(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126031
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】地中推進体およびそれを用いた敷設方法。
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20230831BHJP
E21B 7/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
E21D9/06 311A
E21D9/06 311C
E21B7/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030467
(22)【出願日】2022-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】506343704
【氏名又は名称】株式会社トーメック
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】植野 進一
(72)【発明者】
【氏名】壁内 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健太
(72)【発明者】
【氏名】三角 久
(72)【発明者】
【氏名】内田 みつる
【テーマコード(参考)】
2D054
2D129
【Fターム(参考)】
2D054AC18
2D054AD32
2D054GA17
2D054GA42
2D054GA84
2D129AA02
2D129AB06
2D129BB20
2D129DA26
2D129EC14
2D129EC30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の推進体Sでは、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合に地上設置物のまわりを大回りさせて推進到達設定地点まで推進させる必要があるという問題点を有していた。
【解決手段】本発明は、第一地中推進管3の屈曲連結部11が、第二地中推進管4の屈曲連結部11および第三以降地中推進管5の屈曲連結部11よりも多く設けられるので、先端方向の第一地中推進管3の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔が形成され、そして、第二地中推進管4および第三以降地中推進管5は、第一地中推進管3により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体であって、
長手方向軸に対し傾斜した受圧面部が先端部に形成され、該受圧面部が推進に伴って土圧を受けることにより、該受圧面部の傾斜方向に推進する推進ヘッドと、
該推進ヘッドの後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第一地中推進管と、
該第一地中推進管の後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第二地中推進管と、
該第二地中推進管の後方にそれぞれ推進管連結手段を介し複数個の地中推進管が連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられたそれぞれの前記地中推進管から構成される第三以降地中推進管と、を有し、
前記第一地中推進管の前記屈曲連結部は、前記第二地中推進管の前記屈曲連結部および前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられていることを特徴する地中推進体。
【請求項2】
前記推進ヘッドは、先端部を長手方向軸芯周りに回転させることができることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項3】
前記第二地中推進管の前記屈曲連結部は、前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられていることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項4】
前記第一地中推進管の前記屈曲連結部は、4個~6個設けられることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項5】
前記第一地中推進管、前記第二地中推進管および前記第三以降地中推進管が順に地中に押し込まれる地中推進管地中押込工程と、
該地中推進管地中押込工程により押し込まれた前記第一地中推進管の先方に連結される前記推進ヘッドの先端部が長手方向軸芯周りに回転操作される推進ヘッド回転操作工程と、
該推進ヘッド回転操作工程により前記推進ヘッドの先端部が回転操作されることで該推進ヘッドの推進方向を変化させながら推進到達設定地点の地表面に該推進ヘッドが到達された後、地表面から突出した該推進ヘッドの先端部がさや管の端部と連結手段により連結される推進ヘッドさや管連結工程と、
該推進ヘッドさや管連結工程により前記推進ヘッドと連結された前記さや管が、前記第一地中推進管と前記第二地中推進管と前記第三以降地中推進管とともに、前記地中推進管地中押込工程により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる供給管地中引込工程と、を有し、
前記推進ヘッド推進工程は、前記第一地中推進管の前記屈曲連結部が前記第二地中推進管の前記屈曲連結部および前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられることにより、先端方向の前記第一地中推進管をより小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進できることを特徴とする請求項2記載の地中推進体を用いた水道管等の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体およびそれを用いた水道管等の敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体が知られている。この種の推進体S(地中推進体)として、外面略円筒面状の推進ヘッド101と、その推進ヘッド101の後方に連結された複数の推進管102とから構成される推進本体103が設けられ、推進ヘッド101とそれぞれの推進管102とは、非屈曲連結部R2により連結されている(
図11参照)。そして、推進ヘッド101の先端部には、ヘッド軸芯Pに対して傾斜した受圧面部Eが形成され、その推進ヘッド101の中間部と推進管102の中間部には、推進本体103の径方向に沿う横軸芯X周りに屈曲自在に形成された屈曲連結部R1が設けられている。そして、推進ヘッド101の受圧面Eが推進に伴って土圧を受け、屈曲連結部R1を基点として推進ヘッド101および推進管102が屈曲されることにより、推進ヘッド101と推進管102は、受圧面Eが向く方向とは反対方向に推進されるというものであった(たとえば、特許文献1)。ここで、
図11は従来の地中推進体の平面図である。
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の推進体Sでは、推進ヘッド101の中間部に屈曲する屈曲連結部R1が1個、それぞれの推進管102の中間部に屈曲連結部R1が2個ずつ設けられているものであるが、これらの屈曲連結部R1では、推進体Sを小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進させることに限界があり、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合に地上設置物のまわりを大回りさせて推進到達設定地点まで推進させる必要があるという問題点が生じていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる地中推進体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体であって、長手方向軸に対し傾斜した受圧面部が先端部に形成され、該受圧面部が推進に伴って土圧を受けることにより、受圧面部の傾斜方向に推進する推進ヘッドと、推進ヘッドの後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第一地中推進管と、第一地中推進管の後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第二地中推進管と、第二地中推進管の後方にそれぞれ推進管連結手段を介し複数個の地中推進管が連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられたそれぞれの地中推進管から構成される第三以降地中推進管と、を有し、第一地中推進管の屈曲連結部は、第二地中推進管の屈曲連結部および第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられているものである。
【0007】
本発明によれば、第一地中推進管の屈曲連結部が、第二地中推進管の屈曲連結部および第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられるので、先端方向の第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔が形成され、そして、第二地中推進管および第三以降地中推進管は、第一地中推進管により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る地中推進体であって、推進ヘッドは、先端部を長手方向軸芯周りに回転させることができることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、推進ヘッドが先端部を長手方向軸芯周りに回転させることができるので、推進ヘッドを180度回転させながら推進させることにより直進方向に推進させることができるなど推進方向を柔軟に変化させることができる。これにより、推進ヘッドを推進計画線に沿わせて精度よく屈曲推進させていくことができるとともに、推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る地中推進体であって、第二地中推進管の屈曲連結部は、第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、屈曲連結部が第一地中推進管→第二地中推進管→第三以降地中推進管の順で多く設けられているので、先端方向の第一地中推進管の推進により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って、第二地中推進管そして第三以降地中推進管をよりスムーズに推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係る地中推進体であって、第一地中推進管の屈曲連結部は、4個~6個設けられることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、地中推進体の先端部に近い第一地中推進管に屈曲連結部が4個~6個設けられるので、地中推進体の先端側を十分屈曲させて推進させることができ、地中推進体を十分小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進をさせることができる。
【0014】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第2の態様に係る地中推進体を用いた水道管等の敷設方法であって、第一地中推進管、第二地中推進管および第三以降地中推進管が順に地中に押し込まれる地中推進管地中押込工程と、地中推進管地中押込工程により押し込まれた第一地中推進管の先方に連結される推進ヘッドの先端部が長手方向軸芯周りに回転操作される推進ヘッド回転操作工程と、推進ヘッド回転操作工程により推進ヘッドの先端部が回転操作されることで推進ヘッドの推進方向を変化させながら推進到達設定地点の地表面に推進ヘッドが到達された後、地表面から突出した推進ヘッドの先端部がさや管の端部と連結手段により連結される推進ヘッドさや管連結工程と、推進ヘッドさや管連結工程により推進ヘッドと連結されたさや管が、第一地中推進管と第二地中推進管と第三以降地中推進管とともに、地中推進管地中押込工程により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる供給管地中引込工程と、を有し、推進ヘッド推進工程は、第一地中推進管の屈曲連結部が第二地中推進管の屈曲連結部および第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられることにより、先端方向の第一地中推進管をより小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進できることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、第一地中推進管の屈曲連結部が、第二地中推進管の屈曲連結部および第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられるので、先端方向の第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔が形成され、そして、第二地中推進管および第三以降地中推進管は、第一地中推進管により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合に地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明の一実施形態における地中推進体の施工状況を示す概略図である。(b)同地中推進体先端の推進ヘッドとさや管の先端部がО型金具により連結されていることを示す図である。
【
図2】同地中推進体の推進ヘッド先端の先導体の回転状況を示す図である。
【
図3】(a)同地中推進体の推進ヘッドの一部断面図である。(b)同地中推進体の推進ヘッドの結合分割図である。
【
図4】(a) 同地中推進体の平面図である。(b)同地中推進体の正面図である。
【
図5】(a)
図4(b)のA-A間のC-C拡大断面図である。(b)
図5(a)のD-D断面図である。(c)
図4(b)のB-B間のC-C拡大断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における地中推進体の非屈曲連結部の結合分割図である。
【
図7】同地中推進体の屈曲連結部の屈曲作用説明図である。
【
図8】同地中推進体に用いられる誘導アンテナを示す図である。
【
図9】同地中推進体が操作される操作ボックスの操作面を示す図である。
【
図10】同地中推進体を用いた水道管等の敷設方法のフローチャートである。
【
図11】従来の地中推進体の推進状況を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態における地中推進体について、図面を参照にしながら説明する。ここで、
図1(a)は本発明の一実施形態における地中推進体の施工状況を示す概略図であり、
図1(b)は、本発明の一実施形態における地中推進体先端の推進ヘッドとさや管の先端部がО型金具により連結されていることを示す図である。
【0019】
図1(a)に示すように、地中推進体1は、推進ヘッド2の後方に第一地中推進管3が連結され、その第一地中推進管3の後方に第二地中推進管4および第三以降地中推進管5の順で連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられるものである。そして、後述するように、推進ヘッド2の後方に連結された第一地中推進管3、第二地中推進管4および第三以降地中推進管5は、推進開始地点STに形成されたピット16に配置された推進装置6により先方から順次押し込まれ、推進ヘッド2を推進到達設定地点ARの地表面に到達させることができる。そして、推進到達設定地点ARの地表面に推進ヘッド2が到達された後は、後述するように、地表面から突出した推進ヘッド2の先端部がさや管19の端部とО型金具24により連結される(
図1(b)参照)。このさや管19の内部には、パイプ25が内挿されている。
【0020】
次に、本発明の一実施形態における地中推進体について、
図2~
図8を参照にしながら説明する。ここで、
図2は同地中推進体の推進ヘッド先端の先導体の回転状況を示す図であり、
図3(a)は同地中推進体の推進ヘッドの一部断面図であり、
図3(b)は同地中推進体の推進ヘッドの結合分割図であり、
図4(a)は同地中推進体の平面図であり、
図4(b)は同地中推進体の正面図であり、
図5(a)は
図4(b)のA-A間のC-C拡大断面図であり、
図5(b)は
図5(a)のD-D断面図であり、
図5(c)は
図4(b)のB-B間のC-C拡大断面図であり、
図6は本発明の一実施形態における地中推進体の非屈曲連結部の結合分割図であり、
図7は同地中推進体の屈曲連結部の屈曲作用説明図であり、
図8は同地中推進体に用いられる誘導アンテナを示す図である。
【0021】
推進ヘッド2は、筒状体で形成された推進ヘッド本体部7と、推進ヘッド本体部7の先端に回動可能に取り付けられた先導体8とから構成され、先導体8の先端部には長手方向軸に対し傾斜した受圧面部8aが形成されている(
図2参照)。推進ヘッド本体部7の内部には、先導体8に回転駆動力を与える油圧式回転装置Mが設けられている。そして、地中内では、油圧式回転装置Mより先導体8が回転されることにより、先導体8に形成された受圧面部8aも回転されるので、推進装置6により先方に押し込まれる先導体8の先端部の受圧面部8aが推進に伴って土圧を受けることにより、推進ヘッド2を受圧面部8aの傾斜方向に推進させ、推進方向を柔軟に変化させることができる(
図1参照)。ここで、推進ヘッド2の先導体8の回転操作は、地上で操作される後述する操作ボックス20の運転操作部23により行われる(
図1、
図9参照)。なお、本実施形態では、先導体8は、推進ヘッド本体部7の内部に設けられた油圧式回転装置Mにより長手方向軸芯周りに回転されるとしたが、これに限らず、先導体8は、空気圧、電気などの駆動手段により長手方向軸芯周りに回転されてもよい。また、本実施形態では、推進ヘッド2の推進ヘッド本体部7に後述する屈曲連結部11が設けられていないが、これに限らず、推進ヘッド本体部7の内部に設けられた油圧式回転装置Mの後方に屈曲連結部11が設けられるようにしてもよい。その場合、推進ヘッド本体部7に設けられる屈曲連結部11が推進ヘッド2の後方に連結されるすべての地中推進管(第一地中推進管3、第二地中推進管4および第三以降地中推進管5)に設けられた屈曲連結部11よりも多く設けられていれば、その推進ヘッド本体部7の後方を第一地中推進体1としてもよい。
【0022】
推進ヘッド本体部7は、推進ヘッド本体前方部7aと、推進ヘッド本体後方部7bと、発信コイル9と、コイルカバー部9aから構成されている。推進ヘッド本体前方部7aは、後端部が凹形状で形成され、その凹形状には推進ヘッド本体前方部雌ネジ7dが螺刻されている。また、推進ヘッド本体後方部7bは、前端部に推進ヘッド本体後方部7bの外径より小さい筒状のコイル保持部7cが前方に突出して設けられ、そのコイル保持部7cには推進ヘッド2の軸芯Xと略平行な軸芯を有するように発信コイル9が巻回されている。(
図3参照)そして、コイル保持部7cの先端には、推進ヘッド本体前方部7a後端の推進ヘッド本体前方部雌ネジ7dと螺合されるコイル保持部雄ネジ7eが螺刻されている。そして、発信コイル9が巻回されたコイル保持部7cが筒状のコイルカバー部9aに挿入され、その挿入されたコイル保持部7c先端に螺刻されたコイル保持部雄ネジ7eと推進ヘッド本体前方部7a後端部の推進ヘッド本体前方部雌ネジ7dとが螺合されることにより、推進ヘッド本体後方部7bが推進ヘッド本体前方部7aと分離可能に連結される(
図3参照)。このように、発信コイル9が巻回されたコイル保持部7cが筒状のコイルカバー部9aに挿設されることにより、発信コイル9の周囲には発信コイル9を外周側から囲う筒状のコイルカバー部9aが配される。そして、発信コイル9の周囲に筒状のコイルカバー部9aが配されることにより、推進に伴って受ける土圧などから発信コイル9を保護することができる。また、コイルカバー部9aはステンレスで形成され、コイルカバー部9aの筒状側面には、長手直行方向に等間隔に長手方向の貫通孔が複数個設けられ、その孔内には樹脂が充填されている。このように、コイルカバー部9aがステンレスで形成され、発信コイル9の周囲に配されたコイルカバー部9a側面に貫通孔が設けられることにより、発信コイル9から発信された磁界を、後述する受信コイル18まで磁界の強度を弱めることなく発信させることができる。なお、本実施形態では、推進ヘッド本体後方部7bの前端部にコイル保持部7cが前方に突出して設けられ、コイル保持部7c先端のコイル保持部雄ネジ7eと推進ヘッド本体前方部7a後端部の推進ヘッド本体前方部雌ネジ7dとが螺合されることにより、推進ヘッド本体後方部7bが推進ヘッド本体前方部7aと分離可能に連結されるが、これに限らず、推進ヘッド本体前方部7aの後端部にコイル保持部が後方に突出して設けられ、そのコイル保持部の後端にはコイル保持部雄ネジ7eが螺刻され、また推進ヘッド本体後方部7bの前端部が凹形状で形成され、その凹形状にはコイル保持部雄ネジ7eと螺合される推進ヘッド本体後方部雌ネジが螺刻されてもよい。その場合には、コイル保持部後端に設けられたコイル保持部雄ネジと推進ヘッド本体後方部7b前端部の推進ヘッド本体後方部雌ネジとが螺合されることにより、推進ヘッド本体後方部7bが推進ヘッド本体前方部7aと分離可能に連結される。
【0023】
第一地中推進管3は、推進ヘッド2の後方に非屈曲連結部10を介して連結され、長手上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部11が長手方向に5箇所設けられている(
図4(a)参照)。具体的には、推進ヘッド2後方の非屈曲連結部10は、推進ヘッド2の後端部 の推進ヘッド後端部凸部2aおよび推進ヘッド後端部凹部2bと第一地中推進管3の前端部の第一地中推進管前端部凹部3bおよび第一地中推進管前端部凸部3aとが嵌合され、そして、推進ヘッド2の後端部に設けられた推進ヘッド後端部雌ネジ構成体2cと第一地中推進管3の前端部に形成された第一地中推進管前端部雄ネジ3cが螺合されることにより、推進ヘッド2の後端部が第一地中推進管3の前端部と分離可能に連結される(
図6参照)。また、屈曲連結部11は、筒状嵌合挿入部12が筒状嵌合挿入口13に挿入され、そして、挿入ピン14が筒状嵌合挿入部12に形成された筒状嵌合挿入部ピン挿入孔12aと第一地中推進管3に形成された筒状嵌合挿入口ピン挿入孔13aに挿入され螺合されることにより、第一地中推進管3を挿入ピン14を基点として長手上下方向に屈曲させることができる(
図5(a)参照)。ここで、第一地中推進管3が屈曲される長手上下方向とは、第一地中推進管3が地中を推進する際の長手上下方向のことである。また、第一地中推進管3の内部は、推進ヘッド2に設けられた油圧式回転装置Mに接続される送油管15が通されるため、筒状に構成されている(
図5(b)参照)。なお、本実施形態では、第一地中推進管3に屈曲連結部11を長手方向に5箇所設けたが、これに限らず、屈曲連結部11を長手方向に4箇所以上(好ましくは、4箇所(個)~6箇所(個))、また5箇所以上(より好ましくは、5箇所(個)~7箇所(個))などの複数箇所設けてもよい。また、本実施形態では、推進ヘッド2の後方に第一地中推進管3を連結させたが、これに限らず、推進ヘッド2の推進ヘッド本体部7に屈曲連結部11が設けられている場合は、推進ヘッド2の屈曲連結部11が設けられているところを第一地中推進管3としてもよい。この場合、第一地中推進管3が第二地中推進管4、第二地中推進管4以降の地中推進管が第三以降地中推進管5となる。また、本実施形態では、筒状嵌合挿入部12が筒状嵌合挿入口13に挿入され、筒状嵌合挿入部12に形成された筒状嵌合挿入部ピン挿入孔12aと第一地中推進管3に形成された筒状嵌合挿入口ピン挿入孔13aに挿入ピン14が挿入され螺合されることにより、第一地中推進管3が挿入ピン14を基点として長手上下方向に屈曲されるようにしたが、これに限らず、屈曲連結部11をコイルスプリングなどの螺旋連結部材(連結部材)を用いて屈曲させてもよい(以下の「屈曲連結部11」も同様)。また、本実施形態では、屈曲連結部11が長手上下方向に屈曲されるとしたが、これに限らず、屈曲連結部11が長手略上下方向に屈曲されるとしてもよく、また屈曲連結部11が長手上下左右方向に屈曲されるようにしてもよい(以下の「屈曲連結部11」も同様)。また、本実施形態では、第一地中推進管3と推進ヘッド2が非屈曲連結部10を介して連結されたが、これに限らず、非屈曲連結部10以外の推進管連結手段を介して連結させてもよい(以下の「非屈曲連結部10」同様)。
【0024】
第二地中推進管4は、第一地中推進管3の後方に非屈曲連結部10を介して連結され、長手上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部11が長手方向に4箇所設けられている(
図4(a)参照)。ここで、第二地中推進管4と第一地中推進管3とが連結される非屈曲連結部10は、推進ヘッド2と第一地中推進管3とが連結される非屈曲連結部10と同様であり、また第二地中推進管4の屈曲連結部11は、第一地中推進管3(推進ヘッド2)の屈曲連結部11と同様であるので、説明は省略する。また、第二地中推進管4の内部は、第一地中推進管3と同様、推進ヘッド2に設けられた油圧式回転装置Mに接続される送油管15が通されるため、筒状に構成されている。なお、本実施形態では、第二地中推進管4の屈曲連結部11は第一地中推進管3の屈曲連結部11より1箇所少ない4箇所設けたが、これに限らず、第一地中推進管3の屈曲連結部11より1箇所~3箇所(好ましくは、1箇所~2箇所(より好ましくは2箇所))少ない複数箇所設けるようにしてもよい。
【0025】
第三以降地中推進管5は、第二地中推進管4の後方に非屈曲連結部10を介して複数個の地中推進管が連結され、長手上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部11が長手方向に2箇所設けられたそれぞれの地中推進管から構成されている(
図4(a)参照)。ここで、第三以降地中推進管5と第二地中推進管4とが連結される非屈曲連結部10は、推進ヘッド2と第一地中推進管3とが連結される非屈曲連結部10と同様であり、また第三以降地中推進管5の屈曲連結部11は、第二地中推進管4(第一地中推進管3)の屈曲連結部11と同様であるので、説明は省略する。また、第三以降地中推進管5の内部は、第一地中推進管3および第二地中推進管4と同様、推進ヘッド2に設けられた油圧式回転装置Mに接続される送油管15が通されるため、筒状に構成されている。なお、本実施形態では、第三以降地中推進管5のそれぞれの地中推進管の屈曲連結部11は第二地中推進管4の屈曲連結部11より2箇所少ない2箇所設けたが、これに限らず、第二地中推進管4の屈曲連結部11より1箇所少なく設けるようにしてもよい。
【0026】
誘導アンテナ17は、内部に一対の受信コイル18が設けられ、この一対の受信コイル18により推進ヘッド2の発信コイル9から発せられる磁界の強度が検出される。ここで、誘導アンテナ17の一対の受信コイル18は、誘導アンテナ17の中央から左右対称位置の内部に設けられている(
図8参照)。そして、推進ヘッド2の発信コイル9から発せられる磁界の強度は、誘導アンテナ17の中央から等距離離れた左右対称位置に設けられた一対の受信コイル18により検出され、これにより、地中内の推進ヘッド2の位置を検出することができる。
【0027】
次に、地中推進体の操作などに用いられる操作ボックスについて説明する。ここで、
図9は、本発明の一実施形態における地中推進体が操作される操作ボックスの操作面を示す図である。
【0028】
操作ボックス20は、持ち歩き自在に構成され、設定数値入力部21と、推進路表示部22と、運転操作部23などを有している。設定数値入力部21は、水道管等が敷設される場所の地形等の地形条件や、地中推進体1の運転条件等が入力されるものである。また、これらの条件が入力されるに際し、推進開始地点STと推進到達設定地点ARの間の水平距離に関する距離軸と推進開始地点STに対する推進到達設定地点ARの鉛直高さに関する高さ軸との尺度比も設定できる。推進路表示部22は、設定数値入力部21を用いて入力された地形条件や運転条件などが表示されるとともに、地中推進体1の推進作業中においては、地中推進体1の姿勢、位置などが表示され、さらに前もって計画作成された推進ヘッド2の推進計画経路である推進計画線も表示される。推進路表示部22には、開閉自在なカバー体26が設けられている。運転操作部23は、地中推進体1の押込み・引込み操作と、推進ヘッド2に設けられた受圧面部8aの回転操作などを行うために用いられるスイッチである。なお、本実施形態で用いられる操作ボックス20は、特開平11-62478号公報に記載されている推進制御装置とほぼ同一であるので、詳細は省略する。
【0029】
次に、本発明の一実施形態における水道管等を地中に敷設する地中孔を形成する地中推進体1を用いた水道管等の敷設方法の施工手順について
図10を用いて説明する。
図10は本発明の一実施形態における地中推進体を用いた水道管等の敷設方法のフローチャートである。
【0030】
まずS1において、推進計画線設定工程が実施される。この推進計画線設定工程では、操作ボックス20の設定数値入力部21などを用いて、「推進開始地点STおよび推進到達設定地点ARなどの地形条件」と「推進ヘッド2の推進方向などの地中推進体1の運転条件」などが入力されることにより、その入力された地形条件および運転条件に基づいて推進計画線が設定される。そして、この設定された推進計画線は、操作ボックス20の推進路表示部22に表示される。なお、本実施形態では、操作ボックス20の設定数値入力部21などを用いて、「地形条件」と「地中推進体1の運転条件」が入力されることにより、推進計画線が設定されるようにしたが、これに限らず、操作ボックス20の設定数値入力部21以外の機器を用いて、推進計画線を設定させてもよい。そして、S2に進む。
【0031】
S2において、地中推進管地中押込工程が実施される。この地中推進管地中押込工程では、最初に推進ヘッド2が地中に押し込まれ、その後に、後述するループを経て、第一地中推進管3、第二地中推進管4および第三以降地中推進管5が順に地中に押し込まれる。具体的には、操作ボックス20の運転操作部23を用いて、推進ヘッド2(地中推進体1など)の押込み操作がされることにより、推進開始地点STに形成されたピット16に配置された推進装置6により、推進ヘッド2→第一地中推進管3→第二地中推進管4→第三以降地中推進管5の順に地中推進体1が先端の推進ヘッド2から地中内に押し込まれる。これにより、第一地中推進管3、第二地中推進管4および第三以降地中推進管5は、推進ヘッド2とともに地中に押し込まれ推進される。そして、S3に進む。
【0032】
S3において、推進ヘッド推進状況検出表示工程が実施される。この推進ヘッド推進状況検出表示工程では、推進ヘッド2の推進状況が検出され、推進ヘッド2の推進状況が操作ボックス20の推進路表示部22に表示される。具体的には、推進ヘッド2に設けられた発信コイル9により発生させた磁界の強度が、推進到達設定地点ARに立脚された誘導アンテナ17に内蔵された一対の受信コイル18により検出される。ここで、推進到達設定地点ARに立脚された誘導アンテナ17内の一対の受信コイル18は、推進開始地点STと推進到達設定地点ARを結んだ線と略直交方向に配置されることにより、推進到達設定地点ARから等距離離れたところに配置される。そして、誘導アンテナ17に内蔵された一対の受信コイル18で検出された磁界の強度は電圧値にそれぞれ変換され、その変換されたそれぞれの電圧値が比較されることにより、推進ヘッド2の推進状況が検出される。すなわち、誘導アンテナ17内の一対の受信コイル18でそれぞれ変換された電圧値を比較することにより、推進計画線に対して電圧値の大きい側に推進ヘッド2が偏向していることが検出される。そして、その検出された推進ヘッド2の推進状況が操作ボックス20の推進路表示部22に表示される。ここで、推進ヘッド2の推進状況は、特開平11-62478号公報に記載されている方法と同様の方法で検出される。なお、本実施形態では、推進ヘッド2に設けられた発信コイル9により発生させた磁界の強度を、誘導アンテナ17に内蔵された一対の受信コイル18で検出させたが、これに限らず、導体などの磁界発生手段により発生させた磁界の強度を、磁気センサなどの磁界検出手段で検出させてもよい。そして、S4に進む。
【0033】
S4において、推進ヘッド2(先導体8)を回転させるかが判断される。そして、「NO」と判断された場合はS6に進み、「YES」と判断された場合はS5に進む。
【0034】
S5において、推進ヘッド回転操作工程が実施される。この推進ヘッド回転操作工程では、地中推進管地中押込工程(S2)により押し込まれた第一地中推進管3の先方に連結されている推進ヘッド2の先導体8が長手方向軸芯周りに回転操作される(
図2参照)。具体的には、操作ボックス20の運転操作部23を用いて、左回転または右回転の回転操作されることにより、推進ヘッド2の先導体8が長手方向軸芯周りに回転され、推進ヘッド2の先導体8が長手方向軸芯周りに回転することにより、推進ヘッド2の受圧面部8aも回転される。そして、推進ヘッド2の受圧面部8aが推進に伴って土圧を受けることにより、推進ヘッド2が受圧面部8aの傾斜方向に推進され、推進ヘッド2の推進方向を柔軟に変化させることができる。このように、推進ヘッド2の推進方向を柔軟に変化させることにより、推進ヘッド2を推進計画線に沿わせて精度よく屈曲推進させていくことができるとともに、推進到達設定地点ARまで効率よく推進させることができる。また、推進ヘッド2を推進計画線に沿わせて推進させることにより、地中内に地中孔が形成される。そして、S4で、推進ヘッド2(先導体8)を回転させないと判断されるまで、S5→S2→S3→S4→S5の処理が繰り返し実施される。そして、S4で「NO」と判断された場合はS6に進む。
【0035】
S6において、地中内への地中推進体1の押込みを終了させるかが判断される。ここで、地中推進体1の押込みが終了されるのは、推進ヘッド2が推進到達設定地点ARの地表面に到達された後に行われる。そして、「YES」と判断された場合はS7に進み、「NO」と判断された場合はS2に進み、「NO」と判断されるまでS6→S2→S3→S4(→S5)→S6の処理が繰り返し実施される。
【0036】
S7において、地中推進管地中押込終了工程が実施される。この地中推進管地中押込終了工程では、地中内への地中推進体1の押込みが終了される。具体的には、操作ボックス20の運転操作部23を用いて、地中推進体1の押込終了操作がされることにより、地中内への地中推進体1の押込みが終了される。S8に進む。
【0037】
S8において、推進ヘッドさや管連結工程が実施される。この推進ヘッドさや管連結工程では、推進ヘッド回転操作工程(S5)により推進ヘッド2の先端部が回転操作されることで推進ヘッド2の推進方向を変化させながら推進到達設定地点ARの地表面に推進ヘッド2が到達された後、地表面から突出した推進ヘッド2の先端部がさや管19の端部とО型金具24により連結される(
図1(b)参照)。このさや管19の内部には、パイプ25が内挿されている。なお、本実施形態では、推進ヘッド2の先端部とさや管19の先端部がО型金具24により連結されるが、これに限らず、推進ヘッド2の先端部とさや管19の先端部をスイベルダブルフックなどの連結手段により連結されてもよい。また、本実施形態では、推進ヘッド2の先端部とさや管19の先端部を連結させたが、これに限らず、推進ヘッド2の先端部とさや管19以外の推進ヘッド連結体の先端部と連結されてもよく、この場合、「推進ヘッドさや管連結工程」は「推進ヘッド連結体連結工程」となる。そして、S9に進む。
【0038】
S9において、供給管地中引込工程が実施される。この供給管地中引込工程では、推進ヘッドさや管連結工程(S8)により推進ヘッド2と連結されたさや管19が、第一地中推進管3と第二地中推進管4と第三以降地中推進管5とともに、地中推進管地中押込工程(S2)により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる。具体的には、操作ボックス20の運転操作部23を用いて、地中推進体1の引込操作がされることにより、推進開始地点STに形成されたピット16に配置された推進装置6により、最初に第三以降地中推進管5が引き込まれ、その後に、後述するループを経て、第三以降地中推進管5→第二地中推進管4→第一地中推進管3→推進ヘッド2の順に引き込まれ、地中推進体1先端部の推進ヘッド2と連結されているさや管19が、地中推進管地中押込工程(S2)により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる。なお、本実施形態では、供給管地中引込工程において、内部にパイプ25が配設されたさや管19が引き込まれるとしたが、これに限らず、さや管19のみが引き込まれ、そして、地中内にさや管19が敷設された後に、さや管19内に水道管等を挿入してもよい。そして、S10に進む。
【0039】
S10において、さや管19の引き込みを終了させるかが判断される。ここで、さや管19の引き込みが終了されるのは、さや管19が推進開始地点STの地表面に到達された後に行われる。そして、S10において、「NO」と判断された場合は、「YES」と判断されるまでS10→S9→S10の処理が繰り返し実施され、「YES」と判断された場合はS11に進む。これにより、推進ヘッド2に連結されるさや管19は、推進開始地点STから推進到達設定地点ARまでの地中孔に渡って地中内に敷設されるとともに、さや管19内部のパイプ25も地中内に敷設される。
【0040】
S11において、推進ヘッドさや管分離工程が実施される。この推進ヘッドさや管分離工程では、供給管地中引込工程(S9)によりさや管19が推進開始地点ST付近の地表面まで引き込まれた後に、さや管19が推進ヘッド2の先端から分離される。具体的には、さや管19の先端と推進ヘッド2の先端が連結されているО型金具24が外され、さや管19が推進ヘッド2の先端から分離される。そして、その後に、水道管等の敷設などのそれぞれの目的に応じた処理が実施される。これにより、地中推進体1を用いた水道管等の敷設方法は終了する。
【0041】
以上説明したように、第一地中推進管3の屈曲連結部11が第二地中推進管4の屈曲連結部11よりも多く設けられているので、先端方向の第一地中推進管3の推進により小さな曲率半径(たとえば、2.5m)で円弧状に湾曲した地中孔が形成される。そして、第二地中推進管4の屈曲連結部11が第三以降地中推進管5の屈曲連結部11よりも多く設けられているので、先端方向の第一地中推進管3の推進により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って、第二地中推進管4そして第三以降地中推進管5をよりスムーズに推進させることができる。これにより、推進到達設定地点ARが地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点ARまでより効率よく屈曲推進をさせることができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 地中推進体
2 推進ヘッド
2a 推進ヘッド後端部凸部
2b 推進ヘッド後端部凹部
2c 推進ヘッド後端部雌ネジ構成体
3 第一地中推進管
3a 第一地中推進管前端部凸部
3b 第一地中推進管前端部凹部
3c 第一地中推進管前端部雄ネジ
4 第二地中推進管
5 第三以降地中推進管
6 推進装置
7 推進ヘッド本体部
7a 推進ヘッド本体前方部
7b 推進ヘッド本体後方部
7c コイル保持部
7d 推進ヘッド本体前方部雌ネジ
7e コイル保持部雄ネジ
8 先導体
8a 受圧面部
9 発信コイル
9a コイルカバー部
10 非屈曲連結部
11 屈曲連結部
12 筒状嵌合挿入部
12a 筒状嵌合挿入部ピン挿入孔
13 筒状嵌合挿入口
13a 筒状嵌合挿入口ピン挿入孔
14 挿入ピン
15 送油管
16 ピット
17 誘導アンテナ
18 受信コイル
19 さや管
20 操作ボックス
21 設定数値入力部
22 推進路表示部
23 運転操作部
24 О型金具
25 パイプ
26 カバー体
M 油圧式回転装置
ST 推進開始地点
AR 推進到達設定地点
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体であって、
長手方向軸に対し傾斜した受圧面部が先端部に形成され、該受圧面部が推進に伴って土圧を受けることにより、該受圧面部の傾斜方向に推進する推進ヘッドと、
該推進ヘッドの後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第一地中推進管と、
該第一地中推進管の後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に前記第一地中推進管の前記屈曲連結部より少ない複数箇所設けられた第二地中推進管と、
該第二地中推進管の後方にそれぞれ推進管連結手段を介し複数個の地中推進管が連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に前記第二地中推進管の前記屈曲連結部より少ない複数箇所設けられたそれぞれの前記地中推進管から構成される第三以降地中推進管と、を有し、
前記第一地中推進管の前記屈曲連結部が前記第二地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられ、該第二地中推進管の該屈曲連結部が前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられるので、該第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔を形成させることができるとともに、該地中孔に沿って、該第二地中推進管そして該第三以降地中推進管をよりスムーズに推進させることができることを特徴する地中推進体。
【請求項2】
前記推進ヘッドは、先端部を長手方向軸芯周りに回転させることができることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項3】
前記第二地中推進管の前記屈曲連結部は、前記第一地中推進管の前記屈曲連結部より1個~2個少なく設けられ、
前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部は、前記第二地中推進管の前記屈曲連結部より1個または2個少なく設けられることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項4】
前記第一地中推進管の前記屈曲連結部は、4個~6個設けられることを特徴とする請求項1記載の地中推進体。
【請求項5】
前記第一地中推進管、前記第二地中推進管および前記第三以降地中推進管が順に地中に押し込まれる地中推進管地中押込工程と、
該地中推進管地中押込工程により押し込まれた前記第一地中推進管の先方に連結される前記推進ヘッドの先端部が長手方向軸芯周りに回転操作される推進ヘッド回転操作工程と、
該推進ヘッド回転操作工程により前記推進ヘッドの先端部が回転操作されることで該推進ヘッドの推進方向を変化させながら推進到達設定地点の地表面に該推進ヘッドが到達された後、地表面から突出した該推進ヘッドの先端部が推進ヘッド連結体の端部と連結手段により連結される推進ヘッド連結体連結工程と、
該推進ヘッド連結体連結工程により前記推進ヘッドと連結された前記推進ヘッド連結体が、前記第一地中推進管と前記第二地中推進管と前記第三以降地中推進管とともに、前記地中推進管地中押込工程により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる供給管地中引込工程と、を有し、
前記地中推進管地中押込工程は、前記第一地中推進管の前記屈曲連結部が前記第二地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられ、該第二地中推進管の該屈曲連結部が前記第三以降地中推進管の前記屈曲連結部よりも多く設けられることにより、先端方向の前記第一地中推進管を小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進できることを特徴とする請求項2記載の地中推進体を用いた敷設方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体およびそれを用いた敷設方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、地中を推進する推進ヘッドの後方に複数の地中推進管が連結され、水道管等を地中に敷設する地中孔を形成するために用いられる地中推進体であって、長手方向軸に対し傾斜した受圧面部が先端部に形成され、受圧面部が推進に伴って土圧を受けることにより、受圧面部の傾斜方向に推進する推進ヘッドと、推進ヘッドの後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に複数箇所設けられた第一地中推進管と、第一地中推進管の後方に推進管連結手段を介し連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に第一地中推進管の屈曲連結部より少ない複数箇所設けられた第二地中推進管と、第二地中推進管の後方にそれぞれ推進管連結手段を介し複数個の地中推進管が連結され、長手略上下方向に屈曲させることができる屈曲連結部が長手方向に第二地中推進管の屈曲連結部より少ない複数箇所設けられたそれぞれの地中推進管から構成される第三以降地中推進管と、を有し、第一地中推進管の屈曲連結部が第二地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられ、第二地中推進管の屈曲連結部が第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられるので、第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔を形成させることができるとともに、その地中孔に沿って、第二地中推進管そして第三以降地中推進管をよりスムーズに推進させることができることを特徴するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によれば、第一地中推進管の屈曲連結部が第二地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられ、第二地中推進管の屈曲連結部が第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられるので、先端方向の第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔が形成され、そして、先端方向の第一地中推進管の推進により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って、第二地中推進管そして第三以降地中推進管をよりスムーズに推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る地中推進体であって、第二地中推進管の屈曲連結部は、第一地中推進管の屈曲連結部より1個~2個少なく設けられ、第三以降地中推進管の屈曲連結部は、第二地中推進管の屈曲連結部より1個または2個少なく設けられることを特徴とするものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第2の態様に係る地中推進体を用いた敷設方法であって、第一地中推進管、第二地中推進管および第三以降地中推進管が順に地中に押し込まれる地中推進管地中押込工程と、地中推進管地中押込工程により押し込まれた第一地中推進管の先方に連結される推進ヘッドの先端部が長手方向軸芯周りに回転操作される推進ヘッド回転操作工程と、推進ヘッド回転操作工程により推進ヘッドの先端部が回転操作されることで推進ヘッドの推進方向を変化させながら推進到達設定地点の地表面に推進ヘッドが到達された後、地表面から突出した推進ヘッドの先端部が推進ヘッド連結体の端部と連結手段により連結される推進ヘッド連結体連結工程と、推進ヘッド連結体連結工程により推進ヘッドと連結された推進ヘッド連結体が、第一地中推進管と第二地中推進管と第三以降地中推進管とともに、地中推進管地中押込工程により押し込まれて推進されてきた推進方向と反対方向に引き込まれる供給管地中引込工程と、を有し、地中推進管地中押込工程は、第一地中推進管の屈曲連結部が第二地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられ、第二地中推進管の屈曲連結部が第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられることにより、先端方向の第一地中推進管を小さな曲率半径で円弧状に湾曲して推進できることを特徴とするものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明によれば、第一地中推進管の屈曲連結部は、第二地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられ、第二地中推進管の屈曲連結部が第三以降地中推進管の屈曲連結部よりも多く設けられるので、先端方向の第一地中推進管の推進により小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔が形成され、そして、第二地中推進管および第三以降地中推進管は、第一地中推進管により形成された小さな曲率半径で円弧状に湾曲した地中孔に沿って推進させることができる。これにより、推進到達設定地点が地上設置物の先方近傍にある場合であっても地上設置物のまわりを大回りさせることなく推進到達設定地点まで効率よく推進させることができる。