(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126044
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】抗ウイルス組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/54 20060101AFI20230831BHJP
A61K 36/346 20060101ALI20230831BHJP
A61K 36/484 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K36/54
A61K36/346
A61K36/484
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030490
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 奈子
(72)【発明者】
【氏名】小峰 陽比古
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB30
4C088AB33
4C088AB60
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC11
4C088BA08
4C088MA07
4C088NA05
4C088ZB33
(57)【要約】
【課題】抗ウイルス作用を発揮する。
【解決手段】抗ウイルス用組成物は、植物からの抽出物、又は植物粉末を有効成分として含有する。抗ウイルス用組成物は、TMPRSS2の活性を阻害することによって抗ウイルス作用を発揮することを期待できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンゾウ抽出物、キキョウ抽出物、及びケイヒ粉末から選ばれる少なくとも一種を含有するTMPRSS2阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のTMPRSS2阻害剤を含有する抗ウイルス用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ウイルス性疾患の治療用として、植物からの抽出物を含む組成物が有用であることが知られている。例えば特許文献1には、カモミール属の植物からの抽出物を含む組成物が開示されている。
【0003】
また、近年では、SARS関連コロナウイルスの一つであるSARS-CoV-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)による感染症について研究が進められている。非特許文献1には、SARS-CoV-2が細胞に侵入する際に、宿主細胞の細胞膜に存在するACE2(Angiotensin-converting enzyme 2)、及びTMPRSS2(Transmembrane protease, serine 2)の関与があることが示されている。具体的には、受容体であるACE2にウイルスが備えるスパイクタンパク質が結合した後に、II型膜貫通型セリンプロテアーゼの一種であるTMPRSS2の活性によって、ウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質が開裂されると記載されている。スパイクタンパク質が開裂されると、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入が促進されると記載されている。また、こうしたSARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を、公知のセリンプロテアーゼ阻害剤であるCamostatによって抑制できることが示されている。
【0004】
非特許文献2には、SARS-CoV-2の感染と口腔との関連が示唆されている。具体的には、口腔内、例えば舌、味蕾、及び歯肉溝にACE2及びTMPRSS2が発現していることが示されている。
【0005】
また、TMPRSS2によるスパイクタンパク質の開裂は、SARS-CoV-2に限らず、他のコロナウイルスに関しても、その感染に関与していることが知られている。
さらに、非特許文献3には、TMPRSS2がインフルエンザウイルスの活性化に関与していることが示されている。
【0006】
TMPRSS2の活性は、SARS-CoV-2等の様々なウイルスの感染に関与している可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor」、Cell、April 16, 2020、volume181、p.271-280
【非特許文献2】「Existence of SARS-CoV-2 Entry Molecules in the Oral Cavity」、International Journal of Molecular Sciences、2020、21(17)、6000
【非特許文献3】「Proteolytic Activation of Influenza Viruses by Serine Proteases TMPRSS2 and HAT from Human Airway Epithelium」、Journal of Virology、Oct. 2006、Vol.80, No.19、p.9896-9898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
TMPRSS2の活性が感染に関与しているウイルスの感染を抑制する効果を奏する抗ウイルス用組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための抗ウイルス用組成物は、カンゾウ抽出物、キキョウ抽出物、及びケイヒ粉末から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗ウイルス用組成物によれば、抗ウイルス作用を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、抗ウイルス用組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態の抗ウイルス用組成物は、カンゾウ抽出物、キキョウ抽出物、及びケイヒ粉末から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有している。抗ウイルス用組成物は、TMPRSS2の活性を阻害することによって抗ウイルス作用を発揮する。
【0013】
〈抽出物〉
植物抽出物、及び植物粉末について説明する。本実施形態では、抽出物であるエキスの濃度が反応時に0.5w/w%でTMPRSS2の活性を阻害するものを、粉末の濃度が0.025w/v%でTMPRSS2の活性を阻害するものを有効な抽出物とした。より詳しくは、上記濃度でTMPRSS2阻害率が10%以上であるものを有効な抽出物、又は粉末とした。TMPRSS2阻害率の算出方法については後述する。
【0014】
上記TMPRSS2阻害率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0015】
植物からの抽出物は、特に制限されないが、公知の抽出溶媒を用いて抽出されたものであることが好ましい。公知の抽出溶媒としては、例えば、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルコールや、水等が挙げられる。上記アルコールや水の混合溶媒であってもよい。植物からの抽出物は、必要に応じて精製したものであってもよい。下記抽出物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
植物粉末は、特に制限されないが、公知の手段を用いて得られたものであることが好ましい。公知の、例えば、植物の全体又は所定の部位(種子、根、茎、葉、樹皮等)を、好ましくは60℃以下の温度で乾燥し、これをさらに所定の大きさの粉末にすべく、粉砕して微粉末化したものであってもよい。下記粉末は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本実施形態の抗ウイルス用組成物に用いる植物としては、特に制限されないが、例えばマメ科、キキョウ科、クスノキ科の植物が挙げられる。
【0018】
マメ科の植物として、具体的にはカンゾウ属が挙げられ、より具体的には、ウラルカンゾウまたはスペインカンゾウが挙げられる。例えば、カンゾウの根及びストロンから抽出したエキスを抽出物として用いることができる。
【0019】
キキョウ科の植物として、具体的にはキキョウ属が挙げられ、より具体的には、キキョウが挙げられる。例えば、キキョウの根から抽出したエキスを抽出物として用いることができる。
【0020】
クスノキ科の植物として、具体的にはニッケイ属が挙げられ、より具体的には、シナニッケイが挙げられる。例えば、シナニッケイの樹皮又は周皮の一部を除いた樹皮の粉末を植物粉末として用いることができる。
【0021】
〈適用形態〉
抗ウイルス用組成物の適用形態は、特に限定されず、例えば、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品として使用することができる。
【0022】
抗ウイルス用組成物を食品等の経口組成物として使用する場合には、例えば、飴、トローチ、タブレット、ガム、グミ、顆粒、粉末、ゼリー、シロップ、飲料等に適用することができる。
【0023】
抗ウイルス用組成物を化粧品等の外用組成物として使用する場合には、例えば、フェイスパック、ペースト、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、乳液、美容液、化粧水等に適用することができる。その他、抗ウイルス用組成物は、人体に対して使用する物に限らず、寝具、被服、家具、建具、物品等の肌に触れる製品に対して噴き付けたり塗布したりする液剤に適用することもできる。対象となる製品の素材としては、例えば、天然繊維、合成繊維、天然皮革、人工皮革、合成皮革、木材、合成樹脂、金属、塗装面等が挙げられる。
【0024】
抗ウイルス用組成物は、肌あるいは皮膚を清浄にする、口中を浄化する、肌あるいは皮膚を健やかに保つために用いることができる。抗ウイルス用組成物は、喉の炎症による喉の痛み、喉のはれ、喉の不快感、喉の荒れ、あるいは声がれを抑制、又は軽減するために用いることができる。抗ウイルス用組成物は、肌、皮膚、手指、口腔内、あるいは喉(咽頭)を殺菌、消毒、あるいは洗浄するために用いることができる。また、抗ウイルス用組成物は、ウイルスバリア用、ウイルスブロック用、ウイルスシャット用、アンチウイルス用、ウイルスアウト用として用いることもできる。
【0025】
抗ウイルス用組成物を医薬部外品等の口腔用組成物又は咽喉用組成物として使用する場合には、例えば、スプレー剤、練歯磨剤、液体歯磨剤、洗口液、含漱液等に適用することができる。スプレー剤としては、例えば、点鼻スプレー、のどスプレー、口腔スプレー等が挙げられる。
【0026】
〈作用および効果〉
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、植物からの抽出物、又は粉末を有効成分としている。有効成分である抽出物又は粉末を含有している組成物は、TMPRSS2の活性を阻害する作用を備えている。すなわち、有効成分である抽出物を含有している組成物は、TMPRSS2阻害剤として作用する。
【0027】
TMPRSS2は、II型膜貫通型セリンプロテアーゼであり、宿主細胞の細胞膜に発現している。例えば、TMPRSS2は、同じく宿主細胞の細胞膜に発現しているACE2と共に、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入に関与する。具体的には、受容体であるACE2にウイルスが備えるスパイクタンパク質が結合した後に、ウイルスが宿主細胞に侵入する過程で、ウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質がTMPRSS2によって開裂されると考えられている。スパイクタンパク質の開裂によって活性化したウイルスは、ウイルス外膜と細胞膜との融合を引き起こすことによって、宿主細胞に侵入しやすくなる。
【0028】
本実施形態の抗ウイルス用組成物によれば、TMPRSS2の活性を阻害することによって、スパイクタンパク質の開裂を抑制できる。ウイルスの活性化が抑制されることで、ウイルスの宿主細胞への侵入を抑制することができる。このように、抗ウイルス作用を発揮することが期待できる。
【0029】
本実施形態の効果について説明する。
(1)抗ウイルス用組成物は、植物からの抽出物を有効成分として含有し、抗ウイルス作用を発揮する。
【0030】
TMPRSS2の活性の阻害率が高いほど、スパイクタンパク質の開裂を好適に抑制することができる。これによって、スパイクタンパク質の開裂によって活性化するウイルス、例えばSARS-CoV-2が宿主細胞に侵入することを好適に抑制することができる。すなわち、TMPRSS2阻害率が高いほど、抗ウイルス作用として、ウイルスの感染を抑制する効果を発揮することが期待できる。
【0031】
(2)抗ウイルス用組成物は、SARS-CoV-2に限らず、スパイクタンパク質がTMPRSS2によって開裂されることで活性化し得るウイルスに対して有用である。例えば、他のコロナウイルスに関しても抗ウイルス作用を発揮することが期待できる。他のコロナウイルスとしては、例えば、MERS-CoV、SARS-CoV、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63等が挙げられる。
【0032】
(3)TMPRSS2は、コロナウイルス以外のウイルスの感染についても関与していることが知られている。抗ウイルス用組成物は、TMPRSS2のプロテアーゼ活性がウイルスの感染に関与し得る種類のウイルス、例えば、インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)に対して有用である。
【0033】
(4)抗ウイルス用組成物は、宿主細胞に存在するTMPRSS2の活性を阻害するものである。このため、ウイルスが変異した場合であっても、変異したウイルスが依然としてTMPRSS2の活性によって活性化されるのであれば、TMPRSS2の活性を阻害することによる抗ウイルス作用を発揮することが期待できる。
【0034】
(5)抗ウイルス作用を発揮する経口組成物、外用組成物、口腔用組成物、咽喉用組成物を提供することができる。
(6)抗ウイルス用組成物を口腔用組成物として使用する場合には、TMPRSS2とACE2とが同時に発現している口腔に抗ウイルス用組成物が作用することを期待できる。すなわち、SARS-CoV-2のようにTMPRSS2及びACE2の同時発現が宿主細胞への侵入に関与している場合に、ウイルスが口腔から感染することを抑制する効果が期待できる。
【0035】
同様に、抗ウイルス用組成物を咽喉用組成物として使用する場合にも、口腔に抗ウイルス用組成物が作用することを期待できる。
また、抗ウイルス用組成物を経口組成物として使用する場合にも、口腔に抗ウイルス用組成物が作用することを期待できる。特に、飴等の口腔内に留まりやすい形態が有用である。
【0036】
(7)抗ウイルス用組成物によれば、ウイルス感染症の予防、ウイルス感染症の治療、ウイルス増殖の阻害、ウイルス感染抑制、ウイルス感染阻害、ウイルス感染促進阻害、ウイルス感染関連酵素抑制、ウイルス感染関連酵素阻害が期待できる。
【実施例0037】
抗ウイルス用組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、抗ウイルス用組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
本試験は、「An Enzymatic TMPRSS2 Assay for Assessment of Clinical Candidates and Discovery of Inhibitors as Potential Treatment of COVID-19」、ACS Pharmacology & Translational Science, September 7, 2020, 3(5), p.997-1007に記載されている方法を参考にした。
【0038】
〈〈TMPRSS2阻害率の算出原理〉〉
TMPRSS2阻害率を算出する方法の原理を説明する。TMPRSS2阻害率の算出には、TMPRSS2と、TMPRSS2の活性によって分解されるペプチド基質と、を用いた。TMPRSS2は、LifeSpan Biosciences, Inc.の「transmembrane protease, serine 2、LS-G57269-100」を用いた。ペプチド基質として、(株)ペプチド研究所の「Boc-Gln-Ala-Arg-MCA、3135-v」を用いた。
【0039】
ペプチド基質である「Boc-Gln-Ala-Arg-MCA」がTMPRSS2によって分解されると、蛍光物質であるAMC(7-Amino-4-methylcoumarin)が遊離する。AMCは、励起波長340nm、蛍光波長440nmの蛍光測定により検出可能である。生成されたAMCの蛍光強度に基づいてTMPRSS2の活性を測定することができる。
【0040】
ペプチド基質及びTMPRSS2に加えてTMPRSS2阻害剤を系に添加すると、添加したTMPRSS2阻害剤の阻害能に応じてTMPRSS2の活性が阻害される。すなわち、TMPRSS2阻害剤の阻害能に応じてAMCの生成量が低減することになる。このため、各TMPRSS2阻害剤におけるTMPRSS2に対する阻害能を蛍光強度に基づいて算出することができる。具体的には、以下の算出式(式1)によってTMPRSS2阻害率を算出することができる。
【0041】
【数1】
算出式(式1)において、RFUcは、TMPRSS2及びペプチド基質を添加した場合のRFU値(relative fluorescence unit)である。BG2は、バックグラウンドノイズ測定のために、TMPRSS2を添加せずペプチド基質のみを添加した場合の蛍光強度である。RFUsは、各TMPRSS2阻害剤、TMPRSS2及びペプチド基質を添加した場合のRFU値である。BG1は、バックグラウンドノイズ測定のために、TMPRSS2を添加せずTMPRSS2阻害剤とペプチド基質とを添加した場合の蛍光強度である。算出式(式1)によれば、TMPRSS2阻害剤の阻害能によって蛍光強度が低下するほどTMPRSS2阻害率が高く算出される。
【0042】
〈〈評価試験〉〉
表1に示す実施例1~3の抽出物、又は粉末をTMPRSS2阻害剤として、TMPRSS2阻害率を評価した。各TMPRSS2阻害剤の反応時の濃度は、抽出物は0.5w/w%、粉末は0.025w/v%とした。各実施例におけるTMPRSS2阻害剤の詳細は、次の通りである。
【0043】
(実施例1)
カンゾウの全草から抽出されたエキスとして、アルプス薬品工業株式会社の「カンゾウ流エキス」を使用した。
【0044】
(実施例2)
キキョウの根から抽出されたエキスとして、アルプス薬品工業株式会社の「日本薬局方キキョウ流エキス」を使用した。
【0045】
(実施例3)
セイロンシナモンの粉末として、日本粉末薬品株式会社の「日本薬局方 ケイヒ末」を使用した。
【0046】
〈試薬の調製〉
(1×Assay Buffer)
150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH8.0のBufferを調製した。
【0047】
(ペプチド基質)
「Boc-Gln-Ala-Arg-MCA」を1×Assay Bufferで希釈して10μM基質溶液を調製した。
【0048】
(TMPRSS2阻害剤)
TMPRSS2阻害剤中のエキス濃度が0.5w/w%、粉末濃度が0.025w/v%となるように1×Assay Bufferを加えて希釈した。
(TMPRSS2溶液)
TMPRSS2を1×Assay Bufferで希釈して0.2μMのTMPRSS2溶液を調製した。
【0049】
〈試験方法〉
黒色96ウェルプレートを用いて、調製したTMPRSS2阻害剤を各ウェルに25μL添加した。BG2を測定するためのウェル、及びRFUcを測定するためのウェルには、TMPRSS2阻害剤に替えて25μLの1×Assay Bufferを添加した。
【0050】
調製したTMPRSS2溶液を各ウェルに25μL添加した。BG1を測定するためのウェル、及びBG2を測定するためのウェルには、TMPRSS2溶液に替えて25μLの1×Assay Bufferを添加した。
【0051】
調製した10μM基質溶液を各ウェルに50μL添加した。
プレートにふたをして、37℃で60分間インキュベートした。
【0052】
プレートリーダー(Cytation5、BioTek Instruments, Inc.製)を使用して、プレートを励起波長340nm、蛍光波長440nmで測定した。測定結果に基づいて、各実施例におけるTMPRSS2阻害率を算出した。さらに、以下の基準で評価を行った。結果を表1に示す。
・抗ウイルス作用の評価基準
○○○(優):TMPRSS2阻害率が70%以上である場合。
○○(良):TMPRSS2阻害率が50%以上70%未満である場合。
○(可):TMPRSS2阻害率が10%以上50%未満である場合。
【0053】
〈試験結果〉
表1に示すように、実施例1において、TMPRSS2阻害率が70%以上であり、抗ウイルス作用が非常に良好であった。
また、実施例3において、TMPRSS2阻害率が50%以上であり、抗ウイルス作用が良好であった。
さらに、実施例2においてTMPRSS2阻害率が10%以上であり、抗ウイルス作用が認められた。
【0054】