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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125994
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/539 20060101AFI20230831BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20230831BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20230831BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20230831BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20230831BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20230831BHJP
【ＦＩ】
A61F13/539
A61F13/53 100
A61F13/511 200
A61F13/514 210
A61F13/534 100
A61F13/53 300
A61F13/53 200
A61F13/535 200
A61F13/534 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022030400
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 由美子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
(72)【発明者】
【氏名】金田 悠太郎
【テーマコード（参考）】
3B200
【Ｆターム（参考）】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA04
3B200BA09
3B200BA16
3B200BB03
3B200BB16
3B200BB22
3B200CA02
3B200CA11
3B200DA12
3B200DA15
3B200DB01
3B200DB05
3B200DB11
3B200DB12
3B200DB16
3B200DB26
3B200DC02
(57)【要約】
【課題】不快臭の放出を抑制する吸収性物品を提供する。
【解決手段】液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアの周囲を覆う、液透過性のコアラップシートを有する吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置された、液体透過性を有し、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートと、前記吸収体の非肌面側に配置された気体透過性で液体不透過性を有する非肌面側シートと、を、備え、前記吸収体と、前記非肌面側シートの間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である、吸収性物品。
【選択図】図１
【解決手段】液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアの周囲を覆う、液透過性のコアラップシートを有する吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置された、液体透過性を有し、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートと、前記吸収体の非肌面側に配置された気体透過性で液体不透過性を有する非肌面側シートと、を、備え、前記吸収体と、前記非肌面側シートの間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である、吸収性物品。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアの周囲を覆う、液透過性のコアラップシートを有する吸収体と、
前記吸収体の肌面側に配置された、液体透過性を有し、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートと、
前記吸収体の非肌面側に配置された気体透過性で液体不透過性を有する非肌面側シートと、
を、備え、
前記吸収体と、前記非肌面側シートの間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である、
吸収性物品。
前記吸収体の肌面側に配置された、液体透過性を有し、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートと、
前記吸収体の非肌面側に配置された気体透過性で液体不透過性を有する非肌面側シートと、
を、備え、
前記吸収体と、前記非肌面側シートの間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である、
吸収性物品。
【請求項2】
前記隙間は、
前記吸収体と、前記非肌面側シートが接着されていないことにより形成可能である、
請求項１に記載の吸収性物品。
前記吸収体と、前記非肌面側シートが接着されていないことにより形成可能である、
請求項１に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体と、前記非肌面側シートは、繊維が絡み合うことにより係合しており、
前記隙間は、前記係合が液体流入時に剥離することにより形成可能である、
請求項１または２に記載の吸収性物品。
前記隙間は、前記係合が液体流入時に剥離することにより形成可能である、
請求項１または２に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記隙間は、
前記吸収体と、前記非肌面側シートとの間に、互いに離間した複数の接着部により接着することにより形成可能である、
請求項１に記載の吸収性物品。
前記吸収体と、前記非肌面側シートとの間に、互いに離間した複数の接着部により接着することにより形成可能である、
請求項１に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記複数の接着部は、略線状であり、
前記複数の接着部の合間である非接着部は、略線状である、
請求項４に記載の吸収性物品。
前記複数の接着部の合間である非接着部は、略線状である、
請求項４に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記コアラップシートは、
前記吸収コアの肌面側を覆う上層コアラップシートと、
前記吸収コアの非肌面側を覆う下層コアラップシートと、
を、有し、
前記下層コアラップシートは、ティッシュペーパーである、
請求項１～５のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収コアの肌面側を覆う上層コアラップシートと、
前記吸収コアの非肌面側を覆う下層コアラップシートと、
を、有し、
前記下層コアラップシートは、ティッシュペーパーである、
請求項１～５のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記下層コアラップシートは、前記吸収コアの側面を覆っている、
請求項６に記載の吸収性物品。
請求項６に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記上層コアラップシートは、前記下層コアラップシートよりも液透過性の高い素材で形成され、
前記上層コアラップシートと、前記下層コアラップシートは、前記吸収コアの肌面側の幅方向両端部において積層し、互いに接着されている、
請求項６または７に記載の吸収性物品。
前記上層コアラップシートと、前記下層コアラップシートは、前記吸収コアの肌面側の幅方向両端部において積層し、互いに接着されている、
請求項６または７に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収コアは、少なくとも、上層吸収マットと、前記上層吸収マットの非肌面側に配置された下層吸収マットを有し、
前記上層吸収マットは、前記下層吸収マットよりも高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子の含有量が多く、
前記下層吸収マットは、８０％以上のパルプを含んでいるか、成形されたパルプのみから形成されている、
請求項１～８のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記上層吸収マットは、前記下層吸収マットよりも高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子の含有量が多く、
前記下層吸収マットは、８０％以上のパルプを含んでいるか、成形されたパルプのみから形成されている、
請求項１～８のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記上層吸収マットには、肌面側と非肌面側とを貫通する上層貫通溝が形成されている、
請求項９に記載の吸収性物品。
請求項９に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記下層吸収マットには、肌面側と非肌面側とを貫通する下層貫通溝が形成されており、
前記上層貫通溝と、前記下層貫通溝は、肌面側から非肌面側に連通している、
請求項１０に記載の吸収性物品。
前記上層貫通溝と、前記下層貫通溝は、肌面側から非肌面側に連通している、
請求項１０に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記上層吸収マットと前記下層吸収マットの層間であって、前記下層貫通溝に隣接する位置に、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなる層を有する、
請求項１１に記載の吸収性物品。
請求項１１に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記下層貫通溝の底部に、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなる層が設置されている、
請求項１１に記載の吸収性物品。
請求項１１に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記下層吸収マットと、前記上層吸収マットとの間には、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなるＳＡＰ層が配置されており、
前記下層吸収マットと、前記ＳＡＰ層とを覆うコアラップシートを更に備える、
請求項９から１３のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記下層吸収マットと、前記ＳＡＰ層とを覆うコアラップシートを更に備える、
請求項９から１３のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有し、
装着状態において被装着者の腹部側の腰回りに位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側の腰回りに位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、
少なくとも前記前身頃領域と前記後身頃領域において、
前記下層吸収マットの前記横幅は、前記上層吸収マットの前記横幅よりも広い、
請求項９から１４のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
装着状態において被装着者の腹部側の腰回りに位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側の腰回りに位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、
少なくとも前記前身頃領域と前記後身頃領域において、
前記下層吸収マットの前記横幅は、前記上層吸収マットの前記横幅よりも広い、
請求項９から１４のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
バックシートが透湿性を有する吸収性物品が知られている（特許文献１）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０１９－２０１６９１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透湿性を有するバックシートを用いると、着用者の蒸れを抑制することができる。しかし、尿等の排出液が吸収性物品に長時間滞留していると、排出液に含まれる微生物が分泌する酵素の働きなどにより、尿素に起因するアンモニアが発生し、アンモニアガスがバックシートを通過することで、吸収性物品から不快臭が放出されることがある。
【0005】
本発明は、不快臭の放出を抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートを用いた。
【0007】
本発明は、具体的には、液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアの周囲を覆う、液透過性のコアラップシートを有する吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置された、液体透過性を有し、水溶性の酸性化物質を含有する肌面側シートと、前記吸収体の非肌面側に配置された気体透過性で液体不透過性を有する非肌面側シートと、を、備え、前記吸収体と、前記非肌面側シートの間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である、吸収性物品である。
【0008】
前記隙間は、前記吸収体と、前記非肌面側シートが接着されていないことにより形成可能であってよい。
【0009】
前記吸収体と、前記非肌面側シートは、繊維が絡み合うことにより係合しており、前記隙間は、前記係合が液体流入時に剥離することにより形成可能であってよい。
【0010】
前記隙間は、前記吸収体と、前記非肌面側シートとの間に、互いに離間した複数の接着部により接着することにより形成可能であってよい。
【0011】
前記複数の接着部は、略線状であり、前記複数の接着部の合間である非接着部は、略線状であってよい。
【0012】
前記コアラップシートは、前記吸収コアの肌面側を覆う上層コアラップシートと、前記吸収コアの非肌面側を覆う下層コアラップシートと、を、有し、前記下層コアラップシートは、ティッシュペーパーであってよい。
【0013】
前記下層コアラップシートは、前記吸収コアの側面を覆っていてよい。
【0014】
前記上層コアラップシートは、前記下層コアラップシートよりも液透過性の高い素材で形成され、前記上層コアラップシートと、前記下層コアラップシートは、前記吸収コアの肌面側の幅方向両端部において積層し、互いに接着されていてよい。
【0015】
前記吸収コアは、少なくとも、上層吸収マットと、前記上層吸収マットの非肌面側に配置された下層吸収マットを有し、前記上層吸収マットは、前記下層吸収マットよりも高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子の含有量が多く、前記下層吸収マットは、８０％以上のパルプを含んでいるか、成形されたパルプのみから形成されていてよい。
【0016】
前記上層吸収マットには、肌面側と非肌面側とを貫通する上層貫通溝が形成されていてよい。
【0017】
前記下層吸収マットには、肌面側と非肌面側とを貫通する下層貫通溝が形成されており、前記上層貫通溝と、前記下層貫通溝は、肌面側から非肌面側に連通していてよい。
【0018】
前記上層吸収マットと前記下層吸収マットの層間であって、前記下層貫通溝に隣接する位置に、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなる層を有してよい。
【0019】
前記下層貫通溝の底部に、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなる層が設置されていてよい。
【0020】
前記下層吸収マットと、前記上層吸収マットとの間には、高吸収性重合体であるＳＡＰの粒子からなるＳＡＰ層が配置されており、前記下層吸収マットと、前記ＳＡＰ層とを覆うコアラップシートを更に備えていてよい。
【0021】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有し、装着状態において被装着者の腹部側の腰回りに位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側の腰回りに位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、少なくとも前記前身頃領域と前記後身頃領域において、前記下層吸収マットの前記横幅は、前記上層吸収マットの前記横幅よりも広くてよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、不快臭の放出を抑制する吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0025】
＜実施形態＞
本実施形態では、交換式の吸収パッド（本願でいう「吸収性物品」の一例である）について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃（長手方向の一側）と後身頃（長手方向の他側）との間（長手方向の中央）には、着用者の股下に配置（股間に対向して配置）される股下部が連接して位置している。また、吸収パッドが着用者に装着された状態（以下、「装着状態」と略称する）において、着用者の肌に向かう側（装着された状態で内側）を肌面側とし、肌面側の反対側（装着された状態で外側）を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
本実施形態では、交換式の吸収パッド（本願でいう「吸収性物品」の一例である）について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃（長手方向の一側）と後身頃（長手方向の他側）との間（長手方向の中央）には、着用者の股下に配置（股間に対向して配置）される股下部が連接して位置している。また、吸収パッドが着用者に装着された状態（以下、「装着状態」と略称する）において、着用者の肌に向かう側（装着された状態で内側）を肌面側とし、肌面側の反対側（装着された状態で外側）を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0026】
本実施形態では交換式の吸収パッドを例として用いて発明の内容を説明する。本発明は主に幅方向両側に配置された非透水性のシートを、糸ゴムなどで付勢したもの（立体ギャザー）に関するものであり、立体ギャザーを備えるパンツ型のおむつや、テープ型のおむつについても、当然に適用することができるものである。
【0027】
図１は、実施形態に係る吸収パッドの平面図である。吸収パッド１は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する股下領域１Ｂと、股下領域１Ｂの腹部側に位置し、着用者の前身頃と腰回りに対応する部位である前身頃領域１Ｆと、股下領域１Ｂの背部側に位置し、着用者の後身頃と腰回りに対応する部位である後身頃領域１Ｒとを有する。前身頃領域１Ｆ、後身頃領域１Ｒ、股下領域１Ｂには、股下領域１Ｂを中心に、クロッチ部分が絞られた瓢箪型の吸収体が組み込まれている。前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒの先、吸収パッドの短手方向と長手方向の吸収体のない部分では、吸収体を覆う全てのシートがホットメルト接着剤等で接着されており、非接着部分からの体液流入を防ぎ、吸収体の位置を規制する。吸収パッド１は、下衣肌着と肌面との間に装着されることにより、着用者の肌に密着する。また、この吸収パッド１をテープ型おむつやパンツ型おむつの内側に装着すれば、吸収パッド１が排出液を吸収するので、例え着用者から排出液が発生したとしても、吸収パッド１のみを交換し、おむつ自体は再利用することができる。
【0028】
また、吸収パッド１には、吸収パッド１と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部（大腿部）を取り巻く部位（クロッチ部分における幅方向端部）に、弾性体２Ｌ，２Ｒが設けられている。弾性体２Ｌ，２Ｒは、吸収パッド１の長手方向に延在する。上記弾性体２Ｌ，２Ｒよりも吸収パッド１の肌面側幅方向内側に延在するシートであるサイドシート８Ｌ，８Ｒの端には、弾性体３ＢＬ，３ＢＲが付されている。サイドシート８Ｌ，８Ｒは、着用の際に弾性体３ＢＬ，３ＢＲの力により立ち上がり、立体ギャザー３Ｌ，３Ｒとなる。吸収パッド１は、レグギャザーとして機能する弾性体２Ｌ，２Ｒの力により着用者の体形に沿い、弾性体３ＢＬ，３ＢＲの力により立ち上がった立体ギャザー３Ｌ，３Ｒにより着用者の肌面に密着するので、着用者から排出される体液は、吸収パッド１から漏出することなく吸収パッド１の吸収体に吸収される。なお、弾性体２Ｌ，２Ｒや弾性体３ＢＬ，３ＢＲを構成する弾性部材としては糸ゴムや帯状のゴム等を適宜選択できる。また、弾性体２Ｌ，２Ｒ，３ＢＬ，３ＢＲは、平行する複数本の糸ゴムであってよい。
【0029】
図２は、実施形態に係る吸収パッドの分解斜視図である。吸収パッド１は、立体ギャザー３Ｌ，３Ｒを形成するサイドシート８Ｌ，８Ｒと、トップシート７と、バックシート５と、吸収体６と、弾性体２Ｌ，２Ｒを備えるカバーシート４とを備え、肌面側から非肌面側まで順に積層されている。吸収パッドの前身頃端部と後身頃端部では、吸収体６は存在せず、全てのシートが接着されている。図２の例では、吸収体６は、排出液を吸収する、クロッチ部分が瓢箪型の吸収コア６Ｃを、コアラップシート６Ｗで包んで矩形に形成されている。吸収体６の形態は略瓢箪型であってもよい。なお、各シートの接着には、ホット
メルト接着剤による接着、超音波融着などが含まれる。トップシート７は、本開示における肌面側シートの一例であり、バックシート５は、本開示における非肌面側シートの一例である。
メルト接着剤による接着、超音波融着などが含まれる。トップシート７は、本開示における肌面側シートの一例であり、バックシート５は、本開示における非肌面側シートの一例である。
【0030】
カバーシート４は、吸収パッド１の外装面を形成し、吸収パッド１全体の形態を維持しやすくする丈夫なシートである。カバーシート４には、一般的にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテフタレート等の合成繊維で構成された不織布が用いられる。カバーシート４は、液透過性であってもよく、液不透過性であってもよい。また、液不透過性を有する不織布の複数個所に穿孔して通気性を持たせてもよい。本実施形態ではカバーシート４が存在しているが、後述するバックシート５に形態維持効果を併せ持たせ、カバーシート４を省略することもできる。バックシート５は、液体不透過性のシートである。バックシート５は、一例としては、排出液の漏れを抑制するためにポリエチレンフィルム等の熱可塑性の液体不透過性樹脂を材料として形成されたフィルムシートである。バックシート５は、着用状態での蒸れを抑制するため、透湿性およびガス透過性、すなわち気体透過性を有している。
【0031】
トップシート７は、吸収体６の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、熱可塑性樹脂の繊維を含んで形成されたスパンボンド不織布や、エアスルー不織布等からなる。このトップシート７は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、吸収パッド１が設置された状態において、着用者から放出された体液は、着用者の肌に接触し得るトップシート７を通って吸収体６に進入し、そこで吸収される。また、トップシート７は親水性を有していてもよい。なお、吸収パッド１の長手方向と、吸収体６およびトップシート７の長手方向とは、同じである。
【0032】
バックシート５、吸収体６、トップシート７は、何れも前身頃領域１Ｆから後身頃領域１Ｒにまで延在する。よって、バックシート５と吸収体６とトップシート７が積層されているカバーシート４で着用者の陰部を覆うと、バックシート５と吸収体６とトップシート７の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体６に覆われる状態となる。したがって、被装着者が仰臥位を取っている場合でも、伏臥位を取っている場合でも、排出液はトップシート７を介して吸収体６に接触することになる。
【0033】
サイドシート８Ｌ，８Ｒは、透湿性を備えるが、非透水性の不織布である。前述の通りサイドシート８Ｌ，８Ｒは立体ギャザー３Ｌ，３Ｒとして肌に密着するため、サイドシート８Ｌ，８Ｒに当接した排出物は吸収パッド１の幅方向にはこれ以上漏洩せず、排出物に含まれる水分は吸収体６に順次吸収される。トップシート７は、肌触りが良く、親水性の不織布である。肌に当接して体液を直接受け止め、順次吸収体６に吸収させる役割をする。また、吸収体６が既に吸収した体液の逆流を防ぐ。弾性体２Ｌ，２Ｒは、吸収パッド１の幅方向端部に設けられており、吸収パッド１は弾性体２Ｌ，２Ｒの収縮力により着用者の体形に添うように付勢される。すなわち弾性体２Ｌ，２Ｒはサイドギャザーとして機能する。
【0034】
以下に述べる各形態に係るトップシート７には、水溶性の酸性化物質を、着用者の肌に刺激を与えない程度に含有している。肌面は酸性であり、一定程度の酸性化物質が当接しても影響を受けることはない。このトップシート７に尿等の排出液が流入すると、トップシート７が含有する酸性化物質が排出液中に溶出し、吸収体６に流入する。
【0035】
吸収パッド１に排出液が放出されてから時間が経過すると、排出液に含まれる微生物の分泌する酵素などの働きにより、排出液、特に尿に含まれる尿素に起因するアンモニアガスが発生することがある。アンモニアガスは気体のため、バックシート５を容易に通過し
、吸収パッド１のカバーシート４から周囲の環境に放出されることがある。排出液からアンモニアガスが発生すると、着用者の周囲には所謂尿臭が発生し、周囲に不快感を与えることがある。尿からアンモニアが発生し、アンモニアが排出液に溶けだした場合、当該水溶液はアルカリ性となる。排出液中にトップシート７由来の酸性化物質が溶存していると、アンモニアは当該酸性化物質との中和反応によりアンモニウム塩となる。このため、アンモニアガスの発生は抑制される。このため、吸収パッド１において、バックシート５に防水透湿素材を設けた場合でも、アンモニアに起因する不快臭を抑制でき、着用感の低下を防ぐことができる。
、吸収パッド１のカバーシート４から周囲の環境に放出されることがある。排出液からアンモニアガスが発生すると、着用者の周囲には所謂尿臭が発生し、周囲に不快感を与えることがある。尿からアンモニアが発生し、アンモニアが排出液に溶けだした場合、当該水溶液はアルカリ性となる。排出液中にトップシート７由来の酸性化物質が溶存していると、アンモニアは当該酸性化物質との中和反応によりアンモニウム塩となる。このため、アンモニアガスの発生は抑制される。このため、吸収パッド１において、バックシート５に防水透湿素材を設けた場合でも、アンモニアに起因する不快臭を抑制でき、着用感の低下を防ぐことができる。
【0036】
＜第１の形態＞
図３は、第１の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。具体的には、図１の吸収パッド１における、Ａ－Ａ線の断面図である。吸収体６は、一例としては、吸収コア６Ｃを、薄いコアラップシート６Ｗで包んだ構造を有している。吸収コア６Ｃは、少なくとも二層の吸収マットを積層して形成されていてよい。本形態では、吸収コア６Ｃは、２枚の吸収マットを積層して構成されている。一例としては、吸収コア６Ｃは、肌面側の上層吸収マット６ａと、非肌面側の下層吸収マット６ｂを有している。吸収コア６Ｃは、平面視すると股下領域１Ｂに括れを有する砂時計型である。本形態では、上層吸収マット６ａは吸収体６の長手方向全領域において、下層吸収マット６ｂ以上の横幅を有している。例えば、上層吸収マット６ａを砂時計型とし、下層吸収マット６ｂを略長方形状としてもよい。吸収コア６Ｃにおいて、排出液が最も流入する箇所は幅方向中央部である。この箇所において吸収コア６Ｃを多層構造とすることで、排出液を効率よく吸収可能となる。
図３は、第１の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。具体的には、図１の吸収パッド１における、Ａ－Ａ線の断面図である。吸収体６は、一例としては、吸収コア６Ｃを、薄いコアラップシート６Ｗで包んだ構造を有している。吸収コア６Ｃは、少なくとも二層の吸収マットを積層して形成されていてよい。本形態では、吸収コア６Ｃは、２枚の吸収マットを積層して構成されている。一例としては、吸収コア６Ｃは、肌面側の上層吸収マット６ａと、非肌面側の下層吸収マット６ｂを有している。吸収コア６Ｃは、平面視すると股下領域１Ｂに括れを有する砂時計型である。本形態では、上層吸収マット６ａは吸収体６の長手方向全領域において、下層吸収マット６ｂ以上の横幅を有している。例えば、上層吸収マット６ａを砂時計型とし、下層吸収マット６ｂを略長方形状としてもよい。吸収コア６Ｃにおいて、排出液が最も流入する箇所は幅方向中央部である。この箇所において吸収コア６Ｃを多層構造とすることで、排出液を効率よく吸収可能となる。
【0037】
股下領域１Ｂは、被装着者の両足に挟まれる状態になるので、幅方向内側に向けて圧縮圧力がかかる。一方で、前身頃領域１Ｆや後身頃領域１Ｒにおいては、被装着者の体重がかかることで、吸収コア６Ｃの厚み方向への圧力がかかる。これらの圧力に対応するため、吸収コア６Ｃの股下領域１Ｂには括れが設けられている。更に、上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂを積層して股下領域１Ｂの吸収コア６Ｃを高目付けとする。これにより、股下領域１Ｂにおいて吸収コア６Ｃの幅方向内側への型崩れを防止する。また、前身頃領域１Ｆや後身頃領域１Ｒにおいては、吸収コア６Ｃの幅を広げることで体重がかかる面積を増やして厚み方向への型崩れを防止する。このため、吸収コア６Ｃを略砂時計型とすることが好適である。
【0038】
吸収コア６Ｃは、一例としては、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるＳＡＰ（高吸収性重合体：Ｓｕｐｅｒ
Ａｂｓｏｒｂｅｎｔ Ｐｏｌｙｍｅｒ）等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収コア６Ｃでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収コア６Ｃ全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収コア６Ｃの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
Ａｂｓｏｒｂｅｎｔ Ｐｏｌｙｍｅｒ）等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収コア６Ｃでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収コア６Ｃ全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収コア６Ｃの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0039】
本開示におけるＳＡＰ粒子は、ＳＡＰを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「ＳＡＰを含む樹脂組成物」とは、ＳＡＰのみからなる組成物、ＳＡＰを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤（粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等）、ＳＡＰの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0040】
本実施形態に係る吸収コア６Ｃは、複数の吸収マットを積層して形成されている。具体
的には、吸収コア６Ｃは、着用者の肌面側に設けられた上層吸収マット６ａと、着用者の非肌面側に設けられた下層吸収マット６ｂとを備えている。上層吸収マット６ａは、パルプ繊維とＳＡＰ粒子を混合して形成されている。トップシート７方向から上層吸収マット６ａに排出液が流入すると、排出液は上層吸収マット６ａに含まれるＳＡＰ粒子に吸水され、排出液を固定することができる。一方、下層吸収マット６ｂは、上層吸収マット６ａと比較すると、少量のＳＡＰ粒子しか含有していない。一例としては、下層吸収マット６ｂのパルプ含有量は８０％以上である。また、下層吸収マット６ｂの設計上、ＳＡＰの粒子を混入させないようにしてもよい。ＳＡＰの粒子を含まない場合、下層吸収マット６ｂは、パルプ繊維を成形して形成されている。或いは、下層吸収マット６ｂはティッシュペーパーを成形して形成されていてもよい。
的には、吸収コア６Ｃは、着用者の肌面側に設けられた上層吸収マット６ａと、着用者の非肌面側に設けられた下層吸収マット６ｂとを備えている。上層吸収マット６ａは、パルプ繊維とＳＡＰ粒子を混合して形成されている。トップシート７方向から上層吸収マット６ａに排出液が流入すると、排出液は上層吸収マット６ａに含まれるＳＡＰ粒子に吸水され、排出液を固定することができる。一方、下層吸収マット６ｂは、上層吸収マット６ａと比較すると、少量のＳＡＰ粒子しか含有していない。一例としては、下層吸収マット６ｂのパルプ含有量は８０％以上である。また、下層吸収マット６ｂの設計上、ＳＡＰの粒子を混入させないようにしてもよい。ＳＡＰの粒子を含まない場合、下層吸収マット６ｂは、パルプ繊維を成形して形成されている。或いは、下層吸収マット６ｂはティッシュペーパーを成形して形成されていてもよい。
【0041】
ＳＡＰ粒子は、排出液を吸水して固定することができるが、吸水には一定の時間がかかる。下層吸収マット６ｂは、上層吸収マット６ａが吸水できなかった排出液を一時的に保持しながら拡散し、より広範囲の上層吸収マット６ａで排出液を吸収させる役割を果たす。ＳＡＰの粒子が吸水して膨張すると、排出液の流路を阻害する、所謂ゲルブロッキング現象が発生することがあるが、下層吸収マット６ｂが含有するＳＡＰ粒子の量は少量であり、排出液は、下層吸収マット６ｂの内部を比較的容易に移動することができる。図３に示したように、下層吸収マット６ｂの幅よりも上層吸収マット６ａの幅が広い場合には、吸収マットの長手方向に延在する、上層吸収マット６ａが延在し、下層吸収マット６ｂが延在しない空間が形成され、当該空間は長手方向に広がる排出液の流路として機能する。
【0042】
吸収コア６Ｃは、上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂとの間に配置されたＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒを有している。ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒは、ＳＡＰ粒子が複数集まって形成されている。図３に示すように、吸収コア６Ｃの左方にはＳＡＰ層１１Ｌが配置され、吸収コア６Ｃの右方にはＳＡＰ層１１Ｒが配置されている。ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒは、平面視において、長方形状に形成されていてもよいし、楕円形状またはその他の多角形状に形成されていてもよい。吸収コア６Ｃは、上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂとの間にＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒを設けることにより、全体として排出液の吸収量を増加させることができる。この他、ＳＡＰ粒子を上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂの層間の幅方向中央部にも散布して、ＳＡＰ層１１とすることも可能である。
【0043】
ＳＡＰ層１１Ｌ、１１Ｒは、一例としては、吸収コア６Ｃの製造工程上、下層吸収マット６ｂ上にＳＡＰの粒子を散布することにより形成される。また、ＳＡＰ層１１Ｌ、１１Ｒは、上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂとの間に挟持されている。このため、着用者の動作により吸収パッド１が動いた場合でも、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒに含まれるＳＡＰ粒子の移動は抑制される。なお、下層吸収マット６ｂの表面に接着剤を塗布し、ＳＡＰ粒子を接着してもよい。
【0044】
コアラップシート６Ｗは、薄い液透過性のシートであり、吸収コア６Ｃをコアラップシート６Ｗで包むことにより、上述の吸収コア６ＣのＳＡＰが他の構造に混入しにくくなる。また、吸収コア６Ｃの型崩れが抑制される。コアラップシート６Ｗは、不織布またはパルプ繊維で形成することができ、パルプ繊維の一例としてはティッシュペーパーを用いることができる。なお、吸収体６はバックシート５とトップシート７に包まれており、これらのシートによっても型崩れを抑制できるため、コアラップシート６Ｗを設けない形態としてもよい。なお、図３に示す形態では、コアラップシート６Ｗは、吸収コア６Ｃの肌面側であるトップシート７側を覆う上層コアラップシート６Ｗａと、吸収コア６Ｃの非肌面側であるバックシート５側と、吸収コア６Ｃの側面側を覆う下層コアラップシート６Ｗｂの２枚のシートから構成されている。上層コアラップシート６Ｗａと下層コアラップシート６Ｗｂは、吸収コア６Ｃの肌面側の幅方向両端部において積層し、互いに接着されている。このため、吸収体６の肌面側は上層コアラップシート６Ｗａから構成され、吸収体６
の側面側と非肌面側は、下層コアラップシート６Ｗｂから構成されている。
の側面側と非肌面側は、下層コアラップシート６Ｗｂから構成されている。
【0045】
コアラップシートを２枚のシートで構成する場合、上層コアラップシート６Ｗａと下層コアラップシート６Ｗｂは、別の素材で構成されていてよい。例えば、吸収コア６Ｃの肌面側を覆う上層コアラップシート６Ｗａを透水性の高い不織布とし、吸収コア６Ｃの非肌面側と側面部を覆う下層コアラップシート６Ｗｂをティッシュペーパーとすることができる。ティッシュペーパーは不織布より液体を透過しにくい。この構成により、吸収体６の側面部に達した排出液は、吸収体６の側面を伝って、吸収体６の内部を通過してくる排出液よりも早く下層コアラップシート６Ｗｂの非肌面側まで到達する。
【0046】
下層コアラップシート６Ｗｂと、バックシート５との間には、液体が流入可能な隙間が形成可能である。このため、トップシート７を通過する際に酸性化物質が溶出した排出液の一部は、吸収体６の側面を通過していち早く下層コアラップシート６Ｗｂの非肌面側に到達した液体は、バックシート５との間に形成された液体が流入可能な隙間に到達し、吸収コア６Ｃを通過した排出液がバックシート５に到達する前に、バックシート５と下層コアラップシート６Ｗｂとの間の液体が流入可能な隙間に、酸性の液体層を形成する。吸収コア６Ｃの内部から発生したアンモニアガスは、当該酸性の液体層を通過する際に中和されてアンモニウム塩となる。このため、アンモニアガスはバックシート５を通過せず、吸収パッド１から生じる不快臭を軽減できる。
【0047】
液体が流入可能な隙間は、例えば、下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５とを接着しないことによって実現可能である。しかし、着用者が動き回ることで、吸収体６の位置がバックシート５からずれて、吸収パッドの機能が損なわれる可能性がある。そこで、下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５の繊維が絡み合うことにより係合しており、当該係合が液体流入時に剥離するように構成することで、上述の問題を軽減することができる。
【0048】
更に、下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５の間にホットメルト等の接着剤を塗布し、下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５とを、互いに離間した複数の接着部により接着することにより、液体が流入可能な隙間を形成してもよい。より具体的には、下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５は、吸収パッド１の長手方向に略線状に塗布された、複数のホットメルト等の接着剤ＨＭで接着され、接着領域を形成している。接着剤ＨＭは幅方向から見ると間欠的に塗布されて互いに離間した複数の接着部を構成しており、接着部の合間には、長手方向から見ると略線状に、接着剤ＨＭが塗布されていない非接着領域である非接着部が形成されている。下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５の間に進入した排出液は、当該非接着部に保持される。当該非接着領域は、液体が流入可能な隙間として機能する。下層コアラップシート６Ｗｂとバックシート５は接着部により間欠的に接着されているため、この構成により、バックシート５と吸収体６の位置ずれを回避可能である。
【0049】
このため、トップシート７を通過する際に酸性化物質が溶出した排出液の一部は、吸収体６の側面を通過していち早くバックシート５側に到達し、吸収コア６Ｃを通過した排出液がバックシート５に到達する前に、バックシート５と下層コアラップシート６Ｗｂとの間の非接着領域に、酸性の液体層を形成する。吸収コア６Ｃの内部から発生したアンモニアガスは、当該酸性の液体層を通過する際に中和されてアンモニウム塩となる。このため、アンモニアガスはバックシート５を通過せず、吸収パッド１から生じる不快臭を軽減できる。
【0050】
＜第２の形態＞
図４は、第２の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。図４は、具体的には
、図３と同様に、図１の吸収パッド１の、Ａ－Ａ線の断面図である。第２の形態では、吸収コア６Ｃは、上層吸収マット６ａを厚さ方向に貫通して形成される貫通溝である上層貫通溝を備えている。上層貫通溝は、上層吸収マット６ａの幅方向略中央に形成されており、少なくとも股下領域１Ｂにおいて、吸収パッド１の長手方向に延在している。一例としては、上層貫通溝の前身頃領域１Ｆ側の端部は、前身頃領域１Ｆの中程まで延在しており、後身頃領域１Ｒ側の端部は、後身頃領域１Ｒを長手方向に三等分した場合に股下領域１Ｂと隣接する領域まで延在している。上層吸収マット６ａは、図４に示す股下領域１Ｂでは、上記上層貫通溝により、上層吸収マット６ａＬ，６ａＲに分割されている。上層吸収マット６ａＬ，６ａＲと下層吸収マット６ｂの層間に設けられるＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒは、上層貫通溝に隣接する位置に配置されている。
図４は、第２の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。図４は、具体的には
、図３と同様に、図１の吸収パッド１の、Ａ－Ａ線の断面図である。第２の形態では、吸収コア６Ｃは、上層吸収マット６ａを厚さ方向に貫通して形成される貫通溝である上層貫通溝を備えている。上層貫通溝は、上層吸収マット６ａの幅方向略中央に形成されており、少なくとも股下領域１Ｂにおいて、吸収パッド１の長手方向に延在している。一例としては、上層貫通溝の前身頃領域１Ｆ側の端部は、前身頃領域１Ｆの中程まで延在しており、後身頃領域１Ｒ側の端部は、後身頃領域１Ｒを長手方向に三等分した場合に股下領域１Ｂと隣接する領域まで延在している。上層吸収マット６ａは、図４に示す股下領域１Ｂでは、上記上層貫通溝により、上層吸収マット６ａＬ，６ａＲに分割されている。上層吸収マット６ａＬ，６ａＲと下層吸収マット６ｂの層間に設けられるＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒは、上層貫通溝に隣接する位置に配置されている。
【0051】
人体の排出孔は、正中線に沿って存在している。このため、トップシート７の肌面側に流入した排出液は、トップシート７が含有する水溶性の酸性化物質を溶かしながら上層吸収マット６ａの上層貫通溝に容易に落ち込み、下層吸収マット６ｂの広範囲で保持され、ＳＡＰ粒子を含む上層吸収マット６ａＬ，６ａＲおよびＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒにより吸収される。上層貫通溝を設けることにより、酸性化物質が溶け込んだ排出液は、吸収コア６Ｃのより広範囲で吸収されて酸化層を形成する。後から排出された排出液からアンモニアガスが発生した場合でも、アンモニアガスがバックシート５に到達する前に酸性層を通過し、当該酸性層で中和されてアンモニウム塩となるため、バックシート５からのアンモニアガスの放出は抑制される。
【0052】
また、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒが上層貫通溝に隣接する箇所に設置されていることにより、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒからこぼれて上層貫通溝に落ち込んだＳＡＰ粒子は、最初に流入した排出液を吸収して上層貫通溝の底に広がって酸性層を形成する。当該酸性層により、アンモニアガスを効果的に中和することができる。その他は、第１の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
図５は、第２の形態の変形例に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。当該形態では、下層吸収マット６ｂの上層貫通溝の底面に相当する部分にＳＡＰ粒子を接着して、ＳＡＰ層１１Ｃとしたものである。図２の形態では、層間に設けられたＳＡＰ層１１Ｌ，１１ＲからＳＡＰ粒子がこぼれ、当該ＳＡＰ粒子が酸性化物質を含む排出液を吸収することで、上層貫通溝の底面に酸性層を形成する。本変形例は、予め上層貫通溝の底面にＳＡＰ粒子を配置することで、偶然性を排除し、上層貫通溝の底面において酸性層が確実に形成されるようにしたものである。本変形例のその他の構成は、第２の形態と同様である。
【0054】
＜第３の形態＞
図６は、第３の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第３の形態は、第２の形態の上層貫通溝に加えて、下層吸収マット６ｂを厚さ方向に貫通して形成される貫通溝である下層貫通溝を備えている。下層吸収マット６ｂは、図４に示す股下領域１Ｂでは、上記下層貫通溝により、下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲに分割されている。下層貫通溝は、上層貫通溝に重畳して、上層貫通溝よりも狭い幅で形成されている。上層吸収マット６ａに設けられた上層貫通溝と、下層吸収マット６ｂに設けられた下層貫通溝により、吸収コア６Ｃには、略逆台形状の貫通溝が設けられている。換言すれば、上層貫通溝と下層貫通溝は、肌面側から非肌面側に連通している。貫通溝を略逆台形状とすることにより、貫通溝に流入した排出液が接触する上層吸収マット６ａ，下層吸収マット６ｂにより形成される壁面の面積を増加させることができ、排出液の吸収効果をより高めることができる。
図６は、第３の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第３の形態は、第２の形態の上層貫通溝に加えて、下層吸収マット６ｂを厚さ方向に貫通して形成される貫通溝である下層貫通溝を備えている。下層吸収マット６ｂは、図４に示す股下領域１Ｂでは、上記下層貫通溝により、下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲに分割されている。下層貫通溝は、上層貫通溝に重畳して、上層貫通溝よりも狭い幅で形成されている。上層吸収マット６ａに設けられた上層貫通溝と、下層吸収マット６ｂに設けられた下層貫通溝により、吸収コア６Ｃには、略逆台形状の貫通溝が設けられている。換言すれば、上層貫通溝と下層貫通溝は、肌面側から非肌面側に連通している。貫通溝を略逆台形状とすることにより、貫通溝に流入した排出液が接触する上層吸収マット６ａ，下層吸収マット６ｂにより形成される壁面の面積を増加させることができ、排出液の吸収効果をより高めることができる。
【0055】
第３の形態では、上層吸収マット６ａに加えて下層吸収マット６ｂにも貫通溝が設けられる。これにより、層間に設けられたＳＡＰ層１１Ｌ，１１ＲからこぼれたＳＡＰ粒子は
下層貫通溝に落ち込んで、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に存在するようになる。この状態で排出液が吸収体６に流入すると、酸性化物質を含む排出液は吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に入り込み、酸化層を形成する。特に、下層貫通溝に存在するＳＡＰ粒子には排出液が直接流入するため、酸性化物質を含む排出液を効果的に吸収することができ、下層貫通溝の底面に酸性層を形成できる。このため、後から流入した排出液からアンモニアガスが発生しても、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間でこれを中和してアンモニウム塩とすることができるので、バックシート５へのアンモニアガスの到達を抑制可能である。
下層貫通溝に落ち込んで、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に存在するようになる。この状態で排出液が吸収体６に流入すると、酸性化物質を含む排出液は吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に入り込み、酸化層を形成する。特に、下層貫通溝に存在するＳＡＰ粒子には排出液が直接流入するため、酸性化物質を含む排出液を効果的に吸収することができ、下層貫通溝の底面に酸性層を形成できる。このため、後から流入した排出液からアンモニアガスが発生しても、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間でこれを中和してアンモニウム塩とすることができるので、バックシート５へのアンモニアガスの到達を抑制可能である。
【0056】
また、本形態では、吸収コア６Ｃを貫通する各貫通溝に排出液が流入して長手方向に流れ、各貫通溝の側面からも吸収されることより、排出液を迅速に分散して吸収することが可能である。
【0057】
＜第４の形態＞
図７は、第４の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第４の形態は、第３の形態に加えて、吸収コア６Ｃの非肌面側と下層コアラップシート６Ｗｂとの間に、ＳＡＰ層１２を設けたものである。第４の形態では、予め吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間にＳＡＰ粒子を配置することで偶然性を排除し、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に酸性層を確実に形成できるようにしたものである。
図７は、第４の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第４の形態は、第３の形態に加えて、吸収コア６Ｃの非肌面側と下層コアラップシート６Ｗｂとの間に、ＳＡＰ層１２を設けたものである。第４の形態では、予め吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間にＳＡＰ粒子を配置することで偶然性を排除し、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に酸性層を確実に形成できるようにしたものである。
【0058】
吸収パッド１に最初に流入した排出液は、トップシート７に含まれる酸性化物質を溶かしながら吸収コア６Ｃに流入する。このため、吸収パッド１に最初に流入した排出液は酸性である。吸収コア６Ｃに流入した排出液は、上層吸収マット６ａと下層吸収マット６ｂの各貫通溝を流れて、下層貫通溝の底部から、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に設けられたＳＡＰ層１２に流入する。ＳＡＰ層１２は、当該酸性の水溶液を順次吸収して膨張し、吸収コア６Ｃと下層コアラップシート６Ｗｂとの間に酸性層を形成する。このため、後から流入した排出液からアンモニアガスが発生した場合でも、当該酸性層でこれを中和してアンモニウム塩を生成できるので、バックシート５へのアンモニアガスの到達を抑制可能である。
【0059】
＜第５の形態＞
図８は、第５の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第５の形態は、第３の形態に加えて、下層吸収マット６ｂを下層貫通溝で分割した下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲと、その上層吸収マット６ａ側に設けられたＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒと、をそれぞれ透水性の保護シート１３Ｌ，１３Ｒで覆ったものである。保護シート１３Ｌ，１３Ｒを設けない場合、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒに含まれるＳＡＰ粒子は、下層貫通溝にこぼれて酸性化物質を含む排出液を吸収し、吸収コア６Ｃと下層コアラップシートＷｂとの間に酸性層を形成することもあるが、着用者の体位により、想定外の位置に移動することもある。下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲとＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒを保護シート１３Ｌ，１３Ｒで覆うことで、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒに含まれるＳＡＰ粒子の移動範囲を限定することができる。この構成により、酸性層が形成される箇所を一定範囲に限定することができ、想定外の機能低下を防ぐことができる。
図８は、第５の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。第５の形態は、第３の形態に加えて、下層吸収マット６ｂを下層貫通溝で分割した下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲと、その上層吸収マット６ａ側に設けられたＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒと、をそれぞれ透水性の保護シート１３Ｌ，１３Ｒで覆ったものである。保護シート１３Ｌ，１３Ｒを設けない場合、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒに含まれるＳＡＰ粒子は、下層貫通溝にこぼれて酸性化物質を含む排出液を吸収し、吸収コア６Ｃと下層コアラップシートＷｂとの間に酸性層を形成することもあるが、着用者の体位により、想定外の位置に移動することもある。下層吸収マット６ｂＬ，６ｂＲとＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒを保護シート１３Ｌ，１３Ｒで覆うことで、ＳＡＰ層１１Ｌ，１１Ｒに含まれるＳＡＰ粒子の移動範囲を限定することができる。この構成により、酸性層が形成される箇所を一定範囲に限定することができ、想定外の機能低下を防ぐことができる。
【0060】
＜第６の形態＞
図９は、第６の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。上述の各形態では、上層吸収マット６ａは吸収体６の長手方向全領域において、下層吸収マット６ｂ以上の横幅を有している。これに対して、第６の形態では、下層吸収マット６ｂは、上層吸収マット６ａ以上の横幅を有している。本形態では、下層吸収マット６ｂが略瓢箪型であり、上層吸収マット６ａが長方形状であってよい。また、本形態では、下層吸収マット６ｂがＳＡＰ粒子を含んでいてよい。
図９は、第６の形態に係る吸収パッドの内部構造を示す図である。上述の各形態では、上層吸収マット６ａは吸収体６の長手方向全領域において、下層吸収マット６ｂ以上の横幅を有している。これに対して、第６の形態では、下層吸収マット６ｂは、上層吸収マット６ａ以上の横幅を有している。本形態では、下層吸収マット６ｂが略瓢箪型であり、上層吸収マット６ａが長方形状であってよい。また、本形態では、下層吸収マット６ｂがＳＡＰ粒子を含んでいてよい。
【0061】
本形態では、上層吸収マット６ａの幅が狭いため、トップシート７に含まれる酸性化物質を溶かしながら吸収コア６Ｃに流入した排出液は、下層吸収マット６ｂの広範囲に流入する。排出液はやがて吸収されて、下層吸収マット６ｂの広範囲で酸性層を形成する。下層吸収マット６ｂの幅が広いため、吸収コア６Ｃの内部から発生したアンモニアガスは、バックシート５に到達する前に、下層吸収マット６ｂの内部に形成された酸性層に接触しやすくなる。酸性層に接触したアンモニアガスは中和反応によりアンモニウム塩となるため、吸収コア６Ｃは、アンモニアガスを抑制することができる。
【0062】
上述の各形態の吸収体６の内部構造により、吸収体６は尿等に起因するアンモニアガスの発生を抑制することができる。上述の各形態では、下層コアラップシート６Ｗｂはティッシュペーパーである。ティッシュペーパーの液体透過性は高くないため、下層コアラップシート６Ｗｂに達した排出液は、その殆どが下層コアラップシート６Ｗｂを透過せず、下層コアラップシート６Ｗｂの表面を移動する。このため、トップシート７の幅方向端部に達した排出液は、トップシート７に含まれる酸性化物質を溶かしながら下層コアラップシート６Ｗｂの外側面を流れ、吸収体６とバックシート５とを接着する線状の接着剤ＨＭの間に形成されている非接着部に流入し、バックシート５と接する酸性層を形成する。
【0063】
例え吸収体６内部に形成された酸性層でアンモニアを中和できず、吸収体６からアンモニアガスが生成した場合でも、当該アンモニアガスはバックシート５と吸収体６との間に形成されている酸性層に接触することにより、バックシート５を透過する前に更に塩化アンモニウムに変化する。このため、バックシート５からのアンモニアガスの放出を更に抑制することができる。
【0064】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。上記実施形態では、吸収パッドを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明は、テープ型使い捨ておむつや、パンツ型使い捨ておむつ等の吸収性物品にも適用可能である。
【0065】
以上で開示した各実施形態やその変形例に含まれる特徴は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0066】
１・・吸収パッド
１Ｂ・・股下領域
１Ｆ・・前身頃領域
１Ｒ・・後身頃領域
２Ｌ，２Ｒ・・弾性体
３ＢＬ，３ＢＲ・・弾性体
３Ｌ，３Ｒ・・立体ギャザー
４・・カバーシート
５・・バックシート
６・・吸収体
６Ｃ・・吸収コア
６ａ，６ａＬ，６ａＲ・・上層吸収マット
６ｂ，６ｂＬ，６ｂＲ・・下層吸収マット
６Ｗ・・コアラップシート
６Ｗａ・・上層コアラップシート
６Ｗｂ・・下層コアラップシート
７・・トップシート
８Ｒ，８Ｌ・・サイドシート
ＨＭ・・ホットメルト
１１，１１Ｃ，１１Ｌ，１１Ｒ・・ＳＡＰ層
１２・・ＳＡＰ層
１３Ｌ，１３Ｒ・・保護シート
１Ｂ・・股下領域
１Ｆ・・前身頃領域
１Ｒ・・後身頃領域
２Ｌ，２Ｒ・・弾性体
３ＢＬ，３ＢＲ・・弾性体
３Ｌ，３Ｒ・・立体ギャザー
４・・カバーシート
５・・バックシート
６・・吸収体
６Ｃ・・吸収コア
６ａ，６ａＬ，６ａＲ・・上層吸収マット
６ｂ，６ｂＬ，６ｂＲ・・下層吸収マット
６Ｗ・・コアラップシート
６Ｗａ・・上層コアラップシート
６Ｗｂ・・下層コアラップシート
７・・トップシート
８Ｒ，８Ｌ・・サイドシート
ＨＭ・・ホットメルト
１１，１１Ｃ，１１Ｌ，１１Ｒ・・ＳＡＰ層
１２・・ＳＡＰ層
１３Ｌ，１３Ｒ・・保護シート
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】