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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126046
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】取出し具付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B65D51/24 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030493
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FC08
3E084GB12
3E084JA01
3E084LA02
(57)【要約】
【課題】取出し具の管理を容易化した、取出し具付き容器を提供する。
【解決手段】本開示の取出し具付き容器100は、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体10と、容器本体10の口部13を閉塞する装着キャップ50と、装着キャップ50に収容可能な取出し具60とを備える取出し具付き容器100であって、装着キャップ50は、容器本体10の口部13に装着される筒状のキャップ本体20と、キャップ本体20を開閉自在に上方から覆う中蓋30と、中蓋30に対して上方から装着される上蓋40とを有し、上蓋40及び中蓋30の少なくとも一方には、上蓋40と中蓋30とで形成される挿入空間内に取出し具60を挿抜自在とする挿入開口41bが形成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体の口部を閉塞する装着キャップと、
前記装着キャップに収容可能な取出し具と
を備える取出し具付き容器であって、
前記装着キャップは、
前記容器本体の口部に装着される筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体を開閉自在に上方から覆う中蓋と、
前記中蓋に対して上方から装着される上蓋と
を有し、
前記上蓋及び前記中蓋の少なくとも一方には、前記上蓋と前記中蓋とで形成される挿入空間内に前記取出し具を挿抜自在とする挿入開口が形成されている、取出し具付き容器。
【請求項2】
前記キャップ本体、前記中蓋及び前記上蓋は、合成樹脂により一体形成されている、請求項1に記載の取出し具付き容器。
【請求項3】
前記キャップ本体及び前記中蓋、並びに前記中蓋及び前記上蓋は、それぞれ別箇のヒンジ部によって連結されており、前記中蓋及び前記上蓋を連結する第2ヒンジ部は、前記キャップ本体及び前記中蓋を連結する第1ヒンジ部に対して周方向における対向位置に配置されている、請求項2に記載の取出し具付き容器。
【請求項4】
前記第2ヒンジ部は前記挿入開口の近傍に配置されている、請求項3に記載の取出し具付き容器。
【請求項5】
前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の一方には、挿入された前記取出し具の面内位置を制限する案内壁が設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の取出し具付き容器。
【請求項6】
前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の他方には、挿入された前記取出し具を前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の前記一方に対して押し付ける付勢部が設けられている、請求項5に記載の取出し具付き容器。
【請求項7】
前記取出し具は、長手方向端部の取出し部が前記案内壁に当接したとき、前記装着キャップから径方向外側に突出する摘み部を備える、請求項5又は6に記載の取出し具付き容器。
【請求項8】
前記中蓋の下面には、上方に向かって凹み、前記中蓋の開放時において、前記取出し具の長手方向端部の取出し部を受け入れる保管溝が設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の取出し具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取出し具付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリーム状の洗顔料や化粧料などを収容する容器においては、適量の内容物を取り出し易くかつ衛生的に取り扱うことができるなどの理由から、付属するスパチュラ等の取出し具を用いて内容物を扱うことが一般的である。例えば、特許文献1には、中蓋の天壁部に設けた収容凹部にスパチュラを収容可能な中蓋付き容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017- 81641号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の容器では、キャップを開けた状態において、スパチュラは中蓋の収容凹部に載せられているに過ぎず、中蓋の落下や傾けによって容易に中蓋から離れてしまう。このため、使用時にスパチュラを落として汚してしまったり紛失してしまう場合があったため、これらの点において改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的とするところは、取出し具の管理を容易化した、取出し具付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の取出し具付き容器は、
内容物を収容する収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体の口部を閉塞する装着キャップと、
前記装着キャップに収容可能な取出し具と
を備える取出し具付き容器であって、
前記装着キャップは、
前記容器本体の口部に装着される筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体を開閉自在に上方から覆う中蓋と、
前記中蓋に対して上方から装着される上蓋と
を有し、
前記上蓋及び前記中蓋の少なくとも一方には、前記上蓋と前記中蓋とで形成される挿入空間内に前記取出し具を挿抜自在とする挿入開口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記キャップ本体、前記中蓋及び前記上蓋は、合成樹脂により一体形成されていることが好ましい。
【0008】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記キャップ本体及び前記中蓋、並びに前記中蓋及び前記上蓋は、それぞれ別箇のヒンジ部によって連結されており、前記中蓋及び前記上蓋を連結する第2ヒンジ部は、前記キャップ本体及び前記中蓋を連結する第1ヒンジ部に対して周方向における対向位置に配置されていることが好ましい。
【0009】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記第2ヒンジ部は前記挿入開口の近傍に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の一方には、挿入された前記取出し具の面内位置を制限する案内壁が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の他方には、挿入された前記取出し具を前記中蓋の上面及び前記上蓋の下面の前記一方に対して押し付ける付勢部が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記取出し具は、長手方向端部の取出し部が前記案内壁に当接したとき、前記装着キャップから径方向外側に突出する摘み部を備えることが好ましい。
【0013】
また、本開示の取出し具付き容器は、上記構成において、前記中蓋の下面には、上方に向かって凹み、前記中蓋の開放時において、前記取出し具の長手方向端部の取出し部を受け入れる保管溝が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、取出し具の管理を容易化した、取出し具付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態である取出し具付き容器の右側面断面図である。
図2】本開示の一実施形態である取出し具付き容器の平面図である。
図3】本開示の一実施形態である取出し具付き容器の正面図である。
図4A】本開示の一実施形態である取出し具(スパチュラ)の平面図である。
図4B】本開示の一実施形態である取出し具(スパチュラ)の右側面図である。
図5】本開示の一実施形態である取出し具付き容器の装着キャップを展開した状態を示す右側面断面図である。
図6】本開示の一実施形態である取出し具付き容器の装着キャップを展開した状態を示す平面図である。
図7】本開示の一実施形態である取出し具付き容器において、取出し具(スパチュラ)を上蓋壁の下面に当接するまで上方に持ち上げた状態を示す右側面断面図である。
図8図7の状態から更に取出し具(スパチュラ)を上方に持ち上げた状態を二点鎖線で示す図である。
図9】取出し具(スパチュラ)の取出し部を中蓋の保管溝に挿入して保管している状態を示す平面図である。
図10】取出し具(スパチュラ)の取出し部を中蓋の保管溝に挿入して保管している状態を示す右側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態である、取出し具付き容器100を詳細に説明する。
【0017】
図1から図3は、本開示の一実施形態である、取出し具付き容器100の構成を示している。本実施形態に係る取出し具付き容器100は、容器本体10内に収容された内容物を取り出すための取出し具60(スパチュラ)の管理を容易化するのに好適である。本実施形態の取出し具付き容器100は、化粧料等の内容物を収容する収容空間Sを区画形成する容器本体10と、容器本体10の口部13を閉塞する装着キャップ50と、装着キャップ50内に収容可能な取出し具60とを備えている。取出し具60とは、容器本体10内の内容物をすくって外部に取り出す道具であり、図1図4に図示する例はスパチュラ(へら)である。
【0018】
なお、本実施形態において、上下方向は、図1及び図3における上下方向であり、左右方向は、図1における紙面に垂直方向、図2における上下方向、図3における左右方向である。また、前後方向は、図1及び図2における左右方向、図3における紙面に垂直方向である。なお、図1及び図2における左方が前方、右方が後方である。また、径方向外側とは、取出し具付き容器100の中心軸線Oを通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、中心軸線Oを通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。
【0019】
なお、装着キャップ50(キャップ本体20,中蓋30及び上蓋40)のように、ヒンジ周りに回動することによって上下面が逆転するような部材については、図1から図3に示すような閉塞状態における上下方向を基準とする。例えば、図1における中蓋30が備える案内壁39は、図1のような閉塞状態に基づいて「中蓋壁33の上面から上方に向かって立設されている」などと表現するものとする。
【0020】
容器本体10は、図1等に示すように、内容物の収容空間Sを区画形成する筒状の胴部11と、胴部11の上端部に連なる口部13と、胴部11の下端部を閉塞する底部15とを備えている。口部13の外周面には雄ねじ部13aが形成されており、後述する装着キャップ50のキャップ本体20の周壁21内面に設けられた雌ねじ部21aとねじ係合可能とされている。
【0021】
装着キャップ50は、図1に示すように、容器本体10の口部13に装着される筒状のキャップ本体20と、キャップ本体20の上部開口を開閉自在に上方から覆う中蓋30と、中蓋30に対して上方から装着される上蓋40とを有している。
【0022】
上蓋40には、図1から図3に示すように、上蓋40と中蓋30とで形成される挿入空間内に取出し具60を挿抜自在とする挿入開口41bが形成されている。なお、挿入開口41bは、中蓋30側に形成されていてもよいし、上蓋40と中蓋30によって挿入開口41bが形成されていてもよい。
【0023】
本実施形態において、装着キャップ50は、キャップ本体20と、中蓋30と、上蓋40とを合成樹脂により一体形成している(図5及び図6参照)。キャップ本体20と中蓋30とは、第1ヒンジ部29によって連結されており、中蓋30と上蓋40とは、第2ヒンジ部38によって連結されている。
【0024】
なお、上述の態様に限定されるものではなく、キャップ本体20、中蓋30及び上蓋40は、少なくとも一つが別体で形成されてもよい。
【0025】
キャップ本体20は、図1に示すように、筒状の周壁21と、周壁21の上端部から径方向内側に連なる基台部23とを備えている。周壁21の内面には、上述のように、口部13の雄ねじ部13aにねじ係合可能な雌ねじ部21aが形成されている。周壁21の上端部において、後述する中蓋30の中蓋周壁31の下端部と第1ヒンジ部29によって連結されている。基台部23の上面から嵌合壁27が立設されており、後述する中蓋30の中蓋周壁31の内面と係合突部27a,31aによってアンダーカット係合により着脱可能に固定されている。
【0026】
基台部23の内周端よりシール壁25が垂下しており、中蓋30の中蓋壁33の下面から垂下するシール筒35の外面に液密にシールすることによって、内容物を外部に対してシールしている。
【0027】
容器本体10の口部13の上端部とキャップ本体20の基台部23の下面との間で密封シート14が挟持されている。利用者は、内容物の使用を開始する際に一旦装着キャップ50を容器本体10から取り外し、この密封シート14を取り外してから内容物の使用を開始する。密封シート14は、例えばアルミニウム蒸着シートなどのガスバリア性及び水分バリア性に優れた材料によって形成されていることが好ましい。
【0028】
中蓋30は、周壁21の上方に配置され周壁21と略同一径で形成された筒状の中蓋周壁31と中蓋周壁31の上端部を閉塞する中蓋壁33とを備えている。
【0029】
中蓋周壁31は、下端部において第1ヒンジ部29によってキャップ本体20と連結されている。図1に示す状態から中蓋周壁31と嵌合壁27との係合突部27a,31aによるアンダーカット係合を解除するとともに中蓋30を第1ヒンジ部29周りに回動させることによって、中蓋30が開放されて、容器本体10内の内容物を取り出し可能な状態となる。
【0030】
中蓋壁33の下面から、シール筒35が垂下しており、キャップ本体20のシール壁25の内面に液密にシールしている。また、中蓋壁33の上面から上部嵌合壁37が立設されており、上蓋40の上蓋周壁41の内面に係合突起37a,41aによりアンダーカット係合している。
【0031】
上部嵌合壁37は、図2に示すように、収容された取出し具60の摘み部61が突出している領域が切り欠かれているほかは略円弧形状を備えたC字形状を備えている。また、上部嵌合壁37の径方向内側には、図2に示すように、収容された取出し具60の面内位置(図2に示す平面視における位置)を制限する案内壁39が設けられている。案内壁39は、中蓋壁33の上面から立設されており、後部(図2の右部)において取出し具60の取出し部63(スパチュラのへら部)を三方から囲むとともに前方に向かって左右方向に徐々に開く略V字形状を備えている。
【0032】
このように、上蓋40と中蓋30との間の空間に通じる挿入開口41bから挿入された取出し具60は、取出し部63が案内壁39によって面内位置が定められた状態で後述する付勢部45によって中蓋壁33の上面に押し付けられるため、上蓋40と中蓋30の間の所定位置に安定して収容される。
【0033】
上蓋40は、中蓋周壁31と略同一径で形成された上蓋周壁41と、上蓋周壁41の上端部を閉塞する上蓋壁43と、上蓋壁43の下面から後方に向かって下方に傾斜して設けられた付勢部45とを備えている。付勢部45は、図1に示すように、取出し具60を中蓋30の中蓋壁33の上面に対して押し付けることで取出し具60を上蓋40と中蓋30との間の挿入空間内に保持している。
【0034】
取出し具60は、図4A及び図4Bに示すように、長手方向の一端に設けられ他の部位よりも平面視(図4A参照)において面方向に拡径された摘み部61と、長手方向の他端に設けられ他の部位よりも右側方視(図4B参照)で厚みが薄く形成された取出し部63と、摘み部61と取出し部63とを連結する柄部65とを備えている。
【0035】
本実施形態において、取出し具60(スパチュラ)は、取出し部63が「へら」として構成されている。利用者は、図2に示す状態から取出し具60の摘み部61を摘んで取出し具60を挿入開口41bから引き抜いた後、取出し部63に所定の粘性を有するクリーム状の内容物を付着させて利用対象物に塗布することができる。
【0036】
本実施形態では、取出し具60を挿入開口41bを通じて上蓋40と中蓋30の間の挿入空間内に挿入し、長手方向端部の取出し部63が案内壁39に当接したとき、摘み部61が装着キャップ50から径方向外側に突出するように構成されている(図2参照)。このような構成によって、利用者は、いつでも摘み部61を摘んで取出し具60を装着キャップ50から取り出すことができる。
【0037】
なお、摘み部61の最大幅が挿入開口41bの最大幅よりも大きくなるように構成してもよい。このような構成によって、摘み部61を誤って挿入開口41b内に挿入してしまうことを抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、取出し具60としてスパチュラを採用したが、この態様には限定されず、例えば粘性が低い内容物を取り出す場合には、長手方向端部に「へら」に代えて「さじ部」を設けて内容物をすくい出すようにしてもよい。
【0039】
中蓋30には、図5及び図6に示すように、中蓋壁33の上面から上方に向かって凹む(展開された図5において下方に向かって凹む)保管溝33cが設けられている。保管溝33cは、図6に示すように前後方向に延びる長穴状に形成されており、長穴の短手方向幅が、取出し具60の柄部65の厚み(図4Bに示す上下方向幅)に対応している。
【0040】
上記の構成によって、後述するように、使用途中の取出し具60の取出し部63側を中蓋30の保管溝33c内に挿入して保管することができる(図9及び図10参照)。なお、図10は、図9における取出し具60以外の部位のA-A断面による断面図である。
【0041】
図1から図3に示す保管状態から利用者が容器本体10内の内容物を利用するに際しては、図7に示すように、まず上蓋40と中蓋30の間に挿入され収容されている取出し具60の摘み部61の下面を上方に押圧し、付勢部45からの弾性力に抗して取出し具60の摘み部61側を上方に変位させて挿入開口41b近傍における上蓋壁43の下面に当接させる。
【0042】
次に、利用者が、取出し具60が上蓋壁43の下面に当接した図7の状態から更に摘み部61を上方に引き上げると、上蓋40は、挿入開口41bにおける取出し具60からの上向きの押圧力によって図7の時計回りに回動しようとする。ここで、上蓋40と中蓋30は、挿入開口41b近傍において第2ヒンジ部38によって連結されているため、上蓋40の回動に連動して中蓋30も第1ヒンジ部29周りに回動する(回動後の位置を図8に二点鎖線で示す)。
【0043】
図8に示した回動によって上蓋40及び中蓋30が開放されると、利用者は、挿入開口41bに挿入されていた取出し具60を摘み部61を摘んで引き出し、取出し部63で容器本体10の収容空間Sの内容物をすくって利用対象物に塗布する。未開封状態からの利用の場合、利用者は、容器本体10の口部13とキャップ本体20の基台部23との間に挟持されている密封シート14を剥がしてから使用を開始する。本実施形態では、ある程度粘性が高い内容物を想定して取出し部63を「へら」状としており、取出し部63に付着した内容物を利用対象物に容易に塗布して使用することができる。
【0044】
利用対象物に塗布する際に、一度取出し具60を置いてから作業を継続したい場合には、図9及び図10に示すように、取出し具60の長手方向端部の取出し部63を、中蓋30の下面から上方に凹む保管溝33c内に挿入して、取出し具60を保管する。保管溝33cは、図6及び図9等に示すように平面視で長穴形状を備えており、その短手方向幅(図9における上下方向)と、取出し具60の柄部65の厚み方向幅(図4Bにおける上下方向幅)が僅かに隙間ばめとなるように構成されている。したがって、図9及び図10に示すように、取出し部63側を保管溝33c内に嵌合させた状態で取出し具60を一時的に中蓋30上に保管することができるので、保管溝33c以外の領域に内容物を付着させることなく効率的に塗布作業を継続することができる。
【0045】
本実施形態では、上蓋40の上蓋壁43は、上蓋周壁41を越えて径方向外側に僅かに突出するフランジ部43aを備えている。そして、このフランジ部43aが周壁21の外周面に当接することによって(図10参照)、上蓋40の上蓋壁43及び上蓋40と嵌合した中蓋30の中蓋壁33は、容器本体10の載置面と略平行な状態となっている。したがって、利用者は、中蓋30に設けられた保管溝33cを利用して、取出し具60を安定的に一時保管することができる。
【0046】
また、利用者は、フランジ部43aに爪をかけるなどして中蓋30に対して上蓋40を上方に開放することができる。この開放操作によって、取出し具60を収容している上蓋40との中蓋30の間の挿入空間内が内容物により汚れた場合にも容易に清掃することができる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態は、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体10と、容器本体10の口部13を閉塞する装着キャップ50と、装着キャップ50に収容可能な取出し具60とを備える取出し具付き容器100であって、装着キャップ50は、容器本体10の口部13に装着される筒状のキャップ本体20と、キャップ本体20を開閉自在に上方から覆う中蓋30と、中蓋30に対して上方から装着される上蓋40とを有し、上蓋40及び中蓋30の少なくとも一方には、上蓋40と中蓋30とで形成される挿入空間内に取出し具60を挿抜自在とする挿入開口41bが形成されるように構成した。このような構成の採用によって、取出し具60を挿入開口41bから容易に引き出して内容物の塗布に利用することができる。また、使用途中や使用後には取出し具60を取出し部63側から挿入開口41b内に挿入することによって再度収容することができるので、使用中や使用後に取出し具60を紛失するのを抑制することができる。また、取出し具60における内容物が付着する取出し部63を装着キャップ50内に収容するので、内容物が意図しない領域に付着することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、キャップ本体20、中蓋30及び上蓋40は、合成樹脂により一体形成されるように構成した。このような構成の採用によって、装着キャップ50の部品点数を増加させることなく取出し具60を装着キャップ50内に挿入し収容することができる。
【0049】
また、本実施形態では、キャップ本体20及び中蓋30、並びに中蓋30及び上蓋40は、それぞれ別箇のヒンジ部によって連結されており、中蓋30及び上蓋40を連結する第2ヒンジ部38は、キャップ本体20及び中蓋30を連結する第1ヒンジ部29に対して周方向における対向位置に配置されるように構成した。このような構成の採用によって、第1ヒンジ部29に対向する第2ヒンジ部38近傍を上下に操作することによって、上蓋40が中蓋30に装着された状態でキャップ本体20に対して開放/閉塞動作を行うことができる。したがって、上蓋40と中蓋30によって取出し具60の挿入空間を形成した状態を維持したままキャップ本体20に対して開閉することができる。
【0050】
また、本実施形態では、第2ヒンジ部38は挿入開口41bの近傍に配置されるように構成した。このような構成の採用によって、第2ヒンジ部38近傍に配置された挿入開口41bに挿入された取出し具60を把持して上方に引き上げることによって、上蓋40が中蓋30に装着された状態でキャップ本体20に対して開放操作を行うことができる。したがって、装着キャップ50に挿入された取出し具60を引き上げるという簡潔な操作によって上蓋40及び中蓋30をキャップ本体20に対して開放することができる。
【0051】
また、本実施形態では、中蓋30の上面及び上蓋40の下面の一方には、挿入された取出し具60の面内位置を制限する案内壁39が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、取出し具60は、案内壁39によって面内位置が定められるので、上蓋40と中蓋30の間の所定位置に安定して収容することができる。
【0052】
また、本実施形態では、中蓋30の上面及び上蓋40の下面の他方には、挿入された取出し具60を中蓋30の上面及び上蓋40の下面の一方に対して押し付ける付勢部45が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、挿入開口41bから挿入された取出し具60は、取出し部63が案内壁39によって面内位置が定められた状態で付勢部45によって中蓋壁33の上面に押し付けられるため、上蓋40と中蓋30の間の所定位置にさらに安定して収容することができる。したがって、使用時、保管時及び持ち運び時に取出し具60が装着キャップ50から脱落し難くすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、取出し具60は、長手方向端部の取出し部63が案内壁39に当接したとき、装着キャップ50から径方向外側に突出する摘み部61を備えるように構成した。このような構成の採用によって、利用者が装着キャップ50から径方向外側に突出する摘み部61を摘んで上方に引き上げるという簡潔な操作によって上蓋40及び中蓋30をキャップ本体20に対して開放することができる。また、摘み部61を摘んで取出し具60を容易に引き出すことができる。
【0054】
また、本実施形態では、中蓋30の下面には、上方に向かって凹み、中蓋30の開放時において、取出し具60の長手方向端部の取出し部63を受け入れる保管溝33cが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、利用者は、中蓋30に設けられた保管溝33cを利用して、取出し具60を安定的に一時保管することができる。
【0055】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0056】
例えば、本実施形態では、キャップ本体20、中蓋30及び上蓋40は、合成樹脂により一体形成されるように構成したが、この態様には限定されない。キャップ本体20、中蓋30及び上蓋40の少なくとも1つを他の部材とは別体で形成した後に組み合わせるようにしてもよい。また、合成樹脂以外の材料によって形成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、中蓋30及び上蓋40を連結する第2ヒンジ部38は、キャップ本体20及び中蓋30を連結する第1ヒンジ部29に対して周方向における対向位置に配置されるように構成したが、この態様には限定されず、第1ヒンジ部29及び第2ヒンジ部38は対向配置以外の配置としてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、第2ヒンジ部38は挿入開口41bの近傍に配置されるように構成したが、この態様には限定されない。第2ヒンジ部38は挿入開口41bから離れて配置してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、中蓋30の上面には、挿入された取出し具60の面内位置を制限する案内壁39が設けられるように構成したが、この態様には限定されない。案内壁39は、上蓋40の下面から垂下するように設けてもよい。また、取出し具60は、上蓋40と中蓋30の間の挿入空間内に挿入可能とされていればよく、案内壁39は必ずしも設けなくてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、挿入された取出し具60を中蓋30の上面に対して押し付ける付勢部45を上蓋40側に設けるように構成したが、この態様には限定されない。取出し具60を上蓋40の下面に対して押し付けるための付勢部を、中蓋30側に設けてもよい。また、付勢部45を設けない構成としてもよい。ただし、取出し具60を安定して収容するために、上述の案内壁39及び付勢部45の少なくとも一方を設けることが好ましい。
【0061】
また、本実施形態では、中蓋30の下面において、上方に向かって凹み、中蓋30の開放時において、取出し具60の長手方向端部の取出し部63を受け入れる保管溝33cが設けられるように構成したが、この態様には限定されず、保管溝33cを設けない構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示によれば、取出し具60の管理を容易化した、取出し具付き容器100を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 容器本体
11 胴部
13 口部
13a 雄ねじ部
14 密封シート
15 底部
20 キャップ本体
21 周壁
21a 雌ねじ部
23 基台部
25 シール壁
27 嵌合壁
27a 係合突部
29 第1ヒンジ部
30 中蓋
31 中蓋周壁
31a 係合突部
33 中蓋壁
33c 保管溝
35 シール筒
37 上部嵌合壁
37a 係合突起
38 第2ヒンジ部
39 案内壁
40 上蓋
41 上蓋周壁
41a 係合突起
41b 挿入開口
43 上蓋壁
43a フランジ部
45 付勢部
50 装着キャップ
60 取出し具
61 摘み部
63 取出し部
65 柄部
100 取出し具付き容器
O 中心軸線
S 収容空間
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10