(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126024
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】首曲がり容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B65D1/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030453
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 岳
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA13
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB10
3E033DD01
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】横倒しにしたときの安定性に優れた首曲がり容器を提供する。
【解決手段】首曲がり容器1は、底部2の側からみたときの輪郭形状が長軸方向を前後方向とするとともに短軸方向を幅方向とする扁平円形状であって、長軸方向部分3aの幅が長軸方向部分3bの幅よりも狭い胴部3と、胴部3の長軸方向に向かって屈曲する屈曲部分4aを有する首部4と、首部4の屈曲方向に指向する口部と、を備える。首部4の屈曲部分4aに、首曲がり容器1を横倒しにしたとき、胴部3の長軸方向部分3aと長軸方向部分3bとの間に形成された短軸方向部分3cとともに接地する接地面F1が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部の側からみたときの輪郭形状が長軸方向を前後方向とするとともに短軸方向を幅方向とする扁平円形状であって、長軸方向の一方側の部分の幅が長軸方向の他方側の部分の幅よりも狭い胴部と、前記胴部の長軸方向の一方側または他方側に向かって屈曲する屈曲部分を有する首部と、前記首部の屈曲方向に指向する口部と、を備える、首曲がり容器であって、
前記首部の前記屈曲部分に、前記首曲がり容器を短軸方向に横倒しにしたとき、前記胴部の長軸方向の前記一方側の前記部分と前記他方側の前記部分との間に形成された短軸方向の部分とともに接地する接地面が形成されている、首曲がり容器。
【請求項2】
前記首部の屈曲方向は、前記胴部の長軸方向の他方側の方向である、請求項1に記載された首曲がり容器。
【請求項3】
前記接地面は、前記底部の側からみたとき、前記胴部の前記短軸方向の前記部分の輪郭形状に沿った輪郭形状を有している、請求項1または2に記載された首曲がり容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首曲がり容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の首曲がり容器としては、例えば、塗布具に用いられた容器が知られている(特許文献1参照。)。前記容器は、首部に屈曲部分を含んでおり、手で握ったときにフィットするように滑らかな曲線を描くように外形が形成されている、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、首曲がり容器において、首部の屈曲部分の断面基本形状を非円形とした場合、例えば、屈曲したパリソンを用いてブロー成形するときに、当該パリソンの内部に供給された空気が旋回するなど、前記パリソンの末端側にて空気に乱れを生じさせることがある。こうした空気の乱れは、例えば、成形品としての首曲がり容器の底部側に影響を及ぼして当該底部側おける賦形性を低下させてしまう虞がある。そのため、首曲がり容器における首部の屈曲部分の断面基本形状は、円形とすることが望ましい。
【0005】
その一方で、首部の屈曲部分の断面基本形状が円形の首曲がり容器を横倒しにした際、当該首部の屈曲部分の外周面が接地してしまう場合がある。こうした首曲がり容器を、内容物が充填される前に、横倒しの状態で搬送するなどした場合、屈曲部分の外周面が接地面となることによって、例えば、首曲がり容器全体が揺れてしまい、或いは、首曲がり容器全体が回転してしまうなどの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、横倒しにしたときの安定性に優れた首曲がり容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る、首曲がり容器は、底部の側からみたときの輪郭形状が長軸方向を前後方向とするとともに短軸方向を幅方向とする扁平円形状であって、長軸方向の一方側の部分の幅が長軸方向の他方側の部分の幅よりも狭い胴部と、前記胴部の長軸方向の一方側または他方側に向かって屈曲する屈曲部分を有する首部と、前記首部の屈曲方向に指向する口部と、を備える、首曲がり容器であって、前記首部の前記屈曲部分に、前記首曲がり容器を短軸方向に横倒しにしたとき、前記胴部の長軸方向の前記一方側の前記部分と前記他方側の前記部分との間に形成された短軸方向の部分とともに接地する接地面が形成されている。
【0008】
本発明に係る、首曲がり容器において、前記首部の屈曲方向は、前記胴部の長軸方向の他方側の方向であるものとすることができる。
【0009】
本発明に係る、首曲がり容器において、前記接地面は、前記底部の側からみたとき、前記胴部の前記短軸方向部分の輪郭形状に沿った輪郭形状を有しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、横倒しにしたときの安定性に優れた首曲がり容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、首曲がり容器を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1の首曲がり容器を底部の側から概略的に示す底面図である。
【
図3】
図1の首曲がり容器を上側から概略的に示す平面図である。
【
図4】本発明との比較例としての首曲がり容器を概略的に示す側面図である。
【
図5】
図4の首曲がり容器を底部の側から概略的に示す底面図である。
【
図6】
図4の首曲がり容器を上側から概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、首曲がり容器について説明をする。
【0013】
本開示において、「前後方向」、「幅方向」および「上下方向」とは、互いに直交する方向である。ただし、本開示において、「前側」とは、首曲がり容器の口部が指向する側を意味する場合を含み、また、「後側」とは、首曲がり容器の口部が指向する側と反対側を意味する場合を含む。本開示において、「幅方向」とは、「左右方向」と同義である。また、本開示において、「下側」とは、首曲がり容器の底部の側を意味する場合を含み、また、「上側」とは、首曲がり容器の底部と反対側を意味する場合を含む。また、「断面基本形状」とは、首曲がり容器の延在軸線に対して直交する平面で、対象部分を切ったときの断面形状のうち、当該対象部分の基本的な形状を表す断面形状をいう。
【0014】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る、首曲がり容器である。首曲がり容器1は、例えば、屈曲した樹脂製のパリソンを用いた押出しブロー成形によって成形することができる。
【0015】
図1を参照すれば、首曲がり容器1は、底部2と、底部2に連なる胴部3と、胴部3に連なる首部4と、首部4に連なる口部5とを備えている。本開示において、符号О1は、首曲がり容器1の首部4の中心の通り上下方向に延在する第1延在軸線である。また、本開示において、符号О2は、首曲がり容器1の口部5の中心を通り当該口部5が指向する向きを規定する第2軸線である。首曲がり容器1の延在軸線は、首曲がり容器1の延在方向を規定する。本開示において、首曲がり容器1の延在軸線は、第1延在軸線О1と、第2延在軸線О2とによって形成されている。本開示において、第2延在軸線О2は、首部4にて、第1延在軸線О1に対して屈曲している。本開示において、第1延在軸線О1と、第2延在軸線О2との交点が、首部4の屈曲点である。これによって、首部4には、屈曲部分4aが形成されている。
【0016】
図2には、首曲がり容器1が底部2の側から示されている。
【0017】
図2に示すように、胴部3は、底部2の側からみたときの輪郭形状が長軸方向を前後方向とするとともに短軸方向を幅方向とする扁平円形状であって、長軸方向の一方側の部分3a(以下、「長軸方向一方側部分3a」ともいう。)の幅が長軸方向の他方側の部分3b(以下、「長軸方向他方側部分3b」ともいう。)の幅よりも狭い。
【0018】
ここで、本開示において、長軸方向は、前後方向に一致し、短軸方向は、幅方向(左右方向)に一致する。また、本開示において、長軸方向の一方側および他方側は、胴部3の幅(左右方向の幅)の大小関係で決定される相対的な位置関係である。本開示において、口部5が指向する側は、上述のとおり、前側である。また、本開示において、長軸方向一方側部分3aは、後述のとおり、口部2が指向する側と反対側に位置し、長軸方向他方側部分3bは、口部2が指向する側に位置している。したがって、本開示において、長軸方向の一方側は、後側であり、長軸方向の他方側は、前側である。なお、
図3において、符号L1は、前後方向(長軸方向)を示し、符号L2は、幅方向(短軸方向)を示している。
【0019】
本開示において、長軸方向一方側部分3aは、
図2に示すように、首曲がり容器1の内部に中心Оaを有する曲率半径raの曲線(曲面)によって形成されている。また、本開示において、長軸方向他方側部分3bは、
図2に示すように、首曲がり容器1の内部に中心Оbを有する曲率半径rbの曲線(曲面)によって形成されている。本開示において、曲率半径raは、曲率半径rbよりも小さい。
【0020】
また、胴部3には、長軸方向一方側部分3aと長軸方向他方側部分3bとの間に、短軸方向部分3cが形成されている。本開示において、短軸方向部分3cの長軸方向一方側は、長軸方向一方側部分3aに連なっており、当該短軸方向部分3cは、長軸方向一方側部分3aの接線である。また、本開示において、短軸方向部分3cの長軸方向他方側は、長軸方向他方側部分3bに連なっており、当該短軸方向部分3cは、長軸方向他方側部分3bの接線でもある。即ち、本開示において、短軸方向部分3cは、
図2に示すように、長軸方向一方側部分3aと長軸方向他方側部分3bと繋ぐ、直線(首曲がり容器1を短軸方向からみたときには「平面」である。)によって形成されている。ただし、本開示において、直線(平面)には、わずかに湾曲した直線(平面)が含まれる。
【0021】
また、本開示において、胴部3は、
図1に示すように、首部4に向かうにしたがって先細りしている。詳細には、
図1に示すように、長軸方向他方側部分3bが長軸方向一方側部分3aよりも大きく先細りしている。
【0022】
首部4の屈曲部分4aは、胴部3の長軸方向の一方側または他方側に向かって屈曲している。本開示において、屈曲部分4aは、胴部3の長軸方向の他方側に向かって屈曲している。
【0023】
口部5は、
図1に示すように、首部4の屈曲方向に指向する。本開示において、前側は、上述のとおり、口部5が指向する側である。即ち、本開示において、首部4の屈曲方向は、前側に向かって指向する向きであり、長軸方向他方側部分3bは、前側に配置されており、また、長軸方向一方側部分3aは、後側に配置されている。
【0024】
加えて、首部4の屈曲部分4aには、接地面F1が形成されている。接地面F1は、首曲がり容器1を短軸方向に横倒しにしたとき、短軸方向部分3cとともに接地する。接地面F1は、首曲がり容器1を胴部3の短軸方向に横倒しにしたとき、短軸方向部分3cとともに接地面に対して接地できる形状であれば、平坦な平面とすることができ、あるいは、わずかに湾曲した曲面とすることもできる。
【0025】
本開示のように、首部4の屈曲部分4aに、首曲がり容器1を横倒しにしたときに、胴部3の短軸方向部分3cとともに接地する接地面F1を形成すれば、例えば、
図2に示すように、首曲がり容器1を横倒しにしたときには、胴部3の短軸方向部分3cと首部4の屈曲部分4aの接地面F1とは、作業面、搬送面などの接地側の接地面に対して同時かつ平面的に接触する。この場合、首曲がり容器1を横倒しにした状態で前後方向に揺らそうとしても、当該首曲がり容器1は揺れ難くなる。また、首曲がり容器1を横倒しにした状態で、胴部の長軸方向一方側部分3aの曲面または長軸方向他方側部分3bの曲面に沿って前後方向に揺れることがあっても、胴部3の短軸方向部分3cと接地面F1とが接地側の接地面に対して平面的に接触していることから、首曲がり容器1の揺れは、比較的短時間で収束した後に停止する。したがって、本開示の首曲がり容器1は、横倒しにしたときの安定性、特に、内容物が充填されてない状態で横倒しにしたときの安定性に優れる。
【0026】
図3には、首曲がり容器1が上側から概略的に示されている。本開示において、接地面F1は、
図3に示すように、上側からみたとき、首部4の屈曲部分4aのうち、胴部4よりも突出する部分(
図3の二点鎖線で示す部分)を除去することによって形成することができる。
【0027】
また、本開示において、接地面F1は、
図2に示すように、底部2の側からみたとき、胴部3の短軸方向部分3cの輪郭形状に沿った輪郭形状を有している。即ち、本開示において、接地面F1は、
図2に示すように、胴部3の短軸方向部分3cの輪郭形状に一致している。この場合、接地面F1は、胴部3の短軸方向部分3cの輪郭形状が直線(平面)であるときには、直線(平面)となり、胴部3の短軸方向部分3cの輪郭形状が曲線(曲面)であるときには、曲線(曲面)となる。
【0028】
本開示のように、底部2の側からみたときの接地面F1の輪郭形状を、胴部3の短軸方向部分3cの輪郭形状に沿った輪郭形状とした場合、胴部3の短軸方向部分3cと接地面F1との、接地側の接地面に対する接触は、より安定したものとなる。したがって、この場合、首曲がり容器1の安定性をより向上させることができる。
【0029】
また、本開示において、首部4の屈曲方向は、上述のとおり、胴部3の長軸方向他方側の方向である。即ち、本開示において、胴部3の長軸方向他方側部分3bは、前側に配置されている。この場合、首曲がり容器1の安定性をより一層向上させることができる。
【0030】
図4には、本発明との比較のための比較例である、首曲がり容器10が概略的に示されている。また、
図5には、首曲がり容器10が底部2の側から概略的に示されている。さらに、
図6には、首曲がり容器10が上側から概略的に示されている。なお、以下の説明において、首曲がり容器1と実質的に同一の事項については、同一の符号を使用している。
【0031】
図4に示すように、首曲がり容器10において、首部4の屈曲部分4aには、接地面F1は存在しない。首曲がり容器10において、首部4の屈曲部分4aには、
図5および6に示すように、断面基本形状が円形である屈曲部分4aの外周面そのものが接地面F2として機能している。この場合、
図5および6に示すように、接地面F2は、胴部3の短軸方向部分3cとともに同時に接地することはなく、首部4の屈曲部分4aの外周面である接地面F2と胴部3の短軸方向部分3cとのそれぞれが、前後方向の異なる位置において、接地側の接地面に接地することとなる。このため、首曲がり容器10は、横倒しにしたときの、前後方向の重心バランスの関係によって、前後方向に揺れ易い。また、首曲がり容器10を横倒しにした状態で前後方向に揺らしたとき、首曲がり容器10の揺れは、接地面F2が首部4の屈曲部分4aの外周面であるため、首曲がり容器1に比べて大きく、反転し易い。また、首曲がり容器10を横倒しにした状態で前後方向に揺れるときも、首曲がり容器10の揺れは、接地面F2が首部4の屈曲部分4aの外周面であるため、首曲がり容器1に比べて、長い時間をかけて収束した後に停止する。これによって、比較例である首曲がり容器10は、例えば、成形後の首曲がり容器1の搬送時、製品組み立て時の搬送時などにおいて、前後方向の揺れ(ふらつき)や反転を生じ易く、円滑なライン搬送や生産作業を実現するという点で改善の余地がある。
【0032】
これに対し、上述のとおり、本開示の首曲がり容器1は、胴部3の短軸方向部分3cと首部4の屈曲部分4aの接地面F1とは、接地側の接地面に対して同時かつ平面的に接触することから、前後方向の重心バランスに優れ、内容物が充填されてない状態で横倒しにしたときの安定性が向上する。これによって、本開示の首曲がり容器1は、例えば、成形後の首曲がり容器1の搬送時、製品組み立て時の搬送時などにおいて、前後方向の揺れ(ふらつき)や反転を生じ難く、円滑なライン搬送や生産作業を実現することができる。特に首曲がり容器は、当該首曲がり容器の重量を減少させた場合、重心バランスの関係から、横倒しにした状態では回転しやすくなる傾向となる。これに対し、本開示の首曲がり容器1は、当該首曲がり容器1の厚み(肉厚)を薄肉化し、当該首曲がり容器1の重量を減らした場合でも、横倒しにした状態での回転が生じ難くなる。したがって、本開示の首曲がり容器1は、当該首曲がり容器1の重量を軽減させた場合、より有効である。
【0033】
なお、
図7には、首曲がり容器1のA-A断面と、首曲がり容器10のA-A断面とが示されている。
図7に示すように、首曲がり容器1の首部4の断面基本形状は、首曲がり容器10の首部4の断面基本形状と同様、円形である。したがって、首部4に形成された内部通路Rの断面基本形状もまた、円形である。
【0034】
これに対し、
図8には、首曲がり容器1のB-B断面が示されている。B-B断面は、首部4の屈曲部分4aを通る水平面で切断した断面である。また、
図9には、首曲がり容器10のC-C断面が示されている。C-C断面は、B-B断面と同様に、首部4の屈曲部分4aを通る水平面で切断した断面である。
【0035】
図8と
図9とを比較すれば、
図8の本開示に係る屈曲部分4aに形成された内物通路R1の断面形状は、
図9の比較例に係る屈曲部分4aに形成された内物通路R2の断面形状と同様に、ほぼ円形に保たれている。このため、本開示の首曲がり容器1は、ブロー成形時においても、首曲がり容器10とほぼ同等に、胴部3の底部側の賦形性に優れている。
【実施例0036】
以下の表は、本発明の実施例1としての首曲がり容器1と、実施例1との比較のための比較例1としての首曲がり容器10とをそれぞれ、内容物が充填されてない状態で、かつ、横倒しにした状態から、前後方向に揺らし始め、その揺れが開始されてからその揺れが止まるまでの時間(以下、「揺れ時間」ともいう。)を計測した試験結果である。この試験では、実施例1と比較例1との、大きさおよび容量は同一としている。
【0037】
【0038】
この試験は、実施例1と比較例1とのそれぞれで、計5回行った。計測時間の単位は、「秒」である。平均揺れ時間は、5回の試験の揺れ時間の平均である。平均揺れ時間の差は、実施例1の平均揺れ時間から比較例1の平均揺れ時間を引いた値である。
【0039】
この試験では、実施例1と、比較例1とはそれぞれ、平滑面(定盤)を接地側として、当該平滑面上に横倒しにした。次いで、この試験では、横倒しの状態から、胴部3の長軸方向一方側部分3aが胴部3の長軸方向他方側部分3bよりも上側に傾くように、胴部3の長軸方向他方側部分3bを指で押し下げた。その後、この試験では、指を胴部3の長軸方向他方側部分3bから離すことによって、首曲がり容器を前後方向に揺らした。揺れ時間は、胴部3の長軸方向他方側部分3bから指を離した瞬間からその揺れが停止するまでの時間を計ることによって計測した。また、この試験において、実施例1と比較例1とのそれぞれには、首曲がり容器を横倒しにしたときに、当該首曲がり容器の胴部の長軸が前後方向に対して45度になるまでの傾きを与えることによって、揺れを生じさせた。
【0040】
表1によれば、5回の試験のいずれの場合も、揺れが止まるまでの時間は、実施例1の方が比較例1の方よりも短いことがわかる。例えば、1回目の試験では、実施例1の揺れ時間は、5.2秒であるのに対し、比較例1の揺れ時間は、10.1秒であった。また、表1によれば、5回の平均揺れ時間も、実施例1の方(4.52秒)が比較例1の方(9.54秒)よりも短いことがわかる。ちなみに、平均揺れ時間の差は、-5.02秒、即ち、実施例1の平均揺れ時間の方が、比較例1の平均揺れ時間の方よりも、5.02秒だけ短く済んだことがわかる。
【0041】
上述のとおり、本発明によれば、横倒しにしたときの安定性に優れた首曲がり容器を提供することができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態に係る、丸瓶形状容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。
1:首曲がり容器(本発明の実施形態), 2:底部, 3:胴部, 3a:胴部の長軸方向一方側部分, 3b:胴部の長軸方向他方側部分, 3c:胴部の短軸方向部分, 4:首部, 4a:屈曲部分, 5:口部, 10:首曲がり容器(比較例), F1:接地面(本発明の実施形態), F2:接地面(比較例), О1:第1延在軸線(容器延在軸線), О2:第2延在軸線(容器延在軸線)