(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012599
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】部品装着装置および部品装着方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116106
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】荒木 知子
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353EE03
5E353EE53
5E353EE54
5E353EE62
5E353GG12
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL06
5E353QQ03
(57)【要約】
【課題】装着エラーが検知された場合に、部品装着装置の稼働率を低下させることなく基板の修復作業を行うことができる部品装着装置および部品装着方法を提供する。
【解決手段】部品装着方法は、搬送手段が基板を搬送し、装着手段が搬送手段に保持された基板に部品を装着し(ST11)、エラー検知手段が基板に対する部品装着作業中に発生するエラーを検知すると(ST12においてYes)、エラーが基板の後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定し(ST15)、エラーが後続の基板に対する部品装着作業に影響がないと判定された場合は(ST15において「無し」)、搬送手段は基板を搬出した後に後続の基板を搬入し、装着手段は後続の基板に対する部品装着作業を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に保持された基板に部品を装着する装着手段と、
前記基板に対する部品装着作業中に発生するエラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラーが前記基板の後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定するエラー判定部と、を備え、
前記エラーが前記後続の基板に対する装着作業に影響がないと判定された場合は、前記搬送手段は前記基板を搬出した後に前記後続の基板を搬入し、前記装着手段は前記後続の基板に対する部品装着作業を実行する、部品装着装置。
【請求項2】
前記エラー判定部は、前記エラーの種類に応じて前記エラーが前記後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否かを判定する、請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記エラー判定部は、前記エラーの頻度に応じて前記エラーが前記後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否かを判定する、請求項1または2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記搬送手段が基板を搬出する旨を他の装置に送信する搬出送信手段を、さらに備え、
前記搬出送信手段は、前記エラーが検知された基板を搬出する際は、当該基板は不良である旨を併せて送信する、請求項1から3のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記搬送手段に保持された基板の上面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記基板における部品の装着状態を含む部品装着情報を取得する装着確認部と、をさらに備え、
前記エラー検知手段により前記エラーが検知されると、前記撮像手段は前記搬送手段に保持されている前記基板を撮像し、前記装着確認部は前記部品装着情報を取得する、請求項1から4のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、前記搬送手段による前記後続の基板の搬入に影響がない範囲で前記基板を撮像する、請求項5に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記部品装着情報を記憶する記憶部、又は、前記部品装着情報を通知する通知手段と、をさらに備える、請求項5または6に記載の部品装着装置。
【請求項8】
前記エラーが検知された基板が搬出後に再投入された場合に、前記装着手段は、当該基板の前記部品装着情報に基づいて、未装着の部品を当該基板に装着する、請求項5から7のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項9】
当該基板の前記部品装着情報に装着状態が不良、未装着、または未確認の箇所がある場合は、前記撮像手段が前記箇所を撮像し、前記装着手段が前記箇所に部品を装着する、請求項8に記載の部品装着装置。
【請求項10】
搬送手段が基板を搬送し、
装着手段が前記搬送手段に保持された基板に部品を装着し、
エラー検知手段が前記基板に対する部品装着作業中に発生するエラーを検知し、
前記エラー検知手段がエラーを検知すると、前記エラーが前記基板の後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定し、
前記エラーが前記後続の基板に対する部品装着作業に影響がないと判定された場合は、前記搬送手段は前記基板を搬出した後に前記後続の基板を搬入し、前記装着手段は前記後続の基板に対する部品装着作業を実行する、部品装着方法。
【請求項11】
前記エラー検知手段が前記エラーを検知すると、撮像手段が前記搬送手段に保持されている前記基板を撮像し、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記基板における部品の装着状態を含む部品装着情報が取得される、請求項10に記載の部品装着方法。
【請求項12】
前記エラーが検知された基板が搬出後に再投入された場合に、前記装着手段は、当該部品の前記部品装着情報に基づいて、未装着の部品を当該基板に装着する、請求項11に記載の部品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を装着する部品装着装置および部品装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着する部品装着装置は、部品を保持するノズルに真空吸引力を供給する真空吸引系の不具合、部品供給部から部品を吸着する際のノズルと部品の位置ずれ、部品自身の形状不良などにより、部品を基板に装着できない装着エラーが発生することがある。装着エラーには、ノズルが部品を吸着できない吸着エラー、部品を吸着したノズルが移動中に部品を落としてしまう落下エラー、基板に部品を装着できずにノズルが持ち帰ってしまう持ち帰りエラーなどがある。
【0003】
ところで、ノズルが保持する部品を撮像する部品認識カメラの撮像結果や各種のセンサによる計測結果から装着エラーを検知すると、部品の装着作業を中断して部品装着のリカバリーが行われる部品装着装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、部品の装着作業中に装着エラーを検知すると、基板上の部品装着位置の近傍を基板認識カメラで撮像し、作業者によるリカバリー作業を支援するティチング画面をモニタ装置に表示するエラーリカバリー方法が開示されている。作業者は、モニタ装置に表示された部品装着位置の近傍の撮像画像などを見ながら部品装着のリカバリー作業を実行して、リカバリー作業の後に部品の装着作業を再開させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、装着エラーが検知された場合に作業者が基板上を目視チェックすることなく、モニタ装置を見ながら状況に応じたリカバリー作業を容易に実行することができるものの、リカバリー作業中は後続の基板に対する部品の装着作業が中断され、基板の滞留が発生し、部品の装着作業の効率が低下するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、装着エラーが検知された場合に、部品装着装置の稼働率を低下させることなく基板の修復作業を行うことができる部品装着装置および部品装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品装着装置は、基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段に保持された基板に部品を装着する装着手段と、前記基板に対する部品装着作業中に発生するエラーを検知するエラー検知手段と、前記エラーが前記基板の後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定するエラー判定部と、を備え、前記エラーが前記後続の基板に対する装着作業に影響がないと判定された場合は、前記搬送手段は前記基板を搬出した後に前記後続の基板を搬入し、前記装着手段は前記後続の基板に対する部品装着作業を実行する。
【0008】
本発明の部品装着方法は、搬送手段が基板を搬送し、装着手段が前記搬送手段に保持された基板に部品を装着し、エラー検知手段が前記基板に対する部品装着作業中に発生するエラーを検知し、前記エラー検知手段がエラーを検知すると、前記エラーが前記基板の後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定し、前記エラーが前記後続の基板に対する部品装着作業に影響がないと判定された場合は、前記搬送手段は前記基板を搬出した後に前記後続の基板を搬入し、前記装着手段は前記後続の基板に対する部品装着作業を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装着エラーが検知された場合に、部品装着装置の稼働率を低下させることなく基板の修復作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品装着システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品装着装置の要部の構成を示す平面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品装着装置の要部の構成を示す側面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品装着装置において使用されるエラー判定データの例の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品装着装置において使用される部品装着情報の例の説明図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品装着方法のフロー図
【
図8】本発明の一実施の形態の装着処理方法のフロー図
【
図9】本発明の一実施の形態の再投入装着処理方法のフロー図
【
図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品装着の工程説明図
【
図11】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品装着の工程説明図
【
図12】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品装着の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品装着システム、管理コンピュータ、部品装着装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(
図1における上下方向)が示される。
図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(
図3における上下方向)が示される。
【0012】
まず
図1を参照して、部品装着システム1の構成を説明する。部品装着システム1は、基板に部品を装着して実装基板を製造する機能を有する。部品装着システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、第1コンベアM1、3台の部品装着装置M2~M4、第2コンベアM5が直列に連結されている。各装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。また、各装置は通信ネットワーク2を介して相互にデータを送受信する。なお、部品装着システム1が備える部品装着装置M2~M4は3台に限定されることはなく、1台、2台、または4台以上でも良い。
【0013】
第1コンベアM1、部品装着装置M2~M4、第2コンベアM5は、それぞれ基板搬送機構4~6を備えている。基板搬送機構4~6は直列に連結されており、上流の装置から下流の装置に基板Bを搬送する。第1コンベアM1は、上流に連結される基板Bに形成された電極Eに半田ペーストを印刷する印刷装置などの生産設備から基板Bを受け取り(矢印a)、部品装着装置M2に搬出する。また、第1コンベアM1は、基板Bに付されたバーコードや2次元コードなどの基板ラベルCを読み取って基板Bを特定する基板番号(基板ID)を読み取る内蔵リーダ(図示省略)を備えている。第1コンベアM1は、基板Bの基板ラベルCから基板番号を読み取って、下流の部品装着装置M2と管理コンピュータ3に送信する。
【0014】
図1において、部品装着装置M2は、第1コンベアM1から搬送された基板Bの装着位置に装着ヘッドが部品供給部から部品Dを取り出して装着する部品装着作業を行う。部品装着装置M3と部品装着装置M4は、それぞれ上流の装置から搬出された基板Bの装着位置に部品Dを装着する部品装着作業を行う。部品装着装置M2~M4は、基板Bを下流の装置に搬出する際に、基板Bの基板番号を下流の装置と管理コンピュータ3に送信する。
【0015】
第2コンベアM5は、部品装着装置M4から搬送された部品装着後の基板Bを受け取り、下流に連結される基板Bを加熱して半田ペーストを融解させるリフロー装置などに搬出する(矢印b)。管理コンピュータ3は、ライン管理機能と併せて、部品装着装置M2~M4によって取得された実績情報、部品装着情報などを受信して記憶する機能を有している。
【0016】
図1において、第1コンベアM1と第2コンベアM5は、上流から受け取った基板Bを一時保管(仮置き)して下流に搬出する機能に加えて、作業者が基板搬送機構4,6から基板Bを出し入れ可能な機能を有している。部品が装着されない欠落、装着位置がずれる位置ずれ、部品の立ち・浮きなどの部品Dの装着状態の不良が検出された基板B1は、作業者によって第2コンベアM5から取り出される(矢印c)。作業者は、装着状態が不良の部品Dを取り除いたり、部品Dの装着状態を修正したりするリペア作業を実施した後(矢印d)、第1コンベアM1からリペア後の基板B1を再投入する(矢印e)。再投入された基板B1の未装着の装着位置には、部品装着装置M2~M4によって部品Dが装着される。
【0017】
次に
図2、
図3を参照して、部品装着装置M2~M4の構成を説明する。基台10の中央には、基板搬送機構5がX軸に沿って設置されている。基板搬送機構5は、上流の装置から搬送された基板Bを搬入し、以下に説明する装着ヘッドによる装着作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品装着作業が完了した基板Bを下流の装置に搬出する。
【0018】
基板搬送機構5の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部11がそれぞれ設置されている。部品供給部11には、複数のテープフィーダ12がX軸に沿って並列に配置されている。テープフィーダ12は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部11の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、装着ヘッドが部品をピックアップする部品供給位置12aに部品Dを供給する。
【0019】
図2、
図3において、基台10の上面におけるX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル13が配置されている。2基のY軸テーブル13の間には、同様にリニア機構を備えたビーム14がY軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム14には、プレート14aを介して装着ヘッド15がX軸に沿って移動自在に装着されている。装着ヘッド15は、複数の部品装着部20を備えている。部品装着部20のそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持するノズル21が装着されている。各部品装着部20は、ノズル21をZ軸に沿って昇降させる昇降モータ20aと、ノズル21の内部を通過するエアの流量を計測する流量センサ20bを備えている。
【0020】
Y軸テーブル13およびビーム14は、装着ヘッド15を水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構16を構成する。ヘッド移動機構16および装着ヘッド15は、部品供給部11に装着されているテープフィーダ12の部品供給位置12aから部品Dをピックアップし、基板搬送機構5に保持された基板Bの装着位置に装着する部品装着作業を実行する。部品装着作業において装着ヘッド15は、部品供給部11の上方に移動し、各ノズル21で所定の部品Dをそれぞれピックアップし、基板Bの上方に移動し、各ノズル21が保持する部品Dをそれぞれの装着位置に装着する一連の装着ターンを繰り返す。
【0021】
図2、
図3において、装着ヘッド15が取り付けられたプレート14aには、ヘッドカメラ17が装着されている。装着ヘッド15が移動することにより、ヘッドカメラ17は基板搬送機構5の装着作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)、基板Bの装着位置を撮像する。また、ヘッドカメラ17は基板Bに設けられた基板ラベルCを撮像する。また、ヘッドカメラ17は、テープフィーダ12の部品供給位置12aの上方に移動して、部品供給位置12aに供給される部品Dを撮像する。
【0022】
部品供給部11と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ18が設置されている。部品認識カメラ18は、部品供給部11から部品Dを取り出した装着ヘッド15が部品認識カメラ18の上方に位置した際に、ノズル21に保持された部品Dを下方から撮像する。装着ヘッド15による部品Dの基板Bへの部品装着作業では、ヘッドカメラ17による基板Bの認識結果と部品認識カメラ18による部品の認識結果とを加味して装着位置の補正が行われる。
【0023】
図2において、部品装着装置M2~M4の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル19が設置されている。タッチパネル19は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品装着装置M2~M4の操作を行う。
図3において、部品供給部11には上部に予め複数のテープフィーダ12が装着された台車22がセットされる。台車22には、部品Dを保持した部品テープ23を巻回状態で収納するリール24が保持されている。リール24から引き出された部品テープ23は、テープフィーダ12によって部品供給位置12aまでピッチ送りされる。
【0024】
次に
図4を参照して、部品装着装置M2~M4の制御系の構成を、装着エラーを検知し、基板Bの修復作業を実行する機能を中心に説明する。部品装着装置M2~M4は同様の構成をしており、ここでは部品装着装置M3を例に説明する。部品装着装置M3は、部品装着装置M2と部品装着装置M4の間に配置されている。部品装着装置M3は、制御装置30、基板搬送機構5、テープフィーダ12、装着ヘッド15、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18、タッチパネル19、通信部25を備えている。装着ヘッド15は、複数の部品装着部20を備えている。
【0025】
制御装置30は、記憶部31、搬送処理部32、装着処理部33、検知処理部34、エラー判定部35、装着確認部36、通知処理部37を備えている。記憶部31は記憶装置であり、装着データ38、エラー判定データ39、エラー実績データ40、部品装着情報41などが記憶されている。装着データ38には、基板Bに実装される部品Dの部品の種類、基板Bにおける装着位置の座標、装着角度などの各種情報が、実装基板の基板種ごとに記憶されている。
【0026】
図4において、搬送処理部32は、上流の装置(部品装着装置M2)から送信される基板搬出通知に基づいて基板搬送機構5を制御して、上流の装置から搬出された基板Bを搬入して装着作業位置に保持させる。また、搬送処理部32は、下流の装置(部品装着装置M4)から送信される基板搬出許可通知に基づいて基板搬送機構5を制御して、基板Bを下流の装置に搬出させる。このように、搬送処理部32と基板搬送機構5は、基板Bを搬送する搬送手段42を構成する。
【0027】
装着処理部33は、装着データ38に基づいて、テープフィーダ12、装着ヘッド15、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18を制御して、テープフィーダ12の部品供給位置12aからノズル21で部品Dをピックアップし、基板Bの装着位置に装着する部品装着作業を実行させる。また、装着処理部33は、上流の装置(部品装着装置M2)から当該基板は不良である旨の通知(以下、「不良基板通知」と称する。)、当該基板は再投入された基板である旨の通知(以下、「再投入基板通知」と称する。)が送信された場合は、通知の内容に応じて後述する作業を実行させる。このように、装着処理部33、装着ヘッド15、ヘッド移動機構16は、搬送手段42(基板搬送機構5)に保持された基板Bに部品Dを装着する装着手段43を構成する。
【0028】
図4において、検知処理部34は、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18、部品装着部20の流量センサ20bを制御して、部品装着作業中に発生する各種のエラーを検知する。具体的には、検知処理部34は、ヘッドカメラ17がテープフィーダ12の部品供給位置12aを撮像した撮像結果を画像処理して、部品供給位置12aに部品Dが正常に供給されない部品供給エラーを検知する。また、検知処理部34は、部品認識カメラ18が部品Dをピックアップしたノズル21を撮像した撮像結果を画像処理して、ノズル21が部品Dを異常な状態で保持している、または、部品Dを保持していない部品吸着エラーを検知する。
【0029】
また、検知処理部34は、部品Dをピックアップして基板Bの装着位置に移動中のノズル21から流量センサ20bが所定値以上の外気の流入を計測すると、ノズル21から部品Dが落下した部品落下エラーが発生したと判定する。また、検知処理部34は、保持していた部品Dを基板Bの装着位置に移載した後に、ノズル21から流入する外気が所定値以下であることを流量センサ20bが計測すると、ノズル21が部品Dを基板Bに移載できずに持ち帰った部品持ち帰りエラーが発生したと判定する。また、検知処理部34は、部品Dを保持する前のノズル21から流入する外気が所定値以下であることを流量センサ20bが計測すると、ノズル21がゴミなどによって詰まったノズル詰まりエラーが発生したと判定する。
【0030】
なお、検知処理部34は、部品吸着エラー、部品落下エラーを検知すると、続けてノズル21の詰まりの有無も検知するようにしてもよい。このように、検知処理部34、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18、流量センサ20bは、基板Bに対する部品装着作業中に発生するエラーを検知するエラー検知手段44である。検知処理部34は、装着エラーを検知すると、エラーの内容(エラー識別番号)、エラーの発生日時、エラーが検知されたテープフィーダ12、ノズル21を特定する情報を関連付けて、エラー実績データ40として記憶部31に記憶させる。
【0031】
図4において、エラー判定部35は、エラー検知手段44がエラーを検知すると、エラー判定データ39に基づいて、エラーの種類、エラーの頻度に応じて、検知されたエラーが検知された基板Bの後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否か判定する。影響が有ると判定されると、エラー判定部35はタッチパネル19、管理コンピュータ3の表示部、または作業者が携帯する情報端末に「エラーが検知されて部品装着作業が停止した」旨を報知させ、装着手段43はエラーが検知された基板Bへの部品装着作業を停止する。影響が無いと判定された場合は、搬送手段42はエラーが検知された基板Bを搬出した後に後続の基板を搬入し、装着手段43は後続の基板に対する部品装着作業を実行する。
【0032】
ここで
図5を参照して、エラー判定データ39の例について説明する。エラー判定データ39は、エラー識別番号50、エラー内容51、検知手段使用情報52、後続基板への影響有無53、判定頻度54を含んでいる。エラー識別番号50は、エラーの内容を特定する番号であり、エラー実績データ40などにエラーの情報を記憶する際の識別情報となる。検知手段使用情報52は、エラーを検知するセンサなどの関係を示す情報であり、ここでは、流量センサ使用情報52a、ヘッドカメラ使用情報52b、部品認識カメラ使用情報52cを含んでいる。検知手段使用情報52において、「〇」は検知に使用するセンサ、「-」は使用しないセンサを示している。例えば、部品供給エラーは、ヘッドカメラ17により検知されることを示している。
【0033】
後続基板への影響有無53は、エラーが後続の基板に対する部品装着作業に影響があるか否かを示している。この例では、部品供給エラー、部品吸着エラー、部品落下エラー、部品持ち帰りエラーは後続の基板に影響無し、ノズル詰まりエラーは影響有りとなっている。すなわち、エラーの種類に応じた判定の場合、ノズル詰まりエラーが検知されると、エラー判定部35は後続の基板に影響が有ると判定する。なお、エラー検知手段44が部品吸着エラーまたは部品落下エラーを検知し、続けてノズル詰まりエラーを検知した場合も、エラー判定部35は影響が有ると判定する。
【0034】
図5において、判定頻度54は、エラーの頻度に応じた判定の場合の判定値が規定されている。この例では、判定値として連続回数が規定されている。例えば、部品吸着エラーの判定頻度54は2回であり、同じノズル21で2回連続して部品吸着エラーが検知されると、エラー判定部35は、後続の基板に対する影響が有ると判定する。なお、判定頻度54は連続回数に限定されることはなく、所定回数(例えば、100回)中のエラー回数であってもよい。
【0035】
図4において、エラー検知手段44によってエラーが検知されると、検知処理部34は、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17を制御して、エラーが検知された基板Bの装着位置を順番に撮像させる。すなわち、検知処理部34、ヘッド移動機構16、ヘッドカメラ17は、搬送手段42(基板搬送機構5)に保持された基板Bの上面を撮像する撮像手段45である。装着確認部36は、撮像手段45によって撮像された画像に基づいて、基板Bにおける部品Dの装着状態を含む部品装着情報41を取得する。このように、エラー検知手段44によりエラーが検知されると、撮像手段45は搬送手段42に保持されている基板Bを撮像し、装着確認部36は部品装着情報41を取得する。取得された部品装着情報41は、記憶部31に記憶される。
【0036】
ここで
図6を参照して、部品装着情報41の例について説明する。部品装着情報41は、基板番号60、部品装着位置61、部品装着座標62、装着状態63が含まれている。基板番号60は、エラーが検知され基板Bを特定する情報であり、基板Bに付された基板ラベルCに記録されている。この例では、基板番号60は「B1」である。以下、エラーが検知された基板を「不良基板B1」と称する。
【0037】
部品装着位置61は、部品Dの装着位置を特定する番号であり、部品装着座標62は、装着位置のXY座標と装着角度である。装着状態63は、装着確認部36によって撮像手段45(ヘッドカメラ17)の撮像画像から取得された部品Dの装着状態である。「〇」は装着状態が良好であることを、「×」は位置ずれや浮きなどの不良であることを、「-」は部品Dが装着位置にない(未装着である)ことを、空欄は未確認(確認前)であることを示している。
【0038】
この例では、部品装着位置P06への部品装着作業中にエラーが検知され、部品装着位置P06に装着状態が不良の部品D06が確認されている(
図10(b)参照)。なお、エラーが検知される前に装着された部品装着位置P01~P05の部品Dの装着状態は良好である。また、未装着の部品装着位置P07,P08には部品Dが無い(落下部品などが発見されていない)。撮像手段45は、搬送手段42による後続の基板の搬入に影響がない範囲で、不良基板B1を撮像する。この例では、撮像手段45による不良基板B1の撮像は部品装着位置P08までで終了しており、部品装着位置P09,P10の装着状態は未確認である。
【0039】
図4において、通信部25は通信装置であり、通信ネットワーク2を介して他の装置、管理コンピュータ3と各種情報の送受信を行う。通知処理部37は、通信部25を通じて部品装着情報41を他の装置(部品装着装置M2,M4)と管理コンピュータ3に送信する。すなわち、通知処理部37と通信部25は、部品装着情報41を通知する通知手段46である。
【0040】
また、通知処理部37は、通信部25を通じて、基板搬出通知を下流の他の装置(部品装着装置M4)と管理コンピュータ3に送信する。すなわち、通知処理部37と通信部25は、搬送手段42が基板Bを搬出する旨を他の装置に送信する搬出送信手段47である。搬出送信手段47は、基板搬出通知を送信する際に、搬出する基板Bの基板番号60も併せて送信する。また、搬出送信手段47は、エラーが検知された基板を搬出する際は、不良基板通知(当該基板は不良である旨)、再投入基板通知(当該基板は再投入された基板である旨)を併せて送信する。
【0041】
次に
図7~
図9のフローに沿って、
図1、
図10~
図12を参照しながら部品装着システム1における部品装着方法について説明する。
図7において、まず、搬送手段42は、上流の装置から基板搬出通知が送信され、基板Bを搬入可能な状態となると、基板Bを搬入して装着作業位置に保持させる(ST1:基板搬入工程)。次いで装着処理部33は、装着作業位置に保持されている基板Bが不良基板であるか否かを判定する(ST2:不良基板判定工程)。
【0042】
装着処理部33は、上流の装置から基板搬出通知と併せて不良基板通知が送信された場合は不良基板と判定し、不良基板通知が送信されない場合は不良でない基板Bと判定する。装着作業位置に保持されている基板Bが不良基板でない場合(ST2においてNo)、装着手段43は通常の部品装着作業を実行する(ST3:装着処理工程)。
【0043】
図8において、装着処理工程(ST3)(装着処理方法)では、まず、装着手段43は、装着データ38に基づいて、搬送手段42(基板搬送機構5)に保持された基板Bの装着位置に順に部品Dを装着させる(ST11:部品装着工程)。エラー検知手段44は、部品装着作業中に発生する基板Bに対するエラーを検知する(ST12:エラー検知工程)。
【0044】
エラーが検知されない場合(ST12においてNo)、全ての部品Dの装着が終了するまで(ST13においてNo)、部品装着工程(ST11)、エラー検知工程(ST12)が繰り返し実行される。全ての部品の装着が終了すると(ST13においてYes)、搬出送信手段47は、下流の装置と管理コンピュータ3に、基板搬出通知と基板番号60を送信する(ST14:基板搬出通知工程)。
【0045】
図8において、エラー検知手段44がエラーを検知すると(ST12においてYes)、エラー判定部35は、エラー判定データ39とエラー実績データ40に基づいて、エラーが不良基板B1の後続の基板B2に対する部品装着作業に影響があるか否か判定する(ST15:エラー判定工程)。
図10(a)では、部品装着装置M3が基板B1の部品装着位置P06への部品D06の部品装着作業中に部品落下エラーが発生している。そこで、エラー判定部35は、エラーが部品装着装置M2にある後続の基板B2への影響の有無を判定する。
【0046】
エラーが後続の基板B2に影響が有ると判定されると(ST15において「有り」)、エラー判定部35は、タッチパネル19、管理コンピュータ3の表示部、または作業者が携帯する情報端末に、部品装着装置M3の部品装着作業が停止した旨を通知させる(ST16:エラー停止通知工程)。次いで作業者によるエラー回復作業が行われるまで、エラー停止処理(ST17)が実行される。エラー停止処理(ST17)では、撮像手段45が搬送手段42に保持されている不良基板B1を撮像し、装着確認部36が部品装着情報41を取得する。
【0047】
図10(b)において、部品装着装置M3のヘッドカメラ17(撮像手段45)が、不良基板B1の部品装着位置P06を撮像している。部品装着位置P06に装着する予定であった部品D06は位置ずれしており、装着確認部36は装着状態が不良と判定して部品装着情報41の装着状態63に「×」を記録させる(
図6参照)。ヘッドカメラ17による不良基板B1の撮像は、作業者が部品装着装置M3のエラー回復作業を開始するまで実行される。
【0048】
図8において、作業者による部品落下エラーを起こしたノズル21の清掃、交換などのエラー回復作業が終了すると、部品装着装置M3における部品装着作業が再開される(ST18:装着再開工程)。部品装着作業が再開されると、未装着の部品Dに対する部品装着工程(ST11)が実行される。エラー判定工程(ST15)において、エラーが後続の基板B2に影響が無いと判定されると(ST15において「無し」)、上流の装置から基板搬出通知が送信されるまで(ST19において「無し」)、撮像手段45と装着確認部36による部品装着情報41の取得が実行される(ST20:装着状態取得工程)。
【0049】
上流の装置から基板搬出通知が送信されると(ST19において「有り」)、搬出送信手段47は、下流の装置と管理コンピュータ3に、基板搬出通知と基板番号60の他、不良基板通知も送信する(ST21:不良基板搬出通知工程)。このように、エラー検知手段44がエラーを検知すると(ST12においてYes)、撮像手段45が搬送手段42に保持されている基板B1を撮像し(ST17,ST20)、撮像手段45によって撮像された画像に基づいて、基板B1における部品Dの装着状態を含む部品装着情報41が取得される(ST17,ST20)。
【0050】
図7において、装着処理工程(ST3)が終了し、下流の装置から基板搬出許可通知が送信されると、搬送手段42は下流の装置に基板B1を搬出する(ST4:基板搬出工程)。
【0051】
図10(c)において、部品装着装置M3が基板B1の部品装着位置P06への部品D06の部品装着作業中に発生したエラーは、エラー判定部35によって、部品装着装置M2にある後続の基板B2への影響は無いと判定されている(ST15において「無し」)。そこで、部品装着装置M2における基板B2への部品装着作業が終了すると(ST19において「有り」)、基板B1が部品装着装置M3から部品装着装置M4に搬出される(矢印f)。この際、部品装着装置M4には、基板搬出通知、基板番号60、不良基板通知が送信される(ST21)。
【0052】
また、部品装着装置M2における基板B2への部品装着作業ではエラーが検知されることなく終了し(ST13においてYes)、基板B2が部品装着装置M2から部品装着装置M3に搬出される(矢印g)。この際、部品装着装置M3には、基板搬出通知と基板番号60が通知される(ST14)。部品装着装置M3に基板B2が搬入されると(ST1)、基板B2は不良基板通知が通知されていないため不良基板ではないと判断され(ST2においてNo)、装着処理工程(ST3)が実行される(
図11(a)~
図11(c))。
【0053】
すなわち、エラーが後続の基板B2に対する部品装着作業に影響がないと判定された場合は(ST15において「無し」)、搬送手段42は基板B1を搬出した後に後続の基板B2を搬入し(ST1)(
図11(a))、装着手段43は後続の基板B2に対する部品装着作業を実行する(ST3)(
図11(b)、
図11(c))。このように、本実施の形態の部品装着方法は、装着エラーが検知された場合に、後続の基板B2に対する部品装着作業への影響の有無を判断し、影響が無い場合は部品装着装置M3を停止させることなく後続の基板B2に対する部品装着作業を実行することで、部品装着装置M3の稼働率を低下させることがない。
【0054】
図7において、不良基板判定工程(ST2)において、装着作業位置に保持されている基板Bが不良基板と判定された場合(Yes)、装着処理部33は装着作業位置に保持されている基板Bが再投入基板であるか否かを判定する(ST5:再投入基板判定工程)。
【0055】
再投入基板判定工程(ST5)において装着処理部33は、上流の装置から、基板搬出通知と併せて再投入基板通知が送信された場合は再投入基板と判定し、再投入基板通知が送信されていない場合は再投入基板ではないと判定する。なお、装着処理部33は、基板番号60に対応する部品装着情報41が記憶部31に記憶されている場合に、再投入基板と判定するようにしてもよい。すなわち、撮像手段45と装着確認部36により、過去にその基板Bに対する部品装着情報41が取得されているため、再投入基板と判定される。
【0056】
図7において、装着作業位置に保持されている基板Bが再投入基板ではない場合(ST5においてNo)、未装着確認処理が実行される(ST6:未装着確認処理工程)。未装着確認処理工程(ST6)では、撮像手段45により部品Dを装着する予定となっている装着位置に落下部品やゴミなどがないことの確認が実行される。未装着確認処理工程(ST6)が終了すると、搬出送信手段47は、下流の装置と管理コンピュータ3に、基板搬出通知と併せて基板番号60と不良基板通知を送信し(ST7:不良基板搬出通知工程)、基板搬出工程(ST4)が実行される。なお、下流の装置が基板Bを受け入れ可能な状態となって基板搬出許可通知が送信されると、未装着確認処理工程(ST6)は途中で中止される。これによって、下流の装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【0057】
図11(a)において、部品装着装置M4の装着作業位置には、部品装着装置M3から搬送された不良基板B1が保持されている。部品装着装置M3から再投入基板通知が送信されていないため、再投入基板判定工程(ST5)において再投入基板ではないと判定され(No)、未装着確認処理工程(ST6)が実行される。すなわち、
図11(b)に示すように、部品装着装置M4のヘッドカメラ17(撮像手段45)により部品装着装置M4が部品Dを装着する予定となっている装着位置が撮像されて、落下部品等の有無が確認される。
【0058】
図11(c)において、未装着確認処理工程(ST6)が終了すると、不良基板B1は、下流の第2コンベアM5に搬出される(矢印h)。
図1において、第2コンベアM5に搬入された不良基板B1は、作業者によって第2コンベアM5から取り出され(矢印c)、リペア作業が実行される。この例では、不良基板B1から装着状態が不良であった部品D06が取り除かれている。作業者は、リペア後の不良基板B1を第1コンベアM1に再投入する(矢印e)。第1コンベアM1は、内蔵リーダで不良基板B1の基板ラベルCから基板番号60を読み取り、下流の部品装着装置M2に、基板搬出通知、基板番号60、不良基板通知、再投入基板通知を併せて送信する。
【0059】
図12(a)において、第1コンベアM1に再投入された不良基板B1は、その後、部品装着装置M2に搬入される(ST1)。不良基板判定工程(ST2)では、不良基板通知が送信されているため、基板B1は不良基板と判定される(Yes)。また、再投入基板判定工程(ST5)では、再投入基板通知が送信されているため、不良基板B1は再投入基板と判定する(Yes)。
【0060】
図7において、装着作業位置に保持されている基板B1が再投入基板である場合(ST5においてYes)、再投入装着処理が実行される(ST8:再投入装着処理工程)。
【0061】
図9において、再投入装着処理工程(ST8)(再投入装着処理方法)では、装着手段43は、装着データ38、部品装着情報41に基づいて、その部品装着装置M2~M4が部品Dを装着するように指定されている装着位置に対して順番に再投入装着処理を実行する。まず、装着手段43は、装着位置に部品Dが装着済みか否かを判断する(ST31:装着済み判断工程)。具体的には、装着手段43は、記憶部31に部品装着情報41が記憶されていない場合は、部品Dが装着済みと判断する。また、装着手段43は、部品装着情報41の装着状態63に「〇」が記録されている場合は、その装着位置には部品Dが装着済みであると判断する。
【0062】
その装着位置に部品Dが装着済みと判断された場合(ST31においてYes)、撮像手段45がその装着位置を撮像して、部品Dが正常に装着されていることが確認される(ST32:装着済み処理工程)。その装着位置に部品Dが装着済みではない判断された場合(ST31においてNo)、撮像手段45がその装着位置を撮像して部品Dやゴミが無いことを確認した後、装着手段43がその装着位置に部品Dを装着する(ST34:未装着処理工程)。装着済み処理工程(ST32)または未装着処理工程(ST34)の後、全ての装着位置で再投入装着処理が終了していない場合(ST33においてNo)、装着済み判断工程(ST31)に戻って、装着済み処理工程(ST32)または未装着処理工程(ST34)が実行される。
【0063】
図7において、全ての装着位置で再投入装着処理が終了すると(ST33においてYes)、搬出送信手段47は、下流の装置と管理コンピュータ3に、基板搬出通知、基板番号60、不良基板通知、再投入基板通知を送信し(ST9:再投入基板搬出通知工程)、基板搬出工程(ST4)が実行される。
【0064】
図12(a)において、部品装着装置M2の装着作業位置に保持されている不良基板B1に対して、再投入装着処理工程(ST8)が実行される。部品装着装置M2の記憶部31には部品装着情報41が記憶されていないため、撮像手段45が装着データ38に基づいて、装着位置を順番に撮像して、部品Dが正常に装着されていることを確認する(ST32)。全ての装着位置の確認が終了すると、搬出送信手段47が、下流の部品装着装置M3に、基板搬出通知、基板番号60、不良基板通知、再投入基板通知を送信し(ST9)、不良基板B1が部品装着装置M3に搬出される(矢印j)。
【0065】
図12(b)において、部品装着装置M3の装着作業位置に保持されている不良基板B1に対して、再投入装着処理工程(ST8)が実行される。部品装着装置M3の記憶部31には部品装着情報41が記憶されており、撮像手段45は部品装着情報41に基づいて、装着位置に対して順番に再投入装着処理を実行する。具体的には、部品装着情報41(
図6)において、装着状態63が「〇」の部品装着位置P01~P05は、撮像手段45が装着位置を順番に撮像して、部品Dが正常に装着されていることを確認する(ST32)。
【0066】
なお、装着済み処理工程(ST32)は、未装着処理(ST34)の後に実行するようにしてもよい。さらに、装着済み処理工程(ST32)は、下流の装置が基板の搬入が可能な状態となって基板搬出許可通知が送信された場合は、途中で中止するようにしてもよい。すなわち、未装着の部品Dを装着した後に、時間に余裕がある場合に装着済み処理工程(ST32)が実行されるようにしてもよい。これによって、下流の装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【0067】
装着状態63が「×」の部品装着位置P06は、撮像手段45の撮像結果から部品D06が正常に装着されていることが確認されると、作業者によりリペアが完了していると判断して次工程に進む。撮像手段45の撮像結果から部品装着位置P06に部品やゴミが無いことが確認されると、装着手段43が部品D06を部品装着位置P06に装着する(ST34)。装着状態63が「-」または空白の部品装着位置P07~P10は、撮像手段45の撮像結果から部品装着位置P06に部品やゴミが無いことが確認されると、装着手段43が部品Dを装着位置に装着する(ST34)。
【0068】
図12(c)において、再投入装着処理工程(ST8)が終了すると、搬出送信手段47が、下流の部品装着装置M4に、基板搬出通知、基板番号60、不良基板通知、再投入基板通知を送信し(ST9)、不良基板B1が部品装着装置M4に搬出される(矢印k)。部品装着装置M4では、不良基板B1に対して再投入装着処理工程(ST8)が実行される。
【0069】
このように、エラーが検知された基板B1が搬出後に再投入された場合に(ST1、ST2においてYes、ST5においてYes)、装着手段43は、当該基板B1の部品装着情報41に基づいて、未装着の部品Dを当該基板B1に装着する(ST8、ST31においてNo、ST34)。また、当該基板B1の部品装着情報41に装着状態63が不良、未装着、または未確認の部品の箇所(部品装着位置P06~P10)がある場合は、撮像手段45がその箇所を撮像し、装着手段43がその箇所に部品Dを装着する(ST34)。このように、装着エラーが検知されて再投入された場合は、取得済みの部品装着情報41に基づいて必要な修復作業のみを行うことで、部品装着装置M2~M4の稼働率の低下を抑制することができる。
【0070】
上記説明したように、本実施の形態の部品装着装置M2~M3は、基板B1を搬送する搬送手段42と、搬送手段42に保持された基板B1に部品Dを装着する装着手段43と、基板Bに対する部品装着作業中に発生するエラーを検知するエラー検知手段44と、エラーが基板B1の後続の基板B2に対する部品装着作業に影響があるか否か判定するエラー判定部35と、を備え、エラーが後続の基板B2に対する装着作業に影響がないと判定された場合は、搬送手段42は基板B1を搬出した後に後続の基板B2を搬入し、装着手段43は後続の基板B2に対する部品装着作業を実行する。これによって、装着エラーが検知された場合に、部品装着装置M2~M4の稼働率を低下させることなく基板B1の修復作業を行うことができる。
【0071】
なお、上記は部品装着装置M2~M4がエラー判定部35と装着確認部36を備える構成で説明したが、管理コンピュータ3がエラー判定部35と装着確認部36を備える構成であってもよい。すなわち、部品装着システム1が、搬送手段42、装着手段43、エラー検知手段44、エラー判定部35を備える構成でもよい。この場合、管理コンピュータ3のエラー判定部35が部品装着装置M2~M4から送信されるエラーに基づいて後続の基板B2に対する影響を判断し、管理コンピュータ3の装着確認部36が部品装着装置M2~M4から送信される部品の装着状態63から部品装着情報41を作成し、管理コンピュータ3が部品装着装置M2~M4に基板Bの搬送、部品Dの装着を指令する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の部品装着装置および部品装着方法は、装着エラーが検知された場合に、部品装着装置の稼働率を低下させることなく基板の修復作業を行うことができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0073】
5 基板搬送機構(搬送手段)
15 装着ヘッド(装着手段)
16 ヘッド移動機構(装着手段、エラー検知手段、撮像手段)
17 ヘッドカメラ(エラー検知手段、撮像手段)
18 部品認識カメラ(エラー検知手段)
20b 流量センサ(エラー検知手段)
42 搬送手段
43 装着手段
44 エラー検知手段
45 撮像手段
46 通知手段
47 搬出送信手段
B、B2 基板
B1 不良基板(基板)
D、D06 部品