の閾値は、警戒閾値、停止閾値のように段階を設ける。閾値の設定後、ステップS408に進む。
【0042】
ステップS408 ステップS406で決定した通信方式に基づき、車両速度を設定する。車両速度に関しても、通常速度、低遅延時、高遅延時、警戒閾値時、停止閾値時のように複数の段階を設ける。車両速度の設定後、ステップS409に進む。
【0043】
ステップS409 通信部21が端末40からの要求を受信したか否かを判定する。要求を受信していれば(ステップS409;Yes)、ステップS415に進む。要求を受信していなければ(ステップS409;No)、ステップS410に進む。
【0044】
ステップS410 障害物情報取得部22は、カメラ11やレーダ12の出力から、車両10の周辺に所在し、車両の走行の障害となる物体を検出する。物体が存在するならば(ステップS410;Yes)、ステップS420に進む。物体を検出したならば(ステップS410;No)、ステップS411に進む。
【0045】
ステップS411 自動走行制御部26は、自動駐車が完了したか否かを確認する。自動駐車が完了していない場合(ステップS411;No)、ステップS401に戻る。駐車完了している場合(ステップS411;Yes)、ステップS412に進む。
【0046】
ステップS412 自動走行制御部26は、予めユーザが指定した駐車区画に駐車が完了したため、車両が停止する制御を行う。その後、ステップS413に進む。
ステップS413 通信部21は、駐車完了した旨を示す駐車完了情報を端末40に送信する。その後、ステップS414に進む。
ステップS414 自動走行制御部26は、自動駐車動作が全て完了したため、車両制御装置20のシステム動作を停止する制御を行う。
【0047】
ステップS415 自動走行制御部26は、端末40から送られてきた車両に対応する要求を処理する。端末40からの要求には、例えば、緊急停止要求や、車両周辺の映像取得要求、位置情報取得、等がある。その後、ステップS416に進む。
【0048】
ステップS416 自動走行制御部26は、車両の停止が必要であるか否かを判定する。車両の停止が必要でなければ(ステップS416;No)、ステップS410に進む。車両の停止が必要であれば(ステップS416;Yes)、ステップS417に進む。
【0049】
ステップS417 自動走行制御部26は、車両が停止する制御を行う。その後、ステップS418に進む。
ステップS418 通信部21は、端末40に対して、車両が停止した旨を示す停止情報を送信する。停止情報には、静止画等の周辺情報や、位置情報を含めてもよい。その後、自動走行制御部26は、ステップS419に進む。
【0050】
ステップS419 自動走行制御部26は、自動駐車の再開の要求を受信したか否かを判定する。受信していなければ(ステップS419;No)、ステップS417に戻る。受信したならば(ステップS419;Yes)、ステップS401に戻る。
【0051】
ステップS420 障害物判定部25は、ステップS410で検知した物体との距離が、警戒閾値以下であるかの判定を行う。警戒閾値以下でなければ(ステップS416;No)、警戒距離よりも遠方に物体があるため、ステップS410に戻る。警戒閾値以下であれば(ステップS416;Yes)、ステップS421に進む。
ステップS421 変更指示部24は、警戒閾値に対応する車両速度になるよう車両10が減速する設定を行う。その後、ステップS422に進む。
【0052】
ステップS422 障害物判定部25は、ステップS410で検知した物体との距離が、停止閾値以下であるかの判定を行う。停止閾値以下でなければ(ステップS422;No)、停止距離よりも遠方に物体があるため、ステップS410に戻る。停止閾値以下であれば(ステップS422;Yes)、ステップS423に進む。
【0053】
ステップS423 自動走行制御部26は、車両が停止する制御を行う。その後、ステップS424に進む。
ステップS424 通信部21は、端末40に対して、車両が停止した旨を示す停止情報を送信する。停止情報には、静止画等の周辺情報や、位置情報を含めてもよい。その後、自動走行制御部26は、ステップS425に進む。
【0054】
ステップS425 障害物判定部25は、停止閾値内の物体が無くなり、警戒閾値以上の距離となったかを確認し、再度、自動駐車が再開できるかの確認を行う。再開可能でなければ(ステップS425;No)、ステップS423に戻る。再開可能となったならば(ステップS425;Yes)、ステップS401に戻る。
【0055】
このように、
図6及び
図7の処理手順は、通信ステップ(ステップS401)、通信状況判定ステップ(ステップS402~S404)、変更指示ステップ(ステップS406~S408)、障害物情報取得ステップ(ステップS410)、障害物判定ステップ(ステップS420,S422)を含んでいる。
実施例1では、サーバ60によって管理された駐車場データ及び空き状況データを参照し、駐車区画を予め指定して自動駐車制御をおこなうケースにおいて、緊急停止操作を受け付ける場合について説明した。実施例2では、駐車場データや空き状況データを参照することなく、自動運転制御中に駐車区画を指定する場合を説明する。
巡回走行では、車両制御装置20は、画像認識による白線の検知を行って駐車区画の配置を識別し、走行を制御する。また、車両制御装置20は、巡回走行中にカメラ11の撮像結果である車両周辺画像を端末40に随時送信する。ユーザは、カメラ11の撮像結果を確認し、端末40に対して駐車区画を選択する操作を行う。端末40は、駐車区画を選択する操作を受け付けると(ステップS502)、選択された駐車区画を車両制御装置20に送信する(ステップS503)。
車両制御装置20は、端末40から選択された駐車区画を受信すると、自動運転の行先としての駐車区画を決定する(ステップS602)。そして、決定した行先に従って、自動運転処理を実行し(ステップS603)、処理を終了する。
上述してきたように、開示の車両制御装置20は、車両10に搭載される車両制御装置であって、前記車両10の周囲に存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部22と、前記障害物情報取得部22で取得した障害物が、所定距離以内に存在しているか否かを判定する障害物判定部25と、前記車両10の外部と通信を行う通信部21と、前記通信部21による通信状況を判定する通信状況判定部23と、前記通信状況判定部23で判定した通信状況が一定値以上の遅延が発生する状況である場合に、前記遅延が前記一定値未満である状況に比して前記障害物判定部23が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う変更指示部24と、を備える。
かかる構成及び動作により、通信状況に応じた車両の遠隔制御を実現することができる。
また、前記通信状況判定部23は、通信方式が近距離無線通信であるか、移動体通信であるか、を判定し、前記変更指示部24は、前記通信方式が移動体通信であると判定した場合に、前記一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、前記障害物判定部23が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う。
このため、通信方式による遅延の違いに応じた車両の遠隔制御を実現することができる。
また、前記通信状況判定部23は、通信の電界強度を判定し、前記変更指示部24は、前記電界強度が所定の電界強度閾値以下である場合に、前記一定値以上の遅延が発生する状況であるとして、前記障害物判定部23が用いる前記所定距離を大きくする制御、及び/又は前記車両の車速を遅くする制御の指示を行う。
かかる動作によれば、電界強度の強弱で生じる遅延の違いに応じた車両の遠隔制御を実現することができる。
また、前記障害物判定部25による判定結果に基づいて前記車両の走行を制御する自動走行制御部26をさらに備え、前記通信部21は、前記車両の走行状態を示す情報を外部の端末40に送信し、前記端末40から前記車両の走行を制御する指示を受信可能であり、前記自動走行制御部26は、前記変更指示部24からの指示を受けて車速を制御し、前記端末40から前記車両10の走行を制御する指示を受けた場合には前記端末40からの指示を優先する。
このため、車両10の自動走行に対する外部からの介入に余裕を持たせることができる。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
例えば、上記の実施例では、自動の走行制御に対し、遠隔での介入を行う場合を例示した。しかし、本発明は、自動の走行制御に限定されず、車両の走行中に外部と通信し、走行に対する介入を受ける場合に広く適用できるものである。一例として、運転者の訓練や評価を目的として車両及び周辺に関する情報を外部に送信し、運転者への指示や車両制御への介入を行う場合にも適用可能である。具体例としては、運転免許取得のための無線講習、高齢者の運転技術の評価、運転者の希望による運転サポート等が挙げられる。