(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125992
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/56 20060101AFI20230831BHJP
B65D 1/40 20060101ALI20230831BHJP
A45D 34/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65D25/56
B65D1/40 100
A45D34/00 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030398
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】公家 義範
(72)【発明者】
【氏名】内田 恵亮
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA13
3E033DA03
3E033DD01
3E033DE04
3E033GA02
3E062AA09
3E062AB01
3E062AB20
3E062AC02
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB09
3E062MA07
(57)【要約】
【課題】外容器の窓を通して、傷の無いきれいな内容器を視認できる、二重容器を提供する。
【解決手段】二重容器1Aは、内容物Cを収容可能な内容器2と、内容器2を収容可能な外容器3と、を有している。外容器3には、内容器2を視認可能な窓部34が設けられている。内容器2には、当該内容器2が外容器3に収容されている状態において、窓部34に相当する領域に凹部25が形成されており、凹部25の領域は、窓部34に相当する領域を含んでおり、かつ、当該窓部34に相当する領域の大きさと同一またはそれよりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容可能な内容器と、前記内容器を収容可能な外容器と、を有しており、
前記外容器には、前記内容器を視認可能な窓部が設けられており、
前記内容器には、当該内容器が前記外容器に収容されている状態において、前記窓部に相当する領域に凹部が形成されており、前記凹部の領域は、前記窓部に相当する領域を含んでおり、かつ、当該窓部に相当する領域の大きさと同一または当該窓部に相当する領域の大きさよりも大きい、二重容器。
【請求項2】
前記凹部は、透明な凹部である、請求項1に記載された二重容器。
【請求項3】
前記凹部の表面は、平滑な表面である、請求項1または2に記載された二重容器。
【請求項4】
前記内容器と前記外容器との間に配置された環状シール部材をさらに有しており、
前記内容器は、口部を有しており、
前記外容器は、口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部とを有しており、
前記環状シール部材は、前記内容器の前記口部の上端と、前記外容器の前記肩部の内面との間に配置されており、
前記内容器と前記外容器とは、それぞれ、前記環状シール部材が前記内容器の前記口部の上端と前記外容器の前記肩部の内面との間で圧縮されるように、前記内容器と前記外容器とを係止するアンダーカット嵌合部を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載された二重容器。二重容器。
【請求項5】
前記環状シール部材は、前記内容器の前記口部を嵌合させる嵌合溝を有している、請求項4に記載された二重容器。
【請求項6】
前記外容器の前記口部の内面を密封する中栓をさらに有している、請求項4または5に記載された二重容器。
【請求項7】
前記外容器の前記口部に着脱可能なキャップと、前記キャップに取り付けられているとともに前記中栓を抜き差し可能に貫通する塗布具と、をさらに有している、請求項6に記載された二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器には、容器本体に対して着脱可能なキャップに、塗布具を設けた化粧用容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧用容器には、加飾性(デザイン性)が要求される場合がある。加飾性を向上させる方法としては、胴部に窓部を設けることが挙げられる。しかしながら、上記従来の容器は、容器本体が単体の容器であるため、当該容器本体に窓部を設けることが困難である。
【0005】
これに対し、二重容器を用いれば、外容器に形成された窓から内容器の外面を視認することができ、加飾性の向上に役立つことがある。
【0006】
しかしながら、二重容器は、外容器の内部に内容器を収容するため、内容器の収容時に、当該内容器の表面を外容器の内周面等によって傷付けることがある。内容器の表面に形成された傷は、外容器の窓部から視認されるため、こうした傷の発生は回避することが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、外容器の窓部を通して、傷の無いきれいな内容器を視認することができる、二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、二重容器は、内容物を収容可能な内容器と、前記内容器を収容可能な外容器と、を有しており、前記外容器には、前記内容器を視認可能な窓部が設けられており、前記内容器には、当該内容器が前記外容器に収容されている状態において、前記窓部に相当する領域に凹部が形成されており、前記凹部の領域は、前記窓部に相当する領域を含んでおり、かつ、当該窓部に相当する領域の大きさと同一または当該窓部に相当する領域の大きさよりも大きい。
【0009】
本発明に係る、二重容器において、前記凹部は、透明な凹部であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る、二重容器において、前記凹部の表面は、平滑な表面であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る、二重容器は、前記内容器と前記外容器との間に配置された環状シール部材をさらに有しており、前記内容器は、口部を有しており、前記外容器は、口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部とを有しており、前記環状シール部材は、前記内容器の前記口部の上端と、前記外容器の前記肩部の内面との間に配置されており、前記内容器と前記外容器とは、それぞれ、前記環状シール部材が前記内容器の前記口部の上端と前記外容器の前記肩部の内面との間で圧縮されるように、前記内容器と前記外容器とを係止するアンダーカット嵌合部を有している。
【0012】
本発明に係る、二重容器において、前記環状シール部材は、前記内容器の前記口部を嵌合させる嵌合溝を有していることが好ましい。
【0013】
本発明に係る、二重容器は、前記外容器の前記口部の内面を密封する中栓をさらに有しているものとすることができる。
【0014】
本発明に係る、二重容器は、前記外容器の前記口部に着脱可能なキャップと、前記キャップに取り付けられているとともに前記中栓を抜き差し可能に貫通する塗布具と、をさらに有しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外容器の窓部を通して、傷の無いきれいな内容器を視認することができる、二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る二重容器を有した、塗布具付き容器の平面図である。
【
図2】
図1の塗布具付き容器をA-A断面で示す正面図である。
【
図3】
図1の塗布具付き容器をB-B断面で示す右側面図である。
【
図4】
図2の領域R1を拡大して示す拡大図である。
【
図5】
図1の二重容器に係る、シール部材の一例を上側から示す平面図である。
【
図6】
図5のシール部材を下側から示す底面図である。
【
図7】
図5のシール部材をD-D断面で示す側面図である。
【
図8】
図1の塗布具付き容器に係る、内容器を前側から示す正面図である。
【
図9】
図8の内容器を一部断面で示す右側面図である。
【
図12】
図8の内容器を上側から示す平面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る二重容器を有した、塗布具付き容器を、
図1のC-C断面相当で示す側面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る二重容器を有した、塗布具付き容器の平面図である。
【
図15】
図14の二重容器に係る、シール部材の一例を上側から示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の、様々な実施形態に係る、二重容器を、当該二重容器を容器本体とした、塗布具付き容器とともに説明をする。なお、以下の説明において、軸線Оは、塗布具付き容器の中心軸線である。塗布具付き容器の各構成要素は、軸線Оを中心軸線とするものとする。また、以下の説明において、「軸線方向」とは、軸線Оに沿う方向をいい、「軸直方向」とは、軸線Оに対して直角な方向をいい、特に、「径方向」とは、軸直方向のうち、軸線Оを基点とするものをいう。さらに、「上」とは、容器の口部が指向する向きをいうことがあり、また、「下」とは、容器の底部が指向する向きをいうことがある。
【0018】
図1中、符号1Aは、本発明の、第1実施形態に係る、二重容器である。二重容器1Aは、キャップ7とともに、塗布具付き容器10を構成している。
【0019】
図2には、塗布具付き容器1AのA-A断面が示されている。
図2を参照すれば、二重容器1Aは、内容物Cを収容可能な内容器2と、内容器2を収容可能な外容器3と、内容器2と外容器3との間に配置された環状シール部材4と、を有している。
【0020】
内容器2は、口部21を有している。内容器2はまた、口部21に連なる胴部22を有している。さらに、内容器2は、胴部22に連なる底部23を有している。底部23は、軸線方向において、口部21と反対側に位置し、胴部22の下端を閉じている。内容器2の内部には、例えば、液状の内容物Cが収容されている。本実施形態において、内容器2は、いわゆる、広口容器である。ここで、広口容器とは、
図2に示すように、口部21と胴部22との間に肩部を有しない容器を意味するものとする。本実施形態において、内容器2は、口部21の内径が胴部22の内径と同一径の容器である。本実施形態では、内容器2は、透明な容器である。これによって、内容器2は、内容器2を通して内容物Cを見せることができる。ただし、本発明によれば、内容器2は、半透明または不透明な容器とすることができる。内容器2は、例えば、樹脂によって一体に形成することができる。
【0021】
外容器3は、口部31と、口部31に連なる肩部32と、肩部32に連なる胴部33とを有している。本実施形態において、外容器3は、胴部33の下端が開口している。これによって、
図2に示すように、外容器3は、当該外容器3の下端開口より、内容器2を収容することができる。本実施形態において、胴部33は、
図1に示すように。平面視において、四角形状(この例では、正方形形状)の容器である。具体的には、胴部33は、4つのパネル状壁で構成されており、前面33A、後面33B、右面33Cおよび左面33Dの4つ面を有している。
【0022】
また、
図2に示すように、胴部33には、内容器2を視認可能な窓部34が設けられている。窓部34は、例えば、胴部33に形成された開口部(貫通孔)とすることができる。本実施形態において、窓部34は、前面33Aおよび33Bの、軸線Оを挟んで互いに向かい合う、2か所の位置に形成されている。したがって、
図3に示すように、本実施形態において、右面33Cおよび左面33D(
図3では、左面33Dは図示されていない。)は、窓部34を有することなく、閉じられている。ただし、本発明によれば、窓部34は、4つの面(33A~33D)のうちの、少なくともいずれか1つに設けることができる。即ち、本発明によれば、窓部34は、1つの面に対して、少なくとも1つ設けることができる。
【0023】
図4を参照すれば、環状シール部材4は、内容器2の口部21の上端21eと、外容器3の肩部32の内面(下面)32Fとの間に配置されている。本実施形態において、環状シール部材4もまた、
図5に示すように、平面視において、四角形状(この例では、正方形形状)の環状シール部材である。また、
図7を参照すれば、本実施形態において、環状シール部材4は、内側シール部41と、外側シール部42と、シール本体部43とを有している。内側シール部41と外側シール部42とは、軸直方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態において、シール本体部43は、内側シール部41の上端と外側シール部42の上端とを連結している。これによって、本実施形態において、シール本体部43の下側には、シール本体部43とともに、内側シール部41および外側シール部42によって区画された嵌合溝4Gが形成されている。本実施形態において、嵌合溝4Gは、
図6に示すように、底面視(平面視)において、四角形状(この例では、正方形形状)の嵌合溝である。嵌合溝4Gは、
図4に示すように、後述する内容器2の口部上端部24を嵌合させることができる。さらに、
図7を示すように、本実施形態において、シール本体部43には、シール突起44が設けられている。本実施形態において、シール突起44は、シール本体部43から径方向外側上向きに突出している。本実施形態において、シール突起44もまた、
図5に示すように、平面視において、四角形状(この例では、正方形形状)のシール突起である。
【0024】
また、
図3を参照すれば、内容器2と外容器3とは、それぞれ、環状シール部材4が内容器2の口部21の上端(21e)と外容器3の肩部32の内面(32F)との間で圧縮されるように、内容器2と外容器3とを係止するアンダーカット嵌合部5を有している。本実施形態において、アンダーカット嵌合部5は、内容器2の胴部22に形成された嵌合凸部52と、外容器3の胴部33に形成された嵌合凹部53と、によって構成されている。嵌合凸部52は、内容器2を外容器3の内部に軸線方向上側に沿って押し込むことによって、嵌合凹部53に引っ掛かった状態で嵌合する。即ち、嵌合凸部52は、嵌合凹部53に対してアンダーカット嵌合させることができる。これによって、内容器2は、外容器3の内部に、環状シール部材4を圧縮した状態で固定させることができる。なお、内容物Cは、内容器2に収容されているため、本実施形態のように、アンダーカット嵌合部5の嵌合凹部(53)を外容器3に形成すれば、内容器2の内部を減少させることなく、内容器2の内容量の確保などの点で好ましい、ただし、本発明によれば、アンダーカット嵌合部5は、内容器2の胴部22に形成された嵌合凹部(53)と、外容器3の胴部33に形成された嵌合凸部(52)と、によって構成することができる。本実施形態において、アンダーカット嵌合部5は、外容器3における、胴部33の前面33Aの側と、胴部33の後面33Bの側との、2か所の位置に配置されている(
図3では、胴部33の前面33Aの側のアンダーカット嵌合部5は図示されていない。)。また、
図2を参照すれば、本実施形態において、アンダーカット嵌合部5は、胴部33の右面33Cの側と、胴部33の左面33Dの側との、2か所の位置には配置されていない。即ち、本実施形態において、アンダーカット嵌合部5は、軸線Оを挟んで対向する、2か所の位置に配置されている。これによって、アンダーカット嵌合部5の個数を抑えつつ、外容器3に対して内容器2を安定的に固定することができる。ただし、本発明によれば、アンダーカット嵌合部5は、前後左右の4つ面の側の、少なくとも1つに配置することができる。
【0025】
さらに、
図3を参照すれば、二重容器1Aにおいて、内容器2には、当該内容器2が外容器3に収容されている状態において、窓部34に相当する領域に凹部25が形成されている。凹部25の領域は、窓部34に相当する領域を含んでおり、かつ、当該窓部34に相当する領域の大きさと同一または当該窓部34に相当する領域の大きさよりも大きい。
【0026】
図8には、内容器2が前側から示されている。
図8を参照すれば、凹部25の底面25aは、窓部34に相当する領域の大きさよりも大きい。このため、内容器2を外容器3の内部にセットしたのち、当該外容器3の窓部34を通して見えるのは、凹部25の底面25aとなる。加えて、凹部25の底面25aは、内容器2を外容器3に収容するとき、外容器3の内周面と接触することがない。即ち、内容器2を外容器3の内部にセットしたのち、当該外容器3の窓部34を通して見えるのは、傷の無いきれいな凹部25の底面25aとなる。したがって、二重容器1Aによれば、外容器3の窓部34を通して、傷の無いきれいな内容器2の表面を視認することができる。ただし、凹部25の底面25aは、上述のとおり、窓部34に相当する領域の大きさと同一であってもよい。
【0027】
図9には、内容器2の右側面が一部断面で示されている。
図9において、内容器2は、胴部22の後面22B側の部分と底部23とが一部断面で示されている。
図10Aには、
図9の領域Xが拡大された状態で示されている。
図10Bには、
図9の領域Yが拡大された状態で示されている。さらに、
図11には、
図9のE-E断面が示されている。これらを参照すれば、本実施形態において、凹部25は、底面25aと、底面25aに連なる周面25bとによって形成されている。凹部25は、胴部22の表面(図では、後面22B)から底面25aまでの深さdは、0.05mmとすることができる。本実施形態では、上述のとおり、外容器3の窓部34に相当する位置に、即ち、内容器2の胴部22の前面22Aおよび後面22Bのそれぞれに、凹部25が形成されている。
【0028】
また、本実施形態において、凹部25は、透明な凹部である。この場合、凹部25、具体的には、凹部25の底面25aに傷が生じると、その透明度に影響を与える。したがって、凹部25が透明である場合、傷の無いきれいな内容器2の表面を視認できるという点で有効である。ただし、凹部25、具体的には、底面25aは、半透明または不透明であってもよい。なお、本実施形態では、凹部25は、内容器2とともに成形されている。また、凹部25は、無色透明であることが好ましいが、有色透明であってもよい。
【0029】
さらに、本実施形態において、凹部25の表面は、平滑な表面である。この場合、凹部25の表面に、具体的には、凹部25の底面25aに傷が生じると、その表面上の美観に影響を与える。したがって、凹部25が平滑な表面である場合、傷の無いきれいな内容器2の表面を視認できるという点で有効である。ただし、凹部25、具体的には、凹部25の底面25aは、内容器2の胴部22とともにシボ加工等の表面処理が行われていてもよい。
【0030】
なお、
図12には、内容器2が上側から示されている。本実施形態において、内容器2の胴部22は、
図12に示すように。平面視において、四角形状(この例では、正方形形状)の容器である。具体的には、胴部22は、外容器3の胴部33と同様に、4つのパネル状壁で構成されており、前面22A、後面22B、右面22Cおよび左面22Dの4つ面を有している。これによって、内容器2は、
図2に示すように、外容器3の胴部33の内側形状に合わせて、当該胴部33の内側に収容させることができる。
【0031】
ところで、外容器3に内容器2を収容する二重容器の場合、例えば、内容器2と外容器3とを超音波溶着によって固定することによって、当該二重容器の形状を保つための性能(保形性)を高めることができる、しかしながら、超音波溶着などの接着の場合、接着のバラつきによって気密性(密封性)が十分に確保できないことが考えられる。一方、ゴムパッキンなどの環状シール部材でシールする場合、当該環状シール部材が内容器2と外容器3との間に形成された径方向隙間をシールするものであるときには、内容器2の外形形状と外容器3の外形形状とが相似形(例えば、円形の相似形)でなければ、シールを行うことが困難である。
【0032】
これに対し、二重容器1Aによれば、
図4に示すように、環状シール部材4は、内容器2の口部21の上端21eと外容器3の肩部32の内面32Fとの間で圧縮されることによって、内容器2と外容器3との間をシールする。即ち、二重容器1Aによれば、内容器2と外容器3との間を接着によってシールをすることがない。このため、二重容器1Aによれば、接着のバラつきによるシール性が低下する懸念は生じない。また、二重容器1Aによれば、内容器2と外容器3との間は、
図4などに示すように、軸線方向にシールされる。このため、内容器2と外容器3との間に、径方向において、外形寸法または外形形状のバラつきが生じる場合でも、内容器2と外容器3との間のシール性は確保される。したがって、二重容器1Aによれば、内容器2と外容器3との間のシール性を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態において、環状シール部材4は、シール突起44を有している。この場合、
図4に示すように、シール突起44が肩部32の内面32Fと強固に圧接する。これによって、本実施形態によれば、内容器2と外容器3との間のシール性をより向上させることができる。また、本実施形態において、外容器3の肩部32の内面32Fにもまた、シール突起35が設けられている。シール突起35は、環状シール部材4が圧縮されるとき、当該環状シール部材4のシール突起44よりも径方状内側に位置するように配置されている。シール突起35は、肩部32の内面32Fから下側に突出し、
図4に示すように、シール突起44と強固に圧接する。これによって、本実施形態によれば、内容器2と外容器3との間のシール性をより向上させることができる。
【0034】
また、二重容器1Aは、
図3に示すように、内容器2を外容器3の内部に押し込むことにより、内容器2と外容器3とをアンダーカット嵌合させるだけの簡単な作業によって、内容器2と外容器3との間に環状シール部材4を圧縮状態に組み付けることができる。このため、二重容器1Aによれば、当該二重容器1Aを容易に組み立てることができる。
【0035】
また、本実施形態において、環状シール部材4は、
図4に示すように、内容器2の口部21を嵌合させる嵌合溝4Gを有している。内容器2の口部2を嵌合溝4Gに嵌合させる場合、環状シール部材4が内容器2の口部21に容易に取り付けられる。このため、当該環状シール部材4を内容器2の口部21に取り付けるときのセット性が向上する。また、この場合、環状シール部材4が内容器2の口部21に予め取り付けられているため、内容器2の口部21と外容器3の肩部32との間に環状シール部材4をセットするときのセット性も向上する。さらに、この場合、環状シール部材4が内容器2の口部21に予め取り付けられているため、環状シール部材4がセット後に落下することを防止することができる。加えて、本実施形態によれば、環状シール部材4は、シール本体部43に加えて、内側シール部41が内容器2の内面をシールとともに外側シール部42が内容器2と外容器3との径方向隙間をシールする。これによって、本実施形態によれば、内容器2と外容器3との間のシール性をより向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態において、内容器2の口部21には、口部上端部24が形成されている。口部上端部24は、口部21よりも径方向幅が薄い。具体的には、口部上端部24は、口部21の上端21eから下側に向かって延在しているとともに軸線Оの周りを環状に延在している、周溝2Gによって形成されている。本実施形態では、周溝2Gは、口部21の外面に形成されている。本実施形態において、環状シール部材4の嵌合溝4Gは、口部上端部24を嵌合させる。これによって、本実施形態によれば、環状シール部材4を口部21に嵌合させる構成としても、内容器2と外容器3との径方向隙間の拡大を抑えることができる。したがって、二重容器1Aの径方向の寸法をコンパクトに抑えることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る、二重容器1Aは、外容器3の口部31の内面を密封する中栓6をさらに有している。中栓6は、例えば、エラストマーなどの弾性材料によって形成されている。本実施形態において、中栓6は、しごき片6aを有するしごき部材である。中栓6は、外容器3の口部31の内面をシールする中栓本体6bを有している。中栓本体6bは、
図2に示すように、環状形状を有している。しごき片6aは、中栓本体6bの内側に形成された環状の弾性膜である。しごき片6aの内側には、開口部A6が形成されている。さらに、本実施形態において、中栓6は、外容器3の口部31の上端をシールするフランジ部6cを有している。
【0038】
また、
図2を参照すれば、本実施形態において、二重容器1Aは、外容器3の口部31に着脱可能なキャップ7と、キャップ7に取り付けられているとともに中栓6を抜き差し可能に貫通する塗布具8と、をさらに有している。本実施形態において、キャップ7は、外容器3の口部31に対して取外し可能に螺合させている。本実施形態において、塗布具8は、塗布部8aと、軸部材8bと、を有している。軸部材8bは、キャップ7に固定されている。塗布部8aは、軸部材8bの先端(下端)に固定されている。塗布部8aは、例えば、例えば、スポンジ、筆、櫛、ヘラなどによって構成することができる。本実施形態において、塗布部8aおよび軸部材8bは、中栓6の開口部A6を貫通し、当該開口部A6を通して上側に引き出されたとき、中栓6のしごき片6aによってしごかれる。本実施形態において、塗布具付き容器10は、キャップ7を外容器3の口部31に装着させている。しかも、内容器2の口部21は、外容器3の肩部32によって抜け止め保持されている。これによって、キャップ7を外容器3から取り除くことによって、内容器2の口部21に装着された中栓6から、塗布具8を引き出しても、内容器2が外容器3から抜けることがない。
【0039】
図13は、本発明の第2実施形態に係る二重容器1Bを有した、塗布具付き容器10を、
図1のC-C断面相当で示す側面図である。本実施形態に係る二重容器1Bは、平面視において、前後左右方向のそれぞれが対角線と一致する菱形形状の容器である。二重容器1Bは、アンダーカット嵌合部5を含め、他の二重容器1Aと同様の構成を有している。
【0040】
図14は、本発明の第3実施形態に係る二重容器1Cを有した、塗布具付き容器10の平面図である。二重容器1Cは、平面視において、円形状の容器である。二重容器1Cもまた、アンダーカット嵌合部5を含め、他の二重容器1Aおよび1Bと同様の構成を有している。本実施形態に係る、塗布具付き容器10のE-E断面形状は、
図2または
図3と同様である。
図15には、二重容器1Cに係る、環状シール部材4の一例を上側から示す平面図である。本実施形態において、環状シール部材4は、
図15に示すように、平面視において、円環形状の環状シール部材である。環状シール部材4の基本的な構成は、他の実施形態に係る、環状シール部材4と実質的に同じである。
【0041】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。上述の各実施形態において、本発明に係る二重容器は、例えば、化粧料の塗布を目的とした、塗布具付き容器の容器本体として説明したが、塗布具付き容器の容器本体に限定されるものはない。例えば、本発明に係る二重容器は、中栓6の開口部A6を飲み口とした飲料容器として用いることができる。このとき、しごき片6a、塗布具8は省略することができる。また、内容物Cは、化粧料に限定されることはない。さらに、上述した各実施形態に採用された様々な構成は、適宜、相互に置き換えることができ、又は、組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0042】
1A~1C:二重容器(容器本体), 2:内容器, 2G:周溝, 21:口部, 22:胴部, 23:底部, 24:内容器2の口部上端部, 25:凹部, 25a:凹部の底面, 25b:凹部の周面, 3:外容器, 31:口部, 32:肩部, 33:胴部, 34:窓部, 4:環状シール部材, 41:内側シール部, 42:外側シール部, 43:シール本体部, 44:シール突起, 5:アンダーカット嵌合部, 52:嵌合凸部, 53:嵌合凹部, 6:中栓, 6a:しごき片, 6b:中栓本体, 6c:フランジ部, 7:キャップ, 8:塗布具, 8a:塗布部, 8b:軸部材, A6:中栓の開口部, C:内容物