(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126059
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/56 20060101AFI20230831BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H04N1/56
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030517
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】523122012
【氏名又は名称】中村 喜英
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】中村 喜英
【テーマコード(参考)】
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
5B057AA07
5B057AA08
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057DA16
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC25
5C079HA13
5C079HB01
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB11
5C079MA17
5C079PA05
(57)【要約】
【課題】医療用または検査用画像を色の3原色で表現し得る画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】 画像処理方法は、DICOM画像の階調および明度情報を取得するステップ(S1)と、拡張後色値を算出するステップ(S2)と、拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップ(S3)と、余りに基づいて振り分けタイプを決定するステップ(S4)と。ステップ3(S3)で算出した商を基準階調値とし青の色値とし、赤の色値および緑の色値は基準階調値、基準階調値+α、基準階調値+βのいずれかから選択するステップ(S5)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部が算出した拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、前前記除算部で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む画像処理装置。
【請求項2】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部が算出した拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、前記第1の色以外の他の色の階調値は、(前記基本階調値、前記基本階調値+正の整数α)および(前記基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む画像処理装置。
(式2)基本階調値=任意に設定した又は導出した第2の画像の階調-前記除算部で算出された商
【請求項3】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部で算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、前記除算部で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む画像処理装置。
【請求項4】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)前記除算部が、前記第1ステップにより得られた拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)前記色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、前記ステップ(B)で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む画像処理方法。
【請求項5】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部が、前記第1ステップで算出された拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、前記第1の色以外の他の色の階調値は、(前記基本階調値、前記基本階調値+正の整数α)および(前記基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む画像処理方法。
(式2)基本階調値=任意に設定した又は導出した第2の画像の階調-前記ステップ(B)で算出された商
【請求項6】
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部が、前記第1ステップで算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、前記ステップ(B)で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む画像処理方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明度情報の画像を処理するための画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠した医用画像により、レントゲン写真等の医療用画像を保存することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医療用または検査用画像を色の3原色で表現し得る画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.画像処理装置
本発明の第1の画像処理装置は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部が算出した拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、前前記除算部で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む。
【0006】
本発明の第2の画像処理装置は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部が算出した拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、前記第1の色以外の他の色の階調値は、(前記基本階調値、前記基本階調値+正の整数α)および(前記基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む。
(式2)基本階調値=任意に設定した又は導出した第2の画像の階調-前記除算部で算出された商
【0007】
本発明の第3の画像処理装置は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理装置であって、
式1に基づき拡張後色値を算出する拡張後色値算出部と、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
前記拡張後色値算出部で算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出する除算部と、
前記余りに基づいて振り分けタイプを決定するタイプ決定部と、
前記タイプ決定部が決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、前記除算部で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与する色値振り分け部と、を含む。
【0008】
2.画像処理方法
本発明の第1の画像処理方法は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)前記除算部が、前記第1ステップにより得られた拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)前記色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、前記ステップ(B)で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む。
【0009】
本発明の第2の画像処理方法は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部が、前記第1ステップで算出された拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、前記第1の色以外の他の色の階調値は、(前記基本階調値、前記基本階調値+正の整数α)および(前記基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む。
(式2)基本階調値=任意に設定した又は導出した第2の画像の階調-前記ステップ(B)で算出された商
【0010】
本発明の第3の画像処理方法は、
医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換する画像処理方法であって、
(A)拡張後色値算出部が、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップと、
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部が、前記第1ステップで算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出するステップと、
(C)タイプ決定部が、前記余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップと、
(D)色値振り分け部が、前記振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、前記ステップ(B)で算出された商を前記第1の色の基準色値として設定し、前記第1の色以外の他の色の色値は、前記基準色値、(前記基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(前記基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップと、を含む。
【0011】
3.プログラム
本発明のプログラムは、本発明の画像処理方法をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、明度情報から構成される画像をRGBの色の3原色により近似グレー色で表現された画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る画像処理装置の機能図である。
【
図2】実施の形態に係る画像処理方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
(画像処理装置)
画像処理装置10は、医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換するものである。
【0016】
画像処理装置10は、処理部12として、拡張後色値算出部12aと、除算部12bと、タイプ決定部12cと、色値振り分け部12dとを含むことができる。
【0017】
拡張後色値算出部12aは、式1に基づき拡張後色値を算出するものであることができる。
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
mはたとえば4とすることができる。青色(B)を起点色(青色)とし、緑色(G)と赤色(R)を1bitで表現可能な階調は4階調となる(
図3の左表)。拡張数(Exp)を3とした場合に、各bitの配色例を
図3の右表に示す。
【0018】
除算部12bは、拡張後色値算出部12aが算出した拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するものであることができる。除算部12bは、拡張後色値算出部12aで算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出するものであることができる。
【0019】
タイプ決定部12cは、余りに基づいて振り分けタイプを決定するものであることができる。
【0020】
色値振り分け部12dは、タイプ決定部12cが決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、前除算部12bで算出された商を第1の色の基準色値として設定し、第1の色以外の他の色の色値は、基準色値、(基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するものであることができる。
【0021】
色値振り分け部12dは、タイプ決定部12cが決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、第1の色以外の他の色の階調値は、(基本階調値、基本階調値+正の整数α)および(基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与するものであってもよい。
【0022】
色値振り分け部12dは、タイプ決定部12cが決定した振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するものであり、除算部12bで算出された商を第1の色の基準色値として設定し、第1の色以外の他の色の色値は、基準色値、(基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するものであってもよい。
【0023】
処理部12は、グレースケール算出部12eを含むことができる。グレースケール算出部12eは、たとえば式3に基づき、第1の画像の階調値から、グレースケール画像(たとえば8ビットグレースケール画像)の明度を算出することができる。
(式3)8ビットグレースケール画像の明度=第1の画像のピクセルの階調値×256/第1の画像のピクセルの階調
第1の画像は、たとえばDICOM画像とし、第2の画像は、たとえばRGB画像とすることができる。
【0024】
(画像処理装置の構成例)
画像処理装置10は、コンピュータから構成されることができる。処理部1212は、CPUなどの演算装置により実現することができる。記憶部14は、たとえば、ROMやハードディスクや外部記憶装置(CD、DVDなど)の公知の記憶装置に記憶させることができる。記憶部14は演算装置に独立して別体で構成されていても、演算装置内に構成されていてもよい。画像処理装置10は、1つのコンピュータから構成されていても、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0025】
画像処理装置10に対して画像処理を実行させるプログラムは、たとえば、記憶部14に格納することができる。
【0026】
(画像処理方法)
(1)第1の画像処理方法
第1の画像処理方法は、医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換するものである。
【0027】
第1の画像処理方法は、たとえば、次のステップを含む。
(A)拡張後色値算出部12aが、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップ
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部12bが、第1ステップにより得られた拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップ
(C)タイプ決定部12cが、余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップ
(D)色値振り分け部12dが、振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、ステップ(B)で算出された商を第1の色の基準色値として設定し、第1の色以外の他の色の色値は、基準色値、(基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップ
【0028】
(2)第2の画像処理方法
第2の画像処理方法は、医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換するものである。
【0029】
第2の画像処理方法は、たとえば、次のステップを含む。
(A)拡張後色値算出部12aが、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップ
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部12bが、第1ステップで算出された拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出するステップ
(C)タイプ決定部12cが、余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップ
(D)色値振り分け部12dが、振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、式2に基づき算出した基本階調値を第1の色の階調値とし、第1の色以外の他の色の階調値は、(基本階調値、基本階調値+正の整数α)および(基本階調値-正の整数β)の群から選択される少なくとも一種を付与するステップ
(式2)基本階調値=任意に設定した又は導出した第2の画像の階調-ステップ(B)で算出された商
【0030】
(3)第3の画像処理方法
第3の画像処理方法は、医療用又は検査用画像であってN階調(N≧2n,nは正の整数)の明度情報により表現される第1の画像を、第1~第3の色の3原色で表現される第2の画像に変換するものである。
【0031】
第3の画像処理方法は、たとえば、次のステップを含む。
(A)拡張後色値算出部12aが、式1に基づき拡張後色値を算出する第1のステップ
(式1)拡張後色値=第1の画像のピクセルの明度値×(任意に設定した又は導出した第2の画像の階調×拡張数)/第1の画像のピクセルの明度階調
(1≦拡張数≦m,mは正の整数)
(B)除算部12bが、第1ステップで算出された拡張後色値の整数から所定の数αを控除して得られた数を拡張数で除し、商と余りを算出するステップ
(C)タイプ決定部12cが、余りに基づいて振り分けタイプを決定する第3のステップ
(D)色値振り分け部12dが、振り分けタイプに応じて、第1の色~第3の色の階調値を付与するステップであり、ステップ(B)で算出された商を第1の色の基準色値として設定し、第1の色以外の他の色の色値は、基準色値、(基準色値+正の整数α(αは正の整数))および(基準色値-正の整数β(βは正の整数))の群から選択される少なくとも一種を付与するステップ
【0032】
上記の第1~第3の画像処理方法において、αはたとえば1~5、好ましくは1とすることができる。βはたとえば1~5、好ましくは1とすることができる。
【0033】
(作用効果)
本実施の形態によれば、純粋にはグレースケール画像ではないものの、RGBのそれぞれの階調値を少しずらすようにすることで、あたかもグレースケール画像のように見えることができる。高度な圧縮技術によらなくても簡易な計算技術により、たとえばDICOM画像などの最大階調値が大きい画像を圧縮できる効果がある。変換後の画像を可逆的に戻すことも可能であり、可逆的変換が可能である。DICOM情報を、RGBに変換して、データ容量を小さくしつつ、画像の質が落ちるのを抑えることができる。
【0034】
本実施の形態に係る画像処理方法は、DICOMの高深度の明度表現をRGBカラーのグレー近似色を用いて表現する手法に適用することができる。
(画像処理後の応用例)
複数のプラットホームで症例ファイルを閲覧可能とするため、症例画像、症例情報、補足情報等を1つのファイル(htmlやXMLなど)とすることで、ファイルの取り扱いを簡便化し、Webブラウザで閲覧可能とすることでマルチプラットフォームOSでの閲覧を可能としてもよい。
【0035】
症例ファイルの症例情報表示の表示・非表示を任意に切り替え可能とし読影の教育、診断の補助に用いることもできる。
【0036】
症例画像、症例情報と補足情報を1つのファイルとして持ちながらそのファイルのアクションを行うことで症例情報、補足情報各々の表示非表示を可能とすることで症例画像から症例情報を回答としての学習または診断補助のツールとして用いることが可能となる。
【0037】
(画像処理の具体例)
本実施の形態は、グレースケールDICOM画像の階調表現を色情報を用いて症例画像を作成する手法として適用できる。医療等で用いられるDICOMデータは階調表現幅が広い。その為、専用のデバイスを用いてDICOMデータを表示している。しかしながら、一般的なデジタルデバイスではDICOMデータをそのまま表示することができない。表示可能な階調を滅職しグレースケール画像に変換し表示することができる。本実施の形態ではグレースケールを表現可能な色階調に滅色する際に色情報を用いて明度の階調数を捕色することで階調表現の劣化を抑えた画像を生成することができる。
【0038】
画像症例システムおよび画像症例ファイルの生成に使うことができる。
ここで、症例画像とはDICOMをカラー情報を用いて生成した画像をいい、症例ファイルは症例画像、症例情報、補足情報を含むHTMLファイルをいうものとする。
【0039】
一般的な表示デバイスではグレースケール画像を表現する場合、階調(明度)の表現は輝度信号(YUV/YCbCr)に変換して表現されるが、グレースケールであることから色差信号は発生しない。また、色の3原色(RGB)で出力する場合、R=G=Bで一般的に表現することができるが明度の変化量が±1変化する場合にR,G,B各々同量の変化量が必要となる。ここで、輝度信号では表現できない輝度分布を色空間(ここではRGB)に置き換え各色値に強度を振り分けることで疑似的に多階調の表現が可能とするものである。
【0040】
DICOM 11bit2048階調を8bitグレースケールにすると256階調であるがRGB24bitカラーで下記式を用いた場合、768階調で表現が可能となる。
【0041】
この変換に係る情報処理の考え方を以下に記載する。
Dmax : 階調最大値
Gmax : 8bit階調最大値
RGBmax : 24bitRGB各値最大値
D0 : DICOM階調値
G0 : 8bitクレースケール値 (0~255)
R,G,B : 24bitRGB各値 (0~255)
G0 = (D0 * Gmax) / Dmax
rgbCoef = (RGBmax * 3.0) / Dmax
rgb = (int)(D0 * rgbCoef)
R = G = B = rgb / 3
Mod = rgb % 3
mod = 2の時
B=B+1
R=R+1
mod = 1の時
B=B+1
int関数は、指定された数値を最も近い整数に切り捨てる関数である。
mod関数は、数値を除数で割ったときの剰余を求める関数である。
【0042】
「*」は掛け算の「×」を示す。
(画像処理の変換の具体例)
DICOM画像の階調および明度情報を取得する(S1)。次に、拡張後色値を算出する(S2)。拡張後色値を拡張数で除し、商と余りを算出する(S3)。余りに基づいて振り分けタイプを決定する(S4)。ステップ3(S3)で算出した商を基準階調値とし青の色値とし、赤の色値および緑の色値は基準階調値、基準階調値+α、基準階調値+βのいずれかから選択する(S5)。
【0043】
本実施の形態に係る画像処理に適用することができる基本値および変数の一例を表1に示す。
【表1】
変換例の別の態様をそれぞれ表2~5に示す。表中、rgbは拡張後色階調を示し、EXPまたはExpは拡張数を示し、typeは余り値(振り分けタイプ)を意味している。Rは赤の色値、Gは緑の色値、Bは青の色値である。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
(変形例)
人の「明るさ」に対する視覚特性は青(B)に敏感であるため、本例ではBを起点色としている。よって、RGB256階調で表現可能なグレースケールは256*3*4色での表現が可能となる。
maxRGBRange=256*3*4= 3072
maxRGBRange(3072) > Dmax(2048) であるため、今回計算値を簡易とするために
Exp =3とすると
maxRGBRange'=256*3*3=2304階調を表現する
※ただし、RGBmaxが255であることから表現可能な範囲は、
maxRGBRange''=maxRGBRange'-Exp-2=2300となる。
【0044】
起点色は動かさないため、Exp-2となる。その為、起点色を0から計算した場合、起点色最大部分で重複(Exp-2の「-2」分)が発生する。
分割を有効に生かす手法として(RGBの最大値を計算上超えないようにする)
起点の最大値を255-1として計算することで可能となる。
ExpRGB2= RGBMax * Exp-3の「-3」で計算が可能となる。
【0045】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 画像処理装置
12 処理部
12a 拡張後色値算出部
12b 除算部
12c タイプ決定部
12d 色値振り分け部
12e グレースケール算出部
14 記憶部